映画「ミスティック・リバー (2003)」を“今すぐ見るべき!”理由と考察、その感想

①今すぐ見るべき!☆5

ミスティック・リバー  英題:Mystic River

監督-クリント・イーストウッド 138分 2003年

脚本-ブライアン・ヘルゲランド

出演-ショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ティム・ロビンス、ローレンス・フィッシュバーン、他

映画「ミスティック・リバー 」のあらすじ

ジミー(ショーン・ペン)、デイブ(ティム・ロビンス)、ショーン(ケビン・ベーコン)の仲良し男の子三人組は、その日もいつものように路上で遊んでいた。

ふと目に入った乾ききっていない地面のセメントに、いたずらでそれぞれ自分の名前を刻んでいく三人。

そこに警官らしき男が通りかかり注意を受けるが、デイブだけ車で連れて行かれてしまう。

それは実は偽警官で、デイブは監禁され、性的いたずらを受けてしまった。

時は経ち、25年後、ジミーは犯罪から足を洗い、愛する家族と共に雑貨屋を経営、ショーンは刑事になるが、妻とは疎遠になっている。

デイブは結婚して家族と一見幸せに暮らしているが、今も過去のトラウマに悩まされている。

三人は同じ町で暮らしているが、会ってもあいさつ程度で、昔の様に親しくしているわけではなかったが、ある事件をきっかけに、三人が再び顔を突き合わしていく。

ジミーの娘が遺体で発見され、その事件をショーンが担当し、事件当日の夜、デイブはなぜか血まみれで家に帰宅していた。

愛娘が殺されたジミーは激高し、ガラの悪い犯罪者仲間を使って、警察に構わず勝手に手荒な犯人探しを始めてしまう。

それを知りながらも、冷静に聞き込みをしながら捜査を進めていくショーン。

デイブは、最初は強盗に襲われて殴り返したと言っていたが、情緒が不安定で、次第に証言が二転三転していく。

かつて仲の良かった三人の人間を中心に、それぞれの立場や背景、家族関係が絡み合っていき、事件は思いもよらぬ方向に向かっていく。

“今すぐ見るべき!☆5”理由と考察、その感想

主要人物三人の演技が光る

クリント・イーストウッドの監督作品。

登場人物のそれぞれの人生観もしっかり描かれているので、サスペンスとしてだけではなく、重厚なドラマとしても楽しめる。

粋なセリフなど、クリント・イーストウッドらしい感じも散りばめられている。

主軸となる三人の演技もそれぞれが個性的で、とても見ごたえがあある。

ショーン演じるジミーは犯罪から足を洗ったということになっているが、見た目は明らかに怖い親父だ。

今でも犯罪に関わっていそうというか、怒らせたらやばいだろうな、という感じがよく伝わってくる。

ケビン・ベーコンの刑事役は、決して感情をあらわにする感じではないが、ただ淡々としているわけではなく、非常に味わい深い。

終盤で妻と電話で話すシーンなんかは涙腺を刺激される。

ティム・ロビンスの、影があり情緒不安定な演技も良い。

ぶれている感じがうまい。

脇役たちも、全ていい味が出ていて、作品を盛り立てている。

安易ではない結末

作品の時間は長めだが、飽きずに見られた。

そして、最後の真犯人も全く見当がつかなかった。

ラストのシーンは、見ている側の感じ方や解釈が分かれるようにも取れる。

見終わって、後味が悪いという意見が多いようだが、決してそんなことはないと思った。

ただの正義や悪といった安易な話にはしていない、かといって、その悪を野放しにして終わりというラストでもない。

最後にケビン・ベーコンがショーン・ペンに対して行う仕草の意味・・・。

映画はこれで終わりだが、この先を自分でポジティブに想像することも出来る。

安易に話を進めていくより、リアリティを追求した結果だと思う。

自分の願望や正義感というものが届かないこともあるという現実。

そして、それは起こるべくして起こったわけではなく、物語が展開していく上の紙一重のすれ違いで起こってしまった悲劇・・・。

善悪のはっきりした終わり方の映画がある一方で、こういうグレーな要素の入っている終わり方の映画は貴重な気がする。

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