映画「ゴールデンスランバー(2010)」が“つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1

ゴールデンスランバー 英題:A Memory

監督-中村義洋 139分 2010年

脚本-中村義洋、林民夫、鈴木謙一

出演-堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之、江本明、貫地谷しほり、ベンガル、伊東四朗、他

映画「ゴールデンスランバー」のあらすじ

青柳は宅配ドライバーをしているが、数年前に偶然暴漢に襲われていたアイドルを助け、一般人ながら有名になっていた。

そんな青柳はある日、釣りに行くということで大学時代の同級生の森田から呼び出される。

待ち合わせた街中では、首相がパレードをしている。

二人は合流し一緒に車に乗り込むが、森田の様子がおかしい。

車は発車せず、森田から「お前はオズワルドにされる、お前だけでも逃げろ」と告げられ、困惑する青柳。

その直後、首相がパレードをしている道路から爆発音が聞こえる。

首相が誰かに暗殺されたのだった。

車の背後から、警官二人が拳銃を突きつけながら近寄ってくる。

訳がわからず青柳が車の外に飛び出した後、森田の乗っていた車が爆発した。

驚いている青柳に警官が発砲、完全に首相暗殺犯として容疑者になってしまった。

命からがら逃げだし、そこから青柳の長い逃走劇が始まる。

逃亡先で出会った通り魔の犯人や、心許せる大学時代の友人などの力を借り、青柳は真相に近づいていく。

“つまらない☆1”理由と考察、その感想

序盤からもう嘘くさい

これは、半沢直樹が良かったので、堺雅人が主演ということで借りてみた。

前評判は聞いてはいなかったが、期待外れだった。

話しはスケールが大きいというか、国を巻き込んでいく話なのだが、全編にわたってリアル感はなく、緊迫感もあまり感じられない。

序盤のシーンでいきなり警官が拳銃を構えて近寄ってくる意味も分からないし、すぐ撃ってしまうというのはどうなんだ?

そういう世界というのも伝わってこないし、警官さえおかしくなっているということか?

例えば一回近づいてきて話をするのが、無理やりその警官が誘導尋問してきて拳銃を撃つ流れまで持っていくとか。

巧妙な感じで仕立て上げられていくから怖いんじゃないかと思うが、そこは雑に撃ってしまうという。

最初だから結構重要な役どころのような気がするが。

もしそうでないなら、国全体で青柳を犯人に仕立て上げようとしているという恐怖感をもっと出してほしかった。

原作はきっと面白いんだろう

大ヒットした、井坂幸太郎の傑作が原作らしい。

原作と忠実に作るか、もう原作を超えてオリジナルのように別物として作ってしまうかと選択肢はあると思うが、そのどっちでもないんじゃないか。

自分は小説は読んでないからわからないが、きっと小説だったらそんなに違和感はないと思う、自分の頭の想像で補えたりするから。

時間が長く感じられ、実際に長いが、見ていてだらだらしてしまった。

ある一部分だけで話が展開している、という感じでスケール感がなく、この映画にうつっている世界はおかしいんだと感じられる細部のディティール感も欲しかった。

話は割としっかりしていて、中身があまり反映されていないというのが一番見ていてきついというか、残念だ。

もし、小説は面白いのに・・・ということなら、役者の演じ方、監督の見せ方が達していないということだろう。

原作はヒットしたんだよ、と言われても、これを見たらポカンとしてしまう。

最後の方は、感動も入っているが、それがくさく感じられた。

スッと入ってこない、登場人物がどこか悦に入っている感じがしてしまう。

もっとそれぞれの役自身を作りこめたような気もするのだが、なんか仲間の関係に深みが感じられない。

堺雅人は役者の中で、演技として自然で良いとは思うが、主人公自体別段魅力がある感じの人格でもないような気もする。

堺雅人じゃなくてもとは思うが、堺雅人だったからまだ見れたのかな?とも思う。

リーガルハイや、半沢直樹のはまり具合からすると、きらりと光る感じはあまり分からない。

娯楽サスペンス大作にしたかったと思うのだが、先が読めない、はらはらする、という感じもなく、行く末を見守るという感じになってしまったので、難しいなと思う。

せっかくはりめぐらせた伏線があっても、緊迫感がなければもったいない。

それならもっとシンプルにして、逃げることに着目する映画でもいいんじゃないかと思った。 

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