あなたがしてくれなくても 第一話
プロデューサー-三苫玲子 放送日-2023年4月13日 毎週木曜日22:00~22:54
脚本-市川貴幸、黒田狭
演出-西谷弘
出演者-奈緒、永山瑛太、岩田剛典、田中みな実、さとうほなみ、他
ドラマ「あなたがしてくれなくても」のあらすじ
建築会社に勤めるOLのみちは、喫茶店を経営する夫の陽一と仲良く暮らしている。
みちが唯一気がかりなことは、夫婦の営みが最近減っていることで、あの手この手で陽一を誘うも、陽一はいつもつれない態度を取る。
子供も欲しくて、2年もそういうことがないことに焦りを感じているみちは、我慢しかねて陽一を問い詰めるも、陽一はいつものようにはぐらかして逃げてしまった。
結婚し、一緒に暮らしているだけで贅沢なんだ、と自分に言い聞かせ、やりきれない思いを胸にしまい込もうとしたみち。
しかし、夫婦関係の相談にのってもらっていた上司の新名に見抜かれ、慰められ、新名から「自分達の夫婦もそうなんだ」と告白を受ける。
一方、陽一の喫茶店には、昨日陽一がコーヒーをあげた女性警備員が訪ねて来たのだった。
“物足りない☆2″理由や考察、その感想
下品なオープニングに腹が立つ
夫婦間のレスをテーマに描いたこの作品。
第一話が放送されて、冒頭で夫婦が抱き合ってイチャイチャする描写、~レスという言葉、あの人たち~してないんだって、という下世話な会話などが次々にお茶の間に流れて、その下品さに腹が立ってチャンネルを変えた。
どうせ、下世話なテーマを扱って話題を誘っているだけで中身がないんだろう、演技は下手な癖に、うわべだけアメリカとかの感じを真似しているのかと思った。
腹が立ちすぎて、逆に見てやろうと思って慌てて録画した。
奈緒の自然な演技
奈緒の自然な振る舞いは非常に良い。
終始演技に見えないし、岩田剛典の演技が一本調子でも、奈緒が自然だから二人とも自然な会話をしているように見える。
瑛太はいつも通り普通、惹きこまれるわけでも下手な訳でもない。
存在感がある様でない、ないようでなくはない、空気のような感じ。
主役だと物足りなさは否めない、なぜかそこそこドラマに出ているけど。
今回の役は瑛多の素に合っている感じもするが。
岩田はめちゃくちゃ大根とかではないけど、もう他にいくらでも代役がきくような、セリフを言っている個性のない演じ方。
ただの爽やかなイケメン、若さというか幼さというかが出てしまっていて、仕事が出来る上司には見えない。
せめて若いならもう少し切れがある感じに、もしくは少しおじさんで素敵な、包容力のある上司にして欲しかった。
でも若者から中間層をターゲットにしているなら、こういう若いイケメンとの恋を描かなければ見ないんだろう。
逆に、こういう人を出してさえすれば、視聴率を稼げるんだろう、演技はさておき。
テレビ局は良いものを作りたいんじゃない、視聴率を稼げるものを作りたい。
だから、芸人だって歌手だって、なんだって、有名になればドラマに出れる、セリフを言えて引きがあれば。
だから、そのうちチャンネル登録者数が多いユーチューバーとか、ティックトッカーとかもドラマに出て来るんじゃないか?
夫婦のタブーには切り込んでいない
夫婦のタブーに切り込む、という触れ込みのストーリーだが、浅いと思った。
レスになっている、その理由は人によって千差万別で、なぜそうなっているのか、ということを掘り下げていない。
第一話で上司の新名の登場などまだ早い。
なぜそうなっているのか、みちが色々試して考えて調べて、苦悩して、もがいてという描写が欲しかった。
陽一は、そういう風に言われると冷める、プレッシャーを感じる、と言っていたが、理由は全くそれだけではない。
女として魅力がなくなった、とも限らない。
例えば、そうなってしまう理由を以下に上げてみる。
一緒に暮らしだすと、お互いの生活の全てを見ることになり、自分もまた見せることになる。
異性としてよりも家族としてという感覚になったり、人の目を意識していないその振る舞いに冷めたり、何より家は休む場所として捉えていれば、そんな気持ちにすらならない。
なくなっていく、減っていくのが普通で健全で、むしろ結婚して何年も経つのに、頻繁に定期的に、毎日そういうことがある、という方が異常だ。
人間の生活は無機質な行動を淡々と繰り返さなければいけないので、その落ち着いた生活スペースがそういうことで溢れ、毎日そのことばかり考え、色情にまみれた日々を送ることなど、ほとんどの人が出来ない。
それは、きっと一ヶ月限定で住んでみる、旅行に行く、もしくは付き合いたての若者カップルの最初の数カ月なら、お互いにそのことばかり常に頭によぎって生活し、何かのきっかけですぐにそうなる、となるかもしれない。
そういうことを常に頭の片隅に置いて生活する、というのは、本当の意味で家の中でリラックスできないし、明らかに長続きするものではない。
むしろ関係を長続きさせるために家の中にはそういったものを持ち込まず、たまに旅行に行ってそこで、とかそういう方がよっぽど健全だと思う。
女性として魅力がなくなったということが言われるが、女性としてよりも、人間として魅力がなくなれば、それは女性としての魅力にもダイレクトに通じているだろう。
大雑把に言えば態度が悪ければ、男だろうが女だろうが、一気に冷める。
それがどんなにきれいな絶世の美女でも、どんな美男子でも。
例えば、一緒に道端を歩いている時に、ちょくちょく人の邪魔になっている、他の通行人を待たせていたのに全く気付かず、その人に謝りもしない、など。
よく言われる、レストランの店員に偉そうな態度をずっと取っている、とかもそう。
バカなんだこいつ、と自分の中で思ってしまったら、もう人として興味がストンとなくなる。
そうなったら、異性としてももちろん。
後は、そういうことをする気はなくはないが、毎回自分の方から誘わないと絶対にそういう風にならない、それなのに断られたら、もういいや、面倒くさい、となるだろう。
その後に向こうから誘われても、いや、自分は今そういう感じじゃないから、都合がいいなこいつ断っておいて、と平気で突っぱねてしまい、以降何も働きかけすらしなくなる、などになるだろう。
適当に例を挙げただけでもこれだけあるのに、掘り下げられていない。
本当に嫌いだったら普段の態度が悪いはずでそうではないんだから嫌いではない、じゃあ家族みたいになってしまったのか?というか、そもそも陽一という人間を深く知っているのか?とか、色々考えている描写が欲しい。
みちはなんでなんだろうと考え、陽一にぶつけるが、逃げられたと思って、自分の中で割り切るが、早い、普通すぎる、もっともっと理由を探ってくれ。
夫婦のタブーに切り込むとか言ってるくせに、これじゃあただタブーに触れただけ。
ただ、レスという現象をドラマに組み込んだだけ。
妻がその日は女性の日だったことを知って夫がホッとしている、夫に「欲が強い」、「そういうことを言われると冷める」、「プレッシャーになっている」と言われた、EDだと嘘をつかれて逃げられた、というどっかから集めたあるあるを詰め込んだだけ。
所詮この程度、ビッグマウスで中身はふにゃふにゃ。
これならいっそ、レスの夫婦なんてあり得ない、犯罪並みに悪いことで、人間としてどうかしている、とみんな口を揃えて言っている、くらい振り切れたおかしな世界観の方が面白い。
衝撃度の低いラスト
最終的に自分の中で割り切って、もういいやと思い込もうとしたところを、新名に見抜かれ、「僕もレスなんです」と告白し、抱きしめられるみち。
すごい展開だ、みたいな雰囲気を音楽も使って出そうとしていたけれど、新名がそうなのは薄々知っている。
なぜ、この終盤までに新名の夫婦がうまくいってないだろう描写を入れていたのか?みちは知らなくても、視聴者にはネタバレしているので、新名のこのセリフが驚きを持って感じられない。
むしろ、夫婦関係が円満にいっている、相談に乗ってくれる優しい上司が、実はレスだった、という方が、第二話に向かってぐっと惹きつけられるだろう。
だから、新名のうまくいっていない夫婦関係の描写はばっさりいらない。
そして、みちが割り切る、という終盤に向かってのみちの陽一に対する働きかけや見解、苦悩も足りない。
みちの苦悩と新名の登場という両方とも描こうとして、結果的に中途半端、驚きもなくレスに対しても掘り下げられていなく、2話を見ようという気にさせていない。
1話は新名など登場させずに、徹底的にみちの苦悩を描いても良かった。
タブーに切り込むと言ってるのに、うわべを撫でるだけでどうする。
これは深いな、と思わさなくてどうする。
これが1話なんだから、なんだかなぁという感じ。
まあ、2話から観なくて済むと思うとありがたい。
警備員の女性がどんな人かちょっと気になるけど、それを見るために絶対に見るというほどでもない。
今後の展開も魅力的でない
終盤では、陽一の喫茶店には、陽一がコーヒーをあげた女性警備員が来た。
予告編では、女性警備員が陽一にキスをしている映像があった。
なるほど、今後、みちは新名と、陽一は女性警備員と、不倫する、もしくは不倫まがいのことをするんだ。
それですったもんだあったけど、やっぱり夫婦が良い、むしろ今までより夫婦の絆は強まった、という最終的な結末か。
レスだから不倫する、浅い、予想通り、そのままの展開。
レスだけど、不倫などせずに、色んな人に話を聞いて、考えて、陽一を知ろうとして、とかの方が深いのに。
結局過激な事、物議を醸す様なことをしますよ、斬新ですよ、と匂わしてるくせに、ただの不倫物か。
この1話を見て、次も見ようという人は、面白いかどうか判断できてないけど、とにかくドラマは見ると決めている人、話うんぬんよりも出演者の中に好きな人がいる人、話うんぬんよりも男女のラブシーンを見たい人、たちだろう。
それはそれでいいんじゃないか、その人達のおかげで飯を食っている人がたくさんいる。
雇用を生んでいる。
俳優も制作陣も、テレビ局もそれで飯を食っているんだろう、面白いと思って観られようが観られまいが。
奈緒は良いのに、ストーリー・脚本はありきたりでうわべをなぞった浅いもの、演出は下手、展開も予測出来て魅力を感じられない第1話。
核心をつくわけでもなく、お茶の間を不用意に凍り付かせるだけの変なドラマ。
奈緒の演技が良いので、☆2にした。
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