映画「マレーナ(2000)」が“つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1

マレーナ 原題:Malèna

監督-ジュゼッペ・トルナトーレ 2000年 92分

脚本-ジュゼッペ・トルナトーレ

出演-モニカ・ベルッチ、ジュゼッペ・スルファーロ、他

“つまらない☆1”理由と考察、その感想

少年の淡さは良いが、マレーナは本当に魅力的か?

淡い少年の恋心がきれいな町並みと美しい音楽とともに描かれる。

少年が恋をする美しい女性マレーナの内面的な魅力が感じられないので、なんだかなあという感じだ。

マレーナに魅力もなく、町の人々にも魅力がなく、人間の醜い部分が主軸に描かれている作品だと思う。

ひどい時代だったんだなぁとは感じさせられる。

決して深い話ではないのに、それを美しい音楽ときれいな風景で、なんか良い映画を見ている気にさせてくるような感じで、淡くて良い思い出のように完結されているのがなんともむず痒い。

きれいな風景と良い音楽の組み合わせは魔物だ。

本当に中身が良ければ最高だが。

マレーナは町の人々から嫌われているが、実際に男性とすぐに関係を持ってしまうし、本当にそうするしかなかったのかと疑問が残る。

そういうことをしない強さがあり、美人で気さくだけど嫉妬されて差別されているなら可哀想だが、そういう訳でもない。

マレーナは美人でつんつんしている弱い女性という感じだ。

そんな女性を少年が好きになって、実はマレーナの良さを知っているという美談のようにしているが、逆にマレーナの何を知っているのかと言いたい。

夫を一途に待ち続け、理不尽な差別にも負けずに屈っさない女性だったら、少年の気持ちも分かるが、ただ美人でセクシーだっただけじゃないか。

美人だから、外見が良いから追っかけていたわけで、外見が良くなかったらきっと見向きもしてないだろう。

理不尽に差別されているが、実はマレーナは不貞をせずに、堅実に生きようとしているのなら、それは少年だけがマレーナの良さを知っているという、深い話になったと思う。

実際の所マレーナは夫が戦死した後どう暮らして良いのか分からず、働き口を必死で探すこともせず、体を売ることでしか生活出来なかった、という弱い人格だ。

それは果たして時代のせいか?

体目当てで言い寄ってくる男たちを振り払う強さもなく、ある種されるがまま。

マレーナに近付く男たちは利己的な男ばかりで、誰もマレーナを守ろうともしないし、町の住人も誰も助言せずに噂話をするだけというのは、確かに可哀想ではある。

しかし、町の住人は冷たいが、マレーナもツンツンしていて、お高くとまっていて、あなたたちとは違うのよという感じだから、美貌の嫉妬だけで差別されている訳ではない。

可哀想の意味が違う。

戦争が終わった後に女性たちがマレーナを暴行するのはさすがにやりすぎだと思うが。

別に派手な化粧や洋服で着飾らないで、泥まみれになっておばちゃん達に紛れて働くことだって出来たはずだ。

でもそれはきっと今までとってきた態度を変えられない、変なプライドが
マレーナの中にあるからなんだろう。

美人に対する差別や、戦争という時代に翻弄されたというよりは、マレーナは自身の未熟な内面に翻弄されたという感じだ。

実は噂話をされているマレーナにこんな素敵な一面があった、とかが知りたかった。

大体噂話通りだから、うーんとなる。

所々コメディチックな箇所があるがちょっとあざとく感じる所がある。

イタリア人の大げさなしゃべり方、特に少年のお父さんの演じ方が下手に感じる。

少年の微笑ましい感じは悪くないが。

所々音楽と相まって美しいシーンがあり、もっと面白くなりそうなだけにもったいない。

短いバージョンを見たが、長いバージョンはマレーナの内面が深く描かれているのだろうか?

マレーナの行動からして、仮に長かったとしても良いと感じられなさそうな気がしてしまう。

マレーナはああいう人間なんだとしたら、それをマレーナを通してこういう子供時代だった、という感じで普通に語れば良いわけで、さも良い思い出で、あの人は今までで一番魅力的な人だなんて無理に美化する必要はないと思う。

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