見どころ!→世界を救うために当麻が立ち向かう!
監督-堤幸彦 2013年 95分
出演-戸田恵梨香、加瀬亮、竜雷太、向井理、他
あらすじ
世界は破滅へと向かう
プロフェッサーJ=湯田のシンプルプランによってまだ幼いスペックホルダー達が殺されたのを目の当たりにして、当麻は遂に禁じていた左手を解放する。
闇が当麻をつつみ、無数のヤタガラスが飛び出し、世界を覆い尽くしていく。
そして、セカイ達によって、世界中の核ミサイルが今まさに発射されようとしている。
核ミサイルの発射も当麻の変身もファティマ第三の予言の通り、世界は破滅へと向かおうとしている。
セカイたちの目論見を阻止するため、立ちはだかる瀬文だったが、その神のような能力を前に歯が立たない。
瀬文絶体絶命の中、目の前に当麻が舞い降りる。
当麻は意識がないはずだと思われていたが・・・。
セカイ達の正体、人類を滅ぼす目的とは?
当麻が最後に起こした行動とは?
破滅寸前の世界はどうなってしまうのか?
SPECシリーズ、遂に完結!
感想
話がちょっと分かりづらい
話しの内容は、正直ちょっとややこしくてあまりすっとはいってこなかったです。
過去のスペック能力者がたくさん最終決戦で出てくるのですが、もっといろいろたくさんの能力を駆使して戦い合うことを期待していたので、ちょっと残念でした。
時間も限られているのでしょうがないと思うのですが、後半にかけて急展開な感があります。
話は壮大なのですが、後半はほぼ同じ場所で物語が進むからか、狭い世界で展開しているようにも感じます。
核ミサイルが世界中で発射されているということですが、他の世界はどうなってるのかな?とか。
まあでもこの独特の世界観がSPECの味でもありますよね。
悪役セカイは薄味?
なんであんまり入ってこないのかについて一つ分かったのが、悪役のキャラクターがやや薄いこと。
向井理演じるセカイが、最初に登場したどんな人間か分からない印象からさほど変わることはありません。
徐々に本性を現してくる凄みもあまりありません。
一番悪い奴なので、もう少し深みのある感じにしてほしかったなと思いました。
向井理はどうしても、若い軽快な良い青年という根底にある感じが振る舞いから抜けないので、ちょっと悪ぶられても怖い感じがしません。
悪くなれていません。
むしろ、ものすごく丁寧で腰が低い態度だけど、悪いことをしようとしている悪役だったら、なんか逆に怖い、という感じで向井理にあっていたような気がします。
加瀬亮の貫き通した演技!
加瀬亮演じる瀬文はどんな人間かわかり、非常に存在感があります。
瀬文はとても良い。
瀬文は間違いなく加瀬亮のものです。
当麻を食ってしまいそうですが、決してそんなこともなく、良い塩梅です。
無駄にたくさんしゃべるわけではなく、感情を盛り立ててから行動に移していく演技は味があります。
最後のシーンで、当麻に何も言わずに、変わらずに瀬文だけは当麻をちゃんと見ているシーン・・・。
心に来ました。
加瀬亮の人間力だと思います。
加瀬亮がこの作品に加わっていて助かりました。
奇妙な世界感!
なにはともあれ、音楽や独特の映像・人物描写によって奇妙な世界観を作り出すことに成功しています。
ストーリーの理解や、展開の気持ち悪さはさておいて、世界観を感じれるということはやぶさかではありません。
最近の日本映画にしては、まだ惹きつけられる方だと思います。
ぜひ、監督にはもっと奇妙な世界観の映画を生み出していってような・・・。
ネタバレ!
セカイたちの正体
セカイ、プロフェッサーJ、潤の正体は、先人類です。
先人類とは、人間が生まれる前から地球に存在していた人類で、人間によって滅ぼされました。
先人類地球と会話ができ、様々なスペックを持っていました。
今存在するスペックホルダーは、その先人類の末裔のようです。
地球を奪われた先人類は、現人類から地球を取り戻すために、核ミサイルを発射して、現人類を全て滅ぼそうとします。
セカイやプロフェッサーJは零体として、潤は人間に乗り移ってこの世に存在していました。
ソロモンの鍵とは当麻自身のことで、現人類を滅ぼす計画に利用されていました。
当麻は次元をつなぐことが出来、ヤタガラスとなった先人類・セカイたちは、この能力を使って、先人類だけで違う次元に行こうとしていたのです。
当麻が身を犠牲にする
過去のスペックホルダー達を次々と呼び出しセカイと戦う当麻でしたが、セカイに次々消されていきます。
セカイは最後に当麻を消そうとしますが、当麻を消すことは出来ません。
逆に、右手のスペックを使い、体内にプロフェッサーJとセカイを取り込みます。
このまま零界に自分もろとも落そうとしますが、意識がもうろうとする当麻。
そこに、瀬文に自分を拳銃で撃って欲しいと頼みます。
断腸の思いで当麻の頭部を打ち抜いた瀬文。
世界は平和に戻り、当麻は元からこの世に存在していなかったことになり、当麻は無間地獄を永遠にさまようことに。
瀬文だけは当麻を見ている!
当麻はあらゆる時間を超え、この世を漂い続けます。
誰にも認識されずに、ただ眠ったように、ふわふわとこの世を漂い続ける。
誰の目にも見えませんが、どの時間、どの場所にも見えない当麻が漂っています。
警官殺しの汚名を着せられた瀬文は警官たちから暴行を受け、刑務所のような場所に入れられています。
説明をしてもきっと理解してもらえないであろう状況に、恐らく瀬文は口をつぐんでいたはず。
そんな瀬文がいる部屋にも、見えない当麻はふわふわと舞い降ります。
お互いに気づかないであろう状況ですが、次の瞬間、瀬文は見えないはずの当麻の手を握ります。
はっと目を覚ます当麻、瀬文ははっきりと当麻を見ています。
当麻も瀬文を見て、お互いがお互いを認識し、当麻は無間地獄から解放されました。
エンドロール後、街中の雑踏を瀬文らしき男と、キャリーバッグを引く当麻らしき女性が一緒に歩いています。
非常に心打たれる終わり方です。
寡黙な瀬文の強い気持ちがこめられた行動です。
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