映画「ドッペルゲンガー(2003)」が“つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1

ドッペルゲンガー 英題:Doppelganger

監督-黒沢清 2003年 107分

脚本-黒沢清、古澤健

出演-役所広司、永作博美、ユースケ・サンタマリア、江本明、他

映画「ドッペルゲンガー」のあらすじ

ホームセンターで買い物を終えた由佳は、駐車場で弟の隆志を見かけ、一緒に帰ろうと声をかける。

隆志は手振りだけで答え、車に乗らずそのまま駐車場を歩いていく。

由佳が家に帰ると、隆志が先に帰ってきていた。

「どうやって帰ってきたの?」などと二三言葉を交わした後、警察から電話がかかってくる。

内容は、隆志が自殺をして遺体で発見された、というもの。

後ろを振り向くと、さっきいたはずの隆志はもういない。

一方、義手の開発をしている早崎は、不審な気配を日常で感じていた。

ある日駐車場に自分の車を取りに来ると、警備員から「さっきも来られましたね」と言われ、乗ってきたはずの車もなくなっていた。

そんな中、早崎は家にいるときに、奥の部屋のドアが一人でゆっくり開いていくのが見える。

その部屋を見に行くが、窓は締まっている。

すると、ゆっくりと後ろに自分とそっくりな男、ドッペルゲンガーが近づいてくるのが、反射したガラス越しに見える。

早崎は恐怖のあまり叫びながら、頭を抱える。

ドッペルゲンガーとは、もう一人の自分のことで、それを見た人間は死んでしまうという。

次第に、早崎のドッペルゲンガーの行動がエスカレートしていくのだった。

“つまらない☆1”理由と考察、その感想

ホラーではなくメインは人間ドラマ

自分的に黒沢監督の「回路」が怖かったので、期待して借りてみた。

監督もインタビューで言っているのだが、決してホラーではなく、主人公の心理の変化を中心に描いた人間ドラマである。

しかし、人間ドラマとしても非常に中途半端で、あまり楽しめなかった。

ちょっと怖いなというシーンは最初の10分くらいで、それ以降は早崎の研究者としての生き方を描いている。

最終的に、自分の利益のことばかり考えていた早崎が改心するというものだが、改心したきっかけが分からない。

終盤で、一緒に研究を手伝ってくれたユースケ・サンタマリアが演じる君島を早崎が崖から突き落とすのだが、生きていた君島に逆にやり返される。

そのとき君島に「あんたのこと信じてたんだぜ?」と言われ、殺されかけたからか?

それだけで、何の躊躇もなく自分のエゴのために平気で崖から君島を突き落してしまうような人間が、心を入れ替えるのか?

自分の悪事に気づいたところが、役所広司の演技で描写されている訳でもなく、大して変ったようにも見えなかった。

主人公の成長というのは、人間ドラマの一つの見どころだと思うのだが、そこがちゃんと描けていない。

今までのシーンで早崎の葛藤が見え隠れしていれば良いが、そうではなく、ドッペルゲンガーを利用しまくって自分の利益に走ってきたような人間がこれで急に改心するか?なんて思ってしまった。

ただ痛い目見たから改心したようにしか。

それは懲りたということであって、成長ではないんじゃないか。

ホラーにして欲しかった

途中でドッペルゲンガーと早崎がもみ合いになり、ドッペルゲンガーを由佳と君島と早崎の三人で殺すのだが、自分はそれ以降ドッペルゲンガーと早崎が入れ替わっているのかな?なんて思っていた。

もしかしたら入れ替わっているのかもしれない。

しかし、肝心のドラマ部分があまりしっかりしてないので、もしそうだとしてもなんだかなあーとなってしまう。

早崎が心を入れ替えて生きていこうと決心したが、実は入れ替わっていた、そんなオチは面白いと思うのだが、それは表現できていない。

引っかかるところとかは、役者の方々も分かってるんだと思うが、監督と話したりしないのか?

編集とかも出来るわけじゃないから、難しいのかな?

役所広司は、「出していただいて嬉しい」と言ってたが、これなら出なくても良いんじゃないか?

これならホラーの方が良かったんじゃないか?なんて思った。

役所広司は、真面目な役が多いイメージがあるが、真面目じゃない方が似合ってる気がした。

ドッペルゲンガーの適当な感じの性格を、楽しそうに演じている。

凶悪犯なんかもとても似合っているかも、ぜひ見てみたい。

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