ドラマ「VIVANT(2023)」が“つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1
  1. VIVANT   ヴィヴァン
  2. 「VIVANT」のあらすじ
  3. ドラマ「VIVANT(第一話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
    1. 期待したことに気付かされた
    2. 全体的に安っぽく感じた
    3. 主役の致命的な魅力のない演技
    4. すぐに仲間になる柚木の違和感
    5. 胡散臭い野崎をなぜすぐ受け入れたのか?チームじゃない3人
    6. 締まらないラスト、気にならない謎
  4. 追記:「VIVANT(第4話)」が“物足りない☆2”理由と考察、その感想
    1. 乃木は必殺仕事人だった
    2. いらない二重人格の設定
    3. 堺の演技は見たいが、作品として面白くなるのか?
  5. 「VIVANT(第5話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
    1. このドラマは悪い方向に向かっている
    2. 空回りしている堺雅人の良い演技
    3. 悪の描き方が足りなすぎる
    4. 乃木の過去を暴きすぎ
  6. 「VIVANT(第6話)」が“物足りない☆2”理由と考察、その感想
    1. 演技的にまだマシな回、浅い二重人格
    2. はまっている二番手の野崎
    3. 柚木の良かったシーン
    4. 6話の見せ場、物足りない突入劇
    5. 泥臭い別班の集合シーン
  7. 「VIVANT(第7話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
    1. 面白くなる前になぜ壊すんだろう
    2. 浮いている乃木と柚木の恋愛シーン
    3. 野崎がなぜ存在感が薄いのか
    4. 別班は本当に優秀か?
    5. 乃木が暴走したスッキリしないラスト
  8. 「VIVANT(第8話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
    1. まさかの潜入捜査開始
    2. 全然厳しくないテント
    3. 乃木と黒須の熱くないうわべの闘い
    4. 炸裂する十八番の理詰め攻撃
    5. 1話1話ちゃんと見せれていない
  9. 「VIVANT(第9話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
    1. 堺の十八番の半沢的シーン
    2. 冗長なベキの回想ドラマ
    3. 消えゆく大悪
    4. 緊迫感のない乃木への尋問シーン
  10. 「VIVANT(第10話-最終話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想
    1. 息子には甘かったベキ
    2. 冷める演技の応酬
    3. 回収された謎、回収されない謎
    4. 物足りない最終親子対決
    5. ビヴァンを見終えて
    6. 日本ドラマの現状

VIVANT   ヴィヴァン

プロデューサー-飯田和孝、大杉美佑葵、橋爪佳織 原作・演出-福澤克雄・宮崎陽平・加藤亜希子

脚本-八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈 2023年 第一話-108分(CM込み) 21:00 – 22:48

出演-堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、Tsaschikher Khatanzorig、Nandin-Erdene Khongorzul、Barslkhagva Batbold、他

「VIVANT」のあらすじ

バルカ共和国で事業を進めようとしていた丸菱商事は、現地の会社GFL社に誤って契約時の10倍の金額、1億ドルを振り込んでしまう。

社内で調べても原因不明で、GFL社とも連絡が付かない中、急遽開発事業部の乃木が現地に直接乗り込み、9000万ドルの回収に向かった。

バルカ共和国のGFL社の社長は、「もう下請けに送信してしまった、10社以上あるから私から頼む」とはぐらかしていたが、期限が迫る乃木は友人のCIA捜査官に金の動きの調査を依頼した所、全てダイヤモンドに変えられて、ザイールというテロリストの手に渡ってしまったことが判明した。

ザイールがいる建設会社に向かう道中、乃木はタクシー運転手に騙され、砂漠をさまようことになるが、通りかかった心優しいバルカ人親子、アディエルとジャミーンに助けられる。

回復した乃木は、現地の警察と共に、遂にザイールとの対面を果たすが、「お前がヴィヴァンか?」という謎の言葉を乃木にかけた後、ザイールは体に巻いた爆弾で自爆をはかる。

間一髪のところで、突如現れた公安警察の野崎が乃木を外に連れ出し避難するが、2人とも爆発に巻き込まれてしまう。

乃木の様子を心配して様子を見に来ていたアディエルとジャミーンも、その餌食になってしまう。

乃木たちは現地の病院に運ばれるが、そこでは、ジャミーンの主治医で、砂漠で倒れた乃木を治療した日本人医師、柚木が爆発でけがを負った人達の治療に追われていたのだった。

ドラマ「VIVANT(第一話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

期待したことに気付かされた

久々に堺雅人が主演で、モンゴルロケで3ヶ月かけて、ストーリーは謎に包まれて、堺雅人と阿部寛が番宣に出まくり、堺が「すごいですよ」と言っていたので見てみた。

すごかった。

予想を遥かに下回る。

というか、自分は少しは期待していたんだなあ気付かされた。

ざっくり言うと、B級のハリウッド映画を見ているようだった、いやそれを下回る。

お金をかけてもこれか、と天を見上げるような気持ちになった。

なぜそう感じたのか、書いていきたい。

全体的に安っぽく感じた

まず、冒頭の砂漠のシーンからもうちゃっちい。

安っぽい音楽にありきたりの空撮シーンで嫌な予感がする。

そして大げさでナチュラルでない堺の演技。

日本の会社のシーンももうすでに、役者陣の演技があざとい。

半沢直樹のときもそうだったけど、半沢直樹の場合は堺に圧倒的な存在感があるので、周りがあざとくてもかき消されるというか、大して気にならなかったが、今回はそうではない。

でも、日本のドラマってこんなもんだよね。

一部のいぶし銀的役者を除いて、みんなセリフを言っているだけ。

バルカという国の取引先の、片言の日本語をしゃべる会社の社長は酷かった。

すごくすごく大根、素人丸出しで、まるで芸人がやるコントの胡散臭い外国人の様。

いや、それよりも酷いかも。

なぜこんな人がこんな看板的ドラマに出れるのか、不思議だ。
というか、監督が悪いんだけど。

そんな演技も含めた演出が全体的に素人感が満載である。

こんなにお金と時間をかけても、こんなにこじんまりしてしまうんだから、逆にすごい。

モンゴルでしか感じられないような、リアルな現地の空気感、というのもほとんどない。

現地の俳優や、役者陣は存在感があり、味があって悪くない。

スラム街のホームレスのおじさんなんか、非常に味のある良い顔をしている。

遊牧民の父と娘も自然で、味があり良かった。

日本人は、せめてあの父くらいの演技をデフォルトでして欲しい。

音楽は、相変わらずのどこかで聞いたようなありきたりでちゃっちい音楽が所々流れる。

これなら、無音で良い。

外国のドラマや映画の真似をしてるんだろうが、真似するならもっとちゃんと音楽を作ればいいのに。

千住明が担当なのか?誰がやってるにしろ考えた方が良い。

気持ちが入ってない、耳に残らない音楽ばかり。

カメラワークは、ダメな意味で置きに行った緊迫感を感じさせない撮り方ばかり。

緊迫感がある所で無駄にワンショットのラリーが多かったりして間延びさせたりする。

演技はもちろん、ストーリーも突飛で中身がなく、つまらない。

どの点においても全部、ほぼ全部中途半端。

特に一番何とかなる可能性があったのは堺雅人の演技である。

主役の彼に強烈に惹きつけられるパワーがあれば、他がグズグズでも見れるものに底上げしてしまうが、残念ながらそうはなっていない。

主役の致命的な魅力のない演技

堺雅人が云々というよりも、全部監督が悪いので、堺に責任はないかもしれない。

しかし、彼もまたそれを受け入れてしまっているので、自分の良さを分かっていないんだろう。

ヴィヴァンにおける堺の演技で何が引っかかるのか、それは常にあざといということだ。
驚いているような顔なんてその頂点で、ずっと似合わない誰かを演じているような感じだ。

弱々しい頼りない青年を演じているが、わざとそうしているようにしか見えず嘘くさく、感情移入して好きにはなれない。

なぜ、半沢直樹的な強者の堺の演技で行かなかったのか?

そうであれば、セリフはがらりと変わってしまうだろうが、見応えがあるものになり得た。

堺の演技の良さは、間違いなく、強い狂人である。

リーガルハイだって、半沢直樹だってそう。

キレた強い狂人が、正義に立ち向かう役で、彼の右に出る役者は今のところ日本にはいない。

半沢は普通のサラリーマンという設定だが、決して普通ではない、あんなサラリーマンはいない。

弱弱しいこの手の演技を自分の十八番みたいに彼はしているが、今までガツンと来たことなど一度もない。

ゴールデンスランバーの堺もこのヴィヴァンの堺と同じような演技だが、何も良くなかった。

堺は、演技をしてない普通の時はニコニコした少しへらへらした感じの平和的な人だが、本当の素は、半沢直樹的な強い人間なんだと思う。

不誠実や不正義に対し敏感で、それに対して強い怒りを燃やせて、その怒りをコントロールして相手にぶつけることができる、珍しい人間。

だからこそ、半沢直樹の堺はまさにはまり役だった。

それなのに、その強い素を隠しておどおどした青年を演じるなど至難の業で、嘘くさくなるのは必然だ。

だって、心の中は全然おどおどしていない。

目の前で爆発があろうが、銃を突きつけられようが、強い堺は何も驚かないだろう。

例えるなら、三船敏郎とか、勝新太郎におどおどした青年を演じさせても、それは嘘くさくなる。

そういった存在感を主体にしている役者ではなく、デニーロのような演技派であれば、自分と真逆の役を演じられるかもしれないが、堺は出来ていない。

というか、そんな至難の技を出来るのはデニーロくらいかもしれない。

それが役者の醍醐味である、ということだが、日本のほとんどの役者はそんなことにチャレンジしてもいないし、出来ない。

だから、似たような役ばかりやる。

西島なんかは色んな役をやっているが、全部同じ演技、中身は同じなので、そういうことではない。

でも、存在感がある役が一つでもあれば、それは十分とも言える。

一個もないまま終わっていく役者がほとんどだから。

堺であれば、半沢的な強人の役が一つあるだけで、一生食っていけるし、観ているこっちも楽しめる。

だから、堺はずっとその強人の演技で行くべきだ。

というか、それ以外は見ていられない。

何を勘違いして出来ない役をやっているのか?

半沢に出ていた大和田常務を演じた中車もまた、日本沈没で変な博士をやっていたが、全く見るに値しなかった。

大和田の濃いクオリティーに比べたら、何も出来ていないに近い。

そういう意味で、堺もまた、彼を取り巻く制作陣もまた、そこらへんをよく分からず、暗闇の中でドラマや映画を作っているんだな、訳も分からずお金をかけて、と思うとやるせなくもなる。

何はともあれ、このヴィヴァンの弱々しい堺の演技に魅力はない。

脇を固める阿部には期待できないんだから、主役の堺がこれでは、もう見ていられない。

乃木にはCIAの友達がいる、その友達も平気で情報を漏らす、というのが全然スッと入ってこなかった。

追い詰められて、苦悩し、憔悴して、ダメもとで電話するならまだ分かるが、そんな感じでもなく、もう一人の自分と話し合ったくらいで、CIAに助けを求めるって、軽すぎないか?

頼るの早いし、苦悩して葛藤する演技の描写もないので、すごく変な展開だ。

乃木の話口調から、本当に困っているんだ、という状況を友人も察して、しぶしぶ教えるならまだ分かる。

そんな感じもなく、「ちょうどその地域を調べてたから」ってだけで他国のスパイ情報をただのサラリーマンに軽く教えるって、その友人もおかしな奴だし、不自然すぎる。

ここで、何だこの話、と思ってしまった。

せめて、強い半沢的な感じの乃木だったら、そこまでおかしくもなかったかもしれないが。

もしかしたら二重人格で今後強い乃木が出て来るのか?

それまで待てない。

登場人物を誰も好きになれない、闘いがない

すぐに仲間になる柚木の違和感

主役がこけているのは上記の通りだが、脇を固める役者も魅力を感じれず、心を持っていかれなかった。

女性医師の柚木は良い、それなりで邪魔にはならないが、ガツンと来るものは大してなかった。

堂々と医師としての振る舞いをしているようにも見えるが、怒る感じが少しヒステリックだったり、それは若いから仕方ないか、遊牧民の親子の父アディエルが死んでしまったことに対して、あっけなく乃木と野崎に対しての疑いを捨ててしまったり、物足りない。

アディエルが死んだことを、もっと強く怒っている感じが欲しかった。

乃木はまだしも、野崎なんて正義かどうか分からないんだから、手帳を見せられようが、ずっと疑っていて、時折怒りをぶつける方が良かった。

だんだん二人と接しているうちに、きっとこの人達はテロリストじゃないんだ、と行動を見て思い直していく、という方が深くて良い。

そういうのもなく、途中から三人で一緒に仲良く協力してしまっているので、存在感がすごく薄かった。

最終的に大使館に突っ込んで命拾いし、野崎が満足げに笑っているところを、柚木は思い切り殴っても良かった。

「こんなにちゃんと私たちを守れるなら、日本人だけじゃなくてバルカの人も助けてよ!あんたがあのテロリストを捕まえてたらアディエルは死ななくてすんだのに!」とか言って。

そういう描写があったら、溜飲が下がった気がするが、そうはなっていない。

胡散臭い野崎をなぜすぐ受け入れたのか?チームじゃない3人

阿部寛が演じる野崎は、もうずっとうさんくさい。

阿部寛も堺と似ている問題で、このタイプの阿部寛の演じ方で良かったことはない。

偉そうで、高圧的で、全然正義に見えないけど、実は良い人だった、という人格を自分の俳優人生の代名詞のように目指しているんだろうけど、そのままの薄い人間に見える。

はっきりどんな人間か分からず、威圧的な感じだけ印象に残るので、すごく薄い。

身長も高い、顔も格好良い、良い声、だけど、演技の中身はない、印象に残らない。

阿部寛は、トリックのとぼけた役が一番合っていると思う。

ドラゴン桜の破天荒な教師役はギリギリ合っているんじゃないか、とは思うけど。

このビヴァンの野崎も全くあっていない。

もっと嫌な人間になりきるか、真面目な普通の警官を演じるかのどっちかに振り切れた方が良いと思う。

というか、どっちかというと阿部の素は真面目な方なんだろうから、そっちで素直に行った方がよほど魅力的な役になると思う。

もしくは、めちゃくちゃ寡黙で大木のようにしゃべらない刑事、とかでも良いんじゃないかと思う。

なぜ、彼がこういう高圧的な演じ方にこだわっているのか分からない。

そんな野崎に、怒りを感じて喧嘩すらしない乃木と柚木のこの三人組は、もう成立していない。

闘いがないから、野崎の言うままにみんなで動くだけ、重要な会話などない。

この三人は上手くいくのか、大丈夫か?とハラハラもしない。

ハリウッド映画を真似したいなら、そういう衝突も真似して入れてみたらどうだ?

無理に喧嘩させるんじゃなく、きっとこういう状況になれば、この三人はきっと自然と喧嘩する。

というか、もし誰しもあの場にいたら、野崎は大して信用できないと思うはずだが。

すぐ信じちゃってる二人も良く分からない。

野崎が車の下に潜り込み、穴が開いた車のタンクを修理して、柚木が「そんな修理も出来るんですね」と褒め、野崎もまんざらでもない感じで受けるこの会話は何だ、と思った。

ただ、穴に何かを詰めてふさぎ、ガムテープで巻いただけの修理で、わざわざ車の下に潜り込まなくても出来るし、誰でも出来る様な簡単な修理。

それを車の下に野崎をわざわざ潜り込ませて、さもすごい修理をしたかのように見せる演出も浅いし、それに対して褒め、褒められて満足するという意味のないセリフのラリー。

なぜこんな状況で柚木が野崎をヨイショするのかも分からないし、まだ死ぬかもしれないこの状況でするには軽すぎる、明確な意図がない不要な会話。

素人が書いている不自然な会話の脚本だと思う。

車で何とか逃げ切り、水浴びをしながら休憩している時、ひと時の休息のようなさわやかな描写があった。

ここで、三人でまるで旅行をしているかのよう楽しげな雰囲気で、違和感を感じた。

何かが抜けている。

それは、なぜ、この状況で軽く楽しい感じが出てしまうのか、という違和感。

こっちは、まだ何がどうなるかよく理解できていないのに、なにを「困難な時にもこんな楽しい瞬間がありますよ」的な描写を入れているんだ、と思った。

確かに、映画でよくあるけど、ちょっと違うぞと思う。

訳も分からず逃げている最中で、三人でチームにもなっていない状況でこんな描写を入れられても、効いてこない。

こういう、中身のない描写の連続が、観ている者を全く惹きつけない。

この三人は、ただ三人で行動しているだけで、お互いわだかまりが解けたり、見直したり、尊敬したり、そんな描写もない。

ただ三人で行動しているだけ、野崎が引っ張っているだけ。

さすがですね、野崎さん、みたいな感じ。

つまらないチーム、ドキュメントの方がもっと面白くなる。

ドキュメントより面白くなくてはいけないのに。

日本人だから従順なのか?

だから、誰にも感情移入できず、誰を応援することも好きになることもできず、話はどんどん進んでいくから、面白いなんて何も感じれない。

モンゴルの青々とした草原を、馬で走るシーンは非常に美しくて良かった。

それは、演者がというよりもその自然が。

あと、最後に出てきた役所広司は、モンゴル人よりもモンゴル人っぽい顔で、非常に味がある仕上がりになっていると思った。

締まらないラスト、気にならない謎

最終的に、装甲板を張った車で大使館に突入するが、これこそハリウッドの劣化した物まね、ガントレットの劣化版か。

真似が悪いわけではない、とくに斬新でもなくよくある展開、アクションが大して派手でもなく、独特のアクションや人物描写がある訳ではない、ただハリウッドのうわべをなぞったような展開。

そんなハリウッド作品を見たことのない世代が、観て面白いと思うのかね?

確かに他の日本のドラマに比べたら結構派手な方かもしれないけど、だからなんだ?

上述した通り、不自然な急展開、リアルでない演出や脚本、それをカバーする訳でもない主要キャストの演技、主役の演技によって、ここまでの時点でハラハラさせられていない。

だから、車で大使館に突っ込むと言われても、ふーんという感じ。

案の定、想像の域を出ない大団円だった。

というか、犠牲になった人たちを思う描写とかはないのか?

自分達が助かったからOKか?

アディエルの娘、ジャミーンを思って、とかそんなのもなしか。

うーん、浅い。

これが話題って、どうかしている。

最後の二宮が余計だのなんだの言っている人がいるらしいがどうでもいい。

そんな次元の話しじゃない。

それまでが酷い。

ヴィヴァンという意味が何なのか?ということで引っ張っているが、それだって特になんだって良い。

この今の気持ちをひっくり返すくらいの謎である訳がない、というか、そんなものはない。

だってこれがずっと続くわけでしょ?

堺のあざとい演技はいつまで続くんだ?

この先、強い人格の乃木が出て来るならそれは見たいが、来週もまだ変わらなそうだし、それまで見続ける気力がない。

だから、観なくて良いだろう。

観る番組が一つ減ったから良しとしよう。

追記:「VIVANT(第4話)」が“物足りない☆2”理由と考察、その感想

乃木は必殺仕事人だった

強い演技の堺雅人が「これが最後のチャンスだ!」とCMで言っていたので、2話3話を飛ばして第4話を見てしまった。

謎が気になるとかではなく、堺雅人の演技の誘惑に負けた。

相変わらず、頑張ってお金かけてはいるけど、役者はほとんどこじんまりした演技ばっかりで、乃木が覚醒するまでは見るのがキツイ。

阿部寛もイマイチだし、というかいつも通り無駄に偉そうでタメ口が板についてない、素直に誠実な刑事の方がまだ魅力的なのに、濱田岳も松坂桃李もセリフ言ってるだけで存在感はない。

というか、松坂桃李ってあんなに何も感じさせない好青年だったっけか?

音楽もダサい。

捜査の超機密情報を普通の喫茶店で他の客がいるのに普通の声のボリュームで喋っている、リアルとかけ離れた描写。

乃木が尋問していた悪役の山本の演技も薄い、殺しがいがない。

半沢直樹が奇跡的に面白かった、というのが今回で判明した、観て良かった。

最後の20分くらいからやっと強い堺が出てきて、堺演じる乃木が別班(ビヴァン)であることが判明する。

なるほど、乃木は必殺仕事人だったんだ、弱いフリして悪をぶった切る。

厳密に言うと、二重人格なので仕事人ではないが。

だから、一話でCIAの友人が情報を教えてくれたんだ。

じゃあなおさら、あのCIAの友人に機密情報を教えてもらう不自然な描写はいらなかったんじゃないか?

CIAの友人に教えてもらったって野崎に普通に言っちゃってたし。

自分が別班だとバレる可能性のある行動を、乃木ほどの人間がするのは不自然だろう。

電話する描写はバッサリなくして、現地に顔が利く大学時代の友人が調べてくれたんだ、くらいにぼかしておいて、後々あれはCIAだったと、乃木が別班と判明してから、野崎が突き止めてばらしたとかのほうが面白かった。

なるほど、一話で負った傷はまだ癒えてないが、このドラマがやろうとしていることはわかった。

これから強い乃木が出てきて、悪いやつを片っ端から成敗していくのか。

これは面白そう、なのか?

実際、まだあまり面白くなっていない。

4話の悪役の山本も、大した悪ではないし展開が急なので、スカッとはまだしていない。

これだけ引っ張ってまだ、散々放送前に情報を隠して、金かけてまだ。

こんな冗長な展開なら、半沢直樹のように、次から次へと悪いやつが出てきてギャフンといわしていく気持ち良さなんてなさそう。

中車ももう表には出てこれないし、乃木に対抗できるほどの大和田級の悪役なんて日本にはもういないだろう。

この第4話は最後の20分で強い乃木が出てきたが、この20分で長尺の1話よりは面白かった。

というか、この堺しか惹きつけられるものはない、というだけだが。

それもこれも阿部が演じる野崎が主導権を握れていないからで、いつあの強い堺が出て来るのか、しか気にならない。

全部監督が悪い。

いらない二重人格の設定

もし、乃木が強大な悪をバッタバッタと倒していくなら面白いが、二重人格というのが邪魔な設定だと思った。

弱々しいやつから全く別人の強いやつが出てくるってただのジキルとハイドで、そんな仕事人は応援しづらいし、面白くない。

二重人格にしてしまったら、実は強かった、と露呈した時に感動もないし、弱かったことがフリにならない。

なので二重人格という設定はバッサリいらない。

わざと弱い人間をナチュラルに演じていた人が、実はめちゃくちゃ強い、爪を隠していた、という方が面白いに決まっている。

それに、それをやりたいなら、強いのも弱いのもどっちもナチュラルでなければいけない。

堺の場合、強い人格は本当に強い人格になっているが、弱い人格は上述した通りあざとく、嘘くさい。

ユージュアル・サスペクツで、カイザー・ソゼを演じるケヴィン・スペイシーは、弱々しい演技も本当に弱い人間に見えるし、最後の強い人格は強く見える(ちょっとしか出ないが)。

どちらもあざとくなくナチュラルで、本当に演じられているから爆発的に面白くなるのに、堺は強い演技しか出来ない。

出来ないから、制作側は二重人格にせざるを得なかったとも考えづらい、ただ単に、そこまで考えてない、気付いていない。

出来ないんだから、わざと弱々しいふにゃふにゃのやつを演じよう演じようなんてせずに、別に強くない普通の乃木を演じればいいだけなのに。

一見強い乃木とあんまり雰囲気は変わんないけど、いざという時に助けてくれない、怒って欲しい所で怒らない、理不尽な事をされても言い返さない、不必要な所でキレる、程度で良い。

そういう行動が重なれば、自然と周りは、「この人頼りにならないな」となる。

強い人格はもちろん出さず、そういう行動をさせていくだけで、十分周りになめられる。

1話の様に、わざわざ腰を抜かしてとってもびっくりした顔をしたり、砂漠でヘロヘロになっている姿を見せようとする必要なんて全くなく、強い人格を抑えた普通の乃木でいけたのに。

4話でも、驚いた顔とか、弱い笑い方とかやっている、平社員キャラの乃木だった。

一見頼りがいがある、深い雰囲気があるけど、なんか抜けてて頼りないな、という人はいる訳で、そういう演技なら堺もあざとくなく出来るだろう。

そんなどこか頼りないナチュラルな乃木だったら、4話まで頑張って見れたかもしれない。

それは良い意味でもコミカルにもなるので、観ていられる。

ちなみに阿部寛の場合はその逆で、強い演技が全然できていない。

そんな堺や阿部の演技もあり、今の所主要メンバーで、4話まで魅力的な人間はいなかった。

しかし、4話の最後の20分で出てきた強い乃木の演技は非常に良い。

やっぱりこれだろう、みんなが望んでいたものは。

まだ面白くなる手前だけど、これがうまい具合に強い悪と噛みあえば、期待できる。

というか、逆にこの4話の最後の20分までは、1話と同じくほぼ見る価値はない。

本当は、一番の理想は、この堺の演技に頼らず、堺がいなくてもすごく面白い、堺の存在を忘れてた、というくらい、堺以外のキャストの演技や会話劇、ドラマがめちゃくちゃ面白くて、この4話の強い乃木の登場でプラスアルファで最高潮に達する、ということだっただろうが、全くそうではない。

大谷が大活躍しなきゃ7連敗するエンゼルスみたいなもんで、大谷を見てるのは楽しいけど、チームとしては全然だ。

だから、半沢直樹がなぜ面白かったのか、など、このヴィヴァンの制作陣はあまり分かってないのかもしれない、せっかく良い教材があったのに。

堺の演技は見たいが、作品として面白くなるのか?

懸念点は、こねくり回したストーリーと設定、悪役不足で、強い乃木の正義が空回りせずにちゃんと炸裂していくのかどうかだ。

強い堺雅人の演技は、他が面白くなくても見るのは楽しい、だけどそれがストーリーや他のキャストと化学反応を起こして、この作品全体が良いものになるかは別問題だ。

半沢直樹は相乗効果があったが、この作品は堺が良いだけ、になってしまわないことを望む。

半沢直樹と全く同じものが見たい訳では全くない、むしろ半沢を昇華させたもっとすごいモノが見たい。

半沢は弱者が強者を倒すからより良かったが、今回は乃木はすでに強靭な力、権限をもった政府の組織の一員であり、それがどううまく働いていくのか分からない。

半沢の様に、こいつムカつく、腹が立つ、なんとかしてやりたい、でも出来ない、という描写が十分ある上で、下剋上のような構図が面白かったが、そういった悪の腹立つ描写をあまり描かずに、次から次に出てくるぽっとでの悪を圧倒的な力で成敗しても、面白さはあまり感じられないかもしれないから、そこはしっかり描いて欲しい。

今の所、よく分からない小物しか殺していない。

もっと素直に、シンプルに、悪を成敗する仕事人として描いて欲しかった。

第一話から、この強い乃木を出して良かったと思う。

ためすぎて、上述した様々な問題で間延びしている。

正直4話から見ても大して支障はない、というか、3話まではばっさりいらない、モンゴルのくだりも、大使館に車で突っ込むのもいらない。

1話の派手さも大して効いていない。

4話をちょっと長くして、4話から1話として始めれば良かったのに。

堺の演技を見るという目的だけで今後も見てみようか、うーん、迷う。

迷わせないでほしい。

迷わせないで、文句なしに見たくてしょうがないと思わせて欲しいのに。

「VIVANT(第5話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

このドラマは悪い方向に向かっている

堺雅人の強い演技ををもう少し見てみたいので、5話も観てしまった。

見なければ良かった、すごくすごくつまらなかった。

ある意味一話よりもつまらないかもしれない。

頑張ってアクションに挑んだ結果、またハリウッドの劣化版みたいになっている。

金をたくさん注ぎ込んでもこれか。

何でこうなってしまうんだろう。

毎回毎回、次回どうなるんだと全然思わしてくれない。

でも視聴率は上がっているらしい。

何が面白くて観てるのか、自分も見てしまったけど。

引き付けられないドラマ、上がってる視聴率、この国はどうかしている。

乃木の言葉を借りるなら、これが美しい日本の現状か。

第五話でこの状態、絶対最終話まで取り戻せない。

序盤のイニングで大量失点をしてしまうエンゼルスの絶望的な試合展開に近い。

思っていた以上に悪い方悪い方に行っている。

どうしよう、最後まで見届ける価値はあるか?

何のために?

ある意味自分への試練として、何が面白くないのか考える良いきっかけとして捉えれば良いのか?

やるだけやってみよう。

空回りしている堺雅人の良い演技

乃木の強い人格は4話の件でも上述した通り非常に良い。

しかし、その良い演技も空回りしているように感じた。

せっかく良くても、化学反応でうまく機能しなければダメなんだ、と改めて感じさせられた。

悪に手応えがなさすぎる。

今回は、一話で登場した、誤送金を返さなかったバルカの会社の社長を、乃木が非人道的な手段で追い詰め、ボスの名を吐かせるという見せ場のシーンがあった。

しかし、悪役のアリに存在感がなく、弱いやつを強いやつがコテンパンにしている感じで爽快感もなく、ふにゃふにゃのシーンだった。

そもそもアリの演技が大根であることは一話の件で書いたとおりなので、乃木に本当に恐怖を感じて追い詰められている、しかし最後まで抵抗をするあがきの感じもなく平坦なので、悪役として全く手応えがない。

リアルな緊迫感のある掛け合いには程遠い。

せっかく堺の演技が良くても、相手がそれに触発されて演技を超えた魂的なものが出ないのであれば、堺もろとも共倒れだ。

大根演技は良いドラマを作る上で一番ドラマを台無しにし得る邪魔な存在だ。

本来なら監督が出来るように工夫させる、もしくは出来なければそもそも使わないとかしないといけないが、この監督もやっていない。

台本通りやったら「オッケー!」ってか、なんともおめでたい。

そういう役者の演技って、ストーリーとか伏線を頭を悩ませて作り上げるのと同じレベルで考えるべきことで、日本のドラマっていつもこんな感じ。

だから海外でリメイクした方が良いと言われてしまう。

半沢では、悪役も堺に耐えうるパワーがあったから見応えがあったから良かった、痛快だったのに。

ビヴァンってこういう小悪党ばっかり成敗していくのか?

4話も5話もそう。

まだ良かった悪は、一話のバルカ警察の長、チンギスくらいだ。

見ものはせめて最後の乃木と乃木の父親との正義論の掛け合いか?

そこまでこの乃木の空回り悪党成敗が続くのか?

だとしたら酷いな。

それまでが面白くないと、最後だけでまくるなんて無理なのに。

半沢では、一人ずつ難敵を突破していく感が良かったのに。

本当に半沢の遺産から何も得ていないんだな。

ちなみに、乃木が会社で大勢の社員の前で怒鳴ったのは興ざめでガッカリした

仕事人が正体見せてどうする。

仕事人って自分が勝手に言っているだけから良いけど、もし仕事人だったら完全に失格。

せっかく今まで社員の前で無能キャラで来たのにこれで台無し。

能ある鷹が爪を見せてどうする。

もうこれが会社に来る最後なら良いけど、出張行ってきますって上司に言っていた。

まだ来るつもりなのか。

二重人格の強い人格は頭が良いのかと思っていたけど、アホじゃないか。

アリに白状させた後も、敬語でアリにしゃべっているのも不自然。

ここで、二重人格の弱いほうが出てくる意味も分からない。

二重人格なんていらないのに。

悪の描き方が足りなすぎる

ビヴァンのストーリーがつまらない理由として、悪役の演技のみならず、悪をちゃんと描ききれてないない。

半沢では身近な悪、嫌な上司、偉そうな頭取とか、日本で働く誰もが感じ得る、想像しやすい悪をコテンパンにするから良かった。

昔からずっと存在している悪だから、仮に描写が少なくても勝手に補完できる。

今回の悪は、世界的なテロ組織って、全く身近ではなく、分かりづらい。

大きく出て挑戦したのは買うが、それならもっとちゃんとその組織の怖さを感じさせる描写がないとポカンとしてしまう。

アメリカが世界的なテロ組織を描くのと(もちろん演技さることながら)、日本が描くのとリアリティが全然違う。

このビヴァンの世界ではテントの脅威が日本人を怖がらせているのなら、現実の日本とはかけ離れている訳で、テントがいかに怖いかというのをまず徹底的に見せないと、見ていてよくわからない。

テロの脅威が高まっている日本という別の世界にしなければ。

安倍元首相の襲撃事件や京王線の通り魔、白昼の銀座の宝石強盗など、日本にも物騒な事件が増えてきたが、それは世界的なテロの脅威ではない。

ザイールの自爆テロは他の国で起こったことだし、他にちょっと映像とか言葉でテントが脅威になっている、と説明するくらいでは全然足りない。

それをやりたいなら、最初の一話か二話を割いてでも、日本で実際にテントの爆弾で凄惨な事件が街で頻発している、死傷者多数で人々が恐怖におののき、野崎が頭をかきむしるような描写をたっぷり入れなければ。

そうしたら、乃木が、野崎が無能だから自分が出ざるを得ない、というテント撲滅に邁進する理由の一つにもなり得る。

それなのに何を今の日本とおなじような雰囲気で話を進めているのかと思う。

だからハリウッドっぽいことをして上滑りしている感がある。

このドラマに出るのを熱望した俳優もいるって話だけど、その人はちゃんと脚本を読んだのか?

その身近ではないよくわからない悪を、乃木という強大な正義が圧倒的な力でやっつけていくんだから、そりゃこうなるだろう。

おまけに悪役の演技も足りないんだから。

乃木の過去を暴きすぎ

5話でつまらなかった点の一つに、乃木の過去があまりに簡単につまびらかにされてしまったこともある。

どんなやつか分からない、調べても出てこない、謎のままだから面白いのに序盤でバラしてどうする。

そんなの最終話でやればいいし、別に最後まで謎のままでも面白い。

というか、別班は国家でも最高機密の存在なのに、いくら公安の野崎が優秀で、FBIに通じていたとしても、生い立ちから何から、ここまであけすけに乃木の詳細が判明するって、あまりにもザルすぎないか?

調べたらすぐにコロンビア大学に行っていた、という経歴が出てしまうのもなんだかなあと思う。

隠したいなら、日大くらいにしておけばいい。

本当に政府が隠そうと思ったら隠せるわけだから、コロンビア大学卒ってなったら、実はすごいやつなんじゃないか、という節を人に抱かせるだろう。

隠したいのか、バレたいのかよく分からない。

野崎が血眼になっても何も出てこない、何の変哲もない経歴で、故郷のおじさん、乃木寛道もひょうひょうとして野崎に本当のことをしゃべらない、とかだったら面白かった。

あの叔父さんも何でもかんでもペラペラしゃべって重要な家紋の入った刀まで野崎に見せるってバカなんじゃないか。

全て乃木のことを知ってる上で隠していたら粋だったのに。

野崎を適当にあしらって帰らせて、叔父さん一人で家紋の入った刀を眺める、という描写を入れるだけで十分だし、そっちの方が深いだろう。

「VIVANT(第6話)」が“物足りない☆2”理由と考察、その感想

演技的にまだマシな回、浅い二重人格

6話は、役者陣の演技的にはまだマシな回だった。

やはり演技が悪くなければまだ見ていられる。

序盤で出てきた役所広司演じるノゴーン・ベギが、金を盗み取った部下を刀で切りつけるシーンは、狂っている目つきが良かった。

しかし、乃木の演技は、もう二重人格とかグズグズになってないか?

弱い人格もだんだん弱々しい感じがなくなってきているし、時々鋭い目付きをするときは強い人格になっているということか?

5話からかつて程の明確な演技の差もどんどんなくなってきている。

明確だったのは、二重人格同士でしゃべる時くらいだ。

それ以外はほとんど強い寄りなんじゃないか。

いや、それでいい、どっちかと言えば強い寄りの演技をベースにしている方が見ていられる。

無理に一話の様にあざとく弱々しくする必要はない、少し弱いくらいで良い。

何度も言うが、二重人格という設定はいらない。

もはや、今どっちなんだ、というのもグラデーションになりすぎててよくわからない。

強い人格が弱い振りをしてるのか、弱い人格が一時的に強くなっているのか。

分かったから何だというのもあるが、二重人格という設定が見ている側にとっても、堺にとっても邪魔でしかない。

今の感じで、強いベースで行けば面白いのに、二重人格という設定があるから、時折無理に弱々しくしなければいけないんだろう。

5話でアリに急に敬語でしゃべるみたいな不自然な展開もそうだった。

二重人格という設定がなくても、過度に弱々しくされたらそれは不自然だけど、一つの人格の方が面白いに決まっている。

それに、やるなら、ちゃんとした二重人格を描いて欲しい。

二重人格が今までで生きたシーンなど一度もない。

今のところグズグズで不必要だ。

会社の前で強い人格が出て怒鳴っちゃったのは、以前も書いたが、能ある鷹が爪を見せちゃった訳で、工作員としたらアホ丸出し。

平民に紛れるべきなのに、一体何が優秀なのか?

二重人格の弊害が出ている。

無理やりこの設定を使っているだけで、中身がない。

ジャミーンとか、柚木と接するときは弱くて優しい乃木じゃないとだめなのか?

強い人格が優しい演技をすればそれでいいわけで、弱い人格で功を奏した、ってシーンなど何もない。

例えば、ハードな交渉が必要な場面で、弱い人格が出ちゃって、任務に失敗しちゃったとかもないわけだろう。

それはそれで下手なコメディみたいになってしまうが。

弱い人格の時でも、ザイールが爆弾のスイッチを押す寸前に野崎の銃声に合わせて銃でザイールを撃つという神技をやってのけたが、身体能力は一切変わらないということか?

弱い人格でも、格闘術は身についているってことか?

じゃあもう二重人格である必要性がない、それぞれの人格の特色を生かしてここまで上り詰めた、むしろ普通の工作員以上の一人二役的能力が発揮できる、という訳でもないのなら。

優しい人格は、格闘が苦手だけど、何かを分析・計算したり、民間人から情報を引き出したり敵の懐に入るのがうまい、一方強い人格は格闘と交渉がピカ一だけど、普通のコミュニケーションが苦手で、そんな二人を場面場面に応じて使い分けている、なら面白い。

二重人格である必要がある。

だけど、そうではなく、能力は同じでただしゃべり方と雰囲気が変わるだけか?

浅い、そんなものなくていい。

無理に設定を積み重ねて、うわべの深みを出そうとなんてしなくていい。

二重人格が描けないなら、優しい人格も強い人格も、全て同じ人格の同じ人間だった、という方が簡単だし、そっちの方がはるかに深い。

でも二重人格入れたかったんだろう、あんまり詰め切れてなくても。

まあ、これが日本のドラマだろう。

はまっている二番手の野崎

野崎が物足りないとさんざん言ってきたが、この6話の野崎は独特の嫌味が少なく、普通で良かった。

それはなぜかというと、野崎の公安の上司のおじさん、坂東彌十郎が演じる佐野部長といつも一緒にいて、野崎の嫌味が抑えられているからだと思った。

上司の前では偉そうにもできない役柄だからだろうが、指揮を執っていた今までより少し謙虚で、抑え気味な演技が自然に感じた。

むしろ、このくらいの方が阿部寛らしいし、阿部本来の誠実な感じが見えて、この野崎ならまだ好きになれる。

ああ、野崎って二番手だったんだ、と新たな発見、プチ感動があった。

野崎は背伸びしていた、このおじさん上司と一緒にいればまだ自然でいられる。

独特の嫌な威圧感もこのおじさんがいれば中和される。

だから、今後野崎は佐野部長とセットで出てほしい。

そうすれば、なぜか野崎一人の時よりも、野崎はより光って見える。

演技の妙とでもいうべきか。

本人はきっと一人で偉そうにやりたいんだろうけど。

柚木の良かったシーン

今まで柚木は悪くないけど、いまいち存在感を感じられなかった。

しかし、6話でいきなり乃木の家に行き、私のことが好きなんですか?という変な行動が、本当に言っている変な奴の感じがして、良かった。

やっと、うわべでない独自の演技が出てきた感じで、悪くない。

最初からこういう存在感を感じさせてほしかった。

良いとはっきり感じたのはこのシーンだけだけど。

ちなみにそのシーンで、乃木が柚木に「自分のことが好きか」と聞かれ、「はい」といってしまったのはガッカリした。

本当は好きだけど、柚木に危険が及ぶから全然好きじゃない振りをしている、押しかけてきた柚木に引いている演技とかで、あえて振り払うとかだったら格好良かったのに。

別班が恋人作ってどうするんだ。

粋でも何でもない。

乃木って本当に優秀なのか?

この時は弱い人格だったってことか?

なんだかなあ、と思う。

仮に結ばれるとしても、全部解決してからで良いじゃないか。

6話の見せ場、物足りない突入劇

女性ハッカーの太田が今度は国に雇われ、組織のサーバーに潜り込む所は、画面に映っている道を光が進んでいくのをひたすら二人で見守る映像がなんともダサいと思った。

太田がハッキングしている様をもう少し格好良く見せれないものか?

お金かけているくせに、こういう所はずいぶん安っぽい。

攻殻機動隊みたいにしろなんて言わないけど、もう少し何とかなるだろう。

ちなみにその女性ハッカー、太田も特にハッカーぽい感じの存在感はない。

別班って一番優秀な組織って言っている割に、公安にあっという間にハッカーを匿ったマンションを見つけられててすごくザルだった。

それに、壁に穴をあけていたからって、それに気づかない公安もザル。

そして、一番盛り上がる部分の会話の攻防を、ちゃんと見せないでばっさりカットしているのが何をしてるんだと思った。

公安がハッカーの部屋に突入し、乃木と出会い、次のシーンはもう公安は外にいて、野崎に謝っていた。

ちょっと家具を動かしたら抜け穴が見つかるのに?

公安が部屋をくまなく探そうとし、それを話術で巧みに阻止する、とか、ここが一番の見せ場じゃないのか?

仮に公安の新庄が別班で乃木の協力者だとしても、なぜ他の公安のメンバーもろくに捜査もせずに引き返したのか、訳が分からない。

全員別班か?

描きたくない理由があるなら、もっとうまくやってくれと思う。

捜査のシーンがバッサリないって明らかに不自然に感じる。

もしこれが伏線の一つだとしたら、伏線なんか張る前にちゃんとドラマを見せろと思う。

そして、そんな新庄たちに「なぜ部屋をくまなく調べなかったんだ」と怒るわけでもない野崎もアホである。

ここはお得意の怒っていい所だぞ。

怒るどころか、「きっと部屋に穴をあけて行き来したんだろう」って得意げに解説してるんだから、すごくアホだ。

知ってるなら教えてあげればいいのに、今思いついたのか?

じゃあもっと悔しがりながら言いなければ、なぜ得意げなんだ。

このシーンでは、公安がもっと悔しさを感じている様をちゃんと表現してほしかった。

野崎も少し悔しがっていたし、他の公安も「突入させてください」と荒らぶっていたけど、全然足りない。

もっと迫力が欲しい、ただ言っているだけ。

野崎が怒って令状なしに乗り込もうとして、それをおじさん上司、佐野に止められて喧嘩になり、めちゃくちゃ怒れられるとかあればまだ良かった。

このクライマックスのシーンで、捜査の攻防をちゃんと描き、公安に一泡吹かせてやった感があれば、見どころのある話になったのに。

一番描くべきところ描いてないんだから、ふにゃっとしてしまう。

乃木も乃木で、公安がザルだから助かっただけで、すぐに居場所もばれて、家具をどかしたらすぐに見つかる通路作って、アホなのかと思う。

それとも、野崎もその上司も全員別班ってか?

なるほど実は部屋の中に他の部屋への抜け道があって、ハリウッドっぽい。

ハリウッドのあるあるというか。

もっと、すごいな乃木、と思わせて欲しかった。

実は壁に通路が開いてる、なんて誰でも思いつくようなことなんだから。

すごくうわべだけマネしましたって感じだ。

それなら、実は家具をどかしても通路なんてなく、乃木が「なんなんですか?」と笑って対応し、公安が帰った後に、壁全部が回転するとかの方がまだ良い。

それもハリウッドの真似だとしたら、乃木の話術で家具をどかさせない、という攻防しかないが、どの道このシーンはバッサリ描かれていない。

4話のクライマックスは、強い乃木が出てきて、これから始まる期待感があったラストだが、5話も6話もふにゃふにゃのクライマックスだった。

泥臭い別班の集合シーン

最後の大会議室のシーンで、一般人が会議室を去ったあと、乃木と黒須を含む別班と思われるメンバーが集合するシーンは不可解だった。

メンバーの一人と思われる壇上の男性が声をかけ、メンバーたちは立ちあがり、この会議室を別班の会議室としてセッティングしはじめた。

そして別班のお偉いさん、櫻井が登場し、「皆さんに集まってもらったのは、国家の危機を未然に防ぐためです」と述べた。

こんな大きな会議室のたくさんのテーブルと椅子をわずか6人で使いやすい様に会議室にセッティングする、という超非効率の行動。

すごく時間かかるし、大変だし、汗だくになるだろう。

みんな本当に優秀か?バカなのか?

誰か、「このまま会議やりましょう、セッティングの時間が無駄です。」っていうやついないのか?

櫻井はセッティングが終わるの裏でずっと待ってたのか?

櫻井がそれを知らないで6人が勝手にやってたとしたら、櫻井も入ってきた段階で気付いて怒れ、優秀なら。

「セッティングなどいりませんよ」って。

別班は机と椅子の片付けも別格か?

というか、こんなこと、無能の会社の社員がやることじゃないか。

これはきっとスタイリッシュにしたつもりなんだろう。

「よし、格好良い集合シーンが出来たぞ」と思ってるのかな?

些細なシーンだけど、こういう「別に大丈夫だろこれで」的な雑な感覚を持った人が制作に関わっているんだなと思う。

誰もおかしいと思わないのかな?

いや、これも伏線か?

「VIVANT(第7話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

面白くなる前になぜ壊すんだろう

すごかった、今回一番ひどいかもしれない。

見終わった率直な感想は、もう完全に終わったって感じだった。

面白くなりそうな手前でいつもぶち壊してくる。

いや、もう今までが今までだから、つまらなくても最後まで見届けるって決めたけど、心が折れそうになる。

ここからどうやって面白くなるんだ?

思ってる以上にダメな方ダメな方に行っている。

なぜ、素直にシンプルにストレートに勝負せず、色んな要素を盛り込もうとして、ちゃんと見せないんだ。

どんでん返しとか、伏線とか、予想外とか、まずちゃんとしたモノを作ってからやればいい。

ある程度のものが出来てないのに、いきなり壊してどうすんだ。

伏線ってなんて都合の良い言葉だろう。

面白くなってないのに、あれは実は伏線だったんだって、都合の良いすり替えだ。

伏線張ってるときは面白くなくても良いってか?

誰にそんなこと教わった?

ユージュアル・サスペクツみたいに最後でまくりますってか。

これが半沢直樹の監督って、半沢は本当にたまたまだったんだ。

池井戸の脚本と堺、脇役達、悪役がたまたま奇跡的にはまっただけだったんだ。

それが改めてはっきりとわかっただけでも収穫ではある。

浮いている乃木と柚木の恋愛シーン

7話の乃木は、柚木といる時は明らかに弱い人格が丸出しだったが、それ以外飛行機に乗ったあたりからラストまでは、強いのと弱いのごちゃまぜで、どっちがどっちなのかはっきりしない。

二重人格どこ行った?いや、なくていいんだけど。

はっきりしたのは、縁側で強い人格と弱い人格が話すとき、柚木と接している時くらいで、あとはもうグズグズじゃないか。

乃木が柚木と会う前に、強い人格の乃木が弱い人格の乃木に、「死なせねえ、俺がお前を死なせねえよ。」というくさいセリフがあった。

弱くても強くても身体能力は変わらないくせに、偉そうなことを言うな、と思った。

もう無理やり二重人格のシーン入れてるじゃないか。

乃木が柚木にキスをするシーンは、日本のドラマ史に残る気持ちの悪いシーンだった。

気持ち悪い乃木の振る舞いを、見下すことなく、「しょうがないなあ」みたいな感じで自然に見守っている柚木の表情は非常に良かった。

初めてだから、気持ち悪くなるのはしょうがない。

だけど、その後「初めてなので」と言って泣いたのが、気持ち悪さに拍車をかけている。

なぜ泣いた?

単純にキスをしたのが初めてで嬉しかったから?人生で初めて好きな人が出来て、その人と結ばれたから?

それはそれで、全く違う他の純愛ドラマでやればいい。

というか、柚木が強引に迫ったから成立したが、そもそもお互いが惹かれていく描写なんてなかった。

恋愛ドラマとしても非常に唐突、急に「抱きしめて良いですか」と言う乃木は、弱い人格なのに強くて訳が分からない。

初めてだから加減がよく分からないのか?

初めての人はそんなことすら恥ずかしくて言えないぞきっと。

変な人格。

逆に強い人格の方が奥手だったりするのか?

別班という国直属のトップ工作員が主人公のアクションドラマに盛り込むシーンでは全くない。

これも二重人格だからか?

都合がいい、つながりがあろうがなかろうが、事実上何でもありってことじゃないか。

それとも、もう自分が任務で死ぬと決めていたから、幸せを感じるのはこれで最後だと思ったから泣いたのか?

それはそれで、自分が死ぬことを決めていて泣いてしまう工作員など自己陶酔的で、能力的に大したことない。

どちらにせよ、非常に浮いたシーンだった。

このシーン自体は変で気持ち悪いけど味があって悪くない、堺と二階堂ふみの相性も悪くない。

だけど、これをビヴァンにねじ込んでしまったら、つながらないだろう。

スパイアクションにがっつりした恋愛、二重人格など色々詰め込もうとし過ぎて、いびつで奇妙なドラマが出来上がっている。

芸術的でもない邪魔ないびつさだ。

野崎がなぜ存在感が薄いのか

7話はまた野崎一人で指揮を執っていたので、すごく物足りなかった。

おじさん上司とセットじゃなくちゃ。

なぜ野崎に対してあまり深さや存在感を感じないのか、見ていて気付いた一つの理由は、野崎が何を言っているのか分からないことが多い、ということだ。

役作りなんだか知らないが、ぼそぼそとしゃべる。

それが、「え、なんて?」とイラっとして聞き返したくなるようなボソボソさだ。

松田優作のボソボソさとは一線を画する。

平たく言えば、呂律が回っていない。

きっと、舌が長いんだろうと思う。

舌が長い人は、特に長いセリフを矢継ぎ早にいう時には、ちゃんと訓練しないと呂律が回らない。

そういう人は、呂律を回すことに加えて腹から声を出すことをセットにしないと、ちゃんとしゃべれない。

彼は喉だけでしゃべっている感じが多い、低い声色を使っているだけというか。

きっと、阿部寛はハキハキしゃべることよりもボソボソの方がリアルだと思ってるんだろうが、阿部寛に関してはもっと基本的なしゃべり方を踏襲した方が良い。

いくら外見が格好良くても、しゃべりが薄ければ台無しだ。

感情を出すのが苦手なら、せめてしゃべり方くらいはしっかりして欲しい。

一方チンギスは外見が二枚目ではないけど、存在感は野崎よりもはるかにある。

嬉しくなってドラムの顔を必要以上に強く長くたたいてしまうなど、感情があって自然で良かった。

別班は本当に優秀か?

最初の大会議室で別班の会議が行われていたが、こんなに一般人でも普通に使える場所で、時には大声で、スクリーンをフルに使って会議を行っているのはおバカさんたちだと思った。

盗聴とか、誰かに聞かれているという危険性など考えないのか?

むしろ、こんなところで誰も日本の工作員のトップが会議していると思わないから、コロンブスの卵で逆に安心ってか?

すごいね。

それぞれ工作員が大声で自己紹介をしていたのも、アホなんじゃないかと思った。

名前なんて言わない、って方が格好良いのに。

身内にすら名前を言わないって方がいい。

別班の他の工作員も、ただセリフを言っているだけで、それなりの感じがない。

司令官も存在感がない、これなら誰でもいい。

いや、高畑淳子とかの方がいい。

リアルに厳しい感じがないといけない。

でもまあ、こんなもんか。

ちなみに、別班みんなでテントの二宮演じるノコルがいる場所に乗り込んだのはいいが、ノコルがロシア語で乃木に話しかけ、乃木もロシア語で返答し、ノコルがそれが日本人であることに全く気付かないのがアホすぎると思った。

せめて堺と似た声のロシア人に吹き替えしてもらえば良かったのに。

明らかに全員ロシア人っぽくなく、乃木のロシア語の発音もネイティブじゃないし、日本人の別班の手が迫っているということもノコルは知っているんだから、もっと普通疑うだろう。

疑って、怒って質問しまくって、それでもかいくぐるから面白いわけで、明らかに怪しいやつをヤギの数を確認しただけで通すってリアルでも何でもない。

自分だって別班が怖いわけだから。

これもハリウッドのうわべの真似か?

こんなもんでしょってことか?

仮にノコルが別班だったとしても、そこはリアルに緊迫感がある瞬間を描いて欲しかった。

乃木が暴走したスッキリしないラスト

7話のラストは、6話のラストを下回った期待感のなさだった。

どういうことだ、何が起こっているの?次が気になる、なんて思わない。

あーあって感じだった。

乃木が撃ち殺したのは、裏切り者だったんだろう。

わざと捕まったのも理由がある。

お父さんに会いたかったというファザコン丸出しの工作員でも何でもない行動も含め、全て全て後々回収されて、だからやったんだ、さすが乃木と思わしてくれるんだろう、きっと。

自分が特に萎えたのは、冒頭でも述べたが、面白くなる手前でまた伏線か、ということだった。

せめて一度くらい、奇跡でもいいから、今回は気持ち良かった、見応えあったな、という話を作って欲しい。

ドラマってきっとそれの繰り返しだろう、プリズンブレイクだって何だって。

薄々、というか以前から述べている通りはっきりと、もう最終的に全て回収出来るわけでは到底ないと分かっている。

けど、見ると見るとで、自分も人間で、心のどこかで面白い展開を期待してしまう。

極秘の工作員、世界的テロ組織との対決、二重人格、医師との交際、父との確執、一体何を見せたい?

散らかし過ぎている。

さらに今回は新たに裏切り者がいたというストーリーか?

こんな多すぎる要素を、全てうまい具合にバチっと集約させるストーリーなんて、世界に存在していない。

実際このドラマでは出来ていない。

色んな要素が見事に混ざり合い、今までにない深いストーリーを織り上げた訳ではなく、それぞれの要素が他の要素を邪魔しあい、どれもが中途半端になったまま今まで来ている。

高度なことをやろうとしすぎているんじゃないか?

ダメ元でも向かっていく勇猛果敢な無謀なチャレンジか、そもそも暗闇の中にいることに気付いていないのか。

もうすぐ答えは出るだろう。

「VIVANT(第8話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

まさかの潜入捜査開始

なるほど、乃木が暴走したのは、裏切り者とかじゃなくて、潜入捜査をするためだったんだ。

それは分からなかった。

というか、分からせなきゃダメじゃないか。

それなら、黒須にだけ知らされていなくて、司令官ももちろん乃木の暴走の意図は知っていて慌てることなく、「さあ頑張ってちょうだい」的な司令官の言葉で7話が終わるとかなら、まだ面白かった。

なぜ盛り上がる描写をことごとく入れず、謎だけ残すんだろう。

それは盛り上げてからやることなのに。

ちゃんと見せることがおろそかなまま、いかに見ている者の意表をつくかばかりに頭がいっているストーリーだ。

中身もへったくれもない。

というか、今から潜入捜査するのか。

今まさに突入しようとしていたのに?

変なストーリーだ。

三期くらいに分けてやることをギュウギュウに詰め込みすぎてないか?

元々乃木を潜伏させるための作戦だと仮に言われても、ノコルを人質にとって内部に切り込んで行けば良い訳で、潜入は必要か?

潜入するにしても、もっとスマートな接触の仕方もあるだろう。

こんな危ないやり方しかない理由もないし、潜伏するのは乃木じゃなくても全然良い。

司令官は7話で「これで世界で初めてテントの実態が明らかになる」と言っていた。

そもそも突入するまでに別班がテントの内情を全く知らないって、別班は優秀じゃない。

乃木は「別班は世界中に潜伏してる」と言っていたが、児童養護施設に思い切り普通に顔を出していたベキとかノコルの身辺、金回りとか調べていったらテントの実態は分かるだろう。

「テントはシッポを出さない」って、思い切り出てる。

バルカにだけ別班はいないのか?

そんな別班が無能だから、俺が調べると乃木が単独潜入したのか?

ともあれ、今から潜入捜査が始まるのか、と少し重い気持ちになった。

かなり無理矢理な流れで、今度は潜入捜査という要素を新たに入れてきた。

主人公に一人10役やらせる気か?

これはすごい。

こんな世にも奇妙な物語的なアクションドラマは、きっと世界を探してもビヴァンだけだ。

全然厳しくないテント

乃木がテントに潜伏する上でまず引っかかったのは、テントがあまりにもザルである、ということだ。

わざと黒須を撃ち損じた乃木を普通に見過ごしている。

乃木がノコルからの銃を渡された時の過度に驚いた顔、黒須の眉間に銃を突きつけ撃つ時の不自然に力を入れた顔など、このシーンの一連の乃木のあざとさはひとまず置いておいて。

ノコルは、乃木の銃さばきを見ていて、弾がいっぱい入った銃を乃木に渡したら危険だ、と言っていた。

だから弾が一発しかない銃を乃木に渡したと言っていたが、そんなすごい銃のスペシャリストが、あの至近距離で黒須を撃ち損じたのは、わざと以外何でもないとは思わないのか?

弾が一発しか入ってないことも乃木は知っていた。

乃木は、手に持った物のグラム数をほぼ正確に言い当てる事ができる訳で、乃木は確実に一発しか入ってないことを瞬時に把握したはずだろう

それをまだノコル達が知らなくても、銃の熟練者は、銃に弾が入っているかどうか、その重さで分かるというのはよく知られている話で、乃木がわざと殺さなかったことを疑わないのは甘すぎる。

万が一外したなら、ナイフでやらせればいい。

ナイフも危険ってか?

それを見ていたベキも、もういいと言って止めさせる意味も分からない。

この段階では、乃木に対して信用などこれっぽっちもないのに、なぜもっと乃木に黒須を殺せと強く迫らない?

裏切り者を許さないあの残虐なベキはどこいった?

内弁慶で敵には優しいのか?

ちなみにベキは、この後の描写で食料担当者が米を横領していたのに、刀で切るわけでもなく、あまり怒っていないように見えた。

むしろ優しいというか、キャラ変わってないか?

「財産没収、国外追放でいいですか?」とノコルに聞かれて、「いや、俺が後で処刑する」くらい言って欲しかった。

物わかりの良い怖くないおじいさん感を出し過ぎて、緊張感がない、物足りない。

さらに、他の別班隊員4人の生死をあの場で確認してないノコル、ノコルの手下はアホすぎる。

ノコルの手下が、「他の別班隊員4人の棺が運ばれるのを空港で確認しました。即死のようです。」と言っていた。

「ようです」って不思議だ。

なぜあの場で確認していない?

黒須が連れてこられたのは、意識があって動いていたから、というだけか?

普通自分達につながる可能性があったら、全部埋めるか燃やすかするだろう。

じゃあ生きてるかもしれない、黒須は「即死のようです」って聞いて怒ってたけど。

マフィアの下っ端が「死体は直接確認していませんが、多分死んでます。」って言ったら、「見て確認しろって言っただろ」と兄貴分にめちゃくちゃ怒られるやつだ。

死んだっぽいだけで、他の隊員の顔を確認したり、持ち物を物色しない、生死も確認しないのは不自然すぎる。

だから、全員生きてましたってことになるかもしれない。

それはそれで無茶苦茶な作戦だ。

ノコルたちが死体の生死を確認しないという、敵の無能ぶりまで織り込み済みの決死の作戦か?

ほぼ玉砕に近い。

ノコルが「お前ら死体燃やしとけ」って部下に指示出したら終わりだ。

ノコルもその手下も別班か?

そんなこんなで、乃木に黒須を殺させるという、組織に潜伏する第一関門の描写が弱く、ベキとノコルも甘い。

他の別班隊員の生死確認もグズグズで、全然緊迫感を感じられなかった。

特に他の別班隊員の生死に関しては、いわゆる伏線を張っているつもりなのかな?

このシーンでは、乃木ってバカだったんだ、本当に寝返ったんだ、と思わして欲しかった。

そうじゃないと、後半の潜入捜査的な描写があった時に跳ね上がりがない。

実際のべっとしてしまっている。

そう思わすためには、ベキとノコルの執拗でスキのない責めがあり、それをを乃木があの手この手、得意の話術で乗り切り、他の隊員も本当に殺したと思わす情報が必要だ。

どっちもゆるいので、緊迫感がない。

うまくやれば面白くなったかもしれないのに。

後半の嘘発見器とかIQテストなんて重要じゃなく、あの黒須とのシーンが重要だった。

乃木と黒須の熱くないうわべの闘い

さらに、このシーンを面白くする重要な要素として致命的だったのは、上でも述べた乃木のあざとさだ。

例のあの、わざとらしく驚いた顔はもう禁止だ、一気に冷める。

銃を渡されてわざとらしく驚き、黒瀬に向けてのうわべの顔芸のような顔。

この類の堺のわざとらしい驚きの振る舞いに関しては、まぎれもなく完全な大根だ。

二重人格の弱い方が出てる、とでも言うのか?

強い人格はなぜ助けてくれない?

そして、黒須の演技もそのシーンの助けになっておらず、相変わらず存在感が足りない。

怒っていたけど、全然足りない。

セリフを言って叫んでいるだけで、本当に乃木に対する強い怒りを感じない。

この怒るシーンが、ある意味黒須にとっての見せ場でもあるのに。

藤原竜也みたいになるよりは良いけど。

ここで黒須の怒りがちゃんと爆発していれば、不自然なこのシーンにも説得力を持たせられていたかもしれない。

だけど、堺も顔芸をしているだけであざといから、松坂は緊迫感やリアルさを堺から感じられず、自然と気持ちが沸き上がってこなかったかもしれない。

じゃあ堺はなぜあざといのか、それは元々の資質もあるだろうが、ベキやノコルからリアルに詰められていたら、自然とあざとくない感情が沸き上がったかもしれない。

本当にその場で追い詰められている感覚に陥ったら、演技する必要がなく、おのずとリアルになるだろう。

リアルじゃない展開がリアルじゃない演技を生み、その逆もまたしかりで、放射状にリアルじゃないあざとい空気感が連鎖してしまう。

リアルという火がその空間に燃え広がるわけでもなく、うわべのあざといままなんとなく終わってしまう、のかもしれない。

何が原因か?と言われれば、全部とも言える。

今回もその火はつかなかった。

乃木が黒須に銃を突きつけ、黒須の叫び声が広がるこのシーンのクライマックスが、もし壮絶な感情のぶつかり合いで、とても見ていられない、良い意味で醜いシーンであれば、ベキが止める意味も分かるが、そこまで全然言っていない。

これこそハリウッドのうわべのパクリだ。

めちゃくちゃ怒り、ごちゃごちゃ言う黒須に、乃木が冷徹に「黙れ」と言って黒須の足に銃弾を撃ち込み、それでも黙らない黒須の腕や耳を撃ち、「もう言い残すことはないか?」などと言い放って頭を撃つ時に、ベキがもういい、と止めに入るならまだ分かる。

見ているベキやノコルが引くぐらい残虐な乃木が出てくるべきだった。

弾は入っていて良い、ベキが止めることを想定しているから、本当に実弾で撃った瞬間にベキに腕を押されて黒須に当たらなかった、という方が良い。

むしろ、黒須を助けるにはもうこの方法しかない。

それなのに、お互い空の演技のやりあいで、非常に恥ずかしいし、もったいない。

自分はハリウッドを崇拝などしていない。

ハリウッド映画は、決してすごいものではなく、普通だ。

というか、演技的にはあざとくなくても、なんだこれ、という浅い話しも多い。

でも、その普通よりはるかに下回っているから、色々引っかかる。

お金をたくさん使い、それっぽい展開を入れ、世界に並んだつもりか?

もっと考えるべき重要なことがあるんじゃないかと思う。

炸裂する十八番の理詰め攻撃

8話では堺の十八番の理詰め攻撃が炸裂していた。

テントの孤児院で、そこの食料担当者が隠れて米を横領していたのを、得意の手秤と瞬時の計算能力で論破してみせた。

ノコルから任された仕事も、ちゃんとした報告書がないと出来ない、と突っぱねた。

まるで税理士というかなんというか、これらのシーンは出来るサラリーマンっぽい、半沢ぽかった。

これは確かに堺にしか出来ない話術、演技だと思う。

しかし、食料担当者もノコルも存在感のある悪ではないし、そもそも乃木はテントの一員として、悪の組織の利益になる行為に加担しているわけで、あまりスカッとはしない。

堺がキレたら必ずスカッとさせなければいけないわけではないが、半沢が恋しくなる。

潜入捜査するために、テントの信頼を得るためにやっているわけだから、それは回りまわって後々人のためになるんだろうけど。

半沢では、堺は普通の社員だから、ハッキリと正義として悪の上司をやっつけるために、その話術が唯一かつ絶大な武器になって気持ち良かった。

ビヴァンの話では、堺は色んな演技をさせられていて分散し、いまいちまだガツンと来る演技は見れていない。

テントの内情を分析していく理詰めのナレーションは悪くなかったけど。

半沢というイメージをもしかしたら堺自身振り払いたいのかもしれないが、振り払うほどの新しいものはなく、あいにくずっと物足りない。

堺が堺たるゆえんであるその強い演技もイマイチ効果的に使えていない。

この作品は堺にとってもチャレンジかもしれないが、今のところ成功しているとは思えない。

1話1話ちゃんと見せれていない

この話では二重人格はどこいった?

「俺が死なせねえ」って、大事な黒須のシーンでも出てきてない。

あれでも出てたのか?

今度は潜入捜査という新たな展開。

潜入捜査なのか、乃木が内部から破壊しようとしているのか分からないが。

述べた通り、今から潜入捜査か、とその冗長さに少し気持ちが間延びしてしまった。

毎回毎回新しい展開に変わるが、それは新鮮というよりも、節操がなく感じる。

一つ一つの話が積み重なってどんどん深さが増している訳ではなく、毎回毎回リセットされている感じだ。

新しいお題にチャレンジしては、いつも消化不良のまま次の展開になる。

自分が見た話は、今まで一度も見事だとは思わされていない。

今回の話しも上述した通り、色々足りてない描写が多く、ちゃんと潜入捜査という話しに移行できていない。

今回の話の見どころ、黒須とのシーンや、乃木とベキ・ノコルとの闘いも不発だった。

乃木が内部情報を集め、クライマックスではテントが狙っている土地の謎が出てきたところで終わった。

次の話では土地の謎が明かされるのか。

もう謎はいいから、せめて緊迫感のある人間ドラマを変な伏線なしにちゃんと見せて欲しい。

期待せずに見守ろう。

「VIVANT(第9話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

堺の十八番の半沢的シーン

序盤は、半沢を彷彿とさせる堺お得意の緊迫感ある大金のやり取りだった。

黒須の声色を使っているのは流石に無理があったが。

あれで気づかない電話口の証券担当者も別班か?

この話では、唯一この大金のやり取りがまだマシなシーンだった。

8話の件でも述べたことと同じだが、乃木はテントのために大金をせしめているので、正義のためではないので、スカッとするシーンではない。

半沢の劣化版ではあるが、半沢で培った、堺の演技を含めたこの一連の演出は悪くない。

というか、逆にこういうシーンしか良くない。

結局餅は餅屋で、出来ないことをする必要はなく、半沢3をさっさと作って欲しい、なんて思ってしまった。

冗長なベキの回想ドラマ

テントが狙っている土地の謎が分かり、乃木が大金をせしめ、その後からベキの回想ドラマが始まったが、非常に冗長で退屈だった。

この時点でベキはまだ悪いやつなので、ドラマチックに英雄的に過去を見せられても、どう思えばいいか分からずポカンとしてしまう。

これは一体何がしたかったのか?

このドラマでベキは実は良い人だったと思わせたい、ベキにこっちの気持ちを持っていかせたいなら失敗している。

ベキを完全に善人として見せるならまだ分かるが、今だにテロを請け負って世界中でテロを起こしてるんだろう?

化学工場を民間人の犠牲者は出るけど、爆破するつもりなんだろう?

実はベキは全く悪くなかった、テロは勝手に他の組織がマークを使っているだけ、民間人を今まで死なせたこともないし、怪我人は手当している、あくどい企業とか政府と闘っているだけ、とか、嘘でもいいから善人に見せてからこの回想ドラマを見せるならまだ分かる。

この中途半端な状態で回想ドラマを見せるにはまだ良い人要素が足りないし、ベキは全く悪くなかったんだと思えるほどこの回想ドラマ自体に魅力がない。

ベキの若い頃の演技が足りてなく、ドラマとして見応えがなかった。

ベキの面影もなければ、セリフをなぞっているようにしか感じず、ずっと品の良いお坊ちゃんのように見える。

最初はお坊ちゃんだとしても、壮絶な体験をして、振る舞いにどんどん深みが出てくる成長感もなく、ずっと同じ感じだった。

せめて、もう少し役所広司的な影のある役者を使って欲しかった。

彼はきっと好青年なんだろう。

今の若い俳優でそんな人はほぼいないか?

まだ役所広司に特殊メイクしてやってもらった方が良かったんじゃないかとすら思う。

奥さんの最後を牢獄の中で看取るというのは、確かに悲しい描写だが、ベキ自体を信用していないのもあり、演技面も含め、心揺さぶられる所までは行かなかった。

本当はここで感動してほしいんだろうが無理がある。

犯罪者の過去を、壮大風な音楽にのせてドラマチックに見せられてもポカンとするだけだ。

悪くないなら悪くない方に思い切り一回振り切るべきなのに。

次の話でベキはやっぱり悪かったと見せたいなら、ここで良い人に見せないと跳ね上がりがない。

これもまた、お得意の中途半端な伏線なのかな、と思う。

乃木が活躍するときに流れるのと同じドラマチックな音楽が、ベキの若かりし頃のドラマにも使われていて、それも冷めた。

音楽って流せばいいってもんじゃないってことがよく分かった。

作曲は千住明だけど、その音楽を流すタイミングを決めているのは監督なのかな?

盛り上がるタイミングには同じ音楽を流すと決めているとしたら、雑な演出だと思った。

単純にドラマが面白ければ、気にならないんだろうけど。

ちなみに、乃木の赤ちゃんの時を若いベキと奥さんが見ているシーンがあるが、赤ちゃんは乃木には全く似ていなかった。

きっと、現地のモンゴルの人の赤ちゃんを拝借したんだろう。

日本人っぽい赤ちゃんを現地で探すのは大変だったのかもしれない

これもまた伏線か?

消えゆく大悪

以前にも堺と闘える悪がいないから、せっかく堺の演技が良くても空回りになると言ったが、9話で萎えたのは、ベキも大悪にはなり得ないということだ。

乃木が倒すに値する悪はもういない。

ベキは今の所完全な善人でも極悪でもない、マフィアのボスのようにどっちも混在してるわけでもない。

テロはやっているけど、民間人に犠牲を少なく済むようにしている、日本を標的にしてるのはデマである、そして人と接する時は物わかりが良く優しいという、良い人よりの小悪党で、それは、最終話で豹変する前フリかもしれないが、上述した通り良い人にも振り切れてないから、豹変してもたかが知れている。

仮に、バルカの子供たちを守っているのも実は後で利用するためで、日本も実は標的にしていて、民間人を巻き込む大規模テロを計画していました、となったとしてもだ。

どんでん返しというより、ただハシゴを外してるだけ、それは今までの話しにも共通していることだが。

ちゃんと前フリが作れていないのに、先に進んでいることが多すぎる。

もしベキが倒すべき相手でないなら、野崎や野崎の上司、別班の司令官が黒幕だったってことになるのか?

いずれにせよ、全て取ってつけたような浅い結末で終わる気がする。

それとも次で終わらせず、後2シーズンくらいやるつもりか?

起死回生の一手があるとしたら、もうそれしかない。

延々と終わらないドラマをやり続ければ良い。

面白くないと言われても、「いや、まだ終わってないんで」と逃げれる。

もし次の回で乃木が悪を倒し完結するとしたら、大分物足りない終わり方になるのは必至だ。

今までの積み重ねでここまで来たんだからしょうがない、まるでエンゼルスのようだ。

もうこのシリーズは期待できなかったとしても、次につながる最終話になるかも期待薄だ。

理想としては、シンプルにベキは残虐でバルカ以外の国民は容赦せずに大量に殺すが、バルカの子供たちには優しいという、二面性がある人格で、乃木が倒すべき明確な敵であった方がまだ良かった。

潜入捜査のハラハラ感もこっちは味わえる。

ベキは敵なのか、敵じゃないのか考えさせる伏線を張っているつもりなんだろうが、それがこっちを萎えさせる。

バルカの子供達を守ろうとしているのは、若い頃に妻の望みであった子供の乃木を失ったという悲劇からくるもので、確かにベキには同情すべき点もあるけど残虐な悪いやつだから倒す、しかもその実の息子が、ということなら、まだ面白くなったかもしれない。

最終話でそこまで持っていくつもりなのか?

急展開だが、やるだけやってみればいい。

ビヴァンの各話で共通することは、どんでん返しをやることばかりに気持ちがいっていて、目の前のドラマをガツンと見せられていないことだ。

もういまさらどうこうしようもない。

最終話で全て取り返すつもりで頑張って欲しい。

緊迫感のない乃木への尋問シーン

終盤で、乃木が潜入捜査していたことがバレたが、また乃木は不自然に驚いている顔をしていた、萎える。

そして、もう一人の強い人格が「言うな、言ったら殺されるぞ!」と言っていたが、助けてやれと思った。

というか、今まで弱い人格だったのか?

大金をせしめている時だけ強い人格だったのか?

もうぐちゃぐちゃじゃないか、訳が分からない。

ノコルが、他の隊員が生きているのはどういうことだ?と乃木に詰め寄っていたが、あんたがちゃんと確認してないんだからそりゃそうだろう、こいつ何言ってんだ、と思った。

実はノコルは乃木側だったという伏線を張っているつもりか?

というか、乃木が勝手に撃っただけで、ノコルが乃木の手下で、殺しとけと指示したならまだ分かるけど、めちゃくちゃ不自然なセリフだ。

ベキはなぜ気づかない?

ノコルがどっち側だったとしても、乃木の演技も含め、すごく不自然なシーンで心奪われない。

見ているのが恥ずかしい。

このシーンにも緊迫感がないので、乃木をベキがどう処分しても、目を見張る展開にはならなさそうだ。

次が最終回ということだが、勝手に12話くらいまであると思っていたから驚いた。

終わるとしたら唐突な気がするが、唐突な展開はビヴァンの十八番だろう。

今まで1話1話ガツンと見せることをおざなりにして、数々散らかした設定がどう集約するのか、最終回で見せてもらおうじゃないか。

正直もうこの変てこなドラマが見れないと思うと少し寂しい気もする。

「VIVANT(第10話-最終話)」が“つまらない☆1”理由と考察、その感想

息子には甘かったベキ

最初の15分で、ベキは乃木を許し、乃木の潜入捜査に気づいていたことを明かしたが、乃木に黒須を撃たせた時に、ベキが乃木を生かしておいた理由が明かされず、訳が分からなかった。

潜入捜査だと、乃木が誰も殺してないと分かってから生かしておいたのは分かるが、分かるまではなぜ生かしておいた?

乃木は黒須を殺さなかったけど、別班を裏切ったわけだろう。

仲間を裏切る者は、たとえ息子でも許さないって言ってたけど、息子には実は甘いのか?

というか、息子と判明する前もすでに甘いので、よく分からない。

黒須は拷問されても仲間のことは吐かなかったってベキに褒められていたけど、乃木には2回拳銃を撃たせて、入門テストされて終わりか?

嘘発見器とかで調べれば調べるほど、別班を裏切ったと事実が強まるし、訳が分からない。

「お前は別班としてここに来たのか?」とベキに詰められ、「父に会いたいから来ました」という問答を繰り返し、それが嘘発見器で本当と出ているなら、そこで殺さなきゃいけない。

ノコルは「嘘発見器なんていくらでも誤魔化せる」と他の検査もやり続けたが、人を殺すのが嫌だったのか?

DNA検査をして、親子だと分かって認められた時、完全に別班を裏切ったということが確定したわけだろう。

例え息子でも仲間への裏切りは許さないというのは口だけだったようだ。

仲間を裏切るやつは許さないなら、8話でもし黒須を殺していたら、ベキは乃木を殺していたのか?

わざと乃木は弾を外したけど、その時ベキはどう思っていたのだろう。

例え乃木が弾を外しても、仲間を殺す意志があると感じたなら殺してたのか?

でも乃木が黒須を撃つのをすごい顔してためらいながら撃っていたから、仲間を簡単に裏切れない奴だと思って生かしたのか?

じゃあそんな顔をしつつも、たまたま黒須の頭を直撃して殺してしまったら、ベキはやっぱり乃木を殺したのか?

ためらいながら撃ったけど、結果黒須を殺さなかったから合格か?

一発目が当たってたら不合格、2発目も弾が入っていて2発目で殺しちゃっても不合格?

乃木が「分かりました」と何のためらいもなく、黒須の手や足、胸を撃ち、頭を打とうとして弾切れで、かろうじて黒須が助かったら合格か、明らかに殺す意志は見せても?

そもそも、拳銃を渡されても、「仲間を撃つことはしません」って言ってればいけたのか?

でも黒須は拷問されても、仲間のことは一切吐かなかったから生かされていた。

じゃあなおさら、あのシーンで乃木にだけ2回撃たせただけで終わらした理由がない

もっと執拗に黒須を殺せと迫らないと一貫性がない。

それでも乃木が黒須を殺さなかったら合格ならまだ分かる。

乃木が生かされていたのは、黒須を殺さなかった、命を奪わなかったからか?

別班を裏切ること自体はお咎めなしか?

ベキ自身は、金を横領したやつの命を奪っているが、組織に足がつかないために殺した訳で、そういう形で命を奪うのは良いわけだ。

ちゃんとした理由なく命を奪うのがダメなのか?

じゃあもし乃木が他の別班隊員の命を奪って潜入捜査しに来てたら、それは理由があるから良い、とはならないのか?

他の4人を殺してたら軽蔑に値する、と言っていたから、それは理不尽な殺し方にということか?

でも日本国民を守るために他の4人を殺すとしたら、それは理不尽ではない、他にやり方はあるだろうが。

そもそもテントがテロ活動してるから悪い、テントのせいな訳で、それでも裏切りは許さないってか?

筋があるようでない。

「裏切りは軽蔑に値する」とか、ベキは悪を超えた信念があるように見せたいのかもしれないが、設定が雑なので、深い人間には見えない。

9話でもそうだったが、ここでもまだ善には振り切れてないので、このシーンも魅力的ではない。

命がけで潜入した乃木をベキは褒めていたが、むしろ命がけだったのは他の4人の別班隊員だ。

なぜかたまたま死体処理されなかったから助かっただけで、限りなく死に近かった。

というか、ノコルがその隊員の生死を確認しなかったことは回収せずに放置か

ノコルが単にヌケサクだった、というままになってしまい、不憫だ。

次のシーズンで、実はノコルは、とかなるのかな?

ちなみに、乃木が任務で仲間を撃ったことにずっと気が付かなかった黒須は、別班失格だ。

捕虜になって結構考える時間あったのに。

乃木に裏切られて怒っているフリをしているわけではなかったのか

冷める演技の応酬

この話では、登場人物の感情が高ぶるべきクライマックスだから仕方ないが、冷める演技がそこかしこにあった。

良い俳優が出ても、やり方次第でいくらでもこんなになるんだ、と怖くもなる。

まず、乃木が二重人格と話したあと、ベキを逮捕するとベキに告げ、ベキ、ノコルと話すシーン。

乃木が感情高ぶり泣き、ノコルも涙するシーンは、恥ずかしくて見ていられなかった。

みずから泣こう泣こう、泣きに行こうとする演技ほど、演技演技するものはない。

まず、そこまでベキと乃木の絆の強さを描けていない。

それは、ベキが善に振り切れていないのもあるし、二人の関係性が分かる描写、ケンカしたり、仲直りしたり、助け合ったり色々すったもんだの描写もない。

テントに来てやたら日数だけは経過しているが。

まだ善に振り切ってしまえば、そういった描写も入れられるし、このシーンも見方が変わっただろうと思う。

だけどそんな描写もなく、ベキは悪よりだと思っているのに、唐突に持ち出された何十年ぶりの父子の関係性が逮捕で帰結すると提示され、みんなでボロボロ泣かれても、非常に白けてしまう。

むしろ、テロリストと別班という相対する相手に、お互い涙など見せずに、お互い利用し合って散っていく、という方が潔くて粋だ。

お互い敵として表上は振る舞っているけど心の底では、という方が格好良い。

涙を見せれば感動するだろうってなんとも浅はかだ。

最後のシーン、乃木が拳銃をベキに突きつけ、話をするシーンも乃木の泣こうとしている感じが冷める。

裏切りもののゴビは、ビックリするほど大根だった。

今まで抑え気味の演技だったから分からなかったが、大きい声を出すと極端に嘘くさくなる。

中盤から終盤で、フローライトの採掘権をめぐる、ほぼ半沢直樹のシーンで、会議室でノコルに大声を出すシーンは、まるでコントの演技で、非常に冷めた。

藤原竜也の再来と言わんばかりだ。

一体誰がOKしたんだ、ちゃんと演出しないと俳優は損するだけだ。

野崎も、乃木が言った意味深なことに気づき、チンギスに大きい声を出すところが、なんとも薄っぺらかった。

顔はどんどん髭が濃くなって若かりし日の草刈正雄みたいなのに、肝心なシーンでこれか。

大きな声を出すって単純だけど難しいんだろう。

野崎はやっぱり普通のセリフもゴニョゴニョして迫力がないので、良いスパイスにはならない。

長台詞なんて特に聞いてられなかった。

一方、乃木はやはり感傷的な感じよりも、怒りが混じってしゃべる演技は良い。

堺のように、大声を出さなくても怒りを表現できるしゃべり方を、俳優は各々みんな身につけた方が良い。

堺のうわべを真似するんじゃなくて。

大声は大声で、怒りが混じっている時は別に変にはならない。

役所広司はベキの人物像がなんとも残念で、物語を盛り上げる軸にはなり得ていないけど、演技的には浮いた所もなく味があって非常に良い。

というか、物語自体が盛り上がってないからそもそも軸などいない、安心して欲しい。

役所広司は悪くないだけに、宝の持ち腐れというか、もったいなかった。

ノコルも、嫌味な感じは良いけど、泣いたり、大きな声を出す所は薄かったし、人物としてヌケサクだったし、二宮の良い所はあんまり出てない感じだった。

この話では、乃木の二重人格二人が会話をしていたが、「やっと出てきてくれたね」みたいなことを弱い人格が言っていたから、今まで弱い人格だったんだ、と思った。

強い人格出てきてなかったなら、弱い人格でずっと行けるじゃないか。

強い人格が全然出て来てなかった、というのも伏線で、ヴィヴァン2は強い人格が全編にわたって出るとかなるのか?

だってそうじゃなかったら、今の所二重人格はあってないようなものだ。

というか、二人いるときだけ、過度に弱い人格と強い人格が出てくる。

二人いるときだけメリハリつけといて、後は特に二重人格は意識しない演技をしていたとしたら、それこそうわべも良い所だ。

「二重人格も入れちゃえ」「面白いですねそれ」「ガハハハ」ってノリで入れてるのか?

視聴者もずいぶんとナメられたもんだ。

ちなみに、この話の中で一番光ったのは、チンギスだった。

チンギスは、そもそも日本人と違う気性なんだろうが、演技も浮かないし、それどころか、落ち着いて大臣を諭すクールな演技も出来て、一番良かった。

1話のような荒くれ者的な演技も出来るし、10話のようなクールな演技もできるって、実に多様だ。

しかも全然あざとくなく自然で、存在感もある。

キャラクターはだんだん協力的な方に傾いて来たのは気になるが、変な不自然さはない。

サブキャラだからそこまで露出が多いわけじゃないというのもあるけど、一貫してその役のクオリティをキープ出来ていると思う。

ドラマって脇役も含め、基本ああいう人達で、全員固めなきゃいけない。

日本人俳優ってほとんど、俺のほうがうまいって思ってそうだ。

ベキの側近のサングラスの人は胡散臭かった、もう少しどんな人間かわかる描写や演技が欲しい。

髪の長い大柄の男の人は、特に浮いてないし、悪くないけど、チンギスほどのナチュラルさ、存在感はなかった、普通だ。

回収された謎、回収されない謎

野崎が乃木の残した謎を解いていき、乃木はハリー・ポッターのスネイプのような二重スパイであることに気づいた。

つまり、敵側に潜入捜査していたスパイが寝返った、もしくは元から敵側だったと思わせて、最終的に実はやっぱり味方だったということだが、今さらなるほどとも思わない。

スネイプというアイデアを謎解きの一つの要素に使ったに過ぎないんだろうが、稚拙に感じた。

それは、乃木が完全に寝返ったかもしれないと思えた可能性は、7話のラストで、「僕の気持ちが君に分かるのか」などと黒須に叫んだあのシーンくらいだ。

ものすごく短い時間だ。

8話では躊躇しながらあざとく黒須を生かしているし、8話の後半ではもう潜入捜査感が出てしまっている。

本当にただ父親に会いたかったんだ、と8話、9話でガッツリ思わせていたならまだ分かるが、その描写も中途半端なので、全くスネイプにはなり得ていない。

そもそも7話もリアルな雰囲気で抜け目のない緊迫感が続いたわけではなく、いざテントに乗り込む、という期待感をあまり盛り上げられていないまま、突入のタイミングで裏切った、ただハシゴを外しただけなので、もう乃木が悪側になる前から失敗している。

7話を見終わって「何だこの展開」という萎えた感じだったので、スネイプが悪側だったと分かった時ほどの説得力はない。

スネイプは、最初からずーっと見事に、なんか嫌な先生で、でも先生だし、助けてくれる時もあるから悪い人ではないだろう、という絶妙なバランスの前フリを、その独特の陰鬱な演じ方、振る舞いでやり続けていたので、悪に回った時に、そりゃそうだよなと納得できると共に、敵としての怖さ、恐怖感も感じた。

一方乃木はただの変なやつだった、理由が「父に会いたい」はもうめちゃくちゃだ。

ただ、それまでの乃木も二重人格だったり、弱いくせに柚木に対しては「抱きしめましょうか」と変に強い感じもあり、人格に統一感がない分、あながち7話終わりのファザコンキャラは、全くないとも言い切れない。

だからせめて、8話で乃木がどれだけ父という存在に憧れていたか、父を探すために別班に入ったなどのエピソードを入れたり、そのファザコンキャラを全面に強く押し出して印象付けるべきだった。

そのためには黒須の命なんてどうでもいいくらいの勢いで、やっぱりあの黒須との監獄のシーンで乃木は臨むべきだった。

しかし、そんなこんなもなく、ヌルっと潜入捜査に入っているので、そりゃどっちつかずになる。

潜入捜査頑張れとも、乃木はとんでもないやつだ、ともどっちにも強く振り切れていない。

スネイプの本当の姿を知ったら、涙なくして見ることは出来ないが、乃木を見ていて涙腺は緩まない。

乃木は最終話でも泣こう泣こうとしていたが、スネイプはそんなことしてなくても訴えかけてくる。

JK・ローリングが、スネイプは影の主役だ、と言っていたが、スネイプはハリー・ポッターにおける表の主役だと思う。

この監督は、世界を驚かせたいと言っていたらしい。

確かに世界は驚いている、違う意味で。

これがハリー・ポッターを見てスネイプに感動した人の作る作品か?

ハリー・ポッターは6作に渡って10年以上かけて作ったわけだから、10話に詰め込むのは難しいし、彼らがどんなに年月かけたところで、という感じだ。

二重人格しかり、潜入捜査、柚木との恋愛シーンしかり、上澄みを散らかしただけ散らかして、それぞれの要素が浮いたまま、何もガツンと集約していない。

乃木が泣いたのは何だったんだ、あれ以上でもあれ以下でもないのか?

あの純愛のシーンはあれはあれで独特の味があるが、全体でつながっていないから、後々効いて来るわけでもない。

新庄がテントの一員だったことも、何も思わない。

新庄に信頼が置けるほどの人間らしい魅力的な描写もないから、そもそもちゃんと騙せていない。

穴だらけでまるで小さい子に書いてもらった脚本のようだ。

むしろ、小さい子が書いていたとしたら、よく書いた、と褒めたい。

世の中のことをあまり知らないはずなのに、ここまで書けただけすごい。

これを大人が、日本で最高峰のドラマ制作のスペシャリスト達が集まって作っているから不可思議だ。

もし、この脚本を何かの賞に応募しようものなら、あまりに稚拙で相手にされないレベルだろう。

それがなぜか日曜日のゴールデンで堂々と流せてしまえる。

独裁体制なのか?

物足りない最終親子対決

最終的にベキと乃木が日本で親子対決したが、物足りないラストだった。

せめて、ベキが激しく怒り狂って暴れて欲しかった。

それも取ってつけたようになるけど、当時の幹部に醜い憎悪をぶちまけて、そのおじいさんの手とか足とか撃って、わざと乃木に自分を撃たせて死ぬくらいの散り際が欲しかった。

ベキが優しい感じを出しすぎて緊迫感がない。

あの幹部はきっと悪いやつなんだから、そのくらいの描写があったっていい、その人のことはよく知らないけど。

結局あの幹部は無傷で、病院で別班への悪態をつき、野崎が諌めるが、野崎の諌め方もゆるいからスカっともしない。

ここは野崎の見せ場じゃないのか?

何だこのモヤッとした終わり方。

乃木が日本国民を守れなかった、という描写を入れたくなかったのか、早々に乃木がベキらを撃って終わらすのは物足りない。

ベキたちがあの幹部を拷問している場に乃木が駆けつけて怒鳴り合いになって、その幹部をついに殺そうとした家紋の入った甲冑を着てるベキを、やむを得ず殺さざるを得なかった、とかの方が良かった。

しかも、また本当に死んだのかも分からない終わり方で、潔くない。

乃木の拳銃の技術を持って、つい殺してしまう訳がないし、本当に殺してなかったらあの抱きしめたラストもゆるまる。

最後の最後までちゃんと見せないじゃないか。

また伏線を張ってるのか、もう伏線はコリゴリだ。

ビヴァンを見終えて

ついにビヴァンが終わった。

おかげさまで色々考えることが出来たので、今思えば見て良かった。

期待感がないので、見続けるのはエネルギーがいる。

よく見たと思う、2話3話は飛ばしているけど。

なんで今まで日本ドラマを見ようと思わなかったのか、その一端が垣間見れた。

その本質を欠いたリアルでないドラマ描写や空気感、音楽も合わさった安易な演出など、何となくテレビをつけていても、目が止まらない。

そもそも見ようかなという気持ちに自然とならない。

きっと、それを感じられる人は、わざわざそれがつまらない理由を言葉にする面倒くさい作業をせず、他のチャンネルにしたり、ユーチューブやネットの配信サービスにスッと行ってしまうだろう

テレビ離れを招いているのはテレビそのものだ。

自分としては、和製イーコライザーとか、現代版仕事人とか、シンプルな話しの方が良いんじゃないかと思った。

制作費数億円、海外ロケ、豪華出演陣、など大風呂敷を広げた割に感がすごい。

普段は頭の上がらない平社員で、夜な夜な、反省してない性犯罪者とか、子供に虐待を繰り返す強面の父親とか、はたまた死刑になりたいという理由で通り魔をやる奴とか、そんな連中を容赦なく成敗していくなんて、スカッとしないか?

暴力で、ではなく堺なら言葉でそれが出来る、オプションで必要な時はもちろん闘って欲しい。

得意の剣道でも良い。

成敗するだけじゃなく、成敗したあとは更生させるための道もサポートしたりすれば良い。

正義感の強い怒り方が出来る堺にぴったしじゃないか、2面性もあるし。

過度に弱々しい演技は嫌だけど、堺なら出来るだろう。

お金だってそんなにかからない。

世界的なテロの標的になっているとか、日本にその脅威が全く無いとは言わないが、もっと身近な悪は沢山いるから、それらをやっつけて欲しい。

日本ドラマの現状

このドラマは視聴率が良かったらしい。

今までの最高視聴率14.9%、最終話視聴率19.6%、TBS史上無料配信最速で1000万回再生。

どういう数え方をしているか分からないが、本当にそのまま1000万人が見ていたかどうかわからないし、仮に1000万人以上が見ていたとしても、その人達が全員絶賛しているとも思わない。

1億人近くは見てないわけだから。

しかし、なんとも怖い現象だ。

みんなこのドラマの奇妙さをニヤニヤしながら楽しんでいるのか?

もし普通に面白がってと考えたら、本当に背筋が凍りつく。

茶化しているわけではなく、自分の星じゃない、常識が通用しない、異世界を覗いてしまった恐怖感だ。

別にリアルとか演技なんてどうでも良い、とにかく伏線散りばめときゃ盛り上がんだろう、的なこのドラマは、日本国民達によって免罪符を得た。

コメントにもあるように、今後こういったドラマを、テレビ局は味をしめて増やしていくかもしれない。

視聴率が良いから、俳優たちは、制作側は十分にお金をたくさんもらって食べていけるから、なんでダメだったのかなんて、思えるわけがない。

喜び歌い、舞い踊り、何にも気付かず疑わず、成功を祝って宴を繰り返していることだろう。

実におめでたい、最高の賛辞を送りたい。

このドラマに関わっている制作陣、俳優陣の中で、人に言えない違和感を抱えたまま参加してる人は一人もいないのか

何だこれ、と思いながらも、お金もらって食べていければそれで満足なのか?

誰も良いもの作るために闘おうとせず、監督がそう言うなら、に従うだけなのか?

それはそれで、監督に全責任を押し付けてるようで、冷たいとも言える。

今話題の沈黙するマスコミも、このドラマ界の連中も、周りをキョロキョロ見回して、空気を読んで穏便に済ますことしか考えていないんだろう。

実に日本人らしい。

というか、気付いてないだけか、そりゃもっと重症だ。

所詮ドラマなんて作り物のエンタメ枠、俳優なんて虚業で、真剣になっても馬鹿馬鹿しいってか?

忖度するのがデフォルトなのか、それとも心の底から大成功と思っているのか。

どちらも不自然な怖い世界だ。

「視聴率は良いけど、僕はイマイチです」って言ってるコメンテーターなんて、そのテレビ局には絶対出ない。

そりゃそうか、言ったところで、変な空気になって、邪魔者みたいになるから、まだ見てないんです、というのが精一杯だ。

「ビヴァンは面白いのか面白くないのか徹底討論」とかTBS自体が特番組んだらまだ可愛げもあるし、もっと話題になってより視聴率も稼げたんじゃないか?

でも気付いてないんだから、そんな俯瞰できる視点もないか。

以前他の記事で、日本のドラマが面白くならない原因として、海外に比べて出演陣のギャラの安さがモチベーションにつながらないからだ、というようなことを言ったが、それは雑な意見だったと言わざるを得ない。

もちろんそれで自己肯定感が爆上がりして、良い演技に対する貪欲さが増す、良い方向に転がる人達もいるかもしれない。

でも、それは性善説に基づいているのが大前提で、そもそも自分の仕事が良いかどうかすらよく分かってない人が莫大な報酬を得たところで、何も学ぶことなんてない。

日本より海外が上だなんて言いたくないが、日本の場合、海外と同じ演技力、演出力があるのにギャラが安い、というわけでは全くなく、そもそもかなり劣っていてギャラも安いということだった。

そんな人達にギャラだけ高くしても、迷走に拍車をかけるだけ、良い方向になど転がるわけがない。

一番重要である見る目が、お金を払う側にも、もらう側にも欠如していているこの現状では、日本のドラマ界は雪崩式におかしくなっていくだけ。

それに拍車をかけているのが、見る目をどこかに捨ててしまった日本国民達だ。

美しい国日本をしているのは、一体誰だ。

でも一般大衆なんて昔からそんなもの、そういう人達に何が正しいのか、教えていくのが演技を始めとした芸術家達、エンターテインメントの作り手達だろう。

一般大衆の顔色をうかがいながら、視聴率に一喜一憂しだしたらもう終わりだ。

仮にギャラが安くても、視聴率が良ければそれで満足し、心潤う制作陣、俳優陣だったとしたら、それはそれでどうかしている。

中身のない数字で満足出来るなんて、ずいぶん安い承認欲求だ。

出ている俳優たちが、このドラマをお茶の間から普通に見て、どう思っているのか知りたい。

仮に強い違和感を感じていても、そりゃ仕事のためだから、「面白いですよ」とニコニコしながら番宣しなきゃいけない。

ドラマを番宣する俳優という役を役者はもう一個演じる必要があり、それはそれで地獄かもしれない。

見ている限り、とてもそんな風には見えない、本当に面白いと思って奨めているように見える。

そこはさすが俳優といったところか。

でも俳優たちがどう思っているのかなんて知らない方が良い。

これ以上失望したらどうにかなってしまう。

日本のドラマ界は自分が思っていた以上に重い病気にかかってしまっている。

もちろんこのドラマが、日本ドラマの全てだとは思わない。

ただ、日本ドラマの縮図であることに違いはない。

もし自分が学生で、ビヴァンって面白いよね、あそこの展開がこうで、いや俺は真犯人は〜だと思う、なんて会話がクラス中で楽しそうに盛り上がっていたら、自分は全く輪に入れずに死にたくなっただろう。

そんな自分に、周りが全員狂っているだけだ、死ぬ必要はない、と肩をたたいてあげたい。

コメント

  1. 通りすがり より:

    つまらないですよね、VIVAN。つまらない上にくっだらない。
    それなのになぜか日本中が熱狂している、という体になってます。気味が悪いですね。

    今週放映された「VIVAN祭り」的な特番をちらっと見てちょっと得心したのはこのドラマって
    ドラマの内容で勝負するのではなく、視聴者がネットの世界で繰り広げる「考察」を制作側が前提にしてつくっているということです。だから考察をせず、ドラマの内容だけで楽しもうとしてもまったく面白くない。単にアメリカの「24」あたりを下敷きにした薄っぺらいドラマにしか見えません。テーマ性も、制作者がなにか訴えたいものがあってドラマにしているという感じもゼロ。
    思わせぶりな場面や唐突で意味不明なセリフなどは、まさに「考察」するネットユーザーをターゲットにしたギミックでしょう。中心を貫くテーマ性やストーリーがあってこそ、本来「考察」したくなるものなのですが、今の視聴者はそうではないらしい。「考察」を主目的にドラマを見る層がいるようです。

    今回のVIVANはそうやって一定の成功を収めているようなので、今後もこういうくっだらないドラマが増えるんでしょうね。

    ところで堺雅人の演技についてですが、これについては異論があります。
    「新撰組!」 の山南啓助、「その夜の侍」の主人公など優しくどちらかといえば弱々しい男性の中にある芯の強さのようなものを演じさせると、今このひとに並ぶ役者はいないんじゃないかと思います。半沢とか古美門みたいなトリックスターの役ばかりが注目されますが、逆にふった方がこの役者さんの真髄ではないかと。

  2. 今年一番の駄作 より:

    自分も同じような感想です
    何とか我慢をして最後まで観ましたが、まさに『陳腐』という言葉が一番当てはまる駄作だと思います
    監督がスター・ウォーズファンで、スター・ウォーズのキャラに当てはめてるとかいうXでの推測を見てゾッとしました
    あんな議論をしている者達の輪には入っていけません
    もっと世の中には素晴らしい作品があるよと教えてあげたくなってしまいます

    次回作があったとしても、松坂桃李や二宮和也といった、作品に恵まれればそれなりの演技が出来る俳優達には仕事を受けてもらいたくないです
    この監督が作った作品に出演しても、俳優としてのキャリアに傷が付くだけだと思います

  3. kazu より:

    見なくて良かった。

  4. よく眠れます より:

    見ていて毎週、寝落ちしてました。
    ドラマ的には緊迫感あるシーンだったのかもですが、無理でした。すべてが薄っぺらすぎるし、パクリだらけ、オマージュ?ふざけるなと。世間のVIVANT続編望む声!みたいな風潮にもウンザリ・・・

    しかしここまでつぶさに考察する気力があることに驚きます。ドラマ愛ゆえですか?

    これはいったい・・ただの世代GAPなんでしょうかね。
    みんな、いいドラマ、いい映画を知らないのか、な?