ザ・ロイヤルファミリー
テレビ局-TBS プロデューサー– 加藤章一
原作-早見和真 脚本-喜安浩平
演出– 塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介 音楽-横山克
監修– 大竹正博、川島信二
出演– 妻夫木聡、佐藤浩市、松本若菜、小泉孝太郎、黒木瞳、沢村一樹、津田健次郎、安藤政信、目黒蓮、他
ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」のあらすじ
1年前に父を亡くし、勤労意欲をなくしていた税理士の栗須は、ロイヤルという会社の競馬事業の経費を調べることになり、北海道に馬を見に行っていたロイヤルの社長、山王耕造の元を尋ねる。
栗須は、口の悪い山王に面食らいながらも、一緒に馬を見て回り、金の使い道を調査し、その後の役員会議で、経費は妥当な額を大きく超えたものである、と報告する。
怒る山王であったが、泣く泣く競馬事業は撤退することになり、10頭の馬は最悪処分される可能性もある、と聞いた栗須は、馬達を助けるために奔走するのだった
「第1話-ゲートイン」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
傷心の税理士が馬を通じて生きる力を取り戻していく話し
父親を亡くし、働く意欲をなくしていた税理士が、採算の合わない競馬事業を行っている会社を調べることになり、処分される馬を助けたことがきっかけで、生きがいを取り戻していく、様な話し。
主要人物の、馬を所有している人材派遣会社の社長が、口は悪いが粋で熱く、ナチュラルな振る舞いに魅力があるので、そこそこ見ていられる。
主人公の栗須がロイヤルヒューマンの会議に乗り込み、競馬事業の横領は社長ではなく秘書が行っていたことを暴く展開や、所有馬のロイヤルファイトがレースで後ろからまくってくるシーンは悪くない。
しかし、栗須の長回しの告白を聞いても、なぜそこまで栗須が落ち込んでいたのかよく分からず、全体を通して主人公の栗須をあまり好きにはなれなかった。
山王がなぜ競馬事業にここまでのめり込んでいるかも弱く、ドラマとして物足りなさを感じた。
なぜなのか考えていきたい。
栗栖が暗い理由は薄いし、引っ張りすぎ
栗須は冒頭で、上司から勤労意欲の低下を指摘され、その理由は父を亡くしたことだが、終盤になるまで明かされない。
時々父親らしき人の回想が入るので、父を亡くしたのか、もしくは家族を亡くしたのか、とも思ったが、明かされるまではハッキリとは分からなかった。
栗須は、終盤でロイヤルファイトのレースを見守り、牧場の人に深々と頭を下げられてから、父を亡くし、言うことを聞かずに帰らなかったことを後悔している、と、涙ながらに山王に語ったが、内容が弱いと思った。
自分が手に入れた立場や評価を捨てられず、父の元に帰らなかった、きっと父は自分の死期も悟って声をかけてきていた、と言っていたが、それだけか?
もっと、売り言葉に買い言葉で、父に酷い言葉をかけてしまい、それを謝ろうとした矢先に亡くなった、謝れずに別れてしまった、とか、ないのか?
人に感謝されるような人間になるんだ、という父の口癖に対して、そんな人間にはなれない、ただのきれいごとだ、と言ってしまったとか、栗須が今も心に引っ掛かっている具体的な描写を提示して欲しかった。
そんなやり取りは特にしていないのか?
それなら、ここまで引っ張ることか?とも思う。
そんなやり取りがなくても、父が唐突に亡くなったら、長い期間引きずる人ももちろんいるだろうから、必ずしも不自然ではないが、その親子の関係性が明確に提示されていなければ、ぐっとはこない。
仲が良かったのか、険悪だったのか、でも変わってくる。
そういう感情的な情報もなく、父が死ぬ前に帰れば良かった、と言われても、だからこんなにローテンションで1年も引きずっているのか、と腑には全く落ちない。
立場や評価を捨てられなかった、というのは何も悪いことではなく、若いならなおさら、それを捨てて帰ろうとは思わない。
仮に、父親と働く方が給料が下がるとしたら、給料が下がった上に、父親もいる職場に行きたいなど、普通は思う訳がない。
だから、この栗須の反省は、実際には悪意などなく、たまたまそうなっただけなのに、自分は悪いやつだ、と無理矢理思おうとしている人間の反省で、弱い。
リアルにこういう人間も存在しているとは思うが、存在しているからリアルと仮定しても、この話が面白くなるには、これだけではまだ足りない。
栗須が1年も引きずるためには、もっと具体的で明確な出来事が欲しかった。
シンプルに喧嘩別れした、ことにした方が、見ているこっちも涙腺を刺激された、と思う。
栗須がローテンションの理由が、引っ張るだけ引っ張ってこれだったので、そうなのか、としかならなかった。
これなら、冒頭で、お父さんが亡くなって悲しいのは分かるけど、もう1年だよ?しっかりしないと、とか、上司にいきなり言われる方がまだ良かったんじゃないか?
それなら、だからこんな感じなんだ、と最初から興味を持って見ることが出来た。
シンプルに、父をなくして働く意欲をなくした青年が、実際の馬に接したり、レースの熱気を体験して元気を取り戻していく、というストーリーの方がよっぽど面白い。
それでも、理由は普通なので、終盤の長回しも物足りなさがあるだろうが、隠して隠して、期待感を煽るよりはマシだろう。
布石とか、伏線回収とかに憧れて、ついつい隠してしまうのか?
そもそも隠すような種類の謎じゃない。
もっと素直に見せればよほど良いのに。
栗須の告白の長回しの演技自体も、自然に思わず言ってしまった、という感じではなく、なんか長いセリフを言い始めた、という感じで、引きつけられはしなかった。
この感じなら、とんでもない真相が隠されていなければ補えないが、上述した通り、内容は見合っていない。
物足りない栗須の演技や告発
栗須は山王の経費の使い道を報告し、山王が馬を手放すことになった後、所有馬10頭が最悪処分されることになると分かり、イザーニャとファイトの牧場に足を運んでいた。
そこで山王が馬を買い取った話を牧場主から聞いた後、イザーニャを撫でながら、名前を呼び涙ぐんでいたが、なぜなのかよく分からなかった。
この時点では栗須に何があったのか、まだ明かされていないし、明かされた後に振り返ってもよく分からない。
イザーニャが処分されることに思いを馳せたのか、父の、人に感謝される仕事をするんだ、という言葉を思い出して情けなくなったのか、単純に父が亡くなり、精神的に弱まっていただけなのか。
父が亡くなり、精神的に落ち込み、自分を取り巻く世界への興味を失っていたが、さすがに馬を処分する運命は受け入れられなかった、としても、泣く必要はない。
神妙な顔でイザーニャを撫でるくらいで良い。
名前を口に出すのも、作為的だ。
泣いてしまう、という情報が、より終盤の栗須の告白を跳ね上がらせない、余計な振りになってしまっていると思う。
告白を聞いて、だから泣いてたんだ、ともならない。
その後、栗須は山王の元を訪れ、馬を守るために、経費を全て調べさせて欲しい、と直談判するが、その理由がよく分からなかった。
なぜそこまでするんだよ?と聞く山王に、ここで終わらせたくない、そう思ったからですと言っていたが、どういうことだ?
終わらせたくない、って馬の命のことなんだろうが、それも含んだ事業のことにも聞こえるし、曖昧で分かりづらい。
答えているようで、答えになってない。
山王も、何を終わらせたくないんだ?馬か?先生には関係ないことだろう?とか聞かないのか?
自分のせいでまさか馬が処分されるかもしれないとは思わなかった、馬の命は奪いたくない、イザーニャを好きになってしまった、ということだろう?
じゃあそう言えば良い。
もしくは、シンプルに動物が好きとか、そういう理由が知りたいのに、ふんわりしか言わなかったのが、物足りない。
少し格好つけているセリフでもあるし、言い方もちょっと強く言っている感じが、真面目ぶっている臭さがあり、スッと入ってこない。
この役者のクセなのかもしれないが、こういう力を込めた言い方は、ちょっと浮いてしまうので、合っている場面でない限り、やめた方が良い思う。
体育会系の先輩に媚びる、真面目ぶった後輩のしゃべり方のような。
それは見せかけの真面目で、本当の真面目ではない。
これこそ、もっとロートーンで言えばいいんじゃないか?
無理に、ちゃんと言ってますよ、感を出すのは自然から離れてしまう。
あざといってほどではないが、違和感が残る演じ方だ。
栗須は、その後何とか馬たちを救えないか、もう一度調べ直し、それにより秘書が横領していることが発覚し、それを役員の会議で告発した。
栗須が息を切らしながら会議場に乗り込んで来て、秘書の横領を告発する様は、面白い展開であるが、演技自体はあまり自然に感じられず、今ひとつだった。
ゼーハーしながら、力を込めてしゃべる感じが演技っぽいので、もっと抑えて淡々とした方がリアルだ。
これは、横領です、という強い感じの言い方も、ヒステリックっぽい感じでちょっと薄いし、浮いている。
栗須の説明で横領というのは明らかなのに、わざわざ、これは、で切って、横領です、と強く言うのが効果的でない。
内容のないセリフで決めに言ったような感じで、なんかスッキリしない。
山王側の役員から怒号が飛び交い、早く話せよ、邪魔だ、出てけ、などの言葉の圧をかいくぐって、これは横領です、と怒鳴るならまだ分かるが、そうではない。
さもすごいことを見つけました、的なしゃべりにリアル感はなく、逆効果だ。
徹夜で調べて、告発内容に自信があるなら、肩で息をしながらも、もっと落ち着いて淡々とした方がリアルだし、栗須に合っているんじゃないか?
むしろ、声が小さく、手が震えているくらいでも良いし、それは格好悪いことじゃない。
この一連の演技は、横領は大ごとだから、力を込めてしゃべろう、という短絡的な考えから来る、素人的発想の演技に見える。
それにしてはあざとくはない方だが、あまり感じるものはない。
日本のドラマって、面白くなりそうでも、こんなちょっとズレた演技はよく見かけるので、この作品に限ったことではない。
大きくあざといならまだ分かりやすいが、ちょっとのズレだから、みんなドラマってこんなものだと思うし、理由もわからず、何となく心躍る所まではいかずに終わる。
日本のトップ俳優の演技の中にもあるんだから、そりゃ、これがドラマだと思うだろう。
でも、栗須の役者は違和感を感じているのに、もっと怒りを出して、激しく息をしながら、とか監督から指示が入っていたとしたら、不憫だ。
栗須は正義感が強い人物なのかもしれないが、必ずしも強い言い方をしなければいけない訳でない。
静かだがしつこく言い続けるのだって怒ってるのは伝わるし、相手が威圧してねじ伏せようとしてきた時に、強く言い返せば良い。
その役者の本質に合った闘い方をすれば良い訳で、出来ないことは無理にやらなくて良いし、逆に違和感が残る。
このシーンでも、もっと栗須に合った演じ方をして欲しかった。
ロイヤルファイトは善戦したが、あまり跳ね上がらなかった
栗須と山王が一緒にレースを見守り、ロイヤルファイトが追い上げていく展開自体は悪くない。
山王が、まだだぞ、と言ったり、行けーと叫ぶ感じも悪くはない。
しかし、先頭が最終コーナーを回り、残り400メートルくらいになったところで、まだロイヤルファイトは10番手くらいなのに、もう感動的な音楽がかかかりっぱなしなのが冷めてしまった。
息を飲む展開で、まだ分からないのに、早すぎて臭い。
レースが主体なんだから、そこをまず見させて、音楽は添える程度で良いのに。
音楽はなくても良いと思うが、入れたいなら、せめて追い上げ始めた6番手から3番手に上がる、ごぼう抜きを始めたあたりで、入れれば良いんじゃないか?
白熱した実況とリンクもしておらず、先走った音楽が邪魔に感じた。
そして、ロイヤルファイトのステータスや山王がロイヤルファイトに入れ込む理由が不明で、勝っても負けても良い状況では、善戦した所でどう思えば良いのか分からない。
ロイヤルファイトの戦績、癖や性格、他の馬と違うトレーニングをやっているのか否か、などの情報はほぼ皆無だ。
強くはないんだろうが、全く勝てない訳でもなさそうで、ボンヤリしている。
父親は重賞レースを獲っている、一度処分されそうになった、あんまり勝ってない、くらいの薄い情報しかない。
全く勝てる見込みがほぼない大穴がまくってきたら、競馬を見に来ている客は驚き混じりの声援になるだろうし、ポテンシャルはあるが今まで勝ったことがなく、苦労してきた馬が本領発揮したら、前のめりに応援する感じになるだろうし、情報によって客の反応も、栗須や山王の反応も変わるので、結構重要だと思う。
そして、山王がどれだけ心血を注いできたのか、会社を潰しかけてまでロイヤルファイトに入れ込む理由もまだ描かれていないので、やっと山王の努力が報われた、という嬉しさもない。
そもそも、ここで勝っても負けてもいいんだろう?
ここで勝てなかったらもう競馬事業は廃止で、ロイヤルファイトを手放さなければならず、後がない、という縛りがあった方が良かった。
それなら、山王や栗須も自然と激しい声援になるし、こっちも思わず見守ってしまう。
勝てなきゃ終わりで、1位になりかけたが2位で、落ち込む山王と栗須だったが、レースを見ていた息子も息を呑んでしまい、心動かされてしぶしぶ事業継続を決めた、とかなら、ドラマチックで面白かった。
そこら辺の、リアルに沸き立つ興奮は特に感じられなかったので、せっかく本当の競馬場でリアルな馬もたくさん出してレースを作っているにも関わらず、物足りなさを感じた。
山王の振る舞いは粋な部分がある
栗須が出会った、採算の合わない競馬事業を続ける人材派遣会社の社長の山王は、その振る舞いや存在感に味があり、悪くない。
儲けよりもその馬の裏側にいる人間に投資するなど、一見口は悪いが、昔気質な熱い性格で、飾らない振る舞いも好感が持てる。
長いセリフなど、セリフっぽい感じがなくはないが、会話のリアル感が感じられるしゃべりが多くて良い。
山王が馬を買い付けに牧場を回って2頭の子馬の兄妹(姉弟?)を見つけた時、その子馬の親イザーニャは、牧場主の亡くなった息子が9年前に名付けたと知る。
メス馬の方は体が弱く、走れるか分からないと告げられるが、山王は破格の3000万で2頭の買い取りを決め、種馬を見つけて息子の意思を受け継ぎ、イザーニャの血統を守っていく、と牧場主に伝えるシーンは格好良い。
健康な1頭だけでなく、足の悪いメス馬も買い取り、責任を背負う感じは男気がある。
悪く言えばカッコつけではある。
こんなことばかりしているから、想定外のお金がかかり、会社がひっ迫していくんだろうと思うが、これも山王の味で、良さでもある。
その後、牧場主が顔を震わせて、深々と頭を下げる様は、大分あざとくてうっとうしかったが。
無理矢理泣こうとしているうわべの顔芸だった。
コントの演技みたいだ。
せっかく山王の性格が表れている象徴的な行動を見せる良い機会なのに、臭くなってしまっていて、邪魔だった。
もっと抑えて自然にやって欲しかった。
会社の会議で、競馬事業は採算が取れてない、と息子に詰められると、山王は、数字ばかりで先が見えてない、入社試験からやり直せ、と言い放つ頑固な感じが味があって良い。
馬を車と勘違いしてるんじゃないか、乗り物じゃない、おもちゃじゃない、などと、よく分からないことを熱弁していて、今では半分パワハラとされる発言だが、こんな曖昧なことを強く言ってしまう感じも、熱血社長感が表れていて良い。
採算が取れず赤字続きの事業を続け、先が見えてないのはお前だろ、と社員全員内心思っている感じで、こりゃ話しにならないな、という面倒くささがリアルで良い。
それでも、上記の様に牧場主の気持ちを汲んだ売買をしたり、行く当てのない栗須を雇ったり、人情に熱い感じが好感が持てるので、ダメとも言い切れない。
栗須の告発で、秘書が横領していることが判明した時、山王が秘書を見て怒るのではなく、涙ぐんでいた感じが深くて良い。
長年一緒に馬を見て回り、苦楽を共にした仲間が裏切ったんだから、怒るのを通り越してしまったんだろう。
栗須と北海道で焼肉を食べていた時、山王は、馬はやんの?と栗須に聞き、何のことか分からない栗須に、競馬はやんの?と、ちょっとイラッとした感じで、ゆっくり言い直す感じなど、自然でとても良い。
うちに来るかい?と栗須を誘う時も然り。
終盤で栗須が父親のことを告白した後も、俺に言うなよ、とちょっと吐き捨てるような感じで言うが、その後すぐに、親父さんに言えよ、と粋なことを言う。
一見怖い様に感じるが、一緒にいると、むしろ普通の人より良い人で、ただ飾ってないだけなんだ、と魅力を感じる、こういう大人は味がある。
時代的にも、こういう人間は減ってきてるんじゃないかと思う。
山王ほど人間味がない人が、外側の振る舞いだけ真似ても、そのまま嫌な人に見えるだけなので、危険ではあるが。
今の所栗須よりも存在感があり、主人公の栗須の相棒として、ドラマが面白くなり得る深みが、その振る舞い自体にはある。
山王がなぜ馬にこだわるのかよく分からない
ただ、上述した通り、なぜ山王がそこまでロイヤルファイトに、競馬事業に入れ込んでいるのかがよく分からないので、会社の金を使って真剣に道楽をやっている感じではある。
そりゃ、家族から白い目で見られるのは当然だろう。
社員も、実際接すると良いおじさんだけど、競馬事業で赤字を出してる、会社の金で馬を追って全国を飛び回ってる、と聞いたら、その金で時給上げてくれ、と思うかもしれない。
秘書の横領発覚の後、山王は、副業の飲食と競馬事業を洗い直す、場合によっては撤退、うちは人材派遣会社で、うまい食堂より人材だろ?と言っていたが、じゃあ早い馬より人材ですね?と誰か言ってやれと思う。
競馬事業の余波を受けたら、飲食部門の社員はたまったもんじゃない。
洗い直すと言っていたけど、馬を半分に減らす、などの具体的な策を講じた訳でもなさそうなので、結局そのまま競馬事業は続ける、ということだろう?
グズグズじゃないか。
10頭も飼っているって維持費がすごそうだ。
競馬事業で成功すると、社会的名誉やスポンサー料などが舞い込み、とんでもない見返りがあるのか?
自分のためではなく、会社のため、家族や社員のためにやっているのか?
結果的にそうなったとしても、本質的には、男のロマンを追っている、莫大な金と時間を使ったギャンブルをやり続けている様に見える。
何か大きな目的のために、というよりは、夢を追い続けること自体が目的であるかのような。
馬を見るのではなく、その裏にいる人間を見る、などと良いことを言っているが、なぜ競馬事業をここまでゴリ押しで続けてきたのか、よく分からない。
終盤の新潟の競馬場で、山王は栗須に、馬に関わる人間と馬が一体になる瞬間があり、それを味わったらやめられない、億の赤字も忘れる、と言っていたが、それが理由か?
もしそうならただのジャンキーだ。
これは冗談半分で言っていたとしても、本当の理由は他にあるのか?
前に誰も走ってない気持ち良さを馬に味あわせたいから?
有馬記念に出て勝つのが夢だから?
聞けば聞くほど、道楽でやっているようにしか思えない。
どうやって応援すれば良いんだ?
栗須に、偉そうに夢はあるのか?と聞いていたくせに、自分はボンヤリした夢しかない。
馬を勝たせるその先に何があるのか、もっと具体的に語って欲しかった。
そんなもんねぇよ、分かんないか?浪漫があるだろ、とか言われそうだ。
ロイヤルファイトにまだ誰も気づいていない、他の馬にない傑出した才能を見出したから、という訳でもなさそうだ。
牧場主の息子の遺志を継いで、イザーニャの血統を受け継いでいくと約束してしまったから?
その前から競馬事業はやっていた訳だろう?
事業の廃止を求める会社役員に、もう少しだけ待ってくれ、ファイトは力をつけてきてる、次のレースで勝てなかったら諦める、などという強い気持ちの直談判もしていない。
栗須によって秘書の不正が明らかになり、赤字の原因が分かったから事実上もう事業は続けられる、としたらゆるい。
それでも、今までの監督責任を取ってこのレースで行く末を決めろ、くらいに息子には山王を追い込んで欲しかった。
なので、山王の振る舞い自体は味があっても、やっていることが道楽の域を越えてこないので、この先競馬で成功しようがしまいが、あまり興味をそそられない。
やらざるを得ない訳でもない、成金の暇つぶしというか。
せめて、山王がいかに社員に慕われ、働きやすい職場にし、社員を守ることに必死になっている良い社長だが、競馬だけは玉にキズだ、というような人物描写にして欲しかった。
例えば、偉そうに部下に説教している上司を見かけて一喝するとか、子供が生まれた平社員に手厚いケアをして、シフトも変えさせて働きやすくするとか、分からないが、みんなが社長を好きになっている、というような描写を何個も入れて欲しかった。
そうであればまだ応援できたのに。
実際の馬も出てくるが、ドラマが薄い
このドラマでは、実際の馬や競馬場も使い、お金も労力もかけて撮影しているが、1話はドラマ的には物足りない。
栗須が暗い理由も引っ張り過ぎだし、山王の人物描写もまだ薄い。
栗須は、上述した通り、真面目ぶる様な演じ方に違和感がある。
山王は、もっと時間をかけても良いから、良い人柄が分かる様な描写をもっと入れるべきだった。
山王は半分主人公みたいなものなんだから、これからずっと続く競馬の話の軸として、応援したくなるような人間に仕立て上げるべきだった。
山王の振る舞い自体には味があるし、演技的に2人とも変なあざとさもなく、話によっては面白くなり得るポテンシャルは十分あると思う。
しかし、ドラマの導入の話としては弱く、心つかまれるシーンも特になく、これからの話に対する期待感も感じられなかった。
これから馬が育っていき、有馬記念に出場することになるのか?
栗須の息子だか何だか分からないが、若い眼鏡の青年も出ていたが、これから世代を受け継いで、馬の物語が語られていくのか?
競馬は賭け事で、血統を受け継いで勝っていくことなど、浪漫があるスポーツであるとよく言われているが、第一話に、そんなロマンチックさを感じさせ、競馬に興味がない人も惹きつけるほどのパワーはない。
しっかりドラマを作ろうという真摯さは感じるし、主要人物2人も日本のトップ俳優だが、まだこの程度なのか、と思う。
オマケ:競馬界の抱える闇
ちなみに、競走馬は引退したら9割近くが天寿を全うする前に殺処分され、主に動物用の肥料などになり、その数は年間7000頭に上るそうで、ビックリした。
馬の寿命は30年ほどで、競走馬は5歳くらいで引退するそうで、余生の方がはるかに長い。
しかし、膨大な数の馬を養う牧場や飼育場は少なすぎて補えず、かなりのエサ代がかかることも考えると、余生を待たずに殺処分し、肥料にする方が手っ取り早く、経済的なんだそうだ。
クラウドファンディングで、引退した競走馬を守ろう、という活動も見受けられるが、まだまだ追いついていない。
人間の都合で交配されられ、レースが終わったら処分される、という残酷なシステムの上に成り立っている競馬というスポーツは、まさに人間が生物の頂点であることを知らしめる究極のスポーツである、とも言える。
もっと言えば、これほど人間のエゴが渦巻まいたスポーツは他にはない。
動物園すら世界で縮小傾向の昨今では、今後はなくなっていく可能性も否定できない。
そういう裏事情を知ってしまうと、一口に浪漫で片付けて良いものか、と疑問が残る。
馬の命の儚さも含めて浪漫ということか?
ロイヤルの所有馬10頭は栗須の調査のおかげで救うことが出来たが、もっと大きな問題が裏にはある。
そういう現実を、視聴者にちゃんと伝えた上でもなお、競馬は面白いんだ、と示そうとした訳では今の所ない。
まだ第一話だが。
今後の話で触れられるかは分からないが、せっかく描くのであれば、表向きの浪漫だけでなく、そういう現実問題も取り上げた上で描いてくれれば、より深い話になるんじゃないかと思う。
JRA全面協力で、そんな展開になるわけないか。
山王も、馬をレースに出して稼ぐだけでなく、牧場を作ったり、馬の処遇についても改善していく活動などもしていれば格好良いが、ただ遊んでいるだけの様にも見える。
本当に解決するなら、そもそも牧場の土地などもないので、競馬産業自体を極端に縮小するか、スペインの闘牛の様に廃止の方向に向かうしかない気もする。
そうでなければ、牧場を作りまくり、日本のそこら中に馬牧場があって触れ合える馬大国になったり、馬車を復活させたり、人が走る競人にするなど、どれも非現実な案ばかりしか思い付かない。
そういう、光だけでない競馬産業の闇を吹き飛ばすほど、熱く、心揺さぶられる人間と馬のドラマを見せて欲しいが、あまり期待は出来なさそうだ。
第2話-「逃げ馬」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
調教師探しとイザーニャの活躍
第2話では、山王が息子から、中央競馬界で1勝できなければ、競馬事業を撤退することを迫られ、栗須はロイヤルとイザーニャの調教師探しに奔走し、新たな調教師の方針でイザーニャを芝で走らせ、見事に勝利することが出来た。
競走馬がいかにトレーニングされてレースに出るのかなど、実際の施設や厩舎を使った描写は興味をひくし、初めてファイトとイザーニャの性格も明かされ、今までの方針を調教師が大胆に変更し、それが的中する展開も悪くない。
第一話よりは面白かったが、イザーニャが勝ったことがすごいことなのかよくわからないし、山王はパワハラ度が倍増していたし、栗須の存在感も弱いので、全体としては物足りなかった。
なぜなのか考えていきたい。
リアル風な馬の調教シーン、あまりクセのない広中調教師
山王が調教師とケンカしたことで、栗須は新たな調教師探しに奔走し、〜のつてを使って何とかイザーニャとファイトを受け入れてくれる厩舎を見つけることが出来た。
新しい厩舎で、調教師達がイザーニャとファイトを、毎日細かく状態を見ながら、トレーニングやエサの量などを調整して仕上げていく様は興味を引く。
専門用語が飛び交って何を言ってるのか分からないことも多かったが。
実際の厩舎で、馬も使ってロケをしている感じも良い。
途中で蹄鉄を直しているメガネの男性がいて、調教師に、〜さんお願いします、と言われ、はーいと返事して作業していたが、そのほぼ演じてない感じと、鮮やかな蹄鉄さばきは、完全に本物の職人なんだろうと思う。
その感じに比べたら、他の厩舎の人達の振る舞いは、役者が演じている感じに見えるので、そこまでリアルではない。
こうやるんだ、とあらかじめ台本で決まったことを各々やっている、という感じで、舞台がリアルでも、本物感を感じて引き付けられはしなかった。
特にあざとい人とかはいなかったが。
それ以上リアルを追求するには、もう常軌を逸した世界に足を踏み入れることになるので、まあ普通のドラマはこんなもんだろうと思う。
ファイトとイザーニャを担当することになった広中調教師は、野崎に、変わった人だよ、と言われていたが、真面目で熱意のある、物腰も柔らかい普通の人だった。
何が変わっているのかよく分からない。
変わった人、というのは、腕は確かだけど、人当たりがキツくて面食らうとか、何かしらの欠陥人間である、という様なマイナスの意味合いが大きい気がするが、そんな感じはない。
イザーニャとファイトの主戦場を入れ替えるという考えは大胆だが、筋が通っているし、血統をよく調べるのも普通のことだろう。
山王が言っていたようにいわゆるイケメン感は残っていて、それなりに笑顔も振りまける爽やかさもある。
強いて言えば、ちょっとぬぼっとした雰囲気があり、物をよく失くすくらいで、変人感が足りず、普通で物足りない。
帽子を取った髪はパーマっぽくてオシャレだし、外見に無頓着なんだ、という感じもない。
いつも無表情で笑わないとか、必要以上の言葉がなく、いつも怒っている様に見えるとか、怒る山王に、じゃあ勝てないんでうちでは無理です、勝てない馬を預かる気はないので、と言ってしまう忖度のなさとか、もっとクセの強い感じが欲しい。
栗須との話し方も普通だし、山王にもちゃんと分からせようとしていたり、コミュニケーションに難があるわけでもないので普通だ。
別に普通でも良いんだろうが、変わっている方が面白いし、せっかくそうするなら、もっとやりようがあるだろうと思う。
よく忘れ物をするくらいでは全然足りない。
薄っぺらい成金の山王
山王は、1話ではパワハラ感もあるがまだ良い社長風だったが、2話では完全なパワハラ社長で、薄っぺらい成金のムカつく社長だった。
人格ちょっと変わってないか?
栗須が何か意見するたびに、生意気な、と吐き捨てるように言うのがムカつく。
ここまで嫌なやつだったか?
冒頭の、山王の豪邸に栗須が招待され、山王に悪態をつかれながら、ツンケンした家族と食事をする感じなど、自分が栗須だったら地獄だ。
こういう人間ほど、表面的には家族を大事にする儀式を重んじる節があり、栗須は奇妙な世界に迷い込んでしまった。
山王も居心地は悪そうだったが。
家は庭付きの豪邸で、執事が何人もいて、専属シェフもいて、高い時計を栗須に渡し、運転手付きの車で家まで送らせるなんて、とんでもない金持ちだ。
広中調教師に出会った時、若いしイケメンって言われるでしょ、とサングラスをかけて笑いながら指差す感じは、アホにしか見えなかった。
その後の広中への怒り方も節操がなくてしょうもないし、ずっと薄っぺらい。
こりゃ家族のみならず、全員に嫌われて当然だ。
1話よりはるかに酷い。
きっと、下の社員のことなんて何も考えていない、競馬が楽しくてやってるだけのアホ社長なんだろうな、と思ってしまった。
なぜここまで競馬に入れ込んでいるのか、という深い理由なんてない。
病みつきになって、赤字になって、今さらやめられないからやっているだけだ。
人情に熱い、というのも、本当にそういう部分はあったとしても、取ってつけたような物で、マイナス面を補い切れていない。
それでも当の本人は、自分のことを良い人間だ、と誇っていそうな裸の王様だ。
これが山王の本質なら、もっと第一話からこの薄っぺらさを爆発させて欲しかった。
第一話って、主要人物がどんな人間なのか、名刺代わりに突きつけるためにあるんじゃないのか?
第二話で、ようやく本当の人格が出てくるとしたら、ずいぶんスロースターターだ。
成金のアホ社長と、真面目で正義感のある税理士というコンビなら、それはそれで面白くなり得るかもしれない。
しかし、山王に深さはないので、山王も成長しなければ、これから所有馬が好成績を残していった所で、感動なんてない。
むしろ、成功しそうになるが失敗し、を繰り返し、良いところまでは行くが、最終的にはとんでもなく破綻する方が面白い。
結局栗須に裏切られるとか。
嫌な成金がより大金を手にすることに、一体何の面白味があるんだ?
社員に好かれる良い社長だけど、競馬だけはうまくいってなかったが、栗須とのタッグで成功する、競馬に入れ込むのも実は深い理由があった、などという方向であれば感動出来そうだが、もうそっちは無理だ。
こんな人間が、このくらいの年から成長するなんて、よほどのことがない限り無理なので、急に良い人になっても不自然だし、どう成長するのかはよく分からない。
見た目より意外に若い設定だとしても、50は過ぎてるだろう。
栗須がもっと成長していき、山王を猛獣使いのようにコントロール出来る様になっていき、山王も栗須の影響を受けて人が変わっていく、とかしかない。
コンビとして成長していく、という様な。
そもそも山王の成長などが主題でもなく、ファイトやイザーニャをはじめ、今まで勝てなかった所有馬が栗須や調教師の尽力により、いかに勝ち上がっていくか、ということを見せたいのか?
それはそれで悪くはないが、山王も変わっていかねば、人間も含めたドラマとしては、熱いものにはならないと思う。
栗須や調教師が頑張っただけだ。
馬が勝ちを重ねてきて、山王が優しくなって来たとしても、それはうまくいっているから機嫌が良いだけで、根本から変わった訳ではない。
やっと長年の山王の努力が報われた、という山王の深い人間味から来る感動などにはならない。
山王の成長を期待したいが、成長せずにこのまま行くとしても、このダメ社長がどうなっていくのかは見守っていきたい、とは思う。
ダメ社長ならダメ社長で、ブレずにこのまま行って欲しい。
1話から2話へも人が変わってしまっているし、途中で急に人格者っぽくなられても入ってこないので、もし山王が変わるなら、ちゃんと栗須とぶつかったり、それなりの出来事を経た上で変わって欲しい。
これは15年前の過去が舞台だから、まだ尖ってる頃の山王なのか?
山王を演じている佐藤浩市は、役者として深みがある印象があるが、こんなアホ社長を演じられるのはすごい。
素は絶対こんな人じゃないのに、演じているのを越した薄っぺらさで、本当にこんな人なんじゃないか、と思わすリアル感がある。
一体何の得があって引き受けたのか、というくらい、2話の山王は薄っぺらいので、これはこれで魂の演技なのかもしれない。
応援出来ないとか、感動出来そうにない、などということは置いておいて、これはこれで見物ではある。
栗須の説得はキレただけだった
広中調教師が山王へのレースの方針転換を説明し、激昂して帰ろうとする山王を栗須が車内で説得するシーンがあったが、栗須の怒り方が浅くて、少し物足りなかった。
感情を込めて怒ろう怒ろうとしているのが裏目に出ている。
怒っている風の演技をしているだけで、本当に説得しようとしている様には見えなかった。
本当に怒っているから、あえて抑え気味で諭す、という味のある説得ではない。
これがこの役者にとってのリアルな怒り方だったとしても、ちょっと薄い。
怒り慣れてない人がキレた、みたいな違和感がある。
誰も言わなかったことを言ってくれたんですよ、勝てるって、という、相手にぶつける感じの怒り方は自然で良い。
その後、じゃあ何でもギャンブルです、とさらに怒る一連の感じが薄い。
自分が転職したのだって、社長が馬主になったのだって、全部ギャンブルです、と言っていたが、特に2回目のギャンブルという言葉の言い方は、無理に強く言おうとしている感じがあざとい。
そもそも説得しようとしてるんだから、こんな言い方をしてはダメだ。
それなら全部ギャンブルですよ?と優しく言ったって十分伝わるだろう。
この一連のしゃべりは、感情を込めようとしているが、表面上だけで、いまいちガツンとこない。
その後の、だったら私は人で決めたい、というセリフも、会話感がなく、独り言を強く言っている感じでリアルではない。
タメ口になっているし。
説得してるんだから、私も人で決めたいです、社長の様に、などと分かりやすく会話にして、サラッと言う方が良い。
そもそも、人で決めたいって山王の言葉だろう?
何で自分の言葉みたいに言ってるんだ?
振り返って、賭けて下さい、この私に、と言う感じも、ヒステリックな感じで、本当にお願いしているようには見えずに、薄い。
キレちゃって、山王にただ強く言っただけだ。
その後に、お願いします、無礼をお許し下さい、などと頭を下げるのがセットになっているならまだ分かるが、そうではない。
なので、じゃあ何でもギャンブルです、以降のしゃべりは、もっと抑えて淡々と言ったほうがリアルで良かった。
誰も言わないことを言ってくれたんですよ〜、というセリフ以外は作り物感がある。
それは、誰も言わないことを〜のセリフが一番感情が込めやすい、言いたくなる明快なセリフだから、当然と言えば当然だ。
賭けて下さい、この私に、なんて、大分薄くて物足りないセリフだ。
リアルな会話で、この言葉が急に出てくるはずがない。
ちょっとキザだし、ナチュラルじゃない。
1話でも言っていたから、これは決めゼリフか?この私ってどの私だ?
長年連れ添った、お互いよく知っているお爺さん執事が、うんと言わせるために、あえて言うならわかるが、栗須はそうではない。
普通に、今回は私に賭けて下さい、お願いします、などという方がよほど自然だ。
何でわざわざ短くして、言いづらいセリフにしたんだろう?
その前の、だったら私は人で決めたい、というセリフも、しかり。
もしかしたら、栗須の役者は大分頑張った方なのか?
言いづらいならセリフを変えてもらわないといけないが、脚本家が山王みたいに怒るのか?
セリフがいまいちでも、演じ方でもう少しリアルに出来るはずだ。
演じ方も指定されているのか?
その後、山王が、じゃあ俺に分かるように説明させろよ、マネージャーだろ、と詰める感じは本当に怒っている感があるし、山王らしくて良かったが。
イザーニャの芝転向の勝利はすごいか分からない、説明不足の競馬の中身
レースに出る馬は馬主が牧場で買い付け、育てた馬でなければならず、そこからレースに出るためには、さらにトレーニングを積み、狭き門をくぐる必要がある、というのは知らなかった。
では、レースに出れている時点で、イザーニャもファイトも、一応選ばれたエリートの一員ということなんだろう。
誰がそこまでして馬主になるのか、というくらい、リスクがあまりに大きい。
1人前になって戦えるまでに、すでにとんでもない時間とお金がかかっている。
そりゃ、どっちもあり余ってる、大会社の社長くらいしか、馬主になんてなれないんじゃないか?
広中調教師のすすめで、芝を走っていたロイヤルはダートのレースに、ダートを走っていたイザーニャは芝のレースに出る、という大胆と思われる方針転換は面白い。
それが見事に的中し、イザーニャが序盤から飛ばし、ギリギリ逃げ切ってしまうという展開も悪くない。
しかし、戦績の良くないイザーニャが、芝に替えただけで1位になるのが、すごいことかどうかよく分からない。
戦績が良くないって、2位になったことはあるのか、万年最下位なのか、でも話しは変わってくるので、ざっくりではなく、まず成績をちゃんと教えて欲しかった。
そして、広中の作戦が、競馬界の中であり得ない常識外のことかどうかも分からない。
その作戦が常軌を逸していて、周りの調教師も反対して、ケンカみたいになるが、広中はそれでも曲げなかったり、ライバル会社の社長の秘書も、芝に変えただけで万年最下位の馬が勝てるわけないですよ、などと社長と話している、などの振りが欲しい。
調べてみると、芝とダートを入れ替えて成功した馬は、過去にもそこそこいるらしいが、あくまでレアケースで、ヴェラアズールとか、タマモクロスなどという馬が、ダートから芝に変えて成功しているようだ。
なので、全くない作戦ではなく、競馬界でも知られた戦法だが、成功例は少ない、というまさに賭けで、イザーニャはそれに勝った、ということの様だ。
ちなみに、芝は言葉通り天然芝のコースで、ダートは砂のコース、芝の方が硬く、スピードが出るが、体の柔軟性が求められ、ダートは足を取られる分、パワーのある、足の短い馬の方が有利なんだそうだ。
そこはその馬が持つ個性やトレーニング方と合わせて、どっちが向いているか見極めていくらしい。
ダートでは、前を走っている馬が蹴った砂が顔にかかる砂かぶりという現象もあり、それで走る気を無くす馬もいるらしいから、繊細かどうかなどの性格も重要になってくるそうだ。
きっと実際にはもっと複雑な要素も絡み合い、どっちが向いているのか考え、育てていく過程は、まるで野球の監督の様で、深くて面白い。
せっかく競馬をテーマにしているんだから、そこら辺もちゃんと説明してくれたら、もっと興味は湧いただろう。
ファイトとイザーニャの性格を教えてくれたのは興味深いが、もっと盛り込んで欲しかった。
ちなみに、中央競馬のレースはほとんどが芝、地方競馬はほとんどがダートだそうで、山王が目指している有馬記念も、天皇賞や菊花賞などの有名なレースもほとんどが芝だ。
山王は、馬のことはわからない、と言っていたが、さすがに長年の競馬界の端くれとして、芝とダートを入れ変えることの意味を知っているはずで、そこは簡単に言わせても良かった。
山王が、ダートと芝の違い分かるか?と聞いて、栗須が、芝と土ですよね、と言ったら、分かってねぇな、芝はスピード、ダートはパワーがいるんだ、入れ変えただけで上手くいくわけねえんだ、成功した馬なんて数えるくらいしかいねぇんだよ、とか、パワハラ混じりに教えて欲しかった。
全て一から説明していくと、それこそ競馬の紹介ドラマみたいになるので、振りも兼ねて、登場人物に所々言わせていく、とかを散りばめて欲しかった。
イザーニャの戦績や前評判も合わせて。
そうでなければ、イザーニャが勝ったことがいかにすごいのか、見ていてあまりよく分からない。
イザーニャ勝利までのドラマが薄い
肝心のレース自体に関しては、途中でスローモーションがかかったりもしていたが、1話ほどは違和感は感じなかった。
まだレースは終わっていないのに、スローモーションが長めにかかり、感動的な音楽がかかるのは邪魔だった。
スローモーションは、長いとちょっと冷めるし、無音の方が格好良いんじゃないか?
その後8番のオーンレジスが並びかけた辺りで、応援するようなアップテンポの音楽がかかるのは、レース展開と連動していて悪くない。
途中で、行けーと何度も叫ぶ牧場主はあざとかった。
もっと神妙な顔で、いいぞ、とうなずきながら見ている方がまだ感動出来る。
勝ちそうになっているイザーニャを、目を見開いて見ていた山王の顔は、ちょっとあざとかった。
心は驚いてないのに、顔だけ驚いている振りをしている様に見えた。
イザーニャが勝って、やりましたよ、と興奮する栗須に、山王も興奮気味に、俺達が目指してるのはおまえ、G1だぞ、と強がる感じも演技臭く、ちょっとあざとい。
本当は興奮してないのに、興奮を装った演技で、リアルには感じなかった。
本当に興奮出来ないなら、むしろ格好つけて、落ち着いている感じで言えば良い。
一切喜ばず、しかめっ面のまま、俺達が目指してるのはG1だぞ、浮かれるな、と静かに落ち着いた感じで栗須をなだめるが、コップを持つ手が震えている、とかの方がリアルだし、簡単に出来るだろう。
山王の演技は、本当に興奮していなければ嘘に見える、ハードルが高い演じ方をしていて、うまくいかなかった。
というか、本当に興奮するなんて至難の技だ。
どういう撮影方法か知らないが、目の前で実際の馬のレースを見て、本当に興奮した状態のまましゃべるならいけるかもしれないが、何回も見たことあるし、だから何だ?と心が感じてしまっていたら、もう無理だ。
興奮しようしようとしたってどんどん遠のくだろう。
若ければ、撮影の体験が疑似でも初体験のことが多く、現場で本当に感動出来ているまま演じれば、その感情は真実なので、嘘になりづらい、というメリットはあるかもしれない。
結局その感動を素直に表現する力がなく、仮に嘘じゃなくても薄っぺらいままなら大したことないから、若ければ良いとも全く限らないが。
栗須はイザーニャが勝って号泣していたが、そこまでのことかと思ってしまった。
上述した通り、イザーニャを応援したくなる要素が少ないので、見ている者はもちろん、俳優自身も気持ちを込めづらいんじゃないかとは思う。
子供の頃は足が悪くレースに出れるか分からなかった、イザーニャの名前は牧場主の亡くなった息子が名付け、母馬から受け継いだ、一時は処分されかけた、先祖の血統が芝に強いからダートから芝に変更した、これだけでは弱くないか?
あまり強くなく詳しい戦績は不明、調教師は勝てると言っているが、観客やライバルからの評価も不明、山王はこのレースで勝たなくてはいけない訳でもない、では、どうやって応援したくなるんだ?
足が曲がっている、走れるか分からない、と言われていたイザーニャは、レースに出れている時点で馬のエリート街道を登ってきた訳だろう?
足にハンデを抱えてここまで来るのにどれだけ苦労したのかも特に描かれていない。
勝てるわけ訳ないだろ、山王は終わりだ、などという馬鹿にされている噂を客やライバル、家族などから山王が聞いていれば、そいつらを見返す意味でも、山王の役者は気持ちを込めやすかったんじゃないか?
その見下した態度が、山王自身が倒すべき直接的な敵になり得るが、そんな描写はない。
家族からは競馬を辞めさせる圧がかかってはいるが、そこまで強くはない。
それに、山王自身に深みがないので、山王に勝ちたい動機があっても、素直に応援出来ない。
ハンデを乗り越えて苦労してきたイザーニャと、それを赤字になりながらも支え続けた、口は悪いが深みのある社長が、心ない前評判をひっくり返して、後がないレースで勝利した、ならドラマチックで感動出来たかもしれないが、全くそうではない。
イザーニャに対しても、山王に対しても、こっちが好きになってしまう様に仕向けられていない。
喜ぶ栗須も、号泣して歓喜するほどのプロセスを経ているかというとそうでもないので、泣き虫なのかな、という感じだ。
なので、イザーニャが逃げ馬で勝つという結果はポジティブで良くても、そこまでの布石が足りな過ぎるんだろう。
2話で描くには時間が足りな過ぎるとしても、もっとポイントを押さえていなれば、感動に持っていけたと思うので、もったいない。
第3話-「庭先取引」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
新しい馬を買いに行く話し
第3話はイザーニャが勝利してから1年経過しており、山王はそれ以降勝てておらず、新たな馬を買い付けるために栗須と広中調教師と共に北海道に行く様子が描かれた。
馬を頑なに売らない頑固な、栗須の元恋人の父親から、山王が説得して馬を買うシーンは粋さがあり悪くなかったが、牧場主と山王にいまいち深さを感じられないので、ガツンとは来なかった。
馬のオークションや、庭先で取引をする様子は興味を引くし、山王や栗須を主体とした会話劇などは悪くないが、全体としては少し物足りなかった。
なぜなのか考えていきたい。
山王は深さと浅さが混在している
3話を見て、山王は中盤までは2話よりはマシになった振る舞いで、1話の感じに近く、また人格がちょっと変わったと思ったが、このくらいの感じならまだ深くなり得るんじゃないかとは思った。
序盤の娘の誕生日パーティーで、娘に促されてスピーチさせられてまごついたり、北海道の厩舎に付いてる来る娘に注意したり、帰りなさいよと言っても、いいじゃん少しくらい、と言い返されて呆れる感じとか、可愛げがあって味がある。
娘には手を焼くけど、お得意の嫌な物言いはさすがに出来ない様だ。
このくらいでずっとキープしてくれれば、まだ深い方に振り切った時にも説得力はなくないので、ギリギリ大丈夫な感じだ。
しかし、山王が、野崎の父親の牧場主としゃべる感じが輩みたいでしょうもなかった。
栗須の挨拶を遮って、挨拶いいから馬見して、と言ったり、北陸に行った方が良い、などという牧場主に、ごちゃごちゃ言ってねえで馬見せろよ、とボソッと言うのは、見ていて腹が立つ。
こんな態度の悪い人間が、何をしても深くなる訳がないので、演じ方を間違えてしまったんだと思う。
ただ口が悪いのと、態度が悪いのとは意味が違う。
2話の山王もそうだが、こんな振る舞いを見せてしまったら、もう取り戻せない。
確かにこんなムカつくアホ社長はいるし、リアルで良いが、それと話しが面白くなるかは別だ。
これが脇役で、ストーリーに大きくは影響しない程度の役柄なら、むしろこのリアルな嫌さも含めて、全体の良いスパイスになったかもしれない。
しかし、主要メンバーとしてガッツリ関わるなら、話しが深くなどなるはずがない。
こんな人間が例え自分を身代わりにして人の命を救ったとしても、実は良い人だったんだ、と印象が全てひっくり返る感動などにはならない。
ただ嫌なヤツが良いことをしただけの話だ。
山王がハピネスをこの牧場に預けることになり、酒を酌み交わすときも、自信持って売りゃいんだよ、とか、フェアじゃないんだよ、話せよ、それが取引ってもんだろうが、とか、口調が悪すぎる。
恐らく自分より年上だと思われる人に、例えケンカしたからとしても、こんな輩みたいな口調で話してはいけない。
あまりに高圧的すぎし、そもそもそこまで怒るほどのことは言われていない。
最初に態度が悪かったのはむしろ山王の方だ。
売買する双方は対等なので、タメ口でも良いだろうが、売ればいいのに、とか、フェアじゃないよ、話して、それが取引ってもんでしょ、とか、普通の口調でも言えるし、態度ももっと穏やかに、諭すように言うことはいくらでも出来る。
切符の良い江戸っ子、というより、キレやすいチンピラに見える。
その後の話し合いの山王のしゃべりは深くて良いが。
まるで馬主が勝つ気がないみたいじゃないかよ、などと飾らずにしゃべる感じは味がある。
こういう余裕のある話し方だけにするべきだ。
牧場主の仲間や妻の思いを山王が汲み、北陸で買った馬より、こういう牧場で買った馬で勝つほうがみんな驚くし面白い、乗らせろよ、あんたの夢に、と言うシーンは粋で良い。
口調が少し偉そうだからこそ、あまり臭くはなっていない。
勝つ気はありますか?と牧場主に聞かれ、死にものぐるいだ、と言う言い方も普通で良いし、最後に、欲望に飲まれる時はみんな一緒だよ、と言うのも粋さがあって良い。
今までの山王の振る舞いの中で、一番深みを感じられるシーンで良かった。
ただ、上述した通り、輩的な一面の印象が邪魔で、涙腺を刺激される所までは行かなかった。
輩の山王と、このシーン後半の山王は別人で統一感がないので、もったいない。
山王が、口は悪いが社員思いで、家族に頭が上がらず肩身が狭いが、困った人は放っておけない、などという可愛げのある人物なら、このシーンも涙腺を刺激されただろう。
口だけでなく態度、性格が悪いし、社員思いの描写もなく、赤字そっちのけで競馬に入れ込む成金のチンピラ社長が、別人の様にたまたま良いことをした、だけでは、感動のしようがない。
山王は、社員を背負って競馬をやっている、というようなことを言っていたが、言っているだけで、それが分かる描写はない。
なので、山王の人物描写不足と、一線を越えたマイナス演技で、せっかくの良いシーンに大分水を差してしまっている。
牧場主が馬を売る基準が曖昧
野崎ファームの牧場主は、山王に勝つ気はあるんですか?と詰め寄り、早く馬が見たい山王が興奮してケンカになり、取引がおじゃんになったが、それ以外で売らないケースがあるのか知りたかった。
どこで買い手の人間性を見抜いて売らないのか、もうちょっと教えて欲しかった。
山王は、いいから早く馬見せろよ、などと輩みたいな態度を取ったから、こんな奴が勝てる訳ない、と思われてもしょうがない。
しかし、山王みたいに怒らなかったらどうなってたんだ?
勝つ気はあるんですか?を決めゼリフみたいにしているが、あります、勝つ気しかないです、と真剣な顔で言われたらどうするんだろう。
そこだけでは見抜けない詐欺師だっている。
もし椎名が馬を見に来て、勝つ気はあるんですか?と言われたら、一回笑って静かに、勝つ馬以外買ったことはないです、などと言いそうだし、そう言われたら売るのか?
まず最初のテストとして、勝つ気はあるんですか?と投げかけ、ちゃんと答えられた人には馬を見せるとしたら、次はどこで判断するんだ?
馬を見ている姿勢や態度がダメだと思ったら、すみません、売れません、となるのか?
真剣な顔で長めに食い入る様に馬を見ていれば、売ってくれるのか?
それとも、細かい今後の育成などに関する質問があり、独自のテストに合格する必要があるのか?
山王が最初で変な態度を取ったことで、そこら辺が全く描かれず、この牧場主が深いのかどうかもよく分からない。
売りに出している時点で、売らない気はなく、買い主を試しているとしても、その試し方を知りたかった。
というか、それが細かく設定されていなければ薄い。
山王も牧場主も深くはない、一億円は高くない
山王は、あの親父さんはダメだよ、みたいなことを言っていたが、あんたもだろ、ということなので、山王にも説得力はない。
馬の後ろにいる人間を見る、と言っていたのは一体何だったんだ?
野崎ファームの牧場主じゃなくても、挨拶を遮って、早く馬見せて、なんて無礼な態度をとる奴に、馬に限らず、商品を売りたいとは思わない。
思い入れがある商品ならなおさらだ。
山王は、2回目に会った時も、売りゃいいんだよ、などと言っていたが、あんたには売りたくない、と思うだろう。
山王の態度の悪さで、この牧場主が頑固で馬を売らない、という特徴がボヤけ、むしろ正当にも見える。
あのケンカの限りでは、明らかに山王の方が悪い。
他を当たったほうが無難だと思います、勝つ気はあるんですか?と言うのは、客をもてなす精神に欠けていて、ムッとはするかもしれないが、最初に引き金を引いたのは山王だ。
そして、預託料を払ってくれようが、こんな山王に結局馬を売ってしまうんだから、牧場主も筋がない。
山王の人格に一貫性がない、というのもあるが。
誰にも懐かない馬が山王に懐いてパニックになったのか?
たまたまアホに懐いただけの話で、山王が良い人間である証明ではない。
パニックになった上に、預託料の件でも頭が上がらず、さらに、山王の話を聞いてみたら、北陸以外の馬で勝つ方が面白い、という意見にも共感出来たし、勝つ気もある事が分かり、売ることにしたのか?
それって最初から、山王が悪態をつかずに、同じ様なことを言っていたら、売ってくれていたのか?
牧場主は、預託料と馬が懐いたことでここまで思いをしゃべったが、そうでない状況では、自分の思いを買い主に伝えることはしないのか?
勝つ気はあるんですか?と聞いて相手がちゃんと答えても無視して、なぜ一億円なのかという理由にも答えず、一方的に売れませんよ、といつも商談を終わらせていたのか?
それなら、そこまで見せて欲しかったし、山王の言う通り本当にフェアじゃなく、めちゃくちゃだ。
そこまで行って初めて、この牧場主はなぜ馬を売らないんだ?とはなるが、山王は態度が悪かったので、山王に対する扱いはフェアだ。
山王も悪態を一切つかずに、必死に勝つ気があることを説明するが、それでも最終的には馬を売らない、という振る舞いにしないと、かなり分かりづらい。
その後、馬が山王に懐いているのを見て心が動揺し、預託料ももらえることが分かり、しぶしぶ思いを語る、ならまだ分からなくもない。
それでも、馬をいかに売らないか、というやり方が不明瞭で、一億円も金持ちにしたら出せない金額ではなく、甘い。
勝つ気満々の椎名が来て、馬の良さを見抜かれたら、むしろ安い買い物と思われ、簡単に買われるんじゃないのか?
馬を売らない、という噂の割には高くはない。
せめて三億で、椎名が買った青影より高い、くらいに設定しないと、売らないというポリシーを守るには弱いんじゃないか?
それを山王が買ったら格好良かったし。
それでも、資金力がある椎名は良いと思ったら買いそうなので、金額だけでは防御策にはならない。
椎名には売らずに、山王に売った、という流れでもないし、山王は売るのに相応しい人格者ではない。
上述した通り、酒の席の後半の山王は、人格が入れ変わった良い人間で、悪態をつく山王と一致しないので、それもまたややこしく、奇妙で入り組んでいる。
山王がずっと、酒の席の後半の様な粋さもある普通の態度で、あくまで凝り固まって理不尽な事を言って馬を売らないおかしな牧場主を何とか説得した、とかなら、まだスッと入ってきたが。
牧場主は大して深くもなければ狂人でもなく、ふんわりと、変な社長に買って欲しくない、と思っているだけの薄い人間描写で、山王は輩と人格者が混在している変な人間だ。
一見分かりづらいが人物設定がグズグズで、涙腺を刺激されるにはまだまだ遠い。
演技的には、牧場主も山王もあざとくないし、面白くなり得るポテンシャルはあるはずなのに、もったいない。
特に、山王の一線を越えた嫌な人間感は、物語を素直に見せることを大きく邪魔している。
栗須の執事感は悪くないが、物足りない
山王に尽くす秘書の栗須の執事感は悪くないが、そこまで存在感はなかった。
北海道の居酒屋で、他の客にいちゃもんをつけられ、栗須が立ち上がって丁寧に自分たちの目的を告げる感じは悪くないが、あまりスッキリはしなかった。
牧場関係者だと思われる二人組は、山王たちの話に割り込み、野崎の父親は何も分かってない、そそのかされて同業者が何軒も廃業した、食べるためには馬を売らなければならない、と言っていた。
栗須は、勝てる馬を探している、希望を買いに来ている、日高だろうが他の産地だろうが、関係なく、この馬なら勝てるという生産者を探している、などと言って一礼したが、何を言いたいのかハッキリせず、直接的な反論にもなっていない。
少なくともあなた達がそういう生産者ではない、ということはよく分かりました、などと、もう少し踏み込んで言って欲しかった。
この2人は、ただ会話に参加してきただけでなく、明らかに無礼なので、執事としてもっとハッキリ言い返して欲しかった。
例えば、そそのかされたって、ずいぶんな言い草ですね、自分達だって儲かると思って勝ち馬に乗ろうしたんじゃないんですか?実際私達は勝てる馬を探しに来ています。もし、サラブレッドがいなければ、私達は来ておりません。そこにあなた達もかつて夢を見たのは確かで、その土壌を作った先輩を初対面の人の前で腐すなんて、牧場主としてのプライドが欠如してると言わざるを得ません、とか、言って欲しかった。
セリフの言い方も、怒っている風なだけで、リアルに怒っている強さは感じない。
明確に言いたい目的がセリフに込められていなければ、ちゃんと怒れないはずなので、それがないセリフにも関わらず、頑張って怒っている演技をした方なのかもしれないが。
栗須が北海道のホテルのロビーで、ハピネスを野崎ファームに預けてはどうか?と山王を説得するシーンも物足りなかった。
あの牧場助けてどうするんだよ、と言う山王に、栗須は、馬を強くするためには、牧場を続けていく時間が必要、それが強い馬と巡り合うチャンスにもなる、と説得し、山王があっさり承諾するのが物足りない。
時間が必要なんです、牧場を続けていく時間が、と立ち上がりながら、ちょっと怒り混じりに言う感じがイラッとする。
何が言いたいのか曖昧なのに、語気だけ強まっている感じが、浅いケンカになるだけのダメな怒り方だ。
もっとちゃんと説得する話し方で、分かるような内容で言わないと、ただの意見の押し付けに見える。
山王は、屁理屈だな、と言っていたが、そうじゃなく、時間があったら何であの牧場が良い馬作れるんだ?昔の女を助けたいだけだろ?公私混同じゃねぇのか?とか、ガッツリ反論して欲しかった。
なんか根拠あんのか?あの親父を助けたいとは思わねぇよ、などと反発する山王に、栗須がさらに上回る意見をぶつけて説得した、とかであれば面白かったが、そうではない。
助けるべきなのは他の困窮している馬牧場も同じことで、なぜ野崎ファームなのか、というプレゼンがない。
見ているこっちも、野崎ファームの牧場主は、何となくこだわりを持ってるんだろうな、くらいしか分からない。
それなのに、後継ぎが不憫だから、という理由だけで疑問にも思わずOKしてしまう山王もザルすぎる。
漠然と良いことをして大きい人間に見せたいという様にも見え、粋でもないし、熱いリアルな会話にはなっていない。
最悪、栗須はうまく言葉に出来ず、ここで説得出来なくても、もう一回だけ牧場を見てもらえませんか?それでだめなら諦めますから、などとダメ元で山王を野崎ファームに連れていっても良い。
そして、芝を見た山王が、その手入れに感動し、人に懐かない馬も山王に懐き、機嫌が良くなってハピネスを預けることに決めた、となったなら抑揚があって面白かったが。
魅力的な人物がいない
山王は野崎ファームで馬を手に入れ、ハピネスの預け先も決まり、これから勝っていく様子が描かれるのか?
出演している役者達の演技自体は、概ねあざとくなく、ポテンシャルを秘めているものの、人物描写がまだ足りなかったり、セリフ自体が薄かったり、今ひとつガツンと来ない。
JRA全面協力の元、実際のレース場や厩舎や牧場、馬を使って撮影しているのは良いが、それで物足りなさが帳消しになる訳ではない。
最初はお堅い話で取っつきにくそうだと思ったが、フタを開けてみたらそこまでではなく、競馬というテーマも悪くない。
しかし、今の所、一貫した魅力的な人物がいないので、あまり心惹かれない。
栗須は普通、もしくは物足りない。
野崎は演技っぽさがなく良いが、普通だ。
山王の家族は、本当にこんな金持ち一家がいそうな雰囲気があって良いが、母親も兄も妹も、特に魅力がある家族ではない。
強いて言えば山王が、見ている者を引き付けるドラマの軸になり得たのに、もう崩壊してしまった。
何であんな嫌な振る舞いをさせてしまっているんだろう。
もし山王が、人情に熱い飾らない江戸っ子などであれば、大分面白くなり得たんじゃないか?
せめてそこはぶらしちゃいけなかった。
百歩譲って、悪に対してそんな態度ならまだ格好良くなり得るが、そうじゃない時に出てしまうのは致命的だ。
居酒屋で失礼な絡みをされた時も、お得意の嫌な感じでやり返しても良かったのに、そこは冷静に対処していたので、あべこべだ。
自分より下の立場の人間に主に嫌な態度をとる奴だ。
これが準主役でどう面白くなるんだ?
やはり、登場人物の人間描写に魅力がないと、中々難しい。
第4話-「メイクデビュー」が”見て損はない☆3″理由と考察、その感想
若手ジョッキーの逆転劇、足りない痛快さ
4話は、栗須が荒馬のホープに乗れるジョッキー探しに奔走し、地方競馬で勝っているが、過去に問題を起こして中央競馬から遠ざかっていた若手ジョッキーを説得し、ホープで勝利するという逆転劇が描かれた。
様々な視点で描かれるレース模様は臨場感があり、若手ジョッキーのドラマも、栗須の尽力や山王の人情深い振る舞いも悪くなく、今までの話では初めて少しだけ涙腺を刺激された。
ドラマとしての面白さを感じられ得る悪くない作り方になっているが、若手ジョッキーが軽く、レースの描き方も痛快さが足りないのがもったいない。
山王の振る舞いは悪くない
今回の山王の振る舞いは、輩的な感じがほぼなく、深みがあり、自然で良かった。
全ての話しの山王の振る舞いを、このくらいで抑えておくべきだ。
栗須が山王に意見し、生意気になってきたな、と言っていたが、このくらいなら味があってコミカルで良い。
初めてジョッキーを見た時に、金髪か?チャラいな、と言ってしまう感じも面白い。
唯一、レースが始まってホープが出遅れた時に、何やってんだよ、という言い方が薄い。
結果的に作戦の範疇内だった訳で、まだ分からないのに、吐き捨てる様に言うのは薄っぺらく感じる。
もう、何やってんだ、と見守る感じならまだ良かったが。
やっちゃったか?とか、どっちか分からない感じで言うのも良い。
しかし、山王の薄さはそのくらいで、概ね深みのある人間として描かれていたので、良かった。
自身の会社のスキャンダルが出そうになっていた、と知っても驚かず、知り合いの会社に頼んで、従業員を全員クビを切らずに雇い直してもらう、という振る舞いは深くて良い。
従業員は金で買えない、などと言っていたが、本当にそう思っている感じに見えるので、格好良い。
元はと言えば、自分のミスから起きたことなんだろうが。
ホープの調整がうまくいかない、という報告を広中調教師から受けた時も、怒らず、絶対諦めるな、と諭す感じも、寛大さが感じられて良い。
ホープの牧場主の孫がレース場に来ているのを見て、ちょっと楽しげに、坊主に良いとこ見せねえとな、などと言う感じも自然で良い。
これらの振る舞いは、輩の山王とはまるで似ても似つかぬ別人である。
今までの話も、ずっとこれでいけば良かったのに。
輩の山王であれば、レース場にガキなんか連れてくんなよ、とか言いそうだ。
肝心のレースを山王が見守る時も、2話の時のように無理矢理喜んだり、驚いたりしている感じもなかった。
栗須は喜んでいても、山王は声出さずに拳を握っている感じなど、自然だ。
勝った時の喜び方も素直に嬉しい感じがあり、好感が持てる。
口は悪いが、人情家である、という味のある人物描写が、比較的素直に表現されていて、レースの成り行きを見守るハラハラ感にも貢献出来ていて、全体を通しても、良いスパイスにはなっていたと思う。
栗須は泥臭い営業マンだった
栗須がしつこく若手ジョッキーにホープへの騎乗を頼みに行く感じは悪くない。
新聞記者から佐木の問題行動について聞き、椎名からも運良くなぜか詳細を教えてもらえ、何回も岩手に通う感じは、真摯的な若手営業マンの様で好感が持てる。
最初はちょっと笑みを浮かべながら、佐木を褒めて説得しようとするが上手く行かず、だんだんと渋い顔になってくる感じが味がある。
何もなく楽しそうに笑っているよりも、こういう渋い顔で頭を下げる演技の方が、この役者はよく似合っている。
佐木に、北陵の馬ではなく、日高の馬で勝ちたい、という山王の意図を伝え、それでもやらない、というジョッキーに、逃げるんですか?と結構な事を言ってしまうのが良い。
言い方もサラッとしていて、過去の話の時の様に、変に薄い怒り混じりの言い方ではないので良い。
しかし、佐木に、中央競馬から戻った自分を迎えてくれたこの場所を捨てるわけにはいかない、などと言われ、すみません、何もわかっておらず、と引き下がるのは物足りない。
本当にそうでしょうか?あなたを迎えてくれたことと、ずっとここにいて欲しいと思うことは別なんじゃないですか?などと、もう少し食い下がって欲しかった。
それを聞いて、あんたに何が分かるんだ、と怒る佐木に、話を聞いていた佐木の父親が佐木の荷物を投げて援護する、とかの方が面白い。
でも、栗須独特の、ちょっと怒り混じりの感じで言ってしまうくらいなら、何も言わない、このくらいの方がまだ良いとも言える。
この父親が、親を言い訳に使うな、と言いながら、佐木の荷物を次々に投げ捨て、背中を後押しするシーンは味があり、涙腺を刺激された。
ここはお前がいなくても潰れない、俺は死ぬまで俺の足で立つ、お前も自分の足でちゃんと立て、と息子に言うのは格好良い。
ここに留まるよう息子を擁護するのではなく、良い意味で突き放すのが親の役目だし、その言い方も変な力が入っておらず、自然で良かった。
何度も足を運んできた栗須を見ていて、思う所があったんだろう。
この父親は出てきたばかりだが、粋で良かった。
佐木の両親は、ホープに乗りに来た息子を応援しに来るが、佐木には内緒で好きなお菓子だけ渡して帰る感じも粋で良い。
逆転劇は悪くないが、佐木のリア充感が邪魔
地方競馬を拠点に活動している若手ジョッキーの佐木は、本当にいそうな感じもするのは悪くない。
山王の言う通り、金髪でちょっとチャラっとした外見で、思ったことはすぐ口にする様な自信家で、甘いマスクで女性から人気を得そうな感じだ。
体型もスリムなジョッキー体型で、こんなイケイケのジョッキーもいそうだ。
佐木が、中央競馬を去るきっかけになったケンカ相手が、今は椎名の馬の騎手で、中央競馬デビュー戦で対決する、という展開は面白い。
そして、レース直前でも、レベルの違い教えてやるよ、などと嫌味を言われたが、勝ってしまうのが気持ち良い。
しかし、佐木は金髪でルックスも良く、きっと人気ですごくモテるんだろうな、と思ってしまうので、そこまで応援出来る感じではない。
地方競馬といえど、勝っているジョッキーだし、地位的にも人気的にも悪くなく、それなりに今の状況を謳歌しているんじゃないかとも思う。
闇を抱えているとしても、別に今のままでも十分すぎるほど成功している、とも言える。
チャラいな、と言う山王に、広中は、個性ですから、と言っていたが、チャラくない方が良いし、口調や態度もヤンチャな感じはない方が良かった。
人柄的にもっと朴訥で浮ついてない方が感動出来るし、せめて、山王が来る時は丸刈りにしてくるとか、覚悟感が欲しい。
内面でそれが表現出来ていれば良いが、そんな凄みは感じない。
過去のケンカの理由も、地方の厩舎出身を馬鹿にされ、お前が褒められたんじゃない、ここの馬はお前のとこの馬とはレベルが違う、などと言われただけなので、ちょっと弱い。
最初は我慢していたが、そこから毎日陰湿なイジメが始まり、無理矢理佐木に手を出させて、退学に追い込まれた、くらいの過去が欲しい。
佐木は、嫌味を言われて相手を押し倒していたし、ちょっとくらいイジメられてもへこたれない強さもありそうなので、そもそもこの人格では、悪いやつにイジメられる、というのも嘘くさくなる。
口下手で言い返すのが苦手くらいの人間が、後にいじめっ子たちを凌駕する方が、どう考えても面白い。
そういう描写は、まるで競馬界にそういうイジメがある、と示唆しているようなものだから描けない、としたら弱腰すぎる。
どこの世界にも嫌なヤツはいるし、フィクションなんだから、別に構わないだろう。
そこから佐木は地方競馬に移るが、着実に力をつけ、中央競馬で十分闘えるが、なぜか移籍しない、と噂されている、くらいの情報も欲しい。
佐木は口下手だが優しく、家族や地元を大事にしているが、父親があえて鬼になって、息子を追い出す、とかだったら涙腺はかなり刺激された。
佐木も優しいんだろうが、言動行動に滲むような味はない。
俳優で誰が良いかと言えば、例えば加瀬亮みたいな人が良いんじゃないか?
レース自体は、遠目からの映像、接写、ジョッキーの顔が映る視点など、次々に変わりながら進んでいく感じが臨場感があって良い。
佐木が、行けーと叫ぶ感じも悪くないが、もっと心の底から来る鬼気迫るものが見たかったし、上述した通り、佐木がもっと応援出来る人間だったら、涙腺は崩壊したかもしれない。
初めてそれなりに悪くない、レースまでの登場人物達の布石がそれぞれ比較的丁寧に散りばめられ、レース自体も臨場感があるのに、大分もったいない。
リア充がより高みに行くのを見た所で、あまり感動はない。
臨場感のあるレース描写
レース自体は、上記の通り、様々変わる視点の見せ方で、今までで一番臨場感があり、ちょっとは面白かった。
今回はジョッキーにも焦点が当てられ、ジョッキーの顔や表情も映っていたから、というのもある。
レース前にライバル会社のヴァルシャーレの騎手に佐木がけん制されたり、記者達が、リードジョッキーでもたかが知れてる、血統も分からない、などと悪口を言っていたり、今回はレース直前に布石があり、悪くない。
些細なことだが、あるとないとで全然結果の跳ね上がり方が変わるので、毎回やらないといけないと思うが。
レースが始まり、みんなで応援している感じは熱気があって良い。
それぞれ、その馬に関わった人間が、違うプロセスをたどっているが、思い入れがあり応援している。
応援団などではなく、バラバラで、面識がない同士も多いだろうが、気持ちは同じ、という感じは良い。
佐木の母親が顔に手を当てて見守る感じなど自然で良いし、後ろで父親が、行けーと叫ぶ感じは格好良い。
佐木が勝って、みんな喜んでいた半面、その後ろでこの父親が真剣な表情でうなずく感じが味があり、深くて良い。
この父親は、今まで出てきた人間の中で、一番深い振る舞いをしている。
しゃべり方も目つきもとても良い。
ホープが後ろから上がってくる時はスローモーションになり、ハ〜という人の声の入った感動的な音楽がかかるのが邪魔だった。
日曜劇場って、こういう賛美歌的な、人の声混じりの神がかった音楽が本当に好きなんだな、と思う。
何かの映画やドラマの真似をしているのか?
まるで天から神が降臨した、お釈迦様が現れたかのような特殊なBGMで、使う場所が難しすぎるから、使わない方が良い。
このドラマの主題歌の、爽やかなアップテンポな音楽をかけた方が、よほど素直に応援出来る。
この、ハ〜という音楽がかかったら、もう勝ち確定ってことだろう?
この音楽がかかって、負ける、という展開などあり得ない。
それで負けたらおマヌケ、もしくは嘘で、最下位ならコントだ。
なので、この先の流れを少なからず音楽でバラしているとも言え、冷めてしまう。
見ている者を楽しませたいというより、すごいPVを作りたい、という、自己陶酔的な、ズレた意識で作ってるんじゃないか?
スローモーションは確かに格好良いが、格好良いからこの音楽を足したらもっと格好良くなる、とでも思っているのか?
スローモーションは、一瞬で終わってしまうレースを分かりやすくするためでもあると思うので、無音で十分格好良いし、目を引く。
十分なのに足す、ということに臭くなる怖さを感じないのか?
スローモーションで神がかった音楽と共に佐木が上がってくると、栗須が、人馬一体、とつぶやいたのが、より作為的で違和感がある。
何が人馬一体なのか全然分からなかった。
これが人馬一体ってやつか?
スローモーションになっただけだった。
栗須は目を奪われて見てしまい、ハッと我に返って、行けーと言い出すくらいで良い。
そして、ヴァルシャーレに乗っていた佐木のライバルは、レースが始まってから全く描かれないのが物足りない。
遠目でそれらしき騎手がチラチラ映るだけだ。
せっかく騎手同士の対決でもあるんだから、佐木と同じ様に顔の表情が映っている方がより臨場感が出て面白かったんじゃないか?
レースが終わってからも、悔しさをにじませながら佐木と言葉を交わす描写なども一切なく、本当に乗っていたのか?と思ってしまった。
ホープが勝つだけでなく、完全懲悪的な痛快さとしても、相手のジョッキーの描写はもっとあった方が面白かった。
面白くなりかけた、もったいない話し
今回の話は、肝心のレースに向けて、必要なピースが揃いかけた、惜しい話だった。
栗須、山王、ジョッキーを主体とした馬関係者が、いわゆる人馬一体になりかけ、レースに集約しかけた。
レースは始まればあっという間に終わってしまうので、いかにそれまでの布石が重要なのか、改めて感じた。
ジョッキーはもっと素朴で口下手で、チャラついてない人が良かった、と思うので、それは惜しいとかなり離れている気もするが。
それでも、佐木さえ何とかなれば、まだ感動出来るギリギリの作りにはなっていると思う。
なぜこんな性格も攻撃的で、イケイケなジョッキーを選んでしまったんだろう?
毒には毒をで、荒馬にはこれくらいの人が必要ってことか?
そうしたいなら、もっと荒れていても良いんじゃないか?
性格が破天荒で荒く、常識外で、他のジョッキーや調教師からも嫌われている、地方でもあんまり勝てていない問題ジョッキーが、まさに馬が合って覚醒する、とかなら面白い。
しかし、荒馬には普通でない、破天荒チックな荒い人間しか乗りこなせない訳でもないと思うので、必ずしも問題児にする必要はないと思う。
昔から馬の扱いに長けているが、研修中にトラブルに巻き込まれ、もう中央競馬には行かない、と決めている寡黙なジョッキー、でも十分辻褄は合う。
今までの話で何回か見切れていたメガネの青年は、未来の栗須の息子などではなく、山王の隠し子だったようだ。
山王の会社のスキャンダルもあったし、山王周りが騒がしくなってきた。
忘れていたが、ロイヤルファミリーというタイトルなので、今後も山王がガッツリ関わってくるんだろう。
山王は今後も粋な振る舞いをした所で、もう底が知れているので、あまり時間を割かない方が良いように思う。
栗須の補助くらいで良いんじゃないか?
こんな深い人間でも、会社のスキャンダルや隠し子騒動があるなんて、など少しも思わず、サプライズにもなっていない。
むしろもっとゴロゴロ出て来ても驚かない。
それくらい、山王のマイナスな振る舞いはちょっとでも印象が悪い。
あざとくて冷めるとかではなく、深く演じることも出来るポテンシャルは十分ある役者だけに、この間違いは大分もったいない。
監督のせいだ。
変に良い人間風になるより、むしろもっと嫌な人間を全面に押し出した、輩全開で行く方が、違う意味で見てみたいとも思うが、きっとそうでもないんだろう。
なので、今後は期待せずに、新しく出てくるストーリーを一応何となく見る、という感じになりそうだ。
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