映画「ミッドナイト・イン・パリ(2011)」が“オススメ”の理由と考察、その感想

②オススメ☆4

ミッドナイト・イン・パリ 英題:Midnight in Paris

監督-ウディ・アレン 2011年 94分

脚本-ウディ・アレン

出演-オーウェン・ウィルソン、レイチェル・マクアダムス、他

「ミッドナイト・イン・パリ」が“オススメ☆4”の理由と考察、その感想

歴史上の偉人たちが登場

主人公のギルは、過去にタイムスリップしてたくさんの偉人たちと出会う。

憧れの作家や画家など、歴史を作ってきた芸術家たち。

ヘミングウェイ、サルバドール・ダリ、ピカソ、ゴーギャン、その他これでもかと偉大な芸術家たちが出てくる。

自分にはあまり馴染みのない芸術家も出て来るので、もっと知っていればより楽しめたのかもしれない。

憧れの偉人と対面するのは確かに夢だろう。

日本だと、黒澤明や手塚治虫、太宰治や芥川龍之介に会う感じか。

ちなみに、日本の場合は作家が多くて、芸術や絵画というのはそこまで馴染みがないかもしれない。

最近だと岡本太郎くらいか。

偉人たちも過去に憧れている

面白かったのは、ギルが憧れて会った過去の偉人たちも現代に不満を持ち、「昔の方が良かった」と口にしていることだ。

ギルは「昔のパリが良かった」と言うが、昔のパリの芸術家もまた「昔が良かった」と言い、さらに昔の芸術家も昔に憧れている。

後世に名を残す様な人は、皆現代に満足していなく、強烈な不満を抱えているというのが興味深い。

逆に不満を持っていないとエネルギーなんて持続しないだろう。

ギルに理解のない婚約者

ギルの婚約者のイネスは、ギルの願望や理想などにはほとんど興味がない。

ギルは作家になりたくてもがいているのに、イネスは安定が欲しいので、今のままの仕事の方が良い。

ギルは口下手だし、イネスに情熱は伝わらない。

男女間ではよくあるギャップだが。

このイネスとの結婚生活を考えた時に、大抵が「まあ、しょうがない、こんなものだ」と夢をあきらめ結婚するんだろう。

中には理解がある女性もいると思うのだが、そこらへんは男性目線で描かれていると思う。

婚約者は夢を邪魔する存在として描かれている。

印象的なラストシーン

思っていた結末をバッサリと裏切られた。

「まあ色々あったけど、戻るか」という結末でなんだかんだ普通のハッピーエンドだろうと思っていたが、そうはいかない。

いわゆるハリウッド的な結末ではなく、これがウッディ・アレン節なんだと思った。

ギルにとっての幸せと、イネスにとっての幸せはもちろん違う。

世間体を壊さずに取り繕う幸せは、社会の中で大衆に散々刷り込まれている。

ウッディ・アレンという人は、「それに縛られず、自由でいいんだ」という思いを持っている人なんだと、この作品で感じられた。

良い意味で裏切られた。

ギルとイネス、どっちが悪い?

ギルの振る舞いが軽快なせいか、ラストシーンまでは結構さらっと見てしまう

ギルが本当にどうしたいのか、というのが分かりづらく、舞い上がっている感じもするし、イネスの気持ちも分からなくもない。

イネスは確かに理解がないが、ギルもギルでまだ未熟で、イネスに対する愛もさほど感じない。

イネスはギルに出来る男を求めていたけど、ギルの本質は頼りにならないダメ男で、そんな何もないギルをイネスは愛していなかった。

何もない男を愛する、というのは勇気のいることだが、好きというのはそういう、損得抜きで一緒にいたいということだと思う。

しかし、ギルもギルで、なぜイネスと付き合うようになった理由が分からない。

本当にイネスのことが好きなら、なんとしてでも説得するはずだ。

それもせずにイネスのせいにするというのは、ギルもギルで、最初からイネスを好きでなかったということだと思う。

メッセージ的にはギル目線で描いているが、これはまだ未熟な二人の若者の恋愛という見方も出来る。

ギルの味方もイネスの味方も出来ない。

考えさせられた。

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