映画「スノーデン(2016)」を“見て損はない”理由と考察、その感想

③観て損はない☆3

英題:Snowden

監督-オリバー・ストーン 2016年 134分

脚本-オリバー・ストーン、キーラン・フィッツジェラルド

出演-ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ニコラス・ケイジ、他

映画「スノーデン」のあらすじ

アメリカの諜報機関でコンピュータープログラマーとして働いていたスノーデンは、ある新聞社に命を懸けて内部告発をしようとしていた。

その告発とは、全世界を揺るがすアメリカ諜報機関の衝撃的な事実であった・・・。

“見て損はない”理由と考察、その感想

とんでもない事実を基にした勇気ある映画化

アメリカの諜報機関の内情を告発したスノーデン氏の実話を元にした話し。

実際にかなり大きなニュースになったこの事件だが、この映画を見ることによって、彼らのやっていたことの怖さがよりリアルに真に迫って感じられる。

よく、これを題材にして作品を作ったし、出演したハリウッド俳優も大したものだと思う。

何せ、全世界のメールやSNS、電話などが全て簡単に閲覧できてしまうシステムが存在するなんて、しかもそれを国がやっていたというのだから、ただ事ではない。

ネットを介しているという時点で、もうそこは覚悟して利用しなければいけないのかもしれないが。

別に大した内容をやり取りしている訳ではないし、見られてもいいやという人だっているかもしれないが、そういう問題ではないのだろう。

本当に何かを守るために必要なことだけ心を鬼にして情報を収集している、という訳ではなく、簡単すぎて当たり前に閲覧できるので、特に罪悪感もなく普通に軽い気持ちでいるというその状態が、すでに心が蝕まれてしまっている。

スノーデンのようにこれはいいのか、と葛藤するのが本来の人間が持つべきモラルであるのに、当たり前だよこんなの、という温度差がなんともゾッとする。

そういった外部との温度差というのは、きっとどの組織でも少なからず存在することではあると思うが。

その組織にいたら当たり前だし、誰も特に何も言ってないし、波風も立てたくないとなれば、これはおかしいという感覚なんてすぐに麻痺してしまう。

そういう意味で、慣れというのは怖いし、内部告発というのは本当に勇気がいることなんだろうと思う。

ゴードンの演技が作り物に見えるのが残念

この作品のゴードンの演技は、演技をしているようにしか見えない演じ方なので、もっと彼本来の感情溢れるナチュラルな演じ方でも良かったんじゃないかとは思う。

そうでなければ、主人公が正義感のある人間だというのは分かるが、いまいちどんな人間か分からないので、親しみを感じずらい。

恋人と衝突して怒ったりするシーンが何回か出てくるが、もっとナチュラルに葛藤したり悩んだりという感情を小出しにして欲しかった。

あまり軽すぎてもいけないが、全体的に抑えている、溜めこむ演技なので、それが奏功しておらず、感情移入するには物足りない。

スノーデン本人に寄せた結果なのかもしれないが、そこは映画なので脚色しても良かったんじゃないかと思う。

ゴードンの持ち味である人間味をもっと出しても良かったんじゃないか。

扱っているテーマが目を引くだけに見てはしまうが、そこが良くなればもっと面白くなったんじゃないかと思う。

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