バーレスク Burlesque
監督:スティーブ・アンティン 2010年 119分
脚本:スティーブ・アンティン
出演:クリスティーナ・アギレラ、シェール、スタンリー・トゥッチ、クリスティン・ベル、ピーター・ギャラガー、他
映画「バーレスク」の簡単なあらすじ
アメリカの片田舎のカフェでウェイトレスをしていたアリは、歌手として生きることを夢見ていた。
一念発起したアリは上京し、ふと入ったバーラウンジ「バーレスク」に心奪われる。
そこはかつての名曲などに合わせて女性ダンサーたちが妖艶なダンスを披露している人気のバーだった。
まずはバーレスクのウェイトレスになったアリは、働きながらダンスの振り付けを必死に覚え、オーナーのココが行うオーディションに出ることをこぎつける。
ココに認められたアリは、晴れて舞台に立つことになったが、先輩ダンサーのニッキから上演中に嫌がらせを受ける。
突然音楽を止められ、客の注目が集まる中、追い詰められたアリが取った行動は・・・。
果たしてアリの夢は叶うのか?
“見て損はない☆3”理由と考察、その感想
魅力的なダンス
バーレスクという怪しげな雰囲気を醸し出しているクラブはなんとも魅力的だ。
オーナーのココが歌う最初の歌なんか実に味があっていい。
きらびやかな女性達が自信たっぷりに音楽に合わせて踊る様も格好良い。
有名ブランドの名前を言いながら踊る所や、最後に大人数で踊るシーンなんかも迫力があり、見ていて惹きつけられる。
アリにもっと闇が欲しい
他のダンサー達は口パクなのに比べて、アリは自分で歌も歌えてしまう。
粘ってチャンスを掴み、ついには自分がメインに抜擢され、スターダムを登っていく。
確かに意地の悪いライバルを押しのけ、スターダムに登っていく様は夢があるが、思いのほかトントン拍子に成功に進んでしまうので、今一つ掴みとった感がない。
才能のない人間が努力を重ねて化けていったという訳では決してなく、容姿もきれいで、歌も歌えて、性格も臆さず人当たりがよく、言ってみれば生まれつき才能に恵まれた人間だろう。
才能があっても人前で表現するのが苦手だったり、自分のすごい才能に気づいていないという訳でもない。
そんな人間が成功するのは想像に容易く、特に壁にぶち当たるということもほとんどないので、物語としては少し物足りなく感じた。
アリの立ち振る舞いに、明るさの中に隠された闇が欲しい。
冒頭のカフェで歌を歌う時点でめちゃくちゃ上手いので、むしろその時代に何をやっていたのかが知りたい。
単に今まで表現する場がなかっただけか、田舎独自の妬みそねみで周りが認めようとしなかったのか。
そこらへんももっと掘り下げて欲しかった。
全体のストーリーとしても、もっと物語を掘り下げて欲しいという気もするが、この作品は映像で見るダンスがメインなんだと思った。
華やかなダンスを見る作品だ。
アギレラの歌
アギレラは確かに歌はうまいが、見ていて不思議と魂が揺さぶられるような感じはしない。
声質はソウルフルに聞こえるし、テクニックもあるけど、ただうまいだけという感じがしてしまう。
本人がそのうまさに酔っているというか、ただうまいだけで歌声に心がこもっている感じがしないというか。
口パクだからとは関係なく、聞いていてそう感じる。
もともとアギレラ自身がそういう感じなのかもしれないが、筋金入りの歌手と言う感じはしなかった。
これだけうまいのに響いてこないというのは珍しいとも思う。
どちらかというと、激しい歌い方よりもしっとり歌い上げる方がアギレラにはあっているような気がする。
なぜ口パクにしたのか?
ダンスだけで言うと、アギレラよりも表情豊かでキレがあるダンサーはいっぱいいるので、口パクにするのならばわざわざセンターにする必要はないと思った。
劇中ではアリ以外は口パクで、アリは本当に歌っているという設定なのに、なぜアリの歌声を口パクにしたのだろう?
アリの歌声はアギレラの口パクだが、劇中のお客にしてみたら本当に歌っているということか?
劇中の客が聞く歌声は映画を見ている視聴者が聞く歌声と違うということなのか、アリは口パクに見えるような歌い方をするということなのか?
口パクだと分かってしまうがゆえに、そこが気になった。
何か事情があったのかもしれないが、作中で口パクについて触れたくだりも出て来るので、本当に歌ってほしかったなと思う。
本当に歌わせた方がもっとライブ感が出たんじゃないか。
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