映画「シリアル・ママ(1994)」が“物足りない”理由と考察、その感想

④物足りない☆2

シリアル・ママ 英題:Serial Mom

監督-ジョン・ウォーターズ 1994年 95分

脚本-ジョン・ウォーターズ

出演-キャスリーン・ターナー、サム・ウォーターストン、リッキー・レイク、マシュー・リラード、トレイシー・ローズ、ジャスティン・ホーリン、ミンク・ストール、メアリー・ジョー・キャットレット、パトリシア・ハースト、他

映画「シリアル・ママ」のあらすじ

ボルチモア郊外の閑静な住宅街に住む主婦のビヴァリーは、歯科医の夫、ホラー映画が好きな息子、彼氏がいる娘を持ち、完璧に家事をこなす、誰もがうらやむ良き母である。

ある日警察が家に来て、隣の家が受けているイタズラ電話の嫌がらせに心当たりはないか?と聞かれるが、何もないと答え、警察は引き返す。

その後、家族も家から出て、一人になった途端、隣人に電話をかけ、口汚い言葉で罵るビヴァリー。

犯人はビヴァリーであり、隣人の車の運転の仕方に腹を立てたビヴァリーが嫌がらせをしていたのだった。

ビヴァリーは社会マナーやルールを守らない人間を許せない性格だった。

その後も、家庭環境に問題があると言った息子の担任の教師を車でひき殺し、浮気をした娘の彼氏を刺し殺し、ビデオレンタル屋で借りたビデオを巻き戻さずに返却する老人などを次々と手にかけていく。

ビヴァリーは自分の正義のため、家族のために躊躇なく殺人を犯していくのだった。

“物足りない☆2”理由と考察、その感想

思ったよりスカッとしない

ツタヤの発掘良品で借りた作品。

怒りに任せて、自分の邪魔になる存在を次々と殺してしまう、狂った母親を描いたコメディ。

いかにもアメリカのコメディといった感じのコメディ。

平然と気に入らない人間を殺しまくって、びくびくせずに、堂々としている感じが、おかしさをより引き立てて良い。

序盤で、嫌がらせの電話をしているのは自分なのに、警察に平然と対応し、電話をしている相手にもニコニコ接する所など、裏表のあるこんな頭のおかしい人いそうだなと、惹きつけられた。

しかし、良かったのはそのくらいで、躊躇しない殺しっぷりは気持ちが良いものの、動機がしょうもなさすぎるので、いまいち面白く感じられなかった。

終始緊張感のない雰囲気なので、特にハラハラしないまま、ずっと進んでいく感じ。

しょうもないことで殺してしまう、というのがミソなんだろうが、もう少し、ムカつく感じの人間を殺してくれたら、ブラックユーモアとしてすかっとする感じがあって良かったんじゃないかと思う。

最初に殺した先生も、もっと嫌な先生だとか、分別しない隣人も性格が悪いとか、そういいうことがないまま殺してしまう感じが、もうルールなどない感じで、ただただママが殺していく様を見ていく感じになってしまう。

バードウォッチングを邪魔して鳥を食べていた夫妻、娘をふった元彼氏、自分の犯行の目撃者などなど、殺されるほどか?という人達まで殺してしまっているので、なんか違和感がある。

ルールを守らないモラルのないやつというピンポイントのテーマではなく、自分の不利になる、家族の敵も殺す、というぼやけたルールも途中から加わってしまっているので、グズグズになっている。

殺す理由をもう一歩進めて、これだから殺した、という筋が通っていれば、もっとママを見ていて楽しめたと思う。

なので、やりたいことは分かっても、うわべをなぞった感じでスカッとはしない。

あるある、こういうやつ腹立つよね、という人間を映画内でたくさん殺して欲しかった。

家族でなく赤の他人が受けた被害ですら、ムカつく、ということで手にかけても良かったと思う。

その方が話がもっと広がっていくだろう。

自分の家族ですらルールを破ったら許さないとかでも面白い。

なので、いまいち振り切れてない感じが物足りない。

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