ドラマ「アンチヒーロー(2024)」が”つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1
  1. ドラマ 「アンチヒーロー(第一話-接点-)」
    1. 第一話が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
      1. 面白そうなタイトルだったが・・・
      2. 薄いキャラクターの主役、明墨
      3. タイトルに反する泥臭い普通の弁護士ドラマ
  2. ドラマ 「アンチヒーロー(第2話-拒絶-)」
    1. 第2話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想
      1. アンチヒーロー第2話はビヴァン超え
      2. スピード感のある序盤の捜査感、赤嶺の存在感は良い
      3. 明墨の大演説は不発だった
      4. 隠された謎の答えよりも面白いドラマが見たい
  3. ドラマ 「アンチヒーロー(第3話-過去-)」
    1. 第3話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想
      1. 初めての面白いストーリー、赤峰の好演
      2. 粋なストーリーを台無しにする明墨の薄さ
      3. 第3話はアンチヒーローらしさがあったが。。。
  4. ドラマ 「アンチヒーロー(第4話-冤罪-)」
    1. 第4話を“見て損はない☆3”理由と考察、その感想
      1. 明墨は権力に対するアンチだった
      2. 赤峰の紫ノ宮の若手コンビが見やすい
      3. 明墨は抑え気味の振る舞いでまだ良かった
  5. ドラマ 「アンチヒーロー(第5話-因縁-)」
    1. 第5話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想
      1. 紫ノ宮は良かったが、全体としては物足りない
      2. ドラマの足を引っ張るベテラン勢
      3. 気持ち悪い伊達原は悪くなかった
      4. 面白く振りきれないモヤモヤの5話
  6. ドラマ 「アンチヒーロー(第6話-不正-)」
    1. 第6話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想
      1. 期待感のあるラストの展開自体は良い
      2. 相手を泳がす演技が自然でない明墨
      3. 巨悪に立ち向かう良いストーリーだが…
  7. ドラマ 「アンチヒーロー(第7話-追及-)」
    1. 第7話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想
      1. 政治パーティー裏工作、弾劾裁判、志水の事件に手がかかる面白いストーリー
      2. 明墨vs富田議員のあざとさ対決、痛快な瀬古判事の崩れ加減
      3. 明墨の魂の叫び-志水の説得
      4. 実は人物像の薄かった志水
      5. 赤峰の露出を増やしてほしい
  8. ドラマ 「アンチヒーロー(第8話-真実-)」
    1. 第8話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想
      1. 明墨が活躍した前半、ついに目的が明確に
      2. 期待感のある作戦遂行シーン
      3. 志水と娘の対面シーンはくさい
      4. 前半は ほぼあざとくない、後半は物足りない明墨
      5. 意味不明の伊達原の怪演
      6. 明墨がなぜ改心したのかまだ不明
  9. ドラマ 「アンチヒーロー(第9話-約束-)」
    1. 第9話が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
      1. ドラマチックな最終回前話
      2. 明墨が改心した理由が不明
      3. なぜ明墨は重要な毒物の本を手に入れてなかったのか?
      4. 物足りない明墨の存在感
      5. ナチュラルな紫ノ宮、とっぽさのある赤峰
      6. どんでん返しも効果的でない
  10. ドラマ 「アンチヒーロー(第10話 最終回-正義-)」
    1. 第10話が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
      1. 冗長な最終回
      2. ほぼずっとあざとい明墨
      3. 存在感はあるが、あっけない伊達原
      4. 白木の裏切りに明確な理由が欲しい
      5. 緑川、明墨、桃瀬のつながりが薄い
      6. イマイチな紫ノ宮親子の会話、明墨の名言授与、気持ち悪くて良い明墨
      7. あざとくなるのは役者、脚本家、監督、だれがわるいのか
      8. アンチヒーローの全体の印象

ドラマ 「アンチヒーロー(第一話-接点-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-1時間8分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、一ノ瀬ワタル、野村萬斎、木村佳乃、他

第一話が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

面白そうなタイトルだったが・・・

日曜夜9時から始まったドラマ、アンチヒーロー。
「あなたを無罪にして差し上げましょう」と言っている予告CMを見たがその言い方が薄く、きっとイマイチだろうなと思ったが、その格好良いタイトル名と日曜の夜に放送するということで、よほどの自信作で面白い話なのかもしれない、と思って一話を見てみた。
結果、めちゃくちゃつまらなかった。
途中からほぼ無感情でただ画面の前に座る、という非常に変な時間を過ごした。
甘く見ていた自分の頭をはたかれ、とんでもないものに手を出してしまった、と後悔した。
その主な原因は間違いなく主役の演じ方で、主役がこんな演じ方、存在感では、どんな重厚なストーリーでも駄作になるだろう。
ましてやストーリーや展開も目を見張るほどではないから、なおさらスカスカに見えた。

薄いキャラクターの主役、明墨

まず冒頭で、弁護士の明墨が拘置所らしき場所で犯人らしき人物に、犯罪者になったら終わりだ的なことを猛列
に畳みかけるシーンがあるが、もうここで萎えた。
ずっとセリフを言っているだけで、迫力もなければ説得力も存在感もない。
相手に一言一言しっかりとぶつけてるリアル感もなく、口を動かしているだけと言っても過言ではない。
物語の一番大事な、見ている者を引き付けなければいけないシーンでこれなんだから、先が思いやられる、というかもう終わったと思った。
なぜ撮り直さないんだろうか?
俳優だって失敗することもあるんだから、出来るまでやり直せば良いだけの話し。
演じた俳優も、映像見たら一発で分かるだろう、やばいやばい、まずったと。
監督含め全員分からなかったらもうお手上げだ。
これが、堺雅人ならやってのけたはずで、冒頭でガツンと引き付ける、期待感のあるドラマの始まりになり得ただろう。
作る側は、同じように出来たと思っているのか?
冒頭しかり、この明墨がドラマ中ずっと薄いので、見るのがきつかった。
怖い感じで畳み掛けるのも、ニコッと笑って敬語でしゃべるのも、余裕ぶった笑みで持論を展開するのも、ビックリするほど何も出来ていない。
こんなことを言うのはなんだが、素人演技丸出しで、演技ってこんな程度でしょ的な感じでやってるとしか思えない。
何かの表面的な真似をしようとしているようにしか見えず、独特の味が皆無だ。
そもそも、この人は演じるということの意味が分かっていないんじゃないかとすら思う。
シン・ゴジラでの演じ方もそうだった。
しかしそれは、それをやらしてる監督が悪いので、彼のせいではない、と言っておこう。
畳み掛けてしゃべる様子は半沢直樹の劣化版だし、明墨が法廷で敬語でしゃべる時に、語尾が「ですー」とちょっと伸びる感じは、古畑任三郎の表面的なインスパイアにも見える。
余裕がある感じの時はずっとカッコつけてる変なやつだし、見ていて恥ずかしくなってくる。
織田裕二が演じたスーツに似た恥ずかしさがある。
彼にだって独自の味があるはずなんだから、誰かの真似などする必要はないのに。
これが、この局が今一番力を入れているドラマの主役なんだから、この日本は狂っているのか?
最後の一番の見せ場の、あんたに障害があろうがなかろうが俺には関係ない、的な過激なセリフを畳み掛けるシーンも、見事にうわ滑っている。
その後、証人に不当解雇で訴えれば1000万はもらえる、無料で協力する、と手の平を返して優しく手を差し伸べるのも、その前のセリフが言えてないので、メリハリもない。
うさんくさい変なやつに見える。
そうだな、と一瞬金額を計算して考える仕草があるが、全然考えてる様には見えないうわべの演技。
このシーンに限らず、ほぼ全編通してこんな感じだ。
特に違和感がなく普通だったのは、明墨の実の娘だかどうかは知らないが、サヤという女子高生に電話で、サヤの好きな方で良いよ、今仕事中だから後で連絡する、などというやり取りや、
工場の子供と接する感じだった。
特に演じている感じではなく優しい普通の感じだが、きっと元々こういう人なんだろうと思う。
それならずっとこの優しい感じで演じずに行けば良いのに、無理に出来ないハードな面を演じる必要はないんじゃないかと思う
そういう演じ方に憧れているならしょうがないけど、これは練習でも発表会でもなく、本番だろう。
これが練習で、彼を育てるために高額なギャラまで払って作っているとすれば、この制作陣は彼の親族達か何かか?

タイトルに反する泥臭い普通の弁護士ドラマ

第一話しか見てないが、ストーリーに特にタイトルにあるようなアウトロー感はない。
アンチヒーローという言葉の意味は正確には知らないが、今のところ主人公はちょっと口が悪いだけのひたむきな敏腕弁護士だし、明らかに犯罪をおかした風の容疑者を弁護しているわけでもない。
今回の事件の被害者は態度が悪く、容疑者は普通の青年であるという風に描かれているので、アンチヒーローということにしたいのであれば、この設定は逆にしなければいけなかったと思う。
被害者は人の良い雰囲気の社長で、むしろ容疑者がタトゥーが入っていて態度が良くない青年で、はたから見たら誰しもこの青年が犯人に見える、それを弁護するなら良かった。
実は青年は見た目や態度とは裏腹に真面目な働きぶりで、社長が極悪で青年は何も悪いことをしていなかった、とかなら、誰しもが抱く偏見をぶち壊す面白いストーリー展開だと思う。
じゃあ良い人なのかと言うとそうではなく、弁護士事務所の良い宣伝になるし、金のためにやっているだけだ、と言い張れば、粋な感じも出る。
しかしそうではなく、そんなに悪そうでもない青年が、悪そうな被害者を殺した容疑を晴らそうとするストーリーなので、ごく普通の弁護士法廷ドラマだ。
検察もちょっと悪く描かれているので、普通にヒーローだ。
なぜこんなストーリーにしてしまったのか分からないが、見ている者を2話に引きずり込む力のない地味なストーリーで、タイトルとも程遠い。
しかも主役の演じ方がああいう感じなんだから、これは見るのにエネルギーがいる。
というか、見る目的がない。
誰も自分に見てくれなんて頼んでないが、スカッとする、もしくは深いドラマを見たい。
演技とか度外視で、法廷ドラマやトリックだけに興味がある人には良いかもしれない。
まだ少し盛り上がったシーンは、証人は実は難聴を隠し、嘘の供述をしていたことを暴き、証人が暴れる所だ。
この証人は、セリフが棒読みの所はあるが、味があり存在感もあるので、悪くない。
ただ、その後証人に明墨がまくしたてる所は、上述した通りスカスカだったが。
なので、ストーリーも普通なので、これを面白く見せるなら、主役にマンパワーが必要だと思う。
上でも述べたが、もしこれが堺雅人なら、十分に見れたドラマになっただろう。
自分は堺雅人信者ではないが、他に分かりやすい役者の例えがないので、つい例に上げてしまう。
証人に下手に出て丁寧にしゃべる感じ、事務所の中での怖い雰囲気、かと思ったら子供とたわむれたり、アウトローな意見をまくしたてることもする、全ての顔を嘘でなく出せる、かつ一人の人間として統一感もある、という高度な演じ方も要求され、主役の負担が大分でかい役柄だと思う。
といってもそれぞれちゃんと演じられてから次のシーンを撮る、ということを監督が繰り返せば良いだけの話しで、長谷川博己にも出来ない訳ではない、分からないけど。
そういうこともせず、役者に丸投げなのかもしれないが、それも含めて監督が悪い。
堺雅人はリーガル・ハイをやっているから、アンチヒーローをやる理由はないのかもしれない。
明墨はリーガル・ハイほどぶっ飛んでいるわけでもなく、ストーリーも普通で、何を見せたいのか不明だ。
長谷川博己が主演なら、アンチヒーローなんてタイトルや設定はいらず、優しく真実を追求する普通の弁護士ものにしたほうがよっぽど面白いんじゃないか?
ただ、月曜日仕事行くの嫌だな、と思いながら見ている者の気持ちをぶち壊すほどの破壊力のない、わざわざ日曜の夜9時にやるほどでもない、普通の法廷ドラマになるだろうが。
それでもこのアンチヒーローよりはマシなはずだ。
このドラマで良かったシーンは、上記で述べた通り、証人の味のある演技くらいで、あとは普通だった。
明墨弁護士事務所の人達も、特に不自然な人がいるわけでもなく、かといって特徴的な人達でもない。
しかし、脇役なので、これで十分といえば十分だろう。
新人弁護士の感じも悪くない。
むしろ明墨がちゃんと強烈で、存在感があれば、こういった脇役のキャラクターも光って見える様になるだろう。
それだけに、明墨の存在感は必須だった。
今後は、そういう弁護士事務所のキャラクターが絡んでいって、彼らがフィーチャーされる話しもあるかもしれない。
また、一話の最後に現れた、野村萬斎演じる検察の重鎮らしき人物が次第に明墨に牙を向いていくのだろう。
木村佳乃演じる検察は、明墨の味方なのか敵なのかは分からないが。
いずれにせよ、もうこの一話のストーリーがどう完結していくのか、ほぼ興味がない。
主役もストーリーも、どちらも引き付けられるものはこの回では何も見出だせなかった。

ドラマ 「アンチヒーロー(第2話-拒絶-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-60分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、谷田歩、野村萬斎、木村佳乃、他

第2話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想

アンチヒーロー第2話はビヴァン超え

アンチヒーローは2話まで放送され、その視聴率はビヴァンを超えて12.8%だったらしい。
正直、このニュースには度肝を抜かれた。
1話の件で述べた通り、2話まで全く引っ張る力のない1話なのに、しかもあのヴィヴァンよりも視聴率が良いというこの怪現象に、不覚にも呆然としてしまった。
ヴィヴァンは変な話だったが、堺雅人のポテンシャルや期待感があるから、まだ見る人が多少なりともいるのは理解できるが、このアンチヒーローは、一体全体みんな何を期待して見ているのだろう?
ヴィヴァンも2話を見る気にさせなかった、自分は2話は見なかったから同じ現象である、とは言えるが、自分的にはヴィヴァンよりもスカスカの1話だった。
だから、見てみようと思う。

スピード感のある序盤の捜査感、赤嶺の存在感は良い

明墨の演技云々はひとまず置いておいて、序盤は少し面白かった。
検察の不正な証拠のでっち上げを暴くために、明墨の弁護士事務所のチームが大学に潜入して、時には生徒に成り済まし、あの手この手で研究室の情報を集めていく描写は悪くない。
次々と展開が先に進んでいくスピード感が心地良く、悪くなかった。
特殊な捜査の仕方ではなく、あくまで誰でもやろうと思えば出来なくもないことを積み重ねていく、地道だが知恵を使ったその調べ方は格好良い。
いつもツンとしている紫ノ宮が、学生のふりをして学生から話を聞き出す様なども悪くない。
新人弁護士の赤峰の演技も自然で、この作品の主人公は赤峰なんじゃないかと思った。
この法律事務所のやり方に戸惑いながらも、真面目に仕事に取り組もうとし、明墨が善か悪かもまだ判断しかねる冷静な感じなども良い。
明墨を始め、まだこの事務所や法曹界のこともあまり知らない赤峰は、このドラマを見ている者の代弁者の様な役割を果たしていて、彼の自然な振る舞い、存在感がこのドラマを見やすいものにしている。
彼はまだ若いが、若さ特有のダメな軽い感じもなく、少し影のある若者感が非常に好感が持てる。
そんな赤峰を絡めた序盤の捜査の描写は良かったが、後半の明墨主体の法廷劇はあまり面白くなかった。

明墨の大演説は不発だった

 明墨は相変わらず体の仕草や作り笑顔などその振る舞いがあざとくうわべで格好つけているように見え、長ゼリフなどは中身のない言い方で、とても飽きてしまう。
検察だけでなく裁判官ですら公正に裁判を行わなければいけない、などと、確かに良いことは言っていたが、その言い方が非常に薄っぺらい。
見せ場の大演説は、弁護人は関係のないことをしゃべらないように、と本来なら裁判官にすぐにさえぎられるような、セリフを羅列しているだけの演技だった。
ジャスティスのアル・パチーノを真似している子供のようだ。
その言い方に、聞いている者の心を揺さぶる、こみ上げてくる怒りや熱さも迫力もない。
実際本当の法廷でこんな感じでしゃべっていても、不自然でみんな聞いていないだろう。
それなのにドラマだからみんなが聞き入っているこのシーンは、この2話の中で一番不自然で不発のシーンだった。
そして法廷を去る時には、ツンとしたドヤ顔で帰っていき、報道陣に格好良いことを言う感じはおバカさんで、非常に恥ずかしい。
なぜこんなうわべの演じ方をしているのか全く分からず、これなら何も演じずに素でやって下さい、と指示したほうがよほど面白くなっただろう。
2話の最後で泣いていた描写があったけど、それまでの演じ方がふにゃふにゃなので、何泣いてんだ、という感じだ。
鬼の目にも涙的なギャップもなく、変なやつ、もしくは自分に酔っているやつに見えるので、深い理由があるんだろうな、と興味もそそられない。
むしろ、泣きもしない、感情も見せない変なやつでずっとでいる方がまだマジなんじゃないか
この演じ方を続けるのであれば、出来れば、明墨の露出は極力減らして、赤峰中心の話しにして欲しい。
ちょっとしたスパイス的な、弁護士事務所の変わったおじさん的な立ち位置で、赤峰を脇役としてサポートするくらいじゃないと、邪魔でしょうがない。
一話の衝撃的なあざとさに比べたら、これでも少しマシになっているが、せっかくのキーパーソンがこれでは、物語はいつまでたっても締まらない。
もっと地に足のついたおじさん俳優にでもやって欲しかった。
ちなみに、検察の姫野は悪い感じが誇張されていてあざとかった。
顔芸というか歌舞伎のモノマネというか、コントのような感じもあり、リアルな怒り方ではない。

隠された謎の答えよりも面白いドラマが見たい

この2話は、全体としてはまだ一話よりは面白かった。
それは明墨の演技を度外視して、序盤の捜査する感じと、判決がくつがえる展開、全体を通した赤峰の自然な存在感によるものだった。
最終的に容疑者は無罪ではなかった感じも示唆されているし、タイトルとの関連性も含めて、まだこれが第一話にした方が良かったんじゃないか?
一話よりもまだ視聴率が良いのは理解できた。
なんとなくテレビをつけてて、面白い、と思って2話から見始めた人達が結構いたってことか?
ただ、今のところアンチヒーローというタイトルの謎が解明された訳ではない。
ヴィヴァンで味をしめたのか、そのタイトルの意味も徐々に明かして、考察させることで引っ張りたいのか?
主役のマンパワーでそもそも引っ張れていないのに、よくそんな怖いことが出来るな、と逆に感心してしまう。
被害者は嫌な社長っぽいやつで、加害者はむしろ普通の青年だ。
もし罰を受けるならこの社長がいなくなったほうが世のためになる、と考えれば、明墨のやっていることは十分に理解できるし、こんな弁護士がいてもいいし、いて欲しい。
ただその社長が本当に悪いやつだったのか、という描写が足りないので、スッキリしないし、メリハリがない。
仮に社長が悪いやつだったとしても、明墨がやったことはヒーローになるので、アンチヒーローではない。
自分の正義に基づいて弁護を勝手に変えていくのは、世直し弁護士、処刑人弁護士みたいな感じか、それはそれでダサいタイトルだけど。
でもタイトルがどうのこうのというのは、ほぼどうでもいい。
面白ければ、良いタイトルに思えてくるだけのこと。
中身が面白くなければしょうがない。
明墨は今のところ、ドラマを邪魔する変なやつだ。

ドラマ 「アンチヒーロー(第3話-過去-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-46分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、田島亮、山崎銀之丞、野村萬斎、木村佳乃、他

第3話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想

初めての面白いストーリー、赤峰の好演

全体のストーリーとしては初めて面白くなり得るストーリーだったが、良かったのは2話と同じく、最初の30分くらいだった。

なぜいつも1話通してガツンと来させないのだろう。

最初の30分くらいの、赤峰が事務所のチームと事件を調べ、ずっと抱いてきた疑問や不信感を明墨にぶつける感じまでは非常に良かった。

赤峰の感情の動きや振る舞い、新人のフレッシュ感や不信感を徐々につのらせていく演技など、ナチュラルでとても良い。

正義感にかられ、怒りを表に出す時にも、リアルな怒りをセリフを言いつつもしっかりと相手にぶつけられていて、演技に見応えがある。

このドラマの出演者のレギュラーメンバーの中では、突出してその演じ方にプロ感が感じられ、新人弁護士という役どころを見事に演じられていると思う。

演じ方が軽くなく影もあり、感情も理解して表現出来る彼のような若い俳優は、とても貴重な存在だろう。

派手ではないが、しっかりと仕事をしている。

粋なストーリーを台無しにする明墨の薄さ

そこからは、明墨の出番だが、相変わらず軽いうわべの演じ方で、せっかくの赤峰の好演や、面白くなるストーリーなのに台無しだ。

赤峰が不信感を明墨にぶつける最初のシーンでは、明墨がドライブレコーダーを外させたことを激しく問い詰めたが、明墨の第一声はふにゃふにゃで、ずっこけそうにった。

こんなに赤峰が感情をぶつけているのに、「ほう、弁護士らしい良い仮説です」というセリフを棒読みで言っていた。

あえて敬語を使ったんだろうが、はたから見ると、赤峰の迫力に押されて弱気になってしまったように見える。

手放しで、良い仮説だ、と強く褒めながら反論するなら分かるが、赤峰の感情のこもり具合に全く比例していない返答で、こんな会話をしていたら、何百回やったって面白くならない。

静かに穏やかに反論したいならそれなりの強さが言葉に秘められてないといけないのに、明墨はなぜこんなにふにゃふにゃなんだ。

勝新太郎が同じセリフを静かに言うなら深みがあるが、そんな雰囲気で演じられてないのに。

明墨はずっとそんな感じだ。

ストーリーとしては、明墨が悪徳政治家の息子を弁護するが、わざと失敗して敗訴し、悪に鉄槌を下す、という粋なストーリーだが、それがうまく見せられていないのでもったいない。

せっかく、こんな弁護士いて欲しい、と思うような話しなのに。

世に出すならそれに見合う演技もセットで出さなければ、ストーリーだけパクられてより良いものを外国に作られてしまう。

赤峰が思っていたのと違うドライブレコーダーの証拠映像を明墨に見せられ、明墨は赤峰に説教するが、その怒り方も迫力がない。

赤峰に中途半端な介入をさせないために、赤峰を騙す必要があり、赤峰の信念を試している重要なシーンでもあるんだろう。

なので、もっと悪に見えるくらい圧倒し、赤峰の心を折り、こてんぱんに言い負かすべきだった。

あれでもやっているつもりなんだろうけど。

その赤峰の反応でどれだけの覚悟でこの事務所に入ったか分かるし後々明墨が全て正義のためにやっていたことが判明した時に明墨の印象は跳ね上がっていただろう。

明墨が検察官の緑川に新たな証拠を提示された後の明墨の振る舞いもゆるい。

ちなみに検察の木村佳乃が演じる緑川は演技しているように見えず、自然で良い。

明墨は態度を一変させ、言葉も出ない、弁護人を辞退することも考えている、とあえてショックを受けた様な演技を披露するが、この一番の見せ場の大事な演技もあざとい。

本当にショックを受けて落ち込んでいると、視聴者も含め見ている者に思わせなければいけないのに、明らかに嘘演技をしているように見える。

もしそれが出来れば、わざとやっているのかどっちかわからない、という深さが出たのに、うわべの演技だ。
というか、無能のフリをして負けるなら、本当に無能に見せなければ。

法廷を去るときはもういつもの明墨に戻っているから、明墨のやりたいことは分かるけど爪が甘い。

法廷を出てもまだショックを引きずっている感じだったら、あの明墨が負けた、と周りを騙すこともできたかもしれない。

もしそれが出来れば、めちゃくちゃ面白い回になったはずだ。

法廷にいた人達も、視聴者も最後の最後まで明墨に騙されていた、というストーリーなら、実に見応えがあったが、残念ながらそうではない。

最後の赤峰と明墨の二人で会話するシーンも深くなったはずだろう

自分に怒ったのは嘘だったんですね、と赤峰が言ったら、いや、あれはあれで本当のことだ、と明墨が言ったって面白い。

明墨は自分の印象を自在に操る天才弁護士みたいに自分を思っているのかもしれないが、全然操れてない。

あ、こいつわざとやってる、とすぐに見抜かれ、なめられる。

その噂が広がり、悪人は明墨に弁護など頼まなくなるから、アンチヒーローとしてはやっていけなくなる。

ちなみに、赤峰が最後に明墨に、明墨が何のために犯罪者を無罪にするのか知りたいと言っていたが、意味不明だった。

犯罪者の弁護をする、あわよくば無罪にするのが弁護士の役目だし、明墨は少なからず正義のためにやっている訳で、誰もが死んで欲しいと恨まれるような犯罪者を面白半分で弁護して来たわけではない。

それを間近で見たきた赤峰から出るとは思えない、あえて言う必要のない、浅く中身のない言葉だった。

弁護士はなぜ犯罪者を守るの?という子供の疑問なら分かるが、赤峰はそうでない。

視聴者に説明するために、赤峰にこのドラマのテーマ的な何かを言わそうとしたのか知らないが、とってつけたようなセリフで残念だった。

第3話はアンチヒーローらしさがあったが。。。

この3話は、初めてタイトル通りアンチヒーロー感もあり、悪を無能のフリをして倒す、という今までで一番面白くなり得る、しっかりしたストーリーだったのに、足りない演技で台無しだった。

いい加減そこを作る側はわかった方がいいんじゃないか?

作るべきは演じ方を含めたキャラクターの作り込み、存在感で、ベテラン俳優にやってもらえば大丈夫っしょ、程度で後は丸投げではあまりに安易すぎる。

演技一つで、ストーリーがいくら良くてもあっという間に崩壊する。

そう演じさせられているなら監督が悪いが、それはそれで役者に大恥をかかせるパワハラだ。

ちなみに劇中の音楽は、スピード感のある音が捜査をもり立てたり、所々悪くないが、神がかっている讚美歌のような人の声はなんとも冷める。

ドラマに寄り添うような音ではなく、そこをさらに超えた非日常の嘆きのような音楽なので、大げさでうわ滑っているとも言える。

本当にどうしよもない不条理、理不尽に登場人物が直面した時などに流れるなら分かるが、そうではない。

音楽を作る側は、すごいものを見せているように演出したいんだろうが、飛び出していてドラマと合っていない。

どう見せたいのか目的もはっきりせず、音楽って入れれば良くなるってものではない分かりやすい例だと思う。

エンディング曲のmiletの曲調くらいの方がまだ合っているんじゃないか?

そもそもまともな演技を詰み重ねたドラマがあれば、音楽なんて添える程度で十分だし、なくても良いだろう。

せっかく頑張って音楽を作っても、あざとい演技に重ねては、それがカバーされるどころか、より薄っぺらさが際立つだけである。

なにはともあれ、もっと根幹のドラマ部分、主役の演技をしっかりと作って欲しいと思った。

日本のドラマにおいていつものことではあるが、3話は話しが良かった分、よりそう思う。

ドラマ 「アンチヒーロー(第4話-冤罪-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-46分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、藤木直人、早見あかり、渡邊圭祐、野村萬斎、木村佳乃、他

第4話を“見て損はない☆3”理由と考察、その感想

明墨は権力に対するアンチだった

悔しいけど、4話はちょっと面白かった。

なるほど、明墨は一般的にヒーローとされている権力に対するアンチだったんだ。

第2話で緋山を無罪にしたのは、検察の不正を行う姿勢を世にさらすためだったのか。

それに気づかなかった自分は、顔から火が出て家がボヤになった。

赤峰が説明してくれなかったら気づかなかった。

検察に対する自分のイメージはそもそもそういうことをする組織という認識なので、2話は見ただけでは、明墨にそんな意図があったとは夢にも思わなかった。

しかし、そうだとしても、明墨の大演説や振る舞いがあざとく、2話の評価は変わらない。

むしろ、話が良い分より残念に感じる。

話自体が分かりやすい3話、謎がはっきりして話の方向性が分かる4話まで、主役のマンパワーで強引に引っ張る必要があった。

もしそれが出来ていれば、この4話で制作陣の意図通り跳ね上がっただろう。

軸となる謎が解明されないまま普通の法廷劇っぽく、主役に魅力も少ないのに、なぜ引っ張れると思ったんだろう。

主役の剛腕で謎を引きずったまま視聴者を釘付けに出来ない、と自覚していたら、一話から、検察を吊るし上げるために殺人者を無罪にする、と明かしても良かっただろう。

でもそうではない高度なチャレンジをして失敗している。

しかし、演技度外視で言えば、しっちゃかめっちゃかのヴィヴァンより意味の分かる、筋のある謎で、全体のストーリー自体は悪くない、今のところは。

そしてこの4話に関しては、演技もストーリーもヴィヴァンのどの話よりも面白い。

ヴィヴァンより安上がりなはずなのに。

明墨の狙いの輪郭が見えてきたこの4話は、5話にも期待感を持てる一番面白い回だった。

一応見続けて良かった、頑張った甲斐がある。

頑張らせないで見せてほしい。

だけど、明墨の露出が増えたらまた変なことになるんだろう。

だから、薄目で見ていくようにしよう。

赤峰の紫ノ宮の若手コンビが見やすい

今回の話は、赤峰と紫ノ宮の露出が多く、二人とも自然なので、ドラマとして非常に見やすかった。

赤峰がナチュラルなのは前述した通りだが、紫ノ宮も良い。

紫ノ宮はいつもあまり感情を表に出さない感じだが、ただツンとしている表面上の演技をしているわけではなく、感情がちゃんと表に出ている。

赤峰に、羨ましいんですか?と釘を刺す言い方も良いし、デレデレしている赤峰を見る顔の表情、自分の父親の話になって顔色が青ざめていく感じなどリアルで、ツンとしているキャラを守りつつも、感情に幅があって深みがある。

紫ノ宮にはだんだん味が出てきている。

ちなみに、以前この役者がエレベーターの中で赤ちゃんに笑いかけるCMを見たことがあるが、演技に見えず、感情が自然で大分良いと思っていた。

本当に楽しんでいるように見えた。

だからなんだ、ということだが、ポテンシャルは高い人なんだと思う。

どうかこのままの自然な感じで行ってほしい。

赤峰は相変わらずナチュラルで、このドラマの軸のような存在だ。

この二人の会話を中心に、紫ノ宮が明墨に雇われた理由や、明墨が刑務所にいる志水の冤罪を晴らそうとしている狙いが判明していく展開は、期待感があって大分良かった。

良い意味で点が線になった4話

明墨は今回は警察の不正に目をつけ、そのために警察関係者の父を持つ紫ノ宮を雇っていた、という展開は面白い。

明墨が検察をやっていた時に、紫ノ宮の父と口論していたという回想シーンなども含め、明墨がなぜこの事務所を立ち上げたのか、明墨が弁護する事件を選ぶ目的などが、明墨の口からではなく、周りの人間の会話やドラマから浮き彫りになっていく感じが、明墨という異質な弁護士の人間像を深く見せている。

本人が語るときっとペラペラだから、こういう見せ方はより明墨に合っているだろう。

権力に対するアンチというのも格好良く、これからじゃんじゃん悪を切り、一番トップの伊達原もやっつけて欲しい。

まだ何か悪いことをしているのかは分からないが。

今回の話は、良い意味で点が線になったと言えるんじゃないか。

演技自体で見せるドラマ描写が良く、ストーリーの深さともマッチして、これはドラマが最低限あるべき姿だと思う。

せめて、このクオリティで毎話見せてくれたら、テレビ人気は復活するんじゃないか?

きっとそれを持続するのは難しく、また下降するだろうから、過度な期待は厳禁だろうが。

音楽も、今回は中身のあるドラマチックな展開や役者達の浮いていない演技に比較的合っていて、違和感は序盤のちょっとを除いて特になかった。

むしろ、盛り上げる良いスパイスになっていたと思う。

ドラマの音楽って、同じ音楽を毎話使い回す、使わなければいけない契約なのか知らないけど、そりゃその話によってドラマの雰囲気や展開、良し悪しが変わるわけだから、合わない回が出てきて当然だ。

毎回音楽家が映像を見てその都度音楽をつける、という緻密な演出はしないのか?

そうでなければ、音楽が合う合わないは、運次第ということになる。

ドラマ全般に感じる違和感の一つはこれだ。

自分が音楽家なら、合ってない音楽をつけている、大した事ない、と思われたくないから、毎回音をつけたいと思うだろう。

それにはお金がかかりすぎるのか?

中身のない派手な演出にお金をかけるんじゃなく、そういう緻密なことにはもう少しかけてもいいんじゃないか?
もう十分お金がかかってるのか?

ヴィヴァンで使いすぎたか?

必ずしも手の込んだ音楽をかけなくても、役者の演技がイマイチな時は、それなりに抑え気味の音をつければいい。

音楽家にそんな判断はできないか?

何はともあれ、4話はネックの明墨の演技があまり邪魔をせず、総合的に一番良い回だった。

もし明墨役が堺雅人だったらと思うと、ヴィヴァンとは比べ物にならないくらい面白くなったんじゃないか

また堺か、となるし、他の役者の面白いドラマも見たいが、案の定こんな感じなんだから、堺でいい、いや堺がいい、と思ってしまう。

他に、深みのある主役を出来る新星はいないのか?

新星と言っても、別に50代、60代でも良い。

明墨は抑え気味の振る舞いでまだ良かった

明墨は大立ち回りをするような露出が少なく、あまり邪魔してなかったので、ずっとこのくらいの感じならまだ見ていられる。

序盤で、明墨が今回の事件の担当弁護士を降ろさせるため、その弁護士家族の前に現れるシーンだけは良かった。

サングラスをかけてニコッと笑い、風船を子供に渡して、マジックを披露しだすシーンは優しい変質者という感じで味があり、良い意味でコミカルだ。

格好つけた悪のヒーローぶるんじゃなく、こういう気持ち悪い弁護士の方が魅力的である。

主役だから全能感がなくちゃいけないなんて固定観念で、気持ち悪くても確かな味があれば、どんどん人間像は深くなっていく。

今までの明墨も気持ち悪いけど、気持ち悪さの意味が違う。

ちなみに、屋上で空を見上げる感じはあざとかった。

相変わらず語尾を伸ばす、です〜とか、だね〜などの喋り方が軽いのが邪魔なので、出来ればちょっとづつバレないようになくしていってもらいたい。

強くしゃべろうとする時に、力が入ってセリフの羅列になるのも避けて欲しい。

格好つける演技もいらない。

味のある人格を自分で見つけられないなら、何も演じようとせず、誰かになろうともせず、素の長谷川博己でいいじゃないか。

きっとそっちの方がよほど魅力的だ。

第5話以降、この良い流れを明墨が自分で壊してしまわないことを願う。

初めて5話は少し楽しみだ。

ドラマ 「アンチヒーロー(第5話-因縁-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-46分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、藤木直人、早見あかり、渡邊圭祐、野村萬斎、木村佳乃、他

第5話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想

紫ノ宮は良かったが、全体としては物足りない

途中まで、警察のでっち上げを暴くために、被害者に嘘の証拠音声を聞かせて揺さぶったり、事件を担当していた元弁護士と接触して写真を取って脅したり、普通の弁護士事務所がやるとは思えない危険なやり口で、あの手この手で裁判の準備を進めていく描写は悪くない。

そして、紫ノ宮が葛藤しながらも今回の事件のキーパーソンである、警察の父親と向き合うドラマは、紫ノ宮の演技が非常に良く、彼女自身に関しては見ごたえがあった。

長年付き合いはあっても深く踏み込んだことのない父に、勇気を出して涙がこみ上げながらも問い詰める序盤のシーン、裁判後に父が隠していることを聞き出そうとするシーン。

紫ノ宮は演技をしている感じに見えず、黙っている時も感情が流れているのが見えるので、終始自然で引き込まれる。

父親と接している感じも自然で、しゃべっていて自分で自分の言っていることに気づき、自然と感情が高ぶって父を問いただしていく描写など、リアルでかなり良い。

間違いなく今回の話の主役である。

この俳優は若いだろうがとても良い。

ちなみに明墨はそもそもナチュラルな感情の流れなどいつもほぼ見えない作り物の演技ばかりで、そもそも流れてすらいないんじゃないかと思う。

流れていたら漏れてくるはずだが、ほとんど見受けられない。

いかんせん、赤峰と紫ノ宮の振る舞いが良いがゆえにそれがより際立つ。

この若手二人の様な、ナチュラルな役者のみでドラマを作って欲しいものだが、そんなことは作ってる側は分からないからしょうがない。

見ている人達の大多数もあまり分かっていないんじゃないか?

何はともあれ、そんな紫ノ宮の好演もあり、裁判になるくらいまでは良かったが、全体としては大分物足りなかった。

それは、若手が良くても、ベテラン勢の振る舞いがいまいちだったからだと思う。

ドラマの足を引っ張るベテラン勢

第5話がいまいちだったのは、ストーリーの軸となる明墨の露出がそこそこ多かったから、というのは言うまでもないが、今回のキーパーソンである紫ノ宮の父親に存在感がなかったことも大きい。

裁判後に、終盤で紫ノ宮が父親を問い詰めるシーンも、紫ノ宮自体は良かったが、父親がいまいちだった。

せっかくリアルな生の感情を父親にぶつけているのに、その反応が特に深みもなく、普通なので、面白いドラマにはなり得ない。

言えないことだらけで言葉が少ないのかもしれないが、言葉が少ない中に言いたいことが詰まっている感じ、怒りやもどかしさ、娘への愛など入り混じった深い感じは特になかった。

紫ノ宮のように、しゃべっていない時もしゃべっている感じはない。

警察が来て連れて行かれる時も、きっとこの人には深い理由があるんだろう、と演技で思わせられていない。

下手をすれば、この連れて行かれる時に視聴者を号泣させられるくらいに、その振る舞いで持っていけた可能性もある。

せっかく、それを見送る紫ノ宮が感情を高ぶらせて、ドラマチックになり得るピースは揃えているのに、このシーンしかり一方通行なドラマになってしまった。

父親役はもっと年を取ったおじさんで良かった。

寺島進なんか悪くないんじゃないか?

いや、大分良い。

この父親を演じた俳優は以前より老けて顔に味が出てきたけど、まだ中身も含め若くてイケメンよりな気がして、物足りない。

イケメンという枠に入るであろう人達が全てダメと言っているわけではないが、彼らには捨てきれない何かが残ってしまう印象がある。

言葉少なで難しい役どころと言えばそうだが、この回ではこの父親の露出は多かったし、一番の見どころとも言える、娘の紫ノ宮との対峙シーンが今ひとつなので、全体のドラマの盛り上がりに欠けてしまった。

明墨に関しては今回は露出もそこそこあり、いつもの通り独特の存在感のなさで、ストーリーを盛り上がらせなかった。

気持ち悪い伊達原は悪くなかった

冒頭の明墨と伊達原の対峙シーンでも、すでに明墨は物足りなかった。

伊達原が、検察の膿を出せて良かった、今後も容赦なくお願いしますと、強烈な嫌味を明墨にぶつけるが、明墨は「そのつもりですー」と棒読みで語尾を伸ばす言い方で反論していた。

せっかくのヒリヒリしたセリフのやり取りなのに、実に間が抜けた迫力のない言い方で、拍子抜けだった。

静かに強い人間に見せたいのだろうが、ただの普通の人だった、むしろ頼りないやつに見えた。

なぜ撮り直さないんだろう?

ちなみに、そのセリフを受けての「頼もしいねー」と言いながらの伊達原の笑顔は気持ち悪くてとても良かった。

伊達原は、笑っていてもいつも目が全く笑っていないのが、すごく不気味で良い。

人間の皮を被った化け物のようだった。

伊達原は、特にリアルな演技とかではない、セリフ回しも独特すぎてこんな検察は存在しないと思うが、存在感があって敵役として悪くない。

しかし、終盤で警察の裁判の失敗に伊達原が激怒して声を張り上げるシーンがあるが、怒り方がヒステリックで薄かったので、少しがっかりした。

嘘笑顔でしゃべっているときは怖くて良いのに、いざ怒るとこんな薄い感じになるのでは、この先の主役との真っ向勝負の激しい言い合いになった時に、物足りない悪役になってしまうんじゃないかと思う。

半沢直樹で言えば、大和田常務のような太い悪にはなり得ない。

そもそも激しく怒る演技は難しく、これほど日本人が不得意な演技はないと思う。

それは欧米の人達に比べて、普段からあまり怒らないからだと思うが、そういうシーンでは、日本人俳優はほとんど薄っぺらい演技になる印象がある。

アル・パチーノやフィリップ・シーモア・ホフマンなどのように、怒りで見ている者を圧倒するような演技なんてほど遠い。

そういう意味では堺雅人はちゃんと強く怒れる、最近の日本では珍しい俳優だし、今はなき香川照之も良かった。

なので、今のところ伊達原が稀代の悪役になれるかどうかは少し疑問だが、静かに怒る感じは良いので、頑張って欲しい。

あの普段落ち着いた伊達原が、明墨にこてんぱんにやられ、最終的に青筋立ててヒステリックに叫び、醜態をさらして散っていくとすれば、それはそれで見応えがあるかもしれない。

漫画的で、変な悪役だった、となるかもしれないが。

面白く振りきれないモヤモヤの5話

明墨はいつも通り、全編通して薄かった。

裁判が終わって、赤峰に問い詰められた時、後ろを向いてニコッと笑う感じは特にあざとかった。

今回は明墨の露出が要所要所を締めているので、そこそこ邪魔をしていた印象だ。

主役が足を引っ張ってしまっては致命的だが、明墨の演じ方を今さら変えろというのは、時すでに遅しだろう。

いくらドラマの中で誰かが良い演技をしても、周りがそれに追随する、もしくはサポート出来なければ、全体としてつまらないものになる。

この現象は、日本のドラマや映画でよく見られる。

いくら紫ノ宮や伊達原が光っても、焼け石に水だろう。

一人芝居じゃなく、みんなで作ってるんだからそりゃそうだ。

逆に一人が良いだけでなく、その相手役も良い、脇役も敵役も良い、と良さが重なっていけば、とんでもない物が作れるはずなのに、なぜそれをやろうとしないのか?

4話はそういう相乗効果の兆しがあったのに、5話はいつも通りの物足りない日本ドラマだった。

このアンチヒーローというドラマは、ヴィヴァンと違って変ではなく、比較的地に足をつけたストーリーで、真面目に頑張ってドラマを作ろうとしているのはまだ分かる。

しかし、ストーリーは良くても、良い演技をする役者はいても、なんか面白くならない、モヤモヤするこの回のようなドラマは、日本ドラマの超えられない壁を感じた。

4話が良かったのは、キャスティングや話の展開、映像の配分などがたまたまハマっただけだったんだろう。

この回の最後のシーンで、緋山が再び登場し、緋山と明墨が協力してこれから何かをすることが示唆された。

次の回で明墨のやりたいことがより明確になるのかもしれない。

このドラマが仮に全10話あるとして、今の段階では、全体を通して面白かった、という大団円は迎えられそうにない。

話しは面白かったのに、というよくある結果になるんじゃないかと思う。

今後明墨の狙いが明確になるにつれ、明墨の露出はますます増えていく訳だろう。

せっかく格好良いヒーロー像になり得るのに、またうわべで格好つけたような振る舞いをたくさんしていくことだろう。

明墨の露出を極力抑えてドラマを作っていこう、などという修正が途中で入るとは思えない。

それに気付くような制作陣なら、そもそも明墨にこんな演じさせ方はしない。

なので、光る若手の演技や伊達原の暴れっぷりを見ていくことにしよう。

ドラマ 「アンチヒーロー(第6話-不正-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-46分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、珠城りょう、河内大和、神野美鈴、野村萬斎、木村佳乃、他

第6話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想

期待感のあるラストの展開自体は良い

全体を通してのストーリーとしては面白くなくはない展開だったが、物足りなかった。

終盤、良い人だと思われていた瀬古裁判官が、実は悪い側であると判明する尻上がりの話しの終わり方自体は良かった。

自分も瀬古はすっかり良い人間側である、と騙されていたので、振る舞いも雰囲気も良い人に見える人が実は真逆だった、というのは面白い。

伊達原のようにあからさまに信用ならない振る舞いではなく、演技的にも、厳しい面はあっても良い人なんだろう、と思わせるように演じられていて良い。

良い面と悪の面、どちらも本当に見える。

第一話の検察のように分かりやすい悪よりも、こういう一見人格者っぽいけどとんでもない、という人の方が現実には多いような気がするので、リアルでいい。

なので、見えなかった悪が浮上してきて、明墨の狙いが見えてきたラストの展開自体は良かった。

しかし、本来はここでもっと跳ね上がるはずだが、明墨の存在感がやはり全編通して薄いので、そうはならなかった。

相手を泳がす演技が自然でない明墨

明墨は、若手二人に事件を捜査させ、要所要所でヒントを与えるがあえて見守り、二人が自力で真相にたどり着くことを促す、といういぶし銀なサポート役に回っている。

今回も明墨自体の大立ち回りは少なかったものの、そこそこ露出は多く、要所を占めている。

明墨があえて、瀬古裁判官に情報を流したり、出版社でデスクにぶつかったり、新証拠を却下させるように持って行く、後の振りとなる大事な演技がわざとらしかった。

これらの演技が自然であれば、終盤に明墨の狙いが分かった時に、全部意味があった、わざとだったんだ、と明墨の印象が跳ね上がったはずだ。

しかし、今に始まったことではないが、ずっと自然でない、きっと何か意図があるんだろう、という振る舞いに見えてしまうので、見ているものを騙せていない。

瀬古に情報を流す時も、本当に偶然ですね、という感じでテンションが上がって、ついポロッと自分の弁護人の話しをしてしまった感じでもない。

出版社を見学する時も、本当に興味があって見学したい可愛げのあるやつにも見えないし、デスクにぶつかったのも本当のオッチョコチョイにも見えない。

新証拠を却下された時も薄くにやけているので、ショックを受けて落ち込んでいるのか、怒っているのか、どっちともとれる様な、眉間にシワが寄った神妙な顔とかにして欲しかった。

もしそういう風に見ている者に見せる事ができたら、この話はめちゃくちゃ面白かった。

しかし、残念ながら全部不自然だ。

きっとなんか意図があるんだろうと最初からずっと思ってしまう。

せっかく相手の出方を確認するためにわざと失敗したふりをして泳がす、という面白くなるストーリーなのに。

点が線になるというが、明墨の場合、その点が大きすぎてギャップがない。

点があることにすら気づかなかった、後に振り返るとあれが点だったんだ、くらいに急に浮き彫りになるから面白いのに。

そう思わせて欲しかった。

こういう展開は演技力の見せ所で、役者としては演技の醍醐味を感じられる一番熱い所なんじゃないか

しかし、今の明墨だと物足りない。

ユージュアル・サスペクツで言えば、カイザー・ソゼの弱々しい演技が全部嘘くさかった、みたいな感じだ。

ケビン・スペイシーは、本当に弱々しい頼りないやつにもなれるし、後に正体を表して堂々とした振る舞いのボスにもなれる、どっちも嘘でなく出来ている。

明墨は、今のところどっちも出来ていない。

どんな人間かもハッキリとわからず、全くガツンとこない。

唯一自然なのは、女子高生と話したり、子供と接する時の作ってない優しい感じのみだ。

全部それでいけばいいのに。

それ以外はほぼ何かのうわべをなぞった薄い感じか、不自然な格好つけだ。

格好つけているやつを自然に演じているのではなく、変なやつになってしまっている。

明墨は自分をどう見せたいのか不明だ。

人前ではいつも腰が低くて優しい感じで、ちょっと抜けてるように見えるが実はしたたかで食えないやつ、でもないし、言葉少なで寡黙だがあなどれない重厚な人間でもない。

古畑でもなければポワロでも、コロンボでもない。

今まで世に出ているヒーローではないが、新しいヒーローにも今のところなり得ていない。

ちなみに、序盤で明墨が他のスタッフの話を聞きながら、犬にシッとしかる仕草を2回したが、結構あざとかった。

ちなみに今回の若手二人は、赤峰よりも紫ノ宮が中心になって捜査していく感じで、紫ノ宮が脅迫まがいの交渉で証拠を集めていく感じは、味があって悪くない。

紫ノ宮はしゃべる時に、セリフじゃなく生の会話感が強く出るので相変わらず良い。

明墨にやり方を教えてあげて欲しい。

今回は4話と違って明墨がそこそこ絡んでくるので、若手は良くても全体としては物足りない。

巨悪に立ち向かう良いストーリーだが…

このドラマのストーリーとしては、検察、政治家、警察、裁判官と、次々に巨大な権力の悪に立ち向かっていく感じは期待感があっていい。

裁判官に対する不信感というのは、マスコミは日頃から大々的には取り上げないけど、現代の日本では早急に解決すべき大きな問題だと思う。

まともな裁判官もいるだろうが、ほぼ前例に沿ったゆるい判決が大多数で、溜飲が下がることの方が少ない。

そんな職業を悪としてやり玉に上げるというのは、いちテレビ局が作るテーマとしては勇気は認める。

もしこれがTBSの報道が調べたリアルな裁判官の不正を元に作った、とかならより良いが、そういう訳ではないだろう。

今回の話では明墨が緋山に何を準備させているのかまだ明かされていないし、出版社の裁判も決着は持ち越しだ。

しかし、若手弁護士の捜査を主人公の破天荒な弁護士がサポートして誘導していき、最終的に主人公の行動が線で繋がり、次のターゲットである巨悪が判明するという、十分に面白くなり得た話ではあった。

それなのに明墨はあんな感じだし、裁判も始まったばかりでスカッともせず、見応えがあった、という所まではいかない。

次の話への期待感を添えただけ、という感じだ。

でもこれでもヴィヴァンより大分良い。

明墨がケビン・スペイシーだったらめちゃくちゃ面白くなってた。

今はなき彼だけど。

ケビン・スペイシーじゃなくても、堺雅人でも良いし、日本人俳優で他にも出来る人はいるんじゃないのか?

なぜオーディションをしないのか?

オーディションしてこれなのか?

なにはともあれ、そんなキャスティングも全て引っくるめて、これが日本のドラマの実力なんだろう。

とにかく見守っていこう。

ドラマ 「アンチヒーロー(第7話-追及-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-46分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、相島一之、山崎銀之丞、神野美鈴、緒形直人、野村萬斎、木村佳乃、他

第7話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想

政治パーティー裏工作、弾劾裁判、志水の事件に手がかかる面白いストーリー

序盤に明墨の法律事務所チームが、政治家のパーティーに潜入するシーンは、ストーリーとしては期待感があって良かった。

ネックレスのカメラで撮影するのもやり方がスパイみたいだし、明墨の裏工作で富田が乱入してくるのも面白い展開だ。

さらに、瀬古と富田の秘密の会話を、ドアの外で従業員に扮した青山がニヤニヤしながら聞いている描写も面白い。

あんなでかいボイスレコーダーをイスの足元にあからさまに設置されて、よくバレなかったな、というのはあるが。

まんまと明墨を筆頭とした法律事務所チームに、裁判官と政治家が手のひらで転がされている感じは気持ちが良い。

そして、富田が自供したことで瀬古は追い詰められ、弾劾裁判に発展し、しまいに瀬古が伊達原にも見放されるなど、痛快な展開ではある。

明墨チームは、出版社の裁判や松永の事件までも無罪を勝ち取り、ついには志水の冤罪事件にまで手がかかるという、ストーリーとしてはこの上ないかもしれない。

しかし、なぜこれがガツンと面白くならないのか、結構頭を悩ます回だった。

明墨vs富田議員のあざとさ対決、痛快な瀬古判事の崩れ加減

案の定ストーリーがクライマックスに向かうに連れ、明墨の露出は増え、特にこの回は明墨の魂の叫びが炸裂した回だった。

明墨のセリフ回しは、今回はいつもの軽くあざとい演技をベースに、あざとくない良い演技もチラチラ見られる、初めてと言えるくらい、まともな強い感情がまだ出ていた回だった。

良い演技もあった、だけど大部分はそうでない。

ドラマ冒頭の目を瞑った場面からの、あなたを無罪にしてあげましょう〜から始まる一連のセリフは、いつも通りのうわべで格好つけた、薄くあざとい演技だった

富田議員に瀬古と秘書の裏切りを教えるシーンは、基本的には相変わらず語尾を伸ばしたり、セリフを言っている感じだったが、富田を動かすために、それでいいんですか?刺し違えるんです、と詰め寄るシーンのセリフ回しはあざとくなかった。

良い、感動する、というところまでは来ないが、いつものうわべの感じじゃない、普通に感情があってしゃべっている感じで良い。

せめて、しゃべる時はいつも最低限これくらいの普通さが欲しい。

ちなみに相手の富田議員はめちゃくちゃあざとかった。

この議員は何話か前に出た時もあざとさがあったけど、今回はそのあざとさが全面に押し出ていてすごかった。

ずっとミュージカルの大舞台で叫ぶようにしゃべっている感じだ。

確かに国会議員には変なやつもいるだろうが、あざとい、変なしゃべり方をする国会議員をやってくださいと言われているわけでも、それをあえて意識してやっている感じでもなさそうだ。

リアルでも何でもない演じ方で、明墨とはあざとさ対決になったが、このシーンに関しては明墨の方がまだ普通の良さがあった。

でもこの富田議員は悪徳というより変なやつなので、言いくるめて自供させてスカッとする感じは特にない。

この富田がもっと普通に悪く、深い感じの雰囲気の政治家だったら気持ち良かった。

例えば小沢一郎みたいな感じ。

彼を深いと言うのは違うかもしれないが、悪役には十分だ。

小沢一郎にそのままやってもらえば良かったんじゃないか?

でもそうなってくると、明墨のあの迫力では、重い小沢一郎を動かすには力不足だ。

瀬古が法廷内で自分が犯してきた罪の弁明をし、明墨がそんな瀬古に塩を塗り込むかのように罵倒し追い詰めるシーンは、瀬古の演技がとても良かった。

その前から国会議員から見放されて青ざめている感じもリアルだし、明墨に核心を突かれて泣き崩れるのも自然で良い。

悪がちゃんと崩れていく描写は痛快に感じる。

しかし、そんな瀬古をやっつけたこのシーンの明墨のセリフ回しは、いつも通りの気持ちがこもっていない薄い演説だった。

最初はそのつもりはなかったがぬるま湯で麻痺した、本当は悪い人ではないのではないかと思ってチャンスを与えた、残念です、など、セリフ自体は実に良い。

でも薄い。

語尾もちょっと伸ばしているし、皮肉を交えた静かで丁寧な口調だが強烈な怒りをたたえている感じでもなく、迫力もない。

堺雅人のモノマネって感じだ。

瀬古が自然で良い演技をしている分、めちゃくちゃもったいないシーンだった。

明墨の魂の叫び-志水の説得

終盤には、この回のクライマックスとも言える、明墨が魂を込めて志水に裁判に応じるように説得するシーンがある

このシーンは、このドラマ史上初めて明墨が強い感情を露出している。

明墨が志水に娘の成長した写真を見せ、娘に会いたくないわけがない〜などとまくしたてる感じはセリフを言ってる感が強く、あざとかった。

しかしその後、志水が、死刑囚の父親に会いたい訳が無い、と言ってからの、あなたは明日死ぬかもしれない〜考えてみてもらえませんか?までの明墨の一連のセリフは全くあざとくなかった。

生の感情がこもった状態でセリフを言っているので、明墨が強い感じでしゃべるシーンの中では初めて、セリフをなぞっていない、見ていられる演技だった。

最低限、このレベルで感情が入った状態でしゃべってもらえないと、主役としては見ていられない。

これが出来るのなら、普段しゃべる時も感情を込めてしゃべってもらえれば、どれほど見れるものになるか。

本当の感情が宿っているこの時には、軽く語尾を伸ばすなんて全くしていない。

きっとこの役者の人は、優しい人なんだろう。

女子高生のさやに話すときも、子供に話す時も、特に作っている訳ではない自然な感情が出る。

この時去ろうとしている志水に投げかけた感情は、志水を思っての優しさで、この役者自身が本当に思っている強い気持ちだから、あざとくなりようがないんだろう。

怒りの演技をする時には、本当に腹が立っていなければ、うわべの怒った演技になる。

だから、彼はそもそも怒る、腹を立てるという感情を使うのは苦手で、人に優しくする、という感情の方が得意なんじゃないか?

それなら、ずっと優しい感じで演技などせず、怒る時もこのシーンのように優しさを利用して怒れば良いのに。

というか、怒れないなら無理に怒る演技など必要ない、というかやっちゃいけない。

ちなみに堺雅人は目の前のことに本当に腹を立てられているから、怒りがあざとくはならないんだろうと思う。

そんなのは役者なんだから出来て当たり前だ、と思いがちだし、当たり前であって欲しいが、深い怒り方は難しいと思う。

怒りという感情自体、大体が表面的な薄っぺらい怒りだし、ましてや日本人は欧米人に比べて普段から怒り慣れていない。

そもそも人に激しく怒った経験がない人が大多数だろう。

何はともあれ、この短いシーンにおける明墨は悪くない。

初めてどんな人間が、演技で分からせてくれたシーンだ。

しかし最後の、私があなたを、必ず無罪にしますから、というセリフは少しあざといし、物足りなかった。

私があなたを、と言って一呼吸置いちゃったのに、その後の言い方にそれが生かされていない。

基本一息で言うべきセリフで、一呼吸置くなら置くなりの理由がなければ、間が抜けるだけだ。

一呼吸置いたのは、こみ上げてきた涙をこらえたからで、とかならそれはより深くなるだろうが、そうは見えず、ただ置いただけだった。

それまでの言い方は悪くないのに、最後はセリフっぽくなる、という残念さがあった。

なのでそれも含め、この終盤の明墨の演技は今までで一番良かったものの、良いという所まで振り切れなかった。

良し悪しにむらがありすぎて、すっと入ってこない。

今回の良かった部分の演技で、今までのうわべで格好つけた薄いキャラクターが、なるほど、全てわざと演じていたのかともならないし、むしろ、あのキャラクターはなんだったのか、要らないんじゃないかとより思ってしまう。

むしろこの役者の本質であろう、カッコつけない優しい弁護士で一話からやってくれたら、大分良かっただろう。

悪のふりをする善人が出来ないなら、一見善人で、知っていったらもっと善人だった、という方向でも面白くはなる。

実は人物像の薄かった志水

ちなみに、この一連のシーンでは明墨はちょっと良かったが、逆に志水の演技を見てガッカリしてしまった。

明墨に娘の写真を見せられ、志水は顔に手をやり涙ぐむが、もうこれがあざとい。

そしてさらに成長した娘の写真を見せられ、やめろーと叫ぶシーンはめちゃくちゃあざとかった。

このベテラン俳優は父親も名優で、この人も味があって良いと思って勝手に期待していただけに、結構ショックだった。

明墨の演技は、他の作品ですでに免疫があるからまだ大丈夫だが、この人もか、と天を見上げそうになった。

その後の志水の、人殺しの父親に会いたい娘などいない、というセリフは迫力があって良かったのに。

写真を見たくないなら、顔を背ければいい、部屋を出ていけば良い。

やめろーと強く叫びながらその場に居座る理由などない、そんなやつはいない。

リアルでもなんでもない。

最初の目に手を当てて、無理に泣こうとしている感じからあざとかった。

そもそも、いくら志水の事件が掘り起こされ、マスコミにも取り上げられ話題になったと言っても、志水の反応がゆるすぎる。

12年間殺人犯の罪を背負い、殺人犯として生涯を終えると決めていたとしたら、こんな簡単に泣いたり叫んだりしない。

もっと本当の気持ちなど、とうの昔に捨て去り、廃人のように無反応か、冷酷に突き放すかのどっちかだと思う。

その固く閉ざされた心を、明墨の魂の叫びでこじ開けるからドラマチックになるのに、すぐに扉が開いてしまった。

明墨の提案をことごとく強く断り続けるが、娘の写真を見せてピクッと動くとか、一瞬黙ったとか、ほんの少しの変化に、明墨が畳み掛けてこじ開けるとかならめちゃくちゃ面白かった。

この志水は、逮捕されて数年しか経っていないくらいの、まだまだ未練たっぷりの被害者みたいで、12年という重みが全然なかった。

役者は脚本通りに忠実にやっているのかもしれない。

でも、これおかしくありません?あざとくなりますよ?とは言わないのか?

損するのは自分なのに。

せっかく明墨が初めて良い強い演技をしているのに、今度はそっちがダメか、という、なぜこんなにシーソーみたいになるんだろう。

どっちも良くないと、爆発する大化学反応なんて永遠に起こらない。

今回明墨の良いシーンがあったが、上述した通り、その良し悪しにむらがあり、対峙した他の役者の演技の足りなさや噛み合わなさで、全体を通してガツンとは来なかった。

せっかくストーリーは良いのに、ドラマって難しい。

話が良くても演技が足りない、その逆も起こり得るし、個々の役者同士も噛み合わなければしょうがない。

しかし、一番手っ取り早くクオリティーを上げる方法は、ドラマの軸となる主人公に隙のない演技力と圧倒的な存在感があることだ。

多少嘘くさい演技が他の役者に現れてしまっても、主役がぶれてなければ些細なことに感じるだろう。

合ってない音楽だって合ってるように聞こえてくるし、主役に照らされて脇役もより輝いてくる。

特にこのドラマを見て、主人公がいかに大事か、ということを痛感させられた。

まだ終わってないが、せめて今後は、今回の終盤の短いシーンで出た明墨の作ってない演技をたくさん出して誤魔化していくしかない。

赤峰の露出を増やしてほしい

赤峰は相変わらずあざとくなく、新人弁護士として立ち回り、ついには松永の事件までも解決に至った。

松永の事件で無罪を勝ち取った時も、松永の感謝を感じつつも、泣かない演技など良い。

しかしここ数話、なぜか存在感が薄れているのを感じた。

それはきっと、序盤の話では明墨への不信感がある目つきなど、怒りを秘めた良い演技があったり、明墨の狙いが分からない時点での視聴者の良い代弁者だったからで、今はそういう段階ではなくなったからというのはある。

相棒の紫ノ宮の露出も増え、ストーリーを展開させていく役が減ったというのもあるだろう。

今回は、最後に緋山に殺人の証拠を突きつけて、狙いを聞き出すというキーパーソンでもあったが。

悪くないが、もっと怒りを出した赤峰を見たいと思う。

裏でコソコソと明墨が緋山とやっていることに、赤峰が怒りを感じている描写などがあったら、見ているこっちの溜飲も下がるし、スパイスとしてより面白くなったと思う。

赤峰の良さは誠実に怒れるところだと思うので、こっちに話をわかりやすくさせるだけでなく、単純に怒っているあの目つきを見たい。

そして、明墨に怒りをぶつけられるのは赤峰だけだと思うので、明墨とまたケンカしてほしい。

これはストーリーの問題なので、演技がどうこうということではない。

せっかく赤峰という良い素材があるので、もっと要所要所で活かして欲しい。

というか、単純にそれが見たい。

ちなみに紫ノ宮も相変わらずナチュラルで良い。

パソコンを見てハッとした時にオデコがきゅっと動いて表情が変わるなど、演技というより、生のリアクションをその場でしているに近い。

良い意味で外国人の様だ。

どうやってやっているのか、真似しようとしても出来ない。

そう体が動く心の流れをその人の頭の中で忠実に再現できなければ、真似してもうわべになるだろう。

今回のラストで紫ノ宮が青山に声をかけられ驚く様子など、本当に驚いているようにしか見えない。

ちょっと驚き過ぎではあるけど、きっと青山が幽霊みたいに気配を消してたんだろう。

そんなリアクションも、明墨にやらせたら難しくなる。

紫ノ宮のこういった演技を、もし誰かが意図的に指導でやらせているとしたら、その人は天才かもしれない。

しかし、他の役者にあざとさが見受けられる以上、きっとそんな指導は存在していない。

紫ノ宮の役者が勝手にやっているだけだろう。

良く言えば、勝手にやる、という余白が役者に残されている、自由な世界であるとも言える。

しかし、勝手に良い演技をすることだけでなく、勝手にダメな演技をやることも許されているので、そもそも良い悪いの判断自体なされていないんだろうと思う。

なので、よくも悪くも無法地帯とも言える。

そんな世界で生きる役者の心中を察する。

ただ、見ている人は見ているだろう。

そういえば、この回では紫ノ宮よりもナチュラルな演技をしたキャラクターがいる。

それは、明墨法律事務所のゴールデンレトリバーだった。

普通に寝ている感じ、明墨の横でひたすら骨をむさぼる姿、こんなにもあざとくなくナチュラルで、犬らしく犬を演じられているというのはすごい。

というか、何も演じておらずそのままなのだが、自分の素をそのまま出して、存在感を出せるというのは、大御所俳優にもいない。

マメなのかココアなのか分からないが、彼らは自然で、違和感など全く感じない。

それは、まさに彼らが自然現象そのものだからだろう。

本当は人間だって自然現象の一部なんだから、彼らのように自然な存在感を出せるはずなのに。

彼らをなでる人間は不自然だなんて、滑稽だ。

ドラマ 「アンチヒーロー(第8話-真実-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-45分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、迫田孝也、近藤華、山下幸輝、緒形直人、野村萬斎、木村佳乃、他

第8話が“物足りない☆2”理由と考察、その感想

明墨が活躍した前半、ついに目的が明確に

12年前に明墨が志水を陥れた過去の回想が描かれ、志水は娘と対面し、明墨チームは志水のアリバイになるビデオを手に入れようとするも伊達原に見抜かれ失敗、最後は伊達原にこけにされて終わるという、物語がクライマックスに向かう予感を感じる回だった。

緋山と明墨、志水の過去が、それぞれ緋山、明墨、青山から語られていく描写の前半部は悪くない。

冒頭、赤嶺が緋山を脅して真実を聞き出していく感じも興味をそそるし、それを聞く赤嶺も良い。

青山の話しを興味深気に聞く紫ノ宮も良いし、肝心の明墨は、過去の回想シーンも含め、さやに真実を語るシーンなどあざとくなく、明墨にしては前半は頑張った。

緋山を説得するシーンは少しあざとかったけど。

いつものごとく、明墨チームがあの手この手で作戦を実行していく描写は期待感があって良いので、前半部は見ていられた。

しかし、志水と娘の対面あたりから、ドラマが怪しくなっていき、明墨は存在感が薄くなり、終盤の伊達原との対峙もイマイチで、全体としては物足りなかった。

期待感のある作戦遂行シーン

いつものことだが、捜査していく感じは少しハラハラもするので、もうこれで毎回1本ぶっ続けで行ったらいいような気もする。

法廷劇ではなくなるから、探偵物みたいになるのもかもしれないけど。

緋山にエゴシを調べさせ、赤嶺が偽の免許証でエゴシに接触、それを盗撮し、さらに明墨がエゴシに脅しをかけるなど、こういうシーン自体は良い意味でドラマチックで悪くない。

明墨がエゴシの脅しに失敗し、隠れてた警察が一斉にわざわざみんなで顔を見せに来るシーンはあり得ないので、作り物感が強かったが。

わざと敵の検事に赤峰が緋山と一緒にいるところを目撃させて、目を欺いているつもりが、逆に伊達原に騙されていた、という展開も面白い。

志水と娘の対面シーンはくさい

明墨が、志水に娘のさやと対面させるシーンがあるが、くさくて見てられなかった。

志水はハッと娘に気づいて泣き出す感じが非常にあざとい。

志水と娘の押し問答はあるものの、娘も志水も、もう最初からずっと泣く寄りの感じなので、一辺倒の泣き合いになってしまった。

ちなみに、それを後ろで優しく微笑むわけでも、涙をこらえようと厳しい顔をしているわけでもなく、薄くニヤけているように見える明墨は、あざといというより気持ちが悪かった。

こういう泣きありき、泣けば良いと思っている演じ方は、見ている者を非常に冷めさせる。

泣こう泣こうとせず、こみ上げてくるものを抑え、泣かまいと踏ん張っている方がどれだけ涙腺を揺さぶられるか。

さやは、今まで沈黙を貫いてきた割に、思いのたけを思い切りぶつける感じも薄く、大分物足りない。

12年という歳月で溜まった、怒りや不信感、愛情などが入り混じった深い感じも特にない。

こんな程度なら、今まで施設で誰ともしゃべらず、孤立した空気感を出してきた振る舞いは全くいらなかった。

むしろいつも笑顔で、この時の対面も、パパはやってないんでしょ、知ってるよ、頑張ってね、くらい爽やかに言ったほうが、志水も自然に泣けただろう。

そして、志水と離れた後に施設で一人号泣する、とかの方が深い描写になった。

志水は、どうせ俺のことなんて嫌いだろうという、突き放した態度で接し、それがさやの発言によってだんだんと溶けていき、涙がこみ上げるとかなら良かったのに。

志水は最初からベロベロだった。

さやも思いを強烈にぶつけてから泣いてほしかった。

というか、こっちは泣くのが見たいんじゃなく、深みのある会話が見たい訳で、それをおざなりにして泣けば良いだろう、感動するだろう、という演出は浅い。

涙などおまけで良いのに。

なので、このシーンはくさい演劇という感じで冷めてしまった。

前半は ほぼあざとくない、後半は物足りない明墨

明墨が過去の回想シーンで、志水に対して優しく諭したり、声を張り上げたりして無理やり自白を強要するシーンなど、あざとくなくて良い。

こんなあくどい検察は本当にいただろうし、いそうと思わしてくれるムカつく演技で良い。

さやに真実を話すその語り口も普通で、気持ちが見えるので良い。

濃いところまでは来ないが、最低限このくらいの演じ方なら見ていられる。

明墨にしては、演じてる感が極めて薄く、なぜこんな感じで全編やってくれないんだろう。

しかし、上述した通り、緋山を説得するシーンは作った演技に戻っていたし、伊達原との対峙は大分物足りなかった。

伊達原が明墨の心を折るため、あえて花束を持って明墨の事務所に乗り込んできたが、明墨は押されっ放しだった。

例え心は押されていても、伊達原に対して丁寧に接し、握手をして、余裕で笑いながら強烈な嫌味を言い合うとかだったら深くて面白かった。

でもそんなドンと構えた演技はまたうわべになり、出来ないだろうから、真っ向から怒って追い返すとかでも良かった。

もらった花束を叩きつけ、帰れ、あんたが来て良い場所じゃない、とか分からないけど、ストレートに怒りを全面に出す、とかなら明墨にも出来るだろう。

回想シーンで志水に出来たんだから、きっと出来るはずだ。

しかしそのどちらでもなく、過去の上司を前に机に足を置くなどの子供じみた抵抗や、伊達原の嫌味に対しての弱い言い返しが見応えがなかった。

伊達原が、赤峰たちに対して、検察になったらどうだ、などと言ったが、彼らは渡しませんよ、と普通に言う程度では足りなすぎる。

純粋な彼らには検察は似合いませんよ、くらい、褒めてるのかけなしてるのか分からないような会話でやり合ってほしかった。

なぜ伊達原のかけてくる圧と同じ様な圧で押し返さないんだろう。

伊達原にこけにされた後、明墨が一人自分の部屋で花束を握りつぶすが、これもそのままだし、あざとい。

いじめられっ子が悔しがっているだけに見える。

ニコニコして伊達原に対処し、嫌味の応酬で伊達原を追い返し、その後一人で花束を握りつぶすなら面白かった。

それならあの強い明墨も悔しがるんだ、というギャップが出るが、この時もそうだが、そもそも普段から彼は強い振る舞いて演じられていない。

なぜ、前話で志水を説得するシーンの一部分のように、今話の回想シーンのように、もしくはさやに話しかけるときのように、最低限の感情がこもっている状態でいつもしゃべらないんだろう。

感情がこもるように持っていくのが役者の仕事だし、もしセリフ自体が弱くて乗らないなら、セリフごと変えてしまえば良い。

作っている側は、役者の力量不足か、セリフ自体があざといか、もしくは弱いのか、不明だけどとにかく役者にやらせて、奇跡の演技が出たらラッキー程度なのか?

これをオッケーとして放送している時点でかなり盲目的であることに間違いない。

でも日本ドラマっていつもこんな感じなので、今に始まったことではなく、特に驚くことではない。

ちなみに、ラストシーンは、明墨の部屋がめちゃめちゃにファイルなどが散らばっているシーンで終わるが、あんまりめちゃくちゃじゃなかった。

ただファイルを床に並べただけって感じで、本当に明墨が頭をかきむしって調べまくった感の散らばり方じゃない。

何より机の上には花束しか置かれていないのも意識的で気持ち悪い

本当にイライラして調べまくっていたら、机も使わないか?

うわべの演出で、演技と似ている。

全部に関してこんな感じの意識なんだろうなと思う。

明墨に関して、ここ2話は演技的に悪くない振る舞いが少しづつ出てきたが、良し悪しにムラがありすぎて良いと思いづらい。

というかまだ良い方が少なく、一体どういうつもりでこんなムラを作っているのか、演じている役者や制作陣に聞いてみたい。

結局、今まででよく出ていたうわべで格好つけたキャラクターと、最近の感情がまともに出ている部分の明墨とは性格が一致しない。

色んな役を演じられるね、ということではなく、前者はあざとく使い物にならない。

前者もまともに演じられていたら後者が出た時に深みが出て跳ね上がるのに、なんとももったいない。

意味不明の伊達原の怪演

終盤で、伊達原は志水のアリバイとなる映像を見た後にそれを消去し、そのハードディスクを奇声を発しながら粉々に踏み壊していたが、その様子がめちゃくちゃわざとらしく、不覚にも笑ってしまった。

やってることは悪徳だが、全く怖く見えず、人に見せることを意識したギャグのような声の出し方や顔の表情、体の動きで、目的が不明だった。

狂言のなせる技か?

ドラマチックな音楽もかかっていたので、本当はここで怖く見せたかったのかもしれないが、逆にコミカルになってしまっている。

その後に、それを見ていた緑川に、甘いものでも食べに行こうか、と言い、緑川も微笑む、という訳の分からないシーンだった。

本来であれば、狂気じみた伊達原の振る舞い、迫力に押され、緑川は伊達原に話しかけられても、引きつった顔のまま返事するなど、ずっと引いてなければいけない。

しかし、緑川も引きようがないくらいわざとらしく、怖くないので、緑川が微笑んだのは自然である。

こんな変なものを見せられて、怖がる方があざとくなるだろう。

これは完全にNGシーンじゃないか。

カットの声がかかり、スタッフが駆け寄っていき、「萬斎さん、そういう感じじゃないんですよ」って撮り直すべきシーンで、緊張感のかけらもない暴れっぷりだった。

このドラマ史上一番訳のわからないシーンだ。

確かに伊達原は存在感はあるけど、これは意図通りではないだろう。

怪演と呼んでいいのかすら分からない。

でも、笑いながらこんなことをするくらいだから、伊達原にはまだまだ余裕があるようにも見える。

今後伊達原が明墨に追い詰められ、本当に窮地に立たされたら、一体どんな暴れっぷりを見せるのか?

それでもまだこんな感じでわざとらしくなるのか、本当に怒った感じが出るのか?

どっちにしろ変なことになりそうな気がする。

明墨がなぜ改心したのかまだ不明

きっとこの先の話で判明するのかもしれないが、明墨がなぜ悪徳検察から改心したのか不明だった。

明墨は12年前に、志水をあんなに激しく、お前がやったんだろと高圧的な態度で尋問し、疲れてヘロヘロになった時に自分の言葉を繰り返させ、無理やり自白させるという非人道的な行為をしていた。

そんなひどい人間が改心するには相当な出来事がなければ無理だと思うが、死んだ桃瀬という人物が関わっているんだろう。

彼女が自分の死と引き換えに明墨の心を変えたのか?

これから語られるストーリーでは、なるほど、だから明墨は改心したんだ、と思わせて欲しい。

次の話では桃瀬も出るみたいだから、また明墨の回想ドラマが見られる。

どうかお涙ちょうだいにならないように、普通に描いてほしい。

ドラマ 「アンチヒーロー(第9話-約束-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-45分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、吹石一恵、麻生祐未、近藤華、緒形直人、野村萬斎、木村佳乃、他

第9話が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

ドラマチックな最終回前話

ついに明墨と桃瀬の過去、紫ノ宮の父親と伊達原の確執が描かれ、糸井一家殺人事件の新たな切り口も判明した。

さらに、スタッフの裏切りにより明墨が逮捕される、というドラマチックな展開で話は終わる。

次でもう最終回ということに少し驚いた。

結論から言うと非常につまらなかった回で、最終回につながる盛り上がり感を感じれないまま、話だけどんどん進んでいく感じだった。

中身のないドラマチックさというか、引き付けられる所はほとんどなかった。

明墨が改心した理由が不明

この話で序盤から桃瀬と明墨の過去が描かれたが、結局なぜあんなに冷徹な人間の明墨が改心したのかさっぱり分からなかった。

相変わらず12年前の明墨は、特に喫茶店で桃瀬と話す時の明墨は、自然でいい。

本当に堅物で、融通の利かない検察という感じがして、しゃべり方もあざとくなく、この俳優がこのドラマ内で演じてきた顔で、一番合っている役なんじゃないかと思う。

深くはなく、薄い悪役だが。

しかし、この明墨が改心したのが、同僚の桃瀬が死んだから、というだけでは中身がなさすぎる。

自分は勝手に恋人だと思っていたが、そうではなかった。

桃瀬は明墨の婚約者で、志水の件で明墨と喧嘩したりしていた、明墨は桃瀬の主張は間違っていると思い続けていて、桃瀬が最後の最後に死ぬ前にあのファイルを明墨に渡して死んでいき、明墨は自分の浅はかさに崩れ落ちた、とかなら分かる。

でもそんなのは全然なかった。

ただ信用できそうな明墨にファイルを渡しただけ、明墨との関係性も何も語られず、という急遽とってつけたような薄い設定で、感動には程遠い。

なぜ明墨にファイルを渡したのかも意味不明だ。

権力に屈さないから、と桃瀬は言っていたが、この時の明墨はまるで信用できる人間ではない。

たまたまヘロヘロになった時の志水の担当になった明墨が、無理やり自白を迫るようなこともせず、普通に尋問したら、疲れた志水が認めてしまった、とかでは全くない。

大声で怒鳴り、威嚇し、脅迫し、志水の話など一切聞かず、疲れた頃合いを見計らって自白させた最低の人間だ。

明墨が信頼できる誠実な人間である、という描写など皆無なのに、実は良い人間だと勝手に補完して下さいってことか?

それはドラマでも何でもない。

権力に屈さないどころか、権力の犬だった明墨にファイルを託すのは、桃瀬に人を見る目がなかったのか知らないが、あまりに怖すぎることだろう。

そのまま伊達原にチクられる可能性も大いにあり、もし自分だったら絶対に言わないと真っ先に決める人物だ。

ファイルを明墨に託すという意味不明さもさることながら、なぜ桃瀬が伊達原の不正に固執したのか、という描写も全くないので、桃瀬を応援しようもない。

桃瀬は正義感が強く、不正など許せない、という強い性格にも見えず、ただ伊達原の不正に気づいたから調べていた、という感じで、人物描写が弱すぎる。

桃瀬は曲がったことが嫌いで、同僚にも厳しかった、明墨ともたびたびケンカしていた、などの描写があるならまだ分かるが。

そしてファイルを一番渡してはいけない明墨に渡し、あんなひどい人間だった明墨がそれだけで改心してしまうという意味不明な奇跡。

あの明墨であれば、検察を疑っているのか、無駄なことはするな、などと桃瀬と激しく口論になるのが普通だが、そんな描写もない。

そんなケンカを何度も経て、明墨が改心に至ったとかでもない。

明墨がなぜ桃瀬に心を掴まれたか、どんな関係だったのか、という描写がバッサリない。

明墨が志水の事件にこだわるのは、大して親しくもない同僚が事件の捜査を自分に託して死んだから?

なるほど、だからか、なんて微塵も思わなかった。

せっかく12年前の明墨は冷たい人間をしっかり演じられているのに、それが変わっていく描写はゼロだった。

一番面白くなりうる明墨の過去がスカスカだった。

それなのに、明墨は桃瀬の手紙を読んでポロポロ泣く、というくさい演出はしっかり入っている。

視聴者を泣かせたいならちゃんと作ればいいのに、それをおろそかにしてどうやって泣くんだろう?

きっとこの雰囲気につられて、ドラマの中身はなくてもボロボロ泣いている人は結構いるんじゃないかと思うと怖い。

次が最終回ということは、もうこれ以上桃瀬との交流などか深く語られることはなさそうだ。

あったとしても遅すぎる。

この回で見せるべきものなんじゃないのか?

この回は捨て回か?

なので、これらのシーンがだいぶ薄かったので、序盤で非常に冷めてしまった。

なぜ明墨は重要な毒物の本を手に入れてなかったのか?

桃瀬の母親や志水から赤峰が事件に関する追加資料をもらい、毒はどうやらタリウムではないらしいと判明し、志水の冤罪に関して突破口らしき一筋の光が見えた。

しかし、志水のノートはともかく、なぜ明墨は12年もの間、桃瀬が調べていた毒物の資料を手に入れてないのか不明だった。

桃瀬の母親は明墨に良くしてもらっているみたいなことを言っていたし、病院で桃瀬が医者に毒物のことを聞いていた、というエピソードを、明墨は全く母親から聞いていなかったのか?

赤峰に話すくらいのことだから、明墨にも話しているだろうし、タリウムがこの事件に関係しているんだから、桃瀬が調べていた資料も貸りたいと普通思うんじゃないか?

母親が明墨に資料を渡すとき、当然桃瀬が死ぬ前に使っていた付箋だらけの毒物の資料も渡さない訳ないので、なぜこの重要と思われる資料が家にあったのか、不自然に思う。

明墨がもしこの資料を手に入れ、付箋がついた所を血眼になって探していたら、医者改ざん、と書かれたボツリヌス菌の項目を発見していただろう。

なので、明墨は少しザルだなと思ってしまった。

なぜこの本をもっと早く手に入れておかなかったんだ、と悔しがるそぶりもないので、よりそう思う。

床中に資料を広げたり、家に帰らないで調べている割には、そこは見落としている。

桃瀬の母親に、もっと資料ないですか?としつこく聞いていれば出してくれただろう。

それとも桃瀬の母親は伊達原とグルになっているのか?

じゃあ今になって渡す意味も分からない。

12年間で母親が改心して渡す気になったのか?

じゃあ事務所にこれらの資料を持ち帰った時、明墨は、なぜ今になってこんな資料が出てきた?と驚かなければ。

明墨はなんのリアクションもなく、普通だった。

明墨がこの資料を手に入れていた上で、物語の序盤から、この毒物の本を明墨がたびたび読んでいる、もしくはその本が大きく映り込む、という前フリをしておけば、志水のノートから見つけた違う毒の症状を聞いた時に、点が線になった感が出せたんじゃないか?

しかし、制作陣はこの回で怒涛のごとく志水の事件が動く感を出したかったのか知らないが、桃瀬の資料と志水のノートの取得を同時にしている。

でも、桃瀬の母親がその資料を渡さなかった理由がなさそうなので、そこはちゃんと作って欲しかった。

そうでなければ、明墨がザルで、母親も適当である、となってしまう。

最終回で明らかになるのか?

いずれにせよ、この回の話は不可解で不十分に感じた。

物足りない明墨の存在感

明墨は、前半部の回想シーン、瀬古元判事と話すシーンは、あざとくなく、感情が最低限入ったしゃべりなので悪くない。

しかし、後半からラストまでは存在感のないいつもの明墨だった。

赤峰と紫ノ宮から毒物の話しを聞いている時、頭に指をトントンとやりながら考える仕草は格好つけであざとかった。

すぐあざとくなるが、なぜあざとくないように普通にやらないんだろう。

最後警察が乗り込んできて逮捕されて連れて行かれるシーンも、存在感がない。

薄く笑っているようにも見えるが、中途半端で弱い。

全くなんとも思ってない普通の顔でも、心の底から余裕でこの状況を楽しんでいる肝の座った顔でも、わざと悔しがって警察を騙そうという顔でもない。

いつもの薄く弱い明墨。

せっかくのドラマチックな展開なのに、あまりドラマチックに感じなかった。

ナチュラルな紫ノ宮、とっぽさのある赤峰

紫ノ宮が、父になぜ証拠を隠蔽したのか迫るシーンは、紫ノ宮自体は感情豊かで、泣きながらもちゃんと強い気持ちをぶつけてるので、非常に良い。

でも紫ノ宮が良いだけで、父親の存在感は相変わらず薄く、ガツンとくるシーンではなかった。

二人での化学反応など起こらず、紫ノ宮が孤軍奮闘しているだけ。

横にいる明墨も相変わらずあざとく頼りにならない。

紫ノ宮は、志水のノートの情報を見て、ハッとして隠された事実に気づく感じも自然だし、明墨が連れて行かれて追いかけ、髪がボサボサになり、疲れた感じのなんともいえない表情も良い。

この役者は肝心な時に必要な感情がナチュラルに出ていて、先輩の事務員に接する時、赤嶺に釘を刺す時や敬語でしゃべる時、弁護士の昔の同期に接する時、父親に娘として接する時など、それぞれ違う顔だが全部ナチュラルに使い分けられていて深く、非常に演技に幅がある。

大体全部同じか、どれかが不自然な演技になるものだが、今のところそれはなく、日本人にしては珍しく良い役者だと思う。

明墨一つとっても非常に演じ方の良し悪しにムラがあり、自然と不自然がごちゃまぜになって人物像に統一感がないのに、この人にはそれがない。

出来て当たり前のことだが、日本人は出来ない人の方が多い印象だ。

紫ノ宮の役者は、きっと意識せずに勝手に体が動いているだけで、不自然になる、という機能が元々ないんだろうと思う。

一方赤峰は、紫ノ宮ほどのナチュラルさはなく、紫ノ宮が本能的にやっているのに比べて、考えて演じているように見える。

赤峰は、演技や存在感が散々良いと言い続けてきたが、少し物足りなくなってきた。

若手弁護士役としてはもう十分な役回りだし、ほぼあざとくなく、必要な人物ではある。

しかし、この役者の特性なのかもしれないが、怒りを出してない時は少し物足りない。

赤峰は感情をそこまで表に出さず、少し眉間にシワが寄った感じの、真剣な表情の時が多く、怒っている時は良いが、それ以外で黙っている時、ちゃんと話を聞いてるのか?と感じる時がチラホラある。

眉間にシワが寄った顔に誤魔化されてしまうが、この表情のまま、感情自体が流れていない感じがたまにある。

余計なことをしたらあざとくなるし、はみ出る可能性があるから、わざと動きを少なくしているのかもしれないが、それが物足りなさを感じさせる。

この役者はきっと、怒りを使うのは得意だが、それ以外の感情はそれほど得意でないのかもしれない。

紫ノ宮のように強い感情を出すシーン自体が最近ほぼないというのもあるが、もう少し怒りを出していったほうがしっくりくるんじゃないかと思う。

怒っている感情にぴったしの味のある顔をしているし。

赤峰があーっといきなり声を出すシーンは、少しあざとかった。

イライラして思わず声が出てしまった、という感じではなく、声を出そうとして出している感じだ。

明墨に赤峰と紫ノ宮が一緒に毒物が違う可能性を説明するシーンは、冒頭セリフっぽく、少し得意げな感じが鼻についた。

でもかわいい、若者らしいといえばそうなので、そこまで変ではない。

彼は頑張って演技しようとしている感じが見え、紫ノ宮ほど自然ではない。

それでも、若い新人弁護士役だし、あざといことは少なく、とっぽさも含めて味で、許容範囲だろうと思う。

明墨の様に見ていられない、ずっと薄い、というほど変になったことはないから、このまま頑張って欲しい。

どんでん返しも効果的でない

この話では、明墨の過去や伊達原の悪も描かれ、志水の事件に新展開があり、さらに明墨が裏切られ逮捕されるという劇的な展開が起きた。

しかし、上述した通り明墨と桃瀬の描き方が薄く、紫ノ宮の父とのシーンも、後半の明墨もイマイチで、中身のないお涙頂戴も合わさり、非常につまらない回だった。

白木が裏切るというどんでん返し的要素もあったが、それまでで引きつけられていないので、ああ、そうなんだ、という感じだった。

いつもの大げさなBGMも、途中でイレギュラーに流れたエンディング曲も、感動を煽ってきている感じがいつにも増してより冷めた。

クライマックスに向けて、くささが爆発していった感じだ。

ドラマに中身があればまた違っただろうが。

このドラマは頑張ってちゃんと作ろうとしている感じがあるが、それでもこの程度なのか、という寂しさもある。

次回は、捕まった明墨以外の、残されたスタッフ3人で主に闘うことになるのか?

明墨が拘置所から指示を出してスタッフを動かす、などがあれば話自体は面白くなり得る気もするが、最終話前がこんな感じなので、取り戻せる感じもしない。

次で終わらすには時間が足りない気がするが、終わるんだからしょうがない。

頑張って見届けよう。

ドラマ 「アンチヒーロー(第10話 最終回-正義-)」

プロデューサー-飯田和孝、大形美佑葵 2024年-1時間7分

脚本-山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

出演-長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、吹石一恵、山本未来、近藤華、緒形直人、野村萬斎、木村佳乃、他

第10話が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

冗長な最終回

ついにアンチヒーローが最終回を迎えた。

実はわざと逮捕された明墨は、いつものごとく明墨チームが裏で集めた証拠を突きつけ、緑川の援護もあり、法廷で伊達原の罪を晒し上げることに成功した。

ついに志水も釈放され、赤峰が刑務所にいる明墨に、あなたを無罪にして差し上げましょう、といつもの明墨のセリフを言い、明墨が気持ちの悪い笑い方をして終わった。

明墨の演技を除けば、前半の法廷劇の内容自体は悪くはなかったが、そこがピークで、それ以降は冗長で見るのがしんどかった。

伊達原が思い切り隠しカメラに映り、嘘をついていることが発覚してもう詰んだ感じになり、伊達原の反撃もなく、そこからは何となく予想がつく展開や後付けがダラダラと続く感じだった。

今回は、なんといっても明墨の薄さ、あざとさが爆発した回で、一話と同じくらいつまらない回だった。

ほぼずっとあざとい明墨

冒頭、刑務所にいる明墨に伊達原が会いに来て皮肉を言い合ったが、明墨の第一声の、何が言いたいんですか?というセリフは自然に怒っている感じがして良かった。

これから面白いやり取りが繰り広げられるのかと期待したが、次のセリフからはもういつもの薄いしゃべり方で、伊達原と全然闘えておらず、いきなり物足りなかった。

明墨の良かったセリフは冒頭のこの一言くらいで、後は全部いつもの格好つけ、うわべ、中身のない長台詞の大立ち回りなど、あざとさのオンパレードで見ていられなかった。

7話の一部で見られた、明墨の良い意味での強いセリフ回しなど皆無だ。

明墨の法定での立ち回りもずっとひどかった。

最初は、主役の明墨が法廷に立たされているのは異様な光景だったが、自分の弁明をしながら志水の冤罪を訴えていく様子などで、次第にわざと捕まったんだ、ということが説明がなくても分かってくる。

しかし、明墨は怒っているようにも、落ち込んでいる様にも見えない、どちらかというと落ち込んで元気がない風の中身のない怪しげな雰囲気なので、わざと捕まったんだ、と分かってきた時に大して跳ね上がらない。

怒ってイライラしている感じでも、焦っている感じでもいいが、伊達原にちゃんと追い詰められていく様を見せ、こっちを騙せていれば、明墨の狙いが分かった時はめちゃくちゃ面白くなったはずなのに。

敵の手のひらで転がされてるふりをしていただけで、実は敵を罠にはめていた、という展開は格好良くて面白いはずなのに、見事に失敗している。

きっと明墨には、怒ったふりも落ち込んだふりもあざとくなってしまって無理だろうから、どのみちうまくはいかなかっただろう。

伊達原に桃瀬のことを悪く言われ、自分はそうは思いません、と怒ったが、これもうわべの怒りで、あれなら言う必要はない。

言ったあとにすぐ元の顔に戻ってしまっていて、本当に怒っているようには全然見えない。

ちなみに、明墨が伊達原の名前を出した時のすぐ後ろのエキストラのおじさんの演技もあざとかった。

伊達原と言っただけでまだセリフを言い終わってないのに、えーっと驚いたふりをするのは早すぎるし、驚いた感じも軽い。

声が明墨のセリフにかぶってしまっていたし、撮り直せば良いと思うが、きっと伊達原って聞こえたら驚いて下さいって言われてたのかもしれない。

伊達原が明墨にしゃべりながら近づいていった時、明墨の後ろの警部員が立ち上がって静止しようとする感じもあざとかった。

伊達原が今にも明墨に殴りかからんとしてるならまだしも、全然そんな雰囲気じゃない。

伊達原が来たら立ち上がってください、と言われてたんだろう。

中身のない、言葉だけの指示。

風向きが変わって、今度は明墨側がビデオを提出し、明墨が法廷に立ち解説するシーンがあるが、これもあざとい。

伊達原への責め方は、本当に怒りでまくし立てていく感じなど微塵もなく、誰かに見せることを意識した作りものの薄いしゃべり方。

明墨は、伊達原をこてんぱんにしたいのか、自分が格好つけたいのか、どっちなんだ?

せめて、志水を自白に追いやった時のような、怖い感じをなぜ出さない?

それはそれで、薄い、ということになるけど、まだマシだろう。

せっかく悪を退治する一番の見せ場なのに、何も気持ち良くない。

淡々としゃべりながらも、怒りがにじんで迫力のある深い感じでもなんでもない。

明墨が伊達原の映像を流し、「よーーーーーーくご覧ください」と、なぜか必要以上に語尾を長く伸ばしていた言い方も上滑りしている

独特で意味のあるしゃべり方ではなくて、ただ無意味に語尾を伸ばしているだけだった。

これはあざとさの極みと言ってもいいくらい、彼の不自然さが凝縮されている。

彼は、自分にない深い人格を演じようとしているようだが、逆により薄くなってしまっていて、大きくまちがってしまっている。

終盤には、紫ノ宮の父親が法定で証言し、明墨が伊達原と最後の対決をするが、明墨の大演説がくさくて見ていられなかった。

明墨は伊達原に、娘さんと過ごした12年間どうでしたか?、同じことを娘さんにも言えますか?などのセリフはあざとくなく自然だったが、そこから少し長ゼリフになるともう聞いていられない。

立ち上がってからはもうダメだ。

言っていることは実にもっともで良いことを言っているが、途中から人の目を意識しだして聴衆に向けた演説になり、セリフを言っているだけの薄い演説が延々と続く。

法律とは一体何なのか、というセリフから始まるエンジンがかかった感じの早口の演説は特に聞いてられない。

もう一度言うけど、ジャスティスのアル・パチーノの表面的な真似か?

伊達原がやった通り、ブラボーと笑いながら拍手したくなる。

政治家の街頭演説よりも聞いてられない、耳に入ってこない。

怪しいセミナーの人のしゃべり方みたいだ。

伊達原に至近距離で、地獄へと引きずり下ろし〜共に地獄に落ちましょう、という伊達原への最後の一撃を与える一連のセリフは、薄くて迫力がなく、全く締まらなかった。

頑張って大きな声を出し、強い感じを出そうとしているんだろうが薄い。

本当に怒っている迫力もなく、言おう言おうとしている意識に縛られて、セリフの枠を超えてガツンとくるものがない。

まず、地獄へと引きずり下ろしー、という、セリフ自体が演説ゼリフでリアルじゃないし、語尾も伸ばしちゃっている。

芸人のハマカーンのセリフみたいだ。

目の前の人に言っているのに、「地獄に」じゃなく「地獄へと」なんて言うか?

そもそも地獄という言葉もありきたりすぎて恥ずかしい言葉だ。

でも、堺雅人なら全然不自然じゃなく言えそうだから、セリフ自体は悪くないのかも。

言えないなら言えるようにセリフを変えてもらうよう懇願しなかった役者が悪い、それを言わさない空気感を出した監督が悪い、誰も気づいてないなら現場丸ごとだ。

というか、明墨は優しい感じは自然な感情が出るけど、そもそも強く怒っている感じは見たことがない。

志水を昔問い詰めた冷徹な感じは、悪くないけど浅い怒りだし、志水を刑務所で強く説得したのは、怒りじゃない。

そもそも本当に怒れなければ、見ているものに伝わるはずないので、どのみちセリフを変えようが無理だったかもしれない。

人によって怒れるレベルには違いがあるので、役者全員に深い怒りを出せと言っても無理な話だろう。

普段から世間の理不尽に鬱屈が溜まっているような人間でもなければ。

存在感はあるが、あっけない伊達原

肝心の敵役の伊達原は、特にリアルではなく、怒っている感じも深い悪ではないが、存在感があって悪くない。

しかし、まだ余裕がある感じが残っているのが物足りなさはある。

もっと伊達原が汚い言葉などを、つばを吐きながら、目をひんむいて明墨に言い放つくらい、伊達原を追い詰めて欲しかった。

それこそ狂言関係者とか狂言のファンがドン引きするくらい、後先考えない狂い咲きを見たかった。

でも、そこまでは追い詰められていないのでしょうがない。

そもそも伊達原が思い切りビデオに証拠隠滅の様子を撮られている、というのが不用心すぎて、あまりにあっさりと優劣がついてしまった感じが物足りない。

実はビデオで撮られているかもしれないことを考えて、わざとあの事件の書類を抜いたふりをしたけど破棄しておらず、逆に明墨の心象を悪くするとか、分からないけど、もうひと展開いけなかったのか?

伊達原の方が上手だったが、さらにそれを明墨がまくるなどの展開があれば面白かった。

悪役として今まで尻尾を見せずに引っ張ってきた割には、最後は尻すぼみだった。

白木の裏切りに明確な理由が欲しい

白木がわざと明墨をはめた感じは、本当に気が変わった感じもして、善なのか悪なのか分からなくて良い。

ただ、より良い法律事務所に口利きしてもらえる、または伊達原からお金をもらえる、くらいでは、今まで明墨に自分の意志で従ってきた様に見える白木が裏切る動機が薄いので、そこはちゃんと作って欲しかった。

だから裏切ったのか、と思わせる明確な理由があれば、見ているものをよりだませて面白くなっただろう。

白木は妊婦でもうすぐ子供が生まれるから、もしくは、子供が出来たから危ない橋は渡りたくないから、など、分からないけど。

なぜ明墨を裏切ったのかを怪しまない伊達原も甘い。

それでも白木の裏切り自体は演技的にも悪くないが、明墨が上述した通り見ている者をだませていない変な演技なので、明墨の逮捕がわざとだとわかった時にドラマは跳ね上がらない。

緑川、明墨、桃瀬のつながりが薄い

緑川は伊達原に勝つためのキーパーソンで、やっぱり味方だったんだ、という嬉しさがあり、存在感自体は悪くないが、少し物足りなかった。

明墨の事務所で、緑川は今までの経緯を打ち明けるシーンがあるが、伊達原に志水の証拠ビデオを壊されたことに関して、ショックなんてもんじゃなかった、と言っていたが、軽く聞こえてしまった。

桃瀬の無念を晴らすため、伊達原を辞めさせるために12年かけて伊達原に近づいたにしては、どこかひょうひょうとしていて少し軽い感じがしてしまう。

伊達原に対する強い怒りもあまり感じない。

それでも、12年前も優しかった緑川が桃瀬のために闘う、というのは、冷たい人間だった明墨が桃瀬のために闘う理由よりは自然かもしれない。

相変わらず、なぜ明墨が改心したのかは全く描かれていないので、そこに関しては中身がない。

そして、桃瀬、明墨、緑川の関係性も全く描かれていないので、緑川が実は味方だった、という展開は唐突に感じてしまうのは否めない。

三人は同期で、酒を飲む仲だから?

取ってつけたような中身のない設定だ。

この三人がどういう思想を持ち、正義のために闘うと誓いあった、同じ釜の飯を食った仲だとか、ぶち抜きで1話丸々でもいいから描くべきだった。

なぜこの三人なんだ?

同期は他にもいるだろう。

あくどいことを考える、正義感のない同期もいる中、この三人が特別正義感が強く、馬が合い、仲が良かった、というドラマがあれば、それが振りになり面白かっただろう。

過去の明墨の振る舞いを見る限り、明墨はその仲間に入れなさそうな冷淡な人間だが、三人が仲が良かったのは同期だから?

うーん、中身がない。

その後、緑川が改心した瀬古と話をするが、なぜ緑川が涙ぐんだのかよく分からなかった。

実は瀬古は、緑川が伊達原をよく思ってないのを知っていたが、それを伊達原に言わなかったのは、緑川がうらやましかったからだと言ったが、意味不明だった。

うらやましかったら伊達原によりチクるんじゃないのか?

緑川が若い頃の自分に似ていて、緑川なら検察をよくしてくれるかもという期待があった、だから見てみたい気もした、くらいにして欲しかった。

そう言いたかったのかもしれないが、言葉足らずでよく分からなかった。

そして、緑川は瀬古に対し、あなたは世の女性達のために頑張った、改心しようとしてるあなたは強い人だと思います、みたいなことを言ったが、最終的に瀬古はそんな自分の功績に泥を塗る汚い行為をして検察を去ったのに、何を甘いこと言ってるんだ、と思った。

強くないから犯罪したわけで、明墨に全て告白するよう言われても拒んでいたし、伊達原が終わったと分かってから会見したんじゃないかとも思う。

瀬古も、それは昔の話、今の私にそれを誇る資格はないわ、とか緑川をいさめたらまだ格好良かったが、強く握手をするだけというのは、会話として物足りない。

本当に改心していたら、誤魔化すように帰るんじゃなく、私は汚れた、一線を越えてしまった、としっかり告白し、微笑んで緑川に、後を頼むわよ、と未来を託す感じなら良かった。

それなら緑川がまだ泣く意味はわかるが、そうではないのに、瀬古を見送る緑川は涙をこらえていた。

緑川、ここで涙ぐむ、って台本に書いてあるのか?

こういう中身のないお涙ちょうだいは本当にいらない。

イマイチな紫ノ宮親子の会話、明墨の名言授与、気持ち悪くて良い明墨

紫ノ宮の父と紫ノ宮の刑務所での面会シーンも変なくささがあった

父が紫ノ宮に、自分の弁護を降りろ、娘に守られる父親なんてカッコ悪いだろ?と言い、紫ノ宮は、わかったと涙ぐみながら言ったが、泣く意味が全然分からない。

そもそもこんな事になってる時点で十分格好悪いし、今の発言の方がよほど格好悪い。

今度は俺が守る番だ、的なことを言いたかったのか?

中身のないうわべの格好つけのセリフだ。

これも言葉足らずで分からない。

紫ノ宮は一体何が分かったんだ?

紫ノ宮、分かったと言いながら涙ぐむ、と台本に書いてあるのか?

むしろ紫ノ宮なら、もう十分格好悪いよ、くらいなことを言って、お互い笑い合う方がよほど爽やかで良かった。

こんなうわべのお涙ちょうだいシーンは萎えてしまう。

明墨が緋山とホテルで話しをしている時、明墨が緋山に、人を助けたからと言って罪は消えない、といさめ、生きて下さい、などと名言めいたことを言っていた。

しかし、そもそも明墨が無理やり志水を自白させたから志水は12年間苦しんでいたわけで、そこはどう思ってるんだ?と言いたい。

伊達原を葬ったのはその贖罪の一つではあるが、法廷の振る舞いしかり、ヒーローっぽい感じに振る舞っているのが鼻につく。

志水を自白させた自分にも何らかの罪を与えるよう、赤峰達に自分を告訴するよう計らっているとかだったら筋は通っているが、もうこれで終わった感が漂っているのがイラッとする。

明墨の振る舞いが重厚ではなく、語らずとも色々思わす説得力がないからしょうがないが、相変わらず薄いなぁと思ってしまう。

最後に、赤峰が明墨に、あなたを無罪にして差し上げましょうと言い、明墨は気持ち悪く笑う、そのやりとり自体はコミカルで良かった。

赤峰が法律についての見解を語る感じは自然で、長ゼリフも聞いていられる。

長ゼリフが聞いてられない明墨とは対照的だ。

あなたを無罪に〜というセリフも、あざとくなく彼なりに言えていて良い。

それを受けて明墨は気持ち悪く笑うのも良い。

あざといけど、気持ち悪さが強く出ていて味になっている。

強く怒る感じが出来ないなら、このくらい気持ち悪さ爆発でずっとやってくれたほうが、よっぽど面白くなっただろう。

ちなみに、このあと場面は法廷に変わり、明墨が、あなたは本当に人を殺したんですか?と言っているセリフでドラマは終わる。

明墨の気持ち悪い笑顔でバツンと終わっておけばまだ面白かったのに、最後にこのドラマのテーマ的なセリフをわざわざ言う感じがダサいしつまらない。

明墨はこの回で良いことをたくさん言っているが、本当に理不尽さに怒っている感情などが抜けた状態でそんなことをたくさん言われても、ほとんど聞いていないし、説教くさいだけだ。

言葉自体は良くても、本当の意味で伝わる所にはほど遠い。

なので、このドラマは社会への問題定義的なメッセージを含んでいても、本当に問題定義になっているかは大分怪しい。

あざとくなるのは役者、脚本家、監督、だれがわるいのか

このドラマは頑張って面白いものを作ろうしてる感じはあるので、そこは良いとしても、大分詰めの甘さを感じた。

というか、テレビドラマ自体そこまでたくさん見たことがないが、デフォルトがこんなものなのかもしれないが。
演技を除いたストーリー自体は、前半から中盤にかけては悪くなかったが、ラスト2話はストーリーも大分薄かった。

ざっくり言うと、ストーリーと演技、両方共良かったシーンは全体の1割くらいで、ストーリーは良いけど演技がいまいちなシーンが7割、両方とも良くない、というシーンが2割くらいという印象だ。

役者自体は良い役者もいるのに、全体としてちぐはぐだった。

全部が掛け合わせで相乗効果をなし、ギュッと凝縮した濃い塊として作品の体をなす、なんてほど遠い。

野球だとよく、投打噛み合わない、なんていうが、投打どころか、もっと複雑に色んなところが、それぞれごちゃごちゃにちぐはぐになっている。

ストーリーも演技も演出も、セリフの脚本自体も、音楽も、全部が噛み合わなければ、面白いなんて思えない。

それら多くの要素をひとまとめにするのが主役で、主役に圧倒的な存在感があれば、他の要素は自然と気にならなくなるものだが、そうはなっていない。

ラスト近くには話も薄いので、仮に主役が良くても、ちょっと物足りない、ということにはなっていただろう。

それでも、仮にケビン・スペイシーや堺雅人が主役なら、大分面白い側に振り切れたかもしれない。

主役は置いておいても、良い役者、存在感のある役者はところどころ顔をのぞかせてはいるのに、それが生かしきれていないのがもったいない。

このドラマを見て思ったことは、日本人は会話がいかに下手であるか、ということだ。

今その瞬間リアルに、本当に生で会話しているな、と感じた場面はかなり少ない。

ドラマは会話が命だろう。

それは、そもそもその役者が会話下手で表現が狭い、脚本家はリアルな会話を知らないからリアルなセリフを作れてない、のどっちか、もしくはどっちものダブルパンチもある。

だから、そのシーンがイマイチなのは、あざとさを回避できなかった役者だけでなく、脚本家にも責任はある。
役者なんだから、自然にセリフを言う仕事でしょ?と言われても、工夫しようがないリアルでないセリフには手の施しようがないだろう。

しかし、役者がおかしなセリフを受け入れてしまうのは、波風立てたくないからあえて言わないのではなく、そもそもそれに気づいてすらいないんじゃないか、とも思うから、どっちも擁護は出来ない。

紫ノ宮や赤峰は、決められたセリフ通りに言っているとしたら、かなり自分なりに工夫して言えている方で、ドラマに大分貢献していたと思う。

彼らがせっかく工夫して自然に言えたとしても、その相手役があざとければ、もうそのシーンは死んでしまう。

アル・パチーノがいくら感情を爆発させて迫力のある演技をしても、その相手役の明墨が薄い感じで、〜ですー、と、気の抜けた反応をしたら、もうそのシーンは終わりだ。

逆に薄っぺらい怒りで声だけ大きく怒鳴っても同じこと。

そんな共倒れのシーンがこのドラマにも多数存在している。

ほぼ明墨のことなんだけど。

彼は、軟膏のCMとか、ドラマのメイキングでしゃべっているときは、実に自然で爽やかで良いのに、力むとすぐ作り物になってしまう。

CMなんてあざとくても良いんだから、こういう本番でしっかりして欲しいが、あべこべだ。

このドラマでは、彼の良さがほとんど出てなかったが、そうさせている監督が全て悪い。多分。

志水の事件に関しては、まだ真犯人が捕まってないから、続編があるのかもしれない。

今のところ見たいとも見たくないとも思わない。

アンチヒーローの全体の印象

このドラマを見終えた全体の印象としては、つまらなかった。

上述した通り、明墨の過去など重要な設定がスカスカだし、ラストの話に向かっての中身のない感動劇などに非常に冷めた。

伊達原への責めもまだ甘い。

予想としては、ストーリーは面白いのに、主役の演技が物足りないなぁ、という風になると思っていたが、それを超えてきて、ストーリーも面白くなかった。

実際途中までストーリーは良かったのに、後半でまくってきた。

これが前半ならまだ印象は違っただろうが、これが終盤だからマイナスで終わった印象になってしまった。

最終回って重要なんだなと思わされた。

おかしな点があっても取り返しがつかないので、そういう意味では初回よりも重要だ。

彼らは初めてドラマを作ったんじゃないだろう?

プロ集団が作ってこんな穴だらけなのか?

もし大学生が作ったんだとしたら、すごいと思う。

いや、すごいというのは褒めすぎで、だからか、と留飲も下がる。

しかしプロが作ったと言われると、これで?と思ってしまう。

まあでも、やりたいことは分かるし、面白くしようと頑張ったのは分かる。

このドラマのストーリーの良い部分だけパクられて、より面白いドラマを海外で作られないことを願う。

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