映画「アメリ(2001)」が“物足りない”理由と考察、その感想

④物足りない☆2

アメリ 原題:Le Fabuleux Destin d’Amélie Poulain

原題-「Le Fabuleux Destin d’Amélie Poulain」=「アメリ・プーランの素晴らしい運命」

監督-ジャン=ピエール・ジュネ 122分 2001年 フランス

脚本-ジャン=ピエール・ジュネ、ギヨーム・ローラン

出演-オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、他

映画「アメリ」の簡単なあらすじ

神経質な母とあまり遊んでくれない父に育てられた少女アメリは、病気で学校にも行かず、一人妄想の世界に浸りながら大人になった。

人と接することを苦手に感じているが、喫茶店でアルバイトをしながら一人暮らしをしている。

決まった場所での水切りや、クリームブリュレの表面を割る時、豆袋に手を突っ込む時など、些細だが、アメリが日常で喜びを感じる瞬間だ。

そんなアメリはある日、些細なきっかけで自分のアパートの部屋の奥から、以前の住人の物と思われる小さな宝箱を見つける。

軽い気持ちで持ち主に宝箱を返すことを思いついたアメリは、大家や住人などに聞いて何とか探し出し、自分と知られずに持ち主に返すことに成功する。

宝箱を手にした持ち主が感激して涙する姿を目の当たりにしたアメリは、人に何かしてあげることの喜びに目覚め、積極的に行動を起こしていくようになるが・・・。

“物足りない☆2”理由と考察、その感想

一人の世界を楽しむアメリ

味のある映像や描き方、細かい嗜好の描写などが面白い。

アメリは豆袋に手を入れること、決まった場所での水切り、クリームブリュレの表面を割ることが好きだが、確かに分かる気がする。

めちゃくちゃ楽しいという訳ではないが、心のどこかでその瞬間を待ち望んでいたりする。

他人が分かる分からないは関係なく、純粋にこれが好き、というこだわりがその人の個性であり、表現でもあると思う。

他人から見たら何が好きなのか分からなくても、本人が好きなのだからそれでいい。

アメリが好きになった男性も、一目惚れであり、その人がどんな人なのかまだ分からない状態だ。

それでも好きになってしまうところが、淡い初恋の感じであると同時に、恋愛の本質的な部分でもあると思う。

好きなものは好きだという純粋さというか。

全体的に雰囲気としては味のある描き方で、コメディータッチでもあるが、非常に見やすい。

アメリは果たして人付き合いが苦手か?

アメリはあまり人づきあいが得意ではないという感じで見せたいのだろうが、見ていると決してそんなこともない。

自分が良く思っていない八百屋の店主に陰険な嫌がらせをしたり、誰かと飲みに行って騒いだりなどもせずに一人家で妄想にふけったり、確かに社交的な人間が取らないような行動をしてはいる。

それでも、アメリは喫茶店でちゃんと働けているし、初対面の人ともそれなりに会話できている。

好きな人の前でもじもじしてしまうのは当たり前のことだし、決して人とコミュニケーションをうまく取れないような人間には感じなかった。

本当に苦手な人というのは、こんなものでは済まない。

アメリは人と接するのが苦手ではなく、自分は人と接するのが苦手なんじゃないか?と勘違いしているだけのようにも見える。

そう思うのも、若さの一つであるとは思うが。

住んでいる部屋もおしゃれで美的感覚も悪くないし、特にお金に困っている感じもなく、顔やスタイルだってきれいで美人だ。

むしろ、普通のフリーターよりも大分恵まれている感じすらする。

逆にアメリのような女性はあまりいないのじゃないないだろうか。

だから、誰かの気持ちをアメリという人間を通して代弁したというよりも、アメリと同年代の若い女性が憧れに似た感覚で見る作品かもしれない。

アメリという、魅力的だが少し内向きな女性の淡い初恋を描いたという感じで、自分を重ねるというよりも、アメリという人間自体を可愛がるような作品か。

アメリが、好きな男性と家の玄関でキスをして、その後結ばれるという所も、特にアメリに強烈に恥じらいをともなった不器用感のようなものはもない。

その後の結ばれ方も普通だ。

フランスでは、アメリのような人間が非社交的だとされるのか、そこらへんのフランス人の心理を知りたいと思った。

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