ドラマ「ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~(シーズン1)」を”観て損はない”理由と考察、その感想

③観て損はない☆3
  1. ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~(原題:Reacher)
  2. ドラマ「ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~」のあらすじ
    1. 「第1話-マーグレイブヘようこそ」を”観て損はない☆3″理由と考察、その感想
      1. 田舎町に降り立った謎の大男、ジャック・リーチャーが殺人事件で逮捕される。
      2. 魅力的な主人公、ジャック・リーチャー
      3. 警部補、女性警官、リーチャーの三者のドラマが良い
      4. マッチョすぎるリーチャー
    2. 「第2話-初めてのダンス」を”観て損はない☆3″理由と考察、その感想
      1. 第2話で起きた主な出来事
      2. 署長が殺される、いつの間にか中心にいるリーチャー
      3. 深いリーチャーの会話
      4. 抑えて欲しかったリーチャーとロスコーの親密さ
    3. 「第3話-スプーンいっぱい」を”観て損はない☆3″理由と考察、その感想
      1. 第3話で起きた主な出来事
      2. 3人のチームだけで捜査を進める
      3. 主要キャストに人間味が出てきた
      4. 追っ手を容赦なく葬るリーチャー
    4. 「第4話-木の中」を”観て損はない☆3″理由と考察、その感想
      1. 第4話で起きた主な出来事
      2. アクションもドラマも盛り上がってきた
      3. 悪に容赦しないリーチャー
      4. 控えて欲しいロスコーとの親密さ
      5. 囮になったリーチャーに怒るロスコーは良いが、もったいない
      6. 次第に明らかになるジョーの人柄、突然のモリーの死

ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~(原題:Reacher)

原作-リー・チャイルド 制作年-2022年 制作国-アメリカ

製作総指揮-リー・チャイルド、他

撮影監督-ロナルド・プランテ

制作-スカイダンス・テレビジョン、アマゾンスタジオ、他

出演– アラン・リッチソン、ウィラ・フィッツジェラルド、マルコルム・グッドウィン、他

ドラマ「ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~」のあらすじ

マーグレイブというアメリカの平和な田舎町で、2人の男性が殺された事件が起きる。

その殺人事件の容疑者として、街のレストランで逮捕された寡黙な大男。

ジャック・リーチャーと名乗るその男は、身分証やクレジットカードは持たず、SNSもやらず、社会的な記録も全く出てこない謎の男だった。

リーチャーは、数少ない事件情報から、犯人像や犯行の手口を瞬時にプロファイルして見せ、警部を驚かせる。

不思議な男、リーチャーの容疑は晴れぬまま、自分が犯人だと名乗る、ハブルという人物が現れる。

誰かをかばうために犯人を名乗った、と踏んだ警部は、リーチャーとハブル2人とも刑務所に送ってしまう。

その後、軍への問い合わせによると、ジャック・リーチャーは、元陸軍の特別捜査官で、十数人の仲間を救い出し、数々の勲章を授与されている、軍の英雄であることが判明し、それを部下から聞かされた警部は、しばらく辞めていたタバコを吸い出すのだった。

「第1話-マーグレイブヘようこそ」を”観て損はない☆3″理由と考察、その感想

田舎町に降り立った謎の大男、ジャック・リーチャーが殺人事件で逮捕される。

一時は殺人事件の容疑者として逮捕された大男が、実は社会的にも、オンライン上にも存在しない、伝説的な軍の英雄であり、特にわめき散らす訳でもなく、自分に降りかかった火の粉を次々に振り払っていく様は痛快さがある。

理不尽に勾留を続ける頭の固い警部補もそれなりに味があり、二人を取り持つ冷静な女性警官の三者のドラマがリアルで良い。

警部補の粘着的な性格のせいで、しぶしぶ協力していたリーチャーがだったが、2人目の殺人事件の被害者が自分の兄であることが判明し、事件の解明に前のめりになった所で終わるラストシーンは、次の話が気になる第一話の終わり方で良い。

まだめちゃくちゃ面白い訳では無いが、派手なアクションシーンも入っているし、サスペンスアクションドラマとしては、さほど引っかかる部分も少なく、気軽に見れるエンターテイメント作品だと思う。

魅力的な主人公、ジャック・リーチャー

孤高のアウトローである主人公のジャック・リーチャーは、その設定や振る舞いが魅力的で面白い。

軍では何人もの命を救い、勲章をたくさん授与されている凄腕の捜査官、軍人であったにも関わらず、若くして年金で暮らし、住居も携帯も持たず、人とのつながりも作らず、孤独に気ままてで悠々自適に生きているのは、良い変わり者感で興味を惹かれる。

好きな歌手、ブレイクの聖地巡礼をし、有名なピーチパイのためにわざわざバス停ではない場所で降りて食べに行くなど、お茶目でかわいらしい面もある。

レストランの前で、女性に暴言を吐いていた男を、ずっと見続けて謝らせるなど、正義感のある強さを含んだ、独特な振る舞いが格好良い。

間違えて逮捕される時も特に暴れず、罪は認めないものの、焦ったり、自分は軍の英雄だ、などと特に自分から言わない感じも良い。

刑務所にぶち込んでから、リーチャーがとんでもない経歴を持った軍人だったと判明し、警部補が青ざめ、禁煙をしていたタバコを思わず解禁してしまう感じは痛快だ。

容疑が晴れた後、牢屋から出る時に結束バンドを素手で破って見せたが、いつでも破れるのに、あえて従っていた感じが余裕たっぷりで良い。

少ない情報の中から、次々に矛盾点や抜け穴などを見つけ、犯人像や犯行の手口などをすぐに浮かび上がらせてしまう推理力も格好良い。

警部補がボストンの気取り屋と他の警官から言われていたこと、貧乏ゆすりや服装、匂いから、離婚していて復縁を迫っていること、禁煙中であることを見事に当ててしまう。

確かにそうかも、と思わされることを言っているし、言葉で確実に相手にダメージを与えている感が良い。

刑務所で絡まれた時に、派手なアクションシーンも披露しているし、知的にも肉体的にも強い格好良いヒーロー像ではあると思う。

警部補、女性警官、リーチャーの三者のドラマが良い

リーチャーと、リーチャーを中々認めない警部補、両者を取り持つ女性警官の3人のコンビドラマが悪くない。

性格は違うが、各々ポリシーがあってそれぞれ強さがあり、ただのセリフのやり取りではない生感、闘いがあるので、十分見ていられる。

当たり前だが、日本人がよくやる置きにいったセリフなどなく、三者三様ちゃんと感情が出て、それをぶつけていて良い。

この3人のコンビ感、関係性さえなあなあにしなければ、これを基にして、無限に新しい話を作っていけるはずだ。

アクションや犯罪の規模、巧妙なトリックやストーリー展開などよりも、むしろここが肝だと思う。

生真面目で権力を振りかざしたい警部補、上司に従順だが兵隊ではなく、間違ったことは指摘する、バランスの取れた警官、自分の正義を貫くためには手段を選ばず、二人を揺さぶっていく元軍人、と、3人は良い関係性だと思う。

性格は違うが、それぞれ自分の正義をそれなりに貫こうとしていることに変わりはない。

仲良しのチーム感よりも、ケンカしながらのチーム感の方がどれだけ見応えがあるか分からない。

そういう設定である、ということだけでなく、演技自体があざとくなくリアルである、ということも重要だろうが。

マッチョすぎるリーチャー

リーチャーの人物設定や会話劇など、リアル感があり面白く見れそうなドラマであるが、リーチャーがマッチョすぎる感じに違和感を感じる。

日々その日暮らしでモーテルなどを転々としているのはずなのに、どうやってその無駄なまでに鍛え上げられた肉体を維持しているのか分からない。

明らかに日々厳しい鍛錬をし、タンパク質を大量に摂取している肉体である。

ゴールドジムがある場所を狙って移動しているのか?

経歴を残さないんだから、きっとジムにも入会していないはずだろう。

ここまでボディメイクされた肉体など、実戦では邪魔でしかないだろうし、マッチョでも良いが、もう少し精悍で細マッチョよりの、削ぎ落とされたリアルなマッチョにして欲しかった。

ピチピチのTシャツを来ているのも大分引っかかる。

仮にマッチョだとしても、それを隠すような服を着ていて、ひょんな時に鍛え上げられた肉体が垣間見えるなら格好良いが、むしろ肉体を見せに行っている感じに見えるのが深みがない。

彼もまだ若いということか?

ロスコーと一緒に古着屋で服を買い、試着室で着替えている時、会話の途中でわざわざ試着室のカーテンを開けて、上半身裸の姿をロスコーに見せつけたのはなぜだ?

話に熱中してつい、とかでも、怒っていてどうしても面と向かって言いたいことがあった、とかでもなく、明らかに開ける必要のない場面で、さらっと開けているのが、変態チックだ。

鍛え上げた肉体を見せたかったとしたらしょうもない。

序盤で、ただ見ているだけで暴言を女性に吐いていた男に謝らせたのも、そのムキムキの肉体で言外に威圧している様にも見えてしまうので、そのあからさまな肉体が邪魔である。

その筋骨隆々さを全く隠そうとしないのは、敵に余計な情報を与えていることになり、秘密主義であるリーチャーの人間像には合わないと思う。

刑務所でのアクションシーンも、力を使わない、洗練された体術で巧みにいなしながら、近くにあるものを利用して勝ってしまう、とかではなく、真っ向からのパワー勝負に近いので、なんだかなぁ、となってしまう。

警告はしていたけど、自分から殴っていたし。

パワーよりも、合気道的な、デンゼル・ワシントンのイーコライザーの様な巧みさを見せて欲しかった。

そもそも、原作の小説のジャック・リーチャーが、190センチを超える大男らしいのでもうしょうがないが、あまりに体格に恵まれている要素は、孤高のアウトロー感をぶれさせてしまうと思う。

アメリカ人はきっと好きなんだろうが、でかいから強いと思われたら台無しだし、マッチョでも良いから、それを隠すような恥じらいがあれば深かったのに、と思う。

それでも、会話劇が面白く、次の話が気になる第一話ではある。

「第2話-初めてのダンス」を”観て損はない☆3″理由と考察、その感想

第2話で起きた主な出来事

ハブルの家族に警告、河原捜索、モーテルで襲われる、犬に勝手に餌やり、モリソンが殺される、町長の演説、床屋の助言、パズルの家族をFBIに逃がさせる、スパイヴィーに返り討ちにされる、ロスコーとディナー、モーテルに泊まる、ロスコーの家が荒らされ警告される、兄の回想

署長が殺される、いつの間にか中心にいるリーチャー

2話では、署長のモリソンが殺され、警察署内に裏切り者がいることが示唆された。

ハブルの家族にも危険が迫っているので避難させ、リーチャーは自分の命を狙ったスパイヴィーを追うが返り討ちに遭い、手当てをしたロスコーとディナーに行くが、大雨で帰れなくなり、2人でモーテルに泊まった。

翌日、ロスコーの家に行くと、荒らされていて、犯人からの警告文を見つけ、物語は終わった。

2話に来て、警察署長が犯人グループに襲われるという急展開で、警察署内の人間も信用出来ない、というきな臭い事態になる。

リーチャーは警部補と時にはケンカしながらも、いつの間にか捜査の中心人物になってしまっている感じが面白い。

リーチャーがいなければ、警部補とロスコーは何も出来なかっただろう。

リーチャーが、相変わらず言うことを聞かず、危険も顧みず自分でどんどん動いてしまうのが良い。

終盤の、リーチャーとロスコーのちょっとしたラブシーンだけ余計だったが、このサスペンスに引き込まれ始めているのを感じる。

町長のティーンやクライナー、街の住民達、ハブルの家族やそれを逃がしたFBIなど、登場人物が増えたが、みんなあざとくなく、話がどうなっていくのか、ということに集中出来る。

あざとくない、というのは当たり前の事だが、日本ドラマとこうも違うものかと思わされる。

町長の集会で、町長に文句を言う住人たちすらリアルで良い。

どれだけ層が厚いのか、というより、これが普通なんだろう。

深いリーチャーの会話

リーチャーの振る舞いは、所々格好良く、ウイットにも富んでいる感じが味があって良い。

リーチャーが、河原で証拠を探していた時、兄はこうやって殺された、と分析する感じは格好良い。

通りすがりの家にいた犬が、水を欲していることを察して勝手に敷地に入り、水をあげてしまうのは少し怖い。

今朝水をやったという住人と口論になり、俺が嘘をついているのか?と言われると、ゆっくりと目を見て、そうだ、というのが、何も忖度しないリーチャーらしくて良い。

住人だろうが警部補だろうが、接し方は変わらない。

リーチャーの母親が言っていた通り、良い意味でも悪い意味でもトラブルメーカーなんだろう。

ハブルの妻と話をしている時、なぜ過去形なの?と聞かれたリーチャーは、ロスコーの、言ってはダメ、というアイコンタクトを振り切り、旦那さんは殺された、と言い切ってしまうのもリーチャーらしい。

未確定なことでも、おもんばかって嘘を付く、ということはせず、現実を見つめて、残りの家族を守れ、という感じが格好良い。

そして、不審な車が外に見えると、すぐに逃げるように家族に促し、家に入ってきた不審者に、ロスコーの腰にあった銃を奪って、不審者に向ける感じもさまになっている。

目の前の人を守る、ということに勝手に体が動いてしまう人なんだろう。

町長の集会で、住人が、まともな署長と警部を呼べ、と言うと、リーチャーが警部補に、君のことだ、と嫌味を言うと、住人が、ダイナーのケダモノは?と言うと、警部補がリーチャーに、君のことだ、とやり返す会話が面白い。

無理した作為感もなくて良い。

行きつけの床屋が、変なスペイン語を話す二人組が来たから気をつけろ、とリーチャーに助言し、リーチャーが俺を心配してるのか?と言うと、君がいなくなると売り上げが下がる、という床屋との会話は粋で良い。

人に心配されるほど弱くない、という自信から来るリーチャーの発言も普通ではないが、別に心配してない、と返す床屋も面白い。

リーチャーが警部補のフリをして、電話でスパイヴィーを呼び出したが、意図を読まれて返り討ちにされ、警察署で手当をされている時、リーチャーが、俺は悪くない、君の口調が真似しづらいだけだ、と警部補のせいにするのも良い。

こういったウィットに富んだ小粋な会話が、良いスパイスになってよりドラマを面白くさせるので、とても良い

抑えて欲しかったリーチャーとロスコーの親密さ

終盤では、ロスコーがリーチャーと、ディナーに行くが、この2人の甘い時間が余計だなと思った。

互いに2話目であまりに仲良くなりすぎ、心を許し過ぎだと思う。

意気投合したアメリカ人なら、あり得る距離の詰め方なんだろうが、リーチャーはそんな人間ではない。

ビールを飲むロスコーを見つめるリーチャーは、優しい人間だから微笑んで見ていた、というより、完全にロスコーに胸を射抜かれ、恋に落ちた様に見えた。

ダンスに誘われたリーチャーはしぶしぶだが乗ってしまい、2人は恋人のように頭を近づけた。

このドラマのシーズンの終わりあたりでこうならならまだ分かるが、2話ではどう考えても早すぎる。

ロスコーは確かに魅力的だが、リーチャーはもう少し真顔でいるべきで、むしろドギマギし、女性と接する感じが苦手とかなら可愛かったが。

それでも、この序盤ではリーチャーが簡単に応じるのが自然ではなく、踊りの誘いを断った方が良かった。

ケンカしたり、励ましたり、命の危険を一緒に乗り越え、事件が解決し、ようやくリーチャーが心を許し、人生で初めてのダンスをぎこちなく踊った、とかなら感動的だったかもしれない。

そうではなく、急に親密になる感じが、ステレオタイプなトレンディドラマ的な匂いがして、かなり冷めてしまった。

ロスコーも、まだ頭の何処かでリーチャーを疑い、完全に心を許すべきではない。

仕事では冷静な立場を取っていたが、あまりに変わりすぎだ。

その後、大雨で帰れず、2人でモーテルに泊まるシーンもそうだ。

好きなお菓子についてしゃべる2人の感じは、演技自体は自然だが、普通の恋人同士のような軽さを感じてちょっと残念だ。

服が雨で濡れているから、としても、服を完全に着ない状態で互いに普通に話し合う感じにも違和感がある。

リーチャーはやっぱりマッチョを見せたいのか?

お金がかかっても、もう一つ部屋を用意することは出来なかったのか?

大雨でモーテルは埋まっていたのか?

リーチャーは、高倉健とまではいかなくても、寡黙で、時には冷徹さも見せるアウトローなんだろう?

バーからのこの一連のシーンは、とてもじゃないがそんな風には見えない。

視聴者の色んな層を取り込むためには、こういう若者向けの要素も入れなければ、と思ってしまったのかもしれないが、リーチャー像をぶれさせる余計な描写だったと思う。

「第3話-スプーンいっぱい」を”観て損はない☆3″理由と考察、その感想

第3話で起きた主な出来事

ロスコーの恩人の銃をもらう、ジョーのいたシークレットサービスに話を聞く、被害者の弁護士に話を聞く、警部補がスパイヴィーの家で逮捕される、3人でご飯、クライナーに2人で話を聞きに行き警部補切れる、リーチャーの兄が罪を認めた、警部補がセースハウス作る、リーチャーがスパイヴィーの行きつけの店に聞き込み、あえて茂みに誘い殺害

3人のチームだけで捜査を進める

今まで銃を持たせてもらえなかったリーチャーは、ついにロスコーからゴツい銃を託され、3人は協力して殺人事件の解決に奔走していく。

リーチャーの兄は、シークレットサービスで通貨偽造に関する捜査をしていたことが判明する。

リーチャーは被害者の弁護士を力で強引にねじ伏せ、手掛かりを渡させ、警部補はスパイヴィーの家で、強盗に間違われ逮捕された。

クライナーにリーチャーと警部補が話を聞きに行くも空振りに終わり、3人はそれぞれセーフハウスを確保し、警部補はハブルの働いていた銀行のパーティーに潜入し、リーチャーはスパイヴィーの行きつけのバーに向かった。
信用できる人間が他におらず、この3人だけで大きな闇に挑んでいく感じが格好良い。

ただ事件が進むだけでなく、人間的なやり取りもありつつ進んでいくので、とても見やすい。

特に濃く、釘付けになる様なシーンはないが、それぞれのシーンに良いスパイスが散りばめられており、見てしまう。

3話まで見て、この先が気になってしまった。

主要キャストに人間味が出てきた

3話まで来て、警部補、ロスコー、リーチャーの人間像が深くなってきて良い。

リーチャーは相変わらずマッチョすぎるが、また他人の家に勝手に入り、犬にエサを与えていたのは面白い。

リーチャー、何をやってるんだ、と冷静に警部補にツッコまれるのも含めて良い。

こんなやつに目をつけられた犬の飼い主は、たまったもんじゃない。

犬を放ったらかしにしている飼い主が悪いが、多分恐怖しかないだろう。

まさに正義のアウトローだ。

警部補の、呆れたような、戸惑いも含んだ感じの言い方が自然で良い。

リーチャーと一緒にクライナーに話を聞きに行った警部補は、クライナーの態度にキレてしまい、暴言を吐いてしまうのを、リーチャーが横でニヤニヤ見ているのが面白い。

クライナーに、君は高学歴なのか、ボストン出身だからか鼻につく、なぜか住人とも馴染めていない、と嫌味を言われ、あなたは私の父じゃない、指図するな、部下に何か吹き込んだり、妨害するなら、尻から足を突っ込んで息の根を止めてやる、とすごむのは、口汚いけど格好良い。

警部補は善人ではないが、真面目でプライドがあり、自分より権力があるであろう人間にも屈さない感じが良い。

堅物だけど、そういう意味では信頼できるのかもしれない。

その後、リーチャーに、暴言は弱さの表れだ、と警部補がロスコーに言っていたことをそのまま返され、あなたは私の父じゃない、と警部補が言っていたことを真似されている感じもコミカルで良い

ロスコーは、自分の部屋が荒らされ、警告文があったにも関わらず、怯えるどころか、逆にブチギレていたのが良い。

ロスコーが怖がり、リーチャーが慰めるのが普通だが、そうではなく、私はCIAとFBIにもスカウトされたけど、落ちたのはバカげたことへ心理的耐性が低いからよ、これはバカげている、と、めちゃくちゃ怒ってリーチャーに詰め寄っていた。

さすがのリーチャーもそんなロスコーにちょっと引いている感じも面白い。

3人でランチをした時、ケンカしだしたリーチャーと警部補に、続けるなら座らせて握手させるわよ、食べるか片付けるかどっちかにして、と、上司もろとも圧倒する感じが、お母さん的な強い感じで良い。

三者三様、独自の感情があり、それぞれ味が出て来ている感じに愛着が湧くし、良いコンビネーションになってきて面白い。

ちなみにリーチャーの兄のジョーについての回想シーンも少しづつ描かれ、兄も弟リーチャーと同じく、正義感が強い人間であることが少しづつ分かってきている。

ちょっとづつだが、殺された兄の人間像が深くなってきているのが良い。

兄は、誰かを殴ってしまったことを軍の関係者に追及され、弟のリーチャーに、動揺しないように諭し、罪を認めた場面が描かれた。

きっと兄のことだから、理不尽なことをされた相手を殴ってしまったのかもしれない。

追っ手を容赦なく葬るリーチャー

リーチャーはスパイヴィー行きつけのバーに行き、尾行があるのに気づき、わざと追っ手を茂みに帯び寄せ、降りてきた二人組みを話も聞かずに後ろから殺してしまうのには少し驚いた。

足を打って口を割らせる、とかではなく、殺してどうするのか、と思った。

仮に二人組みが何か手がかりを吐いても、そうか、ありがとう、じゃあ死ね、と結局殺すならまだ分かるが。

しかし、2人とも銃を構えてリーチャーを探していて、殺しに来ていたのは明白なので、訓練された軍人なら口を割らない可能性もあり、兄の仕返しも兼ねて、殺してしまっても構わない、とリーチャーは考えたのかもしれない。

普通の正義のヒーローなら、多分殺さずに一応口を割らせようとする展開になるだろうが、いきなり殺すのが、普通のヒーロー像じゃない怖さがあって良い。

そしてその遺体をトランクに入れようとして、スパイヴィーの死体が見つかり、リーチャーが嘆いてこの話は終わるが、それよりも、二人組のポケットからお金らしき物を物色している様は、正義でも何でもなく、リーチャーに怖さを感じる方に目がいく、不穏な終わり方で良い。

悪に容赦しないどころか、リーチャーも悪にすら見えるので、このくらいぶっ飛んでないと、巨悪とは戦えないんだろう、と思う。

「第4話-木の中」を”観て損はない☆3″理由と考察、その感想

第4話で起きた主な出来事

死体を処理したリーチャー、ジョーのレンタカーチェック、ロスコーとリーチャーの口論、リーチャーのバクダッドでの過去明かされる、空港に死体を捨てに行く、ロスコーとリーチャーがホテルに泊まる、モリーと話す、ピート・ジョブリンの家を訪ねる、警部補町長に説教される、ピカードから情報もらう、ジョーのモーテルで荷物取りに行くが襲われる、ジョーとリーチャーの回想シーン、3人でジョーの残したメモ分析、リーチャーが探偵雇う、モリー到着するもすぐ殺される、

アクションもドラマも盛り上がってきた

4話は、アクション的にもドラマ的にもそこそこ面白かった。

リーチャーとロスコーのケンカも良いし、銃撃戦などのアクションも悪くなく、サスペンスとしても先が気になる。

リーチャーのバクダッドでの過去も明かされ、リーチャーが知り合いの探偵に協力を依頼したのも期待感があり、クライナーが偽札を作っていたことが示唆され、シークレットサービスのモリーが来て早々殺されたのも、より不穏な空気を醸していて良い。

リーチャーは相変わらずマッチョだし、ロスコーとリーチャーのラブシーンは余計で、ない方が良かったと思うが、全体としては、エンターテインメントとして、楽しめる回だったと思う。

悪に容赦しないリーチャー

リーチャーは、前話で殺した二人組の遺体をトランクに詰めたが、入らないからといって、足をバキバキに折って詰めていたのは怖い。

いくら敵でも、同僚としたら少し引いてしまう。

やっぱり、勝手に殺したことを二人に責められ、背中から撃ったことがロスコーにばれ、しっかり責められていたのが良い。

そこでロスコーに不審がられ、リーチャーはバグダッドでの過去を話さざるを得なくなり、子供に暴行していた民間人を殺していたことが明かされた。

前話で殺した二人組もそうだが、悪と断定したらすぐに殺してしまう冷酷さは、彼のことをよく知らない人からしたら誤解を招いてしまうんだろう

悪に対して冷酷なだけだとしても、そこが一人歩きしたら、怪物のような印象になってしまう。

バグダッドでの詳細を聞かされたロスコーは、もう疑いの気持ちはない、とリーチャーに返事をした。

ロスコーは、リーチャーの破天荒な行動も含め、真っ向から受け止めてぶつかるので、人間的でとても良い。
普通引くところを怒ることが出来るのは、魅力的な人物描写だ。

しかしロスコーは警察なのに、一緒に遺体を空港に隠しに行くなど、リーチャーに信頼があるから出来ることだが、もう後戻りは出来ない沼に足を踏み入れてしまっている。

警部補も同様だが。

絶対に真犯人を見つけなければ、この3人は不正に支配された警察に逮捕され、刑務所で過ごすことになってしまうので、背水の陣てはある。

控えて欲しいロスコーとの親密さ

空港に遺体を放置した後、リーチャーとロスコーは一緒にホテルのスイートに泊まったが、今度はあからさまなラブシーンがあり、 なんだかなぁとなった。

一緒に泊まる所から嫌な予感がしていたが、案の定だった。

20代の若者同士じゃないし、リーチャー像がどんどん崩れていくから、もうやめて欲しい。

ロスコーとリーチャーが偽名について廊下でしゃべる感じもイチャイチャ楽しそうで少し軽く、もう少し抑えて欲しかった。

どちらかというと、ロスコーよりも、リーチャーのしゃべりが楽しそうに見えてしまう感じがちょっと邪魔だ。

しゃべりは楽しそうでも、決して恋仲にならないならまだかわいいが、そのまま恋仲になるので普通すぎる。

もっと不器用で孤高感がなければ、深いヒーローにはなり得ない。

リーチャーは、人間関係は築かないんじゃなかったのか?

ロスコーは確かに魅力的だが、その掟を破るのが早すぎるし、破る葛藤も何もなかった。

普通の若者の恋愛みたいだ。

一応掟は作ったけど、たまたま今までそういう状況にいなかったから、掟が守られているように見えているだけで、実は心理的な効力は全くなかったのか?

せめて、恋仲になるのは、修羅場を一緒にくぐり抜けた後で、とか、物語の終盤でいいんじゃないか?

早めの方が、視聴率稼げるのか?

ロスコーも心を許しすぎている。

リーチャーは、兄についてモーリーと話し、兄を失った悲しみが再びこみ上げてきたとしても、ロスコーはもう十分寄り添っている。

ロスコーは、リーチャーの感じに惚れたのかもしれないが、やはりちょっと早い。

描写自体もあからさまで、家族と見ていたら最悪だったと思う。

アメリカではこれが普通なのか?

恋愛専門の映画ならしょうがないが、アクションやサスペンスには、そういう要素は基本的に不要で、あっても添える程度で十分だと思う。

人物像がブレるくらいなら、なおのこと控えて欲しかった。

囮になったリーチャーに怒るロスコーは良いが、もったいない

FBIのピカードに、ジョーが荷物を預けていたモーテルを教わり、ロスコーとリーチャーはそのモーテルに向かうが、待ち伏せされていたのか、殺し屋と銃撃戦になった。

そこでリーチャーは二人を相手に奮闘するが、残った一人に銃を向けられ、間一髪の所をロスコーの銃弾で救われ、その後に礼を言うリーチャーにロスコーが思い切りビンタしたシーンは良かった。

なぜ囮になったの? 私をか弱い女だとでも思ってるの? と、すごい剣幕で怒るロスコーに涙腺を刺激された。

リーチャーはあえて二人組に追われるように車の進行方向に飛び出し、一人で二人を相手にした。

ロスコーにしたら、自分が同等のチームメンバーとして見なされていないことはもちろん、全て一人で背負い込み、最悪自分だけ死ねば良い、ということなんて許さない、ということだろう。

本当にチームだと思っているからこれだけ怒れる訳で、普通は、助けてくれてありがとう、で終わりだ。

このドラマを今まで見てきた中では、一番熱いシーンだった、かもしれない。

頼れるものは基本強い自分しかおらず、孤独に生きてきたリーチャーにとって、こんなことを言われたのは初めての可能性もある。

しかし、殴られたリーチャーは少し不憫である。

なぜなら、リーチャーはロスコーがどれほどの身体能力か、戦闘における判断能力があるのか把握していないので、他者より極めて秀でた戦闘能力がある自分とロスコーを同等に扱う、というのは、 この時点ではかなり無理があったんだろうと思う。

把握していないのに、いきなり同等に扱ったら、それこそイカれているので、リーチャーとしては止むを得ない、正しい判断だったんじゃないか?

ロスコーとしては、二手に分かれようというのは嘘だったことが分かり、騙された気になったのかもしれない。

しかし、あの短い時間で、俺が囮になる、と嘘をつかずに言ってすぐ受け入れてくれれば良いが、もし拒否されたら、リーチャーはどうすれば良いのか分からなくなるから、嘘を付くしかなかったような気もする。

もしロスコーの銃の腕前がリーチャーを凌ぐもので、それをリーチャーも知っていたら、リーチャーが囮になる必要はなく、リスクの低い他の作戦を遂行出来たのかもしれない。

なので、リーチャーを殴った後に、私は射撃チャンピオンよ、あなたが囮になる必要はなかった、とか言うなら筋は通ったかもしれない。

競技と実戦は違う、とリーチャーが反論したって良い。

しかし、ロスコーにそんなスキルがあることは示されていないし、仮にあったとしても、それをリーチャーと共有しておかないのは、大きなミスである。

実際に銃を撃つ姿を見なければ、さすがのリーチャーも銃の腕前は測りかねるかもしれない。

なので、このシーンのやりたいことは分かるが、ロスコーが正当にリーチャーに怒れる確固たる背景をそれまでにちゃんと作っておくべきだったと思う。

CIAやFBIにスカウトされた、というだけでも足りない。

ロスコーの怒る演技自体はとても良く、本当に強く怒っているので、大分もったいなかったと思う。

ロスコーに、一緒に寝たことで関係性は変わらないと言ったわよね、とリーチャーに詰め寄られ、リーチャーは、ジョーなき今、一番大事な存在だから、的なことを言っていたが、それも早いと思う。

もしそうだとしたら、ロスコーに心を持っていかれすぎだ。

せめて、そうじゃない、君が足手まといだったからだ、くらい言った方が気持ちが良かった。

本当は好きでも、言葉にするのは野暮で、キャラクターに合っていないので、はっきり言う必要もない。

それに、本当は守る必要がなかったのに守りたかった訳でなく、守りたかったし守る必要があったので、ただ守りたかっただだけではない。

なので、そこら辺をはしょって、単にリーチャーがロスコーに気を使った、という様に見えてしまう描き方が、少し引っかかる。

リーチャーが強く反論しないのも、そういうことだろう。

今回のロスコーの銃撃で、彼女には度胸もあり、銃の腕前も一流であることが分かったなら、今後は、リーチャーも以前よりは、ロスコーに胸を借りる機会は増えるんだろうとは思う。

それでも、身体能力や軍隊の実戦経験や知識は、同等に扱うのはやはり無理だが、一人じゃないんだ、という安心感をリーチャーに与えることには成功した、と言えるかもしれない。

ロスコーの能力は置いておいても、その気持ちの強さ自体は大分格好良かった。

なので、もっと面白くなったんじゃないのか、とは思う。

次第に明らかになるジョーの人柄、突然のモリーの死

ジョーは成人としての姿は一切出てこないが、リーチャーの回想やモリーの話で、次第にどんな人間が分かっていく感じが悪くない。

子供の頃、リーチャーと一緒にいじめっ子達と闘ったり、自分が友人を殴ったことを認め、父を説得しようとするリーチャーをなだめたり、勇気もあるが冷静さもあり、リーチャーの正義感の強さは、ジョーからの影響を強く受けているんだろうと思われる。

成り行きを見守って黙っていたリーチャーに、本能的に黙っていたんだろう? きっとそれは合っている、という言葉は深みがある。

きっと、父の上司の息子を殴ったのも、いじめっ子の様に悪いやつだったからで、実はジョーは悪くないのかもしれない。

父の友人の軍人も、あいつは性格が悪い、とその上司のことを評していたので、きっとその息子もろくな奴じゃないんだろう。

クライナーの会社には、大量の牧草が運び込まれていて、リーチャーはそれに疑問を持ち、クライナーは偽札を作っているとも言っていた。

ジョーはシークレットサービスで通貨偽造の犯罪を捜査していて殺された事を考えると、その牧草には、実は偽札が入っているのかもしれない。

街の町長も頭が上がらない、事実上の支配者であるクライナーが、偽札を作っている、というのは何とも大きな事件になってきた。

真相に近づくにつれ、より大きな身の危険がリーチャー達に降りかかるであろうことは想像に難しくない。

リーチャー達はこの巨悪をどう成敗していくのか、期待感はある。

ちなみに、ジョーを慕い、情報提供をしにマーグレイブに来たジョーの部下のモリーは、電車で駅には来たものの、リーチャー達と会う前に殺されてしまったが、なんとなく殺されそうな感じだったので、驚きはなかった。

誰か内通者がマーグレイブ警察内部にいるようだが、実はチームの一員である警部補だった、ということはやめて欲しい。

ロスコーではないにしても、警部補はなぜボストンから来たのか、なども明かされておらず、まだ可能性が無きにしもあらずなので、クライナーに楯突いたのも全て芝居だった、などとなるとちょっと下がってしまう。

3人で街の巨悪に立ち向かう感じが格好良いし、良いトリオなので、そこは崩さないで行って欲しい。

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