インヒアレント・ヴァイス 英題:Inherent Vice
監督-ポール・トーマス・アンダーソン 2014年 149分
脚本-ポール・トーマス・アンダーソン
出演-ホアキン・フェニックス、ジョシュ・ブローリン、オーウェン・ウィルソン、キャサリン・ウォーター・ストン、ベニチオ・デルトロ、他
映画「インヒアレント・ヴァイス」の簡単なあらすじ
1970年代のロサンゼルス。
病院の一室で探偵業を営むヒッピーのドックに、ドックの元彼女であるシャスタがある依頼を持ち込む。
シャスタは現在不動産業の大物ウルフマンの愛人であり、ウルフマンは失踪、その原因がウルフマンの妻と妻の愛人にあるんじゃないかというものだった。
早速調査を始めたドックだったが、調べ始めた事件は予想以上に根深く、翻弄されていくドック。
知り合いの弁護士の協力を得ながら、エキストラをやっている警部補、ウルフマンの取り巻き達など、個性的な面々と対峙しながら調査を続けていく。
ドックは事件の真相にたどり着けるのか?
“見て損はない☆3”理由と考察、その感想
不思議な映画
うーん、実に取りとめのない映画だ。
見終わって、これという感触がない。
もちろんストーリーはあるが、あってないようなもので、あまり重要な要素にはなっていない。
見せたいものがストーリー的な物ではなく、この作品全体に流れる雰囲気なんだと思う。
見ている者にハラハラさせようとか、感動させようという意図も特にないという様な。
何もないかというと決してそんなわけではなく、何か言葉に出来ない独特の雰囲気が漂っている。
どこかオシャレな雰囲気さえ感じるから、実に不思議な作品だ。
個性的な登場人物
登場人物が個性的で目を惹かれた。
警部補のビッグフットなど、奇妙な人物像をジョッシュ・ブローリンが見事に演じている。
ウルフマンの妻や手下なども、おかしな人間ばかりが出て来る。
独特の登場人物たちの振る舞いは滑稽ではあるが、コメディの様でコメディでもない。
あざとく笑わそうという訳でもなく、おかしな雰囲気。
そういった登場人物たちがまた作品全体の不思議さを形作っている。
ホアキン・フェニックス演じるドックもまた、一応探偵として解決に尽力はするが、強い正義感や意志を見せる訳でもない。
どういう人間なのかは分からない。
ホアキン・フェニックスはこういうどこかつかめない人間をやらせたらピッタリだ。
本人自体にそういう要素があるのかもしれない。
雰囲気を味わう映画
この作品は、探偵が何か事件を解決していく映画だと思うと期待を裏切られる。
決してサスペンスやミステリーでもなければ、アクションでもない。
あくまでもこの世界観や独特の雰囲気を味わう映画だと思う。
奇妙な登場人物たちを見るのも悪くない。
タイトルにもなっている「インヒアレント・ヴァイス=内在する欠陥」という言葉がこの作品のテーマみたいだが、それも今一つ分からなかった。
文学作品が元になっているから、きっと哲学的な意味があちこちに散りばめられているのだろうが、かといってそれらが全てがつながった、という類の作品でもない気がする。
ただ、この独特の雰囲気に浸ればそれでいいんだと思う。
何も求めないで見る感じか。
もしかすると、1970年代のロサンゼルスを知っている人からすると、強烈に何か感じるものがあるのかもしれない。
不思議な作品だ。
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