映画「ジャージー・ボーイズ(2014)」が“オススメ☆4”の理由と考察、その感想

②オススメ☆4

ジャージー・ボーイズ 英題:Jersey Boys

監督:クリント・イーストウッド 2014年 134分

脚本:マーシャル・ブリックマン、リック・エリス

出演:クリストファー・ウォーケン、ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、他

映画「ジャージー・ボーイズ」の簡単なあらすじ

 1950年代にアメリカのジャージーで結成した音楽グループが、時にはお互い衝突しながらも、成功に向けての道を歩んでいく。

刑務所に入っていたメンバーも出所し合流、作曲できるメンバーがさらに加わり、4人で本格的に活動を進めていく。

なんとかレコーディング費用を用意し、録音寸前に作った曲がヒット、4人は一躍有名人の仲間入りを果たす。

その後もなんとかヒットを続け、順風満帆に見えた芸能生活だったが、あるメンバーの抱える事情が活動に暗い影を落としていく…

“オススメ☆4”の理由と考察、その感想

突破していく爽快感がある

実在する音楽グループを題材に、ミュージカルを映画化した作品だ。

紆余曲折し、お互い不満を抱えながらも力を合わせ、なんとか成功に結びつけるところなんかは見ていて気持ちが良い。

録音寸前に曲を変えたり、ちょっとしたヒントから作った曲がヒットしたり、ギリギリで間に合わせていく裏側が興味深い。

知り合いのプロデューサーに偶然再会したり、成功の影には少なからず運も関係していたりする。

メンバー同士の確執

メンバー間の不協和音なども細かく描かれている。

成功をするまでは4人の気持ちが同じ方向になんとか向いていたが、一旦成功してしまうと、ばらつきが目立ってくる。

成功をしてもなお音楽を追求していくメンバー、はたまた金を使うことに精を出すメンバー…

どんなグループにも言えることだろうが、若いならなおさら、成功したあとの方が大変なのかもしれない。

バラバラになりそうになるメンバー達ですが、フランキーは決して見捨てずに、「みんなでやって行こう」というスタンスをとるのが格好良い。

妻に、金をつかいこんでいたメンバーの悪口を言われても、「彼にも事情があったんだ」と強く言い返す所など、フランキーは男気に溢れている。

そんなフランキーの姿勢も空しく、離れていってしまうメンバーもいるのが切ない所だ。

自分には力があると勘違いし、フランキーの優しさにすら気づけなくなってしまっている。

まあでも元々そういう人間だったというのもあり、人間有名になったからといって、必ずしも成長するわけではないんだろう。

成功の代償は大きい

はたまた成功することで、家庭との不協和音も生まれてくる。

愛人を作り、仕事でほとんど家に帰らなくなったり…

若くして成功するというのは、パンドラの箱を開けるようなものなのかもしれない。

お金や名誉は手に入るが、大事なものを犠牲にして成り立っているわけで、遠目から見たらそれが果たして成功と言えるかどうか。

それでもめげずに、やりたいことがあるんだと折れずに続けていく様は、見ているものに何かを感じさせる。

ラスト近くで年老いた4人が揃って昔の歌を歌う姿は味があって良い。

味のある音楽がたくさん聞ける

実在の音楽グループが題材ですが、知っている人はもちろん、全く知らなくても楽しめる作品になっている。

クリント・イーストウッドが好きそうな年代の曲だなあなんて勝手に思った。

実にレトロで味のある曲が多い、古きよき時代だ。

そんな音楽が作中でいっぱい耳に出来る。

個人的には、最後のミュージカル風の演出は確かに爽やかではあるが、若い4人が夜の街灯で歌っているシーンで終わっても良かったんじゃないかと思った。

誰に聞かすでもなく、街灯の下で楽しげに歌うその姿が4人の本当の姿であり、環境は変わってもきっと4人の心の奥底に残る、消えることのないあたたかな瞬間なんだと思う。

実に粋なシーンだ。

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