映画「マチェーテ(2010)」を“見て損はない”理由と考察、その感想 

③観て損はない☆3

監督-ロバート・ロドリゲス、イーサン・マニキス 2010年 105分

脚本-ロバート・ロドリゲス、アルヴァロ・ロドリゲス

出演-ダニー・トレホ、ジェシカ・アルバ、ロバート・デ・ニーロ、スティーブン・セガール、ミシェル・ロドリゲス、リンジー・ローハン他

映画「マチェーテ」の簡単なあらすじ

妻と娘を殺されたメキシコの元警察官マチェーテは、流れ流れてアメリカで日雇労働をしていたが、不法移民を嫌う議員の狙撃をある組織から依頼され、引き受けることに。

議員を殺すつもりはなく、ちょっと脅かしてやろうと思っていたマチェーテだったが、狙撃当日、マチェーテが打つ前に何者かが議員に発砲、狙撃犯に仕立て上げられたマチェーテも口封じのため命を狙われる。

実は、議員の人気を上げるために利用されたのだった。

マチェーテを始末しようとする議員側の組織に、不法移民をたくさん殺している国境の自警団、妻と娘を殺したメキシコの麻薬王も加わり、全ての繋がりに気づいたマチェーテの怒りはマックスに。

メキシコ人移民の女リーダー、黒幕に気づいた麻薬捜査官、神父の兄の協力を得て、虐げられているメキシコ人移民を率いてマチェーテの怒りが爆発する。

映画「マチェーテ」原題の意味

「Machete(マチェーテ)」=「(中南米で使われる)長ナタ、刀」のスペイン語の名称です。

主人公のコルテスは、戦う時にマチェーテをよく好んで使いますし、自らのこともマチェーテと名乗っています。

主人公の名前であり、主人公が使う刀の名前が題名になっています。

メキシコ系、中南米系の人達の怒りの象徴として使われているんじゃないかとも思います。

“見て損はない”理由と考察、その感想

漫画のような作品

ロバート・ロドリゲスの遊び心満載の作品。

もとは予告編だけ作られた遊びのようなものを、一本の作品にしてしまったらしい。

妻と娘を殺されたメキシコ人移民の元警官が暴れまわり、移民を弾圧もしくは利用する悪いやつをバッタバッタと倒していく。

移民を弾圧するアメリカ政府や自警団だけでなく、メキシコの麻薬組織も悪者として出てきて倒されるので、ただアメリカに対する復讐というだけの話しじゃなくて良い。

独特の早回しのようなアクションで、爽快さが感じられる一方、リアルな感じではない。

終盤で入り乱れて戦う所で、マチェーテがバイクに乗って爆発とともにジャンプするシーンなんかは派手でコミカルで、漫画みたいだ。

タランティーノ作品とかなり似たような臭いがして、感覚が似てるんだろうが、タランティーノと仲が良いのもうなずける。

ダニー・トレホの寡黙な感じは味があって良いが、本当に妻と娘を殺されたということを胸に秘めている感じがあまりしない。

ちょっと言い過ぎると、プロレスラーにいるうわべの悪役という感じで、人間的な深みが感じれない。

妻や娘を思っていることが表れている行動とかがもっと散りばめられてないと、ドラマとしての面白さよりもアクションや展開の派手さに目が行ってしまう。

もっとマチェーテを応援したかったが、そうもいかなかった。

そこらへんが元々予告編しかなかったところから考えるとかなり肉付けされた方なんだろうが、もっと面白くなったんじゃないかと思う。

悪くないコミカルさだが、もっとリアルな部分があっても良かったかなと思う。

移民の問題にここまでダイレクトに着目しているにもかかわらず、重くならずにエンターテインメント性を持たせられていることはすごいと思う。

最終的にみじめな結末を迎えるアメリカ人議員役を、デニーロがやりきっているのはさすがだ。

デニーロにしたら普通の事なのかもしれないが、多分この役は地位がある大御所の人達は政治的なこともあるし、やりたがらないんじゃないだろうか。

中南米系の人達の怒りが爆発する、その象徴がマチェーテであり、言わんとしていることは実に良い。

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