ドラマ「御上先生(2025)」が”つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1
  1. 御上先生
  2. ドラマ「御上先生」のあらすじ
    1. 「第1話-destruction-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 現役官僚が教師になる、見やすいドラマ
      2. クライマックスがなかった、生徒たちや神崎との会話が物足りない
      3. オトボケ主任の溝端
      4. 良い音楽もあるが、もっと控えめで良い
      5. 御上にまだ深い味はない
    2. 「第2話-awareness-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 話しは進んだが物足りない
      2. キレイな映像が見やすくて良い
      3. 味のある脇役たち、副担任の是枝、元教師の冴島、ギラギラの理事長
      4. なぜもっと生徒に議論させないのか?物足りない授業描写
    3. 「第3話-beginning-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想
      1. 何もなかった3話
      2. 御上がなぜ殺人犯に会ったのか不明
      3. 議論の仕方を生徒に何も教えない御上
      4. スカッとはしない御上の苦言
      5. 4話から巻き返して欲しい
    4. 「第4話-fate-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. 見どころの少ない4話
      2. 初めて少し良かったが、もっとやって欲しい討論シーン
    5. 文科副大臣VS御上の生徒達の物足りない対決シーン
    6. 「第5話-confidence-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想
      1. 何も起伏のない5話
      2. 神埼と御上が殺人犯と面会、物足りない神崎と真山の対話
      3. 薄っぺらいコンテストの優勝までの道のり
      4. 乗り越えるべき悪の描写が皆無
      5. 存在感のなくなってきた御上
    7. 「第6話-confession-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想
      1. 御上がついに兄の事件を語るも物足りない6話
      2. 生徒に怒られて動くボケボケの御上
      3. 御上の兄がなぜ死を選んだのか不明
      4. ちゃんと描かれない兄の物語
      5. くさい感動シーンとまだ目的を生徒に発表しない御上
      6. 上手な悪の古代理事長
      7. 御上の逆襲、終盤に向けての尻上がり展開を望む
    8. 「第7話-delusion-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想
      1. クラスメイトをみんなで退学から救う話だがつまらない
      2. クラスメイト達はなぜ最初から椎葉を助けるスタンスなのか?
      3. 意地を見せない椎葉
      4. 普通の教師の御上、リアルでない生徒像
    9. 「第8話-strategy-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想
      1. 冴島事件の進展は気になるが、特に見どころもない8話
      2. 勉強法のシェアは、もっと具体例をたくさん出して欲しかった
      3. ゆるい御上と是枝の空気感
      4. 真山に何が起こったのか分かりづらすぎる
      5. 足りない真山の人間描写
      6. 隣徳学院の闇は不正入学以外に何かあるのか?
    10. 「第9話-joker-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想
      1. センチメンタル回の9話
      2. よく分からない富永の家庭事情とセンチメンタルな御上
      3. 深い冴島、物足りない真山の振る舞い
      4. ヤマトタケルは誰だったら良かったか?
      5. 最終話では、痛快な悪の散り際を見たい
    11. 「第10話(最終話)- Puppets can’t control you -」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想
      1. 物足りない最終話
      2. 深くない槙野のキャラクターと軽い御上
      3. ミュージカルの様な神崎と千木良の立ち位置
      4. 不自然な千木良の告白シーン
      5. 鼻につく富永
      6. 真山の改心の演技は良いが、まだ足りない
      7. あっさりした最終決戦、足りない悪の描写
      8. 千木良だけ高卒認定、くさい最後の授業
      9. ドラマ「御上先生」を見終えて

御上先生

テレビ局-TBS プロデューサー-飯田和孝、中西真央、中澤美波

演出-宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜

脚本-詩森ろば 脚本協力-畠山隼一、岡田真理 音楽-鷺巣詩郎

出演– 松坂桃李、吉岡里帆、及川光博、岡田将生、櫻井海音、北村一輝、、臼田あさ美、迫田孝也、奥平大兼、他

ドラマ「御上先生」のあらすじ

文科省の現役官僚の御上孝は、隣徳学園に教師として派遣されることになる。

塾も経営する隣徳学園は、理事長の方針もあり、教育に力を入れている進学校である。

赴任早々、官僚の現実や、世の中の厳しさについて、包み隠さず生徒に伝える御上の教え方は、副担任や主任教員から反発を招くことになる。

そんな中、生徒の神崎から、実は御上は文科省の不正にかかわり、その責任を取ってこの学校に左遷させられた、という暴露記事を学校中に貼りだされてしまい、学校は騒然となる。

その事実をおおむね正しいと認めた御上は、神崎が指摘した問題は表層に過ぎず、大きな闇が隠されていることを告げるのだった。

「第1話-destruction-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

現役官僚が教師になる、見やすいドラマ

エリート官僚が教師になるドラマ。

大分キレイな映像で、セットじゃなく実際の建物で撮影してるので良い。

セットも混じってるかもしれないが。

主人公の御上の少し低めの声としゃべり方が聞きやすく、演技もあざとくないので、引っ掛かる所もさほどなく、最後まですぐに見れてしまった。

エンドロールもスタイリッシュで、格好良かった。

しかし、見やすかったのは良いが、よく分からなかった。

これで終わり?という感じで、事件が起きたような起きてないような、つまらなくもないが面白くもなく、あっさりしていた。

もっと言えば何もなかった。

なぜなのか考えていきたい。

クライマックスがなかった、生徒たちや神崎との会話が物足りない

ゴシップ記事を書くことが趣味の神埼が、御上が実は天下りの事件に関わっている過去を暴き、学校が大騒ぎになって、御上がその記事は概ね事実だ、と認め、自分にちゃんと取材をしろと神崎に迫った所までは分かるが、その後の御上の言ってることがよく分からなかった。

御上が、なぜ不倫した冴島は学校を辞めて、相手の男性教師は左遷で済んだのか、と生徒に問いかけるが、そこをもっと掘り下げて欲しかった。

例えば、男性教師は図太くて冴島は弱かったから?批判は両者にあるはずなのに、なぜ男性教師が系列の塾に行くことは許される?暴露しただけでその経緯は調べてないの?君たちはそれも止めて欲しい、甘いとは思わない?目の前から消えれば良いだけ?そもそも教師が不倫してようが、君たちの学力には関係ないんじゃない?不倫してても教え方が上手い方が良いとは思わない?じゃあ暴露しない方が得じゃない?神崎に腹が立ってる生徒もいるんじゃないの?それでも暴露は正義?などと、生徒にじゃんじゃん問いかけて欲しかった。

考えさせるって、その考えの幅をある程度実際に提示しないと、教師がただ一言問いかけて、考えて、で終わりでは、どうやって考えれば良いかすら分からない。

そういうことをせず、なぜ想像力を使わなかった、真のエリートは他者を思いやれる、上級国民になるな、と言われても、何が言いたいのかよく分からない。

格好良い名言めいた事を言うのは良いが、ちゃんと考えさせる授業をした後に言えば良い。

放課後に神崎と御上が話すが、御上が明かしてくれた内容がぼんやりしすぎて、これもよく分からない。

御上の不正と試験会場の刺殺事件とこの学校、そして文科省、神崎が暴露した冴島の不倫がつながっているかもしれない、と言っていたが、情報が多すぎるし、ハッキリしないので、そうなの?という感じで終わってしまった。

バタフライエフェクトによって、単なるゴシップ記事が遠因になり、人を殺し得る、と御上は言っていたが、説教なのか事実を言っているのかもよく分からない。

両方なのかもしれないが。

不倫のゴシップ記事が人の人生を台無しにしている、と言われても、神崎同様、だからなんだ?と思うので、説教としては浅い。

表層しか扱わないゴシップ記事など意味がなく、本当は、なぜ冴島はクビになったのに、不倫相手はクビにならず、系列の塾に回されただけで済んだのか、その背景にはこの学校の大きな闇が潜んでいる、それをスクープしないなんて、報道の記者失格である、と言いたいなら、そうはっきり言えば良い。

ボンヤリと匂わすだけで終わっているのが大分物足りない。

さらに、冴島のゴシップ記事が、試験会場の刺殺事件と関係しているかもしれない、というのも、君の記事のせいで人が死んだ、同責任取るんだ?とはっきり詰めれば良かった。

神崎もなぜか受け身で聞いているだけなので、面白い会話になり得ていない。

神崎が録音しながら官僚の不正について質問し、御上はそれに対して実名も挙げて、証拠も提示し、聞いたこと全てに次々隠さず答えていき、神崎も興奮していく、とかだったら面白かった。

官僚の大きな闇を神崎に晒し、君はこれを記事にする勇気はあるか?君の記事は表層しか扱っていない、所詮ゴシップ記事なんてその程度だ、などと切るとかなら格好良かった。

この学校は官僚とも深いつながりがある、もみ消され、君は退学になるだろう、それでも真実を世にさらす覚悟はあるか?記事にするならそれくらいしろ、私は構わない、やるなら協力する、とか言って欲しかった。

そうではなく、大きな闇が隠されている、かもしれない、と神埼に言うだけなので、こっちもポカンとしてしまう。

このシーンで、御上がどんな人間か、信頼出来る人間か否か、なぜ神埼の記事が浅いのか、ハッキリと提示する必要があったが、そうはなっていない。

第一話のクライマックスとしては大分物足りず、なぜか全て匂わすだけで終わっている。

ハッキリしないその匂わせから、とんでもない闇があるんだ、と勝手に想像して楽しめるほどの深みが、御上の振る舞いや雰囲気には特にない。

あざとくはないけど深くもなく、格好良くも悪くもない。

そんな状態で、神埼がかつての御上の友人に似ているから放っておけない、と言われても、ふーん、そうなんだ、としかならない。

御上はハッキリしたことは言わず、神埼にも、見ている者にも考えてもらいたい、というスタンスなのかもしれないが、物足りない。

これなら、ハッキリした言葉で神埼をまくし立てる方がまだ良い。

この神埼とのシーンが終わって、エンディング曲がかかったので、もう終わりか、と拍子抜けの様に感じてしまった。

昨今パワハラがどうの、と言われているから、あまり教師が生徒にきついことを言うシーンを描いてはいけないから、こうなっているのか?

もう十分言っている気もするが。

オトボケ主任の溝端

主任の溝端が、元担任の是枝が勝手に期末テストを作っていて問題だ、と悪口を言い、是枝の作った期末テストは、最近のトレンドを取り入れていて良く出来ている、と御上に一蹴されていたが、溝端はアホすぎると思った。

溝端は主任にも関わらずそのテストを解いてすらないのに、勝手に作ったのは問題だ、と言うのはあまりにも中身のない悪口で、解く必要がない、と怒りながら反論するのもアホすぎる。

それに、いきなり赴任初日の教師に、聞いてもないのに、是枝は名家の縁故採用だ、なんて言うか?

こんな主任教師はさすがにいないんじゃないのか?

せめて、実は解いてないことを明かさず、トレンドを取り入れれば良いってもんでもない、急に昔の問題の出し方に戻ることもあるから、過去の実績を重視すべきだ、くらい取り繕って言って欲しかった。

後ろで他の教師たちが、バチバチだな、などと笑っていたが、バチバチどころか溝端のボロ負けだ。

溝端も問題を解いていて、長文の作家の選択が悪い、違う作家の誰々にした方が良い、などと問題の中身で御上と議論する、とかなら確かにバチバチだったかもしれないが。

そして、理事長に、御上は腹に一物持っている、厄介な匂いがする、理事長が御上と接する時と自分と接する時では別人だ、と報告したが、一体どこでそう思ったのか?

御上が溝端にひどい態度をとっていないことは他の教師たちにも見られているのに、よくそんな大嘘が言えるなと思う。

溝端にはむしろ御上はにこやかに接していた。

主任だから、是枝からも御上の感じを聞いて、自分が恥をかいたことが悔しくて悪く言っているのか?

いずれにせよ、腹黒いというか、いつか必ず破綻するアホだ。

確かに御上は腹に一物持っていて、厄介なやつなので当たっているが、その嗅覚だけは異常に鋭いのか、たまたまなのか。

溝端は主任なのに、進学校には似合わない、ダメダメ教師のなごませキャラなのか?

理事長が、御上の過去が暴露された後、こういう問題を処理してくれなければ君を雇った意味がない、みたいなことを言っていたから、溝端は何かの裏工作要員なのか?

それにしては、ボロを出しすぎで、役立つとは到底思えないが、何かの特殊能力に特化していて、わざとアホを演じているだけなのか?

主要人物として溝端の人物像は浅く、邪魔だった。

典型的な分かりやすい嫌なヤツを作ろうとして失敗したのかもしれない。

こんなあざといザコキャラでなく、リアルに、なんかこの人嫌だな、という敵を作って欲しい。

この役者の演じ方は、演技してる感をいつも強く感じるので、演劇臭がして心を動かされない。

コントの演技というか、全て頭の中で決めた仕草や振る舞いをなぞっている感じがして、リアルな会話のアドリブ感がなく、つまらない。

良い音楽もあるが、もっと控えめで良い

音楽は所々控えめで、状況を盛り立てている繊細な良い音楽もあったが、序盤からの大げさな音楽は上滑っているので、音楽はもっと控えめでも良いと思ってしまった。

というか、主人公がどんな人間か分かるまで、音楽っていらないんじゃないか?

映像がキレイな分、より音楽がなくても見てられるんだから、本当に少しで良い。

今後の話で徐々にドラマの方向性や主人公の人間性が明かされていけば、いずれ流せる時は来るんだから、無理やり一話からじゃんじゃん流していく必要はないと思う。

特に、讃美歌的な音楽は、相当なシーンでない限りしっくりこないので、止めた方が良いと思う。

アンチヒーローでもそんな音楽が流れていたけど、日曜劇場は讃美歌的な音楽が好きなんだなと思う。

何のインスパイアなんだろう?

ドラマチックな展開になっていった時には、しっくり来る瞬間もあるのかもしれないが、基本として使っていくのは怖い音楽だと思う。

御上にまだ深い味はない

序盤から映像がキレイでスタイリッシュさもあり、主人公の御上もあざとくないので、比較的見やすかった。

御上は、怖い感じも、笑うかわいい感じも、どちらも嘘でない感じに見えるので悪くない。

御上のしゃべりが聞きやすい反面、今のところ特に御上に魅力は感じなかった。

髪に薄くパーマがかかっている感じや、元からそういう髪質という設定なのかもしれないが、甘いマスクも含め、良いルックスを超えた濃い人物像にはまだなり得ていない。

ドラマ部分が濃ければ、クライマックスの神崎との会話が、もっとしびれるような強い会話だったら、そう思えたかもしれないが。

ちなみに、御上が廊下に入って来た蝶を逃がしていたシーンがあったが、スローモーションになっているのがダサかった。

なぜスローモーションにしたのだろう?

冷酷で怖い雰囲気のある人間が、蝶を外に逃がしている姿を見た人には、感動してスローモーションに見えるのか?

御上はおかしなことは言ってないし、そんな冷酷にも見えないので、特にハッとさせられることもない。

蝶を外に逃がすのは何も特別なことではないのに、変なスローモーションの使い方だった。

「第2話-awareness-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

話しは進んだが物足りない

試験会場の刺殺事件の犯人が、実は神埼が不倫を暴露して学校を辞めた教師、冴島の娘だと判明し、そのことについてどう思うのか、御上が生徒達と教室で話し合う展開自体は面白かった。

御上に刺激された神埼が、なぜ冴島は辞任したのか理事長に直撃し、逆に理事長から、取材したらどうか?と勧められるのも面白い。

しかし、教室での話し合いは、ディベートと呼べるほど白熱したわけでもなく、数人がしゃべっただけであっさり終わってしまったので物足りない

御上が試験会場刺殺事件の犯人に会いに行く、というのも興味をそそられるし、全体で悪くない展開はいくつかあっても、さわさわされるだけで、面白いとガツンとくる訳ではなかった。

キレイな映像が見やすくて良い

何度も言うが、このドラマは映像がすごくキレイで、しかも実際の建物や道などでロケをしている感じが、それだけでかなり見る気になる。

不思議だが、本物の空間の力はそれだけ強いのかもしれない。

ドラマというより映画の画質のようで、全部のドラマが最低限こうであれば、もっと見たいと思うのに、と思う。

一目でセットだと分かる様な建物や部屋に加え、実際の目に映るよりも劣る画質だと、やはり見るのがしんどい。

セットでも慣れてくればまだ気にならなくなるが、それまでに時間がかかるし、時折やっぱり作り物だよな、と現実に戻されるきっかけになり得てしまう。

なので、こういう映像の見せ方は、入り込みやすく、ストーリー自体や役者の演技により集中しやすいので良いと思う。

知らないが、セットを全く組まないとしたら、その分ロケ場所を探すのが大変だったり、キレイな画質自体にお金がかかったり、色々大変なのか?

逆にセットを組まないことで、浮いたお金で画質を上げられるのか?

分からないけど、せっかく作るんだから、キレイにこしたことはない。

仮に背景がいくら本物で画質がキレイでも、ドラマが物足りなかったり、役者の演技がイマイチなら、当然面白くはならず、むしろそれらのダメさが浮き彫りになり、言い訳出来なくなるので、より良いんじゃないかと思う。

なので、そういう意味で見やすいのも、一つの良い要素だとは思う。

しかし肝心のドラマ部分が物足りないので、残念ではある。

味のある脇役たち、副担任の是枝、元教師の冴島、ギラギラの理事長

副担任の是枝は自分に自身がなくなっている様な、マイナスの演技がリアルで良い。

御上に指摘され、神崎が起こした冴島の事件について深く考えようとしていなかった、というのを認めるシーンは、本当にその場で考えて、そうです、と返事しているように見えたので良い。

この役者は、笑顔は素敵だが、マイナスの感情を抱えている感じがよく似合う。

笑顔も、手放しの晴れやかさというより、苦笑いとは言わないが、どことなく悲しみの様なものを含んでいる感じがある。

きっと、この役者はネガティブな思考がベースにある人なのかもしれない。

それは悪い意味ではなく、その方が人間らしく、年を取って自信がついていけば、マイナスを経た深みのある、強い演技を身に着けられる可能性があると思う。

神崎に記事にされ、学校を辞めざるを得なくなった冴島が、一見冷たい感じにも見えるが、神崎と少し接している内に、実は悪い人ではない事が分かる感じが味があって良い。

これから何があってもあなたのせいじゃないから、というのも、神崎のためを思ってのことだし、傘を無理やり渡そうとするところも、ニコニコはしてないが、悪い人どころか、良い先生だったんだ、と分かる深みのある演技で良い。

不倫をしたのは、出来心とかではなく、何か弱みを握られていたなど、何か理由があったのかもしれない、と思わしてくれる。

ちなみに、神崎と冴島がしゃべっていた高架下では、外で雨が降っていたが、わざと降らせた雨っぽくて嘘くさかった。

かなり明るいのに土砂降りである、という変な天気雨の時に撮ったのか?

イケイケの理事長は、ビシッとスーツを着こなし、テレビに出る余裕のある感じとか、車から出て来て生徒に元気良く挨拶する感じなど、表面上は本当に生徒に優しく紳士的だが、かなりギラギラもしてる感じが、とんでもない悪かもしれない様に見えて良い。

神崎に直撃された時も、全く動じず、紳士的な話し方で、取材してみたらどうですか、と神崎に提案する感じも、どっちなのか分からない風に見える振る舞いで良い。

もう、多分悪いやつなんだろう、と思ってしまっているが。

本当にオープンで、隠し事がないから取材されても平気な訳ではなく、きっと取材しても絶対に真相にたどり着かない、着かせない、という自信があるから言っているんじゃないかと思う。

実は冴島ともグルで、わざと隠し事をして、それを暴いてくれるジャーナリズム精神あふれる生徒を待っている、訳ではないだろう。

そのために嘘の不倫写真を撮らせ、離婚させたとしたらやり過ぎで、すごい記者が生まれる保証もなくリスキーで、学校にメリットもない。

冴島の感じを見ても、学校に何か闇があるんだろう。

この理事長の余裕の顔が引っペがされて、醜い醜態をさらすとこまで行ったら面白い。

そういう意味で、手強そうな悪で良い。

主任の溝端は、一話で理事長に、御上の過去がばらされた騒動の時、こういう時のために君を雇っている、と言われていたが、今話では特に何もしていない様だった。

今はまだ力を溜めていて、いざという時に力を発揮するのか?

それとも理事長の発言はただ溝端に発破をかけただけで、ただのオトボケ主任なのか?

暴露新聞を作っている神埼は、報道記者を目指している、と言う割には、御上への追求も厳しくないし、冴島や理事長に対しても、独自に真相のシナリオを作って理論武装して切り込んでいく訳でもないのが物足りない。

高校生なので、冴島や理事長に会いに行っただけでも行動力がある方なんだろうが

御上の生徒達のセリフ回しは、基本的に与えられたセリフをただ言っている人が多いように感じた

与えられたセリフを、決められたタイミングで言え、と言われているだけでは、当然そうなるのでしょうがない。

なぜもっと生徒に議論させないのか?物足りない授業描写

良い脇役もいるものの、この2話のクライマックスや見どころは特にないまま終わってしまった。

起こった出来事は盛りだくさんの割に、何も起こっていない様にも感じ、ただストーリーが進んだだけの印象を受けた。

冴島への神崎の取材、刺殺事件の犯人が学校の元教師の娘と判明してマスコミが学校に押し寄せる、クラスでの話し合い、官僚のよからぬ接待、是枝の反省、理事長のテレビ出演、理事長が神崎に自分への取材を促す、御上が刺殺事件の犯人と面会する、など展開はたくさんあった。

しかし、所々良い瞬間はあっても、少しだけで終わってしまう。

かといってそれぞれのシーンがとても濃いというわけでもないので、つまらなくもないが、面白くもない。

2話の見どころになり得たのは、御上と生徒達が神崎のスクープを発端にした一連の騒動に関して議論する場面だったと思うが、それも少し話しただけで終わってしまったので、大分物足りなかった。

御上が主導して、神崎のスクープさえなければ殺人事件は起きなかったから、神崎は殺人犯と同じなのか、はたまた、神崎はあくまで事実を報道しただけで何も罪がなく、むしろ良いことをしたのか、君らは本当はどう思っているんだ?などと生徒を煽って白熱した議論をすべきだった。

ハゲワシが飢餓状態にある子供を食べようとしている写真についても、この写真撮影は善か悪か、君たちならどうする?と多様な意見をつのって、報道とは何かについて議論して欲しかった。

このシーンが熱い生徒達の言い合いになり、極論を言う生徒や正論を言う生徒、それは偽善だ、などと論破されたりなど、朝まで生テレビ的な討論が見たかった。

ちょろっと数人に意見を言わせて終わるんじゃなく、自分から議論に参加しようとしない生徒を指名して意見を言わせたら、一番バランスの取れた深い意見だった、とか、こいつこんなこと考えてたんだ、などと印象がひっくり返る様な意外性が描かれても面白い。

このくらいの議論であれば、御上が他の教師と違った独特感は特にない。

御上はこの学校に来た目的が、悪を世にさらすことが目的だったとしても、官僚が良い職業でないことを明かしたり、普通の教師じゃない進め方で授業を行っているんだから、もっと濃い授業でなくてはならない。

そうでないなら、全く爪を見せずに、生徒の前ではごく普通の授業をやる何の変哲もない教師だが、実は学校と国の悪をさばきに来た、などとハッキリした二面性がある方が面白い。

なので、ここは長くなっても良いから、濃い授業にして欲しかった。

そうじゃないので、上述した通り、この話はどこが見どころかよく分からない。

ちなみに、マスコミが学校に押し寄せ、校内に入るのを躊躇していた神崎に、御上が後ろから背中に手を添え、神崎を守りながら一緒に学校に入っていく感じは格好良かった。

御上は、今のところ存在感があるようでなく、ないようでなくはない。

生徒にシビアな現実を隠さずに伝える一方、上述した通りそこまで革新的で独特な授業を行っている訳ではなく、御上自体もどんな人間かはよく分からない。

御上の学生時代の友達が、御上に影響を与えたらしいことは匂わされているが、今のところ御上の過去に興味をそそられるほど、御上は魅力的ではない。

まだ始まったばかりなので、今後御上の人物像が深く描かれていくのかもしれない。

「第3話-beginning-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想

何もなかった3話

御上が殺人犯に会いに行き、神崎は父からこれ以上調べるなと釘を制され、クラスでは神崎の理事長直撃や中学の学習指導要領のおかしさについて話し合い、御上の兄が自殺していたことが判明、御上はついに学校の全教師達とあからさまに対立する姿勢を見せ、学校には新たに不正を告発する脅迫のようなFAXが送られてきた所で物語は終わった。

御上の同僚の槙野は中岡と接触を図ろうとしている。

今回の話でも、見どころは何もなかった。

一話二話に感じたような期待感もなく、この話は、つまらない、と言って良いと思う。

なぜなのか考えていきたい。

御上がなぜ殺人犯に会ったのか不明

冒頭で御上が殺人犯に会った理由がよく分からなかった。

君は大量殺人のテロリストと同じ、君のやったことで世界は何も変わらない、でも君の戦いが孤独だったことを僕は多分知っている、殺した人の顔が忘れられないだろう?と殺人犯に言っていたが、何がしたかったのかよく分からなかった。

全ての通り魔に対するメッセージか?

それにしては、一方的に殺人犯のやったことをコケおろした上で、ちょっと寄り添うことを言うことに、何の意味があるのかと思う。

この冴島の娘はいじめられていたらしく、その原因は冴島の不倫で、神崎が暴露しなければ、この殺人は起きなかったかもしれない。

親のせいで、自分のせいでもなんでもない、理不尽な苦痛を強いられたことは、御上の言う通り孤独で地獄だったかもしれない。

しかし、御上は孤独だったことを多分知っている、と口で言っているだけで、殺人犯が、分かってくれたんだ、と思うとは思えない。

エリート官僚の時点で、お前に分かるわけない、と思うだろうし、分かる理由を提示せずに、本当に分かってくれてる、と思うほどの深い雰囲気もない。

少し寄り添った後に、殺した人の顔が忘れられないだろう?と結局突き放す理由は何だ?

この人に会っていれば、私はきっと事件を起こさずに済んだのに、と思える会話ではない。

殺人犯が以前に言っていた通り、わざわざ会って言うほどのことじゃない。

会った目的が、どういう経緯でどんなイジメを受けたのか、母親からは何と言われていたのか、殺人犯が通っていた学校や隣徳学園はイジメに対処しなかったのか、など当時のことを聞き出す目的なら分かる。

そうではなく、殺人犯に説教し、格好良いことをただ言いに行っただけにも見えてしまう。

殺人犯がいくら辛い思いをしたからといって、関係のない人に暴力や傷つける行為に走ってしまったら、それは負けだ。

しかし、助けてくれない社会を放置して良い訳がなく、社会も変えなければいけない。

だから、君は負け犬で、やったことはどうしようもなく浅い行為だが、人を殺した君を警察が逮捕した様に、僕はこんなどうしようもない社会を変える、だから何があったのか、当時のことを詳しく聞かせて欲しい、とか言って欲しかった。

あくまで、御上が解決しようとしている学校と政府が関わった大きな事件の糸口をつかむために、利用する目的でなければ、会う意味はないと思う。

隣徳の闇や疑惑についても全て殺人犯に伝え、協力してもらえば良い。

仮に殺人犯の心を変えたくても、実際に社会を変えようとしている姿を見せなければ、心は何も動かないと思う。

殺人犯は御上が部屋を出た後発狂していたから、御上の言葉で何かしらの影響を与えた、ということになっているんだろうが。

また来ると言っていたから、また会って今後色々話しを聞き出す予定なのか?

次会う時までに自分の行いを振り返らせ、反省させ、情報を引き出すための最初のステップ、ということか?

そうだとしたら大分冗長に感じてしまう。

議論の仕方を生徒に何も教えない御上

今回生徒達で行われた話し合いは、今までで一番長かったんじゃないかと思う。

神崎の理事長直撃に関して、中学の学習指導要領に関しての意見交換が行われたが、特に深い議論になる訳でもなく、つまらない。

帰国子女の倉吉は、神崎の取材についてはただ聞いただけ、いつも授業が中断されるのが嫌な櫻井は今回も異議を唱えたが、誰が助けるわけでもない。

栗が追いかけてフォローしに行っていたが。

中学の学習指導要領に関しては、富永がそのおかしさを提示したが、東雲の父親が指定の教科書を使わなかったことは良いことではない、という結論に落ち着き、東雲は悔しいと泣いてしまった。

いつも、積極的に自分からしゃべる少人数だけの話し合いなど、ほとんど意味がないんじゃないかと思う。

鋭い意見を持っている、でもそもそも話し合いに参加したくない、自分からは言わない人だっている訳で、そういう人の意見を事前に集約し、少ない人が代表して議論を行っている訳ではない。

御上はただ見守っているだけで、色々ある話し合いの仕方を何も教えないのは、自分達で考えさせる以前のただの丸投げだと思う。

話し合うのは良いことだけど、何か足りなくない?本当にみんなの意見なのかな?そもそも話し合いをしたいと全員思ってるのかな?とか、なぜもっと問いかけないんだ?

この御上のやり方は、積極的な人が得するだけで、全然平等ではない。

拾われた自分の意見が賛同されたら、それで自信がつく人だっているんじゃないのか?

神崎の調査を倉吉は見守る、と言っていたが、神崎が調査して、今度は理事長が辞めて教育方針が変わるようなことになったり、騒がしくなったら嫌だ、という人もいるんじゃないのか?

倉吉の意見が総意でも何でもない。

中学の学習指導要領が漠然としている、という議論についても、何も深くならないまま終わってしまった。

東雲の父は、学習指導要領を守らず、独自の教科書を主な教材として使い続けたことで学校をクビになり、それが原因で離婚し、先日病院に運ばれた。

富永の説明を踏まえ、指導要領は漠然としているけど、規則を破ったらダメだよね、という結論だけなら、議題に上げる必要もない。

東雲の父がなぜ自分の教材に固執したのか具体的に示し、どこが普通の教科書と決定的に違うのか、その教材を使うと本当に人間らしくなるのか、その教材を使った子供達のその後はどうなっているとか、そういう情報もなければ話し合いもしようがない。

話す材料が少なすぎることを指摘する生徒はいないのか?

東雲の父がただ頑固だったのか、学校側に理不尽に潰されたのか、全く分からない。

この分からない状況で、東雲が涙し、それにつられて涙ぐんでいる感じの生徒もいて、神妙な空気感になっているのが臭くて嫌だった。

御上も取り合わず、賛同者もおらず、東雲は悔しい、と言っていたが、今後自分で調べて議題に挙げるのか?

御上は、東雲に、考えて、と言っていたが、なぜもう少し考え方の考え方を教えてあげないんだ?

どう考えていいか分からないだろう人間に、考えてって言うだけなのは、ずいぶん楽だなと思う。

君のお父さんがどんな人間か分かったら、印象が変わる人もいるんじゃない?君のクラスには、優秀な報道記者もいるよね?とか、分からないけど、ヒントを与えてあげれば良いのに、と思う。

今のところ、このクラスの話し合いを聞いていて、もし自分がクラスにいたら、中身のない青春ごっこみたいだな、と感じて、関わらないでおこうとするだろう。

御上に対しても、生徒同士の話し合いを中断しないのは、授業がつぶれてありがたいし、思ったことを隠さず言うのは信頼出来るけど、考えろ考えろと言ってくるのが面倒くさいな、としか思わない。

そんな考え方があるのか、なるほど、すごい、面白い、と感化され、御上の授業を待ち望んでワクワクするほどでもないし、こっちが前のめりになって参加せざるを得なくなるような話術もない。

本当のことを隠さずに言う堅めの倫理の先生みたいで、普通の先生よりはマシだな、くらいだ。

官僚だから、堅めの雰囲気があるのかもしれないが、今のところあまり魅力はない。

御上は、主体的に動く人間を育てたいのかもしれないが、主体的の意味自体をハッキリと深く理解させないと、そもそもどうすれば良いが分からず、育たないと思う。

今後御上の授業は深くなっていくのか?

授業は見どころの一つになり得るのに、つまらない。

実際にディベート授業を行っている日本の学校のリアルな授業風景の方が、はるかに面白いだろうと思う。

制作陣は、そういう取材とかしてないのか?

してこれならお粗末だし、これから徐々に出していくつもりだとしたら、それはそれで遅すぎる。

スカッとはしない御上の苦言

冴島の件が世間で話題になり、学校では主任の溝端が朝のミーティングで、落ち着かない生徒たちに余計な刺激を与えないように、と教員たちに告げ、解散、と言うと、御上がなぜ解散する必要があるんですか?と溝端に詰め寄るシーンがあったが、御上の言いたいことがよく分からなかった。

ここにいる教員で、この一連の騒動と関係ない人はいるんですか?顔を見合わせて時間をやり過ごしてますよね?自律がこの学校のモットーなのに、教師は守らなくて良いんですか?耳をふさいで出来る教育なんてない、と言っていたが、ボンヤリして何が言いたいのかのかよく分からない。

見て見ぬフリをする教員たちに一石を投じている、というより、遠回しの嫌味の様な内容と言い方で、よく分からないし、なんかムカつく、という感じだけだった。

他人事で上から言っている感じも、人の心に響くというより逆なでしているだけだ。

御上もこの学校の教師なんだから、説教めいたことを言う前に、もっとこの件について話し合いましょう、皆さんはどうしたいですか?何か対応した方が良いと思うのですが、などと、ミーティングで具体的に提案しなかったのはなぜだ?

それでも、高圧的に、新入りが口を出すな、とか言われたら、耳をふさいで〜という説教をかましてやれば良い。

そもそも、ここにいる教師達がこの一連の騒動、学校の闇をどこまで深く知っているのかも知らないのに、全員を悪として言っている感じも浅い。

なので、よく分からず、スカッともしなかった。

説教する前に、もっと普通のふりをして相手の無意識に隠された悪を引き出してからじゃないと、いきなりキレた奴みたいになる。

溝端はこんなハッキリしないことを言われて、よく御上の胸ぐらをつかめるなと思う。

ムカつくのは分かるけど。

じゃあどうすればいい?今から話し合えってことか?授業はどうするんだ?とか言うのが普通なんじゃないのか?

それでも、吐き捨てるように、自分で考えられないんですか?とか鼻で笑って言われたら、胸ぐらをつかんでしまうのも分からなくもないが。

この学園の悪を溝端は隠蔽しようとしていて、御上の言ってることが図星過ぎたからキレたのか?

もしそうだとしたらアホすぎるし、そうじゃないなら胸ぐらつかむほど怒ることじゃない。

というか、何が言いたいのか分からず、怒れない。

御上が学校の態度に物申して、学校と対立する構図を見せたかったのか?

リアルじゃない、中身のないやり取りだと思うし、単純につまらない。

4話から巻き返して欲しい

終盤で、御上の兄は声明文を読み上げた後に学校で自殺した、ということが判明した。

まだ分からないけど、兄は学校で壮絶なイジメに合っていて、それに対する抗議で自殺したのか?

殺人犯の真山に少し理解を示したのも、兄の体験があるからか?

イジメを根絶するため、学校を根本から変えるために文科省の官僚になったのか?

いずれにせよ、御上にまだ強い魅力を感じていないので、そうだったんだ、としか思わない。

ここから、生徒との濃い授業が始まり、学校と文科省と激しい闘いが始まり、尻上がり的に面白くなっていくのか?

3話までで面白くなっていないので、望み薄に感じてしまうが、まだ巻き返せるはずなので、頑張って欲しい。

「第4話-fate-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

見どころの少ない4話

神崎は冴島と冴島の娘への取材を進め、御上のクラスでは、東雲の父の事件に端を発して、教科書に関する出し物を学際でやるかやらないかディベートし、学祭に来た文科省副大臣にその出し物を見せることが出来た。

ディベート部分は初めて少し面白かったが、出し物を副大臣に見せたシーンは、期待感があったものの、出し物の内容の描写がなぜか少ししかなく、大臣がなぜ怒ったのかもよく分からず、スカッともしなかった。

面白くなりかけたと思ったのに、大分物足りなかった。

初めて少し良かったが、もっとやって欲しい討論シーン

ホームルームで、御上がディベートを提案し、東雲と櫻井が、教科書検定についての出し物をすべきか否かについて、あえて立場を入れ替えてディベートするシーンは少し面白かった。

反対していた櫻井は、独自に調べていた情報を使って理論的に肯定し、東雲は、自分の未熟さを認め、それを利用して相手を負かすための否定意見を作り上げたのは興味深い。

これは、自分の意見と真逆の意見を言うことで、元の自分の主張の弱さや浅さなどが自分で気づけるので、意見を深く強くしていくために必要なシミュレーションなんだろう

どんなテーマでも、自分の本当の主義主張関係なく、正当化出来るか、というのは、まるでラップバトルというか、口喧嘩大会みたいで面白い。

日本人が一番苦手な分野だと思うので、この授業は日本人はどんどんやったほうが良いんじゃないかと思う

こういうシーンは、もっと早い段階で描くべきだったし、もっと尺が長くてもいい。

一話ごとのほとんどをディベートや話し合いに割いても良いくらいなんじゃないかと思う。

セリフとか、膨大で作るのは大変かもしれないが。

アドリブで討論させるようなシーンがあっても、生感があって良いんじゃないかと思う。

しかし、教科書検定を批判する展示をやるとしても、具体的にどんな内容で何が一番言いたいのか、などがはっきり描かれていないので、展示をやるかやらないか、というテーマだけではざっくりして物足りない。

そもそも展示の大きな目的は何か分からない。

生徒も、尖っているだけで中身がない展示はやりたくないけど、よく調べられていて説得力がある内容ならやりたい、とか、展示の内容によっても変わってくるんじゃないか?

批判の仕方が重要で、ただ教科書検定を批判する、というだけでは、怖くて乗れない。

時間がなくなるからやりたくない、だけでなく、事を荒立てて欲しくないから関わりたくない人だっているだろう。

クラスメイトにはビラが配られているんだろうが、展示の内容や目的をもう少しこっちにも教えて欲しい。

そして、その展示の仕方についても議論するシーンを見せて欲しかった。

展示の仕方で伝わり方は全然違ってくるはずだ。

さらに、教科書検定というテーマ自体がこのドラマ内で深く掘り下げられていないので、話が少し飛んでいるようにと感じる。

ここに至るまでに、教科書検定自体の是非について、徹底的に議論するシーンが必要だったんじゃないか?

櫻井の主張では、東雲の父の独自の教科書は、多くの生徒の成績を伸ばしていた、教科書検定は導入している国が少ない、令和の学習指導要領では個別最適化が推奨され、教科書検定と反している、ということだが、だから教科書検定をなくすべきだ、というのはまだ浅い。

なぜ教科書検定があるのか、もしなかったらどんなデメリットがあるのか、についても話すべきだ。

高校ならまだしも、中学において教科書がバラバラでは、全国的に学校ごとに学ぶ内容にかなり差が出てしまう、学校選びが大変になる、教科書検定がないアメリカでは、州ごとによってそこの住民に好かれる内容の教科書が採用されるらしく、思想に偏りが出る、など、必ずしも良いことばかりではない。

それらを全て踏まえ、新たな策を講じ、マイナスを潰した上で、それでも教科書検定を廃止すべきだ、という批判でなければ、政治家や官僚に一蹴されてしまう。

世の中の理不尽さやタブーに触れてドラマで問題定義するのは悪くないが、ただ触れているだけでは、それこそ世界は何も変わらないだろう。

別にどっちの結論でも良く、教育ドラマが見たいわけでもなく、単純に深く議論させるシーンがあったほうが面白かったと思う。

教育についての問題定義も、エンターテイメントとしての議論も、どちらもいまひとつだ。

どちらも出来ればものすごい作品になったのかもしれないが。

文科副大臣VS御上の生徒達の物足りない対決シーン

溝端のチェックをかいくぐり、何とか本来やりたかった展示を本番までに用意し、学祭を視察に来た文科副大臣を知り合いの御上が誘導し、展示を副大臣に見せつけることが出来た。

しかし、ここで実際の展示を少ししか見せてくれないので、どんな内容になっているのかよく分からない。

質問形式で、教科書検定は必要ですか?という質問がプロジェクターに映し出され、イエスと答えると、教科書検定が採用されている地域の世界地図が表示された。

そこで展示の描写は終わり、副大臣は怒って出ていってしまったが、その後どんな展示があり、何が決定的に副大臣を嫌な気分にさせたのか不明だ。

これだけでは、怒るほどのことか?と思うし、副大臣が展示が始まってすぐに、何だこれは、とぷりぷり怒り出すのも、リアルじゃない浅いヒステリックな人物像だと思う。

ここで、強烈な展示を副大臣と、校長、理事長、溝端、官僚の槙野と共に、視聴者にも見せつけてやらなければ、わざわざドラマで教科書検定のおかしさを取り上げる意味もないし、ドラマとしてのメッセージ性も弱い。

教科書検定は必要か?という問いは、色々な所で議論されているテーマで、斬新な問いかけでも何でもない。

せっかく取り上げるのであれば、その先の意見がなければ、誰も聞いてくれない。

社会問題に触れただけで満足なのか?

それこそ神崎のゴシップ記事と何が違うのか?

御上ならそう言うんじゃないのか?

副大臣だって、散々教科書検定について話をしてきているはずで、必要か?と問われた程度なら、もちろん必要です、なぜなら〜とすぐに答えられるはずだ。

笑って、よく調べましたね、確かにそういう意見もあります、説明しますね、と言って、高校生を丸め込んで黙らせるくらい簡単に出来るんじゃないか?

よほど無能でない限り。

そんな副大臣も怒って帰るほど、ぐうの音も出ないほど的確で深く、非の打ち所のない批判を含んだ展示であれば、なぜそれを見せないんだ?

時間がなくて泣く泣く省いたのではなく、元から作られてなかったんじゃないかと思う。

この話の一番のクライマックスで、高校生と文科副大臣が直接対決する、という盛り上がる場面なのに、なぜさわりしか見せないのか、意味が分からない。

推理ドラマで言ったら、刑事が犯人の偽のアリバイやトリックを見破り、その根拠を説明しだした所で場面が変わり、犯人が泣き崩れ自白しているシーンに飛ぶようなものじゃないのか

腕の見せ所でもあるのに、省いたのか、逃げたのか、それともこれが展示のほぼ全てなのか?

いずれにせよ、この展示にはスカッとも何ともしなかった。

展示が簡素なら、部屋を明るくして副大臣とディベートして、理論武装した生徒達が副大臣を言い負かしてしまう、とかでも面白くなり得たと思う。

副大臣が怒って教室を出た所を神崎が写真を撮ったのは、流れる連携プレーで格好良かった。

しかし、もっと詰問して大臣を攻めて欲しかった。

この展示を見てもまだ教科書検定を改める気はないですか?このままで良いということですか?その根拠は何ですか?生徒のこと褒めてますけど教室から出て来た時は激昂されていましたが、なぜですか?とか、しつこく副大臣に粘着して欲しかった。

なので、ここも合わせて、この一連の学祭のシーンは面白くなったと思うので、もったいない。

しかし、御上は満足したらしく、生徒達と楽しそうに打ち上げに参加していたので、意外とゆるく、なんだかなあと思う。

たまたま、なぜか副大臣がすぐにカッとなるザコキャラだったから、何となく勝った感じになっただけで、もし展示が本当に描かれたそのままの薄い内容で、普通の大臣なら、ほぼノーダメージだと思う。

御上は、生徒に口を出さないのは分かるが、この展示じゃもし僕が副大臣だったら何も心に響かない、むしろちゃんと指導しなければ、と思うから逆効果だろう、とか、何らかのアドバイスを与えても良いんじゃないのか?

御上もチェックしてるはずだから、省かれているだけで、実はちゃんと深い内容になっているのか?

なら、それを描かない理由はやはりよく分からない。

なので、御上もひっくるめて、青春ごっこをしているように見えてしまった。

御上は、勉強ばかりしてきたから、今になって青春を生徒達と取り戻しているのか?

きっとそんなことはなく、ただ描き方を間違えただけだと思いたい。

「第5話-confidence-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想

何も起伏のない5話

神埼が御上と一緒に真山と面会し、御上のクラスでは出来レースのビジネスコンテストを突破して優勝することが出来た。

結論から言うと、めちゃくちゃつまらなかった。

あまり突飛な展開にもせず、役者達の演技もそこまで邪魔するほどあざとくなく、クラスが力を合わせてコンテストを勝ち抜くオーソドックスなストーリーがメインだが、よくここまで何にも起伏のないドラマを作れるなと思う。

これはきっと誰かの夢なんじゃないかというくらい都合が良くて薄っぺらく、見終わって逆に心がざわついてしまった。

なぜなのか考えていきたい。

神埼と御上が殺人犯と面会、物足りない神崎と真山の対話

神埼が殺人犯の真山と面会し、被害者も真山と同様、父親から虐待されていたことを真山に伝えた。

母親が不倫し、父親に虐待されて、学校でイジメられていたであろう真山が殺した人間もまた、家庭に闇を抱えていた、というのはなんとも皮肉な結果だ。

被害者は、虐待する父親と離れ、優しい母に守られていたから、真山のようにならずに済んだのだろう。

真山は頼りになる母とも引き離され、学校でも家でも居場所がなく、誰も守ってくれる人がいなかったのは不憫極まりない。

御上が映画を引き合いに、本当に悪いのは真山や神埼ではない、と暗に示唆するが、神埼は、自分も真山も同罪で、いくら身の回りの環境が悪くても、自分の罪を認めなければ前に進めない、と真山に伝え、真山はまだ整理がついていないようで、部屋を出ていってしまった。

真山が御上や神埼の働きかけによって自分の罪を認め、反省して生きることを始めれば、母との関係も良くなり、母=冴島が不倫の真相や学校の闇についても、もしかしたら話してくれるようになるかもしれない。

御上はそれを狙って働きかけを続けているのか?

もしそうなれば、真山はこの物語のキーパーソンとして作用するんだろう。

今はちょっとづつ解きほぐしている最中か?

しかし、被害者の母親からのメッセージを紹介する前に、神埼があの新聞を作った理由や、当時どんな気持ちだったのか、真山に対してちゃんと謝る感じなど、二人の対話をちゃんと見せて欲しかった。

父親への当てつけで作った、だけでは全く足りない。

偉くねえよ、俺もあんたも同罪だって言ってんだよ、などと上から言うのも偉そうだ。

新聞を見せて、全部俺のせいです、俺のせいで被害者は殺された、真山さんの家庭を壊したのも俺です、真山さんと一緒に一生償っていきます、くらい言って欲しかった。

そして真山が、お前は関係ないから、と突っぱねても、いや俺のせいです、なぜなら〜と言い合ったら面白かった。

だってその記事が原因でいじめられたんですよね、と言って、お前のせいじゃない、と言われたら、いじめられていたことを認めたことにもなる。

自分は最低だった、他人の家庭が壊れることなんてどうでも良かった、ヒーローになって、父親の様に自分も世論を動かせることを証明したかった、だから身近な教師に目をつけ、冴島が楽しそうではなかった様子も無視して、うわべのゴシップを流した、とっても気持ちが良かった、とか告白して欲しかった。

今後は、中身のある報道記者になりたい、だから話を聞かせて欲しい、とか言ってくれたら格好良かった。

父への当てつけ、というのも、父がどんな性格で、どういう確執があるのか、なども明かしてくれないと、神埼にも感情移入しづらい。

せっかく真山と面会出来たのに、本音を細かく打ち明け、徹底的に言い合わずに、説教めいた事を言って終わるのは大分物足りない。

前半の見せ場だったはずだが、あっさり終わってしまった。

薄っぺらいコンテストの優勝までの道のり

AO入試のためにビジネスコンクールに出場しようと、冬木、宮澤、徳守がテーマ選びに悩んでいたが、クラスみんなで知恵を出し合い、最終的に良い社会作りを出来るための金融商品を提案することに決めた。

そこに至るまでに、是枝がお金の意味を説き、冬木が実の父が関わっていたサブプライムローンを説明したが、その説明を聞いて宮澤が、金融商品をテーマにすることにしたい、と意思表示したが、なぜそう思ったのかよく分からない。

宮澤は、社会貢献や福祉を入試目的にテーマにするのは浅かった、と言っていたが、何が浅いのか不明で、金融商品を作ることが浅くない理由もよく分からない。

社会貢献や福祉だって一生かけて取り組むことだし、結局、社会貢献や福祉もテーマに組み込んだ訳で、冬木も入試のために金融商品をテーマにしたいんだろう?

冬木の説明は、父親に言われた、と言っているだけで心動かされる説明でもないので、宮澤が急に心変わりした感じはあざとい。

冬木のサブプライムローンの説明もあっさりしていて、みんなよくこの説明でリーマンショックの仕組みが理解できるなと思うし、もっとその金融について激論しても良いんじゃないか?

そもそも低所得者でも家を持てるサブプライムローンも一種の社会貢献で、じゃあそのサブプライムローンと冬木がやろうとしている金融商品は何が違うのか、そもそも金融というリスクがあるものをどうコントロールしていくのか、などなぜ話し合わない?

どんな金融商品を作るのか、本当に実現可能か、などを話し合わなければいけないのに、投資先自体が社会貢献になれば良い、というさわりの話で終わってしまった。

ちなみにコンクールメンバーの徳守はわざと丁寧キャラを演じているあざとい演技をずっとしており、臭くてすごく邪魔だった。

コンクールメンバー達はその後話し合う描写はなかったが、神埼のアドバイスもあり、何とかエントリーに間に合ったようで、いよいよコンクール本番に臨んだ。

コンクール本番では、学祭の展示と違って、プレゼン内容を後半はカットせずに見せてくれて、きっと水面下で話し合いがたくさん行われ、深い内容になっているのか、と期待したが、非常に薄っぺらくてがっくりした。

前半のリーマンショックを知っていますか?という問いかけから、72の法則うんぬんの所はカットされている様で、ここらへんも重要な前フリなんだから、全部フルで見せなければならないのに、適当だ。

彼らは、映像を使って、いかに定期預金が当てにならないか、若者も投資をする必要があるか、と提示した後、高校生が将来に残したい企業を専門家と選んで投資し、リターンの一部を教育が受けられない地域の教育支援などに利用し、その残りが投資家へのリターンとして分配され、若者が社会を変えていく実感を持てる金融商品、を提案した。

なるほど、良い理想かもしれないが、現実での具体的な金融商品の実例を何も提示しないのはなぜだ?

そこまでは誰でも思いつくはずで、それをどうやって実現するかがプレゼンの肝なんじゃないのか?

こんな抽象的なアイデアを提示しただけでコンクールで優勝する、というのは無茶苦茶だと思う。

現実のビジネスコンクールでは、グランプリを取るような高校生は皆、アイデアだけでなく、実際の企業と相談して商品開発をしたり、商品の仕組みや値段設定など、かなり具体的に提示し、プレゼン後に質疑応答にまで答えて、実現性の高いビジネス像を描いている。

この御上のクラスのプレゼンは、定期預金のダメさについてだけ数字を映して発表したが、肝心の商品のプレゼンは口頭で抽象的に済ましてしまう、という中身のなさだ。

大きいコインが映し出されるなんてどうでもいい演出だろう。

これで優勝って、コンクールを舐め腐っている。

そもそも、将来に残したい企業というのが漠然としすぎて、普通の投資と何が違う?

宮澤が見に行った、SDGsに配慮した産廃業者や高齢者向けオーダーメイドシューズ屋ということか?

それがなぜ高校生が残したい会社になる?

環境に配慮した会社、高齢者に優しい会社、地域貢献に役立っている会社が、高校生が残したいとは限らず、そういうことに興味がなく、イケイケのベンチャーを残したい、という人もいるんじゃないのか?

じゃあそういう企業もある程度公募することにしたら、社会福祉的企業との割合はどのくらいにするのか?

普通のベンチャー企業ばかりになるのはダメなのか?

でもそうしないと商品自体に興味を持てない高校生もいるんじゃないのか?

そもそも残したいという基準は何だ?

そこをある程度決めないとブレブレになるんじゃないのか?

サブプライムローンだって、バブルさえ弾けなければ、低所得者にとっては夢の様なローンだった訳だろう?

残したい会社があったとして、それが残る保証はどこにある?

環境に配慮したり、地域貢献を目指している会社などは特に利益が出づらく、その産業が育たたず潰れてしまったら同じことで、リターンはおろか元本も帰ってこず、もちろん教育支援にも充てられない。

じゃあ環境への配慮や地域貢献している会社で、成長していきそうな、投資をうまく使ってくれそうな会社をどうやって選んでいく?

専門家とともに、とはずいぶん丸投げだ。

投資した会社を見守り、成長を促し、時にはアイデアを出して助ける、とかはしないのか?

そもそも公募で集まらなかったらどうする?

少ない会社しかないのであれば、社会をデザインするもくそもないんじゃないか?

じゃあどうやってたくさんの企業に参加してもらう?

企業にはどんなメリットがある?

教育支援は、勉強ができない子供の支援だけ?他には何がある?

実際の商品の値段と内容、経過年月によるリターン予測は?

最低限何人が投資に参加すればうまく運用できる?

そういう細かい疑問点、具体例など何も言わず、ざっくりとしたモデルの外枠だけ言うことなんて、プレゼンでも何でもない。

そのくせ、社会をデザインする、お金とは信用が形になったもの、金融に対する信頼を取り戻したい、など、格好良いことはしっかり言っているので、中身のないただのきれいごとに見えて、なんとも恥ずかしい。

出来レースをひっくり返して優勝する訳が無い。

こんなスカスカのプレゼンを見て、なぜか是枝は泣いていて、下手をすれば御上も泣いていた可能性も示唆され、クラスの皆と優勝を喜ぶって、中身のない青春ごっこで、薄ら寒いことこの上ない。

みんなで喧嘩しながらようやくたどり着いた最終プレゼンで、しかもそのプレゼン自体も中身が濃いなら感動はあるかもしれないが、そんな描写もなく、和気あいあいとしながら楽しそうに作った感じで、薄い内容をプレゼンし、優勝しました〜って、どこに感動がある?

乗り越えるべき悪の描写が皆無

落とす審査員側も、プレゼンがすごすぎて圧倒され、これじゃあ落とせないという苦悩や葛藤もほぼ描かれていない。

描かれたとしても、プレゼン自体が薄いので、それはそれで嘘になるが。

優勝させてくれた中岡も深みがなくペラッペラで存在感もない。

顔つきが変わって冷や汗が出てくるくらいだったら面白かったのに、プレゼンに感動している感じもなく、良かったですよ、とニコニコしている感じが無感情で浅く、悪い意味で敵か味方かもよく分からない。
いてもいなくても良い、強い悪にもなり得ない。

プレゼンがプレゼンなので、感動しようがないとは思うが。

見に来た側も、どんな思いで見ていたかがボヤけているので、痛快さに欠ける。

嫌なヤツキャラの溝端は普通の顔でちゃんとプレゼンを見て普通に拍手していたし、理事長も槙野も、敵側と思われる連中もみんな喜んでいた。

みんな最初から期待していた、普通に良いやつってことか?

そうだとしたら何の感動もない。

みんな、どうせダメだろうと思っているなめた態度が、徐々に変わっていく様な感じをなぜ描かないんだ?

せめて溝端なんかは、最初は、どうせダメでしょ、という嫌な顔で見ていたが、気付いたらプレゼンに引き込まれて前のめりになっていた、とかだったら面白かった。

魅了されるほどのプレゼンじゃないから、それも嘘になるが。

溝端が、善でも悪でもなく、普通に見ている感じは、自分のキャラクターを忘れてしまったのか?

大会前に御上を呼び出し、出場しただけでも偉いですよ、多分無理ですから、と負けること前提で声を掛けるくらいのフリがあっても良かったんじゃないか?

理事長もしかり、優勝はして欲しいけど、多分無理だろうな、と諦めている落ち着きの演技がひっくり返ったら面白かった。

審査員は少し描かれていたが、それでも倒すべき、見返してやるべき悪の明確なフリがほぼないので、痛快さは皆無だった。

何の障壁も苦労もなく、普通に優勝しただけだ。

そもそもプレゼンがいまいちなので、それに圧倒されろ、というのは無理な話かもしれない。

もし、生徒たちが苦悩しながらも作り出したプレゼンが秀逸で内容が濃く、悪い審査員の度肝を抜き、見に来た関係者の予想も良い意味で大きく裏切る、とかだったら感動出来たかもしれない。

そうしたかったし、そうしたつもりなのかもしれないが。

比較的楽にプレゼンが出来上がり、内容も薄く、倒すべき悪も弱ければ、そりゃこうなるだろう。

存在感のなくなってきた御上

これまで御上の立ち回りを見てきて、だんだん存在感がなくなってきていることに気づいた。

それは、自分が表立って動くのではなく、生徒を動かすサポート側に回っているのに加えて、生徒の活動が大したことがないことが大きいと思う。

生徒の活動が目に見えて変わり、大人も驚かす成果を上げていれば、サポートしている側がすごい、あいつが裏で糸を引いている、と目立たなくても存在感が際立つが、全くそうではない。

そう見せているつもりなのかもしれないが、むしろもっと厳しく、ちゃんと監督してやれ、と思ってしまう。

上述した通り、前話の展示もしかり、生徒の活動が物足りないにも関わらず、御上は満足しているように見えるので、最初の厳しさはどこに行ったのかと思う。

御上の行動の物足りなさに加え、御上の無感情の声の低いしゃべり方も、作り物の様に薄く見えてきてしまっている。

あざとくはないけど、薄い。

こんなに一見ハードに見せて実はソフトな学園ものなら、怖い感じなどせずに、等身大でニコニコしているが、生徒に考えさせることをさらっと言っていく教師の方が、よっぽど作品に合っていると思う。

ニコニコしているけど食えない、爪を隠している方がよほど深くなると思う。

この話の最後で、神埼に、御上の兄の情報がスクープされることを警告され、どうするの?と問われた御上は、そう、どうもしないよ、もう終わったことだ、と言ったが、棒立ちの感じが不自然に感じた。

どうもしないよ、と笑って立ち去ろうとして、神埼に何か言われて立ち止まる、とかなら分かるが、まるで神埼の言葉を待っているのかのように、無表情で立ち尽くしているのが、気持ち悪かった。

余裕のある雰囲気の間ではなく、ただ何も考えずに棒立ちの感じなので、言葉と裏腹に内心冷や汗をかいていることを表現しているのか?

そうだとしたらもうキャラクター崩壊だし、そうじゃないなら、中身のない外側だけのキャラクターの演じ方になってしまっている

御上は大分ゆるくなってきているので、もう崩壊していると言えばそうだが。

台本には、神埼を見つめる、とでも書いてあるのか?

見つめる理由がなければ、そりゃこんな変な感じになるだろう。

しゃべらずに深みを出すのは、相当なマンパワーがないと、もしくは本当に怒っているとか煮えたぎる感情がないと難しいと思うので、無理にやる必要はないんじゃないか。

むしろ、変な間が空きそうになったらガンガンしゃべって間を埋めてしまえば良いと思う。

御上はしゃべって相手を追い詰めるタイプなんだから、無言の顔で勝負する必要はない。

というか、勝負出来ていない、変な間になってしまっている。

下手をすれば、ちょっと疲れている、眠そうにも見えるので、極力こういう隙のある表情は見せない方が良い。

前話で、櫻井と東雲がディベートをしている時、一瞬映った御上の顔が眠そうに見えた。

明らかに何も考えていない顔だったので、こういう瞬間はちょっと冷めてしまう。

なので、作り上げられた御上像に縛られずに、もっと柔軟にリアルな人間像で演じて欲しい。

「第6話-confession-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想

御上がついに兄の事件を語るも物足りない6話

第6話では、ついに御上が生徒と向き合い、自死を選んだ兄の事件についての詳細、この学校に来た経緯を語り、文科省と隣徳学院の闇が示唆され、生徒の椎葉がどこかに保護されたらしき電話が学校にかかってきた所で物語は終わった。

古代理事長が悪なのか善なのかよく分からない感じになってきたが、溝端に説教する理事長には、ナチュラルな迫力があり、この話では一番存在感があったと思う。

逆にそれ以外では見どころはなく、すごくつまらなかった。

どんどんつまらなくなっていく。

なぜなのか、考えていきたい。

生徒に怒られて動くボケボケの御上

兄に関するスキャンダルが出た御上は、最初生徒に説明せず、富永に怒られてようやく話し出す感じはダサい。

女性教師の是枝ではなく、御上が椎葉に生理のことを聞き、椎葉にも怒られていたが、そんなに間抜けな先生だったか?

生徒二人に怒られる、というダメダメな御上は、もうキャラクターがブレていると思う。

こんな完璧な御上でも、ダメなところがあるんだ、かわいいとも思えない。

御上は何も隠さずに、淡々と兄の件についても話すような、透明性のある人間像が特徴だったはずなのに、実はまだ兄の件はタブーだった、というのは、ごく普通の人間だ。

御上もまだ精神が未熟な状態なのにも関わらず、この学校を変えようと乗り込んできたのか?

キャラクターに一貫性がない。

抜けている感じや養護教諭の一色とニコニコしながらしゃべる感じは、最初の厳しい雰囲気から逆に振り切れすぎじゃないか?

それなら最初からずっとニコニコキャラでいれば良かったたのに。

撮影が進んで、次第に緊張が取れていったのもあり、演技がゆるくなってきているのか?

御上の兄がなぜ死を選んだのか不明

そして兄の事件は、結局詳細がよく分からず、悲劇のヒロイン的に、悦に入って御上がしゃべっている感じが鼻につくし、それを聞いて何も質問などせず、議論もせず、神妙に聞いている生徒、泣いている養護教諭の一色も含め、薄ら寒いシーンだった。

この兄の事件を題材に、君たちはどう思う?と生徒達にディベートさせたら、御上はこの事件を客観的に捉えていることにもなるし、考えさせる授業で面白かったが、そうはならなかった。

学校は兄をなぜ無視した?もし兄の要求が通っていたらどんな影響が考えられる?抗議のための死は有りか無しか?仮に死を選ばなければどんな道があった?などと、話し合って欲しかった。

御上は、兄は偽善でなく優しい人間だった、と言っていたが、自分の主張が無視されたから抗議で命を絶つ、というのは、偽善でないことの証明には全くなり得ない。

そもそも、なぜ兄が追い詰められていったのか、この期に及んでまだハッキリ明かされていないのも萎える。

兄は、発達障害の中学生を扱いづらいという理由で進学させなかった学校に対し、署名活動したが関心が集まらなかった、学校は兄の糾弾を無視し、母は兄を責め、弟は兄の悪口を友人から耳にしていた、だから命を絶った、なんじゃそりゃ?

すごく中身がない、机上の空論の様な人物描写だ。

兄が壮絶なイジメにあった、もしくは発達障害の中学生が、兄のせいでめちゃくちゃイジメられている、もしくは学校から退学を迫られ、大学進学の道も断たれた、などであればまだ分からなくもないが、そうではない。

発達障害の中学生のことが好きで守るためとかでもなく、その中学生との関係性も不明だし、追い詰められるほど大した事件は何も起きていない。

御上が兄のせいでボロボロにいじめられているのを兄には必死で隠していた、とかでもない。

御上が、「お前の兄ちゃん最近おかしいぞって言われた」と兄に伝えたことが、兄を絶望に追いやった、と言っていたが、追いやるわけない。

そんなことで傷つくやつは、賞賛されたいだけのうわべの偽善者だし、署名活動なんて始めてはいけない。

むしろ、まだ下の学年には主張が全然浸透してないな、と次の方針を立てられる良い判断材料じゃないのか?

兄は、自分のやっていることに酔っていただけのエゴの塊で、本当に学校や社会を変える気なんてない、一方的に言いたいことだけ言って逃げた卑怯者だ。

御上がそう兄を断罪し、自分は兄の行動が間違っていることを、命を投げ出さないことの方がより多くの物事を動かせることを証明するために文科省に入った、とかなら格好良かった。

そうではなく、兄の死を、かわいそうな悲劇の死かのように捉えているのが非常に浅い。

死に至る過程がリアルじゃないから感情移入も出来ず、回想のドラマの兄の演技自体もあざとくて魅力がなく、何も心動かされない。

ちゃんと描かれない兄の物語

御上は、兄がいびつだったのではなく、いびつなのは社会で、兄は合わせることが出来なかった、と言っていたが、兄も十分いびつだ。

もちろん、社会がおかしいなら合わせる必要などなく、じゃあ今度は大学に入って活動し、それでもダメなら御上の様に教育機関に入って内部から変えていこう、と、生きていればいくらでも変えられる可能性はあったはずなのに、兄はそれを放棄した。

その発達障害の中学生が、兄の死を聞いて喜ぶ訳がなく、むしろ自分のせいで死なせた、と十字架を背負わせることになったんじゃないのか?

仮に兄の糾弾により、その中学生が進学出来るようになったとして、針のむしろで学校に馴染みづらくなったりはしないのか?

発達障害というだけで進学を拒否する酷い学校よりも、それを普通に受け入れてくれる理解ある学校に通った方が、よほどその中学生にとって幸せではないのか?

その中学生が何が何でもこの学校にこだわる理由はなぜだ?

そもそもその子の発達障害というのは、どの程度のものなのか?

その子はどんな人間なのか?

学校からは具体的にどんな回答が来て、その時の悪の親玉はどんな感じだったのか?

そういう細かい情報も一切なく、御上の兄は正義のために命を絶った、というのは、あまりに雑すぎるし、兄に対して親近感もわかない。

もっと時間を割いても良いから、これでは兄があまりにも不憫すぎる、と思わす様なドラマを描くべきだった。

これから明かされるんだったら冗長すぎる。

もし描かないのであれば、上述した通り、兄の行動に関して徹底的に生徒達と議論して欲しかった。

ディベートし、話し合っていくうちに、次第に兄の狙いや孤独な環境が話の中から浮かび上がってきた、とかなら面白かった。

それならわざわざ過去のシーンを撮影する必要もないし、想像で補えるので、兄の人物描写が深くなったかもしれない。

実際あざとい兄の演技を見せて萎えさせることもない。

くさい感動シーンとまだ目的を生徒に発表しない御上

こんなに中身のない過去の話なのに、養護教諭で兄の同級生の一色が泣いていたり、富永が次元の家に行って、2人で兄の情報を削除して泣いてるのが、臭くてしょうがない。

兄の画像をAIによって老けさせ、御上と同じ年齢にし、それを見た富永が、老けた御上じゃん、と言って涙ぐんでいたが、全然似てないと思う。

もっと似ていて御上の面影がないといけないが、そうでもない。

無理に泣くシーンに持っていこう、というのが気持ち悪い。

その持っていき方も下手だし、そもそも兄を好きになれていないので、似ていたところで、とも思う。

御上は、そんな兄の事件を受けて、教育を改革しようと文科省に入り、知り合いに促されてこの学校に来た、と言っていたが、結局何をしに来たのか、ハッキリ言わなかったのがモヤモヤする。

この学校が文科省とズブズブで、内部から破壊するために来た、と言ってしまえば良い。

それを言ったら、溝端や他のクラスの生徒に聞かれる可能性もあり、理事長に通報され、さすがに学校に居られないからか?

まだ言えないなら言えないで、この学校に来た目的はまだ言えない、今は兄の話しで精一杯だ、いずれ分かるから、もう少し待って欲しい、とか言って欲しかった。

生徒とちゃんと向き合う、もう目を背けない、と言っているくせにいきなりさらっと隠すのか?

神埼には、この学校と文科省がつながっている、と言っていたのに。

何はともあれ、1話から散々引っ張ってきた、身近な人の死、秘密をようやく紐といたと思ったら、大した話ではなかった。

上手な悪の古代理事長

メインの御上の兄の話しが中身がなかった反面、古代理事長の振る舞いは存在感があって良かった。

短い時間だが、一連の兄の話しより見応えがある。

理事長も、表面上は善に見せかけた悪だと思っていたが、文科省にも臆さない感じが浅くなく、善なのかもしれない、と思えなくもない。

溝端を通して、文科省の大臣の孫の裏口入学(知らないけど、多分そんな感じの不正)を持ちかけられた古代理事長は、溝端にその弱腰の姿勢を説教し、文科省は隣徳を欲しい、簡単に手に入らないと思わせる、と、文科省にも屈さず、むしろ上手であることを思わせる言動をしていた。

理事長は悪だとしても、その感じが、長いものに巻かれない、強さのある悪なので、人物描写が良い。

演じ方も板についていて、丁寧語でしゃべっているけど、余裕を残したしゃべり方で、良い意味で底が見えない。

このドラマの登場人物の中では、この理事長の人物像は深いよりの方だと思う。

冴島、塚田と並んで悪くない。

冴島は、本当は良い先生であることが、隠していてもにじみ出ていて深い。

塚田はニコニコしているけど、怖さもあり、悪くない。

料亭で溝端に見せた真剣な顔は、本当にリアルに真剣な顔で、こんな落差をつけられるのは、幅があり良い。

ニコニコしている時は、少しうさんくさいけど、それでも悪としてどう立ち回っていくのか、少し興味はある。

エンターテインメント的には、理事長が一番どしっと構えていて、手ごわそうなので、リアル寄りの深めの悪として良い。

ちなみに、中岡はニコニコした中に大した怖さがなく、ずっと単調で同じ演技に見えるので、薄い。

セリフを言っているだけのように感じてしまうので、悪としては大分物足りない。

ザコキャラの溝端もしかり。

なんのギャップもない下っ端の悪だ。

御上の逆襲、終盤に向けての尻上がり展開を望む

6話まで見てきて、いつも見せ場っぽい部分は各話にあるものの、全て消化しきれずに毎回ふわっとしたまま終わってしまう。

主要の役者たち自体のポテンシャルは悪くないのに、各話の掘り下げがあまりにも足りない。

学園風のイメージドラマを作っているようにも見える。

生徒と教師の交流ドラマのみならず、学校の闇、さらに政府の闇も絡めて描こうとしているんだから、そりゃ時間が足りなくなって当たり前だと思う。

同時にたくさんの事件を絡めて、壮大な作品にしよう、という意図がもはやあざとい、とも言える。

結果、肝心の学園ドラマ部分はスカスカなので、学校と政府の闇など放ったらかしにして、学園もの一本で行けば良かったとも思う。

でも、結局足りなさに気づいていない、出来ていると思っているとしたら、学園もの一本にしたところで、また同じことになるかもしれない。

何回も言っているが、実際のディベートをリアルに長めに見せるだけで、それはもうエンターテインメントだ。

1時間丸々ノーカットで授業を見せたら、そんなドラマは他にないんだからら人気も出るんじゃないのか?

盛り上がるディベートじゃないといけないけど。

ディベートでなくても、掘り下げたドラマなら面白くなるはずだ。

このドラマを作っている部署が、テレビ局でどう横のつながりがあるのか知らないが、この局は報道に長けているんじゃないのか?

報道のベテランに見てもらって、リアルか否か、社会への問題提議になっているかいないか、など聞いたら、何が足りないか教えてくれるんじゃないのか?

このドラマを見て世界は変わりますか?と聞いて、変わらないと言われたら、改善すれば良い。

というか、聞いてもみんな、面白かった、としか言わなかったりして。

テレビ局、監督、脚本家、演出家、役者、その他裏方の制作陣など、大の大人がたくさん関わっているはずなのに、なぜこうなってしまうのか分からない。

みんな本当に面白いと思って作っているのか?

ただ与えられた仕事に盲目的に従っているだけなのか?

御上が言っていたように、一つ一つの細胞自体は良い物もあるのに、全体としての大きな流れには抗えず、変えたくても変えられないのか?

会話が苦手な日本人には、リアルで面白い会話を含んだドラマを作ることは不可能なのか?

上述した通り、御上もどんどん存在感が薄くなってきていて、これからどんな活躍をしていくのか、期待もなくなった。

半沢直樹ではないけど、御上が悪を論理的にまくし立てて、成敗するシーンなどが今後出てくるのか?

去年の日曜劇場の「海に眠るダイヤモンド」も、足りない描写は多々あったが、少なからず非日常も感じられて活気もあったし、今のところまだそっちのほうが面白い。

せめて、終盤に向けて、尻上がりの展開にして欲しい。

「第7話-delusion-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想

クラスメイトをみんなで退学から救う話だがつまらない

この話では、貧困で出会い系バイトに手を出し、精神的にも追い詰められて万引きしてしまった椎葉の退学処分を、クラスメイトが全校生徒の署名を集め、阻止することに成功する。

そして、理事長の古代は、文科省の塚田と、誰を取り込み誰を切るのか、という不穏な話し合いをしている所で話は終わった。

しかし、そんな良い話のドラマも面白くは感じられなかった。

なぜなのか考えていきたい。

クラスメイト達はなぜ最初から椎葉を助けるスタンスなのか?

椎葉は万引きし、禁止のバイトを複数やり、出会い系のサクラのバイトの内容が詐欺罪になる可能性もあり、退学処分になったが、御上のクラスメイト達が署名活動して、撤回させることが出来た。

こう聞くと実に良い話だが、何も感動できなかった。

一番大きな理由は、ドラマが盛り上がるための障壁が何もない、ということだろう。

あまりにトントン拍子に行き過ぎて、障害をいくつも越えていって何とか押し切った感など何もない。

まず、椎葉がどんな人間か、千木良と仲が良い、御上を嫌っている、生理用品を保健室から盗んだ、くらいしか情報がない。

言ってみれば、いきなり出てきたに近い、チラチラ出ては居たけど、特に可愛げもないし、少し不良っぽい雰囲気もある。

それが御上に促されたからといって、家庭環境が酷くてSOSサインとして万引きしてしまった、と告白されても、じゃあ助けなきゃ、とクラスメイト達がすぐになる感じがあざとく、リアルでもなんでもない。

知らんがな、となるのが普通なんじゃないのか?

サクラのバイトとかあり得なくない?万引きもしてるし、さすがにアウトでしょ、とか言う奴は1人もいないのか?

よし助けよう、となるまでに、そんな意見も隠さずぶつけ、クラスで徹底的に議論して欲しかった。

もし自分が同じ環境でも、万引きなんて絶対にしない、いや、お前は想像力がない、どれだけきつい環境だったか、なぜ助ける必要が?そんなヒマじゃない、椎葉はクラスの出し物にも特に協力してこなかった、椎葉をよく知らないし親しくもない、だからって何もしないのは冷たすぎるだろ、とか、めちゃくちゃ言い合って欲しかった。

そんな賛成派、反対派の言い合いなどもなく、すぐに椎葉は仲間だから守る的な雰囲気が出ているのが、ドラマチックでもないし、仲良しごっこに見えてしまう。

櫻井あたりでも反抗して欲しかったが、むしろ櫻井は最初から椎葉を守る側に回ってしまっている。

みんな頭良すぎてヒマなのか?

その割には、御上のクラスの成績は下がっている、と塚田が言っていた。

クラスの話し合いの中で、何か新しい言葉が出た時に、いちいち生徒が前に出ていって説明するのも、生徒達が当たり前にしているのが不自然に感じる。

御上が説明するのではなく、生徒に説明させる機会を与えるのは、説明する練習になるし、理解度の深さも測れて、自主性を重んじるという意味では良いのかもしれない。

しかし、せめて神崎くらいは、舌打ちして前に出ていくくらいして欲しい。

教壇で説明したい人もいるだろうが、そうじゃない人もいるだろう。

富永が前に出てきて、椎葉の問題は私達の問題だって分かっただけでも良かった、などと言っていたが、ただ黒板に線を引いただけだし、わざわざ出て来るほどでもなく不自然で、目立ちたい痛い奴にも見える。

富永が放課後いつも一人でザンギエフを使いこなしてストリートファイターをやっているのは、人と群れる訳でもなく、独特で悪くないので、良い意味でも悪い意味でも変わっている人なのかもしれないが。

人の事件に首を突っ込んでも、放課後ストツー三昧でも、何にも勉強に支障がないほど天才で、暇を持て余しているのか?

パーソナルイズポリティカル、一人の問題はみんなの問題、という〜の様な意見ももちろんあって良いが、そうでない否定的な意見も取り上げないと気持ちが悪い。

偽善者集団というか、もし自分がクラスにいたら、窮屈でしょうがない。

ポリティカル・コレクトネスの圧力に似た怖さがある。

意地を見せない椎葉

椎葉も椎葉で、御上に促されたからといって、すぐに心情を吐露するなんて恥ずかしくないのか?

御上に言われても反発し、あんたらには関係ないよ、私が勝手にやったんだから、と本当のことを言わない格好良さを見せて欲しかった。

この学校つまんないんだよ、良い子ちゃんばっかりで、だから刺激が欲しかったんだ、とか、嘘でも意地を張ったら味があった。

やっぱり助ける必要なんてないんだ、という様な呆れた空気が漂っている中、御上が椎葉の生活環境をばらし、椎葉がうるせぇ、黙れ、などと抵抗するが、出会い系のバイトも家で家族の面倒を見ながら出来るからだよね?万引きも誰かに気付いて欲しかっからでしょ?などと、御上の説明でどんどん空気感が変わっていくとかだったら面白かった。

もしくは、御上が、なんで椎葉さんは普通のバイトじゃなくて、出会い系のサクラのバイトを選んだと思う?そういうのが好きだったから?万引きしたのも、椎葉さんは不良だったから?とか、生徒に言わせて真実に導いていったって良い。

耐えられなくなった椎葉が、涙をこらえながら、あんたらに関係ないだろ、などと強がりを言うが、みんなが、お前は悪くない、そうだそうだ、みんなで助けよう、などとクラスが盛り上がり、椎葉をよく思ってなかった生徒も賛同して、助けることになる、とかにして欲しかった。

椎葉は耐えられず出ていってしまったが、千木良だけ追いかけ、クラスメイト達は議論を続ける、とか。

椎葉にはそんな意地のようなものもなく、御上がたくさん生理用品を買って渡したのも普通に受け取っているし、御上に促されて自分の気持ちを忠実にペラペラしゃべってしまうのも張り合いがない。

生理用品など受け取らずに、気持ち悪い、といって投げ捨てるくらいの反発が欲しい。

そんな椎葉の反発をよそに、クラスメイト達が勝手に署名活動を始め、退学が取り消され、その事実を椎葉に突きつけると、椎葉は、ありがとうとボソっと言って泣き崩れた、とかだったら面白かったかもしれない。

無理に泣く必要はないが、そういう心の流れにして欲しい。

しかしそうではなく、クラスメイト達は最初から心配し、椎葉は自分の気持ちを拒みもせず洗いざらい言ってしまい、すぐにクラスみんなで助ける感じになり、署名もいっぱい集まり、署名を見て理事長もあっさり処分取り消しを認めてしまう。

この流れのどこにリアルで熱い人間ドラマがある?

クラスの姿勢も、最初からみんなで仲良く手をつないでゴールしましょうってか?

それって、すったもんだ、喜怒哀楽、酸いも甘いも一緒に体験し、浅い怒りや憎しみ、敵味方などを乗り越えた関係性だからこそ感動するんじゃないのか

椎葉を嫌っている、仲が悪いやつがいたとして、口ではマジ迷惑なんだけど、とか悪態つきながらも、状況を知って助けてくれた、とかだからぐっと来るんじゃないのか?

そういう人間描写をバッサリ省いて、パーソナルイズポリティカル、と言われても、非常にむずがゆい。

自分が一番嫌いなタイプの学園ものと言っても過言ではない。

というか、学園ものって人が多いから、基本的に難しいんだろうとは思うが。

ドラマが盛り上がるのに必要な登場人物の心の流れが一辺倒なので、面白い、という所にはほど遠い。

普通の教師の御上、リアルでない生徒像

御上も御上で、そんなクラスの姿勢を、うんうん、いいぞ、みたいな感じで見守っているだけなので、なんともおめでたい。

兄が自殺し、兄のような人を出さないためには教育を変える必要がある、ということで文科省に入ったのに、この程度か?

元々、社会の役に立つことをしたい、と思っている生徒の背中を押すだけの、うわべの教育改革だ。

それは特に改革でもなく、社会貢献などに興味がなかった人を強烈に取り込むほどのことは何もしていない。

そして、御上のクラスは、社会を変えたい、みんな仲間だ、というキラキラした目を持つ生徒がいっぱいいる、というリアルでない生徒像になってしまっている。

冴島の事件、学祭の出し物、金融商品のビジコンなどの活動を通して、クラス全員で強い仲間意識がすでに芽生えている、という、ありきの設定なのか?

強い絆が生まれるほどのぶつかり合いなど生徒同士で何もしておらず、苦労せずに成功してきたようにしか見えない。

実に中身のない生徒の成長ドラマだと思う。

もし、生徒にそんなゆるさを感じたなら、御上は、あえて逆の意見をぶつけて揺さぶってみれば良い。

でも椎葉さんの件はさすがに君たちには関係ないよね?困っている人を助けるのは分かるけど、さすがに万引きをした人を助ける必要はなくない?君たちの時間を奪ってまで助ける必要ある?パーソナルイズポリティカルって、犯罪者を助けるための言葉じゃないよ、だから君たちにやれることはない、とか生徒にぶつけて、覚悟を試してみるとかしてみれば良い。

それで辞めるなら偽善だし、そうでないなら、怒って強く御上に言い返して来るはずだろう。

本当に御上の意見に賛同してしまう生徒もいたりして、生徒同士で議論が生まれるんじゃないか?

御上が担任として来た時は、そんな厳しい姿勢で生徒に接している感が少しはあったが、今や厳しくもなく、普通の優男の教師になっている。

優男でも良いが、ニコニコしながらもするどい事を言って生徒をかき乱して動かしていく訳でもなく、良いことをしたい子供たちを見守るだけのお兄さんになってしまっている。

生徒が成長したからもう何も言うことはない、というほど生徒が成熟してもいない。

ニコニコしてるけど、なんか怖い、という感じなら味があって良かったかもしれないが。

昔のテレビドラマの様な熱血教師ではない、違うアプローチからの青白い炎が上がっている熱血教師でもなく、熱血教師の劣化版というか、もう普通だ。

女王の教室の様に鬼のような態度が徹底している訳でもない。

当初描かれた、官僚として仕事をしている笑わない感じ、同僚と接するツンとした感じとか、あれは何だったんだ?

御上先生が御上先生であるゆえん、特徴、人間像など、最初から深くまでは設定されていなかったんだろうと思う。

そうでなければ、ここまで底が見えてしまう訳がない。

「第8話-strategy-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想

冴島事件の進展は気になるが、特に見どころもない8話

御上のクラスでは、生徒同士でいかに成績を上げるかを話し合い、実践し始め、御上は是枝と学校の不正について闘うことを誓い、プラン御上2が始動し、神崎は冴島が、不倫事件当時不可解に休んでいた生徒、戸倉をかばっていたことを突き止めた。

今度は富永からのSOSサインが次元から御上に伝えられたところで話が終わった。

前半は御上や是枝も含め、青春感が臭く、後半は学校脅迫の犯人や冴島の事件についての進展があり、少し気になるものの、特に見どころはなく、つまらなかった。

なぜなのか、考えていきたい。

勉強法のシェアは、もっと具体例をたくさん出して欲しかった

御上のクラスの成績が下がっていて、御上が担任を辞めるかもしれず、みんなで頑張って助け合って勉強することにしたが、この一連のシーンは、大して中身もなくつまらなかった。

勉強法をシェアする、というアイデア自体は面白いかもしれないが、肝心のその勉強法自体を、もっと盛り沢山教えて欲しかった。

化学の元素記号を一つ一つ言葉の意味から理解する、英単語をゲームとしてみんなでカルタのようにして遊んで覚える、のは良いとして、この2つだけか?

対数は人間の感覚をも表現出来得る、という発言は面白いけど、それだけでその先の説明はないし、もっと日本のトップ進学校の天才たちがやっている、画期的な勉強法をたくさん紹介してくれたら面白かった。

ドラマを見た視聴者から、賛否両論あるくらい、実際の天才たちの勉強法をこれでもかと紹介しまくったら良かったのに。

英語も単語だけでなくスピーキングやリスニング、物理や歴史や古文だって、それぞれ実際に面白い勉強法はある訳だろう?

それに割けるドラマの時間がない、ということに言い訳せず、視聴者に、本当にためになったわ、と言わせるくらいの物量を詰め込んでしまえば良かった。

リアルな勉強法をたくさんちゃんと紹介するなら、それをプレゼンする生徒も勉強法を暗記し、ある程度その分野を理解しておく必要があるから、生徒役にも緊張感が出て良いんじゃないか?

というか、そうではないなら、どこに見どころがある?

調べたら簡単に出てくるであろう知識のうわべの部分だけをセリフとして落とし込み、役者に言わせていく、というのは、ずいぶん簡単な仕事だなと思う。

セリフを作る側も、それを言う側も楽な仕事だ。

悪い意味での本当の虚業だと思う。

これだけ大変なことをしてるんだ、という自信や迫力、ゆるい空気感に対する怒りなど、出てくるはずがない。

このドラマはずっとそうだが、リアルを見せる気はなく、進学校の学園を舞台にしたイメージドラマを作っているんだろうな、と思う。

学祭の出し物やビジコンだって中身はないし、ディベートは、東雲と櫻井がやっていたのは良いが少しだけだし。

イメージだけ伝われば良いと思ってしまっていることに気付いていない時点で、リアルで熱いドラマなど作れる訳がない。

それぞれの役者の演技がリアルで重厚て、描ききれていないドラマ部分ですら、勝手にこっちに想像させるほどのマンパワーがあれば良いが、そうではない。

そんな高度なことは出来ないんだから、もっと緻密に、描くことから逃げずにリアルを素直に見せていけば良いのに、いくら画質が良くても、実際の場所でロケしても、エンディング曲が格好良くても、中身がない分、よりうわべ感が際立つだけだ。

この話を見て、もうちゃんと描く気がないんだ、ということを確信した。

このクラスは成績が下がっていると言っても、次元の説明によると、それでも全国平均からはるかに高い成績を採っているようだ。

だから、成績を上げるためにも必死に勉強する必要などなく、遊び感覚で出し物などにも参加し、あと3カ月しか卒業までないにも関わらず余裕である、ということを、あえて皮肉で描いている訳でもない。

せめて御上のクラスだけ他のクラスからもはるかに成績が下がり、全国平均近くにまで下がっている、ヤバいと焦り始める、くらいしないとダメなんじゃないか?

進学校だけどこのクラスは落ちこぼればかりで、それを御上が改革していったという訳でもなく、元々頭の悪くないクラス、世間的にはトップに位置し、性格も特に悪くない生徒達を教えていく、という設定自体、どう面白くなるんだ?

天才ばかりで頭は良いけど、性格がひん曲がった生意気な生徒を、御上が現実を突きつけ、論破し、その鼻っぷしをへし折り、真の学力とは何かを教えていく、という訳でもない。

反抗してたのは神崎や櫻井、東雲、椎葉くらいか?

みんなそこまでの反抗はしていない。

ゆるい御上と是枝の空気感

元々成績の悪くない、今も世間的には成績の良い、素行も悪くないそんな生徒達が、自主的に勉強会を開いている様子を見て、是枝と御上が、ホクホクしながら嬉しそうに見守る感じがゆるくて薄ら寒い。

学生時代の話になり、御上が、ど根性で?などと是枝に言って、是枝が、私もアップデートしなきゃっと、言った感じが、良い学校のイメージビデオのようなセリフで、気持ちが悪い。

是枝が、私はカモノハシで、融通が利かないとも言えます、と言ったら、御上が、自虐入れてきますね、と笑いながらツッコむウケ狙い的セリフも鼻につく。

その後も、是枝が、最強の動物を目の当たりにしてる気がします、と言い、御上が、守りたいですよね、というこの会話は何ともくさい。

二人ともよくこんな恥ずかしい、状況と合ってない浮いたセリフを言えるなと思う。

守りたいってなんだ?親バカならぬ担任バカか?

こっちは生徒にさほど可愛さを感じられてない。

良い音楽風のピアノの旋律も相まって、ゾワゾワくる。

毎回流れている音楽だけど。

大したシーンじゃないのに、無理やり感動に持って行こうとしなくて良いのに。

御上が、入院している官僚の後輩の見舞いに行き、どうですか?と聞かれ、めちゃくちゃやり甲斐あるんだよね、と言っていたが、ある訳ないだろ、と思う。

元々エリートの良い子ちゃん達を少し誘導し、うわべの社会活動に目覚めさせただけで、一体何がやり甲斐がある?

御上がやりたかった改革は、おおむね達成出来ているのか?

最初の怖い感じの雰囲気は、達成出来ているからなくなっているのか?

何ともゆるすぎる。

生徒達も御上も、みんなで、良い学校ってこんな感じだよね、というママゴトをやっているようにしか見えない。

御上が、生徒の話し合いの時に、どう30歳を迎えるかが大切だ、と言っていたが、30歳を迎える日に本を読んでいたら、その人は一生言葉と良い関係を築けるし、深く読めるようになる、と言っていたのが意味不明だった。

20代の過ごし方が大事、という話かと思ったら、その日に何かやっていれば大丈夫なのか?

なんだそのオカルトみたいな話し。

普段本好きでも、その日は読まないこともあるだろう。

是枝が、それなら出来そうです、と言っていたのも、それが出来て何がどうなるんだ?

なんだこの変な会話。

本当の本好きなら、きっと誕生日にまで本を読んでしまうはずだ、ということか?

その仕事が好きなら誕生日もその仕事をしてしまうということか?

そうとは全然限らないだろう。

御上は、誕生日は何をしていたのか?と生徒に聞かれ、一人で残業して国会答弁を作っていた、と言っていたが、自分から話し始めたんだから、そう言うしかない。

むしろ、家でゆっくりしてたね、とか言ってしまう方が面白い。

自分は何もしてないじゃないですか、とツッコまれ、本の言う事が全てじゃないからね、などと言う方が人間味がある。

御上が話し始めて、是枝が、どう大切なんですか?と割って入り、いや、もうすぐ30なんで、と言って笑う感じもあざとい。

そんなこと思ってないのに、無理して言っている感じに見える。

和気あいあいとした教室を演出するための無駄な会話というか、こういうのもむずがゆい。

そして、御上が是枝を巻き込み、隣徳の闇を告発する計画を立てるが、自分で、プラン御上2です、と言ってしまう感じがちょっと上滑っている。

お父さんが無理して冗談を言う感じじゃないけど、これから真剣勝負が始まるのに、ふざけているようにも見えて軽いし、そもそもこんなことを言う人じゃないだろう。

周りが勝手に言う分にはまだ良いのかもしれないが。

重厚風で厳しい風なだけで、実は普通の若いお兄ちゃんなのか?

さほど若くもないだろうに。

もう、御上先生とは一体何かよく分からない。

真山に何が起こったのか分かりづらすぎる

神崎が真山からの手紙を受け取ったが、結局いじめられていたのかどうかよく分からなかった。

父親をライバル視することすら出来ないくらい、父親が怖かったのは分かったが、学校で何があったのかは、この期に及んでまだ引っ張る気か?

真山が高1の時、自分の教科書に、お前が嫌われるのには理由がある、と書かれたのが辛かった、薄々自分が嫌われる理由があることを知っていた、と言っていたが、真山は母親の不倫とは関係なくいじめられていたのか?

真山が22歳なら、神崎の1年前の暴露時点でもう高校を卒業してるので、高校生活には関係ない。

というか、高校生活でのイジメは、教科書に書かれた悪口だけ?

それだけなら大した事ないし、これから高2、高3、もしくは大学(行ったか不明だが)でのイジメが描かれるのか?

自分は勝手に、神崎の暴露が原因で激しくイジメられたもんだと思っていたので、もしそれがないなら拍子抜けだ。

学校では不倫の件でいじめられ、家では虐待され、行き場がなく、精神を病んでいった、訳じゃないのか?

神崎が不倫を暴露した1年前までは、冴島が家にいて虐待からも守ってくれていた訳だろう?

真山が大学に行っているかは知らないが、そこで不倫の件で壮絶にイジメられたのか?

きっとそうじゃなさそうで、これが全てのような気もする。

じゃあ直接的な原因は、神崎の暴露によって冴島がいなくなったことにより、高校卒業後に父親の虐待に遭ったことのみか?

分かりづらすぎる。

このドラマを見ている人は、みんなハッキリ把握してるのか?

父親からの虐待は最悪なことだけど、もっとすごいことを想像していたので、なんか下がってしまった。

これなら、序盤から真山に何が起こったのか、もっとハッキリと描くべきだった。

格好つけて、チラチラと少しづつ真相を小出しにしていくやり方が裏目に出ている。

わざと小出しにして想像させて、それを下回るって完全に失敗だろう。

もっとすごい真相が隠されていなければいけない。

視聴者に考えさせ、謎解きを提供しているつもりなのか?

というか、それなら、真山がどんな虐待を受けたのか、なぜ描かない?

真山に同情させ、視聴者を揺さぶる意味でも、実際のきつい描写を、見せれる範囲で提示すべきだった。

母親がいなくなってから毎日殴られ蹴られ、時にはこんなことも〜という本人の語りとともに、虐待の酷さを映像でハッキリ描くべきだ。

革命家の言葉に感銘を受けて、なんて最後の一押しをしただけで、そんな重要なことじゃない。

それまで真山に何が起こったのか、という事実を、なぜもっと事細かに描かない?

これから描かれるとしたら、もう遅すぎる。

真山が凄惨な事件を起こし、その関心があるうちに、数話で終えてしまうべきだった。

そうでなければ、神崎の反省している態度とかも、見え方が変わってしまうだろう。

神崎が真山に、なぜ俺を殺さなかったのか?とか、俺もあんたも同罪だって言ってんだよ、とか、そういう発言は、真山が虐待されたことだけで言ってたら弱くないか?

だって真山にしてみたら、不倫する母は母で悪い、と思うはずで、虐待は父親の問題だ。

それを神崎が暴露したことで噂が広まり、学校で壮絶なイジメに遭った、という方が、社会への怒りはより抱きやすいし、神崎の責任はより重くなる。

神崎のことは知らなくても、母、父、イジメた奴ら、全員に丸ごと憎悪を抱き、それがあの事件の行動につながったなら分かる。

しかし、そうではなかったならスッと入ってこなくなる。

なのでこれは、謎を小出しにして何話にも分けて楽しませていった、という訳ではなく、ただの不丁寧な見せ方、ミスリードだったんだと思う。

足りない真山の人間描写

自分を変えたかった、変わりたかったから刺した、というのもよく分からない。

その原因は、高1の時からの学校体験と卒業後の虐待、どっちだ?両方合わさったものか?

学校では、教科書に悪口を書かれただけだろう?

それ以外のイジメは高校卒業後も含め描かれていない。

嫌われることをしてしまう自分を変えたかった?

人と話すのが苦手なくせにプライドが高いから?

そんな人間いくらでもいる。

抽象的すぎてよく分からない。

真山がそう思ってるだけかもしれず、それが本当の原因か?

真山が学校で嫌われるに至った行動もなぜ描かない?

自分のどこを嫌悪していて、なぜ変えたいと思ったのか?それが後に受けた虐待によってどう心境が変化したのか、より強まったのか?そもそも父親の言動のせいで自分に自信が持てていないからか?など、全然分からない。

虐待により、この先の見えない閉塞感を壊したかったから、だとしたら、そもそも学校で嫌われていた、という描写はバッサリいらないんじゃないのか?

そもそも嫌われる性格をしていたから、自分への虐待もそこに付け込まれ、自分が悪いと思っていた、だから抵抗出来なかった、ということか?

そんな自分を変えたいから他人を刺した?

チェ・ゲバラの名言を見て?

難しい、というか訳が分からない。

それなら父親への激しい憎悪として、矛先は父に向かうんじゃないのか?

無差別の通り魔的行動に至る人間には、それをしない人達と比べて何か欠落した部分があるはずで、それが嫌われる性格、という言葉だけで表現できる訳が無い。

些細なことで激昂したり、筋の通っていない逆恨みをしたり、歪んだ思考が必ずあるはずだ。

その歪んだ思考が、真山の言っている嫌われる性格、ということか?

やはりずいぶんざっくりだし、そこを描かなければいけない。

面会での悪態くらいでは全然足りない。

嫌われる行動と言ってもケースバイケースで、似た行動をしても不快にさせない人だっているから、その実例を見ないと腑に落ちない。

そこは真山の演技の見せどころで、こりゃ嫌われるわ、という秀逸な嫌な演技を見せるチャンスだったんじゃないのか?

そしてその嫌われる性格が、御上と神崎と接してきたことによって、時間も相まって、次第に客観的に見れる様になり、なぜあの事件を起こしたのか、言葉で説明できる様になる過程を見たかった。

それが本当の反省であり、今のところ、真山がどんな人間かよく分からないし、自分の行動を言葉にも出来ておらず、人間描写が物足りない。

自分を変えたかった、だけでは物足りなすぎる。

あえて言わないだけで、みんな根底では世界を変えたいし、自分を変えたいと思っているんじゃないのか?

そこまで特別な言葉じゃない。

その先が知りたいのに、言葉足らず、演技描写足らずでよく分からない。

作る側はそこは考えておらず、設定されていない可能性もある。

もう大分遅いけど、せめて、これから描かれることを期待したい。

隣徳学院の闇は不正入学以外に何かあるのか?

この話では、ついに御上が追っている隣徳学院の闇が一つ判明したが、これもまた拍子抜けだった。

散々引っ張っておいてまだ不正入学の話か。

以前の話でも出てきてたし、そもそもあるあるも甚だしくないか?

厳密に不正かどうかは知らないが、是枝もコネで就職した訳だし。

これからもっと闇が出てくるのか?

せめて、この話では、不正入学を皮切りに、もっと深い闇を示唆して欲しかった。

毎話毎話、興味が上がっていかなければいけないはずだが、まだ同じ高さをフワフワしている。

クライマックスに向けてもっと引き込む必要があるんじゃないのか

もしあと2話しかないとしたら、大分のんびりな描き方だ。

文科省が絡んでいるとなれば、これでも現実では大問題になるだろうが、もっと悪どいことを想像していた。

助成金も隣徳に垂れ流しで、不正入学は毎年10数件、何十年にもわたって、とか、その政治家達の子供が起こした暴行事件も隠蔽し続けてきた、とか。

実は御上のクラスのあの生徒もそうだった、とかだったら面白い。

自分自身が不正入学だと知っていたけど、御上の不正告発に協力していた、自分も辞めざるを得なくなるけど、とかだったら悪くない。

でも多分そんな風にはならない。

ここから、次の話以後ものすごい闇が溢れ出てくるのか?

冴島の事件の真相には興味があるけど、そこにとんでもない闇が隠されているのか?

なんかそれすらも少し心配になってきた。

ものすごいまくり方をするわけでもなく、このまま何となくヌルっと終わりそうな気もする。

「第9話-joker-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

センチメンタル回の9話

9話を全部見て、冴島の葛藤は悪くないし、ヤマトタケルの正体が判明した終わり方は期待感があるが、前半から中盤はほとんど中身のない感動ドラマで、全体としては大分物足りなかった。

真山と冴島の対面は、冴島の深い雰囲気は良いが、二人の会話は感動するほどではなく、富永の家庭事情も、御上の母親との対話も中身がなく、つまらなかった。

今までに深い人間描写のあるドラマを積み重ねられていないので、当然と言えば当然だが、それにも関わらず、この回でさも集約したかのように感動に持って行こうとしていることに無理があり、大分くさかった。

よく分からない富永の家庭事情とセンチメンタルな御上

富永は身体と知的な障害のある弟とケンカして家を飛び出し、びしょ濡れになっている所を保護され、次元の家で一晩過ごし、御上が泣きながら自分の認知症の母親に兄の死と自分の本当の名前を伝えたことを見て、富永は弟に愛してると伝えて仲直りした。

この中身のない話はなんだ?

そもそもなぜゲームセンターの中に入らずにびしょ濡れで外にいたのか?

暴れている弟に、いい加減にして、と言い、血まみれの弟を見て、自分がいない方が良いと思ったから?

全然分からない。

親戚に、お姉ちゃんの頭の良さを半分弟に分けてあげて欲しいって言われた時から、弟は態度がおかしいと言っていたが、本当にそれが原因か?

富永はその時、ふざけんなって言ったんだろう?

確かに、とか言ってヘラヘラ笑っていた、とかなら弟に恨まれるかもしれないけど。

というか、知的な障害があると言っても一見分からない人だっているし、その親戚はそれを完全に知った上での嫌味を言ったのか?

知らなかったら、あるあるの嫌味で障害は関係ないし、障害がある人の目の前で、あえて知った上でそんな酷いことを言うやつなんてどうかしているし、レアケース過ぎないか?

御上も聞くだけでなく、もっと詳しくその状況をひもとく必要があるだろう。

ありそうで実は中々ない話をさらっと言われても、それは酷いねってすぐにはならない。

そして富永は何もしてないのに、なぜ自分のせいだと思い込んでいる?

母から要請が来るくらい暴れていて、血まみれになっている弟に、いい加減にして、と言うことは何も問題じゃない、というか足りない。

むしろ弟に、自分の人生がうまくいかないのを体のせいに、人のせいにするな、とコケミソに言ってやれば良い。

富永が、血まみれになって暴れている弟をビンタしてしまって、ショックでびしょ濡れになって泣いてた、とかならまだ分かるし、かわいいけど、いい加減にして、と言っただけだろう?

自分がいなくなればいい、というのも不自然だし、この程度でびしょ濡れになっているのは、悲劇のヒロインぶっている様にしか見えない。

ハッキリした根拠もないのに、自分のせいで弟は荒れている、なんて思うやつは、むしろそういう人達を差別しているんじゃないかと思う。

自分が富永の弟なら、そんな姉を見て腹しか立たない。

姉ちゃんは悪くないどころか、むしろ良くして支えてくれている、自分の人生は自分で何とかする、だから、申し訳ないなんてムカつくから思うな、俺を可哀想と思ってるのか?と思う。

そういう、何でも自分のせいにする姉の態度に日頃から腹が立っていた、だから暴れた、とかなら分かるが、そういう話でもなさそうだ。

この富永の状況で、富永の様な心の流れになるやつなどいない。

あまりにアンリアルで、作り物はなはだしい。

障害を持っている人達のことも浅くステレオタイプにしか捉えられていない。

一方的に姉をなぜか逆恨みし、歯止めが効かなくなって血まみれになって暴れる、それは生まれつき頭と体に障害を抱えているから?

知的な、と言っても様々で、そこは明かさないのか?

むしろ平和的な人達のほうが圧倒的に多いんじゃないのか?

もし弟がそんな理不尽で暴力的な人なら、それは誰のせいでもなく、富永の反省も嘘くさい。

身近でずっと向き合ってきたんだから、その障害がどういうものか体感で把握していて、知らないはずがない。

そして御上は、この富永のおかしさを次々と指摘して、君のほうがおかしいよね、弟さんが怒ってるのは、君が自分のせいにしてることだよ、とか、ひっくり返る展開になっていったら面白かった。

でもそうではなく、このままのよく分からない家庭トラブルの話で、御上はふんふん、と聞くだけで、生徒に頼られるって嬉しいね、だって。

アホだし、気持ちが悪い。

自分で、馬鹿だろ?と言っていたが本当にそうで、冗談になっていない。

そして、御上が母親に自分は兄じゃない、兄の名前を呼ばれるたびに心が締め付けられた、と言って泣いていたが、ここも無理やり感傷的にしているし、その光景を見て泣く富永も合わせて何ともむずがゆい。

御上と母親を真横から写す構図の長回しの映像はとてもきれいで良いが、だから良くは見える訳ではない、ことがよく分かった。

御上が何を見せたいかもよく分からず、非常に長くて冗長で、薄いシーンだった。

自分が生徒ならイライラしてしまう。

家族って良いもんだって見せつけたのか?

こんな風になる前に、弟を大事にしろってことか?

よく分からない。

母親は認知症なんだろう?

それで名前が分からなくなっている訳て、御上に思い入れがないからではない。

どちらかと言えば兄の様な破天荒で手を焼く人間の方が印象に残るし、よく思い出してしまうのは分かるが、それとこれとは別だ。

自分に自信がないから、自分が忘れられてることに傷つく訳で、忘れる方がおかしい、と思えば良い。

御上は修羅場をくぐって強くなり、名前を間違えられても、あえて兄のふりをしてやるくらいの余裕がある強い人間ではないのか?

兄と間違えられただけで心が締め付けられるって、いつまでも母親に大事にされたいってことか?

病気なんだからしょうがないだろう。

それがなぜ御上の心を傷つけているのか、という理由が、今までも、この場でも描かれていないし、それが御上の人間像を深くする方には全く作用していない。

むしろ、邪魔で弱く、中身がないセンチメンタルさで、無理に感動させようとしているようにしか見えない。

母親に忘れられたら天涯孤独ってことか?

大好きな生徒達はどこに行った?

自分の名前を呼ばれないことなど何も気にしていないが、御上が母親に、これから隣徳の闇を暴きに行きます、と報告したら、その時だけ母親の顔が変わって御上の名前を呼び、しっかりやりなさいよ、などと言って、次の瞬間にはもう兄の名前で御上を呼び、御上が一瞬泣きそうになる、くらいで良かった。

せめて死んでも生徒の前で涙を見せない、くらいの意地があれば粋さがあったが、そうではない。

むしろ泣きに行っているし、強いんだか弱いんだか、もうぐちゃぐちゃだ。

こんなことになるくらいなら、もっと等身大の優しい普通の先生の方がまだマシだ。

そしてこの光景を見た富永が、弟に愛してるぜと伝え、うまくいった、というのもよく分からない。

御上が家族とぶつかり合って、富永も勇気をもらえたってことか?

果たしてこれをぶつかりと言えるのか。

そもそも母親は厳格で厳しく、御上を落ちこぼれと思って冷たく接してきた、などという人物像も描かれていないし、この母親の演じ方にそんな強い片鱗もないから、特に普通の親子関係だ。

プライドが高く、ツンとしていて、怖い感じがある、などの設定もなく、そんな母がようやく御上を認めて名前を呼んだ、というような落差もないので、何とも思わない。

深い冴島、物足りない真山の振る舞い

冴島を元生徒の戸倉と神崎が訪問し、当時戸倉のテストの不正入手を知った冴島が戸倉を守ろうとして、なんだかんだで筒井先生から関係を迫られたことが判明した。

戸倉の不正を知った冴島が、戸倉への処分をなしにすることと引き換えに、隣徳の不正に協力し、それが筒井にバレて脅された、ということか?

このシーンは、それぞれの登場人物のセリフがちゃんとつながって説明されている感じではないので、すごく分かりづらかった。

もう少し分かりやすく神崎あたりがまとめて欲しかった。

さらっと語られているけど、結構複雑だ。

筒井に関する情報ももう少し欲しい。

しかし、謝る戸倉をなだめ、責めずに、自分のやったことを受け入れている冴島の雰囲気は深くて良い。

暗い顔をしているが、言いたいことを秘めている感があり味がある。

戸倉が別れ際に、先生が全力で守ってくれたこと一生忘れません、と言って深く頭を下げ、戸倉が離れてから、冴島は感情が込み上げて泣いてしまったが、その感じに涙腺を刺激される。

冴島が、今までで初めて感情をあからさまに表に出した瞬間で、人に見せずに泣く感じも粋さがあって良い。

ストーリーと演技が合わさって、このドラマの中では一番深いシーンなんじゃないかと思う。

自分のやったことがキッカケで娘を殺人者にしてしまった負い目を抱えながらも、教師として生徒を守ろうとしてきたことやその信念が報われた瞬間で、頭では喜べないけど、嬉しいという、複雑な人間の機微が、この冴島の演技には表現されている。

その後の、冴島と真山の面会シーンでも、冴島は自分が一人で生徒も娘も守ろうとしたことが、真山を追い詰めたことを謝り、もう一度会いたい、と真山と真摯的に向き合ったのは悪くない。

一方真山は、箇条書きにした文を少しぶっきらぼうに読み上げ、自分が殺人を犯したことや母への謝罪、母のせいではないこと、もう会わないことなどを告げた。

しかし、冴島は、真山が一人で反省したい、御上と神崎のおかげでそう思うようになったのね、と言っていたが、それが真山にとってどの程度の成長か全然分からなかった。

今に始まったことではないが、そもそも真山がどんな人間かほとんど描かれておらず、真山がどれだけ辛い思いをし、事件を起こすに至り、御上と神崎と会ってどう変わっていったのか、という描写が希薄なので、せっかくの親子対面も濃いシーンにはなっていない。

真山は、事件を起こしてからあんまり変わってないようにも見える。

人が変わるというのはこの程度では全然足りず、会ってすぐに今までと違う、と相手に思わすほどに、言葉に出来なくても体感で雰囲気が変わるものだと思う。

自分を客観的に見れるようになり、その上で自分のしたことを冷静に冴島に語り、謝り、被害者への償いに一生を捧げると誓う、というところまでは当然全く行っていない。

御上と神崎とも、口頭でも手紙を通してでも、真山が成長出来るほどの対話の量も少ないし、少ないけど濃い会話をした訳でもない。

御上も神崎も、必死に真山にぶつかるが、あまり変化が見られない真山に疲弊してモヤモヤしている、困っている、というリアルな描写もなく、ただ言いたいことを真山に言ってきただけ、という感じだ。

神崎は手紙でやり取りしていて、時には授業中に机に突っ伏していたけど、ぶつかり方も、葛藤もまだまだ足りない。

真山にとって神崎が初めての友達、御上が初めての自分の先生、と言えるほどに、真山の心に食い込んでいく様な対話があり、明らかに以前と変わっている雰囲気があれば、このシーンは良いものになり得たかもしれない。

しかし、以前からの描写も含め、そもそもそこに持っていく描き方をしていないので、このシーンだけ感動的に出来る訳がない。

もし仮に変わるまでに膨大な労力と時間を要する、描く時間が足りないとしても、変わり始めた、というハッキリした片鱗が見られないので、大分物足りない。

まだ素直になれていない。

なので、こういう無差別で凄惨な事件を起こした犯人の心理描写、それに対する向き合い方などが、リアルに掘り下げられているわけではなく、ただ題材として取り上げただけ、といううわべのドラマに感じてしまう。

ヤマトタケルは誰だったら良かったか?

終盤で、ヤマトタケルが、実は御上の同僚の槙野であることが明かされて、少し期待感を持てる終わり方ではあった。

しかし、槙野という人間は、善にも悪にも見えるので、実は御上と結託していた、というストーリーは面白いが、跳ね上がった訳ではなかった。

槙野に、もっと出世に執着してイライラしているような、騙すためのリアルな描写があるべきだし、感情を表に出す感じの人間でもないので、本当に信用して良いかもよく分からない。

これだったら、ヤマトタケルは溝端でも構わない。

溝端の悪の演技は薄くあざといので、それはそれで秀逸などんでん返しにはならないが。

もしくは、いっそのこと塚田にしてしまった方がまだ良い。

不正を持ちかけているので、おとり捜査みたいになるが、実は古代がとんでもない悪者で、ずっとマークしてた、とかだったら面白かった。

文科省の悪者は、現文科大臣と副大臣、歴代の大臣、塚田の前任者の歴代の官僚幹部たちや他の官僚幹部、ということで。

槙野をもっと隣徳の不正に関わらせて悪側にしたり、文科大臣や他の官僚幹部も登場させ、悪として匂わしておく必要はあるかもしれないが。

次元の家に黒服のスーツの男が何人か入ってきて、その後に塚田が入ってきたら、跳ね上がっていた。

完全に悪寄りだと思わされていたので、良い裏切りになったと思うし、塚田の感じは、悪も悪くないが、善のほうが合っている感じがする。

しかし、それはあくまでも制作側が意図せずに作り上げてきたイメージを壊しているだけなので、最初から塚田が味方だった、という設定だったら、変に意識して、塚田=悪というイメージは普通に作れなかったかもしれない。

やたらと伏線を作って匂わしたり、余計なことをして、善寄りに思わしてしまうかもしれない。

なので、もうこの話まで誰がヤマトタケルか一切決めずに話をそれぞれ進め、この見え方ならこの人がそうだった方が面白くなる、という人を直前で選んで慌てて撮影するくらいでないと難しいかもしれない。

理想は、ストーリーだけでなく演技も編集も全て含め、主体的に印象操作を行い、どんでん返しにつなげることだろうが、そこまでは大分遠い道のりに見える。

それ以前の足りない人物描写や薄っぺらいドラマをまず直すべきで、そこを放ったらかしにして、どんでん返しという手法だけ一丁前に取り入れても、帳尻は合わない。

それは、ずさんで適当な作り方をしている、というよりも、暗闇の中で、訳も分からず見よう見まねで、ドラマっぽいものを頑張って作っている感じに見える。

これが子供が作ったものなら、微笑ましい、と言えなくもないが、今までたくさんドラマを作ってきたプロの人達のはずなのに、フィードバック的なものは何も存在しないのか、不思議でしょうがない。

毎回スタッフも違えば、制作会社も監督も変わってしまうから、やりようがないのか?

その割には日曜劇場によく出ている同じみの俳優たちは存在し、この作品でも何人か出ているから、過去作ともつながりはある、ということだろう。

俳優達だけで撮影前に集まって、この話は、浅いのか深いのか、おかしい所はないか、徹底的に話し合えば、改善点なんていくらでも出てくるだろう。

そんなこと許されていないし、抗う気もないならもうしょうがないのかもしれないが、それでいいのか?

なにはともあれ、このどんでん返しは、あったほうがまだマシなのかもしれないが、なくても大して変わらない。

大事な人物描写を抜かして、ストーリー展開や謎、伏線回収やどんでん返しなどのテクニックにばかりいくら力を入れたところで、そんなものはドラマもどきにしかならない。

頭を使う所は、そんなところじゃないと思う。

御上の言葉を借りるなら、考えて、と言ったところか。

最終話では、痛快な悪の散り際を見たい

次回は最終話なので、ついに隣徳の闇が暴かれ、古代や塚田が成敗されるのか?

千木良も不正入学であることが判明し、クラス内で議論が行われるのか?

予告編を見た限り、最終話の割に熱があまり感じられない映像だったので、ガツンとこなさそうではある。

塚田や中岡の怒り方も弱い感じだった。

正直、このドラマはここまでこんなフニャフニャな感じになるとは、見始めてから全く予想だにしなかった。

1話だけ、2話だけ物足りない、つまらない、ということではなく、浅くしか描かないというミスを毎回どこかしらで必ずやってしまっている。

それがデフォルトで、ミスとも思っておらず、むしろ良いと思っている、ということなんだろう。

この話は、このドラマのクライマックス前のセンチメンタル回だった。

しかし、上述した通り、今までのドラマを一つ一つしっかりと積み上げられていないので、感動に至るまでの厚みがない。

もし、一話一話これでもかと掘り下げた濃い話を、大変でも頑張って作り続けてきたら、この回ではその分感動を爆発させられた可能性はある。

この回の演技や人物描写も濃い方に自然と変わっていたんじゃないか?

パラレルワールドみたいな話だけど。

毎話ごとに良いものを積み重ねる、ということが、映画という短い時間の媒体には出来ない、時間が物理的に多い連続ドラマだから出来る、濃い人間像、濃いストーリーを作れる大きなアドバンテージだと思う。

その登場人物の人間像がリアルであればあるほど、長い時間も相まって、まるで知り合いであるかのような感覚に陥り、心を掴まれてロスになるほど、人を中毒にさせる魅力がある。

そういう意味で、連続ドラマは映画を超え得る可能性があるのに、この作品はその優位性を全く生かせていない。

この作品に限ったことじゃないが。

これでも頑張ってる、と言われたらそれまでだが、毎回さほど苦労することもなく作られていっている様に見え、作ってる側は達成感は得られないだろうと思う。

役者も裏方もどっちもそうだ。

食べれている、ということを達成感にするのなら、それで良いんだろうが。

特に役者は、この限られた、特に練られてもいない、足りない人物描写の中で、怒ったり泣いたりしなければいけないんだから、至難の業というか、地獄だなと思った。

この流れで怒ったら、泣いたらアホに見える、と思っても、台本に書いてあるからやらなければいけないんだろう?

それを、役者なんだから、それでも工夫してあざとくならないようにやるのが仕事でしょ、と言われても無理があるし、パワハラの一種と言えるんじゃないか?

でもそれは、この流れがそもそもおかしいですよ、泣いたらおかしくなりますよ、と主張せずに、受け入れてしまっている役者側にも問題があり、なぜ闘おうとしないのか分からない。

パーソナルイズポリティカルじゃないのか?

おかしいものはおかしいと言えば良いし、結局それもドラマ内で使われているだけのただのセリフで、実践する気はないのか?

そもそも自分が置かれた状況がおかしいかどうかすら気づいていないのなら、まずそこから気づく必要がある。

御上の生徒たちが、いかに日本の教育や社会システムが、ある部分においては世界よりはるかに劣っているのか、世界と比べることで気付いていった様に。

しかし、世界と比べると言っても、どうやって比べるのかすら分からないかもしれない。

きっと役者も含め、制作陣の中に、海外ドラマや映画を観たことがある人はたくさんいるはずだろうと思う。

観た上で真似しているんだ、と言われたらもう重症だ。

参考にすべきドラマや映画は、もちろん日本の良作も含め、ネットで誰でもすぐに観ることが出来る、オープンソースとして世界に存在し続けている。

それなのに、観ても分からないのであれば、もうしょうがない。

なにはともあれ、この話では、冴島の演技だけは良かったし、まだ古代や塚田というポテンシャルがある悪も残っている。

今までが今までなので、最終話で全てのマイナス面がプラスに振り切れるほど跳ね上がることはもう不可能だが、せめて悪の散り際くらいは見応えがあるものにして欲しい。

「第10話(最終話)- Puppets can’t control you -」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想

物足りない最終話

ついに隣徳学院、文科省、政治家の癒着が白日のもとにさらされ、真山は初めて素直になり、生徒達は卒業して行った。

真山が初めて素直な感情を出した演技自体は良かったが、塚田、中岡、古代の悪者たちは、見応えのある暴れ方もせず、生徒と御上のやり取りもおおむねくさく、全体としては大分物足りなかった。

なぜなのか考えていきたい。

深くない槙野のキャラクターと軽い御上

槙野が御上に、富永は人生何回目だ?と言って褒めていたが、富永はそれほど達観した、余裕がある深い人間像ではないので、何を褒めているのか全然分からなかった。

御上は孤高で難攻不落だから、どうやって御上を生徒たちが心を開いていったのか不思議だ、とも言っていたが、御上はそんなに厳しく、筋が通った気難しさがある訳でもない、厳しい風だがゆるめの普通の人なので、何を言っているのかと思う。

槙野が御上に、生徒はそんなにかわいいのか?と聞かれ、少しためて、かわいいんだよ、という言い方が、ためた意味もない言い方で、ちょっとすべっている。

御上は、このあえてためる言い方をたまにするが、意表を突かれるわけでもなく、わざと思わせぶりにしているそのひょうきんさがうまく表現できておらず、深みがない。

それなら、これからかわいいと言うとは全く思わさない雰囲気を出したまま言わなければいけないのに、そうではなく、ためる意味がない。

なので、かわいいんかい、とはならないのに、なぜかこの未完成なためた言い方が好きみたいだ。

この言い方に限ったことではなく、御上がたまにやる、笑わそうと思って言う感じが、親しみやすい、というより、ダメな薄さ、軽さにつながっていて、深い人間像にはならない。

以前の話で、是枝と話す時も、後輩と病室で話す時もそうだ。

こんな中途半端にボケるくらいなら、冗談など一切言わない徹底した振る舞いの方がよほど良い。

冗談を言いたいなら、最初からずっとニコニコした先生にすれば良い。

槙野と御上はあえて文科省でケンカし、せっかく後輩をだまして荷物を持って外に出たのに、引き返してきた御上に、槙野がガラス越しにグーサインをして、それを御上も確認して笑ったのが、二人ともアホなのかな?と思った。

わざわざ少し引き返すって、それを他の人に見られる危険もあり、作戦が台無しになる可能性もあるだろう。

一瞬目が合った時にうなずく、ウインクするくらいじゃないと、動作が大きすぎるんじゃないか?

そして、嘘だったのか、というほど、周りがため息が出る、変な空気になるようなリアルなケンカは出来ていない。

お互い嫌味程度のツンツンしたケンカしか出来てないので、槙野のグーサインがより滑稽でゆるく感じる。

後輩を始め周りの職員をだますなら、もうちょっとしつこめにケンカしてマイナスな印象を残さないといけないのに、さらっとしている。

槙野は御上の部屋で語らっていたが、槙野が御上にやきもちを焼いている、リスペクトしている感じ、御上も女っ気のない感じも含めて、ボーイズラズ的な空気感を感じた。

だから何だ、という話で、今からその展開になったらまたブレてしまうので、そうなって欲しかった、という訳ではないが。

ミュージカルの様な神崎と千木良の立ち位置

神崎が不正入学の千木良を呼び出し、屋上で話をするシーンは、なぜあんなに告白している感じに見える、2〜3メートル離れて向かい合ってしゃべる、という不自然な話し方をしているのか分からなかった。

はたから見たら完全に告白で、千木良がその場を離れる感じも、神崎が告白してフラれた様にしか見えないだろう。

こんなことをしたら、思春期の高校生の人だかりがあっという間に出来るんじゃないか?

その光景を他の生徒が見てはしゃいだり、野次馬の中から、神崎をいきなり慰めだすやつが出てきたりする訳でもないのが不自然だ。

こんな目立つ、不自然なインタビューをする動機が不明で、まるで狭い舞台でヨーロッパの史実の舞台とか、ミュージカルの様な立ち回りに見える。

自分が神崎だったら、完全に人から見えない場所か、それも見つかった時に怪しいから、声を聞かれない程度の人の少ない場所で歩きながら、とかにする。

自分が千木良で屋上に呼び出されたら、目立たない様に脇に寄るか、神崎との距離を短くするだろうと思う。

そうでなく、二人で屋上で向かい合い、話し合うなんて恥ずかしすぎる。

二人ともどんな心理状態なんだ?

不自然な千木良の告白シーン

御上が戦争はなぜいけないのか、という問いかけを生徒たちにし、千木良は自分も答えの出ない質問を持っている、と話しだしたが、そこから神崎、溝端も加わって話をしだした一連の感じが、すごく不自然だった。

そもそも、御上のクラスの生徒達は、千木良が不正入学したことを知らない人の方が多いんじゃないのか

それなのに、私は不正入学しました、と最初に言わずに、詳細を伏せたまま、父がやってはいけないことをした、家族を売っているようで辛い、これから神崎がすることに葛藤がある、などと内容不明のことを延々としゃべるのが、モヤモヤする。

自分が千木良の不正入学を知らない生徒だったら、だから何が?千木良のお父さんがスキャンダル?千木良自身に何が関係ある?とずっとはてなマークだ。

それなのに神崎と二人だけでわかり合っている感じを出されても、こっちは蚊帳の外でイラッとしかしないし、謎のまま溝端まで加わって、私も不正に関わっていました、と言い出す感じが、さらにイライラがたまる。

全員、視聴者と同じで、千木良の不正入学を知っているのか?

流石にそんな訳はない。

次元や富永、神崎にしても、ペラペラしゃべるとは思えないし、しゃべってはいけないだろう。

それなのに、生徒達は、え?どういうこと?とざわつくこともなく、和久井あたりが、何があったんですか?それが分からないと理解しづらい、などと言うわけでもなく、全員ただ静まり返って聞いているだけ、というのは、あまりに不自然だ。

内容は明かされてないのに、みんな、これはきっと千木良は父親のコネで不正入学したんだ、と聞かずとも答えをすぐに導き出したのか?偏差値が高いから?

推測はできても確認は必須で、それをしなかったら思い込みの可能性もあるのに。

ちなみに、千木良が、家族のことを売っているようで呼吸も出来なくなる、と言って、本当に呼吸が出来なくなる演技はあざとかった。

それを言わずして見せるべきだし、呼吸が出来なくなる、と言った直後に急に本当に呼吸が出来なくなる人なんているのか?

それまで普通だったのに。

もうすでに呼吸が出来てないならまだしも、そうならあえて言う必要もないし、呼吸が出来ないようにしようとしている様にも見えてしまう。

そんな千木良の手を椎葉が握る感じは、仲良しごっこだった。

なので、千木良の話し方も含め、すごく変なシーンだった。

そして、溝端のコメントは薄っぺらくて、これならしゃべる必要もなく、データを神崎の机に置いて帰るだけの方がよほど溝端らしい。

不正に関わってきた、君たちがこんなに戦っているとは知らなかった、なんだそれ?

散々生徒に冷たく接してきたくせに、今さらそんなうわべの反省だけされても、改心したんだ、なんて思わず許せない。

むしろ、事が明るみに出そうになっているから、善側にひるがえっただけなんじゃないのか?と思う。

もしくは古代に見放されたから、というだけ。

戦ってるって、千木良と神崎の覚悟を見て?

不正入学がバレたら当然生徒だって路頭に迷うことは、何も想像に難しくないのに、一体何を言ってるのか?と思う。

デメリットも知ってたけど、ずっと誤魔化し続けて来たわけで、知らなかったわけじゃない。

そんな悪いやつが、この二人のやり取りを見ただけで自分の悪行に気付いた?

御上ももっと溝端に、こうなることは分かってましたよね?なぜ何年も続けたんですか?今さら謝ったところで嘘くさいし済むことじゃない、生徒の人生を台無しにしてるんですよ、と詰問すべきだった。

ちなみに御上が、なぜ戦争はいけないのか?というテーマで生徒と話し合ったのは悪くないが、少しだけだし、もっと生徒にしゃべらせて御上が論破する、などという授業も今までにやって欲しかった。

この回は最終回なので今さらだが、もっと生徒にたくさんしゃべらせないと、考えさせることにはならず、すぐに御上のターンが来て答えらしきことを言うのは違うと思う。

散々しゃべらせ、考えさせ、それも違うこれも違う、と御上に否定され、みんな疲れながら何とか答えを捻り出したが、結局答えはありません、とすかすとか、時にはちゃんと答えがある、とか、揺さぶっていくから楽しんじゃないかと思う。

その実践をこのドラマでは見せて欲しかったが、いつもちょっとだけで物足りないし、もったいない。

生徒のアドリブをばんばん入れられる場所でもあるはずなのに。 

鼻につく富永

富永はいつも一人でストツーをゲームセンターでやっている感じなど、最初は魅力を感じていたが、後半は積極的にくさいセリフを言うことが多く、すっかり嫌いになってしまった。

ムードメーカー的なキャラクターとして一目置かれている風だが、鼻につくムードメーカーで、自分がクラスにいたら、距離を置きたい人物だ。

そういう格好つけやくさいことを言わずに、現実的なことしか言わない人物像の方が合っているはずなのに、と思う。

ムードメーカーというのは、次元のようなキャラクターであり、次元が仮にくさいことを言っても、何を言ってるんだ、と周りが笑ってツッコめる様な可愛げがまだある。

愛すべきおバカさんの様な感じだ。

次元も深い人物像ではないけど、分かりやすい軽い人間なので、富永ほど鼻にはつかない。

真山の改心の演技は良いが、まだ足りない

真山がようやく素直になったシーンは涙腺が刺激された。

冴島に、もがいてでも命の大切さを一生かけて知って欲しい、などと言われた後、急にフガフガしだして、お母さん、殺しちゃった、と言う感じは、本当に感情が込み上げてフガフガしている感じなので良い。

真山は子供ではないが、母親に自分がやってしまったことを素直に報告する子供の感じがして、良かった。

冴島も泣きながらそれを受け止める感じも合わせて、涙腺を刺激された。

しかし、このシーン自体は良いが、もっと早くこのシーンが見たかったし、前にも言った様に、ここに至るまでに、真山がこの自分の状況を中々受け入れようとしないことに、御上と神崎が手を焼き、あの手この手で、アプローチする、という苦労感もないので、大分もったいない。

そして、真山なんかより、被害者の青年の方が比べものにならないほど不憫なので、その青年がどんな人間だったか、もっと時間を割いて描いても良かったし、神崎はその被害者がどんな人生を送ってきたのか、どんな友達がいて、何が好きで、将来どうなろうとしていたのか、などを深く取材し、真山に突きつけてやるくらいして欲しかった。

その被害者の人間描写に一話割いても良いくらいだし、御上の兄よりも描くべき人物だと思う。

こんな人間をあんたは殺したんだ、という、真山に限らない、無差別犯罪を起こす犯人への警告として。

真山に虐待し続けた父親についても、ナイトクローラーのように執拗に取材を続け、それを拒む父親の人間性の酷さを描いても欲しかったし、虐待というテーマについても、クラスで議論して欲しかった。

冴島は不倫せざるを得なくなったけど、そもそも父親が虐待しなければこんなことにはならなかったわけで、真山だけでなく、父親に対する罰が全く描かれていないのも、モヤモヤが残る。

そして、真山には事件に至る外部的な要因があったとしても、理不尽に関係ない人の命を奪っていることには変わりはないので、真山の改心を描くのは良いが、被害者とのバランスを考えると、犯罪者寄りであるように見える。

ようやく、殺したことを認めたのは良いが、その先の反省、具体的な償いの内容など、もっと踏み込んだ描写も入れて欲しい。

仮に、この事件が本当にあった事件を題材にしていたとしたら、遺族にとって、真山がようやく罪を認めた所で、第一歩かもしれないが、まだ全然足りず、溜飲が落ちるはずもない。

あっさりした最終決戦、足りない悪の描写

古代、塚田、中岡は食事会をしている所で、御上と槙野にはめられ、ようやく倒せたが、あまりスカッともせずに終わってしまった。

中岡は、ニコニコしているけど実はすごく怖い、わけでもなく一瞬声を荒げただけで薄っぺらいし、最後までニヤけていて、特にダメージを与えた感もない。

塚田も特に暴れるわけでもなく、そのまま逮捕された。

古代は、中岡にも反論していたし、御上にも、隣徳は終わりです、と詰め寄っていて、悪くないが、もっと怒って良かった。

御上に、変わりの理事長はいるから大丈夫だ、と言われて、もう会話は終わりだった。

不正入学がなぜ必要なのか、不正入学があるとないでどう学校の成長スピードが違うのか、などを強烈に御上にぶつけて、御上が次々と言い負かしていく、ようなシーンが見たかった。

大学でしか判断されない社会を作ったのはあなた達官僚でしょ?などと、悪なりに良いことを言っている。

せっかく理事長のキャラクターは悪くないのに、この状況に引いてしまっている感じで、粘りもなかった。

槙野が乗り込んできて、御上とグルであることが古代たちにバレたが、この場面まで、ヤマトタケルを謎のままにしておいても良かったような気もする。

御上が、ヤマトタケルさんが来ました、と言って槙野が登場し、ここで初めて槙野が味方であったことが判明した方が面白かったんじゃないか?

今思えば、槙野が前話のラストから来る必要はなかった気もする。

槙野の回想も、後ろに持ってくれば良いだけだ。

こっちは、当たり前だが、槙野が味方なのを知っているので驚きはない。

出来れば、古代達と同じタイミングで驚けた方が跳ね上がったんじゃないか?

そんなこんなで、せっかくの最大の見せ場とも言えるはずなのに、この悪との対決シーンは、大分あっさりしていた。

千木良だけ高卒認定、くさい最後の授業

不正入学をしていた千木良は高卒認定試験を受け、大学進学への道が残ったようだが、他の不正入学の生徒はどうなっているのかも描いて欲しかった。

神崎達が暴露するのは良いが、影響を受ける不正入学の生徒たちのバックアップ体制を作ってからでないと、神崎がやっていることは、今までの曝露と何も変わっていない。

より曝露の規模が大きく、主要な新聞やメディアで報じられることになり、むしろ素人の神崎がただ曝露するよりも、生徒たちへの影響力は大きい。

御上と槙野は、神崎がどうするのか?と見守る姿勢を見せていたが、ただ見守るだけか?

神崎君、それじゃ今までの君のやり方と変わらないよ、生徒たちのフォローも考えないと、富永さん達に頼んでも良いし、などと、神崎のやり方を監修する必要があるんじゃないのか?

千木良は神崎に直接許可を求められたから、高卒認定の準備も出来ただろうが、他の不正入学の生徒たちは、寝耳に水なんじゃないのか?

千木良の様な選択肢を取りたい生徒だってきっといる訳で、千木良は自分が上手く行けばそれで良いのか?

不正入学の生徒たちを集めて、このまま卒業することも出来るが、高卒認定という手もある、と説明会を開くとか、御上のクラスも、フォロー体制をどうするのか徹底的に話し合うべきじゃないのか?

そこを放ったらかしにして、ただ暴露するなんて、御上にしてはずいぶん雑だ。

そこら辺もフォローしましたよ、という体なのか?

なにはともあれ、何だかんだ無事に御上のクラスの生徒たちは卒業の日を迎えることが出来たようだが、卒業日の最後の授業はくさかった。

教室に御上がいて、生徒達が帰って来始めた時に嫌な予感がしたが、案の定最後の授業が始まってしまい、大したことを言っているわけではないのに生徒の大半が涙ぐむ、という普通のあるあるな学園ドラマの展開で、なんだかなあ、となってしまう。

富永を始めとした生徒達にやって欲しいと促され、御上もまんざらでもない感じが、見ていてむずがゆい。

富永の、照れんなよ、とか、逃げられると思ってるんですか?などの発言もうっとうしい。

授業などやらないで、一言だけ言って帰ってしまうとか、そんな和気あいあいとした空気感をぶち壊して欲しかった。

例えばやるとしても、この回で話し合った、なぜ戦争はやってはいけないのか、というような難しい議題をあえて与え、生徒達の答えを御上が次々論破していき、終いにみんな無言になり、もう終わり?でもこれが今の君たちの力だよ、一年学んできたって答えられない質問は山ほどある、高校卒業なんて始まりでしかない、と、浮かれた生徒達の気持ちをぶち壊して終わる、とかだったら面白かった。

じゃあまたどこかで会おう、でもその時は、僕と話が出来るくらい立派じゃなきゃ僕は無視する、こんな優しい顔はしない、久しぶりなんて言葉は要らない、とか言って去っていったら、粋で格好良かった。

でも、御上はこのドラマを通して、それほど一貫した厳しさもなければ、重厚なマンパワーもないことがもう判明しているので、それをやったとこで無理やり最後だけ厳しくした感じになるから、それも取ってつけたようで不自然だ。

御上は最初こそ普通じゃない感があったが、以前の話でも言った通り、もう途中から普通のイケメン教師だ。

だから、そんなことを期待してもしょうがないんだろう。

この最後のホームルームですら、演者のためのねぎらい、演者同士の最後の別れとしてではなく、あくまでドラマの一環で、面白くなければいけないに決まっている。

頑張ってそうしたつもりだ、と言われればそれまでだが、そうする気のないゆるさを感じてしまう。

このシーンの後、はい、カット、生徒さんの教室のシーンは全カットクランクアップです、お疲れ様でした〜という声がかかり、御上や是枝に花束が渡され、本当に生徒役の役者達が泣き、先生役の役者も何かコメントして、拍手が沸き起こって、まるで本当の卒業の日のような、舞い上がった雰囲気で終わったんだろうな、と思うと、なんとも言えない。

作っている側は、良い作品が撮れたのかどうなのか?という葛藤などもなく、そういう儀式だけはちゃんとやってそうだ。

ドラマ「御上先生」を見終えて

この最終話のタイトルは、主題歌の曲名と同じだから、曲はワンオクロックに書き下ろしてもらったのか?

水のしたたりのような、静寂を破る繊細なイントロはめちゃくちゃ格好良い。

それだけに、ドラマの中身が分厚いものだったら、とんでもない作品になっていたかもしれない。

この曲のパワーのおかげで、一瞬ドラマが格好良く見える時はあっても、この曲が良いだけだった、とすぐに思ってしまう。

映像がキレイで、ちゃんとロケし、一流の役者が出て、主題歌が格好良くても、ドラマが今ひとつなら、作品を面白いとは感じれない。

所々一流な部分はあるのに、一番肝心な脚本や演出、演技指導などになぜ、同じくらい力を割けないのかよく分からない。

舞台がリアルであれば、役者もそのリアル感に引っ張られて、演技に没入しやすくなるはずだし、言い訳出来なくなるので、リアルに越したことはないが、ドラマの質とあまりに乖離しているそのバランスの悪さが問題だと思う。

キレイな映像を撮ることや、リアルな建物を用意することなどは、目に見えるから分かりやすいが、演技や人物描写、ドラマの展開の良し悪しは、目に見えないから分かりづらいということか?

分からないならもうしょうがないが、その大きな壁はいつになったら、どうやったら壊れるのか、よく分からない。

御上は、上述した通り、最初こそ普通じゃない教師感があったが、どんどん普通のお兄ちゃん寄りになっていった。

それは、きっともう最初から、どんな人間で、どんな振る舞いをして、どんな考え方をする、などが深くまで設定されていなかったんだろうから、もうしょうがない。

御上は、不正の告発よりも教育改革が重要だと言っていたが、目を見張る授業もほぼしておらず、特に教育改革は何もやってない。

最後の授業で、この一年、考えてとずっと言ってきた、答えのない質問を持ち続けることが大事だ、などと良いをことを言っていたが、どうやって考え、鍛えるのか、ということはほとんど何も教えていない。

考えて、なんて誰でも言える、無茶ブリ、パワハラワードである、と言えなくもない。

これから学校で、教師が生徒に自分で考えさせることが教育改革か?

今まで日本ではそれが足りないと散々言われてきたことで、その具体的なシステムや手法、教師の個人差に頼らずその質をどう担保するか、が課題なんじゃないのか?

ちょっとディベートをするだけじゃ全然足りない。

生徒の家庭問題も議題に上げてみんなで話し合う?

答えの誘導力、ディベート力のない先生だったら、ただ家庭事情をみんなにさらすだけで、より悪化する可能性もあるんじゃないのか?

そもそも誰でも成れるような教師の質をどうするのか、ということも変える必要があるだろう。

そこら辺の詳細は、特に触れられておらず、あまりにざっくりしすぎている。

今作は御上の紹介で、次回作から教育改革をする予定なのか?

御上のクラスには、積極的に自分から社会活動に奉仕する、珍しい生徒達がたまたまそこそこいて、彼らが勝手に動いただけで、全く興味のない生徒を引きずり込むほどの授業はしていない。

生徒は生徒で、高校生のリアル感などは特に感じなかった。

上述した通り、良いことをしたい生徒が多すぎるし、与えられたセリフの言い方に生感も少なく、あざとい人もいる。

神崎の演技は棒読みっぽいが、あざといセリフっぽい感じでもないので、良くも悪くもなく、普通だ。

そもそもいちいち立ち上がって発言する、前に出ることを普通にやっているのがもう不自然で、そんな堅苦しい話し合いに誰が参加したい?

余計なことを言ったら前に出て説明しなくてはいけないから、黙っておこうと思わないか?

そういうのが好きな、目立ちたい人は良いだろうが、そうでない人の方が多いんじゃないかと思う。

前に出た時に、緊張して上がったりしている人もおらず、全員堂々としているのが、もうおかしい。

進学校で、みんなプレゼン能力に長けた優秀な生徒達ってことか?

強いて言えば、そういうのが合っているのは、和久井くらいかもしれない。

和久井は社会活動やクラスの話し合いにも、参加したくもしたくなくもない、輪に入っているようで入ってないが、入ってないようで入っている時もある。

どっちでも良い、みんながやるなら協力するけど、くらいフラットで、人前でも特に緊張しない和久井の感じは、頭が良すぎる、ひょうひょうとした秀才として、リアル寄りと言えるかもしれない。

金髪も似合っている。

しかし、和久井は特別として、そうではない人はもっと緊張感がなければいけない。

せめて極力立ったりせず、話し合いは座ったままで、もっと雑然と意見が飛び交って良いし、全く発言しない人を御上がバンバン指名して意見を聞く、とかもするべきだ。

それをやるにはセリフのラリーが膨大すぎるのか?

せっかく手を出したんだから、そんなこと言わずにチャレンジして欲しかった。

もしそれが出来たら、だいぶ面白かったかもしれない。

このドラマでは悪を成敗することが描かれているが、もうそれもなく、授業風景一択だけでも良かった気もする。

結局悪の描写も大したことなかったし、スカッと感もなかったので、なおのことそう思う。

以前にも言ったが、1時間ぶち抜きで授業をやれば、一話一話相当濃いものになったんじゃないか?

授業も悪の成敗も、どっちも中途半端で、教育に関するイメージドラマ的印象はやはり否めない。

一つ一つ掘り下げる作業から逃げた結果だろうと思う。

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