スリング・ブレイド 英題:Sling Blade
監督-ビリー・ボブ・ソーントン 135分 1996年
脚本-ビリー・ボブ・ソーントン
出演-ビリー・ボブ・ソーントン、ルーカス・ブラック、ドワイト・ヨワカム、ロバート・デュバル、他
映画「スリング・ブレイド」のあらすじ
殺人を犯し、病院に25年間入院していたカールは、退院直前に大学生から取材を受け、なぜ人を殺してしまったのか、語り始める。
25年前、カールは自分の父親が働く会社の社長ディクソンの息子、ジェシーに学校でいじめられていた。
社長は不当に賃金を払わず、カールの家は貧しかった。
ある夜、カールは母屋でジェシーが母親の上に乗っかっているところを目撃してしまう。
母親にひどいことをしていると思ったカールは、その場にあったカイザーナイフ、別名スリング・ブレイドと呼ばれる特殊なナイフでジェシーを殺してしまう。
「なぜ殺したのか?」と叫ぶ母親は、ジェシーと不倫をしていたのだ。
それを知ったカールはカッとなり、一緒に母親も殺してしまった。
インタビューが終わり、25年ぶりに病院を出たカールは、コインランドリーでフランクという少年と知り合う。
病院の紹介で修理屋で働き、フランクの母親リンダの計らいで、リンダとフランクの家に居候することになる。
フランクはカールになつき、カールもフランクに心を許していく。
リンダは未亡人で、今は工務店で働くドイルと付き合っているが、ドイルは粗暴な性格で周りからはうとまれていた。
カールはその環境にも慣れつつあったが、ドイルの粗暴な振る舞いは次第にエスカレートしていく。
カールは、フランクとリンダを守るためにある行動を起こすのだった。
“つまらない☆1”理由と考察、その感想
独特な演じ方
主人公のカールを、ビリーがとても独特に演じている。
少年のフランクは無邪気だが大人びたところもあり、かわいらしい子供で、カールと心の交流を交わしていく。
カールは知的障害ということなのだが、どういう障害があるのかはほとんど描かれていない。
目を合わせられない感じだが、時々普通にしゃべっていて、相手の言っていることも理解できているし、特に変なことを言う訳でもない。
動きがゆっくりで、少し変わったしゃべりかただが、そこまでおかしくは感じない。
演技的にはすごくあざとい顔芸だが、試行錯誤の末に失敗したんだろう。
カールは、知的障害という感じではなく、変わった普通の人に見える。
しゃべらないときとしゃべるときの境目が分からないので、なぜこのときはしゃべらないのか?と思う。
心を許した相手にはしゃべれるというのは普通で、ただ気が弱いようにも見える。
そこらへんが分かりづらく、カールの人物設定はあるようでなかったんじゃないかと思う。
ビリーは演技力が高い俳優だと思っているので、もっとナチュラルに演じても十分に魅せられたと思った。
登場人物に魅力がない
未亡人とその息子、未亡人の粗暴なボーイフレンド、ゲイの友人など、要素はそれなりに盛り込まれているのだが、それぞれがそこまで掘り下げられていなく、生かされている感じがしなかった。
少年のフランクは味があるが、それ以外は魅力的な人間が出てこない。
最後にカールが取った行動だが、発想が飛び過ぎている感じもした。
息子のフランクはまだしも、母親のリンダは何も行動していない。
ドイルは粗暴だが、リンダはそんなドイルのことを表面上は嫌がりながらも受け入れ、お互いに依存しているようにも見える。
ドイルはそこまで悪人ではなく、母親もふわふわしているので、カールの取った行動はちょっとやりすぎにも思えた。
言わんとしていることは分かるが、ドイルがもっと悪人であれば良かった。
ドイルに詰め寄られているときに、カールがカールなりにもう少し抵抗したり、戦っている姿も見たかった。
普通にしゃべるときもあるのに、そんな時はしゃべらなくなるというのは、トラウマを抱えているというよりは、気が弱く見えてしまう。
カールと街中の人との交流が描かれているが、カールが徐々に打ち解けていくという感じはなく、序盤から人々にすぐに受け入れられていく。
ぎこちなさや、カールの不安な気持ちが現れたりとするわけでもななかった。
全体として言いたいことは分かるが、ボブ・ソーントンの演じ方や、町の人々の人間性など、もっと深みを感じたかった。
非常にふわふわしたまま終わってしまったという印象だ。
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