映画「リリィ、はちみつ色の秘密(2008)」を“見て損はない”理由と考察、その感想

③観て損はない☆3

リリィ、はちみつ色の秘密  英題:The Secret Life Of Bees

監督-ジーナ・プリンス=バイスウッド 2008年 110分

出演-ダコタ・ファニング、クィーン・ラティファ、他

映画「リリィ、はちみつ色の秘密 」の簡単なあらすじ

主人公の少女リリィは、幼いころ母親を過って拳銃で殺してしまい、罪悪感を感じながら生きている。

自分は母親に本当に愛されていたのか?自分の母親はどんな人だったのか、本当のことを知りたくても、父はリリィを冷たく突き放すばかり。

ある日リリィは家出をし、そこで養蜂家の黒人女性たちと出会う。

差別に負けず、強く生きている黒人女性たちに触れるリリィ。

そこで家を仕切るオーガストこそ、かつてリリィの母親の子守をしていた女性だった。

オーガストから、母親のことを聞かされるが・・・。

“見て損はない☆3”理由と考察、その感想

ダコタ・ファニングの愛嬌が光る

とにかく、リリィ演じるダコタ・ファニングがかわいい。

演じているというか、もう素材そのままのような感じだ。

ダコタ・ファニングだったから、良かったんじゃないかと思う。

純粋無垢な感じが、見ていてスッと入ってくる。

黒人差別や母親の死などところどころ重いテーマはあるが、全体的に、ゆるやかな雰囲気が流れていて見やすい。

クイーン・ラティファは強い女性で、見ていてすがすがしくなる。

ウーピー・ゴールドバーグをもっと繊細にしたような感じで、知的な黒人女性の代表のような感じがする。

ダコタはこのとき13歳、今はもう20歳の大人になっている。

演技を超えた、ごくごく自然な振る舞いをするダコタ。

これからも、今までの良さを消さずに、名女優になって欲しいと願う。

追記:テーマが二つあるのが邪魔である 2023年5月8日

自分が愛されていたことを確認する、一夏の子供の冒険物語で悪くないが、特に何かすごく目を引く描写などがある訳ではなく、人によっては退屈かもしれない。

リリィは自分が母親を殺してしまったという葛藤と、自分がその母に愛されていなかったんじゃないかという鬱屈した思いを抱えているが、それが最終的にビシッと帰結する訳ではない。

二つのテーマがあることで、話がぶれてしまっている。

愛されていなかったから、自分が撃ってしまったことを正当化していた、それを愛されていたと知ったからなんてことをしてしまったんだ、と自分を責める、しかしそれを黒人のコミュニティのお姉さんたちが包み込んでくれる、という訳ではない。

自分が母を殺した、という要素が邪魔で、それなら、母親が父親と喧嘩して家を飛び出して交通事故で亡くなった、などということにして、テーマを一本にした方がこのストーリーのラストにはまったと思う。

その、自分が殺した、という要素が実際ストーリーのラストに向けてあまり関わってこない。

なので、終わり方はさほどスッキリする訳ではない。

メッセージがあるようでない、ないようである、ハッピーエンドよりだが、すっきりとしたハッピーエンドでもバッドエンドもない、という様な感じである。

きっと、これは小説で読んだら面白いと感じるかもしれないが、映像だからかより冗長に感じるのかもしれない。

ただ、ダコタ・ファニングや黒人女優の存在感が良く、映像も比較的キレイな描写があるので、頑張った方なのかな。

なんとか、俳優のマンパワーで映画にしました、乗りきりました、といった感じかも知れない。

ちょっと甘めに、☆3にしている。はちみつだけに・・・

コメント