ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー(2025)」が”物足りない”理由と考察、その感想

④物足りない☆2
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  1. ザ・ロイヤルファミリー
  2. ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」のあらすじ
    1. 「第1話-ゲートイン」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 傷心の税理士が馬を通じて生きる力を取り戻していく話し
      2. 栗栖が暗い理由は薄いし、引っ張りすぎ
      3. 物足りない栗須の演技や告発
      4. ロイヤルファイトは善戦したが、あまり跳ね上がらなかった
      5. 山王の振る舞いは粋な部分がある
      6. 山王がなぜ馬にこだわるのかよく分からない
      7. 実際の馬も出てくるが、ドラマが薄い
      8. オマケ:競馬界の抱える闇
    2. 第2話-「逃げ馬」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 調教師探しとイザーニャの活躍
      2. リアル風な馬の調教シーン、あまりクセのない広中調教師
      3. 薄っぺらい成金の山王
      4. 栗須の説得はキレただけだった
      5. イザーニャの芝転向の勝利はすごいか分からない、説明不足の競馬の中身
      6. イザーニャ勝利までのドラマが薄い
    3. 第3話-「庭先取引」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 新しい馬を買いに行く話し
      2. 山王は深さと浅さが混在している
      3. 牧場主が馬を売る基準が曖昧
      4. 山王も牧場主も深くはない、一億円は高くない
      5. 栗須の執事感は悪くないが、物足りない
      6. 魅力的な人物がいない
    4. 第4話-「メイクデビュー」が”見て損はない☆3″理由と考察、その感想
      1. 若手ジョッキーの逆転劇、足りない痛快さ
      2. 山王の振る舞いは悪くない
      3. 栗須は泥臭い営業マンだった
      4. 逆転劇は悪くないが、佐木のリア充感が邪魔
      5. 臨場感のあるレース描写
      6. 面白くなりかけた、もったいない話し
    5. 第5話-「日本ダービー」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 山王のスキャンダルがメインの5話
      2. 足りない栗須の怒り方
      3. 告白できない栗須は可愛げがある
      4. 物足りない山王の椎名への口撃
      5. 馬関係者が山王をなぜ応援したいのかが弱い
      6. 元愛人と現妻の対決はちょっと面白い
      7. レースまでにドラマが物足りない
      8. 見どころがある様でなかった5話
      9. おまけ:怒り演技が苦手な日本人
    6. 第6話-「有馬記念」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 山王には同情は誘われない
      2. 山王の良い社長風描写は入ってこない
      3. 山王はずっと元気だった
      4. 栗須の山王との思い出回想は臭い
      5. 栗須の告白を断った野崎は偉い
      6. 栗須の山王への怒り方は薄い
      7. 絶対勝つという雰囲気のないレース
      8. あまり凝縮されていない3年
    7. 第7話-「口取り式」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 山王とのお別れの回
      2. ドライな態度の耕一は自然で悪くない
      3. 山王の声掛けに反論しないセンチメンタルな栗須
      4. 山王の散り際は少し涙腺を刺激されるが、物足りない
      5. ドラマチックでもったいないラスト
      6. クライマックス前の感動回、耕一は存在感を出せるのか?
    8. 第8話-「相続馬限定馬主」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 耕一は良いが、栗須はイマイチ
      2. 話を聞かない広中、ずっと正しい耕一
      3. 未熟な青年の成長物語にはなっていない
      4. 深い秘書感のない栗須
      5. よく分からない謝罪、臭い涙
      6. 存在感のある耕一
      7. あまり期待できない今後
    9. 第9話-「鐙~あぶみ~」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. ハプニングが次々に襲う9話
      2. 耕一と栗須の変な会話
      3. なぜ翔平にこだわるのか?
      4. 底が見えた栗須の演技
      5. リアルな場所でのロケは悪くない
      6. 物足りないラスト前
    10. 第10話(最終話)-「ファンファーレ」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 今までで一番面白いが、物足りない
      2. 後がない序盤のレースは比較的悪くない
      3. 悪くない有馬記念のレース、よく分からないレース結果
      4. なぜか耕一に立ちはだかってきた山王
      5. 栗須の自然で良い部分と、邪魔な泣き顔
      6. 「ザ・ロイヤルファミリー」を見終えて

ザ・ロイヤルファミリー

テレビ局-TBS プロデューサー–  加藤章一

原作-早見和真 脚本-喜安浩平

演出– 塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介  音楽-横山克

監修– 大竹正博、川島信二

出演– 妻夫木聡、佐藤浩市、松本若菜、小泉孝太郎、黒木瞳、沢村一樹、津田健次郎、安藤政信、目黒蓮、他

ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」のあらすじ

1年前に父を亡くし、勤労意欲をなくしていた税理士の栗須は、ロイヤルという会社の競馬事業の経費を調べることになり、北海道に馬を見に行っていたロイヤルの社長、山王耕造の元を尋ねる。

栗須は、口の悪い山王に面食らいながらも、一緒に馬を見て回り、金の使い道を調査し、その後の役員会議で、経費は妥当な額を大きく超えたものである、と報告する。

怒る山王であったが、泣く泣く競馬事業は撤退することになり、10頭の馬は最悪処分される可能性もある、と聞いた栗須は、馬達を助けるために奔走するのだった

「第1話-ゲートイン」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

傷心の税理士が馬を通じて生きる力を取り戻していく話し

父親を亡くし、働く意欲をなくしていた税理士が、採算の合わない競馬事業を行っている会社を調べることになり、処分される馬を助けたことがきっかけで、生きがいを取り戻していく、様な話し。

主要人物の、馬を所有している人材派遣会社の社長が、口は悪いが粋で熱く、ナチュラルな振る舞いに魅力があるので、そこそこ見ていられる。

主人公の栗須がロイヤルヒューマンの会議に乗り込み、競馬事業の横領は社長ではなく秘書が行っていたことを暴く展開や所有馬のロイヤルファイトがレースで後ろからまくってくるシーンは悪くない。

しかし、栗須の長回しの告白を聞いても、なぜそこまで栗須が落ち込んでいたのかよく分からず、全体を通して主人公の栗須をあまり好きにはなれなかった。

山王がなぜ競馬事業にここまでのめり込んでいるかも弱く、ドラマとして物足りなさを感じた。

なぜなのか考えていきたい。

栗栖が暗い理由は薄いし、引っ張りすぎ

栗須は冒頭で、上司から勤労意欲の低下を指摘され、その理由は父を亡くしたことだが、終盤になるまで明かされない。

時々父親らしき人の回想が入るので、父を亡くしたのか、もしくは家族を亡くしたのか、とも思ったが、明かされるまではハッキリとは分からなかった。

栗須は、終盤でロイヤルファイトのレースを見守り、牧場の人に深々と頭を下げられてから、父を亡くし、言うことを聞かずに帰らなかったことを後悔している、と、涙ながらに山王に語ったが、内容が弱いと思った。

自分が手に入れた立場や評価を捨てられず、父の元に帰らなかった、きっと父は自分の死期も悟って声をかけてきていた、と言っていたが、それだけか?

もっと、売り言葉に買い言葉で、父に酷い言葉をかけてしまい、それを謝ろうとした矢先に亡くなった、謝れずに別れてしまった、とか、ないのか?

人に感謝されるような人間になるんだ、という父の口癖に対して、そんな人間にはなれない、ただのきれいごとだ、と言ってしまったとか、栗須が今も心に引っ掛かっている具体的な描写を提示して欲しかった。

そんなやり取りは特にしていないのか?

それなら、ここまで引っ張ることか?とも思う。

そんなやり取りがなくても、父が唐突に亡くなったら、長い期間引きずる人ももちろんいるだろうから、必ずしも不自然ではないが、その親子の関係性が明確に提示されていなければ、ぐっとはこない。

仲が良かったのか、険悪だったのか、でも変わってくる。

そういう感情的な情報もなく、父が死ぬ前に帰れば良かった、と言われても、だからこんなにローテンションで1年も引きずっているのか、と腑には全く落ちない。

立場や評価を捨てられなかった、というのは何も悪いことではなく、若いならなおさら、それを捨てて帰ろうとは思わない。

仮に、父親と働く方が給料が下がるとしたら、給料が下がった上に、父親もいる職場に行きたいなど、普通は思う訳がない。

だから、この栗須の反省は、実際には悪意などなく、たまたまそうなっただけなのに、自分は悪いやつだ、と無理矢理思おうとしている人間の反省で、弱い。

リアルにこういう人間も存在しているとは思うが、存在しているからリアルと仮定しても、この話が面白くなるには、これだけではまだ足りない。

栗須が1年も引きずるためには、もっと具体的で明確な出来事が欲しかった。

シンプルに喧嘩別れした、ことにした方が、見ているこっちも涙腺を刺激された、と思う。

栗須がローテンションの理由が、引っ張るだけ引っ張ってこれだったので、そうなのか、としかならなかった。

これなら、冒頭で、お父さんが亡くなって悲しいのは分かるけど、もう1年だよ?しっかりしないと、とか、上司にいきなり言われる方がまだ良かったんじゃないか?

それなら、だからこんな感じなんだ、と最初から興味を持って見ることが出来た。

シンプルに、父をなくして働く意欲をなくした青年が、実際の馬に接したり、レースの熱気を体験して元気を取り戻していく、というストーリーの方がよっぽど面白い。

それでも、理由は普通なので、終盤の長回しも物足りなさがあるだろうが、隠して隠して、期待感を煽るよりはマシだろう。

布石とか、伏線回収とかに憧れて、ついつい隠してしまうのか?

そもそも隠すような種類の謎じゃない。

もっと素直に見せればよほど良いのに。

栗須の告白の長回しの演技自体も、自然に思わず言ってしまった、という感じではなく、なんか長いセリフを言い始めた、という感じで、引きつけられはしなかった。

この感じなら、とんでもない真相が隠されていなければ補えないが、上述した通り、内容は見合っていない。

物足りない栗須の演技や告発

栗須は山王の経費の使い道を報告し、山王が馬を手放すことになった後、所有馬10頭が最悪処分されることになると分かり、イザーニャとファイトの牧場に足を運んでいた。

そこで山王が馬を買い取った話を牧場主から聞いた後、イザーニャを撫でながら、名前を呼び涙ぐんでいたが、なぜなのかよく分からなかった。

この時点では栗須に何があったのか、まだ明かされていないし、明かされた後に振り返ってもよく分からない。

イザーニャが処分されることに思いを馳せたのか、父の、人に感謝される仕事をするんだ、という言葉を思い出して情けなくなったのか、単純に父が亡くなり、精神的に弱まっていただけなのか。

父が亡くなり、精神的に落ち込み、自分を取り巻く世界への興味を失っていたが、さすがに馬を処分する運命は受け入れられなかった、としても、泣く必要はない。

神妙な顔でイザーニャを撫でるくらいで良い。

名前を口に出すのも、作為的だ。

泣いてしまう、という情報が、より終盤の栗須の告白を跳ね上がらせない、余計な振りになってしまっていると思う。

告白を聞いて、だから泣いてたんだ、ともならない。

その後、栗須は山王の元を訪れ、馬を守るために、経費を全て調べさせて欲しい、と直談判するが、その理由がよく分からなかった。

なぜそこまでするんだよ?と聞く山王に、ここで終わらせたくない、そう思ったからですと言っていたが、どういうことだ?

終わらせたくない、って馬の命のことなんだろうが、それも含んだ事業のことにも聞こえるし、曖昧で分かりづらい。

答えているようで、答えになってない。

山王も、何を終わらせたくないんだ?馬か?先生には関係ないことだろう?とか聞かないのか?

自分のせいでまさか馬が処分されるかもしれないとは思わなかった、馬の命は奪いたくない、イザーニャを好きになってしまった、ということだろう?

じゃあそう言えば良い。

もしくは、シンプルに動物が好きとか、そういう理由が知りたいのに、ふんわりしか言わなかったのが、物足りない。

少し格好つけているセリフでもあるし、言い方もちょっと強く言っている感じが、真面目ぶっている臭さがあり、スッと入ってこない。

この役者のクセなのかもしれないが、こういう力を込めた言い方は、ちょっと浮いてしまうので、合っている場面でない限り、やめた方が良い思う。

体育会系の先輩に媚びる、真面目ぶった後輩のしゃべり方のような。

それは見せかけの真面目で、本当の真面目ではない。

これこそ、もっとロートーンで言えばいいんじゃないか?

無理に、ちゃんと言ってますよ、感を出すのは自然から離れてしまう。

あざといってほどではないが、違和感が残る演じ方だ。

栗須は、その後何とか馬たちを救えないか、もう一度調べ直し、それにより秘書が横領していることが発覚し、それを役員の会議で告発した。

栗須が息を切らしながら会議場に乗り込んで来て、秘書の横領を告発する様は、面白い展開であるが、演技自体はあまり自然に感じられず、今ひとつだった。

ゼーハーしながら、力を込めてしゃべる感じが演技っぽいので、もっと抑えて淡々とした方がリアルだ。

これは、横領です、という強い感じの言い方も、ヒステリックっぽい感じでちょっと薄いし、浮いている。

栗須の説明で横領というのは明らかなのに、わざわざ、これは、で切って、横領です、と強く言うのが効果的でない。

内容のないセリフで決めに言ったような感じで、なんかスッキリしない。

山王側の役員から怒号が飛び交い、早く話せよ、邪魔だ、出てけ、などの言葉の圧をかいくぐって、これは横領です、と怒鳴るならまだ分かるが、そうではない。

さもすごいことを見つけました、的なしゃべりにリアル感はなく、逆効果だ。

徹夜で調べて、告発内容に自信があるなら、肩で息をしながらも、もっと落ち着いて淡々とした方がリアルだし、栗須に合っているんじゃないか?

むしろ、声が小さく、手が震えているくらいでも良いし、それは格好悪いことじゃない。

この一連の演技は、横領は大ごとだから、力を込めてしゃべろう、という短絡的な考えから来る、素人的発想の演技に見える。

それにしてはあざとくはない方だが、あまり感じるものはない。

日本のドラマって、面白くなりそうでも、こんなちょっとズレた演技はよく見かけるので、この作品に限ったことではない。

大きくあざといならまだ分かりやすいが、ちょっとのズレだから、みんなドラマってこんなものだと思うし、理由もわからず、何となく心躍る所まではいかずに終わる。

日本のトップ俳優の演技の中にもあるんだから、そりゃ、これがドラマだと思うだろう。

でも、栗須の役者は違和感を感じているのに、もっと怒りを出して、激しく息をしながら、とか監督から指示が入っていたとしたら、不憫だ。

栗須は正義感が強い人物なのかもしれないが、必ずしも強い言い方をしなければいけない訳でない。

静かだがしつこく言い続けるのだって怒ってるのは伝わるし、相手が威圧してねじ伏せようとしてきた時に、強く言い返せば良い。

その役者の本質に合った闘い方をすれば良い訳で、出来ないことは無理にやらなくて良いし、逆に違和感が残る。

このシーンでも、もっと栗須に合った演じ方をして欲しかった。

ロイヤルファイトは善戦したが、あまり跳ね上がらなかった

栗須と山王が一緒にレースを見守り、ロイヤルファイトが追い上げていく展開自体は悪くない。

山王が、まだだぞ、と言ったり、行けーと叫ぶ感じも悪くはない。

しかし、先頭が最終コーナーを回り、残り400メートルくらいになったところで、まだロイヤルファイトは10番手くらいなのに、もう感動的な音楽がかかかりっぱなしなのが冷めてしまった。

息を飲む展開で、まだ分からないのに、早すぎて臭い。

レースが主体なんだから、そこをまず見させて、音楽は添える程度で良いのに。

音楽はなくても良いと思うが、入れたいなら、せめて追い上げ始めた6番手から3番手に上がる、ごぼう抜きを始めたあたりで、入れれば良いんじゃないか?

白熱した実況とリンクもしておらず、先走った音楽が邪魔に感じた。

そして、ロイヤルファイトのステータスや山王がロイヤルファイトに入れ込む理由が不明で、勝っても負けても良い状況では、善戦した所でどう思えば良いのか分からない。

ロイヤルファイトの戦績、癖や性格、他の馬と違うトレーニングをやっているのか否か、などの情報はほぼ皆無だ。

強くはないんだろうが、全く勝てない訳でもなさそうで、ボンヤリしている。

父親は重賞レースを獲っている、一度処分されそうになった、あんまり勝ってない、くらいの薄い情報しかない。

全く勝てる見込みがほぼない大穴がまくってきたら、競馬を見に来ている客は驚き混じりの声援になるだろうし、ポテンシャルはあるが今まで勝ったことがなく、苦労してきた馬が本領発揮したら、前のめりに応援する感じになるだろうし、情報によって客の反応も、栗須や山王の反応も変わるので、結構重要だと思う。

そして、山王がどれだけ心血を注いできたのか、会社を潰しかけてまでロイヤルファイトに入れ込む理由もまだ描かれていないので、やっと山王の努力が報われた、という嬉しさもない。

そもそも、ここで勝っても負けてもいいんだろう?

ここで勝てなかったらもう競馬事業は廃止で、ロイヤルファイトを手放さなければならず、後がない、という縛りがあった方が良かった。

それなら、山王や栗須も自然と激しい声援になるし、こっちも思わず見守ってしまう。

勝てなきゃ終わりで、1位になりかけたが2位で、落ち込む山王と栗須だったが、レースを見ていた息子も息を呑んでしまい、心動かされてしぶしぶ事業継続を決めた、とかなら、ドラマチックで面白かった。

そこら辺の、リアルに沸き立つ興奮は特に感じられなかったので、せっかく本当の競馬場でリアルな馬もたくさん出してレースを作っているにも関わらず、物足りなさを感じた。

山王の振る舞いは粋な部分がある

栗須が出会った、採算の合わない競馬事業を続ける人材派遣会社の社長の山王は、その振る舞いや存在感に味があり、悪くない。

儲けよりもその馬の裏側にいる人間に投資するなど、一見口は悪いが、昔気質な熱い性格で、飾らない振る舞いも好感が持てる。

長いセリフなど、セリフっぽい感じがなくはないが、会話のリアル感が感じられるしゃべりが多くて良い。

山王が馬を買い付けに牧場を回って2頭の子馬の兄妹(姉弟?)を見つけた時、その子馬の親イザーニャは、牧場主の亡くなった息子が9年前に名付けたと知る。

メス馬の方は体が弱く、走れるか分からないと告げられるが、山王は破格の3000万で2頭の買い取りを決め、種馬を見つけて息子の意思を受け継ぎ、イザーニャの血統を守っていく、と牧場主に伝えるシーンは格好良い。

健康な1頭だけでなく、足の悪いメス馬も買い取り、責任を背負う感じは男気がある。

悪く言えばカッコつけではある。

こんなことばかりしているから、想定外のお金がかかり、会社がひっ迫していくんだろうと思うが、これも山王の味で、良さでもある。

その後、牧場主が顔を震わせて、深々と頭を下げる様は、大分あざとくてうっとうしかったが。

無理矢理泣こうとしているうわべの顔芸だった。

コントの演技みたいだ。

せっかく山王の性格が表れている象徴的な行動を見せる良い機会なのに、臭くなってしまっていて、邪魔だった。

もっと抑えて自然にやって欲しかった。

会社の会議で、競馬事業は採算が取れてない、と息子に詰められると、山王は、数字ばかりで先が見えてない、入社試験からやり直せ、と言い放つ頑固な感じが味があって良い。

馬を車と勘違いしてるんじゃないか、乗り物じゃない、おもちゃじゃない、などと、よく分からないことを熱弁していて、今では半分パワハラとされる発言だが、こんな曖昧なことを強く言ってしまう感じも、熱血社長感が表れていて良い。

採算が取れず赤字続きの事業を続け、先が見えてないのはお前だろ、と社員全員内心思っている感じで、こりゃ話しにならないな、という面倒くささがリアルで良い。

それでも、上記の様に牧場主の気持ちを汲んだ売買をしたり、行く当てのない栗須を雇ったり、人情に熱い感じが好感が持てるので、ダメとも言い切れない。

栗須の告発で、秘書が横領していることが判明した時、山王が秘書を見て怒るのではなく、涙ぐんでいた感じが深くて良い。

長年一緒に馬を見て回り、苦楽を共にした仲間が裏切ったんだから、怒るのを通り越してしまったんだろう。

栗須と北海道で焼肉を食べていた時、山王は、馬はやんの?と栗須に聞き、何のことか分からない栗須に、競馬はやんの?と、ちょっとイラッとした感じで、ゆっくり言い直す感じなど、自然でとても良い。

うちに来るかい?と栗須を誘う時も然り。

終盤で栗須が父親のことを告白した後も、俺に言うなよ、とちょっと吐き捨てるような感じで言うが、その後すぐに、親父さんに言えよ、と粋なことを言う。

一見怖い様に感じるが、一緒にいると、むしろ普通の人より良い人で、ただ飾ってないだけなんだ、と魅力を感じる、こういう大人は味がある。

時代的にも、こういう人間は減ってきてるんじゃないかと思う。

山王ほど人間味がない人が、外側の振る舞いだけ真似ても、そのまま嫌な人に見えるだけなので、危険ではあるが。

今の所栗須よりも存在感があり、主人公の栗須の相棒として、ドラマが面白くなり得る深みが、その振る舞い自体にはある。

山王がなぜ馬にこだわるのかよく分からない

ただ、上述した通り、なぜ山王がそこまでロイヤルファイトに、競馬事業に入れ込んでいるのかがよく分からないので、会社の金を使って真剣に道楽をやっている感じではある。

そりゃ、家族から白い目で見られるのは当然だろう。

社員も、実際接すると良いおじさんだけど、競馬事業で赤字を出してる、会社の金で馬を追って全国を飛び回ってる、と聞いたら、その金で時給上げてくれ、と思うかもしれない。

秘書の横領発覚の後、山王は、副業の飲食と競馬事業を洗い直す、場合によっては撤退、うちは人材派遣会社で、うまい食堂より人材だろ?と言っていたが、じゃあ早い馬より人材ですね?と誰か言ってやれと思う。

競馬事業の余波を受けたら、飲食部門の社員はたまったもんじゃない。

洗い直すと言っていたけど、馬を半分に減らす、などの具体的な策を講じた訳でもなさそうなので、結局そのまま競馬事業は続ける、ということだろう?

グズグズじゃないか。

10頭も飼っているって維持費がすごそうだ。

競馬事業で成功すると、社会的名誉やスポンサー料などが舞い込み、とんでもない見返りがあるのか?

自分のためではなく、会社のため、家族や社員のためにやっているのか?

結果的にそうなったとしても、本質的には、男のロマンを追っている、莫大な金と時間を使ったギャンブルをやり続けている様に見える。

何か大きな目的のために、というよりは、夢を追い続けること自体が目的であるかのような。

馬を見るのではなく、その裏にいる人間を見る、などと良いことを言っているが、なぜ競馬事業をここまでゴリ押しで続けてきたのか、よく分からない。

終盤の新潟の競馬場で、山王は栗須に、馬に関わる人間と馬が一体になる瞬間があり、それを味わったらやめられない、億の赤字も忘れる、と言っていたが、それが理由か?

もしそうならただのジャンキーだ。

これは冗談半分で言っていたとしても、本当の理由は他にあるのか?

前に誰も走ってない気持ち良さを馬に味あわせたいから?

有馬記念に出て勝つのが夢だから?

聞けば聞くほど、道楽でやっているようにしか思えない。

どうやって応援すれば良いんだ?

栗須に、偉そうに夢はあるのか?と聞いていたくせに、自分はボンヤリした夢しかない。

馬を勝たせるその先に何があるのか、もっと具体的に語って欲しかった。

そんなもんねぇよ、分かんないか?浪漫があるだろ、とか言われそうだ。

ロイヤルファイトにまだ誰も気づいていない、他の馬にない傑出した才能を見出したから、という訳でもなさそうだ。

牧場主の息子の遺志を継いで、イザーニャの血統を受け継いでいくと約束してしまったから?

その前から競馬事業はやっていた訳だろう?

事業の廃止を求める会社役員に、もう少しだけ待ってくれ、ファイトは力をつけてきてる、次のレースで勝てなかったら諦める、などという強い気持ちの直談判もしていない。

栗須によって秘書の不正が明らかになり、赤字の原因が分かったから事実上もう事業は続けられる、としたらゆるい。

それでも、今までの監督責任を取ってこのレースで行く末を決めろ、くらいに息子には山王を追い込んで欲しかった。

なので、山王の振る舞い自体は味があっても、やっていることが道楽の域を越えてこないので、この先競馬で成功しようがしまいが、あまり興味をそそられない。

やらざるを得ない訳でもない、成金の暇つぶしというか。

せめて、山王がいかに社員に慕われ、働きやすい職場にし、社員を守ることに必死になっている良い社長だが、競馬だけは玉にキズだ、というような人物描写にして欲しかった。

例えば、偉そうに部下に説教している上司を見かけて一喝するとか、子供が生まれた平社員に手厚いケアをして、シフトも変えさせて働きやすくするとか、分からないが、みんなが社長を好きになっている、というような描写を何個も入れて欲しかった。

そうであればまだ応援できたのに。

実際の馬も出てくるが、ドラマが薄い

このドラマでは、実際の馬や競馬場も使い、お金も労力もかけて撮影しているが、1話はドラマ的には物足りない。

栗須が暗い理由も引っ張り過ぎだし、山王の人物描写もまだ薄い。

栗須は、上述した通り、真面目ぶる様な演じ方に違和感がある。

山王は、もっと時間をかけても良いから、良い人柄が分かる様な描写をもっと入れるべきだった。

山王は半分主人公みたいなものなんだから、これからずっと続く競馬の話の軸として、応援したくなるような人間に仕立て上げるべきだった。

山王の振る舞い自体には味があるし、演技的に2人とも変なあざとさもなく、話によっては面白くなり得るポテンシャルは十分あると思う。

しかし、ドラマの導入の話としては弱く、心つかまれるシーンも特になく、これからの話に対する期待感も感じられなかった。

これから馬が育っていき、有馬記念に出場することになるのか?

栗須の息子だか何だか分からないが、若い眼鏡の青年も出ていたが、これから世代を受け継いで、馬の物語が語られていくのか?

競馬は賭け事で、血統を受け継いで勝っていくことなど、浪漫があるスポーツであるとよく言われているが、第一話に、そんなロマンチックさを感じさせ、競馬に興味がない人も惹きつけるほどのパワーはない。

しっかりドラマを作ろうという真摯さは感じるし、主要人物2人も日本のトップ俳優だが、まだこの程度なのか、と思う。

オマケ:競馬界の抱える闇

ちなみに、競走馬は引退したら9割近くが天寿を全うする前に殺処分され、主に動物用の肥料などになり、その数は年間7000頭に上るそうで、ビックリした。

馬の寿命は30年ほどで、競走馬は5歳くらいで引退するそうで、余生の方がはるかに長い。

しかし、膨大な数の馬を養う牧場や飼育場は少なすぎて補えず、かなりのエサ代がかかることも考えると、余生を待たずに殺処分し、肥料にする方が手っ取り早く、経済的なんだそうだ。

クラウドファンディングで、引退した競走馬を守ろう、という活動も見受けられるが、まだまだ追いついていない。

人間の都合で交配されられ、レースが終わったら処分される、という残酷なシステムの上に成り立っている競馬というスポーツはまさに人間が生物の頂点であることを知らしめる究極のスポーツである、とも言える。

もっと言えば、これほど人間のエゴが渦巻まいたスポーツは他にはない。

動物園すら世界で縮小傾向の昨今では、今後はなくなっていく可能性も否定できない。

そういう裏事情を知ってしまうと、一口に浪漫で片付けて良いものか、と疑問が残る。

馬の命の儚さも含めて浪漫ということか?

ロイヤルの所有馬10頭は栗須の調査のおかげで救うことが出来たが、もっと大きな問題が裏にはある。

そういう現実を、視聴者にちゃんと伝えた上でもなお、競馬は面白いんだ、と示そうとした訳では今の所ない。
まだ第一話だが。

今後の話で触れられるかは分からないが、せっかく描くのであれば、表向きの浪漫だけでなく、そういう現実問題も取り上げた上で描いてくれれば、より深い話になるんじゃないかと思う。

JRA全面協力で、そんな展開になるわけないか。

山王も、馬をレースに出して稼ぐだけでなく、牧場を作ったり、馬の処遇についても改善していく活動などもしていれば格好良いが、ただ遊んでいるだけの様にも見える。

本当に解決するなら、そもそも牧場の土地などもないので、競馬産業自体を極端に縮小するか、スペインの闘牛の様に廃止の方向に向かうしかない気もする。

そうでなければ、牧場を作りまくり、日本のそこら中に馬牧場があって触れ合える馬大国になったり、馬車を復活させたり、人が走る競人にするなど、どれも非現実な案ばかりしか思い付かない。

そういう、光だけでない競馬産業の闇を吹き飛ばすほど、熱く、心揺さぶられる人間と馬のドラマを見せて欲しいが、あまり期待は出来なさそうだ。

 

第2話-「逃げ馬」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

調教師探しとイザーニャの活躍

第2話では、山王が息子から、中央競馬界で1勝できなければ、競馬事業を撤退することを迫られ、栗須はロイヤルとイザーニャの調教師探しに奔走し、新たな調教師の方針でイザーニャを芝で走らせ、見事に勝利することが出来た。

競走馬がいかにトレーニングされてレースに出るのかなど、実際の施設や厩舎を使った描写は興味をひくし、初めてファイトとイザーニャの性格も明かされ、今までの方針を調教師が大胆に変更し、それが的中する展開も悪くない。

第一話よりは面白かったが、イザーニャが勝ったことがすごいことなのかよくわからないし、山王はパワハラ度が倍増していたし、栗須の存在感も弱いので、全体としては物足りなかった。

なぜなのか考えていきたい。

リアル風な馬の調教シーン、あまりクセのない広中調教師

山王が調教師とケンカしたことで、栗須は新たな調教師探しに奔走し、〜のつてを使って何とかイザーニャとファイトを受け入れてくれる厩舎を見つけることが出来た。

新しい厩舎で、調教師達がイザーニャとファイトを、毎日細かく状態を見ながら、トレーニングやエサの量などを調整して仕上げていく様は興味を引く。

専門用語が飛び交って何を言ってるのか分からないことも多かったが。

実際の厩舎で、馬も使ってロケをしている感じも良い。

途中で蹄鉄を直しているメガネの男性がいて、調教師に、〜さんお願いします、と言われ、はーいと返事して作業していたが、そのほぼ演じてない感じと、鮮やかな蹄鉄さばきは、完全に本物の職人なんだろうと思う。

その感じに比べたら、他の厩舎の人達の振る舞いは、役者が演じている感じに見えるので、そこまでリアルではない。

こうやるんだ、とあらかじめ台本で決まったことを各々やっている、という感じで、舞台がリアルでも、本物感を感じて引き付けられはしなかった。

特にあざとい人とかはいなかったが。

それ以上リアルを追求するには、もう常軌を逸した世界に足を踏み入れることになるので、まあ普通のドラマはこんなもんだろうと思う。

ファイトとイザーニャを担当することになった広中調教師は、野崎に、変わった人だよ、と言われていたが、真面目で熱意のある、物腰も柔らかい普通の人だった。

何が変わっているのかよく分からない。

変わった人、というのは、腕は確かだけど、人当たりがキツくて面食らうとか、何かしらの欠陥人間である、という様なマイナスの意味合いが大きい気がするが、そんな感じはない。

イザーニャとファイトの主戦場を入れ替えるという考えは大胆だが、筋が通っているし、血統をよく調べるのも普通のことだろう。

山王が言っていたようにいわゆるイケメン感は残っていて、それなりに笑顔も振りまける爽やかさもある。

強いて言えば、ちょっとぬぼっとした雰囲気があり、物をよく失くすくらいで、変人感が足りず、普通で物足りない。

帽子を取った髪はパーマっぽくてオシャレだし、外見に無頓着なんだ、という感じもない。

いつも無表情で笑わないとか、必要以上の言葉がなく、いつも怒っている様に見えるとか、怒る山王に、じゃあ勝てないんでうちでは無理です、勝てない馬を預かる気はないので、と言ってしまう忖度のなさとか、もっとクセの強い感じが欲しい。

栗須との話し方も普通だし、山王にもちゃんと分からせようとしていたり、コミュニケーションに難があるわけでもないので普通だ。

別に普通でも良いんだろうが、変わっている方が面白いし、せっかくそうするなら、もっとやりようがあるだろうと思う。

よく忘れ物をするくらいでは全然足りない。

薄っぺらい成金の山王

山王は、1話ではパワハラ感もあるがまだ良い社長風だったが、2話では完全なパワハラ社長で、薄っぺらい成金のムカつく社長だった。

人格ちょっと変わってないか?

栗須が何か意見するたびに、生意気な、と吐き捨てるように言うのがムカつく。

ここまで嫌なやつだったか?

冒頭の、山王の豪邸に栗須が招待され、山王に悪態をつかれながら、ツンケンした家族と食事をする感じなど、自分が栗須だったら地獄だ。

こういう人間ほど、表面的には家族を大事にする儀式を重んじる節があり、栗須は奇妙な世界に迷い込んでしまった。

山王も居心地は悪そうだったが。

家は庭付きの豪邸で、執事が何人もいて、専属シェフもいて、高い時計を栗須に渡し、運転手付きの車で家まで送らせるなんて、とんでもない金持ちだ。

広中調教師に出会った時、若いしイケメンって言われるでしょ、とサングラスをかけて笑いながら指差す感じは、アホにしか見えなかった。

その後の広中への怒り方も節操がなくてしょうもないし、ずっと薄っぺらい。

こりゃ家族のみならず、全員に嫌われて当然だ。

1話よりはるかに酷い。

きっと、下の社員のことなんて何も考えていない、競馬が楽しくてやってるだけのアホ社長なんだろうな、と思ってしまった。

なぜここまで競馬に入れ込んでいるのか、という深い理由なんてない。

病みつきになって、赤字になって、今さらやめられないからやっているだけだ。

人情に熱い、というのも、本当にそういう部分はあったとしても、取ってつけたような物で、マイナス面を補い切れていない。

それでも当の本人は、自分のことを良い人間だ、と誇っていそうな裸の王様だ。

これが山王の本質なら、もっと第一話からこの薄っぺらさを爆発させて欲しかった。

第一話って、主要人物がどんな人間なのか、名刺代わりに突きつけるためにあるんじゃないのか?

第二話で、ようやく本当の人格が出てくるとしたら、ずいぶんスロースターターだ。

成金のアホ社長と、真面目で正義感のある税理士というコンビなら、それはそれで面白くなり得るかもしれない。

しかし、山王に深さはないので、山王も成長しなければ、これから所有馬が好成績を残していった所で、感動なんてない。

むしろ、成功しそうになるが失敗し、を繰り返し、良いところまでは行くが、最終的にはとんでもなく破綻する方が面白い。

結局栗須に裏切られるとか。

嫌な成金がより大金を手にすることに、一体何の面白味があるんだ?

社員に好かれる良い社長だけど、競馬だけはうまくいってなかったが、栗須とのタッグで成功する、競馬に入れ込むのも実は深い理由があった、などという方向であれば感動出来そうだが、もうそっちは無理だ。

こんな人間が、このくらいの年から成長するなんて、よほどのことがない限り無理なので、急に良い人になっても不自然だし、どう成長するのかはよく分からない。

見た目より意外に若い設定だとしても、50は過ぎてるだろう。

栗須がもっと成長していき、山王を猛獣使いのようにコントロール出来る様になっていき、山王も栗須の影響を受けて人が変わっていく、とかしかない。

コンビとして成長していく、という様な。

そもそも山王の成長などが主題でもなく、ファイトやイザーニャをはじめ、今まで勝てなかった所有馬が栗須や調教師の尽力により、いかに勝ち上がっていくか、ということを見せたいのか?

それはそれで悪くはないが、山王も変わっていかねば、人間も含めたドラマとしては、熱いものにはならないと思う。

栗須や調教師が頑張っただけだ。

馬が勝ちを重ねてきて、山王が優しくなって来たとしても、それはうまくいっているから機嫌が良いだけで、根本から変わった訳ではない。

やっと長年の山王の努力が報われた、という山王の深い人間味から来る感動などにはならない。

山王の成長を期待したいが、成長せずにこのまま行くとしても、このダメ社長がどうなっていくのかは見守っていきたい、とは思う。

ダメ社長ならダメ社長で、ブレずにこのまま行って欲しい。

1話から2話へも人が変わってしまっているし、途中で急に人格者っぽくなられても入ってこないので、もし山王が変わるなら、ちゃんと栗須とぶつかったり、それなりの出来事を経た上で変わって欲しい。

これは15年前の過去が舞台だから、まだ尖ってる頃の山王なのか?

山王を演じている佐藤浩市は、役者として深みがある印象があるが、こんなアホ社長を演じられるのはすごい。

素は絶対こんな人じゃないのに、演じているのを越した薄っぺらさで、本当にこんな人なんじゃないか、と思わすリアル感がある。

一体何の得があって引き受けたのか、というくらい、2話の山王は薄っぺらいので、これはこれで魂の演技なのかもしれない。

応援出来ないとか、感動出来そうにない、などということは置いておいて、これはこれで見物ではある。

栗須の説得はキレただけだった

広中調教師が山王へのレースの方針転換を説明し、激昂して帰ろうとする山王を栗須が車内で説得するシーンがあったが、栗須の怒り方が浅くて、少し物足りなかった。

感情を込めて怒ろう怒ろうとしているのが裏目に出ている。

怒っている風の演技をしているだけで、本当に説得しようとしている様には見えなかった。

本当に怒っているから、あえて抑え気味で諭す、という味のある説得ではない。

これがこの役者にとってのリアルな怒り方だったとしても、ちょっと薄い。

怒り慣れてない人がキレた、みたいな違和感がある。

誰も言わなかったことを言ってくれたんですよ、勝てるって、という、相手にぶつける感じの怒り方は自然で良い。

その後、じゃあ何でもギャンブルです、とさらに怒る一連の感じが薄い。

自分が転職したのだって、社長が馬主になったのだって、全部ギャンブルです、と言っていたが、特に2回目のギャンブルという言葉の言い方は、無理に強く言おうとしている感じがあざとい。

そもそも説得しようとしてるんだから、こんな言い方をしてはダメだ。

それなら全部ギャンブルですよ?と優しく言ったって十分伝わるだろう。

この一連のしゃべりは、感情を込めようとしているが、表面上だけで、いまいちガツンとこない。

その後の、だったら私は人で決めたい、というセリフも、会話感がなく、独り言を強く言っている感じでリアルではない。

タメ口になっているし。

説得してるんだから、私も人で決めたいです、社長の様に、などと分かりやすく会話にして、サラッと言う方が良い。

そもそも、人で決めたいって山王の言葉だろう?

何で自分の言葉みたいに言ってるんだ?

振り返って、賭けて下さい、この私に、と言う感じも、ヒステリックな感じで、本当にお願いしているようには見えずに、薄い。

キレちゃって、山王にただ強く言っただけだ。

その後に、お願いします、無礼をお許し下さい、などと頭を下げるのがセットになっているならまだ分かるが、そうではない。

なので、じゃあ何でもギャンブルです、以降のしゃべりは、もっと抑えて淡々と言ったほうがリアルで良かった。

誰も言わないことを言ってくれたんですよ〜、というセリフ以外は作り物感がある。

それは、誰も言わないことを〜のセリフが一番感情が込めやすい、言いたくなる明快なセリフだから、当然と言えば当然だ。

賭けて下さい、この私に、なんて、大分薄くて物足りないセリフだ。

リアルな会話で、この言葉が急に出てくるはずがない。

ちょっとキザだし、ナチュラルじゃない。

1話でも言っていたから、これは決めゼリフか?この私ってどの私だ?

長年連れ添った、お互いよく知っているお爺さん執事が、うんと言わせるために、あえて言うならわかるが、栗須はそうではない。

普通に、今回は私に賭けて下さい、お願いします、などという方がよほど自然だ。

何でわざわざ短くして、言いづらいセリフにしたんだろう?

その前の、だったら私は人で決めたい、というセリフも、しかり。

もしかしたら、栗須の役者は大分頑張った方なのか?

言いづらいならセリフを変えてもらわないといけないが、脚本家が山王みたいに怒るのか?

セリフがいまいちでも、演じ方でもう少しリアルに出来るはずだ。

演じ方も指定されているのか?

その後、山王が、じゃあ俺に分かるように説明させろよ、マネージャーだろ、と詰める感じは本当に怒っている感があるし、山王らしくて良かったが。

イザーニャの芝転向の勝利はすごいか分からない、説明不足の競馬の中身

レースに出る馬は馬主が牧場で買い付け、育てた馬でなければならず、そこからレースに出るためには、さらにトレーニングを積み、狭き門をくぐる必要がある、というのは知らなかった。

では、レースに出れている時点で、イザーニャもファイトも、一応選ばれたエリートの一員ということなんだろう。

誰がそこまでして馬主になるのか、というくらい、リスクがあまりに大きい。

1人前になって戦えるまでに、すでにとんでもない時間とお金がかかっている。

そりゃ、どっちもあり余ってる、大会社の社長くらいしか、馬主になんてなれないんじゃないか?

広中調教師のすすめで、芝を走っていたロイヤルはダートのレースに、ダートを走っていたイザーニャは芝のレースに出る、という大胆と思われる方針転換は面白い。

それが見事に的中し、イザーニャが序盤から飛ばし、ギリギリ逃げ切ってしまうという展開も悪くない。

しかし、戦績の良くないイザーニャが、芝に替えただけで1位になるのが、すごいことかどうかよく分からない。

戦績が良くないって、2位になったことはあるのか、万年最下位なのか、でも話しは変わってくるので、ざっくりではなく、まず成績をちゃんと教えて欲しかった。

そして、広中の作戦が、競馬界の中であり得ない常識外のことかどうかも分からない。

その作戦が常軌を逸していて、周りの調教師も反対して、ケンカみたいになるが、広中はそれでも曲げなかったり、ライバル会社の社長の秘書も、芝に変えただけで万年最下位の馬が勝てるわけないですよ、などと社長と話している、などの振りが欲しい。

調べてみると、芝とダートを入れ替えて成功した馬は、過去にもそこそこいるらしいが、あくまでレアケースで、ヴェラアズールとか、タマモクロスなどという馬が、ダートから芝に変えて成功しているようだ。

なので、全くない作戦ではなく、競馬界でも知られた戦法だが、成功例は少ない、というまさに賭けで、イザーニャはそれに勝った、ということの様だ。

ちなみに、芝は言葉通り天然芝のコースで、ダートは砂のコース、芝の方が硬く、スピードが出るが、体の柔軟性が求められ、ダートは足を取られる分、パワーのある、足の短い馬の方が有利なんだそうだ。

そこはその馬が持つ個性やトレーニング方と合わせて、どっちが向いているか見極めていくらしい。

ダートでは、前を走っている馬が蹴った砂が顔にかかる砂かぶりという現象もあり、それで走る気を無くす馬もいるらしいから、繊細かどうかなどの性格も重要になってくるそうだ。

きっと実際にはもっと複雑な要素も絡み合い、どっちが向いているのか考え、育てていく過程は、まるで野球の監督の様で、深くて面白い。

せっかく競馬をテーマにしているんだから、そこら辺もちゃんと説明してくれたら、もっと興味は湧いただろう。

ファイトとイザーニャの性格を教えてくれたのは興味深いが、もっと盛り込んで欲しかった。

ちなみに、中央競馬のレースはほとんどが芝、地方競馬はほとんどがダートだそうで、山王が目指している有馬記念も、天皇賞や菊花賞などの有名なレースもほとんどが芝だ。

山王は、馬のことはわからない、と言っていたが、さすがに長年の競馬界の端くれとして、芝とダートを入れ変えることの意味を知っているはずで、そこは簡単に言わせても良かった。

山王が、ダートと芝の違い分かるか?と聞いて、栗須が、芝と土ですよね、と言ったら、分かってねぇな、芝はスピード、ダートはパワーがいるんだ、入れ変えただけで上手くいくわけねえんだ、成功した馬なんて数えるくらいしかいねぇんだよ、とか、パワハラ混じりに教えて欲しかった。

全て一から説明していくと、それこそ競馬の紹介ドラマみたいになるので、振りも兼ねて、登場人物に所々言わせていく、とかを散りばめて欲しかった。

イザーニャの戦績や前評判も合わせて。

そうでなければ、イザーニャが勝ったことがいかにすごいのか、見ていてあまりよく分からない。

イザーニャ勝利までのドラマが薄い

肝心のレース自体に関しては、途中でスローモーションがかかったりもしていたが、1話ほどは違和感は感じなかった。

まだレースは終わっていないのに、スローモーションが長めにかかり、感動的な音楽がかかるのは邪魔だった。

スローモーションは、長いとちょっと冷めるし、無音の方が格好良いんじゃないか?

その後8番のオーンレジスが並びかけた辺りで、応援するようなアップテンポの音楽がかかるのは、レース展開と連動していて悪くない。

途中で、行けーと何度も叫ぶ牧場主はあざとかった。

もっと神妙な顔で、いいぞ、とうなずきながら見ている方がまだ感動出来る。

勝ちそうになっているイザーニャを、目を見開いて見ていた山王の顔は、ちょっとあざとかった。

心は驚いてないのに、顔だけ驚いている振りをしている様に見えた。

イザーニャが勝って、やりましたよ、と興奮する栗須に、山王も興奮気味に、俺達が目指してるのはおまえ、G1だぞ、と強がる感じも演技臭く、ちょっとあざとい。

本当は興奮してないのに、興奮を装った演技で、リアルには感じなかった。

本当に興奮出来ないなら、むしろ格好つけて、落ち着いている感じで言えば良い。

一切喜ばず、しかめっ面のまま、俺達が目指してるのはG1だぞ、浮かれるな、と静かに落ち着いた感じで栗須をなだめるが、コップを持つ手が震えている、とかの方がリアルだし、簡単に出来るだろう。

山王の演技は、本当に興奮していなければ嘘に見える、ハードルが高い演じ方をしていて、うまくいかなかった。

というか、本当に興奮するなんて至難の技だ。

どういう撮影方法か知らないが、目の前で実際の馬のレースを見て、本当に興奮した状態のまましゃべるならいけるかもしれないが、何回も見たことあるし、だから何だ?と心が感じてしまっていたら、もう無理だ。

興奮しようしようとしたってどんどん遠のくだろう。

若ければ、撮影の体験が疑似でも初体験のことが多く、現場で本当に感動出来ているまま演じれば、その感情は真実なので、嘘になりづらい、というメリットはあるかもしれない。

結局その感動を素直に表現する力がなく、仮に嘘じゃなくても薄っぺらいままなら大したことないから、若ければ良いとも全く限らないが。

栗須はイザーニャが勝って号泣していたが、そこまでのことかと思ってしまった。

上述した通り、イザーニャを応援したくなる要素が少ないので、見ている者はもちろん、俳優自身も気持ちを込めづらいんじゃないかとは思う。

子供の頃は足が悪くレースに出れるか分からなかった、イザーニャの名前は牧場主の亡くなった息子が名付け、母馬から受け継いだ、一時は処分されかけた、先祖の血統が芝に強いからダートから芝に変更した、これだけでは弱くないか?

あまり強くなく詳しい戦績は不明、調教師は勝てると言っているが、観客やライバルからの評価も不明、山王はこのレースで勝たなくてはいけない訳でもない、では、どうやって応援したくなるんだ?

足が曲がっている、走れるか分からない、と言われていたイザーニャは、レースに出れている時点で馬のエリート街道を登ってきた訳だろう

足にハンデを抱えてここまで来るのにどれだけ苦労したのかも特に描かれていない。

勝てるわけ訳ないだろ、山王は終わりだ、などという馬鹿にされている噂を客やライバル、家族などから山王が聞いていれば、そいつらを見返す意味でも、山王の役者は気持ちを込めやすかったんじゃないか?

その見下した態度が、山王自身が倒すべき直接的な敵になり得るが、そんな描写はない。

家族からは競馬を辞めさせる圧がかかってはいるが、そこまで強くはない。

それに、山王自身に深みがないので、山王に勝ちたい動機があっても、素直に応援出来ない。

ハンデを乗り越えて苦労してきたイザーニャと、それを赤字になりながらも支え続けた、口は悪いが深みのある社長が、心ない前評判をひっくり返して、後がないレースで勝利した、ならドラマチックで感動出来たかもしれないが、全くそうではない。

イザーニャに対しても、山王に対しても、こっちが好きになってしまう様に仕向けられていない。

喜ぶ栗須も、号泣して歓喜するほどのプロセスを経ているかというとそうでもないので、泣き虫なのかな、という感じだ。

なので、イザーニャが逃げ馬で勝つという結果はポジティブで良くても、そこまでの布石が足りな過ぎるんだろう。

2話で描くには時間が足りな過ぎるとしても、もっとポイントを押さえていなれば、感動に持っていけたと思うので、もったいない。

 

第3話-「庭先取引」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

新しい馬を買いに行く話し

第3話はイザーニャが勝利してから1年経過しており、山王はそれ以降勝てておらず、新たな馬を買い付けるために栗須と広中調教師と共に北海道に行く様子が描かれた。

馬を頑なに売らない頑固な、栗須の元恋人の父親から、山王が説得して馬を買うシーンは粋さがあり悪くなかったが、牧場主と山王にいまいち深さを感じられないので、ガツンとは来なかった。

馬のオークションや、庭先で取引をする様子は興味を引くし、山王や栗須を主体とした会話劇などは悪くないが、全体としては少し物足りなかった。

なぜなのか考えていきたい。

山王は深さと浅さが混在している

3話を見て、山王は中盤までは2話よりはマシになった振る舞いで、1話の感じに近く、また人格がちょっと変わったと思ったが、このくらいの感じならまだ深くなり得るんじゃないかとは思った。

序盤の娘の誕生日パーティーで、娘に促されてスピーチさせられてまごついたり、北海道の厩舎に付いてる来る娘に注意したり、帰りなさいよと言っても、いいじゃん少しくらい、と言い返されて呆れる感じとか、可愛げがあって味がある。

娘には手を焼くけど、お得意の嫌な物言いはさすがに出来ない様だ。

このくらいでずっとキープしてくれれば、まだ深い方に振り切った時にも説得力はなくないので、ギリギリ大丈夫な感じだ。

しかし、山王が、野崎の父親の牧場主としゃべる感じが輩みたいでしょうもなかった

栗須の挨拶を遮って、挨拶いいから馬見して、と言ったり、北陸に行った方が良い、などという牧場主に、ごちゃごちゃ言ってねえで馬見せろよ、とボソッと言うのは、見ていて腹が立つ。

こんな態度の悪い人間が、何をしても深くなる訳がないので、演じ方を間違えてしまったんだと思う。

ただ口が悪いのと、態度が悪いのとは意味が違う。

2話の山王もそうだが、こんな振る舞いを見せてしまったら、もう取り戻せない。

確かにこんなムカつくアホ社長はいるし、リアルで良いが、それと話しが面白くなるかは別だ。

これが脇役で、ストーリーに大きくは影響しない程度の役柄なら、むしろこのリアルな嫌さも含めて、全体の良いスパイスになったかもしれない。

しかし、主要メンバーとしてガッツリ関わるなら、話しが深くなどなるはずがない。

こんな人間が例え自分を身代わりにして人の命を救ったとしても、実は良い人だったんだ、と印象が全てひっくり返る感動などにはならない。

ただ嫌なヤツが良いことをしただけの話だ。

山王がハピネスをこの牧場に預けることになり、酒を酌み交わすときも、自信持って売りゃいんだよ、とか、フェアじゃないんだよ、話せよ、それが取引ってもんだろうが、とか、口調が悪すぎる。

恐らく自分より年上だと思われる人に、例えケンカしたからとしても、こんな輩みたいな口調で話してはいけない。

あまりに高圧的すぎし、そもそもそこまで怒るほどのことは言われていない。

最初に態度が悪かったのはむしろ山王の方だ。

売買する双方は対等なので、タメ口でも良いだろうが、売ればいいのに、とか、フェアじゃないよ、話して、それが取引ってもんでしょ、とか、普通の口調でも言えるし、態度ももっと穏やかに、諭すように言うことはいくらでも出来る。

切符の良い江戸っ子、というより、キレやすいチンピラに見える。

その後の話し合いの山王のしゃべりは深くて良いが。

まるで馬主が勝つ気がないみたいじゃないかよ、などと飾らずにしゃべる感じは味がある。

こういう余裕のある話し方だけにするべきだ。

牧場主の仲間や妻の思いを山王が汲み、北陸で買った馬より、こういう牧場で買った馬で勝つほうがみんな驚くし面白い、乗らせろよ、あんたの夢に、と言うシーンは粋で良い。

口調が少し偉そうだからこそ、あまり臭くはなっていない。

勝つ気はありますか?と牧場主に聞かれ、死にものぐるいだ、と言う言い方も普通で良いし、最後に、欲望に飲まれる時はみんな一緒だよ、と言うのも粋さがあって良い。

今までの山王の振る舞いの中で、一番深みを感じられるシーンで良かった。

ただ、上述した通り、輩的な一面の印象が邪魔で、涙腺を刺激される所までは行かなかった。

輩の山王と、このシーン後半の山王は別人で統一感がないので、もったいない。

山王が、口は悪いが社員思いで、家族に頭が上がらず肩身が狭いが、困った人は放っておけない、などという可愛げのある人物なら、このシーンも涙腺を刺激されただろう。

口だけでなく態度、性格が悪いし、社員思いの描写もなく、赤字そっちのけで競馬に入れ込む成金のチンピラ社長が、別人の様にたまたま良いことをした、だけでは、感動のしようがない。

山王は、社員を背負って競馬をやっている、というようなことを言っていたが、言っているだけで、それが分かる描写はない。

なので、山王の人物描写不足と、一線を越えたマイナス演技で、せっかくの良いシーンに大分水を差してしまっている。

牧場主が馬を売る基準が曖昧

野崎ファームの牧場主は、山王に勝つ気はあるんですか?と詰め寄り、早く馬が見たい山王が興奮してケンカになり、取引がおじゃんになったが、それ以外で売らないケースがあるのか知りたかった。

どこで買い手の人間性を見抜いて売らないのか、もうちょっと教えて欲しかった。

山王は、いいから早く馬見せろよ、などと輩みたいな態度を取ったから、こんな奴が勝てる訳ない、と思われてもしょうがない。

しかし、山王みたいに怒らなかったらどうなってたんだ?

勝つ気はあるんですか?を決めゼリフみたいにしているが、あります、勝つ気しかないです、と真剣な顔で言われたらどうするんだろう。

そこだけでは見抜けない詐欺師だっている。

もし椎名が馬を見に来て、勝つ気はあるんですか?と言われたら、一回笑って静かに、勝つ馬以外買ったことはないです、などと言いそうだし、そう言われたら売るのか?

まず最初のテストとして、勝つ気はあるんですか?と投げかけ、ちゃんと答えられた人には馬を見せるとしたら、次はどこで判断するんだ?

馬を見ている姿勢や態度がダメだと思ったら、すみません、売れません、となるのか?

真剣な顔で長めに食い入る様に馬を見ていれば、売ってくれるのか?

それとも、細かい今後の育成などに関する質問があり、独自のテストに合格する必要があるのか?

山王が最初で変な態度を取ったことで、そこら辺が全く描かれず、この牧場主が深いのかどうかもよく分からない。

売りに出している時点で、売らない気はなく、買い主を試しているとしても、その試し方を知りたかった。

というか、それが細かく設定されていなければ薄い。

山王も牧場主も深くはない、一億円は高くない

山王は、あの親父さんはダメだよ、みたいなことを言っていたが、あんたもだろ、ということなので、山王にも説得力はない。

馬の後ろにいる人間を見る、と言っていたのは一体何だったんだ?

野崎ファームの牧場主じゃなくても、挨拶を遮って、早く馬見せて、なんて無礼な態度をとる奴に、馬に限らず、商品を売りたいとは思わない。

思い入れがある商品ならなおさらだ。

山王は、2回目に会った時も、売りゃいいんだよ、などと言っていたが、あんたには売りたくない、と思うだろう。

山王の態度の悪さで、この牧場主が頑固で馬を売らない、という特徴がボヤけ、むしろ正当にも見える。

あのケンカの限りでは、明らかに山王の方が悪い。

他を当たったほうが無難だと思います、勝つ気はあるんですか?と言うのは、客をもてなす精神に欠けていて、ムッとはするかもしれないが、最初に引き金を引いたのは山王だ。

そして、預託料を払ってくれようが、こんな山王に結局馬を売ってしまうんだから、牧場主も筋がない。

山王の人格に一貫性がない、というのもあるが。

誰にも懐かない馬が山王に懐いてパニックになったのか?

たまたまアホに懐いただけの話で、山王が良い人間である証明ではない。

パニックになった上に、預託料の件でも頭が上がらず、さらに、山王の話を聞いてみたら、北陸以外の馬で勝つ方が面白い、という意見にも共感出来たし、勝つ気もある事が分かり、売ることにしたのか?

それって最初から、山王が悪態をつかずに、同じ様なことを言っていたら、売ってくれていたのか?

牧場主は、預託料と馬が懐いたことでここまで思いをしゃべったが、そうでない状況では、自分の思いを買い主に伝えることはしないのか?

勝つ気はあるんですか?と聞いて相手がちゃんと答えても無視して、なぜ一億円なのかという理由にも答えず、一方的に売れませんよ、といつも商談を終わらせていたのか?

それなら、そこまで見せて欲しかったし、山王の言う通り本当にフェアじゃなく、めちゃくちゃだ。

そこまで行って初めて、この牧場主はなぜ馬を売らないんだ?とはなるが、山王は態度が悪かったので、山王に対する扱いはフェアだ。

山王も悪態を一切つかずに、必死に勝つ気があることを説明するが、それでも最終的には馬を売らない、という振る舞いにしないと、かなり分かりづらい。

その後、馬が山王に懐いているのを見て心が動揺し、預託料ももらえることが分かり、しぶしぶ思いを語る、ならまだ分からなくもない。

それでも、馬をいかに売らないか、というやり方が不明瞭で、一億円も金持ちにしたら出せない金額ではなく、甘い。

勝つ気満々の椎名が来て、馬の良さを見抜かれたら、むしろ安い買い物と思われ、簡単に買われるんじゃないのか?

馬を売らない、という噂の割には高くはない。

せめて三億で、椎名が買った青影より高い、くらいに設定しないと、売らないというポリシーを守るには弱いんじゃないか?

それを山王が買ったら格好良かったし。

それでも、資金力がある椎名は良いと思ったら買いそうなので、金額だけでは防御策にはならない。

椎名には売らずに、山王に売った、という流れでもないし、山王は売るのに相応しい人格者ではない。

上述した通り、酒の席の後半の山王は、人格が入れ変わった良い人間で、悪態をつく山王と一致しないので、それもまたややこしく、奇妙で入り組んでいる。

山王がずっと、酒の席の後半の様な粋さもある普通の態度で、あくまで凝り固まって理不尽な事を言って馬を売らないおかしな牧場主を何とか説得した、とかなら、まだスッと入ってきたが。

牧場主は大して深くもなければ狂人でもなく、ふんわりと、変な社長に買って欲しくない、と思っているだけの薄い人間描写で、山王は輩と人格者が混在している変な人間だ。

一見分かりづらいが人物設定がグズグズで、涙腺を刺激されるにはまだまだ遠い。

演技的には、牧場主も山王もあざとくないし、面白くなり得るポテンシャルはあるはずなのに、もったいない。

特に、山王の一線を越えた嫌な人間感は、物語を素直に見せることを大きく邪魔している。

栗須の執事感は悪くないが、物足りない

山王に尽くす秘書の栗須の執事感は悪くないが、そこまで存在感はなかった。

北海道の居酒屋で、他の客にいちゃもんをつけられ、栗須が立ち上がって丁寧に自分たちの目的を告げる感じは悪くないが、あまりスッキリはしなかった。

牧場関係者だと思われる二人組は、山王たちの話に割り込み、野崎の父親は何も分かってない、そそのかされて同業者が何軒も廃業した、食べるためには馬を売らなければならない、と言っていた。

栗須は、勝てる馬を探している、希望を買いに来ている、日高だろうが他の産地だろうが、関係なく、この馬なら勝てるという生産者を探している、などと言って一礼したが、何を言いたいのかハッキリせず、直接的な反論にもなっていない。

少なくともあなた達がそういう生産者ではない、ということはよく分かりました、などと、もう少し踏み込んで言って欲しかった。

この2人は、ただ会話に参加してきただけでなく、明らかに無礼なので、執事としてもっとハッキリ言い返して欲しかった。

例えば、そそのかされたって、ずいぶんな言い草ですね、自分達だって儲かると思って勝ち馬に乗ろうしたんじゃないんですか?実際私達は勝てる馬を探しに来ています。もし、サラブレッドがいなければ、私達は来ておりません。そこにあなた達もかつて夢を見たのは確かで、その土壌を作った先輩を初対面の人の前で腐すなんて、牧場主としてのプライドが欠如してると言わざるを得ません、とか、言って欲しかった。

セリフの言い方も、怒っている風なだけで、リアルに怒っている強さは感じない。

明確に言いたい目的がセリフに込められていなければ、ちゃんと怒れないはずなので、それがないセリフにも関わらず、頑張って怒っている演技をした方なのかもしれないが。

栗須が北海道のホテルのロビーで、ハピネスを野崎ファームに預けてはどうか?と山王を説得するシーンも物足りなかった。

あの牧場助けてどうするんだよ、と言う山王に、栗須は、馬を強くするためには、牧場を続けていく時間が必要、それが強い馬と巡り合うチャンスにもなる、と説得し、山王があっさり承諾するのが物足りない。

時間が必要なんです、牧場を続けていく時間が、と立ち上がりながら、ちょっと怒り混じりに言う感じがイラッとする。

何が言いたいのか曖昧なのに、語気だけ強まっている感じが、浅いケンカになるだけのダメな怒り方だ。

もっとちゃんと説得する話し方で、分かるような内容で言わないと、ただの意見の押し付けに見える。

山王は、屁理屈だな、と言っていたが、そうじゃなく、時間があったら何であの牧場が良い馬作れるんだ?昔の女を助けたいだけだろ?公私混同じゃねぇのか?とか、ガッツリ反論して欲しかった。

なんか根拠あんのか?あの親父を助けたいとは思わねぇよ、などと反発する山王に、栗須がさらに上回る意見をぶつけて説得した、とかであれば面白かったが、そうではない。

助けるべきなのは他の困窮している馬牧場も同じことで、なぜ野崎ファームなのか、というプレゼンがない。

見ているこっちも、野崎ファームの牧場主は、何となくこだわりを持ってるんだろうな、くらいしか分からない。

それなのに、後継ぎが不憫だから、という理由だけで疑問にも思わずOKしてしまう山王もザルすぎる

漠然と良いことをして大きい人間に見せたいという様にも見え、粋でもないし、熱いリアルな会話にはなっていない。

最悪、栗須はうまく言葉に出来ず、ここで説得出来なくても、もう一回だけ牧場を見てもらえませんか?それでだめなら諦めますから、などとダメ元で山王を野崎ファームに連れていっても良い。

そして、芝を見た山王が、その手入れに感動し、人に懐かない馬も山王に懐き、機嫌が良くなってハピネスを預けることに決めた、となったなら抑揚があって面白かったが。

魅力的な人物がいない

山王は野崎ファームで馬を手に入れ、ハピネスの預け先も決まり、これから勝っていく様子が描かれるのか?

出演している役者達の演技自体は、概ねあざとくなく、ポテンシャルを秘めているものの、人物描写がまだ足りなかったり、セリフ自体が薄かったり、今ひとつガツンと来ない。

JRA全面協力の元、実際のレース場や厩舎や牧場、馬を使って撮影しているのは良いが、それで物足りなさが帳消しになる訳ではない。

最初はお堅い話で取っつきにくそうだと思ったが、フタを開けてみたらそこまでではなく、競馬というテーマも悪くない。

しかし、今の所、一貫した魅力的な人物がいないので、あまり心惹かれない。

栗須は普通、もしくは物足りない。

野崎は演技っぽさがなく良いが、普通だ。

山王の家族は、本当にこんな金持ち一家がいそうな雰囲気があって良いが、母親も兄も妹も、特に魅力がある家族ではない。

強いて言えば山王が、見ている者を引き付けるドラマの軸になり得たのに、もう崩壊してしまった。

何であんな嫌な振る舞いをさせてしまっているんだろう。

もし山王が、人情に熱い飾らない江戸っ子などであれば、大分面白くなり得たんじゃないか?

せめてそこはぶらしちゃいけなかった。

百歩譲って、悪に対してそんな態度ならまだ格好良くなり得るが、そうじゃない時に出てしまうのは致命的だ。

居酒屋で失礼な絡みをされた時も、お得意の嫌な感じでやり返しても良かったのに、そこは冷静に対処していたので、あべこべだ。

自分より下の立場の人間に主に嫌な態度をとる奴だ。

これが準主役でどう面白くなるんだ?

やはり、登場人物の人間描写に魅力がないと、中々難しい。

第4話-「メイクデビュー」が”見て損はない☆3″理由と考察、その感想

若手ジョッキーの逆転劇、足りない痛快さ

4話は、栗須が荒馬のホープに乗れるジョッキー探しに奔走し、地方競馬で勝っているが、過去に問題を起こして中央競馬から遠ざかっていた若手ジョッキーを説得し、ホープで勝利するという逆転劇が描かれた。

様々な視点で描かれるレース模様は臨場感があり、若手ジョッキーのドラマも、栗須の尽力や山王の人情深い振る舞いも悪くなく、今までの話では初めて少しだけ涙腺を刺激された。

ドラマとしての面白さを感じられ得る悪くない作り方になっているが、若手ジョッキーが軽く、レースの描き方も痛快さが足りないのがもったいない。

山王の振る舞いは悪くない

今回の山王の振る舞いは、輩的な感じがほぼなく、深みがあり、自然で良かった。

全ての話しの山王の振る舞いを、このくらいで抑えておくべきだ。

栗須が山王に意見し、生意気になってきたな、と言っていたが、このくらいなら味があってコミカルで良い。

初めてジョッキーを見た時に、金髪か?チャラいな、と言ってしまう感じも面白い。

唯一、レースが始まってホープが出遅れた時に、何やってんだよ、という言い方が薄い。

結果的に作戦の範疇内だった訳で、まだ分からないのに、吐き捨てる様に言うのは薄っぺらく感じる。

もう、何やってんだ、と見守る感じならまだ良かったが。

やっちゃったか?とか、どっちか分からない感じで言うのも良い。

しかし、山王の薄さはそのくらいで、概ね深みのある人間として描かれていたので、良かった。

自身の会社のスキャンダルが出そうになっていた、と知っても驚かず、知り合いの会社に頼んで、従業員を全員クビを切らずに雇い直してもらう、という振る舞いは深くて良い。

従業員は金で買えない、などと言っていたが、本当にそう思っている感じに見えるので、格好良い。

元はと言えば、自分のミスから起きたことなんだろうが。

ホープの調整がうまくいかない、という報告を広中調教師から受けた時も、怒らず、絶対諦めるな、と諭す感じも、寛大さが感じられて良い。

ホープの牧場主の孫がレース場に来ているのを見て、ちょっと楽しげに、坊主に良いとこ見せねえとな、などと言う感じも自然で良い。

これらの振る舞いは、輩の山王とはまるで似ても似つかぬ別人である。

今までの話も、ずっとこれでいけば良かったのに。

輩の山王であれば、レース場にガキなんか連れてくんなよ、とか言いそうだ。

肝心のレースを山王が見守る時も、2話の時のように無理矢理喜んだり、驚いたりしている感じもなかった。

栗須は喜んでいても、山王は声出さずに拳を握っている感じなど、自然だ。

勝った時の喜び方も素直に嬉しい感じがあり、好感が持てる。

口は悪いが、人情家である、という味のある人物描写が、比較的素直に表現されていて、レースの成り行きを見守るハラハラ感にも貢献出来ていて、全体を通しても、良いスパイスにはなっていたと思う。

栗須は泥臭い営業マンだった

栗須がしつこく若手ジョッキーにホープへの騎乗を頼みに行く感じは悪くない。

新聞記者から佐木の問題行動について聞き、椎名からも運良くなぜか詳細を教えてもらえ、何回も岩手に通う感じは、真摯的な若手営業マンの様で好感が持てる。

最初はちょっと笑みを浮かべながら、佐木を褒めて説得しようとするが上手く行かず、だんだんと渋い顔になってくる感じが味がある。

何もなく楽しそうに笑っているよりも、こういう渋い顔で頭を下げる演技の方が、この役者はよく似合っている。

佐木に、北陵の馬ではなく、日高の馬で勝ちたい、という山王の意図を伝え、それでもやらない、というジョッキーに、逃げるんですか?と結構な事を言ってしまうのが良い。

言い方もサラッとしていて、過去の話の時の様に、変に薄い怒り混じりの言い方ではないので良い。

しかし、佐木に、中央競馬から戻った自分を迎えてくれたこの場所を捨てるわけにはいかない、などと言われ、すみません、何もわかっておらず、と引き下がるのは物足りない。

本当にそうでしょうか?あなたを迎えてくれたことと、ずっとここにいて欲しいと思うことは別なんじゃないですか?などと、もう少し食い下がって欲しかった。

それを聞いて、あんたに何が分かるんだ、と怒る佐木に、話を聞いていた佐木の父親が佐木の荷物を投げて援護する、とかの方が面白い。

でも、栗須独特の、ちょっと怒り混じりの感じで言ってしまうくらいなら、何も言わない、このくらいの方がまだ良いとも言える。

この父親が、親を言い訳に使うな、と言いながら、佐木の荷物を次々に投げ捨て、背中を後押しするシーンは味があり、涙腺を刺激された。

ここはお前がいなくても潰れない、俺は死ぬまで俺の足で立つ、お前も自分の足でちゃんと立て、と息子に言うのは格好良い。

ここに留まるよう息子を擁護するのではなく、良い意味で突き放すのが親の役目だし、その言い方も変な力が入っておらず、自然で良かった。

何度も足を運んできた栗須を見ていて、思う所があったんだろう。

この父親は出てきたばかりだが、粋で良かった。

佐木の両親は、ホープに乗りに来た息子を応援しに来るが、佐木には内緒で好きなお菓子だけ渡して帰る感じも粋で良い。

逆転劇は悪くないが、佐木のリア充感が邪魔

地方競馬を拠点に活動している若手ジョッキーの佐木は、本当にいそうな感じもするのは悪くない。

山王の言う通り、金髪でちょっとチャラっとした外見で、思ったことはすぐ口にする様な自信家で、甘いマスクで女性から人気を得そうな感じだ。

体型もスリムなジョッキー体型で、こんなイケイケのジョッキーもいそうだ。

佐木が、中央競馬を去るきっかけになったケンカ相手が、今は椎名の馬の騎手で、中央競馬デビュー戦で対決する、という展開は面白い。

そして、レース直前でも、レベルの違い教えてやるよ、などと嫌味を言われたが、勝ってしまうのが気持ち良い。

しかし、佐木は金髪でルックスも良く、きっと人気ですごくモテるんだろうな、と思ってしまうので、そこまで応援出来る感じではない。

地方競馬といえど、勝っているジョッキーだし、地位的にも人気的にも悪くなく、それなりに今の状況を謳歌しているんじゃないかとも思う。

闇を抱えているとしても、別に今のままでも十分すぎるほど成功している、とも言える。

チャラいな、と言う山王に、広中は、個性ですから、と言っていたが、チャラくない方が良いし、口調や態度もヤンチャな感じはない方が良かった。

人柄的にもっと朴訥で浮ついてない方が感動出来るし、せめて、山王が来る時は丸刈りにしてくるとか、覚悟感が欲しい。

内面でそれが表現出来ていれば良いが、そんな凄みは感じない。

過去のケンカの理由も、地方の厩舎出身を馬鹿にされ、お前が褒められたんじゃない、ここの馬はお前のとこの馬とはレベルが違う、などと言われただけなので、ちょっと弱い。

最初は我慢していたが、そこから毎日陰湿なイジメが始まり、無理矢理佐木に手を出させて、退学に追い込まれた、くらいの過去が欲しい。

佐木は、嫌味を言われて相手を押し倒していたし、ちょっとくらいイジメられてもへこたれない強さもありそうなので、そもそもこの人格では、悪いやつにイジメられる、というのも嘘くさくなる。

口下手で言い返すのが苦手くらいの人間が、後にいじめっ子たちを凌駕する方が、どう考えても面白い。

そういう描写は、まるで競馬界にそういうイジメがある、と示唆しているようなものだから描けない、としたら弱腰すぎる。

どこの世界にも嫌なヤツはいるし、フィクションなんだから、別に構わないだろう。

そこから佐木は地方競馬に移るが、着実に力をつけ、中央競馬で十分闘えるが、なぜか移籍しない、と噂されている、くらいの情報も欲しい。

佐木は口下手だが優しく、家族や地元を大事にしているが、父親があえて鬼になって、息子を追い出す、とかだったら涙腺はかなり刺激された。

佐木も優しいんだろうが、言動行動に滲むような味はない。

俳優で誰が良いかと言えば、例えば加瀬亮みたいな人が良いんじゃないか?

レース自体は、遠目からの映像、接写、ジョッキーの顔が映る視点など、次々に変わりながら進んでいく感じが臨場感があって良い。

佐木が、行けーと叫ぶ感じも悪くないが、もっと心の底から来る鬼気迫るものが見たかったし、上述した通り、佐木がもっと応援出来る人間だったら、涙腺は崩壊したかもしれない。

初めてそれなりに悪くない、レースまでの登場人物達の布石がそれぞれ比較的丁寧に散りばめられ、レース自体も臨場感があるのに、大分もったいない。

リア充がより高みに行くのを見た所で、あまり感動はない。

臨場感のあるレース描写

レース自体は、上記の通り、様々変わる視点の見せ方で、今までで一番臨場感があり、ちょっとは面白かった。

今回はジョッキーにも焦点が当てられ、ジョッキーの顔や表情も映っていたから、というのもある。

レース前にライバル会社のヴァルシャーレの騎手に佐木がけん制されたり、記者達が、リードジョッキーでもたかが知れてる、血統も分からない、などと悪口を言っていたり、今回はレース直前に布石があり、悪くない。

些細なことだが、あるとないとで全然結果の跳ね上がり方が変わるので、毎回やらないといけないと思うが。

レースが始まり、みんなで応援している感じは熱気があって良い。

それぞれ、その馬に関わった人間が、違うプロセスをたどっているが、思い入れがあり応援している。

応援団などではなく、バラバラで、面識がない同士も多いだろうが、気持ちは同じ、という感じは良い。

佐木の母親が顔に手を当てて見守る感じなど自然で良いし、後ろで父親が、行けーと叫ぶ感じは格好良い。

佐木が勝って、みんな喜んでいた半面、その後ろでこの父親が真剣な表情でうなずく感じが味があり、深くて良い。

この父親は、今まで出てきた人間の中で、一番深い振る舞いをしている。

しゃべり方も目つきもとても良い。

ホープが後ろから上がってくる時はスローモーションになり、ハ〜という人の声の入った感動的な音楽がかかるのが邪魔だった。

日曜劇場って、こういう賛美歌的な、人の声混じりの神がかった音楽が本当に好きなんだな、と思う。

何かの映画やドラマの真似をしているのか?

まるで天から神が降臨した、お釈迦様が現れたかのような特殊なBGMで、使う場所が難しすぎるから、使わない方が良い。

このドラマの主題歌の、爽やかなアップテンポな音楽をかけた方が、よほど素直に応援出来る。

この、ハ〜という音楽がかかったら、もう勝ち確定ってことだろう?

この音楽がかかって、負ける、という展開などあり得ない。

それで負けたらおマヌケ、もしくは嘘で、最下位ならコントだ。

なので、この先の流れを少なからず音楽でバラしているとも言え、冷めてしまう。

見ている者を楽しませたいというより、すごいPVを作りたい、という、自己陶酔的な、ズレた意識で作ってるんじゃないか?

スローモーションは確かに格好良いが、格好良いからこの音楽を足したらもっと格好良くなる、とでも思っているのか?

スローモーションは、一瞬で終わってしまうレースを分かりやすくするためでもあると思うので、無音で十分格好良いし、目を引く。

十分なのに足す、ということに臭くなる怖さを感じないのか?

スローモーションで神がかった音楽と共に佐木が上がってくると、栗須が、人馬一体、とつぶやいたのが、より作為的で違和感がある。

何が人馬一体なのか全然分からなかった。

これが人馬一体ってやつか?

スローモーションになっただけだった。

栗須は目を奪われて見てしまい、ハッと我に返って、行けーと言い出すくらいで良い。

そして、ヴァルシャーレに乗っていた佐木のライバルは、レースが始まってから全く描かれないのが物足りない。

遠目でそれらしき騎手がチラチラ映るだけだ。

せっかく騎手同士の対決でもあるんだから、佐木と同じ様に顔の表情が映っている方がより臨場感が出て面白かったんじゃないか?

レースが終わってからも、悔しさをにじませながら佐木と言葉を交わす描写なども一切なく、本当に乗っていたのか?と思ってしまった。

ホープが勝つだけでなく、完全懲悪的な痛快さとしても、相手のジョッキーの描写はもっとあった方が面白かった。

面白くなりかけた、もったいない話し

今回の話は、肝心のレースに向けて、必要なピースが揃いかけた、惜しい話だった。

栗須、山王、ジョッキーを主体とした馬関係者が、いわゆる人馬一体になりかけ、レースに集約しかけた。

レースは始まればあっという間に終わってしまうので、いかにそれまでの布石が重要なのか、改めて感じた。

ジョッキーはもっと素朴で口下手で、チャラついてない人が良かった、と思うので、それは惜しいとかなり離れている気もするが。

それでも、佐木さえ何とかなれば、まだ感動出来るギリギリの作りにはなっていると思う。

なぜこんな性格も攻撃的で、イケイケなジョッキーを選んでしまったんだろう?

毒には毒をで、荒馬にはこれくらいの人が必要ってことか?

そうしたいなら、もっと荒れていても良いんじゃないか?

性格が破天荒で荒く、常識外で、他のジョッキーや調教師からも嫌われている、地方でもあんまり勝てていない問題ジョッキーが、まさに馬が合って覚醒する、とかなら面白い。

しかし、荒馬には普通でない、破天荒チックな荒い人間しか乗りこなせない訳でもないと思うので、必ずしも問題児にする必要はないと思う。

昔から馬の扱いに長けているが、研修中にトラブルに巻き込まれ、もう中央競馬には行かない、と決めている寡黙なジョッキー、でも十分辻褄は合う。

今までの話で何回か見切れていたメガネの青年は、未来の栗須の息子などではなく、山王の隠し子だったようだ。

山王の会社のスキャンダルもあったし、山王周りが騒がしくなってきた。

忘れていたが、ロイヤルファミリーというタイトルなので、今後も山王がガッツリ関わってくるんだろう。

山王は今後も粋な振る舞いをした所で、もう底が知れているので、あまり時間を割かない方が良いように思う。

栗須の補助くらいで良いんじゃないか?

こんな深い人間でも、会社のスキャンダルや隠し子騒動があるなんて、など少しも思わず、サプライズにもなっていない。

むしろもっとゴロゴロ出て来ても驚かない。

それくらい、山王のマイナスな振る舞いはちょっとでも印象が悪い。

あざとくて冷めるとかではなく、深く演じることも出来るポテンシャルは十分ある役者だけに、この間違いは大分もったいない。

監督のせいだ。

変に良い人間風になるより、むしろもっと嫌な人間を全面に押し出した、輩全開で行く方が、違う意味で見てみたいとも思うが、きっとそうでもないんだろう。

なので、今後は期待せずに、新しく出てくるストーリーを一応何となく見る、という感じになりそうだ。

第5話-「日本ダービー」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

山王のスキャンダルがメインの5話

5話では、山王はスキャンダルをきっかけに余命の短い元愛人を見舞い、再び交流するが、初めて会った隠し子からは門前払いにされ、ホープは勝ちを重ねて日本ダービーに出場するも勝てず、栗須の恋も実らなかった。

椎名と山王の言い合いや、元愛人と現妻との嫌味合戦はちょっとだけ面白く、栗須の自然な振る舞いの部分は悪くないが、全体としては物足りなかった。

なぜなのか考えていきたい。

足りない栗須の怒り方

今回は、山王のスキャンダルの話を中心に、比較的栗須の色んな面が盛り込まれた話しに感じた。

社長に説教し、椎名と山王の会話に冷や冷やし、プライベートで野崎の子供とラフに接し、野崎に告白しかけて失敗し、元愛人の葬式で山王の息子に丁重に語りかける、など、色んな顔があった。

そのあざとくない、比較的自然な振る舞いは、物語を邪魔することなく、分かりやすく見せるために大いに貢献していた、とは思う。

主人公なんだから当たり前と言われればそうだが。

それでも、独特な強い味をまだあまり感じておらず、悪くない部分でも、演技うまいな、程度で突き抜けず、まだ好きになれていない。

今回の話で栗須の一番良かった部分は、葬式で山王の息子に自己紹介し、母親から頼まれた、と事の経緯を説明していたしゃべり方だ。

相手の母親が亡くなったということも配慮し、失礼のないように言葉遣いに気を付け、軽くない態度で丁重に話していた。

通常の状況ではなく、葬式で、しかも会ったことのない父親と突然会わせる、という特殊な要素もプラスされてこうなったんだろうが、今までの中で一番良いしゃべり方だと思った。

相手が年下の大学生であろうが、一切手を抜かず、全身全霊で失礼のない様にしゃべる姿は格好良い。

当たり前ではあるが、この振る舞いは、この役者の自然な味なんじゃないかと思う。

山王としゃべり、何か苦言を呈したり、強く提案する時、言いづらいことを言う時、全てこんなしゃべり方なら大分好感が持てるし、面白かった。

しかし、そういう時は、怒って言っちゃった、キレちゃった、もしくはちょっと失礼な感じ、という軽い感じばかりなので、物足りない。

怒る、という演技は極めて人間性が試される、隠せない、難しい演技なのかもしれないが。

序盤で山王が元愛人に会いに行き、栗須に事の顛末を話し、子供がいることは知らなかった、自分が情けねえよ、などと言った後に、栗須が、見損ないました、と言う感じは軽かった。

ちょっとかわいい感じというか、ふざけてる感じもするし、真剣さが足りずにイラッとする。

ほっぺたを膨らまして怒るブリっ子じゃないけど。

友達と話してる訳じゃないだろう。

何が?と返す山王に、何もかもです、愛人がいたことも〜などとしゃべり始める感じは、会話ではなく、長いセリフを言っているに過ぎず、リアル感が足りない。

山王はマイナスな振る舞いも多いんだから、隠し子がいてもおかしくないし、見損なうのがそもそも違う。

それは、自分が人を見る目がなかった、と言っているようなものだ。

それに、本当に見損なった、と呆れるような言い方ではない。

そして、自分で反省を述べ、情けねえよ、と言っている相手に、もう一度隠し子のことを蒸し返すように言うのは野暮だ。

栗須が真剣に、見損ないました、と言葉をぶつけ、山王が、隠し子のことか?と言うと、違います、僕に相談してくれなかったことです、などと話を持って行く方が面白い。

その後栗須は、一人でコソコソ動いていたことも、などと言っていたが、こんな吐き捨てる様な言い方をしてはダメだ。

あくまで、秘書としてわきまえた言い方でキツイことを言っていかないと深くならないし、目的がよく分からない。

山王に、なぜ相談してくれなかったのか?裏切るなと言ったのはそっちなのに隠し事はなしだ、信頼してないのか?という、強い寂しさ混じりの怒りをぶつけたいんだろう?

それにしては軽くて浅い言い方だ。

社長からもらった時計も、買ってくれた当たり馬券も、全て、もしもの時のために返せるように取ってあるんですよ、などと怒って言っていたが、言い方が恩着せがましいし、どれだけの値段かもよく分からない。

高くて数百万円〜1千万くらいなのか?

仮にそうだとしても、そんなヒステリックな感じで言うのは、むしろダサい。

あんたのために毎月お金貯めてるのよ、と偉そうに子供に言う母親みたい、というか。

もっとおごそかに、本当はこんなこと恥ずかしくて言いたくない、という様な絞り出す感じで言って欲しかった。

お金を貯めておいたのは栗須が勝手にやったことだろう。

本当は自分でそれを言わずに、実はあの人貯めてたんだ、と後から本人がいない状況で判明するのが一番粋な訳で、自分では言いたくないはずだが、そんな葛藤も感じられない。

そして山王に、嫌ならうち辞めれば良いじゃねえか、と言われて、辞められたら傷つくくせに、という返しも、友達に言うみたいで軽い。

こんなことを言われたら、傷つかねえよ、じゃあ今辞めるんだな、分かった、となってもおかしくない。

もっとジタバタされたらどうですか?そっちの方がよほど潔いです、みたいなことを言っていたが、この言い方も説教がましく、もっと諭すように言わなければ。

秘書の魂の叫び、というより、社長にキレた平社員、という感じだ。

葬式の時のように、重厚な秘書感を出せるはずなのに、こういう怒るシーンではいつも軽くて物足りない。

子供が見様見真似で、怒るという行為を頑張ってやっている感じというか、怒りに深みがない。

子供なら可愛いんだろうが。

猛獣使いとして、暴れん坊の社長に下手を保ちつ、相手を上げつつも動かしてしまう、という巧みな感じはない。

仮に巧みじゃなくても、山王よりかなり年下でも、強い感情があれば出来るはずだ。

栗須は、こういう怒りしゃべり以外は比較的自然で悪くないが、この怒り演技の足りなさが、好きになりきれない肝だ。

むしろこの大事な部分だけ重厚に出来ていれば、それ以外の秘書感など適当でも良いかもしれない。

存在感はこういうシーンで出てくる。

序盤のこのシーンは、隠し子がいた社長を秘書がヒステリックに叱り、良い音楽が流れ出したので、これは何を見せられてるのか、と思った。

何があっても社長に付いていく、深い秘書感にはまだ遠い。

告白できない栗須は可愛げがある

野崎に、日本ダービーでホープが勝ったら付き合う、もしくは結婚してくれ、などと言いかけて言えずに、野崎が立ち上がったら、あちゃーと苦い顔をする感じも自然で悪くない。

お手本のような、あちゃー、という顔で、本当に悔しさや、やり切れなさが自然にこみ上げてきてリアル、というよりは、見せることを意識した演技で、うまい、という感じではあるが。

何度も言いかけては止まり、という感じが自然だし、間を開けたら野崎が、ご馳走してくれる?とか、子供に自転車買って欲しい、などとはぐらかすのもリアルで良い。

野崎の、長い付き合いだ、というセリフの後の流れ的に、告白であることは明白なので、野崎は明らかに分かっていて話を逸らしているんだろうと思う。

野崎だって栗須といて楽しいと感じているだろうし。

でも、栗須は頑張って言ってしまわなければならない。

栗須のおじさんのノリは悪くないが、なぜ泣いたのかよく分からない

栗須が野崎ファームを訪れ、車で野崎の息子を乗馬クラブに送っていく時、栗須は、車に乗った子供に向かって、レッツゴー、と言っておどけるが、子供は、ドア閉めます、と無視し、栗須がスベる感じはコミカルで悪くない。

え?と栗須は反応していたが、作為的にコミカルにしようとしているので、何も言わないほうがリアルで良かった。

子供を喜ばせようとして無視されたら、一瞬傷付き、すぐに言葉はでないはずなので、そっちの方が悲哀があって良い。

物心ついた子供に、レッツゴーとジェスチャー付きで元気に言ってしまうのは、ナンセンスなおじさんのノリで、こんな子供の反応は普通かもしれない。

ましてや、自分のことをどう思っているのかも分からないのに、探ろうともせずおどけるのは、まさにおじさんそのものだ。

その後、車内で2人でしゃべり、栗須は子供をクラブに送り出した後、野崎の言葉を思い出して泣いていたが、なぜなのかよく分からなかった。

子供は、佐木を超えるためにサインが欲しい、将来競馬学校に行くつもりだが母親には内緒にして欲しい、と栗須に言っていた。

出会ってから数年が経過し、友達の子供が将来の夢を見据えている、しかも自分が足を運んで探したジョッキーに影響を受けて、というのは、確かに感動するかもしれない。

しかし、大きくなる子供の背中を見るのが母親の幸せ、という野崎の言葉を思い出し、母親ってすごいな、と言っていた意味がよく分からない。

大きくなる背中を見るのが幸せなのは、父親もそうだろう。

なぜ母親だけがすごい?

そして、何がすごいんだ?

もし自分だったら、成長が嬉しい半面寂しさもある、その寂しさを感じてでも成長を喜べる母親は強い、ということか?

全然分からない。

野崎と山王の元愛人という2人の母親の映像が合わせて流れたが、だから何だ?

2人ともシングルマザーで、子供を立派に育てているのは確かにすごいが、そのすごいを言っているのか?

それは車で子供と話して感動したことと何が関係ある?

一人で大変だろうに、こんなに立派に育て上げるなんて、ということか?

まだこの子は育っている途中だし、なんか無理に感動しようとしてないか?

シングルマザーは大変だろうが、憐れみや過度な同情などはかえって失礼だ。

イザーニャを撫でながら涙ぐんでいた時もそうだが、曖昧な感じで涙ぐまれても、見ているこっちは置いてけぼりになるだけだ。

栗須は、イザーニャを撫でていた時も、野崎ファームの馬の買い付けに成功した時も、レースで勝利した時も涙ぐんでいて、よく涙ぐむが、それを見て、こっちも誘われて涙腺が緩んだことは一度もない。

栗須の涙腺はかなりゆるい。

涙ぐむ演技自体はさほどあざとくはないが、なぜ泣いているのかよく分からない、もしくは、分からなくもないが泣くほどでもない、かのどっちかがほとんどだ。

以前も言及した通り、きっと泣き虫なんだ、と解釈する以外に腑に落ちない。

見ているこっちは、栗須が泣くタイミングで一緒に泣けていないので、栗須の泣きの多さが、このドラマが感情豊かであることのバロメーターにはならない。

このシーンも単純に、子供の成長と、自分がやった仕事が人の人生を作っている、という嬉しい感動に、子供を見送ってから一人で静かに浸る、くらいで良いんじゃないか?

そこから飛躍して、母親すごい、はよく分からない。

物足りない山王の椎名への口撃

山王は皐月賞で惨敗した後、椎名と飲みに行き、お互いに強気でけん制し合うやり取りは少し面白かった。

お互い仕事をほっぽり出して、競馬にここまで躍起になるバカらしさもあり、コミカルで良い。

仕事はちゃんとした上でやっているんだろうが、椎名もきっと会社の金でやっていて、これが後に仕事につながる、と言われても、遊んでいるのに変わりない、大金持ちの暇つぶしだと思ってしまう。

そういう人達がいるから競馬は成り立っている、という面もあるだろうが。

最初は山王は、ヴァルシャーレは強かった、などと褒め、椎名は、運が良かっただけです、と恐縮する、という普通の会話をしていたが、山王が煽り始め、ケンカみたいになっていく。

椎名が、ホープの様な血統の馬が今後のトレンドになっていく可能性もある、と言うと、山王は、だけどうちの馬には勝てない、とか言うんだろ、ヴァルシャーレは邪魔だから居なくなってもらえば良いと思ってるよ、などと煽り、椎名も言い返すのが良い。

椎名は、あらゆる面でヴァルシャーレはホープに負けない、山王は、そんな理屈をはね返すのが本当の強い馬だ、と言い、椎名は、それはあまりにもつたない、その時の状況に応じて戦えば、訳の分からない血統の馬など、とさらに言い返した。

それを聞いた山王が、訳が分からないとおいでなすった、と言ったのは味があってコミカルで良い。

さらに椎名は、ヴァルシャーレはデビュー戦でホープに負けて辛酸をなめた、ホープにだけは負けないと思っております、などと言い、山王は、やっぱりタヌキだ、本性を見たな、と言い、椎名は、解釈はどうとでも、と笑っていた。

ちょっとヒリヒリする熱のある会話で、椎名の返しは良いが、山王の返しが物足りない。

自分から煽ったくせに、椎名にボロ負けと言っても良い。

やっぱりタヌキだ、本性を見たなって、あんたが言わせたからだし、椎名が本音でしゃべってくれたのに、その程度かと思う。

訳の分からない馬など、と言われ、大分怖がってるな、訳の分からない馬が一番怖いもんな、とか言って欲しい。

ホープにだけは負けないと思っている、と言われ、それはそれだけ悔しさを味あわせた、ということで、最高の褒め言葉でもある。

じゃあホープがもう一回勝ったら、あんたもう立ち直れないな、そしたらうちに来いよ、今からポスト空けといてやる、くらい言って欲しかった。

椎名は何を言われても終始余裕の中で返しているので、人間力は椎名の方が圧倒的に上であることが露呈した。

山王は、椎名に本音を言わせるために煽ったくせに、何も用意しておらず、アドリブも効かないのは浅すぎる。

理屈でも人間力でも負けてどうするんだ?

ここは、冷静に的確な理屈で馬を育てる若い馬主と、理屈はなくても人生経験と人間力のある熱い老馬主、という感じで見せなきゃいけないんじゃないか?

山王が椎名を煽る感じも余裕がなく、ケンカになるような危ういしゃべり方で、切符の良い人情家の江戸っ子とはほど遠い。

山王が薄っぺらい寄りの社長であることは、以前の話からもすでに分かっているのでしょうがないが、これではどうやって山王を応援出来るんだ?

ここで、圧倒的な人間力で、余裕を持って笑いながら椎名を黙らせてしまったら大分面白かった。

会話で椎名に完敗していることにも気づかず、また競馬場でな、と颯爽と先に車に乗り、椎名に見送らせてしまう感じもしょうもない。

何度も言うが、山王のダメなマイナス演技もある人物設定は、完全に失敗だ。

もっと深みのある社長の方が絶対に面白い。

もし原作に忠実なら、原作が面白くないので変えてしまえば良いのに、目的は何なのか?と思う。

原作者をヨイショすることか?

面白さ度外視で、原作に忠実な実写を作りたいなら、それは自己満足以外の何物でもないし、やりたいなら続ければ良いとは思う。

原作を読んでないので、実際はどうなのかは分からないが。

山王を演じている役者は、本当は深みのある社長も演じられるのに、こんな薄い社長を演じられるのは、役者としてはすごいと思う。

その役者としての振り幅を楽しむ以外に、山王を見る楽しみはもうなくなってしまっている。

馬関係者が山王をなぜ応援したいのかが弱い

山王は会社の二重派遣と隠し子のスキャンダルが出て、世間の風向きが悪くなった様だが、それでも、山王の馬関係者達は、社長をダービー馬オーナーにしてやろうと誓っていた。

記者は、山王に大物調教師とのトラブルを解決してもらった、広中は、馬主を10年以上続けることがどれだけすごいことかみんな知らない、佐木は、社長がいなければ自分は中央競馬にいなかった、とそれぞれ山王への思いを語っていたが、ちょっと弱いと思った。

記者は、山王が勝ち始めてから注目して、面白い記事になると思ってついてきただけの流れ者で、ずっと過去の恩義で山王を慕ってついてきた訳でもないので、そもそも言葉が軽い。

馬主を10年続けるのは、金と時間さえあれば誰でも出来るので、特にすごいことじゃない。

その地位にいるのが、普通の人は中々出来ないだけで、人間性が良いことの裏返しではない。

佐木を中央競馬に連れてきたのは、佐木の情報を集め、足を使ってしつこく説得した栗須のおかげで、実は山王が栗須に裏からアドバイスして動かしていた訳でもない。

どれも、悪く言われている山王を応援しよう、実は良い人間だから、という確固たる理由にはなっておらず、取ってつけたような物だ。

これが成立し得るのは、山王に一貫した深さがある時のみなので、今までも述べてきた通り、薄い寄りに振れている山王の人格では、それぞれの理由を聞いても、山王のいい人感は特に浮かび上がってこない。

今の山王の人格では、記者を助けたのはたまたま気分が良かっただけなんじゃないか、馬主を続けたのは、単に辞められなくなったからじゃないか、佐木に関してはきっと何もしていない、というマイナスな方にしか思えない。

深い人格として描かれていれば、これらの理由でも深くなり得ただろう。

熱い人間だから記者を助けた、根気があるから10年続けられた、度量が広いから佐木を抜擢した、と思える。

佐木の話しは、山王があまりに栗須に任せ過ぎなので、どうだ?やってくれそうか?などと途中で栗須に尋ね、諦めるな、頑固なヤツには足を使え、頑固な俺が言うんだから信じろ、などと、栗須を導いていた、という布石があるとより良いが。

それでも、深い人格として描かれていたら、そんな栗須へのアドバイスなどが明確に描かれていなくても、きっと山王が裏で何かやっていたんだ、と勝手に補完でき得る。

ジキルとハイドの様に、山王の人格がごちゃごちゃに表現されている上に、トータルではマイナスに引っ張られているので、全然思うように見せられていない。

例えば、山王の人格が勝新太郎だったら、これくらいのスキャンダルがあろうが、応援したくなるのは分かる。

勝新太郎は、きっと山王の様な薄っぺらい嫌な態度は取らないだろう。

どこでキレるのか分からない、という違う意味の怖さはあるかもしれないが。

それでも、仮に世間ではスキャンダルで叩かれても、人柄を知ってる近い関係者は、あの人は実際には熱い良い人なんだ、と言いたくなる深さがある。

山王にはそれがない。

だから、こんなスキャンダルが出たら本当はもう終わりだ。

実は良い人なのに、世間は分かってない、ということには全くならない。

薄い人間がそのままスキャンダルを起こして自滅しただけだ。

理不尽に他人に偉そうに言っている所も多々見てきた。

もしそれらが録音されて流出されたら、確実に表舞台から消え去るほどの嫌な振る舞いだ。

スキャンダルにさらに信憑性が出るだけで、総スカンだ。

そんな人間が、実は良い人だ、応援したい、は無理がある。

江戸っ子と輩をはき違えた成れの果てだ。

改めて、なぜ山王に薄っべらさを与えたんだ?

つじつまがどんどん合わなくなってきている。

口は悪いが熱い、で統一すれば、かなり面白くなったはずなのに。

時々チンピラみたいに、口も心も悪くなるのは全然違うぞ。

演じている役者もなぜ気付かないんだ?

あまりにもったいない。

でも、主人公の栗須は栗須で、違う物足りなさがあるから、山王だけ良くてもしょうがないか。

元愛人と現妻の対決はちょっと面白い

山王の元愛人の美紀子に、山王の現妻京子が会いに行ったシーンはちょっと面白かった。

お見舞いに行く、文句を言いに行く、というよりは、どんなレベルの女なのか品定めに行った、という感じだ。

京子は、このスキャンダル以前に、山王にもう半分愛想を尽かしていたと思うが、それとこれとは別で、愛人には女として負けたくない、ということか?

何とも怖い世界だ。

元愛人の美紀子は、丁寧に謝るが、京子は、別に、静かなものです、と大したことない、と言わんばかりに返す。

京子は、自分が行くと負けるから馬が嫌い、山王と競馬に行ったことは?と聞くと、美紀子は、ございます、と丁寧に答え、勝ちました?と聞くと、いいえ、お弱いようでしたから、と少し笑ったか笑わないかの感じで返した。

京子は、失礼しちゃう、と苛立ちをあらわにし、美紀子に言い負けていた。

この女同士の闘いも山王側は自ら突っ込んでいったくせに、完敗だった。

美紀子も山王側ではあるが。

相手を攻撃する意図のない、優しいしゃべりをする美紀子に、京子はツンとして、気持ちを隠しながらしゃべっていて、全然闘えていない。

ちゃんと謝ろうとしている美紀子の言葉に食い気味に、私馬が嫌いなんです、などとさえぎってしゃべる感じもしょうもない。

攻撃してるつもりなんだろうが、表面的で攻撃になっていない。

山王と競馬を見に行ったことがある、と美紀子が言うと、ちょっと笑って、うん、と言うが、本当は効いているのに余裕ぶっている感じが弱い。

最後に、お弱い様でしたので、と美紀子に笑いながら言われたのは、クリティカルヒット、という感じだった。

この余裕のある言い方は、味があってコミカルで良い。

美紀子の方が、自分のペースで深みのある言い方でしゃべっていて、ツンとした感じもなく、人間的に京子よりもはるかに深みがある。

この会話で、京子も山王と同じく、薄っぺらい人間であることが露呈した。

わざわざ遠くまで会いに来て、人間力の違いを見せつけられた。

山王は、美紀子と結婚すべきだったのかもしれないが、山王も薄いので、京子とはお似合いかもしれない。

面白いやつだ、くらいで、美紀子の良さには気づいていないかもしれない。

京子は、病院で出くわした栗須に、面白い人だったわ、と、負けていたくせに笑って強がっている感じもしょうもない。

この時の栗須が、京子を見て思わずバッグのヒモをずらして落としてしまう演技は上手くて、ちょっとコミカルだった。

もっともっと上手ければ、渥美清みたいになれるかもしれない。

まだ、うまい止まりなので、突き抜けてほしい。

山王家が、このドラマのタイトルにもあるロイヤルファミリー、というのは間違いなさそうだが、この家族は一体何なんだ、と思う。

当主の山王も妻の京子もしょうもない。

息子は変な態度を取っているのを見たことはないが、深みがある訳でもなく、京子の言いなりだ。

娘は、金持ちの生活が当たり前で、派手な誕生パーティーをしたり、急に父に車で迎えに来させたり、栗須を呼び捨てにしたり、その感覚はきっと庶民とはズレていると思うが、まだ素直さもあり、家族の中では一番可愛げがある。

馬を見に付いてきたり、ホープの馬関係者の飲み会に参加したり、変なこだわりもなさそうだ。

それでもトータルで見たら、何だこの家族は、となる。

ロイヤルファミリーって由緒正しい皇族、という意味もあるので、これをロイヤルファミリーと呼ぶのは、究極の皮肉なのか?

せめて、山王くらいはしっかりしないと、この家族を主体にしても、深い話になる訳がないと思う。

このシーンでは美紀子に完敗したが、京子はもっと柔軟で魅力的な人物像の方が面白かった。

素直に、自分より上であることをすぐに認め、あなたが山王と結婚すれば良かった、あなたと居ればきっと山王も性格が良くなってたかもしれない、私では変えられなかった、などと吐露したら面白かった。

そして2人は本音を言い合って仲良くなり、栗須に美紀子のサポートを改めてお願いする、とかだったら、深くて、京子に魅力も感じられた。

山王も京子も実は深くて、ということだったら、ロイヤルファミリー感が出てきて良かったが、そうではない。

レースまでにドラマが物足りない

レースは、ホープは皐月賞では惨敗だったものの、そこそこ勝ちを重ねているということだし、上述した通り、山王を応援したい気持ちもないので、期待もなく、何となく見るという感じだった。

今回は、レース直前のオッズとか、前評判などの布石も特にないので、そういう緊張感も煽られない。

ロイヤルファミリーが見に来たからといっても、隠し子騒動があったから勝たなきゃいけない訳でもない。

家族が山王に不信感を抱き、家庭内で針のむしろである、一連のスキャンダルで取引先が減り、会社の売り上げが落ちている、などという事前の描写がある訳でもない。

妻の京子は呆れている感じだが、以前から非協力的で今に始まったことではないし、京子の前で勝って欲しい、というほど京子に愛着もない。

強いて言えば、ヴァルシャーレへのリベンジくらいだが、馬主の椎名は栗須に助け舟を出す様な人格者だし、別に嫌な人間ではないので、倒すべき悪でもない。

なので、もう出走前から雰囲気作りに失敗している、とも言える。

第四コーナーの前で野崎が栗須の手を握り始めた辺りから、感動的で落ち着いた、壮大風な音楽がかかり始めたのが邪魔だった。

なぜまだレースは分からないのに、レースが終わって報われた様な音楽を先に流すんだろう。

その後、ホープが上がってきた、という実況と共に、主題歌のポジティブな音楽が流れるのは雰囲気と合っていて良かったので、それまで無音のままで良かったのに。

野崎が、栗須の手を握りながら、行けーと叫ぶのは、感情が乗っていて、自然でとても良かった。

あまり声が通ってない感じもリアルで良い。

色んな人が、行けーと今まで叫んできた中で、一番良い行けーかもしれない。

佐木の父親の行けーは強い良さがあったが、この言い方も良い。

ホープは結局ヴァルシャーレに負け、それを元愛人の美紀子が予想していた、というのは面白い。

美紀子は馬を見る目があるんだから、山王が美紀子を昔に雇って馬の管理に関わらせていたら、山王は勝てていたんじゃないか?

人材派遣会社の社長で、従業員は財産だ、的なことを言っていたくせに、人を見る目がない。

結局ホープは勝てなかったけど、特に悔しくもないし、仮に勝った所で嬉しくもない。

レースまでに勝つべきストーリーを作れていないので、しょうがない。

順風満帆で強い椎名より、スキャンダルですっもんだ紆余曲折を経て、ボロボロになりながらも人間力で勝つ方が魅力的で面白いと思うが、山王はそんな人間ではない。

見どころがある様でなかった5話

今回は、山王のスキャンダルがメインの話だが、上述した通り、薄い人間にスキャンダルが出た所でそのままなので、それがレースに緊張感を与える発奮材料にもなり得ていない。

山王と椎名の口論、京子と元愛人との嫌味合戦はちょっと面白かったが、それだけだ。

栗須ももっと主役としてこっちの心を掴んでくれなければ、ちょっと可愛げのある、普通の青年では物足りない。

この話で一貫した魅力があったのは、山王の元愛人の美紀子だけだが、それも物語を面白くする材料として、あまり役立てられていない。

気になる展開としては、強いて言えば、山王と隠し子の関係性がどうなっていくのか、栗須の恋の行方くらいか?

まだ隠し子に魅力も感じられていないので、今の所期待感も特にない。

そういえば、ロイヤルファイトは役割を終えたのか?

イザーニャもどうなったんだ?

そこら辺はなかったことの様になっている気もする。

あんまり勝ててないくらいの情報しかなく、よく分からない。

公式サイトとかで、年代別の主要馬の戦績の詳細とかがあれば面白い気もするが、そこまで作り込むのはさすがに無理か?

ホープの次の馬も今後出てくるのか?

とっかえひっかえの感じもして、レース馬ってそんなものだろうか?

おまけ:怒り演技が苦手な日本人

日本人の演技を今までいくつか見てきて、怒り方にその人の個性が全部出る、と言っても過言ではなく、その人の魅力が大きく左右される、と感じる。

日本人は特に怒りを出すのに慣れていないし、怒りがパワハラとされる昨今では、より鍛えづらい演技で、いざ出した所で大抵が浅いものばかりだ。

このドラマの主人公の役者もきっと、怒り以外の状況で感情を自然に出すことはある程度出来ても、人に怒る、ということには特に慣れていないんだろう。

怒り慣れていなければ、大抵栗須の様にヒステリックな感じがマックスで、それ以上深く相手を動かすような、強い怒り方は出来ないんだろうと思う。

自分がやったことがない怒り方を、一体どうやって再現するのか、それは不可能だ。

自分の中ではこれが限界まで怒った表現だ、と思っている、思い込んでいるんだから。

普段から怒りを誰かにぶつけ、それが全く通用せず、自分の浅さに気付き、伝わる怒り方をしよう、と自然と深く怒れるトレーニングが出来ていれば良いが、そんな日常はほぼ存在していない。

そんな練習台にされる相手もたまったもんじゃない。

特に日本では、怒りの感情を人前で出すことは恥ずかしい事、いけない事として扱われる風潮があるので、より日常で自然に鍛えられることなど稀だろう。

そこを今の比較的若い日本人俳優達がどう克服していくかは、大きな課題だと思う。

山王を演じている役者は、それが出来るはずなのに、深くはなく浅い怒りばかり表現する役柄に今回はなっている。

逆に、栗須が生意気な若い馬主で、山王がそれを諌める深い老執事の方が、組み合わせ的に面白くなった気もする。

まだこのドラマは終わっていないので、ぜひ栗須には深い怒り方を見せて欲しい。

第6話-「有馬記念」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

山王には同情は誘われない

第6話は、前話から3年が経過し、ホープは有馬記念には3度出場したが勝てず、山王はガンが見つかったことで社長を引退し、ホープの引退レースとして4度目の有馬記念に挑み、息子とも何とか会おうとするも叶わない様子などが描かれた。

山王の体調が悪いと知った所で、特に同情できず、詳しい余命も不明で、髪が白くなっただけでしゃべりも元気なので、みんなで山王を勝たせたい、という雰囲気がとても臭かった。

レースで栗須が山王との過去を回想しながら応援する感じも臭くて、感動は出来なかった。

野崎が栗須のプロポーズを安易に受けなかったり、結局負けた山王が、栗須に天ぷら食いに行くぞ、とちょっと元気になる感じなどは良かったが、全体としては大分物足りなかった。

なぜなのか考えていきたい。

山王の良い社長風描写は入ってこない

今回もほぼ山王がメインの話で、病気を患って元気をなくし、悪態もなく、さも隠居した良い人間として扱われているのが、全然入って来なかった。

余命が長くない、と聞かされても、だから社長を引退するんだ、とは思ったが、ショックさはゼロだった。

ビックリするくらい、何も同情する気持ちが湧いてこない。

山王の嫌な振る舞いを見すぎて、人間性にもう見切りをつけているので、きっとそのせいだろう。

今さら良い社長風に語られても取ってつけたような物で、大分無理がある。

そこの前提がふにゃふにゃなので、山王のためにもみんなで有馬に勝つ、というテーマの今話はほぼ何も心動かなかった。

この話で感動させたいなら、今までにちょっとづつ、着実に山王の良さを積み上げ続けなければならなかった。

良い人間の時もあれば、輩みたいな時もある、相容れないどっちの人格も持っている、という変な人物設定など論外だ。

良い人間として描き続けて初めて出来得ることだろう。

そこら辺をちゃんとせず、適当に山王を描いておいて、感動だけは欲しいというのは、何とも稚拙な作り方だ。

この回を見て、うわべの感動だけ煽ってくるいつもの日曜劇場だな、と確信した。

なので、レース前の壮行会に、栗須にもたれながら現れた山王は、関係者一人一人に礼を良い、やることは同じだ、と叱咤激励する感じは人格者だったが、特に感動も出来なかった。

都合の良い時だけ良い顔をされても浅い。

もう山王のマイナス面などなかったかのように感動一直線なのが違和感がある。

人情に熱く、みんなから好かれている社長が、病気の体を押してまで関係者を激励に来た、などではない。

ここは山王らしく、本当に勝てるのか?また2位じゃないだろうな?最後はやってくれるか?などと、嫌な言い方はしない山王節を出して、ピリつかせるくらいの方が面白い。

レース後の打ち上げじゃないんだから。

レース前に、栗須は椎名に、なぜ山王を認めてくれるのか、などと聞くと、椎名は理由を語るが、山王を良く言い過ぎていると思った。

椎名は、たくさんの人の思いを受けている人が好き、そんな人は少なく、山王の様に何かを心から楽しんでいる人を見るとこっちも嬉しくなる、と言っていたが、ヨイショし過ぎだ。

山王は馬が好きなのは分かるが、無邪気に心から楽しんでいる様には見えない。

しまいには、山王と話していると孤独が癒える、と言っていて、どんだけ寂しがりなんだ、と思って笑ってしまった。

椎名に何があったのか知らないが、相当弱まった発言だ。

自分に楯突いてくる人間は他にいないので、ケンカみたいになるのが嬉しいのか?

あくまでライバルとして、唯一自分を脅かし得る存在で、山王さんがいなければつまらなかった、くらいで十分じゃないのか?

椎名にまで好かれ、山王が好印象の人物として描かれているのが臭い。

山王はずっと元気だった

山王はガンが見つかり、長くは持たないと医者から言われたらしいが、結局最後まで元気だったのが、何だったのかと思った。

髪こそ白くなり、前祝いの会で栗須に支えられながら歩いていたり、隠し子に会う直前に倒れて入院したりしていたが、髪はふさふさだし、声は元気で、全然弱まっていく感じがない。

声が変わらずに出るなら、弱音ばかりで、なんか暗い雰囲気が漂っている、とかなら分かるが、そうでもない。

本当はめちゃくちゃしんどく、人前では頑張って普通に振る舞っているが、一人になったら疲れがどっと出て、倒れそうになる、とかそんな描写もない。

実際にガンになって急激に衰えていく人を今までに何人か見たことがあるが、そんな雰囲気は皆無だ。

ダラス・バイヤーズクラブの主人公ほど痩せろとは言わないが、内面の変化や体の動き、しゃべり方でいくらでも表現出来るはずだ。

そういう工夫はほとんど見られなかった。

役者として腕の見せ所じゃないのか?

なので、本当に余命が少ないのかどうかもよく分からない。

明らかに振る舞いがどんどん衰えていく訳ではないなら、せめて余命がどれくらいか教えて欲しかった。

衰えていく様子と共に、死ぬ前に勝たせてあげたいと、山王の馬関係者や栗須の気持ちが高ぶっていく、なら分かるが、そうではなく、そこそこ元気なまま勝手に周りが感傷的になっている感じが臭い。

ちゃんと衰えてくれていれば、まだフィットしたんじゃないか?

結局実はまだまだ元気なのか、本当はもうギリギリなのか、どっちかよく分からず、どう思って見れば良いのか分からない。

レース後も、栗須と天ぷらを食べようとするくらい元気だったし。

栗須の山王との思い出回想は臭い

レース前に、社長のおかげで馬に関われました、自分もこの仕事を辞めます、今までありがとうございました、と山王にメールしたのは、後で山王も言っていたが、山王が死んだみたいな内容で、目的がよく分からない。

天国の山王に向けて言っている様な内容だ。

社長が死んだから、もう社長以外に秘書はしたくない、ということなら分かるが、今も生きているなら辞める理由は何だ?

意味が不明すぎる。

山王がボロボロになって死ぬ最期まで、秘書として添い遂げるべきだろう。

ここでは山王との思い出の回想シーンがいくつか入り、本当に死んだ人との思い出を振り返っているみたいだった。

レースが始まり、ホープが先頭で第2コーナーに入った辺りで感動的な音楽がかかり、関係者の回想が始まった。

色々な馬関係者の思いが詰まっていることを表現するために、回想はあっても良いが、音楽がちょっとうっとうしい。

まだ第2コーナーで全然レースは分からないのに。

それまでは臨場感を煽る音楽で緊張感があったのに、どうしても結果が分かる前に、感動的な気持ちにさせたいんだな、と思う。

余計な音楽はない方が格好良いのに。

栗須の回想のシーンでは、より落ち着いた、もう報われたみたいな音楽と共に栗須と山王の思い出が流れ始めた。

この栗須の回想は要らなくないか?

脇役の人達の回想が流れるのは分かるが、栗須は主役で露出が多いんだから、大分冗長だ。

そして、他の人達の様にサラッとではなく、山王との思い出が多めに流されていて、ポイントを押さえていない。

私の夢はどうなるんですか?と山王に怒っているワンシーンくらいで良いんじゃないのか?

ここも、山王にメールした時の回想の様に、山王がもう死んでいるかのような見せ方だ。

今の時点で山王が意識不明の重体、もしくは亡くなっているなら分かるが、実際はまだピンピンして病院からレースを見ているのを知っているはずなのに、あまりに感傷的でふきこ違和感がある。

そんな回想は、ついに山王悲願のレースに勝った後で良い。

勝ってから、今までのことが走馬灯の様に頭をよぎり、より涙がこみ上げて来るのが自然じゃないのか?

もっと言えば、山王が亡くなった後で良い。

というか、もしこれが栗須の主観なら、レースに集中しろ、と思う。

栗須が、感動的な音楽と共に山王との思い出を回想している間に、ホープはヴァルシャーレとイマジンドラゴンに抜かされていた。

抜かされてからもなお思い出が回想されていたので、何をしてるんだ、と思う。

回想してる間にレース終わるぞ。

こういう一連の栗須の感傷的なシーンが、あえて、山王のツッコミの様に、レースに集中しないで上司を死んだ事にして悦に入る秘書、というボケとして組み込んでいるなら、ちょっと面白い。

ちょっと面白いけど分かりづらいし、感動させようという意図が見えるので、ボケに振り切っている訳でもない。

ボケなら、山王のツッコミだけでは足りず、ちょこちょこ横にいる野崎に、大丈夫?集中して、などと言われ、その度に我に返って回想がぶつ切りになる、くらいしないと分かりづらい。

それはそれで、大事な場面での急なコメディ挿入なので、目的不明の変なドラマではある。

実際は、山王との回想シーンをいっぱい入れて泣かせたかったんだろう。

でも山王はまだ生きてレースを見守っているし、レースは終わってないので先走っていて臭い。
結局負けた訳だし。

レースを見終わった後、山王が栗須に電話し、天ぷら食いに行くぞ、こうしちゃいられない、と元気になる感じはポジティブで良かったが。

ちなみに、栗須は、今回も行けーと叫んでいたが、無理に言おうとしている感じで、ちょっとあざとかった。

もっと普通の声の大きさで、気持ちを込めて行けっと言ったって良いし、全員叫ばなければいけない、と思いすぎてないか?

叫んで下さいって言われてるのか?

栗須の告白を断った野崎は偉い

栗須はついに野崎に告白するが、断られるシーンは悪くない。

栗須は、もしホープが勝ったら結婚してくれ、と言うが、野崎は、なぜ馬が勝たないと結婚できないのか、自分で決める、まずは山王に尽くして欲しい、10年でも20年でも待てるから、と断ったが、最もだし、栗須の格好つけを冷静に破壊する感じが良い。

というか、野崎が指摘するまで、この告白のおかしさには気づかなかった。

栗須の告白は、普通ドラマや映画でもありそうなセリフだが、一見格好良いようでよく分からない。

負けたら結婚できないし、次絶対勝つ、という保証もない。

絶対勝つと分かってるなら、もし勝ったら、と言う意味もなくなるし、結婚したいが勝つまで結婚できない、と伝えた訳でもない。

プロポーズをしても相手が中々オッケーしないので、勝ち目がなさそうな無理なハードルを越えたら、その偉業に免じて結婚してくれ、と交渉する説得材料に使ってもいない。

というか、野球選手のホームラン宣言の様に、自分で直接結果をコントロールし得る立場に栗須はいないので、ますますよく分からない。

総合プロデュースは山王がやっているんだろう。

この一見格好良いが、ふんわりした栗須の告白を、野崎はそのまま通さなかったので偉い。

全身全霊の告白、というより、ポーズであり、レース中の山王の回想と似た薄っぺらさがある。

栗須は、男性にありがちな、抽象的なものに心とらわれるロマンチストなのかもしれない。

思い返せば、栗須は泣くほどでもない、よく分からない所でたびたび泣いていた。

このプロポーズはしっかりツッコミが入っているので、コミカルで悪くないが、野崎の返しに、え?ととぼけたり、〜かい、などという栗須の反応が軽いので、そんなことをせず、リアルにちょっと傷付いて、あっぷあっぷしている方が面白かったが。

栗須の山王への怒り方は薄い

山王は社長業を引退することになり、栗須は経理として雇われることになったが、それを拒否し、有馬記念を獲るまで秘書を辞めない、と山王に直談判する栗須の怒り方は薄かった。

まず、なら私の夢はどうすればいいんですか?と叫ぶのが、ヒステリックで薄い。

こんな言い方をしなくても、もっと抑えた言い方でも十分怒りは伝わる。

それに、山王に尋ねているのではなく、ただ叫んだだけだ。

まさか、有馬に立つ前に倒れてしまうおつもりですか?そんなにご自分に自信がありませんか?という言い方は嫌味っぽいし、こんなに怒って言わなくて良い。

馬主がそんなに弱気では、と顔を少し揺らしながらの言い方は嫌味ったらしくてケンカを売っているだけだ。

決めました、私は絶対に秘書を辞めません、私をクビにすると言うなら、次の有馬が終わってからにしていただきたい、と歩きながらの言い方は、ちょっと偉そうで失礼だ。

最後は、それが夢を語った人間の責任です、とかなり怒った言い方で言っていたが、薄い。

この栗須の一連の怒り方は、思いっきり心内をさらけ出して気持ちが良い、とかではなく、遺恨が残るダメな怒り方だ。

山王は、生意気な、とボソッと言っていたが、本当に生意気だ。

これが19、20歳の若者なら、生意気で済むかもしれないが、栗須は30代後半から40代前半くらいの設定なんじゃないのか?

山王は栗須の実の父親でもないし、年上の雇い主への言い方としては不適切だ。

本当に、自然と気持ちが高ぶっていって、私はどうなるんですか?一緒に有馬を穫るって約束したじゃないですか?あれは嘘だったんですか?と泣かんばかりに切実に聞いていき、病気なんだからしょうがねえだろ、と山王が言ったら、しょうがなくありません、などと会話の中で上がっていくなら自然だっただろう。

自分の気持ちを思い切りぶつけて、相手の反応によってさらに言い返していく、というのがリアルな会話なのに、ただ一方的に言い放っただけだ。

会話せずに、ガツンと言ってやろう、言ってやった感があるので、つまらない。

今までも何回か述べてきた通り、キレちゃっただけだ。

相手を動かし、考えさせ、俺が悪かった、と思わせるような働きかけでは全くない。

この栗須の言い方は、半沢直樹を真似しているのか?と思ってしまった。

そうだとしたら、似て非なるもので全然足りないし、これは半沢が悪を追い詰める時の言い方だろう。

半沢でも、この状況で、悪人でもない自分の社長にこんなキレ方はしないはずだ。

もしそうなら見境がないおバカさんだ。

山王は薄っぺらくて態度が酷い時はある社長だが、悪人ではない。

真似をしてようがしてまいが、こういう怒り方はこの役者には、全く合っていない。

葬式の時の栗須の様な下手の態度で、深く恐縮しながら、怒らず言っていく方がよほど合っていると思う。

それなら深くて大分面白い。

ワガママな山王を動かす重厚な名秘書が見たい訳で、キレちゃって怒鳴る秘書を見たい訳じゃない。

絶対勝つという雰囲気のないレース

レースでは、山王にとって四度目で最後になる可能性が高い、ホープにとっても引退試合である有馬記念で、雨が降ってくる、という状況がドラマチックで悪くない。

この色々な条件が揃ったレースで勝てたら劇的なんだろうが、ホープは過去3回の有馬記念で勝てておらず、この引退試合でどの程度善戦しそうなのか、もう少し具体的に教えて欲しかった。

ドバイでは優勝し、心身共に良く、調教師は今が一番順調と言っていたが、今のホープなら最初から前に出て逃げ馬として椎名の馬に勝てる、などという具体的な作戦を調教師とジョッキーが話し合っている、とかもう一歩踏み込んで期待感を煽って欲しかった。

絶対勝たなければ意味がないので、何となく勝てるかも、出来れば勝って欲しい、というフンワリした期待感のままレースに突入した感がある。

レース前の会見で、調教師は、今が一番順調、優勝はオーナーの夢で、ホープの引退を勝利で飾りたい、それだけです、などと笑いながら言っていたが、絶対に勝つ、という気迫は特に感じられなかった。

ドバイでは勝ったが、2位ばかりなんだろう?

ドバイ後に連続で1位を取り続けている、とかならこの余裕の態度は分かるが。

弱い馬にしては頑張ってる、ということか?

それを聞いた馴染みの新聞記者も、そう言ってまた2位なんでしょ?今までと違う作戦はあるんですか?などとチクリと言って、調教師とジョッキーを真剣な顔にさせる、とかして欲しかった。

山王ファミリーに入って満足したのか、牙を折られ、追求が弱いんじゃないか?

仲が良いからこそ、耳の痛いことも容赦なく言うのが、本当の良い関係だろう。

佐木ジョッキーは、中央競馬でそこそこ活躍出来てるから、広中調教師もそんな馬に関われてもう満足か?

彼らだけでなく、山王の馬関係者に、このままで本当に勝てるのか?と厳しい顔をしている人間など一人もいない。

野崎の父親も、特にそんな雰囲気などなく、孫に笑顔を見せ、胸に花をつけて観覧席に入って来る感じも普通だ。

ホープはもう何回か勝ち、2位も連発しているから悔いはないのか?

ヴァルシャーレとイマジンドラゴンを超えられてないのに?

今一度、お得意の、勝つ気はありますか?をかまして緊張感を煽って欲しかった。

レース前の壮行会でも、山王を労う、みたいなゆるい雰囲気だったし、絶対勝つぞ、という雰囲気作りが出来ていない。

緊迫した雰囲気がある上で、一歩及ばないから初めて悔しさも出てくる訳で、レース前からもう思い出作りに走っている感じもあり、ゆるい。

結果は2位でも、ファンの記憶に残ったからオッケーというのは、死ぬ気で勝とうとした結果のご褒美であるはずだろう。

そこら辺の気迫は誰からも特に伝わってこない。

勝てたら嬉しい、くらいというか。

なので、2位で良かったかもしれない。

これで1位を獲ったら、ますます臭くなっていただろう。

あまり凝縮されていない3年

今話では、有馬記念を獲るための、山王にとっての事実上のラストチャンスとしてレースが描かれ、結果は2位に終わり、ラストでは山王の息子から栗須へ連絡があって終わった。

前回からもう3年が経過した、ということだが、3年が経った感はほぼ何もなく、山王が病気になり、野崎の息子が大きくなったくらいだった。

ホープの引退と山王の病気が重なるところを描きたかったからそうなったんだろうが、特に3年分凝縮されている感じもないので、翌年の出来事として描いても良かった気もする。

しかし、ホープは引退せず、山王にとっての最後の有馬記念を描いたとしても、今話の様に山王は元気なままなら、どのみち無理に感動を煽っている感じになる。

それなら、まだホープの引退というイベントが重なった方がマシか?

仮に山王が元気じゃなくても、山王の急な良い人間感は違和感がある。

いずれにせよ、この回で感動が自然と押し寄せるほどの、丁寧な描き方を今までしていないので、もう後の祭りだ。

上述した通り、山王の人間描写は良い部分とそうでない部分が相容れず、総じて薄く、主人公の栗須は自然な部分は悪くないが、軽くて感傷的なので、2人のコンビとしてのドラマが薄い。

せめてどっちかが一貫して深ければ、まだ感動出来たような気がする。

第7話-「口取り式」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

山王とのお別れの回

第7話は、山王が援助や謝罪を受け入れない息子にホープとハピネスの子供を相続することになり、競走馬として育つまで山王はなんとか生き延びるが、その馬がデビュー戦で勝利すると同時に、それを見届けた山王は家族に見守られて旅立つ様子、野崎の息子が騎手としてデビューする様子、などが描かれた。

山王のねぎらいの言葉に栗須が反論せずに涙する描写は臭かったが、ロイヤルファミリーのデビュー戦を山王が意識もうろうとしながら見守り、涙する様子や、山王の死を知って涙がこみ上げて来るが、笑わなければならない馬関係者の記念撮影の様子などは、少し涙腺が刺激された。

終盤のドラマチックさは悪くない終わり方ではあるが、もっと面白くなったんじゃないかと思う。

なぜなのか考えていきたい。

ドライな態度の耕一は自然で悪くない

山王の息子の耕一は、ドライな雰囲気が悪くない。

山王にまだ心を開いていない時は、サービス精神のない、言葉足らずなしゃべり方で、本当にこういう若者がいそうだ。

耕一は、謝罪も援助もいらない、というのが格好良いし、山王に会いたい理由が、父親と今までのことについて話をしたいからではなく、交配の仕方について言いたいから、というのが湿っぽくなくて良い。

耕一が選んだホープに最適な馬が、母親が選んだハピネスである、という一致はドラマチックだ。

競走馬として譲るには後3年必要と分かると、耕一は、長生きして下さい、僕に譲れるまで、と言い、山王は、その馬が先頭でゴールするまでだ、俺を勝手に殺すな、と返し、耕一は表情を変えずに、ただ、はい、とだけ言う感じが良い。

すみません、などと謝らずに、特に繕う訳でもない、言葉足らずなリアルさがある。

初めて耕一がファミリーと会った時、ファミリー、と言う言い方が感情豊かで良い。

初めてポジティブで素直な気持ちの言葉というか。

まだ山王ファミリーに馴染んでないせいもあり、どんな人間かはそこまで分からず、魅力的な振る舞いは少ないが、あざとさもなく、自然で悪くない。

広中調教師にも物を言う、良い意味で頑固でこだわりのある性格だし、今後山王に代わって、味のある振る舞いをして欲しい。

山王の声掛けに反論しないセンチメンタルな栗須

山王は今話では、前話よりも体調が悪そうで、車椅子で育ったロイヤルファミリーを栗須と見に行っていた。

ロイヤルファミリーが現れる前に、山王は栗須に、事実上の最後の別れみたいなねぎらいの言葉をかけたが、栗須がそれを否定しないまま、泣いて終わらせたのが、臭くて萎えた。

山王は、昔は金を稼ぐことばかり考えてた、などと過去を振り返った後、最近有馬を獲る夢をよく見る、まだ全然諦めがついちゃいねぇんだな、と言ったが、栗須は振り返って真剣な顔で山王を見るだけで、何も言わないのが物足りない。

もう死ぬ前みたいな雰囲気を出しているのに、それを否定しないでどうするんだ、と思う。

振り返ってニコッと笑うならポジティブな会話になっているが、何もせず、事実上の肯定になっている。

こんな顔をするなら、諦める必要はないです、これから穫れば良いので、と言い返してやれば良い。

その後山王は、俺がお前の夢枕に立っても迷惑がんじゃねえぞ、と言い、栗須は笑って、それは、承知しました、と言っていたが、ここもなぜ否定しない?

夢枕に立つって、死者が現れて何かを言うことだろう?

縁起でもないこと言わないで下さい、とか、怒っても良いくらいだ。

有馬記念を獲ることを生前に達成出来ずに、死者としてまだ栗須に指示する、という意味にも取れるので、絶対否定しなければならない。

山王は、もう自分は長くない、と感じていて、仮にすぐそばで見ている栗須もそう感じていた、としてもだ。

それはご勘弁願います、なんとか社長の前でファミリーに獲らせますので、それだけは、とか、前向きな内容で押し返してやれば良い。

もしくは、諦めるんですか?でしたら私は身を引きます、そんな社長にお仕えした覚えはありません、くらい言っちゃっても良い。

さらに、山王は、俺は馬主としては凡庸だったが、お前をこの世界に連れ込んだのは手柄だったな、と、事実上の別れの挨拶を栗須に言ったが、栗須はただ泣くだけなのが、臭くていーっとなった。

山王は病気だし、精神的に弱まることもあるかもしれないが、それをそのまま受け入れるのは、秘書失格だ。

栗須は、山王に死んで欲しいのか?

もう最後のお別れですね、という卒業式的な気持ちでいるなら、失礼にもほどがある。

今この瞬間に死ぬ訳じゃないだろう?

それに、少しでも長生きして欲しいなら、この一連の山王の発言にはイラッとするはずだ。

秘書として、執事としての正当な叱りポイントだ。

分からないですよ、金を横領して逃げるかもしれません、手柄というにはまだ拙速です、とか、分からないが、ぐっと押し返してから、まだ泣きたいなら、山王に見えない所で泣けば良い。

ここは、栗須がちゃんと反論し、しっかりして下さい、と山王を鼓舞するような会話であれば、涙腺は刺激されただろう。

弱まった相手からのねぎらいを、そのまま受け取って泣くだけ、というのは臭いばかりか、見ていて腹が立つ。

人間なんて、最後までどうなるか分からないのに、弱まった言葉なんて聞きたくない。

山王も、どれだけ体がしんどくても、意地を張って山王節を出し続けたなら粋だった。

栗須に、いつ有馬記念取れるんだ?俺が死んでから1人で獲るつもりじゃないだろうな、それは裏切りだぞ、とか、前向きな言葉を言い続けるなら、格好良かった。

もし山王がそんな状態じゃないなら、栗須は、山王をハッとさせる言葉をぶつけ、いつもの山王に戻してあげなければならない。

それが、親しい間柄の熱い会話なんじゃないのか?

栗須は泣いてばかりで何も気持ちをぶつけず、目的が分からない何ともつまらない会話にしてしまっていた。

山王の散り際は少し涙腺を刺激されるが、物足りない

ロイヤルファミリーのデビュー戦で、山王はレース前にもう意識が朦朧となり、家族からレース映像を見せられ
、ロイヤルファミリーの勝利を見た山王が、静かに一筋の涙を流すシーンでは少し涙腺を刺激された。

山王の隠し子、耕一が提案したホープの相手はハピネスで、それは耕一の母で山王の元愛人も生前に直感で選んだ馬でもあり、母子で馬を見る目があるのか、たまたまか、奇跡的な一致があった。

そして、その2頭から生まれたロイヤルファミリーがようやく耕一に譲れるまでにレース馬として育ち、実の娘の夫、義理の息子がジョッキーとして騎乗し、デビュー戦を勝利で飾る、というの展開自体はドラマチックだ。

山王が獲れなかった有馬記念勝利を期待させる走りで、ホープの子供と、実の息子に勝利への執念が継承された瞬間、ということだろう。

まさにファミリーでもぎ取った勝利と言えるが、隠し子がガッツリ関わっているのがドロドロ感があり、少し引っ掛かる。

子供に罪はないけど、ファミリーって不倫相手も含むのか?と思うと、ファミリーという比較的クリーンな意味からは少し外れる気もする。

ファミリーという名のゲリラ戦である。

山王が目を開けたまま、意識があるのかないのか、朦朧とする感じや、娘がうろたえる感じはリアルに感じた。

目を開けてないとレースを見れないが、目を閉じたままでも実況を聞いて涙する事は出来るから、どっちでも良いんだろうが。

娘が家族に電話したり、山王を呼ぶ感じは、演技っぽくなくて良い。

ファミリーが1位を獲り、妻の京子が、面白かったわ、とついに認めて山王を労う感じも悪くないが、本心かどうか分からない。

馬は嫌いじゃないの、ただ嫉妬してだけなの、ごめんなさい、とか、分からないが、本心と思える素直な言葉を聞きたかった。

京子は山王に対して、もう昔に見切りをつけている感じで、いつもツンとしているし、どう思っているのかが分からないので、山王の最期くらいさらけ出して欲しかった。

面白かったわって、結局自分が見に行っていないレースでファミリーは勝ったので、京子が見に行ったら負ける、というジンクス通りだし、夫の隠し子が深く関わった馬で勝ったので、本当は全然面白くないはずだ。

レース自体も最下位からの1位という展開は面白いが、そういう勝ち方は初めてじゃないだろう。

このレースに関係なく、山王と一緒にいて実は面白かった、ということか?

いつもツンとしてたクセに、取ってつけたようだ。

なので、この京子の面白かったわ、というセリフは、分かるようでよく分からない。

山王がレース数日前に倒れて緊急入院した時は、うまくはいかない、などと言って頭を抱えていたが、本当に山王を思っている様には見えなかった。

本当に山王自体の事を好きというより、成功する山王が好きなんじゃないか?

山王の外側しか見ていない、山王も薄っぺらいので、お似合いと言えばそうだが、少なくとも、このドラマが始まってからは、夫婦関係は破綻している様に見える。

山王に寄り添う京子を見ても、表向きは素っ気ないけど、実は愛していたんだ、とは思えない。

そこを演技で見せられていない。

もう、馬ばっかり、とか言いながらも、支えようとしている深みは京子にはない。

本当に、馬のことも嫌いだし、のめり込んでいる山王を白い目で見てる、という様に見える。

なので、このシーンで、そういった京子の印象を払拭するほどの深い振る舞いは特にない。

山王もまたしかりで、様々な条件が揃ったドラマチックな状況ではあるが、

そこまでの感動はない。

山王が息を引き取るまでの、一連の演技はリアルで良いが、山王、勝つ所をちゃんと見てくれ、と思うほどの思い入れがない。

今話では山王は少し口の悪いおじいちゃん社長という感じで、深みもあり悪くないが、序盤の話での悪態が頭にこびりついているので、あんまり悲しさはない。

序盤の話が、人とのしゃべり方を知らない若かりし頃の話で、成長して、俺は未熟だった、と反省しておじいちゃんになった訳でもない。

すでにもう十分年を取っているのに無礼だったので、同情の余地はない。

この話の展開がいかにドラマチックでも、もうすでに山王の描き方を失敗してるので、この話で激しく涙腺を揺さぶられるはずがない。

なぜ、山王を嫌な人間として描いてしまったのか、全く分からない。

口は悪いが筋はある、粋な江戸っ子として丁寧に描いていれば、今話では涙腺が崩壊したかもしれない。

もったいないが、もう後の祭りだ。

ドラマチックでもったいないラスト

山王が亡くなってから、栗須は耕一が正式な馬主になったことを告げ、栗須と野崎が泣きながらも、笑顔で記念撮影するシーンの状況自体は、ドラマチックで良かった。

こんなに悲しみと喜びが同時に存在し、悲しくて涙が込み上がってくるが笑わなければならない、という複雑な状況は、中々他にないだろうと思う。

俳優が、泣き笑いという演技をせざるを得ない自然で稀な状況で、俳優冥利に尽きる名シーンになりかけた。

この悪くない状況にも関わらず、少ししか涙腺を刺激されなかったのは、あまりにも残念である、と思う。

栗須がそもそも泣き虫であることに加え、山王が深い人物として描ききれていないことが大きな要因であると思う。

上述した通り、元愛人と隠し子の力も使ってもぎ取った勝利であり、紆余曲折あって過去も反省しながら、ようやく山王がたどり着いた光明ではなく、なし崩し的にたどり着いた感がある。

そもそもなぜ不倫したのか、ということを、山王は自省していたものの、ハッキリ語られておらず、京子と同じ様に白い目で見てしまうので、その隠し子が深く関わっている勝利を手放しで喜べない。

そういった要素が一切なく、有馬記念勝利をひたむきに目指す深みのある粋な社長が、心身共にボロボロになりながらもたどり着いた念願の勝利なら、このシーンは涙腺が崩壊したかもしれない。

これは有馬記念でもない。

栗須の、自然だがいまいち深くなりきれない秘書ぶりも、感動に水を差す。

いつもの涙は、このために取っておけば良かったのに、普段から泣きすぎだ。

もし、隠し子などという要素を入れるなら、さすがの山王もそういう時はあるよ、と許せる様な人物描写でなければならないが、そうではない。

隠し子には真摯に向き合おうとしていたが、家族に経緯を説明して許しを請い、真摯に向き合おうとしている描写はない。

京子も、私もあの頃はあなたに冷たく接していたわ、私のせいね、ごめんなさい、などと歩み寄り、家族内で前向きに解決した訳でもない。

そこら辺がグレーのまま、山王も家族もどう思っているのか、どう落とし所を見つけたのか、という感情的なドラマが語られることなく、勝利に至ってしまったので物足りない。

隠し子に馬を譲る譲らない、などという形式的な話だけではなく。

なので、これが山王ファミリーの、ロイヤルファミリーの勝利だ、と言われても、モヤモヤが残る。

というか、単純に感動し切れなかった。

せっかくドラマチックな展開なのに、ドラマ史に残る名シーンには、まだ何馬身か離れている。

クライマックス前の感動回、耕一は存在感を出せるのか?

今回の話は、クライマックス前の感動回という感じだったが、上述した通り、ガツンとは来なかった。

結局、どんなにドラマチックな展開になろうが、人物描写に深みがなければ、良いものにはならないんだ、と再確認させられた。

例え世界最高の、よく練られたストーリーだったとしても、同じことだろう。

どんなにお金をかけようが、実際のリアルな現場でロケしようが、トップ俳優が出ようが、関係ない。

見せ方次第でいくらでも駄作になり得る。

この作品は、ちょっとお堅い内容だなと思ったがそこまででもなく、無理なサスペンスとかよりは好感が持てるが、物足りない。

やっぱりなんだかんだ、主要キャストの会話力がない。

主人公の栗須の物足りなさはもちろん、山王の役者は、深い会話が出来るはずなのに、あまり良く生かされていない。

特に序盤は顕著だ。

日本人でも会話に長けた人はいるはずなのに、やっぱり日本人は会話が苦手なのかな、と思ってしまう。

ふと、これを外国でリメイクしたら、かなり面白くなるんじゃないかと思ってしまった。

足りない所は感情豊かな演技と、ウイットに富んだセリフで十分補ってくれるだろう。

例えば競馬発祥のイギリスで、連続ドラマ、もしくは映画にしてもらったら、重厚な作品になり得るんじゃないか?

本当は、リメイクなどさせる余地のないほど、隙のないものを作って欲しいが、そうはなっていない。

山王亡き後、今後は耕一と栗須がコンビを組んで有馬記念を目指すことになるのか?

耕一はまだそこまで魅力が出てないが、栗須との新たなコンビとして存在感を出して欲しい。

ちなみに、この作品は10話まであるらしく、ここまで見て、まだ後3話もあるのか、とちょっとしんどさを感じている。

見なければいいんだが、ここまで来たら最後まで見る。

第8話-「相続馬限定馬主」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

耕一は良いが、栗須はイマイチ

山王のロイヤルファミリーを受け継いだ耕一が、ジョッキーや今後の出走計画を変更しようとして周りの反発を招いたり、椎名の息子と交流したり、最終的には野崎の息子がファミリーに騎乗して勝利する様子などが描かれた。

耕一は独特の影のある雰囲気に味があり、自分の意見を曲げない強さなどが悪くないが、栗須は相変わらず泣き虫で、耕一を支える秘書感に深さをあまり感じず、全体としては物足りなかった。

話を聞かない広中、ずっと正しい耕一

耕一は、雰囲気やしゃべり方に独特の影があり、存在感があって悪くない。

栗須に諌められ、ムスッとして、失礼しました、とロートーンで言う感じなどリアルで良い。

ファミリーのジョッキーを変える、年内のレースには出なくても構わない、という大胆な提案でも、必要と思ったら、恐る恐るでもちゃんと意見する姿勢には魅力がある。

そんな耕一の提案を詳しく聞かずに怒って突っぱねた広中調教師と佐木ジョッキー、ちゃんと仲介しようともしない栗須は、広中も自分で言っていたが、頭が固すぎる。

大して勝ててもいないのに、有馬を目指すファミリーだから、と雑にみんな一緒、メンツは固定、という感じが気持ち悪い。

競馬場に耕一が見にいった時、佐木は勝てず、飛び出せば良かった、など言っていたが、本当に悔しがっているようには見えず、ゆるい。

広中も、勝てずに悩んでいる感じもないので、全体のプランを変えると言われてもしょうがない。

結局、耕一はもう一度丁寧に説明することにより、馬関係者の理解を得られ、2年後の有馬記念に野崎の息子の翔平をジョッキーに見据えてファミリーを育てていく、という方針に決まった。

もう一度の説明を聞いても、なぜ佐木ではダメで、翔平なのか、ファミリーが晩成型とはどういうことか、というのはよく分からなかった。

翔平が、将来佐木と並ぶくらいの一流のジョッキーになっているはず、となぜ分かる?

佐木と翔平の今までの騎乗のデータを出し、どういう馬に合っているのか、佐木はホープには合うがファミリーには合わないとか、ファミリーの系統や身体データで、2年後には体が作られていく予想がつくとか、そういうプレゼンをしてくれないと全然分からない。

そういうデータを出すのは、耕一は得意なんじゃないのか?

そういった詳しさがない、この程度の説明なら、最初から広中がしっかり話を聞いていれば聞けた説明なので、そりゃ、あの説明では分からない、とはならない。

聞いている馬関係者も、そういうことか、となぜこれで納得してしまうのか分からない。

まだ若く、伝え方が稚拙で、少し無礼な感じもある馬主の改心、成長を描きたかったのかもしれないが、全然描けていない。

耕一は最初からほとんど正しく、ただ周りが物分かりが悪いだけに見えた。

広中は耕一の提案に怒って、佐木だけでなく自分達も降りる、と言い出した。

耕一は、広中はリーディングトレーナーで頭がいっぱいだから、成績の悪い馬を手放したいとか、自分が限定馬主だから親身になってくれない、などと言って栗須に怒られていたが、そう言いたくなる気持ちも分かる。

広中が、翔平では物足りない、などと言うと、耕一が、そうやって最初から決めつけるから、何も変わらないんじゃないですか?とちょっと食い気味で言う感じは少し攻撃的ではあるが、意見をハッキリ言っているだけで、失礼ではない。

そして、耕一は偉そうに振る舞ったりする訳ではなく、お願いします、とちゃんと頭を下げているのに、それに対して、もう自分達も降りる、と言う広中はしょうもない。

広中は、我々の目標は有馬記念ですよ、などと強く耕一を諭していたが、ちょっと勘違いしているんじゃないか?

その有馬記念は、広中が勝手に作り上げた広中の有馬記念で、オーナーが違うと言ってるんだから、違うだろう。

子供に自分の夢を押し付ける親みたいに、自分の言いなりにしたいのか?

佐木は必要で変えてはいけない、と主張するだけでなく、なぜ変えるのか、なぜ翔平なのか、なぜ今年は諦めるのか、どんどん具体的に、納得するまで聞いていかないのはなぜだ?

理由を聞かないのは、どうせ大した理由じゃない、自分の方が正しい、と思っていることの裏返しで、栗須に怒られた広中の悪口も、あながち突飛とも言えない。

耕一は、翔平が誰よりもファミリーと合っていると思う、と言い、広中は、翔平も頑張ってるがまだ勝ちは少ない、確実には勝てない、と返して、論点が食い違っている。

勝ち数の多さではなく、合っている人を優先したい、という話なのに、トンチンカンだ。

翔平はファミリーには合っていないなら、合っていないと言えば良い。

そこら辺を誤魔化して、勝手にヒートアップしているだけだ。

広中は、野崎に変わった人だよ、と言わていたが、何が変わってるんだ?

物忘れ描写ももうないし、今話では、固定観念にとらわれた、馬主の話を聞かない、自分の意見を押し通したい、普通より下のダメ調教師じゃないか?

広中がもし良い意味で変わっているなら、耕一の提案に驚くが怒らず、何でですかと聞きまくり、最終的になるほど、と納得して、今までありがとう隆ニ郎、と言いながら真顔で佐木と握手する、とかなんじゃないか?

そんな、周りの理解が追いついてないことも気付いてない天才っぽさがあったら面白いが、広中には何もなく、普通すぎる。

それなら、すぐ話が終わってしまうが。

椎名も目をつけ、椎名の依頼すらサラッと断ってしまうほどの名調教師なんだろう?

ただの優しい口調の頭の固い普通のおじさんだ。

耕一はハッキリ自分の思っていることを言葉にしてぶつけているのに、広中はそれを掘り下げず、ただ怒っているだけなので、耕一の演技は良いのに、中身のない薄っぺらいケンカになってしまっている。

有馬に出るためには、と熱弁する広中に、出たいんじゃない、勝つんです、と静かに耕一が反論する言い方が、雰囲気があって格好良い。

本当に、耕一の言う通りだし。

そして、このケンカが今話の軸なので、全体としても薄っぺらい。

未熟な青年の成長物語にはなっていない

耕一の振る舞いに隙がない、というのも、成長物語になっておらず、どうしたかったのかよく分からない。

耕一が、ジョッキーを変えたい、と言って、何でですか?と広中が聞いたら、ちょっとため息をつき、何でか分からないですか?などと試すような事を言うとか、理由は一切言わずに、飲み会で感化された、競馬界は変える必要があるんです、と繰り返すだけとか、若者にありがちな傲慢さが垣間見える、とかにしないといけない。

そういう態度は取っていないのに、耕一の言うことを無条件で聞く調教師はいない、山王も誰にも振り向いてもらえないこともあった、人を信じることが社長の強みだった、と一方的に栗須に説教されても、説教が効果的でない。

栗須さんも辞めてもらって良いです、という言葉が出るのも、突飛なことではない。

山王は態度が悪かったんだから、誰にも振り向いてもらえないのは普通のことだろう。

あの人格者の社長ですら、と言っている様にも聞こえて、おかしな説教だ。

結局、もう一度馬関係者に説明して、ちゃんと説明出来ずにすみません、と謝っていたが、広中が勝手にヒートアップしただけなので、謝る必要もない。

さも、未熟な青年が自分を見つめ直して成長し、仲間に協力を申し出た風なのが、気持ちが悪い。

頭の固い、話を聞かない連中に、耕一がへりくだって頭を下げただけの話だ。

栗須も全然サポート出来ていない。

耕一は最初態度がちょっと悪く、意図も説明しなかったが、自分を見つめ直して、今度はちゃんとデータを示して丁寧に説得した、ならメリハリがあって成長と言えるし、リアルないざこざだが、全くそうはなっていない。

耕一にトラブルを持ち込む友人として、椎名の息子が描かれているが、特に悪い人間でもない。

椎名の息子は、親は好きにやれと言うが、ただし俺の理解できる範囲でな、という言外の注釈が隠されている、と言っていたが、その通りだ。

実際、栗須も広中も頭が固かった。

広中も栗須も、耕一の話をちゃんと聞こうとしているのに、椎名の息子にそそのかされて、耕一がちゃんと説明しなかった、見下した様な態度を取った訳でも何でもない。

椎名の息子は、垣根なくライバルの耕一を鼓舞し、翔平に自分の馬に乗ってくれと言ったり、他の客に絡まれた時はベロンベロンになっていて、ケンカには参加しなかった。

裏で暗躍して、耕一をおとしめようとする腹黒さもなく、素直でむしろ可愛い。

耕一が佐木を切ってくれたおかげで、自分の馬と相性ピッタリだよ、と抱きつく感じも、嫌味でやっている様には見えない。

この椎名の息子を、もう少し悪寄りでしたたかで、耕一は少し洗脳されていた、栗須も広中も実は悪くはなかった、という様に描かないと、何が見せたかったのかよく分からない。

見ているこっちに、もっと椎名の息子に対してムカつく感情を抱かせないと、全然足りない。

終盤で、耕一は椎名の息子に、こんな馬主がいてもいいだろ、と啖呵を切るが、今の所倒すべき悪ではないので、そんなに怒ることか?となってしまう。

深い秘書感のない栗須

競馬界でどう立ち振舞っていけば良いのか手探り状態の耕一に、寄り添うべき秘書の栗須には、深さがなく物足りなかった。

耕一が何を思っているのか、どうしたいのか、栗須が一番知っているべきはずだが、そうではない。

ファミリーのジョッキーを変えたい、と耕一が広中に直談判しに行った時、ケンカになりかけたのを、良いタイミングで仲裁していたが、そもそも、何を伝えようとしているのか、しっかり把握してないのは秘書としてどうなんだ?

ケンカになりそうになったら、言いたい意図は違うのではないですか?とか、導いてやれば良いんじゃないのか?

ただケンカを止めるなんて誰にでも出来る。

そもそも耕一の意図を理解し、自分なりに解釈した上でなければ、成長のために助けすぎず、ちょっと困りかけた所で背中を押していく、ということは出来ない。

最初の広中との面談の後、栗須は、馬のことは分からないが、ホープの有馬記念はチームの力があったから挑めた、チームの思いがホープに伝わったからだ、と広中の意見を後押しするようなことを言った。

なぜ、耕一の意図を理解しようとせずに、自分の意見で耕一の思考を塗り替えようとするんだ?

意味もなく気分転換でジョッキーを変えてみよう、と言っていると思っているのか?

耕一は、場数を踏んでも結果は変わらない、ファミリーのペースに合わせたいって言ってるじゃないか。

じゃあそれはなぜそう思うのか?根拠はあるのか?などを確認せずに、やめた方が良い、と諭すのは、中身のない全否定だ。

耕一が何も考えてないおバカさんみたいな雰囲気なら分かるが、明らかに何か考えているのは分かる。

耕一は一方的な話し方ではなく、そうなんですけど、それはわかるんですけど、と相手の意見に配慮しながらしゃべっているので、広中や栗須よりよほど大人だ。

上記で述べた通り、栗須は、2回目の広中との面談の後、耕一に説教していたが、薄い。

怒り方もいつも通りヒステリックだし、説教の内容が、まるで耕一が非常識みたいな物言いだし、耕一の意図も理解しておらず、味方でも何でもない。

今から頭を下げてって、何で失礼なこともしてないのに、謝りに行かなきゃいけないんだ?

普通の秘書なら、今度はプレゼン資料万全で臨みましょう、私も提案せずにすみません、長年一緒にやってきたので、それなりの根拠を提示しないと納得してもらえないかもしれません、とか、そんな言葉になるんじゃないのか?

味方にならなければいけない栗須ですらこんな感じなんだから、そりゃ、後は一人で考えますって言われてもしょうがない。

栗須は、耕一が若手馬主の会に入会したことを知り、競馬業界から評判が良くない、ほどほどにした方が良い、パフォーマンスで変わるほど日本の競馬のシステムは弱くない、などと苦言を呈していたのも、腹が立つ。

その言い方が、本当は言いたくないんですが、という恐縮した感じではなく、丁寧な説教で、自分より下に見ている若者への意見の押し付けに感じる。

パフォーマンスで変わるほど弱くないって、若手馬主の会を中身のないパフォーマンスとこき下ろしているし、あんたは競馬業界を仕切っている重鎮でも何でもないだろうと思う。

耕一が、もっと味方になって、一緒に闘って欲しい、と言うと、栗須は、申し訳ありません、闘う相手はチームスタッフではありません、と堂々と返す感じも腹が立つ。

毅然とした格好良い態度でも何でもなく、クレーム対応能力ゼロのお役所対応と同じだ。

そもそも耕一を敵だと思ってるのは、意図を理解しようとしない栗須だろう。

主に自分を理解してくれって意味で言ってるのに、チームスタッフは闘う相手ではないって、表面的な言葉に食い付いて返しているだけで、頭が悪すぎる。

なあなあになるから、スタッフ間でも闘いは必要だし。

ロボットみたいな会話しか出来ないのか?

こんな秘書の振る舞いで、一体どうドラマが面白くなるんだ?

耕一からしたら、この人に何から説明すれば良いんだろう、と思って、しゃべるのを止めるのは普通のことだ。

そりゃ、失礼しました、って話しを終わらせる方が無難だ。

栗須はきっと、自分がモラルのない若者を諌めて、謝らせた、と思っていそうでダサい。

本当に、話の通じない役所の人みたいだ。

秘書として何も魅力がない。

味方になろうとしてるんですが、耕一さんの思っていることが分からないんです、今教えていただけますか?とか言うのが普通なんじゃないのか?

それも、今じゃなく、分からないならもっと前に聞いておけ、となるので、後手ではある。

そもそも、もっと味方になってもらえませんか?と言われた時点でもう秘書失格だ。

それに気付かず、何ですか?みたいに普通にしている感じが、お間抜けにもほどがある。

よく分からない謝罪、臭い涙

耕一が警察沙汰事件を起こし、実は耕一は翔平をかばっていたことが分かり、栗須行きつけの定食屋で、栗須と耕一が和解するシーンがあるが、栗須が泣くシーンが臭かった。

耕一は、山王に言われた言いつけを守り、ファミリーのことだけを考えていた、スタッフの協力が必要なのに、と謝罪めいたことを言った。

栗須は、翔平をかばっていたことを知らずに酷いことを言ったこと、社長と比べてしまい耕一を無視していたこと、寄り添えなかったことを謝罪した。

かばっていたことを知らなかったことはしょうがないが、耕一を社長と比べて無視していた、っていつ気付いたんだ?

過去に山王は、自分の要望にそぐわない調教師を変える、ということをやっていて、調教師たちの間でも評判は良くなかった訳だろう?

山王は、絆を重んじる、絶対に関係者のクビを切らないこだわりがある訳じゃない。

従業員は守ろうとしていたけど。

それに、負けが込んで来たら、山王もフラストレーションが溜まり、急に騎手を変える、と言い出しそうだ。

耕一の様な普通の伝え方でなく、嫌な態度を出して。

山王の人物像が、どんなに負けようがスタメンは変えない、という人間として描けていないので、社長と比べて無視していた、というのがよく分からない。

社長と比べようが比べまいが、耕一のことを下に見ていたんだろう。

栗須の心変わりのきっかけが、野崎に、耕一の話を聞け、と注意された訳でもない。

何で騎手を変えるか聞いたの?と野崎に言われ、聞いたけど分からない、と答える栗須に、耕一さんは今のオーナーなんだから、何でなのか理解しないとダメなんじゃない?などと野崎に諭され、気づいた、とかでもない。

耕一の意図を裏で偶然知って、そんな深い理由があったのか、自分が浅かった、となったシーンもない。

よく分からない感じで、耕一を理解しようとしなかったのに、心変わりのグラデーションもなく、自分は秘書失格です、と謝られても、本当に分かっているのか、と思う。

耕一の、迷った時はファミリーのことだけ優先させろ、と山王に言われた、という告白を聞いても、そうだったんですね、とショックを受ける感じもなく、薄い。

すぐに、少し笑みを浮かべ、一人で抱え込ませてしまい、申し訳ありませんでした、と謝る感じが、会話に張りがなくてつまらない。

山王のアドバイスを忠実に守ろうとした耕一に反発したんだから、山王にも反発し、山王のことも無視していたことになるんじゃないのか?

その後、耕一は改めて、一緒に有馬記念で勝って下さい、お願いします、と頭を下げ、栗須はちょっと間を置いて涙ぐんだ後、承知しました、と返したのが臭い。

自然と込み上げてくる感情を抑えながら、泣かないようにして、承知しました、と言っている深い感じではなく、泣こう泣こうとしているうわべの演技なので、全然心に響かない。

横を見たり、上を見たりして、心が動いていることを表現している演技があざとい。

見せるための表面的な演技で、素人よりはうまい、止まりだ。

気持ちが入らないなら、無理に感じよう感じようなどとせず、真剣に目の前の人としゃべるだけの方が、よほど自然で良い。

こんな演技テクニックを披露するために間を空けるくらいなら、とんでもありません、こちらこそよろしくお願いします、と、間髪入れずに返す方が好感が持てる。

間をたっぷり明けて、承知しました、だけで行けるほど、この栗須には重厚感や深みはない。

承知しました、という言葉も言い方も、なんかちょっと偉そうでしっくりこない。

秘書らしい返事のセリフとして多用したいんだろうが、物足りない。

頭を下げる必要のない耕一ばかりが頭を下げ、この耕一の下手からのお願いよりも、栗須の承知しました、の方が態度は上手だ。

耕一よりもさらに下手の、全身全霊の下手からの承知しました、をかまさなければ、耕一に負けているし、偉そうに見える。

翔平が、自分の行動は問題があるか?と栗須に聞き、栗須が、自分も同じ事をした、問題はあるが問題にはしない、と言って、頭を下げている翔平の背中を叩いて去っていく様子も、ちょっと偉そうだ。

格好つけている感じもあリ鼻につく。

栗須は競馬界の重鎮か?

耕一の秘書としても、知り合いの仲の良いオジサンとしても、あまり魅力がない。

俺も同じことをしたよ、むしろ守ってくれてありがとう、と礼を言い、でもそういう時は、ニコって笑ってゆっくり逃げるんだよ、そんな奴らに怒ったら負けだよ、いつもかばえないぞ、とか、もっとラフに言えないのか?

せっかく、耕一の振る舞いは味があるのに、栗須の味のない軽さが大分面白さを邪魔している。

栗須は、仕事以外は軽い感じの普通のお兄ちゃんという感じで、そっちの方が彼の本質で、秘書は無理してやっていて、軽さは隠しきれないんだろうと思う。

秘書の感じが深ければ、きっと私生活のプライベートな時の雰囲気も、自然と深みが出るだろう。
その逆も然り。

お客さんの前では丁寧に接客しているが、私生活ではダメな意味で軽いホテルマン、というか。

仕事で自分は顔を変えられている、ということに酔っていて、根本から変えようとしない。

そんな人の接客は、見る人が見ればうわべだ、とすぐに見抜かれるのに、自分では完璧に出来ている、と思っている。

栗須は、プロの秘書感が甘いので、そんな人間のカテゴリーに入ってしまっている。

柔軟性や人間力が試される秘書には向いてないんじゃないか?

秘書っぽい振る舞いをしているだけで、深くはない。

上述した通り、時に相手に寄り添わず、融通の利かない対応の人も多い印象の、役所の窓口とかが栗須は向いてるんじゃないか?

役所ってそんなもんだ、というイメージもあるから、堅い対応をしても違和感はない。

最低限マニュアルをとりあえず言っておけば非はないので、ミスが目立たない。

でも、実は規模が大きいだけで、役所の人も柔軟で話の分かる人もたくさんいるから、そんな人達と比べられたら、栗須は下の方に振り分けられるので、そこで登り詰めるのも無理だろう。

いつまでもうだつの上がらない、ひらの市役所職員、というか。

それがこの役者の本質かどうかは確定出来ないが、そういう想像をさせない演じ方をして欲しかった。

山王亡き今、栗須が引っ張っていかねばならないが、大分薄い。

特に今回は、様々トラブルがあり、問題解決能力が試される回で、栗須の薄さが露呈している。

トラブルの渦中にいない、比較的平和な状態なら自然に見えるんだろうが、ガッツリ感情をぶつけ合って会話するシーンは、やっぱり物足りない。

せっかく耕一は良いのに、もったいない。

存在感のある耕一

栗須が物足りない一方、耕一は存在感があり、大分良かった。

上述した通り、影のある雰囲気に味があり、今までの出演者の中で一番生の会話感がある。

広中に、佐木がいるのは強みだと思う、ハイペースでレースをさせないと間に合わないと言われ、栗須に、チームの思いがホープに伝わったから有馬に出れた、と言われた時も、それは分かってるんですけど、とその都度言って考える感じが、本当に相手の言っていることを理解した上で考えている雰囲気があり、深くて良い。

栗須みたいに、大声を出してヒステリックに怒るという表現を使わなくても、静かだが怒っている、という感じも伝わってくる。

栗須に怒られ、栗須さんも辞めてもらっていいです、とか、以降気を付けます、などと言う感じも、怒りがにじんでいて良い。

会話で相手からの圧を押し返したりするシーンがいくつかあるが、本当に怒った感情を使っていて、リアルな会話づくりが出来ていて、大分会話巧者だと思う。

広中に、そうやって決めつけるから何も変わらない、と食い気味に言ったり、有馬に出たいんじゃない、勝つんです、と言い返したり、翔平が、隆二郎さんがいたから、と言ったら、いつまでそうやってファンみたいな気持ちでいるの?と会話をさえぎってかぶせる感じとか、怒りをうまく使って表現出来ている。

きっと、目の前で言われた役者は、これが演技である、ということも忘れてハッとさせられるはずだ。

終盤のシーンで、レースに勝った椎名の息子としゃべり、顔を近づけて静かに目標を語るシーンは、大分迫力がある。

耕一は、椎名の息子に一歩歩み寄り、世代とか最強とかどうでもいい、フ ァミリーと有馬で勝つ、それだけで良い、いてもいいだろ、こんな馬主、と言う雰囲気は、ちょっと怖い。

殺人鬼、と言うと良い表現ではないが、静かな雰囲気の中に、そのくらいの迫力を感じた。

まだ若手なのに、こんな雰囲気を出せる俳優がいるのか、と思ったら、少し嬉しくなった。

耕一を演じる俳優は、アイドルだが、よくある様なアイドルの演じ方を大きく超えている。

この影のある雰囲気は、出そうと思っても中々出せるものではないし、会話も長けていて怒れるので、かなり使い所が多いんじゃないかと思う。

ハードボイルドな作品に耐えうるポテンシャルがあるので、恋愛物やイケメン推しじゃない、アクションやサスペンスに起用したら、かなり良いんじゃないか?

でも日本には、普通のアクションとかサスペンスを撮れる監督がいないか。

彼だけ良くても、しょうがない。

この話でも、耕一は良いのに、相棒の栗須がイマイチで、ストーリーも浅いので、全体として面白くなっていない。

上述した通り、椎名の息子に啖呵を切るシーンは、演技自体はとても良いが、椎名の息子は悪い奴ではないので、ちょっと怒り過ぎで怖い、空回りした変な印象になってしまっている。

椎名の息子が、耕一を馬鹿にしていることがハッキリ分かって初めて、効果的な強い怒り方だ。

せっかく良い役者が一人いても、他の演者とのやり取りや、ストーリーで、いくらでも羽根を折られてしまうんだから、大分もったいない。

あまり期待できない今後

今後、耕一と、栗須や馬関係者が一丸となって有馬記念を目指す姿が描かれるのか?

もう有馬記念を獲らなければ、話は終わらないので、きっと穫るんだろうが、それまでにどれだけの濃い物語を描けるのかは疑問だ。

耕一は良いが、栗須を含めた馬関係者達の描写は今ひとつだし、もうこの時点で先は見えている。

翔平もなぜ急成長しているのかよく分からない。

せめて栗須の秘書感だけ深く、耕一とのコンビとして、熱いドラマを9話、10話と続けてくれれば、まだ多少は取り返せるかもしれないが、焼け石に水だ。

もうここまでで丁寧に話しを積み重ねられていないんだから、しょうがない。

良いシーンがなかった訳ではないし、耕一の存在感が良かった、というだけでも、見て良かったのかもしれないが、中々跳ね上がっていかない。

まあ、こんなもんだろうと思う。

第9話-「鐙~あぶみ~」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

ハプニングが次々に襲う9話

順調に見えたファミリーと翔平だが、翔平は落馬、ファミリーは足を骨折し、治療するが、翔平は調子が戻らず、ファミリーは目を手術しなければならなくなり、耕一がフランスまで専門の獣医に頼みに行き、手術は成功、翔平は佐木のアドバイスもあり復活し、栗須が野崎からプロポーズされた様子などが描かれた。

耕一のチームがファミリーの復活に奔走する様子はポジティブだし、翔平が栗須に怒る演技自体はちょっと涙腺が刺激されたが、なぜ耕一が翔平にこだわるのかよく分からず、中身のない人情話になっていて、栗須の演技も深くないので、全体としては物足りなかった。

なぜなのか考えていきたい。

耕一と栗須の変な会話

落馬し、足を怪我してから調子が上がらない翔平に、なぜ耕一がこだわるのかよく分からず、あまり感動出来なかった。

ファミリーは骨折し、目にも支障をきたし、目が治らないのであれば引退も視野に入れることになり、栗須は、悩む耕一に声をかけた。

栗須は、ファミリーに1位になる気持ち良さを味あわせたい、自分達にファミリーの幸せを決めることは出来ないが、最後まで考え続けることは出来る、諦めずもがき続けましょう、と言うと、耕一は、少し間を置いて、決めましたよ、ファミリーと有馬を目指します、と栗須に言って、例のは〜という声から始まる、感動的な音楽がかかるのが臭かった。

もうすでに決めた引退を撤回する、もしくは、引退することにした、訳でもなく、栗須が暗に言っていた内容と同じなので、何の落差もない。

決めました、と溜めて言うほどのセリフではない。

嘘だろ、有馬目指すのか、という驚きは何もないのに、感動シーンに仕立て上げられているのがムズムズする。

というか、あんた諦めてたのか、と思わす変なセリフだ。

栗須は、あの景色をファミリーにも味合わせたい、と言ってしまっているので、有馬で一着を獲りたい、という意思表示とも捉えられるので、耕一のこの発言は、ただそれをなぞっただけだ。

それなのに、栗須は、予想外という感じで神妙な顔で聞き入り、涙ぐむ感じが臭い。

仮に、フランスにいる獣医とも連絡がつかず、ファミリーを引退させることが決まり、栗須が、もう十分です、むしろ、ここまで連れてきていただいてありがとうございます、社長も喜んでくれてると思います、楽しかったです、などと爽やかに礼を言った後、耕一がそれをひっくり返したなら、落差はある。

それでも、耕一の判断だけでどうにかなる事態ではなく、ファミリーを治さなければ走れないので、耕一のこの発言だけで感動するのは早すぎる。

ファミリー自身が、私まだ走りたい、有馬を目指す、と言ったならダイレクトに涙腺は刺激されるが。

栗須は、え、でも連絡取れないんですよ、どうするつもりですか?と尋ね、耕一が、フランスに飛びます、などという会話があってしかるべきだ。

そもそも、記者の調べで、フランスにいる獣医が手術出来る可能性がある、と言われているので、諦めるのはおかしく、ファミリーを治す方向に行けばいいだけなので、決めましたもクソもない。

栗須も、もがき続けましょうと言ってるのに、まさか耕一様、よくお決めになりました、的な会話がバカバカしい。

この流れなら、耕一が、決めました、と言ったら、栗須は笑って、まだ決めてらっしゃらなかったんですか?などと返す方が自然だ。

なぜ翔平にこだわるのか?

その後、耕一が栗須に、翔平を引き続き採用することを告げるが、理由が弱い。

ファミリーの勝利は関係者全てに報いることで、翔平がいないことは考えられない、翔平を降ろすことはない、と言っていたが、それはただの願望で、成績の悪い騎手を使い続ける理由にはならない。

前話から始まっていることだが、なぜ翔平がファミリーに合っているのか、全然分からない。

確固たる事実としては、翔平はファミリー騎乗後すぐに勝ちを重ねた、という結果論だけで、どの騎手よりもずば抜けて馬の調教が上手かったり、乗る技術も、親の牧場で人一倍鍛えて、右に出るものはいない、などの情報や描写もない。

他の騎手と違って、耕一の様に独特で何か秘めた雰囲気がある訳でもなく、普通の、むしろまだ子供っぽい、気弱そうな雰囲気すらある。

情報が少なくても、この人ならやってくれそうだ、という雰囲気を演技で醸し出してカバー出来てもいない。

さらに、怪我をして絶不調に陥り、ふてくされた雰囲気もあり、やってやるぞ、という怒りに燃えてる雰囲気もない騎手を、なおも使い続ける、降ろすことはない、と断言するのは、あまりに盲目的すぎる。

騎手だって、野球選手など他のスポーツ選手と同じで、怪我で選手生命が絶たれて、もう浮上せずにそのまま辞める人だっている訳だろう。

それでも、翔平なら大丈夫だ、と言える根拠は薄い。

過去に勝ったこともあるし、まだ若いし、くらいか?

あるのは、翔平が勝ったら日高が盛り上がる、山王の関係者として勝って欲しい、という周りの願望だけだ。

平たく言えば、最終的に翔平が有馬記念を獲ることが決まっているから、その予定調和に向かって真っしぐらだから、とも言える。

紆余曲折あったが、日高出身の山王の関係者が騎手として有馬記念を勝ち取る、というドラマを描きたいから、ということだろう。

別に途中の描き方の薄さは問題ではない、結果ヒーローになるんだから、という様な、嫌な雑さを感じる。

なので、せめて耕一は、僕が今まで見てきた中で、彼ほど一番馬とよく会話している騎手はいない、だから降ろしたくない、日高出身だから勝って欲しい訳ではないんです、くらい、抽象的でもいいから強く言って欲しかった。

そうでなければ、弱いチームだが、愛着があるからこのメンツで優勝したい、というただの仲良しごっこだ。

山王の夢を叶えるためにも、自分のためにも、とにかく勝つために強い騎手を選んだ、それがたまたま山王関係者の翔平だった、という、奇跡的なピースの揃い方にはなり得ない。

もしくは、翔平のポテンシャルがどんなに低かろうが、山王の言葉を信じて関係者の翔平を選び、顔見知りの騎手や調教師総出でたたき上げ、無理矢理優勝に持って行く、という訳でもない。

実際、ちょっと栗須が説教しただけで、どうこのスランプを乗り切るのか、と耕一が頭を悩ませ、広中が猛特訓する、などという描写もない。

栗須の説教で目覚めた翔平は、自分で佐木にアドバイスを求め、勝手に良くなっていっただけだ。

広中は調教師だが、鐙と呼ばれる足の位置を変え、一からフォームを作り直す、というアドバイスくらい、別に佐木でなくても広中も出来るだろう。

ちなみに広中は、記者が持ってきた、フランスの獣医師が目の手術を出来る、という情報を聞いた時も、まゆつばものだ、と懐疑的だったが、本来あんたが知らなきゃいけない情報なんじゃないか?と思った。

広中は、チームにいるだけで、あまり役に立っていない。

栗須は説教したが、耕一も広中も、あえて翔平のスランプ脱出に何も手を貸さず、自分で成長を促す、という放置スタイルなのか?

ポテンシャル不明で、覇気も感じられず、今絶不調の翔平を目の前にして?

この状態でよく、翔平を降ろすことはない、などと言えるな、と思う。

そんなこんなで、賢いはずの耕一も、会話のちぐはぐさも含め、こいつは何を言ってるんだ、とちょっとおバカさんに見えた。

ホープにチームの思いが伝わったから有馬記念に出れた、と言った栗須に、でも2位だった、と返し、勝たなければ意味がない、などと言っていた耕一は、どこに行ったんだ?

この耕一の発言は、実力を見誤った馬主の発言として描かれ、有馬記念直前に翔平が落馬して出れなくなり、椎名の息子に解雇された佐木が急遽騎乗して優勝する、という方が、よほどリアルで面白い。

しかし、感動的な音楽もかかっていたし、きっとそんな展開にはならないだろう。

感動的な音楽が流れ、栗須も涙しているシーンで、実はこれはミスを描いていた、となる訳がない。

なったらなったで、急に人間描写が鋭くなりすぎて、浮いている。

きっと、王道的に感動させようとしたんだろう。

なぜ翔平なのか、という理由を、ただ勝って欲しいだけでなく、翔平の演技から来る存在感や、翔平の騎手としての具体的なポテンシャル情報の散りばめなどで、強固に作って欲しかった。

そうではないので、この翔平という騎手は、物語に取ってつけたような人物になってしまっている。

これで優勝したところで、特に感動もなく、そういう話なんだ、と思うだけだ。

ちなみに、翔平が栗須に怒られ、自分がどんな思いでいるのか、乗りたくないんじゃない、乗れないんです、と怒り返す演技は、本当にそういう風に思っている様に自然に見えて、涙腺を刺激された。

翔平に関して良かったのはその部分だけだ。

全体として、翔平の存在感は大分物足りない。

底が見えた栗須の演技

栗須は相変わらず泣き虫で、ことあるごとに泣こうとする感じが自然でなく、うっとうしい。

翔平と接する感じもちょっと偉そうだし、怒る感じはヒステリックで良い怒り方ではない。

特に何もない平和的な時は自然に見えることが多いが、感情が強く動く様な描写では、薄かったり、無理に泣こうとしたり、ほころびが目立つ。

栗須が、足を怪我して調子が戻らない翔平に厩舎で声をかけた時、ちょっと偉そうに見えた。

厩舎のみんなが心配してる、という言い方はセリフっぽいし、足、気になんのか?という言い方は、格好つけてる偉そうな言い方だ。

今成績が出ないのは慣らし期間だからだよ、焦ることはない、と肩をたたく感じも、そんな人間じゃないのにお兄さんぶっている感じで、ちょっとイラッとする。

この役者は、お兄さんとかではなく、等身大で若者としゃべれるタイプの人間だと思うので、ちょっと上から言うこういう話し方は似合っていない。

もっと優しい言い方で、翔平にうっとうしがられる方が良い。

栗須が翔平の調子を見に行って、ふてくされる翔平に怒るシーンがあるが、お前プロだろ、ジョッキーなら馬から逃げるな、と言う怒り方が、ヒステリックでダメな怒り方だ。

怒るのは良いが、いきなりキレた感があるので薄い。

これはダメなケンカになる怒り方で、お互いに遺恨を残すし、昭和の頑固親父がいきなりキレた様なしょうもなさがある。

一般的な強めの怒り方ってこんなもんだろう、というのはあるが。

こんな言い方をしなくても、さらっと言っても伝わるし、そっちの方が栗須に合っている。

プロなのに馬から逃げるのか?とさらっと尋ねた方がよほど好感が持てる。

お前、という言い方も栗須には合ってないかもしれない。

キレたのに、その後翔平に怒り返され、ぐうの音も出ない感じもしょうもない。

自分が負けたことで、実家の農場が潰れたら、何をしてくれるんですか?などと翔平に言われて、うっとなるのではなく、俺が責任取る、と言ってやれば良い。

それに、母親とおじいちゃんは、翔平にそんなプレッシャーを感じて欲しくない、実家を言い訳にしてるけど、ただジョッキーとしてうまくいってないだけだろ?などと、佐木の父親が息子を鼓舞する時に言った言葉も使って言ってやれば良い。

去ろうとする翔平を栗須が引き留め、誰かのためにジョッキーになったのか?と言ったのは、会話になっていて悪くないが。

その後、改心した翔平が、ホープとファミリーと自分の約束のために走ることを忘れていた、まだ何も達成してないのに、と栗須に告げ、栗須は翔平を抱きしめ、大丈夫だよ、と慰めるが、ちょっと間を空けて強くハグをする感じが、カッコつけている感じで、あまり心に来ない。

ニコッと笑って軽めにサッとハグする、とかなら分かるが、ハグする様な気持ちになってないのに、無理矢理やっている様にも見えた。

もし照れがあるなら、無理にやらなくて良い。

日本はハグ文化ではないので、不自然になるくらいなら、ちゃんと言葉を交わせばそれで良いだろう。

父親が、慣れてもないのに無理矢理ハグしに行った様な感じもする。

なので、ハグ中に、翔平が、ちょっとやめて下さい、なとと言って拒む感じだったら面白かった。

栗須が耕一から、翔平で勝つことが関係者に報いることだ、と言われ、栗須がちょっと下を向いて考える感じ、彼を降ろすことはありません、と言われ、下を向いて鼻をすすって頷き、泣いている風で、承知しました、と言う感じがあざとい。

無理に感じよう感じよう、としている泣き真似だ。

栗須は、ことあるごとにこの泣き真似を連発していて、これを見る度に冷める。

感情が動いていないなら、動かない理由を見つけ、それに沿った言葉を吐くのが俳優の仕事なんじゃないのか?

何も感じてないのに、感じている、俺は感動している、と思い込むことなんて不可能だ。

その結果、苦肉の策で、感じている風、感動している風に見える外側の仕草や振る舞いに走った所で、ただの嘘だ。

そういううわべの演技テクニックを何百回、何千回と見せられた所で、見ている者の心など動かない。

でも見ている人達は、これが深い演技だと思っている人ばかりで、きっと泣いている人もいるだろうから、ウィンウィンなんだろう。

現に彼は日本のトップ俳優なんだろう?

何とも怖い世界だ。

こういう役者達は、台本を読んで、心が動くと思って臨んだけど、現場に行っていざやってみたら、心が動かない、と焦ってテクニックに走るのか?

心が動かない自分が悪い、だから必死で取り繕おう、と思うのは間違いだ。

心が動かない理由を探せば良いだけだ。

この耕一のセリフは、上記で述べた通り、ん?と思うことを言ってるので、これで泣こうとするのは、そりゃ無理だ。

むしろ、無理なのに良くやった方なのかもしれない。

変な脚本なのに、それに気づかず現場に行ってしまったら地獄だろうな、と思う。

でも、あらかじめ台本を読んでその落とし穴を見つけ、対策しておかなかった俳優も脇が甘い。

結果何も感じれず、感じている風に振る舞うしか出来なかったが、それでも結構なお金がもらえて、名演技、名シーン、さすがだね、とか言われたりするんだろう?

なんだその仕事?

何の成長も生まない、何のたたき台にもならない、天狗製造機みたいな怖い世界だ。

栗須の俳優が天狗だ、などと言っている訳ではない。

現状は、そういう危険性をはらんだ世界になってしまっている、と思う。

全員が全員じゃなく、闘っている人達もいるだろうし、俳優にそれを強いている監督がまず襟を正すべきなんだろうが。

なので、動かない心を動かそう、とかするのではなく、もっと素直に普通に会話して欲しかった。

終盤で栗須が野崎に告白された時も、ちょっと間を置いて、鼻をすすって涙ぐむ感じが演技っぽい。

栗須は、よろしくお願いします、と野崎に返し、聞こえない、と野崎に言われ、よろしくお願いしまーすと大声で周りに叫ぶ感じは、お調子者のふざけ方でちょっと鼻につく。

一般的なカップルなんてこんなもんかもしれないが。

その後、野崎を強く抱きしめる感じも、あまり様になっていない。

アメリカドラマを真似している様でムズムズする。

慣れてないなら、ハグなんて無理にしなくて良い。

栗須が冒頭で椎名と冗談を交わし、耕一が、冗談のレベルが高すぎます、と言うと、栗須が、慣れるまでに十年かかりました、と言ったが、その言い方や言う感じが、半沢直樹の物真似なのか?と思ってしまった。

栗須は、怒る時にも、ちょっと声を落としてダミ声みたいにしてしゃべる時があるが、堺雅人は違和感はないが、栗須はしっくり来ていない。

真似している、なんて思いたくないが、それをよぎらすしゃべり方がちらほら出るので、それは違うぞ、と思う。

思い返せば、間を空けて、承知しました、と言うのもそうだ。

堺雅人なら、しっくりくるイメージはあるが、不用意に間を空けているだけなので、劣化版だし、比べなくても違和感がある。

堺雅人と年齢も離れていないし、間違いなくインスパイアされているだろうが、そうであろうがなかろうが、その道は、怪人の堺雅人しか行けない道なので、変えたほうが良い。

堺雅人の独特な強い振る舞いや怒り方は、恐らく今活躍している日本の俳優の中で右に出るものはいない、と思う。

しかし、堺雅人は栗須の俳優と違って、普段の普通の感じがあまり自然でないことも多く、栗須の俳優が優っている部分もある。

なので、無意識に引っ張られているだけだとしても、そこは全てリセットして、持ち前の自然さを伸ばした方がはるかに良い。

というか、そこでしか闘えない。

怒る時も、栗須の俳優独自の優しい味の怒り方を開発していった方が良い。

怒っている時に声を荒げなくても怒りを伝えられるような、耕一の演技ではないが。

リアルな場所でのロケは悪くない

このドラマは、ことあるごとにリアルなロケ場所が出てくるので、それ自体は悪くない。

実際の厩舎やレース場、オークション会場、カフェやレストラン、定食屋まで、リアルな雰囲気で良い。

そして、実際にその場所で働いているであろう人達もチラホラ出ていて、リアルさをより引き立てている、と思う。

厩舎で蹄鉄を叩く職人や、オークション会場でセリを仕切る司会の人、栗須の行きつけの定食屋のおばちゃんなど、普段からやっていなければ出来ないであろう、腹に落ちた雰囲気、振る舞いをしているので、とても良い。

ほとんどの人が普段から仕事でやっていることは、人に見せるためにやっている訳ではないので、そこにあざとさはない。

演技など要求せず、普段の仕事をして下さい、と指示すれば、なおさらだろう。

俳優も本来そうであるべきだが、どうしても見られ方ばかりを気にして、表面的なテクニックに走り、うわべになる人も多い印象だ。

今回は、耕一がフランスに飛び、フランスの大学構内、フランスのバーの店内などが映されたが、大学の様子を見てすぐに、言葉にならないちゃっちさを感じ、絶対にフランスではない、と感じた。

外国人タレントを何人か呼んで、日本で撮影してるんだろうな、と思った。

これがもし本当のフランスなら撮り損だ。

大学っぽい場所で、外国人も歩いているのに、なぜリアルに感じないのだろう?

バーの店内も同じで、リアルさがない。

大学では、単純に外国人が少なすぎる。

日本の大学でも、タイミングが重なったら、外国人の生徒が10人くらいまとまって視界に入る、様な時もあるんじゃないか?

それよりも少なく、数人いるだけなので、外国感などない。

階段や建物の感じも、ヨーロッパの大学っぽい、古い建物の感じもなく、新しめなので、より説得力がない。

数人に、あなたは生徒です、階段を歩いて下さい、あなたは教授です、廊下で生徒としゃべって下さい、と言った所で、焼け石に水で、取ってつけたような物だ。

建物は変えられないなら、せめて若めの外国人を50人くらい、階段周りや廊下にウロウロさせておけば良いんじゃないか?

歩いている人がほぼ外国人のニセコは、言われなければ、すぐに日本だとは気付きにくい。

それもアメリカ人やイギリス人とかじゃなく、本当のフランス人だけ50人集めたら、不思議と雰囲気がフランスっぽくなるんじゃないか?

そこまでしたって、実際にフランスに行ってロケするより安く済むだろう。

でももっと安くしたかったのか?

バーも、もっと外国人が多い方が良い。

もっと外国人でごった返させておけば誤魔化せたんじゃないか?

ごった返させて、本当に日本語が全く通じないんじゃないかという緊張感が役者にもあり、その圧の中で演技させる方がリアルなんじゃないかと思う。

本当にフランスに行ったら、耕一がフランスの街並みや大学構内を歩いていたり、店に入る様子なども絶対に撮影するはずだから、そういった映像がない分、よりハードルが上がるんじゃないかと思う。

物足りないラスト前

今回はラスト前で、念願の有馬記念への出場も危ぶまれるハプニングがあり、それを何とか乗り越えて、有馬記念へのピースが揃った、という回だが、上述した通り、最終回への期待感は何も煽られなかった。

主人公の栗須に、耕一を支える深い秘書感や、変に涙ぐまない強さがあったり、怒り方に落ち着きがあれば、まだそこそこ見ていられるものになったかもしれない。

でも、何度も栗須のほころびを目にし、もう底が見えてしまっている状態なので、つまらない。

それを見せない様に演技させるべきなんだろうが、もう後の祭りだ。

耕一は演技に存在感があるが、うまく使われていないし、翔平は存在感は薄く、説得力もあまりないので、盛り上がりにかける。

こっちからは何もピースは揃っていない様に見えるが、もうしょうがない。

この状態で、有馬記念でファミリーが勝利して、みんなでボロボロ泣くんだろう?

まあ、こんなもんだろうと思う。

これが、日本のドラマの標準的なレベルなんだろう。

サスペンスがテーマで、奇をてらった伏線回収とか、こっ恥ずかしいことをするよりはまだマシだが、それでも物足りない。

第10話(最終話)-「ファンファーレ」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

今までで一番面白いが、物足りない

最終話では、復活したファミリーと翔平が、有馬記念に出るために重賞レースを勝ち、何とか出走を勝ち取るも、椎名や椎名の息子の馬が行く手を阻む様子や、ラストには、有馬記念のその後のファミリーや耕一、栗須の様子などが描かれた。

今まで見た中ではまだ一番面白い話しで、レース展開が気になってしまい、結局勝てないという展開自体は悪くないが、よく分からないレース結果で、その後の終わり方はポジティブで悪くなかった。

栗須の振る舞いは、概ね自然で好感が持てなくはないが、レースで感傷的になるのは邪魔に感じた。

レースの見せ方自体に悪くない部分もあるが、特に感動出来る部分もなく、全体としては物足りなかった。

なぜなのか考えていきたい。

後がない序盤のレースは比較的悪くない

復活した翔平とファミリーだが、負けが続いていて、後がないジャパンカップで、何とか勝つ序盤のレース描写は、特に変な演出もなく悪くなかった。

今回は、まだレースが終わってもないのに、途中で感動的な音楽がかかる、というおマヌケさもなく、普通に見れた。

やっとレース自体普通の見せ方を出来たな、と思う。

その前で、負けが続いていて、落ち込んでいる耕一や野崎、栗須の様子も自然なので、期待感が煽られる。

レース前に耕一が椎名に、まるでうちが負けるような言い方ですね、ここで有馬を決めてみせます、と椎名に反論したのは、ちゃんと押し返していてとても良い。

耕一は、普段の振る舞いが自然なだけでなく、ハードな会話も出来る、自然のその奥がある、若いのに珍しく深みが感じられる稀有な俳優だと思う。

静かでも怒りが表現出来るし、影を出せるのも良い。

奥があるから、普段は余裕を持って自然に振る舞えるのか?とも思ったが、堺雅人は奥があっても、普段は不自然なことも多いので、そうとも限らない。

全ての若手俳優が、このくらいの味があって欲しいと思う。

レースが始まってから、ドゥンドゥンドゥンドゥン、という臨場感を煽る音楽がかかるが、いつもちょっとダサい。

ありきたりで単調で平凡だからか、その理由はハッキリ分からないが。

しかし、臨場感をあおることは確かなので、あっても良い。

レインボーキャンプが出てきた辺りで、馬関係者がざわついたり、途中で見ている者がしゃべるのは悪くない。

第4コーナーを過ぎて、ファミリーが前に出てきた時、ドゥンドゥンという音楽から、少しゆったりした壮大風な音楽に変わったが、これは、雰囲気を壊すような音楽ではない。

ファミリーが1位になり、ゴール前では、例の、笛の音から始まる、報われた様な壮大な音楽がかかり始めたが、これならまだ違和感はなく、映像とも合っている。

この音楽は、レースが終わってから勝った後に流すべきだろうが、このくらいのタイミングなら気にならない。

というか、この曲は、主題歌のイントロらしく、だから通して使われている所は違和感があるのか、と思った。
それでも切って使えば良いのに。

この曲は、落ち着いた笛の音のイントロの後に、激しいアップテンポの曲調にいきなり変わる。

通して使わなければならない契約なら、アップテンポ前に必ず笛の音が入るので、変な感じになるのは避けられない。

もしそうなら、全部自前で作ってしまえば良いのに、と思う。

笛の音の部分は、激しくないが結構濃いので、必ずしも場面とマッチしない。

今回は、変な使われ方はしていないので悪くない。

途中で馬関係者が応援したり、栗須が、させーと叫ぶ感じもあざとくなく、邪魔していない。

絶対勝たなければいけないという状況で、主要人物達のレース前の演技も悪くなく、レース自体も素直に見せているので、ちょっとだけ面白かった。

特に面白い訳ではないが、毎回のレースがこれくらいのクオリティであれば、まだ見ていられるドラマになったんじゃないかと思う。

ちなみに、ずっとそうだが、実況はプロのアナウンサーがやっていると思うが、淡々としてつまらない。

あざとくなっては元も子もないが、実際のレースで、劇的な勝ち方をした時は、実況からも興奮が伝わってきて、思わず聞き入り、より臨場感を掻き立てられるので、結構重要な要素だと思う。

実際の熱の入った実況と比べてしまうと、物足りなさは否めない。

レギュラーメンバーの一人として、プロの実況に頼むくらいした方が良い。

せめて古舘伊知郎とかじゃダメなのか?

彼がどの程度競馬実況を出来るのかは知らないが。

悪くない有馬記念のレース、よく分からないレース結果

肝心の有馬記念のレース自体も、見せ方は悪くなかったが、結末が今ひとつだった。

何とかファミリーは有馬記念に出走することが叶い、椎名の息子のソーパーフェクトや、椎名のレインボーキャンプとも闘わなければならない三つ巴の感じは良い。

どうなるのか分からない混戦の感じが期待を煽る。

ホープも入れたら四巴だ。

レース前に、馬の模型を使って、翔平や広中が作戦会議をしていたのも悪くない。

レース前には毎回この作戦会議を入れて欲しい。

あるとないとで、レースの盛り上がり方も変わる。

肝心のレースは、ソーパーフェクトとロイヤルファミリーの一騎打ちかと思われたが、そこを佐木が騎乗するビッグホープがまくって来た。

佐木が追い上げてくる前に、は〜という声と共に音楽がかかり、スローモーションで佐木の馬が映された。

この音楽は、感動とかではなく、不穏な雰囲気を醸してすぐにテンポの良いリズムに変わったので、特に邪魔ではなく、悪くはない。

それを見て、逃げて、と野崎が叫ぶ感じや、記者が席を飛び出して外まで見に来る感じなど、ハラハラ感は煽られる。

ビッグホープがまくってきた時、栗須が、社長、とつぶやいて涙ぐむ感じは臭かった。

結局山王と椎名が手を組んだビッグホープが勝ち、山王は間接的に有馬記念を獲ることが出来て、ファミリーは2位で終わったが、ファミリーが勝てなかった、という展開自体は良い。

てっきりこの有馬記念で勝つ、という予定調和だとばかり思っていたので、そういう意味で、良い方向には裏切られた。

光が見えかけたが、手が届かなくて終わる、という方がリアルだ。

もし、9話に予定調和感がなく、翔平にもそれなりに深みがあれば、もっと良い裏切りになったんじゃないか、と思う。

翔平は、栗須に強く言い返した時以外は全部棒読みで、まだ幼い子供にしか見えず、芯の強さや、強い雰囲気などがまるでないので、大分物足りない。

小学生の役ならこれで十分なんだろうが。

レースの結果を受けて、泣きながら笑う耕一の演技自体は悪くないが、これでもか、これでもダメか、というシビアな現実の壁に打ちひしがれる感じは、あまり表現出来ていない。

これで行けるぞ、行くんだ、という期待感がそもそもそこまで高まっていないので、行けなかった時のショックもあまりない。

耕一からは、勝ちたい気持ちは感じるが、翔平も軽いし、どっちかというと、みんなちょっとしたお祭り気分にも感じる。

それはもう壮行会からそうだ。

出れることにそこそこ満足している、和気あいあいとし過ぎ、というか。

レース前にも、もっと緊張感が伝わってくるくらいの雰囲気を、演技で出して欲しかった。

全員ガチガチである必要はないし、むしろ多弁になる人もいたりして、その振る舞いには違いがあって良いが。

レース前の、栗須の涙ぐみながらの演説も誰に言ってるのかよく分からず、ちょっとあざといし、効果的でない。

しっかり期待感を高めた上で裏切ったなら、耕一のこの演技も生きてきて、涙腺を刺激されたかもしれない。

そして栗須は、自分たちが負けて悔しい、というより、社長の馬がまくってきたことに感動してしまっていたし、どう見せたいのかよく分からない。

期待感マックスでせっかく山王悲願の有馬記念勝利に手がかかったのに、なぜか山王のビッグホープが勝ち、栗須は呆然としてしまっている、ならリアルで良かった。

栗須は呆れて、社長、何で邪魔するんですか?と怒りが湧いてくるが、最後にふっと笑うくらいの感じが欲しかった。

もしくは、ホープがまくってきてファミリーは負けそうになり、写真判定でギリギリでファミリーが勝ち、栗須が、社長ヒヤヒヤしましたよ、もう、と胸をなでおろす感じでも良かった。

そういった演技の描写もないし、どう思えば良いのかよく分からない。

なぜか耕一に立ちはだかってきた山王

山王は、椎名の提案に乗り、若者に立ちはだかる壁としてビッグホープを誕生させることを了承したが、本当に勝ってどうするんだ、と思う。

山王は間接的にしか関わっていないが、耕一に立ちはだかる、ということも含めて了承しているので、一体何がしたかったのか、よく分からない。

自分亡き後、自分がいないチームが有馬で勝った所で面白くはない、もしくは、自分のチームへのライバルがいれば、より面白い展開になる、という単純な遊び心か?

むしろ、自分のチームを出し抜いてビッグホープが勝ったら面白い、みんなビックリするだろう、ってか?

というか、山王はまだ一回も有馬記念で勝ったことがなく、チームで有馬で勝つことが第一目標だったんじゃないのか?

その達成前に、自分のチームを邪魔してどうするんだ?

勝てればチームじゃなくても、何でも良いのか?

数々のレースで勝ってきた椎名が、若者の壁になる、と言うのは分かるが、山王は椎名と同等ではない。

椎名は一流で、山王は一流になろうとしている二流だろう。

椎名に種付けを許可するだけならまだしも、自分がその馬をノリノリで命名するなんて、寄り道はなはだしい。

馬が好きで、人を信じて投資してきた、というより、ギャンブル狂に近いというか。

単純に、自分に関係する馬が1頭増えて嬉しい、程度なのか?

いずれにせよ、自分の首を自分で絞めているおバカさんじゃないか?

強い馬に勝ってこその有馬記念勝利に意味がある、ということか?

確かに勝つならそうであるべきだが、本来の山王の趣旨からはズレている気がする。

それが、本当に壁として立ちはだかってきたら、自分が栗須だったら、何だよ、自分達を勝たせたくないのか、今までの苦労は何だったんだ、と思う。

間接的でも、山王の馬がついに有馬記念で勝てて嬉しい、などとは思わない。

なので、椎名に、山王社長と約束した有馬記念勝利です、などと言われても、ポカンとしてしまった。

山王の本来の悲願は、自分の集めたチームで勝つことで、自分が見つけた馬の血統を継いだ馬で勝てれば良い訳じゃないだろう。

自分が栗須なら、こいつ何言ってんだ、何が約束だ、部外者が邪魔するな、と椎名に対しても腹が立つが、栗須は何も感じてなさそうだ。

むしろ感動しちゃってたので、変な反応だ。

もし、山王が耕一のチームをビックリさせるために椎名と手を組んだとしたら、栗須はその山王の意図通りに怒らなければ。

天国で舌をぺろっと出して見ているかもしれない山王に対して。

そもそも、ことあるごとに思い出して泣くほどの良い社長でもない。

ただでさえ山王の印象はマイナスなので、この山王の行動は深くもなく、よく分からない。

有馬記念勝利を目指して満身創痍で、満を持して臨んだが、それでも手が届かず、行く手を阻んだのは山王自身だった、という運命のいたずら的な劇的なことにしたいなら、要素が足りない。

感動している栗須の反応はトンチンカンだし、山王のノリノリの秘密の種付けはただの裏切りだ。

栗須は怒るべきだし、山王は、種付けを許可しただけで、命名もしておらず、まさかこの自分の行動が栗須を邪魔するとは全く思っていない、などにしなければならない。

なので、最終的にビッグホープが勝った、という結末は、展開も登場人物の演技も全てを総合して、なんじゃそりゃ、という感じである。

栗須の自然で良い部分と、邪魔な泣き顔

栗須の演技は、泣こうとしたり、レースでホープに感動していた以外は、変に力が入っておらず、概ね自然で悪くなかった。

不自然に泣こうしたり、感動しようとするのは、その自然さを帳消しにするほど邪魔ではあるが。

ファミリーに負けが続いて、有馬に出られるか不明の不穏な空気感を、イチョウ並木を呆然と歩く栗須の感じで表現されているのは良い。

有馬の前の崖っぷちのレースで応援し、勝って喜ぶ感じも悪くない。

ちょっと野崎へのハグが長い気がするが。

耕一と山王の家を後にして、栗須が耕一に、本当に良いんですね?と尋ね、耕一が、ファミリーは十分稼いだ、今が絶頂期で、後は有馬で勝つだけ、と言われて聞いてる時の顔も自然だし、その後、はい、という答え方も普通で良い。

例の、承知しました、もこのくらい抜けている方が良い。

椎名の息子が、耕一に、継承の奴隷になるな、親の後始末をするために生きている訳じゃない、ロイヤルもホープもファミリーも全部縛りだ、自由になれ、と熱く語り、それを横で聞いていた栗須から笑顔がなくなり、食べ物を口に入れて咀嚼しながら、聞こえないが小さくため息をつく感じがリアルで良い。

冒頭で、椎名に、種付けの真意を聞く時、栗須は、憎くて仕方がないとおっしゃった、あのロイヤルホープです、という言い方の抑揚のつけ方が、堺雅人インスパイアなんじゃないかと思った。

特に不自然じゃないからまだ良いが。

山王の墓の前で、今後の身の処し方について報告する時、最後まで馬を見守る仕事につきたいと思います、というちょっと後半早口の言い方、引退した競走馬を預かり〜、と酒を用意しながらしゃべる感じも、そう感じた。

真似して不自然になっている、訳ではないので邪魔ではないが、良い、というほど味はない。

もっと、栗須流の自然なしゃべり方はあるんじゃないかと思ってしまう。

この堺雅人インスパイア的な演技は、探せばいっぱいある。

レース前、ファミリーを前に思いを語るシーンはセリフっぽく、少しあざとかった。

栗須は、今心から実感しました、絶対に勝つんだって、勝つことでしか報われない時間がある、出来ることならここまでの時間全てに報いたい、と涙が込み上がってくる感じで言っていたが、自然ではない。

誰に言っているのか分からないし、無理に泣こうとしている感じがあり、冷める。

ちなみに、レース前にレインボーキャンプのジョッキーに椎名が声をかけた後、馬関係者らしき帽子でメガネのおじいさんもジョッキーに声をかけたが、リアルで良かった。

腕を組みながら、馬を信じて、乗ってこいよ、と言うのが、ちょっと上から言っているが、嫌な感じではなく、抜けていて自然で、馬主としての本物感があった。

初めて言ったとは思えない落ち着きぶりなので、多分本当の馬関係者なんじゃないか?

これがもしエキストラなら、すごい演技指導だと思う。

栗須は、レース終盤で涙ぐむのも邪魔だ。

終盤でホープが出て来て、社長、と言って涙ぐむ感じ、ゴール直前に栗須が泣きながらしゃべっているのが、臭かった。

残り20メートルくらいでホープが追い上げて来て、レースはスローになり、栗須が、社長、あなたの馬が、と言った後、またスローでレースが少し進み、残り5メートルくらいで、あなたの子供たちがここに、と泣きながらしゃべっていた。

レースに集中しろ、ファミリーを全力で応援しろ、と思う。

上述した通り、山王の悪ふざけ、いたずらだとするなら、この栗須の涙はお門違いで、怒らなければ。

ファミリーは負けたのに、写真判定で待っている時にもさらに泣いている感じもうっとうしい。

椎名が、僕も約束があったんです、社長に有馬を獲らせるという約束が、と言って栗須は泣き、椎名と握手しながらまた泣く、というふにゃふにゃ感が感動出来ない。

椎名の口車に乗せられた山王のせいで、山王の家族の前で、椎名に良い所を持っていかれたのに、悔しさの一つもないのか?

ここは、とにかく山王が買った馬の子供2頭が1位2位だから、もう感動して泣いちゃう、一辺倒か?

あまりに単純でつまらない、浅い振る舞いだ。

とにかく泣くことに集中すれば、成功するシーンだと思ってるんだろう。

椎名もちょっと泣きそうな感じもあったし、山王は、そんなに崇められるほどの人格者ではない。

ちなみに、ホープとファミリーという日高の血の馬が1位2位で、それを見ていた野崎の父親が、感動したのか、大きく口を空けて泣いている感じなのがあざとかった。

全然深くない、コントの演技だ。

レースの後、耕一と栗須が引退について話し、耕一が、僕を絶対に裏切らないで下さい、と言うと、栗須は、ちょっと間を空けて、承知しました、と言ったが、その言い方は変に力が入っておらず、自然で良かった。

いつもこのくらいの、承知しました、で良い。

その後、耕一は結局引退を撤回し、正式に馬主になり、ファミリーは快進撃を続け、ついに有馬記念を獲ることが出来た後日談が描かれた。

養老牧場で過ごす栗須に、耕一が会いに来る所で物語は終わり、ポジティブな終わり方で悪くない。

ちなみに、栗須がキャップをかぶって笑う顔は、思っていたより老けているように見えた。

髪の毛があると大分若く見えるものだな、とどうでもいいことを思った。

「ザ・ロイヤルファミリー」を見終えて

ようやく全て見終えたが、結構しんどかった。

このくらいの内容なら、もっと短くて7話、8話くらいでも良さそうだ。

特に激しく突飛な展開などもなく、全く面白くない訳でもないが、のめり込むほどでもない。

最終的なポジティブな終わり方は好感が持てるが、全体としては物足りない。

主要人物の栗須と山王の役者はポテンシャルはあるはずなのに、良さがあまり生かされていない。

せめて主人公の栗須の演じ方を変えてしまえば、少しは面白くなったんじゃないかとも思う。

しかし、栗須の演じ方は、ストーリーそのものでもあり、ストーリーも大きく変わってしまうので、そんなバラレルワールドは存在していない。

結局ストーリーを大きく変える、ということになる。

無理に泣こうなどとせずに、もっとナチュラルな振る舞いで、深い秘書感を見たかった。

山王も今まで述べてきた通り、全体として薄い人間描写で、後半の深みのある振る舞いで、前半の薄っぺらい印象をなしには出来ない。

耕一の役者は、存在感が大分良かったのに、もったいない。

若手でもこういう演じ方を出来る俳優がいることが分かっただけでも、見て良かったのかな、とは思う。

競馬というスポーツ自体にも、少し興味を持つことも出来た。

栗須が養老牧場を作り、レースに出た馬もそうでない馬も養う、という考えは良いが、レースに関わった馬全てを救えるものではなさそうだ。

多くの馬が余命を待たずに処分されるという現実に、メスを入れたというほど向き合った訳ではない。

その問題にちょっと触っただけで、JRAは今後大規模な養老牧場を作っていく気があるのかは、よく分からない。

何はともあれ、せっかくリアルな場所でロケをし、本物の馬もたくさん出ているのに、物語が煮詰まっていかないのはもったいない。

舞台がいくら整っていても、演技と人物描写でいくらでも良し悪しが変わる、ということを再確認させられた。

舞台は目に見えても、演技などはハッキリ見えづらいんだろう。

まあ、こんなものだろうと思う。

もっと役者も含めてみんなで話し合って、おかしい部分をつぶしていき、思うように行かないならすぐ撮り直すか、シーンそのものを変えてしまう、とか素直に細かくやればいいのに、と思う。

あらかじめ決めたものをそのままやれば面白くなるほど、まだ日本のドラマは成熟していないんじゃないか?

それは大筋のストーリーも、脚本も、演技も全て。

もっと面白くなるはずなのに、もったいない。

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