映画「機動警察パトレイバー 2 the Movie(1993)」が“つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1

機動警察パトレイバー 2 the Movie

監督-押井守 1993年 113分

脚本-伊藤和典

出演(声)-大林隆之介、榊原良子、冨永みーな、他

“つまらない☆1”理由と考察、その感想

退屈な長台詞が多い

パトレイバー1が良かったので期待していたが、なんとも退屈な作品だった。

難解なストーリーで、決して嫌いではないが、ほとんど長台詞で展開されるので、非常に疲れる。

会話劇でもなく、頭でっかちな難解さに感じられ、事態は緊張しているものの、緊迫感がほとんど感じられない。

日本の憲法の不都合さを描きたいのだと思うが、メッセージ性も感じられなければ、エンターテイメントに消化できている訳でもない。

パトレイバーだからといって必ずしも爽快なものに仕上げる必要はないとは思うが、個性的な主要登場人物達の心理が交錯したり、思いが重なるような団結感もなく、人という部分が抜けていて、もやもやが残る。

こういう見せ方であれば、パトレイバーである必要があまり感じられないと思った。

むしろ、テレビシリーズはこういうストーリーが多いのだろうか?

犯人の人格に筋が通っていない

最後に犯人が南雲隊長に逮捕されるシーンで、犯人は抵抗せずに南雲と静かに言葉を交わす。

犯人は微笑んですらいたが、だからといって深みを感じられなかった。

南雲のことを誰よりも知っていたから、いずれ捕まることを覚悟していたんだと思うが、その微笑みが、達観した笑みではなく、自分に悦に入っている笑みのように見える。

優しい人が鬼と化すほどの体験をしたということだろうが、そこは最後まで鬼であって欲しかった。

それ以前に犯人がどんな人間か分からないので、犯人の行動に正義を感じられず、犯人を一概に悪いとも言い切れないような複雑な感情も混み上がってこない。

犯人と南雲の関係や、犯人が体験した事件の悲惨さなど、そこら辺をもう少し掘り下げても良かったのではと思う。

南雲に捕まると分かっている上で、それでも事件を起こすに至る経緯の描きが足りない。

本当に現行法に一石を投じられるくらいの事件かというとそこまでのインパクトはなく、ちょっとざわざらしたぐらいのものだろう。

南雲が優秀すぎて途中で止められたのかもしれないが、そうであれば最後まで抵抗せねばいけない。

無駄な抵抗をしないことで、自分の命を捨ててでも伝えたいことがあったんだとは思えない。

最初から南雲に捕まることを前提とした上で、この程度の事件しか想定していなかったのだとしたら、それは南雲に対する甘えであり、ゆるいラブストーリーになってしまう。
 
おもちゃは手に入らないと分かっている上で、お母さんの前で一応だだをこねている子供のような。

だだをこねるなら、お母さんが震え上がるくらいに本気でこねねば。

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