陽の当たる教室 原題:Mr. Holland’s Opus
監督-スティーブン・ヘレク 1995年 143分
脚本-パトリック・シェーン・ダンカン
出演-リチャード・ドレイファス、グレン・ヘドリー、ウィリアム・H・メイシー、他
“つまらない☆1”理由と考察、その感想
序盤はかなり見やすい
序盤は悪くない。
思っていたより現実的な話で、最初は腰を据える気がなく教師をやり始める感じも良いし、感心のない生徒達にロックを交えて授業していく所や、中々引き込まれる。
ホランドの堅くない性格もリアルで、普通の先生らしい先生じゃない感じも非常に見やすい。
しかし一時間を過ぎたくらいからどんどん飽きはじめ、二時間近くになるともう早く終わってくれとしか思えなかった。
せっかく最初で良さげな雰囲気を感じたのに、後半よくもこう間延びさせたものだと思う。
序盤から、話が盛り上がりかけた所で完結せずに次の話に移ってしまうということがたくさんあったが、まあそれは最初だしと思っていたが、ほぼそれだらけじゃないか。
話の触りだけふわふわとずっと見せられている感じで、話を深く理解するという所になぜか行かせてくれない。
きっと30年くらいに渡っての人生を描いているから、話が膨大でいちいち追っていけないのかもしれないが、それにしても中途半端すぎる。
あの問題はどうなったの?というもやもやを抱えたままどんどん時間が過ぎていく。
ホランドは作曲という目的があり、腰掛けだったつもりがいつの間にか教師の職に定着した。
それはきっと自分でも気付かぬうちに教師にのめり込んで行ったということだろう。
生まれた子供を養うためでもある。
話し一つ一つがしっかり描かれている訳ではないから、ホランドが教師で行くことを決めたきっかけははっきりとは分からない。
まあ、きっとなんだかんだで居心地が良かったんだろうと勝手に想像するしかない。
いつの間にか教師で行くことが当たり前かのような話で進行していく。
感動に無理に持っていこうとするラスト
ラストの引退セレモニーのシーンはあまり感動できなかった。
かつての教え子が集まっているけど、そもそも生徒達と心の交流、ぶつかり合いをしたというシーンもほぼないし、教えた生徒がどう成長したという話しも描かれないので、教え子がたくさん集まっている、というのがなんとも白々しい。
みんなで引退に反対する、音楽授業の廃止に反対するなら分かるが、ただ見送りに来ただけだろう。
引退に反対するわけでもなく、引退を祝福しに集まるという感じが、なんともアメリカ的な感じがする。
それは悪い意味でアメリカ的だ。
一見粋なように見えるが、偽善の臭いがすごい。
こういうパターンで確かに粋になることもあるが、この場合は全然粋じゃない。
アメリカ人はこれを見て感動するのだろうか?
そこらへんごっちゃになってるのか?
本当に年齢や病気などで引退せざるを得ないならこれで良いだろうが、ホランドはクビになったわけだろう。
いきなり音楽の授業がなくなるという相談もない決定で理不尽に。
それなのに、そんなホランドの苦渋の撤退をあと押ししてどうすんだ。
みんなで抗議する、署名も何万人分も集めた、というのなら分かるけど、ただありがとうっていうだけ?
怒りとかはないのか、みんなホランドの撤退、音楽の授業がなくなることを完全に受け入れてるのか?
あげくの果てに、もと教え子の州知事が駆けつけて、ホランドをねぎらう。
なんか粋なことを言おうとしてカッコつけているが、州知事ならなぜ反対しなかったんだ?
かなりの権限を持っているだろうから、あんたが反対すればどうにでもなるし、ならないならこれからみんなで戦おうという訳でもなく、ただねぎらいに来ただけって何だ?
ホランドの授業でこの人は一体何を学んだのか?
あきらめない気持ちを学んだんじゃないのか?
上の命令に屈して何もしなかったのか?
ホランドの教え子で一番ビッグになった、教え子の代表がこんな偽善の人間って、ホランドはモンスター製造機か?
教え子全員どうかしてる。
それなのにホランドもじーんと感じて泣いちゃってるから、これは一体なんだ?と思う。
パッケージと邦題に感じた嫌な予感、偽善の臭いがこのラストで見事に大爆発した。
台無しって言うほどそれまでも大したことはないから、まあこんなもんだろう。
コメント