映画「地獄の黙示録(1979)」が“オススメ”の理由と考察、その感想

②オススメ☆4

地獄の黙示録  英題:Apocalypse Now

監督-フランシス・フォード・コッポラ 1979年 153分

脚本-フランシス・フォード・コッポラ、ジョン・ミリアス、マイケル・ハー

出演-マーティン・シーン、マーロン・ブランド、ロバート・デュバル、他

映画「地獄の黙示録」のあらすじ

作品の舞台はベトナム戦争。

陸軍士官ウィラード大尉は妻と離婚し、再度ベトナム戦争の作戦に参加するためにサイゴンのホテルで待機していた。

今まで敵の要人暗殺作戦に工作員として参加してきたウィラードは、軍の上層部から呼び出され、ある男の暗殺を依頼される。

その男とは、元グリーンベレー隊長のカーツ大佐。

カーツ大佐はアメリカ軍から数々の勲章を受けている英雄で、ベトナムでの作戦を途中で放棄し、独自の判断でベトナム人将校を二重スパイ容疑で処刑、その後ベトナム奥地のジャングルに兵を率いて独自に王国を築いているという。

ウィラードは狂人となった大佐の写真を手掛かりに、大佐がいるジャングル奥地に向けて数人の兵士と共に船を出し、川を上っていく。

大佐の影に不気味さを感じながらもジャングルを進んでいく中で、ウィラードは戦争の狂気や不条理さを目の当たりにしていく。

ベトコンが近くにいるにもかかわらず、自分がサーフィンをしたいがために辺り一帯を爆撃するキルゴア中佐、慰安のためにジャングルの作戦基地にヘリで降り立つ華やかなプレイメイト達、司令が麻痺していて独自に各々戦うしかない満身創痍の兵士たち。

果たして大佐は狂っているのか?もしかしたら周りが狂っているんじゃないか?

そんな戦争の実態を垣間見ながら、大佐の元へとたどり着くウィラード。

大佐とは一体どんな人物なのか?ウィラードは作戦を実行できるのか?

“オススメ☆4”の理由と考察、その感想

長いが、大佐への期待感がすごい

完全版は202分と非常に長い。

大佐の情報が異様すぎて、大佐が見たくてしょうがない。

その期待感で長い時間見たといっても過言ではないかもしれない。

なかなか大佐が出ないし、繰り返される戦争の実態の描写にちょっとしんどくなってしまい、大佐が出るまで苦労した。

マーロン・ブランド演じるカーツ大佐は、本当に最後の最後にしか出てこない。

実際に登場したカーツ大佐は異様な感じはあるが、もっと異様でも良かったのかなと思う。

ふっくらしているし、雰囲気がどことなく優しい感じもするので、隠居したおじさんに見えなくもないというか。

もう少しギラッと鋭い感じも見たかったかなと個人的には思った。

なにせ、この大佐を見るために見てきたから、期待感がすごくて。

戦争の異常さを訴える作品

オープニングのドアーズの音楽に合わせて流れる、ナパーム弾で燃えるヤシの木たちの映像がとても印象的だ。

映像では、ジャングルの何とも言えない蒸し暑さのようなものが伝わってくる。

全体としてはハードな戦争ものなのだが、大佐のくだりなどはフィクション性が強い感じも受ける。

戦争とはなんなのか?そもそも戦争自体がまともなことではないのではないか?ということをえぐりだしている作品だと思う。

戦っているベトナムもアメリカもカーツ大佐ですらも決して悪役というわけではなく、戦争というものはこういうものだという感じ。

カーツ大佐の行動もおかしいかもしれないが、他の連中はどうなのか?

軍に所属して任務を行っているが、決してまともではない人たちだらけ。

家庭がうまくいかず、再度作戦のためにベトナムに戻ってきてしまう主人公のウィラードですらも。

カーツ大佐は、むしろ覚悟を持って行動しているなら、この戦争に参加している人達の中で一番まともなんじゃないか、とすら思わされる。

そういった戦争へのアンチテーゼ、強烈な皮肉とも取れる様な戦争アクションで、エンターテインメント性もある、映画として重厚な作品になっている。

実はカーツ大佐が一番まともな人間で、「カーツは狂った」、「将校を殺した」というのも全部アメリカのレッテル貼りで、彼が誰よりも戦争の終結を憂いていた、などだったらもっと面白かった。

しかし、カーツも自我を残しつつも狂っているので、そこはカーツ大佐が狂人からヒーローに転換する訳でなく、スッキリとはしない。

自分は、カーツが唯一まともだった、という方がよりアメリカ軍のおかしさが際立つので、そっちの方が良かったなと思った。

結局全員狂っていた、戦争に関わる人間でまともな人間などいない、ということなのかもしれないが。

主人公は、最初はハーヴェイ・カイテルがキャスティングされていたが、契約上のトラブルから二週間で降板したらしい。

ハーヴェイ・カイテルが主人公の地獄の黙示録も見てみたいと思った。

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