映画「ドライブ(2011)」が“つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1

ドライブ 英題:Drive

監督-ニコラス・ウィンディング・レフン 2011年 100分

脚本-ホセイン・アミニ

出演-ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、アルバート・ブルックス、ロン・パールマン、他

映画「ドライブ」の簡単なあらすじ

昼は車の整備工と映画のスタントマン、夜は強盗を逃がす車のドライバーをやっている青年。

隣人の人妻とその子供と仲良くなり、心通わせるが、人妻の夫が刑務所から帰ってくることになる。

刑務所帰りの夫は犯罪者仲間に借金があり、命を狙われている。

家族の妻と子供にも危害が及ぶことを危惧した青年は、借金を返すために、その夫と共に犯罪者仲間の強盗の手助けをすることを決意する。

ところが思わぬ事態に陥り、青年も追われる身になってしまう。

果たして青年の運命は?心通わせた隣人はどうなってしまうのか?

“つまらない☆1”理由と考察、その感想

賞って何だろう

パッケージを見てびっくりした。

賞で判断するわけではないが、アメリカの映画賞をたくさん受賞しているし、カンヌ国際映画祭でも監督賞を受賞している。

話も面白そうだし、冒頭からの雰囲気もすごくいい。

音楽と相まって、映画という非日常に惹きこまれる期待感がこみ上げてくる。

が、見事に裏切られた。

賞ってなんだ?

主人公の演技が微妙

主人公がどういう人間かいまいち分からない。

子供にやさしく、誠実な感じは分かるが、格好つけているように見えてしまう。

寡黙で余計なことはあまりしゃべらないが、こんな感じならもっとしゃべってくれ、と思った。

寡黙な演技というのは、至難の業だと思う。

黙っていても会話になっていて味があり、思っていることが伝わってくるのは、もしかしたら最高の演技かも知れない。

黙っていても心の中では様々な感情が働いて、心は絶えず動いているはずだがそれが見えない

黙っているときに感情が流れているように見えず、ただ黙っているように見える。

寡黙というより、最初からコミュニケーションを取る気がない若者特有の無愛想にも見えてしまう。

過去が原因で何かを抱えているように見せたかったんだと思うが・・・。

もっとしゃべって欲しい

この主人公は、子供とは多少しゃべるが、大人とは基本的にあまりしゃべらない。

それが無理やり無口にしているように見え、いちいち引っかかってしまう。

ここ間をためるだけためたけどしゃべらなかったり、間をためたわりに普通のこと言ったり・・・。

もし寡黙な演技を見せたいのであれば、主人公演じるライアン・ゴズリングに、監督がそういう演じ方を要求すべきだ。

もしくは、無理に寡黙にするのではなく、普通に喋った方がライアンの良さが出ていいと思う。

もういっそのこと、違う俳優にしてしまうというのも手かもしれないが。

監督がこれをどうにかしなければ・・・。

主人公の自己陶酔的なストーリー

BGMの音楽と映画がマッチして非常に美しいシーンもあったりするが、それも含め見終わると主人公の自己陶酔的な映画に見えてしょうがない。

復讐も中途半端で、エレベーターでキスをしたシーンも格好つけているようにしか見える。

主人公の行動は結局行き当たりばったりでグズグズだ。

犯罪に手を染めている主人公の過去も分からないし、そもそも主人公はどうなりたかったのかが分かりづらい。

本気でレーサーを目指しているようにも見えず、一体どこからきてどこに行こうとしているのかが謎で、その謎が深いとも思えない。

時に謎だらけの主人公は魅力的だったりするが、この作品の場合、ただ謎なだけで非常に残念だ。

この人には何かきっと深い理由があったんだろう、と思わせてほしい。

最後のシーン

最後のシーンも、俺はやることはやったということか?

残された隣人家族がマフィア関係者に殺されない保証はいったいどこにあるのか?

成り行きに任せてやった結果を受け入れるという結末も悪くはないが、それなら無理に意味ありげなキャラを主人公につける必要はあったのだろうか?

寡黙とかではなく、普通の若い青年で十分だったのではと思う。

若気の至りのような要素も含まれていればまた意味が変わり、納得できる要素になりえる。

説明を省いた曖昧な描き方は、その限られた中で伝えなければならず、俳優の力や監督の魅せ方にかかっていて、非常にハードルが高いものだと思う。

展開が遅い

話の展開が前半は比較的ハートウォーミングでゆっくり進んでいくが、最初は良くてもそのゆっくりさが次第に飽きてくる。

ライアンの演じ方も相まって、非常に間延びしてしてくる。

ゆっくりした時間ではなくて、間延びだ。

雰囲気は良いと思ったが、中身は大してなかったと思ってしまう。

スケール感がない

主に一つの街の中で出来事が進行していくのはいいとして、世界観が非常に狭く感じる。

舞台は狭くても話が深ければそれなりに広がりや面白みがあると思うが、そうではない。

出て来るマフィアもチンピラも凄味がある訳でもなく、そのまんま二流の感じだ。

独特のシーンや個性的なキャラクターがもっとあっても良かったと思う。

独特のシーンは運転するシーンくらいだろうか。

音楽が盛り立てるスタイリッシュさ

音楽が非常に映像の雰囲気を盛り立ててくれる。

決して派手でなく、シーンの心情を現してくれているはまった音楽が、時にはスタイリッシュに、時にはムーディーに流れていく。

そこだけ見ていると、少なからず非日常を感じられ、とてもいい。

音楽の流し方がなんともいいだけに、内容が薄いのが残念だ。

もし中身が伴えば、良作になりえただろう。

雰囲気先行になってしまっている。

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