映画「ウェイストランド(2012)」が“物足りない”理由と考察、その感想

④物足りない☆2

英題:Wasteland(The Rise)

監督-ローワン・アタリー 2012年 108分 イギリス

脚本-ローワン・アタリー

出演-ルーク・トレッダウェイ、イヴァン・リオン、ジェラルド・カーンズ、マシュー・ルイス、他

映画「ウェイストランド」のあらすじ

無実の薬物所持で投獄され、刑期を終えて街に帰ってきたハーヴェイは、旧知の友人たちに、自分をはめたギャング、ローパーへの仕返しを持ちかける。

それは、ローパーの店の金庫から現金を奪うという危険極まりない計画だった。

話半分だった友人達だったが、試しに調べていくうち、ハーヴェイの言う通り、ローパーが多額の金を店に持ち込んでいることが分かる。

ごく普通の若者達4人は、綿密な計画を立て、スティーブンへの仕返しを実行に移すことにするが・・・。

“物足りない”理由と考察、その感想

若者が街の小悪党に挑む

結構見やすいドラマ作品で、若者の青春映画のように感じた。

主人公たちはイギリスの若者らしい振る舞いが良い味を出している。

主人公たちの中に特にそこまで魅力的な人間が出てくるわけでもないが、普通の感じがリアルとも言える。

それぞれの未熟さを、寄り合うことで補いあっているのが若者らしいともいえる。

ハーヴェイがローパーを挑発したことで、ハーヴェイの友人チャーリーがローパーに見せしめで暴行されるが、チャーリーは、悪いのはローパーだ、と言ってハーヴェイを全く責めずに、なんとも思っていない感じに振る舞う感じは、実に粋だと思った。

長い間会っていなくても、友人は友人だ、と思わせてくれる。

話としては、自分を無実の罪で刑務所に収監させた街の小悪党に仕返しをするというリベンジの話だが、仕返しが物足りないと思った。

主人公を陥れただけでなく、何もしてない主人公の仲間にも理不尽に暴行を加えるような人間が、薬物所持と傷害罪等々で逮捕されるくらいでは、全然足りない。

しかも保釈金を払ってすぐ保釈になると刑事も言っていたし、悪党をはめることに成功したけど、自分たちは町から出ていかなければいけないなんて、これは一矢報いたと言えるのか?

絶対に自分たちとその家族に手出しができないくらいまで追い込んで、ぎゃふんと言わしてほしかった。

そう考えると、実際のところハッピーではないが、ハッピーエンドとして主人公たちが喜んだ様子で終わるラストシーンは、若者の青春感を強く感じた。

これから楽しいことが待っている、例え故郷を捨てても自分たちには未来があり先に進むんだという、ある種盲目的な感じというか。

若いからできる後先を考えない仕返しや行動、だからこれは若者の青春映画だ。

悪党を倒すための準備を進めていく所などはワクワクするし、いざ実行に移す時もハラハラはする。

しかし、真相が分かっても、全てスッキリするわけではない。

引っ張るだけ引っ張ったわりにという感じは残る。

薬物や指紋の付いたお札を事務所に置いてくるという主人公の彼女の提案がなかったら、どうしていたんだろう?

主人公はそれがなくてもすぐに釈放され、仲間と合流できる策があったのか?

庶民が知恵を出し合って悪に挑んだにしては、よくやった方なんだろうが。

しかし、役者の演技もナチュラルで、映像も見やすく、若者の等身大の映画としては、まあそれなりにという感じかもしれない。

きっと、このくらいの軽めの作品でも、日本でやろうとすると、違和感だらけで見ていられなくなるだろうから、これはこれで良しとしよう。

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