映画「ストーカー(2002)」が“物足りない”理由と考察、その感想

④物足りない☆2

ストーカー 英題:One Hour Photo

監督-マーク・ロマネク 2002年 98分

脚本-マーク・ロマネク

出演-ロビン・ウィリアムズ、コニー・ニールセン、マイケル・ヴァルタン、他

映画「ストーカー」の簡単なあらすじ

写真店で働く中年男が、ある家族をストーカー行為で追い詰めていく、サスペンスドラマ。

大型スーパーの写真店で働く独身の中年男サイは、客が持ってくる写真を通して自分も客の人生に参加しているような気分を味わいながら、日々誇りを持って写真を現像していた。中でも三人家族のヨーキン家はお気に入りで、いつも勝手に水増しして写真を印刷し、家族写真を自分の家の壁一面に貼っては自分が家族の一員であるような妄想にふけっているにやにやしていた。

そんなサイは妄想だけでは飽きたりず、実際に家族と近づこうと、ヨーキン家の母親ニーナを特別な客として扱ったり、息子ジェイクにプレゼントを渡したりしていた。

だんだんと行動がエスカレートしていく最中、写真店での水増しがばれてしまいサイはクビになってしまう。

落ち込んでいたサイだが、女性客が持ち込んだ写真を現像し、愕然とする。

その写真には、ヨーキン家の主であるウィルの浮気現場が写っていた。

まるで自分の家族のことのように傷ついたサイは、ヨーキン家の写真にわざとウィルの浮気写真を紛れ込ませ、家族内での争いを起こさせようとする。

その写真を見たはずのニーナはそれをウィルに問いただすことはなく、サイの思惑ははずれる。

業を煮やしたサイは、自身のスーパーから盗んだ大型ナイフを手に、とんでもない行動を起こす。

果たしてヨーキン家の運命は?

サイの起こした行動とは?

ロビン・ウィリアムスが演じる狂気をご覧あれ!

“物足りない☆2”理由と考察、その感想

写真現像屋で働くおじさん

良い人役が多いロビン・ウィリアムズの悪役映画。

米題だと、「一時間で出来る写真」という、ちょっと前に日本でも流行った「即日仕上げの写真」という意味のようだ。

邦題だとなぜか思いっきり「ストーカー」という犯罪をにおわせるタイトルになっている。

今はもうプリント屋さんというのは日本でも少なくなっているが、写真をよく現像していた時代ならではの発想の映画だと思う。

写真を現像するということは、写真屋さんに撮ったものを全部見られるということだ。

ずっと同じ地域で写真屋をやっていれば、おのずとその人のプライベートが分かってくるのもうなずける。

自分もまるでその家族の人生に関わっているという、サイの気持ちは分からなくもない。

ロビンの悪役

序盤の妄想のシーンか現実か分からないところは、気持ち悪さが出ていて良い。

自分としては、おどけているロビン・ウィリアムズより、こういう奇妙な役の方が合っているんではないかと思う。

こういう人はごくごく普通にひそんでいて、一見普通なのに何かのきっかけで行き過ぎた行動に移してしまうという感じはリアルだ。

一見普通だから誰にも考えていることはばれないし、むしろ良い人の扱いをされて社会で生きている。

ちょっと変わってるけど良い人だ、なんて思われているが、そんなことはない。

サイの心に潜む闇の部分がサイのアイデンティティであり、生きる糧にもなっている。

が、全編を通してみてみると、そこまで悪い人ではない。

もちろんやっていることは異常だが、最後の行動の真相で、狂気の部分が減ってしまった。

前半が嵐の前の静けさで、おかしな普通さというものがいい感じで漂っているだけに、後半のサイの変わり方が期待外れだった。

なぜこうしたのだろう?

結局いつも通りの良い人になってしまう。

もっと、どろどろした闇の部分に一直線で行ってほしかった。

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