映画「君の名前で僕を呼んで(2017)」が“オススメ”の理由と考察、その感想 

②オススメ☆4

英題:Call Me By Your Name

監督-ルカ・グァダニーノ 2017年 130分

脚本-ジェームズ・アイヴォリー

出演-ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール、他

映画「君の名前で僕を呼んで」のあらすじ

17歳のエリオは、今年も北イタリアの避暑地に家族でひと夏を過ごすために来ていた。

大学教授の父、語学堪能な母に育てられたエリオは、母と同じく語学堪能で、文学や音楽もたしなむ教養のある少年に育っていた。

ある日、父の大学の生徒であるオリヴァーが家を訪ねてくる。

父の勧めでオリヴァーの論文執筆の間、エリオの家族と同じ別荘で一緒に過ごすことになっていた。

自分より年上で、がたいも運動神経も良く、知的でハンサムなオリヴァーに惹かれていくエリオだった・・・。

“オススメ”の理由と考察、その感想

見とれてしまう映像美

ある少年の一回り年上の男性とのひと夏の恋物語を描いた作品。

なんとも美しい風景と美しい音楽、美しい少年が美しい映像で映える。

北イタリアとはなんと美しい街並みなのだろうと感心させられる。

音楽もちょうど良く作品を盛り立てるように添えられていて、心地が良い。

舞台になっている風景が全て絵になっている感じで、見とれてしまう。

エリオの家も、来ている服も、出てくるものはみんなオシャレに感じてしまう。

自分とはもう住む世界が違うというか、ここは特に避暑地だからというのもあるだろうが、いつもこんな雰囲気に囲まれて生きていたら、そりゃ自然と感性が育まれてオシャレになってしまうんだろうなと思う。

これが30数年前であると言われても、街並みも古いままだし、家電とかも特に出てこないから、古さは特に感じない。

オシャレな人達は年代関係なくオシャレなんだろうと思う。

エリオの家庭は裕福であるから、余裕があるというのもあるだろうが。

エリオは違う惑星の住人

若者のひと夏の恋として、切ない思い出のようなものを美しく描いているとは思うが、エリオのことを特に好きになれなかった。

思春期の頃は何かと異性に対して、自分が気になる人に対して、近づきがたいものだと思うが、エリオの場合はそういった壁のようなものが何もない。

女友達にでも普通に膝枕をしてもらったり、好きだと思う人にはガンガンアプローチしていったり、壁がない分思春期の見ているこっちが恥ずかしくなるようなもじもじした感じもなく、エリオの思う通りに進んでいく感じが、ドラマとして物足りなく感じた。

外国人であるということを考慮しても、いわゆる一般の思春期の感覚とはかなり違うものがあり、共感するとかそういうことではなく、まるで違う惑星の住人を見ているような感じだ。

育ちもかなり裕福で、両親も同性愛に理解があり、かなりのレアケースだと思う。

かといってリアルでないということではなく、これはこれで絶妙に成立しているから、夢物語を具現化した理想のモデルとしてアリなんだとは思うが。

エリオのように開放的に生きられたらと頭をよぎる反面、そのフットワークの軽さが何か大事なものを失っているような気もする。

オリヴァーもオリヴァーで、婚約者がいるのに、エリオとさして抵抗もなく関係を持ってしまうというのは、そういう人達の世界ではアリなことなんだろうか?分からない。

エリオは語学堪能でピアノもひけて、魅力的だけど、ふらふらと思うがままにどこかへ行ってしまう感じ。

笑っていても本心じゃないと言うか、その捉えどころのない雰囲気がミステリアスで魅力的なんだろうが、どんな人間かという所までは分からない。

思春期を描いたというよりも、エリオという独特の存在を描いたドラマになっている。

エリオ様という新しいアイドル像を作り出したというか。

ティモシー・シャラメの体当たりの演技

エリオ演じるティモシー・シャラメの演技はナチュラルであり、演技しているようには全く見えない。

役者だから出来て当たり前と言ってしまえばそれまでだが、もしティモシー・シャラメは同性愛者でないとしたら、かなりの体当たり演技で、中々出来るものではないと思う。

もしかしたらティモシー・シャラメ自体エリオのような存在なのか?

まあ彼の嗜好がどうであれ、演技がナチュラルであるということが重要である。

オリヴァーから久しぶりに電話をもらい、結婚することを告げられ祝福するものの、やりきれない思いを抱えたまま暖炉の火を見つめている姿などなんとも味がある。

エリオだけでなく、オリヴァーや両親や、出演者みなナチュラルで非常に見やすい。

エリオの父が、エリオとオリヴァーの関係に対する意見を、エリオを包み込むように言うシーンもなんとも格好良かった。

コメント