映画「ブロークバック・マウンテン(2005)」を“今すぐ見るべき!”理由と考察、その感想

①今すぐ見るべき!☆5

ブロークバック・マウンテン  英題:Brokeback Mountain

監督-アン・リー 2005年 134分

脚本-ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ

出演-ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、アン・ハサウェイ、他

映画「ブロークバック・マウンテン」の簡単なあらすじ

アメリカの山中で、放牧の仕事をしていた二人の男。

寝泊りを一緒にするうちに恋仲になり、いったん分かれてお互いに普通に結婚するが、お互いが忘れられず、密かに関係が続いていく、同性愛者の恋愛。

“今すぐ見るべき!☆5”理由と考察、その感想

美しい景色を舞台に同性愛者の恋愛が描かれる

同性愛の話だとは知らずに借りたが、良かった。

序盤の山中の静かな時間が流れる映像はとても美しい。

序盤の二人のじゃれあいは、見ていて学生の頃を思い出すようで、懐かしい気持ちになった。

ただの男同士のじゃれあいじゃなかったのは後々わかることになるが・・・。

途中から、二人が接近して恋仲になっていく。

二人の気持ちの流れや感情、変わっていく周りの環境なども、とても細やかに描かれていて、リアルに感じられる。

同性愛だとか関係なく、濃厚な人間ドラマになっている。

ヒース・レジャーの演技がとても良い。

仕草一つ一つが、感情が入っているというか、なにかが宿っているような感じがする。

ヒース・レジャーが映画中で、若い青年から娘を持つようになった50くらいの父親まで、特殊メイクを駆使しながら一人の人間の半生を演じている。

こんな味のある雰囲気を出せる俳優はあまりいないと思う。

まだ若いのに亡くなってしまい、とても残念だ。

ヒースレジャーの演技をもっと見てみたいと思った。

こんなドラマチックな恋愛映画はない 追記:2023/05/27

これは今まであまりなかった同性愛者の恋愛をダイレクトに描いた作品だ。

最初は少しだけ面食らったが、見ているうちに何も気にならないどころか、二人の気持ちが演技を通してよく表現されているので、その展開に釘付けになった。

見終わると、誰かの人生をたっぷりと垣間見た気持ちになる。

この時代はまだ、同性愛など許されない時代だったんだろう。

嫌でも結婚して、隠していかなくては生きていけない。

差別が直接食うや食わずに影響する時代だ。

だから隠さざるを得ないがゆえに、普通の恋愛よりも複雑でドラマチックになっている。

無理やりに作った訳ではない、こんなにドラマチックな恋愛ドラマは見たことがない。

時代が作り出した意図しない足枷のおかげで、彼らは当時の普通の人がおよそ送ることのない波乱万丈の人生を送っている。

だから、同性愛というのを忘れて観ていた、というと同性愛の人に失礼かもしれないが、それくらい身近に普通に感じられた。

というか、ジェンダーが何であれ、面白いものは面白い、面白くないものは面白くない、ということだろう。

これは面白い。

時代の理不尽さが生んだドラマ

ただ、もし自分が彼らと結婚した奥さんだとしたら、めちゃくちゃやり切れない。

この時代によって傷つけられたのは彼らだけでなく、彼らの奥さんたちもそうだ。

だから、彼らの恋愛を心からは称賛できない。

しかし、彼らは差別と闘い、自分の気持ちも押し殺し、妻と子供を養うために日々働いている訳で、あまり責めれない。

ただ、それなら結婚する前に教えて欲しかった、と思う。

恋人として好きではなかった、という嘘をついていた訳だから。

結婚する前に言うのは、もうそれは恋愛結婚というのが破綻した、お互いのためのパートナーでしかないので、それを全員が受け入れてくれるかというとそうではないかもしれない。

ましてや同性愛者であることを色んな人に暴露されてしまうかもしれない。

だから、独身で行くのが一番良いと思うが、それはそれで変な噂が立てられたりして差別されるのか?

しかし、そんなこんなで翻弄されながらも、彼らはまだ幸せな方だったんだろうと思う。

好きな人が見つかり、長年にわたって会い続けることが出来たんだから。

好きな人が見つからない人の方が多いんじゃないか?

この作品は、時代の理不尽さが生んだドラマである。

この作品から、同性愛というものやこの時代の風潮も知ることが出来る。

というか、単純に見ごたえのある恋愛ドラマになっている。

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