ドラマ「御上先生(2025)」が”つまらない”理由と考察、その感想

④物足りない☆2

御上先生

テレビ局-TBS プロデューサー-飯田和孝、中西真央、中澤美波

演出-宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜

脚本-詩森ろば 脚本協力-畠山隼一、岡田真理 音楽-鷺巣詩郎

出演– 松坂桃李、吉岡里帆、及川光博、岡田将生、櫻井海音、北村一輝、、臼田あさ美、迫田孝也、奥平大兼、他

ドラマ「御上先生」のあらすじ

文科省の現役官僚の御上孝は、隣徳学園に教師として派遣されることになる。

塾も経営する隣徳学園は、理事長の方針もあり、教育に力を入れている進学校である。

赴任早々、官僚の現実や、世の中の厳しさについて、包み隠さず生徒に伝える御上の教え方は、副担任や主任教員から反発を招くことになる。

そんな中、生徒の神崎から、実は御上は文科省の不正にかかわり、その責任を取ってこの学校に左遷させられた、という暴露記事を学校中に貼りだされてしまい、学校は騒然となる。

その事実をおおむね正しいと認めた御上は、神崎が指摘した問題は表層に過ぎず、大きな闇が隠されていることを告げるのだった。

「第1話-destruction-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

現役官僚が教師になる、見やすいドラマ

エリート官僚が教師になるドラマ。

大分キレイな映像で、セットじゃなく実際の建物で撮影してるので良い。

セットも混じってるかもしれないが。

主人公の御上の少し低めの声としゃべり方が聞きやすく、演技もあざとくないので、引っ掛かる所もさほどなく、最後まですぐに見れてしまった。

エンドロールもスタイリッシュで、格好良かった。

しかし、見やすかったのは良いが、よく分からなかった。

これで終わり?という感じで、事件が起きたような起きてないような、つまらなくもないが面白くもなく、あっさりしていた。

もっと言えば何もなかった。

なぜなのか考えていきたい。

クライマックスがなかった、生徒たちや神崎との会話が物足りない

ゴシップ記事を書くことが趣味の神埼が、御上が実は天下りの事件に関わっている過去を暴き、学校が大騒ぎになって、御上がその記事は概ね事実だ、と認め、自分にちゃんと取材をしろと神崎に迫った所までは分かるが、その後の御上の言ってることがよく分からなかった。

御上が、なぜ不倫した冴島は学校を辞めて、相手の男性教師は左遷で済んだのか、と生徒に問いかけるが、そこをもっと掘り下げて欲しかった。

例えば、男性教師は図太くて冴島は弱かったから?批判は両者にあるはずなのに、なぜ男性教師が系列の塾に行くことは許される?暴露しただけでその経緯は調べてないの?君たちはそれも止めて欲しい、甘いとは思わない?目の前から消えれば良いだけ?そもそも教師が不倫してようが、君たちの学力には関係ないんじゃない?不倫してても教え方が上手い方が良いとは思わない?じゃあ暴露しない方が得じゃない?神崎に腹が立ってる生徒もいるんじゃないの?それでも暴露は正義?などと、生徒にじゃんじゃん問いかけて欲しかった。

考えさせるって、その考えの幅をある程度実際に提示しないと、教師がただ一言問いかけて、考えて、で終わりでは、どうやって考えれば良いかすら分からない。

そういうことをせず、なぜ想像力を使わなかった、真のエリートは他者を思いやれる、上級国民になるな、と言われても、何が言いたいのかよく分からない。

格好良い名言めいた事を言うのは良いが、ちゃんと考えさせる授業をした後に言えば良い。

放課後に神崎と御上が話すが、御上が明かしてくれた内容がぼんやりしすぎて、これもよく分からない。

御上の不正と試験会場の刺殺事件とこの学校、そして文科省、神崎が暴露した冴島の不倫がつながっているかもしれない、と言っていたが、情報が多すぎるし、ハッキリしないので、そうなの?という感じで終わってしまった。

バタフライエフェクトによって、単なるゴシップ記事が遠因になり、人を殺し得る、と御上は言っていたが、説教なのか事実を言っているのかもよく分からない。

両方なのかもしれないが。

不倫のゴシップ記事が人の人生を台無しにしている、と言われても、神崎同様、だからなんだ?と思うので、説教としては浅い。

表層しか扱わないゴシップ記事など意味がなく、本当は、なぜ冴島はクビになったのに、不倫相手はクビにならず、系列の塾に回されただけで済んだのか、その背景にはこの学校の大きな闇が潜んでいる、それをスクープしないなんて、報道の記者失格である、と言いたいなら、そうはっきり言えば良い。

ボンヤリと匂わすだけで終わっているのが大分物足りない。

さらに、冴島のゴシップ記事が、試験会場の刺殺事件と関係しているかもしれない、というのも、君の記事のせいで人が死んだ、同責任取るんだ?とはっきり詰めれば良かった。

神崎もなぜか受け身で聞いているだけなので、面白い会話になり得ていない。

神崎が録音しながら官僚の不正について質問し、御上はそれに対して実名も挙げて、証拠も提示し、聞いたこと全てに次々隠さず答えていき、神崎も興奮していく、とかだったら面白かった。

官僚の大きな闇を神崎に晒し、君はこれを記事にする勇気はあるか?君の記事は表層しか扱っていない、所詮ゴシップ記事なんてその程度だ、などと切るとかなら格好良かった。

この学校は官僚とも深いつながりがある、もみ消され、君は退学になるだろう、それでも真実を世にさらす覚悟はあるか?記事にするならそれくらいしろ、私は構わない、やるなら協力する、とか言って欲しかった。

そうではなく、大きな闇が隠されている、かもしれない、と神埼に言うだけなので、こっちもポカンとしてしまう。

このシーンで、御上がどんな人間か、信頼出来る人間か否か、なぜ神埼の記事が浅いのか、ハッキリと提示する必要があったが、そうはなっていない。

第一話のクライマックスとしては大分物足りず、なぜか全て匂わすだけで終わっている。

ハッキリしないその匂わせから、とんでもない闇があるんだ、と勝手に想像して楽しめるほどの深みが、御上の振る舞いや雰囲気には特にない。

あざとくはないけど深くもなく、格好良くも悪くもない。

そんな状態で、神埼がかつての御上の友人に似ているから放っておけない、と言われても、ふーん、そうなんだ、としかならない。

御上はハッキリしたことは言わず、神埼にも、見ている者にも考えてもらいたい、というスタンスなのかもしれないが、物足りない。

これなら、ハッキリした言葉で神埼をまくし立てる方がまだ良い。

この神埼とのシーンが終わって、エンディング曲がかかったので、もう終わりか、と拍子抜けの様に感じてしまった。

昨今パワハラがどうの、と言われているから、あまり教師が生徒にきついことを言うシーンを描いてはいけないから、こうなっているのか?

もう十分言っている気もするが。

オトボケ主任の溝端

主任の溝端が、元担任の是枝が勝手に期末テストを作っていて問題だ、と悪口を言い、是枝の作った期末テストは、最近のトレンドを取り入れていて良く出来ている、と御上に一蹴されていたが、溝端はアホすぎると思った。

溝端は主任にも関わらずそのテストを解いてすらないのに、勝手に作ったのは問題だ、と言うのはあまりにも中身のない悪口で、解く必要がない、と怒りながら反論するのもアホすぎる。

それに、いきなり赴任初日の教師に、聞いてもないのに、是枝は名家の縁故採用だ、なんて言うか?

こんな主任教師はさすがにいないんじゃないのか?

せめて、実は解いてないことを明かさず、トレンドを取り入れれば良いってもんでもない、急に昔の問題の出し方に戻ることもあるから、過去の実績を重視すべきだ、くらい取り繕って言って欲しかった。

後ろで他の教師たちが、バチバチだな、などと笑っていたが、バチバチどころか溝端のボロ負けだ。

溝端も問題を解いていて、長文の作家の選択が悪い、違う作家の誰々にした方が良い、などと問題の中身で御上と議論する、とかなら確かにバチバチだったかもしれないが。

そして、理事長に、御上は腹に一物持っている、厄介な匂いがする、理事長が御上と接する時と自分と接する時では別人だ、と報告したが、一体どこでそう思ったのか?

御上が溝端にひどい態度をとっていないことは他の教師たちにも見られているのに、よくそんな大嘘が言えるなと思う。

溝端にはむしろ御上はにこやかに接していた。

主任だから、是枝からも御上の感じを聞いて、自分が恥をかいたことが悔しくて悪く言っているのか?

いずれにせよ、腹黒いというか、いつか必ず破綻するアホだ。

確かに御上は腹に一物持っていて、厄介なやつなので当たっているが、その嗅覚だけは異常に鋭いのか、たまたまなのか。

溝端は主任なのに、進学校には似合わない、ダメダメ教師のなごませキャラなのか?

理事長が、御上の過去が暴露された後、こういう問題を処理してくれなければ君を雇った意味がない、みたいなことを言っていたから、溝端は何かの裏工作要員なのか?

それにしては、ボロを出しすぎで、役立つとは到底思えないが、何かの特殊能力に特化していて、わざとアホを演じているだけなのか?

主要人物として溝端の人物像は浅く、邪魔だった。

典型的な分かりやすい嫌なヤツを作ろうとして失敗したのかもしれない。

こんなあざといザコキャラでなく、リアルに、なんかこの人嫌だな、という敵を作って欲しい。

この役者の演じ方は、演技してる感をいつも強く感じるので、演劇臭がして心を動かされない。

コントの演技というか、全て頭の中で決めた仕草や振る舞いをなぞっている感じがして、リアルな会話のアドリブ感がなく、つまらない。

良い音楽もあるが、もっと控えめで良い

音楽は所々控えめで、状況を盛り立てている繊細な良い音楽もあったが、序盤からの大げさな音楽は上滑っているので、音楽はもっと控えめでも良いと思ってしまった。

というか、主人公がどんな人間か分かるまで、音楽っていらないんじゃないか?

映像がキレイな分、より音楽がなくても見てられるんだから、本当に少しで良い。

今後の話で徐々にドラマの方向性や主人公の人間性が明かされていけば、いずれ流せる時は来るんだから、無理やり一話からじゃんじゃん流していく必要はないと思う。

特に、讃美歌的な音楽は、相当なシーンでない限りしっくりこないので、止めた方が良いと思う。

アンチヒーローでもそんな音楽が流れていたけど、日曜劇場は讃美歌的な音楽が好きなんだなと思う。

何のインスパイアなんだろう?

ドラマチックな展開になっていった時には、しっくり来る瞬間もあるのかもしれないが、基本として使っていくのは怖い音楽だと思う。

御上にまだ深い味はない

序盤から映像がキレイでスタイリッシュさもあり、主人公の御上もあざとくないので、比較的見やすかった。

御上は、怖い感じも、笑うかわいい感じも、どちらも嘘でない感じに見えるので悪くない。

御上のしゃべりが聞きやすい反面、今のところ特に御上に魅力は感じなかった。

髪に薄くパーマがかかっている感じや、元からそういう髪質という設定なのかもしれないが、甘いマスクも含め、良いルックスを超えた濃い人物像にはまだなり得ていない。

ドラマ部分が濃ければ、クライマックスの神崎との会話が、もっとしびれるような強い会話だったら、そう思えたかもしれないが。

ちなみに、御上が廊下に入って来た蝶を逃がしていたシーンがあったが、スローモーションになっているのがダサかった。

なぜスローモーションにしたのだろう?

冷酷で怖い雰囲気のある人間が、蝶を外に逃がしている姿を見た人には、感動してスローモーションに見えるのか?

御上はおかしなことは言ってないし、そんな冷酷にも見えないので、特にハッとさせられることもない。

蝶を外に逃がすのは何も特別なことではないのに、変なスローモーションの使い方だった。

「第2話-awareness-」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

話しは進んだが物足りない

試験会場の刺殺事件の犯人が、実は神埼が不倫を暴露して学校を辞めた教師、冴島の娘だと判明し、そのことについてどう思うのか、御上が生徒達と教室で話し合う展開自体は面白かった。

御上に刺激された神埼が、なぜ冴島は辞任したのか理事長に直撃し、逆に理事長から、取材したらどうか?と勧められるのも面白い。

しかし、教室での話し合いは、ディベートと呼べるほど白熱したわけでもなく、数人がしゃべっただけであっさり終わってしまったので物足りない

御上が試験会場刺殺事件の犯人に会いに行く、というのも興味をそそられるし、全体で悪くない展開はいくつかあっても、さわさわされるだけで、面白いとガツンとくる訳ではなかった。

キレイな映像が見やすくて良い

何度も言うが、このドラマは映像がすごくキレイで、しかも実際の建物や道などでロケをしている感じが、それだけでかなり見る気になる。

不思議だが、本物の空間の力はそれだけ強いのかもしれない。

ドラマというより映画の画質のようで、全部のドラマが最低限こうであれば、もっと見たいと思うのに、と思う。

一目でセットだと分かる様な建物や部屋に加え、実際の目に映るよりも劣る画質だと、やはり見るのがしんどい。

セットでも慣れてくればまだ気にならなくなるが、それまでに時間がかかるし、時折やっぱり作り物だよな、と現実に戻されるきっかけになり得てしまう。

なので、こういう映像の見せ方は、入り込みやすく、ストーリー自体や役者の演技により集中しやすいので良いと思う。

知らないが、セットを全く組まないとしたら、その分ロケ場所を探すのが大変だったり、キレイな画質自体にお金がかかったり、色々大変なのか?

逆にセットを組まないことで、浮いたお金で画質を上げられるのか?

分からないけど、せっかく作るんだから、キレイにこしたことはない。

仮に背景がいくら本物で画質がキレイでも、ドラマが物足りなかったり、役者の演技がイマイチなら、当然面白くはならず、むしろそれらのダメさが浮き彫りになり、言い訳出来なくなるので、より良いんじゃないかと思う。

なので、そういう意味で見やすいのも、一つの良い要素だとは思う。

しかし肝心のドラマ部分が物足りないので、残念ではある。

味のある脇役たち、副担任の是枝、元教師の冴島、ギラギラの理事長

副担任の是枝は自分に自身がなくなっている様な、マイナスの演技がリアルで良い。

御上に指摘され、神崎が起こした冴島の事件について深く考えようとしていなかった、というのを認めるシーンは、本当にその場で考えて、そうです、と返事しているように見えたので良い。

この役者は、笑顔は素敵だが、マイナスの感情を抱えている感じがよく似合う。

笑顔も、手放しの晴れやかさというより、苦笑いとは言わないが、どことなく悲しみの様なものを含んでいる感じがある。

きっと、この役者はネガティブな思考がベースにある人なのかもしれない。

それは悪い意味ではなく、その方が人間らしく、年を取って自信がついていけば、マイナスを経た深みのある、強い演技を身に着けられる可能性があると思う。

神崎に記事にされ、学校を辞めざるを得なくなった冴島が、一見冷たい感じにも見えるが、神崎と少し接している内に、実は悪い人ではない事が分かる感じが味があって良い。

これから何があってもあなたのせいじゃないから、というのも、神崎のためを思ってのことだし、傘を無理やり渡そうとするところも、ニコニコはしてないが、悪い人どころか、良い先生だったんだ、と分かる深みのある演技で良い。

不倫をしたのは、出来心とかではなく、何か弱みを握られていたなど、何か理由があったのかもしれない、と思わしてくれる。

ちなみに、神崎と冴島がしゃべっていた高架下では、外で雨が降っていたが、わざと降らせた雨っぽくて嘘くさかった。

かなり明るいのに土砂降りである、という変な天気雨の時に撮ったのか?

イケイケの理事長は、ビシッとスーツを着こなし、テレビに出る余裕のある感じとか、車から出て来て生徒に元気良く挨拶する感じなど、表面上は本当に生徒に優しく紳士的だが、かなりギラギラもしてる感じが、とんでもない悪かもしれない様に見えて良い。

神崎に直撃された時も、全く動じず、紳士的な話し方で、取材してみたらどうですか、と神崎に提案する感じも、どっちなのか分からない風に見える振る舞いで良い。

もう、多分悪いやつなんだろう、と思ってしまっているが。

本当にオープンで、隠し事がないから取材されても平気な訳ではなく、きっと取材しても絶対に真相にたどり着かない、着かせない、という自信があるから言っているんじゃないかと思う。

実は冴島ともグルで、わざと隠し事をして、それを暴いてくれるジャーナリズム精神あふれる生徒を待っている、訳ではないだろう。

そのために嘘の不倫写真を撮らせ、離婚させたとしたらやり過ぎで、すごい記者が生まれる保証もなくリスキーで、学校にメリットもない。

冴島の感じを見ても、学校に何か闇があるんだろう。

この理事長の余裕の顔が引っペがされて、醜い醜態をさらすとこまで行ったら面白い。

そういう意味で、手強そうな悪で良い。

主任の溝端は、一話で理事長に、御上の過去がばらされた騒動の時、こういう時のために君を雇っている、と言われていたが、今話では特に何もしていない様だった。

今はまだ力を溜めていて、いざという時に力を発揮するのか?

それとも理事長の発言はただ溝端に発破をかけただけで、ただのオトボケ主任なのか?

暴露新聞を作っている神埼は、報道記者を目指している、と言う割には、御上への追求も厳しくないし、冴島や理事長に対しても、独自に真相のシナリオを作って理論武装して切り込んでいく訳でもないのが物足りない。

高校生なので、冴島や理事長に会いに行っただけでも行動力がある方なんだろうが

御上の生徒達のセリフ回しは、基本的に与えられたセリフをただ言っている人が多いように感じた

与えられたセリフを、決められたタイミングで言え、と言われているだけでは、当然そうなるのでしょうがない。

なぜもっと生徒に議論させないのか?物足りない授業描写

良い脇役もいるものの、この2話のクライマックスや見どころは特にないまま終わってしまった。

起こった出来事は盛りだくさんの割に、何も起こっていない様にも感じ、ただストーリーが進んだだけの印象を受けた。

冴島への神崎の取材、刺殺事件の犯人が学校の元教師の娘と判明してマスコミが学校に押し寄せる、クラスでの話し合い、官僚のよからぬ接待、是枝の反省、理事長のテレビ出演、理事長が神崎に自分への取材を促す、御上が刺殺事件の犯人と面会する、など展開はたくさんあった。

しかし、所々良い瞬間はあっても、少しだけで終わってしまう。

かといってそれぞれのシーンがとても濃いというわけでもないので、つまらなくもないが、面白くもない。

2話の見どころになり得たのは、御上と生徒達が神崎のスクープを発端にした一連の騒動に関して議論する場面だったと思うが、それも少し話しただけで終わってしまったので、大分物足りなかった。

御上が主導して、神崎のスクープさえなければ殺人事件は起きなかったから、神崎は殺人犯と同じなのか、はたまた、神崎はあくまで事実を報道しただけで何も罪がなく、むしろ良いことをしたのか、君らは本当はどう思っているんだ?などと生徒を煽って白熱した議論をすべきだった。

ハゲワシが飢餓状態にある子供を食べようとしている写真についても、この写真撮影は善か悪か、君たちならどうする?と多様な意見をつのって、報道とは何かについて議論して欲しかった。

このシーンが熱い生徒達の言い合いになり、極論を言う生徒や正論を言う生徒、それは偽善だ、などと論破されたりなど、朝まで生テレビ的な討論が見たかった。

ちょろっと数人に意見を言わせて終わるんじゃなく、自分から議論に参加しようとしない生徒を指名して意見を言わせたら、一番バランスの取れた深い意見だった、とか、こいつこんなこと考えてたんだ、などと印象がひっくり返る様な意外性が描かれても面白い。

このくらいの議論であれば、御上が他の教師と違った独特感は特にない。

御上はこの学校に来た目的が、悪を世にさらすことが目的だったとしても、官僚が良い職業でないことを明かしたり、普通の教師じゃない進め方で授業を行っているんだから、もっと濃い授業でなくてはならない。

そうでないなら、全く爪を見せずに、生徒の前ではごく普通の授業をやる何の変哲もない教師だが、実は学校と国の悪をさばきに来た、などとハッキリした二面性がある方が面白い。

なので、ここは長くなっても良いから、濃い授業にして欲しかった。

そうじゃないので、上述した通り、この話はどこが見どころかよく分からない。

ちなみに、マスコミが学校に押し寄せ、校内に入るのを躊躇していた神崎に、御上が後ろから背中に手を添え、神崎を守りながら一緒に学校に入っていく感じは格好良かった。

御上は、今のところ存在感があるようでなく、ないようでなくはない。

生徒にシビアな現実を隠さずに伝える一方、上述した通りそこまで革新的で独特な授業を行っている訳ではなく、御上自体もどんな人間かはよく分からない。

御上の学生時代の友達が、御上に影響を与えたらしいことは匂わされているが、今のところ御上の過去に興味をそそられるほど、御上は魅力的ではない。

まだ始まったばかりなので、今後御上の人物像が深く描かれていくのかもしれない。

「第3話-beginning-」が”つまらない☆1″理由と考察、その感想

何もなかった3話

御上が殺人犯に会いに行き、神崎は父からこれ以上調べるなと釘を制され、クラスでは神崎の理事長直撃や中学の学習指導要領のおかしさについて話し合い、御上の兄が自殺していたことが判明、御上はついに学校の全教師達とあからさまに対立する姿勢を見せ、学校には新たに不正を告発する脅迫のようなFAXが送られてきた所で物語は終わった。

御上の同僚の槙野は中岡と接触を図ろうとしている。

今回の話でも、見どころは何もなかった。

一話二話に感じたような期待感もなく、この話は、つまらない、と言って良いと思う。

なぜなのか考えていきたい。

御上がなぜ殺人犯に会ったのか不明

冒頭で御上が殺人犯に会った理由がよく分からなかった。

君は大量殺人のテロリストと同じ、君のやったことで世界は何も変わらない、でも君の戦いが孤独だったことを僕は多分知っている、殺した人の顔が忘れられないだろう?と殺人犯に言っていたが、何がしたかったのかよく分からなかった。

全ての通り魔に対するメッセージか?

それにしては、一方的に殺人犯のやったことをコケおろした上で、ちょっと寄り添うことを言うことに、何の意味があるのかと思う。

この冴島の娘はいじめられていたらしく、その原因は冴島の不倫で、神崎が暴露しなければ、この殺人は起きなかったかもしれない。

親のせいで、自分のせいでもなんでもない、理不尽な苦痛を強いられたことは、御上の言う通り孤独で地獄だったかもしれない。

しかし、御上は孤独だったことを多分知っている、と口で言っているだけで、殺人犯が、分かってくれたんだ、と思うとは思えない。

エリート官僚の時点で、お前に分かるわけない、と思うだろうし、分かる理由を提示せずに、本当に分かってくれてる、と思うほどの深い雰囲気もない。

少し寄り添った後に、殺した人の顔が忘れられないだろう?と結局突き放す理由は何だ?

この人に会っていれば、私はきっと事件を起こさずに済んだのに、と思える会話ではない。

殺人犯が以前に言っていた通り、わざわざ会って言うほどのことじゃない。

会った目的が、どういう経緯でどんなイジメを受けたのか、母親からは何と言われていたのか、殺人犯が通っていた学校や隣徳学園はイジメに対処しなかったのか、など当時のことを聞き出す目的なら分かる。

そうではなく、殺人犯に説教し、格好良いことをただ言いに行っただけにも見えてしまう。

殺人犯がいくら辛い思いをしたからといって、関係のない人に暴力や傷つける行為に走ってしまったら、それは負けだ。

しかし、助けてくれない社会を放置して良い訳がなく、社会も変えなければいけない。

だから、君は負け犬で、やったことはどうしようもなく浅い行為だが、人を殺した君を警察が逮捕した様に、僕はこんなどうしようもない社会を変える、だから何があったのか、当時のことを詳しく聞かせて欲しい、とか言って欲しかった。

あくまで、御上が解決しようとしている学校と政府が関わった大きな事件の糸口をつかむために、利用する目的でなければ、会う意味はないと思う。

隣徳の闇や疑惑についても全て殺人犯に伝え、協力してもらえば良い。

仮に殺人犯の心を変えたくても、実際に社会を変えようとしている姿を見せなければ、心は何も動かないと思う。

殺人犯は御上が部屋を出た後発狂していたから、御上の言葉で何かしらの影響を与えた、ということになっているんだろうが。

また来ると言っていたから、また会って今後色々話しを聞き出す予定なのか?

次会う時までに自分の行いを振り返らせ、反省させ、情報を引き出すための最初のステップ、ということか?

そうだとしたら大分冗長に感じてしまう。

議論の仕方を生徒に何も教えない御上

今回生徒達で行われた話し合いは、今までで一番長かったんじゃないかと思う。

神崎の理事長直撃に関して、中学の学習指導要領に関しての意見交換が行われたが、特に深い議論になる訳でもなく、つまらない。

帰国子女の倉吉は、神崎の取材についてはただ聞いただけ、いつも授業が中断されるのが嫌な櫻井は今回も異議を唱えたが、誰が助けるわけでもない。

栗が追いかけてフォローしに行っていたが。

中学の学習指導要領に関しては、富永がそのおかしさを提示したが、東雲の父親が指定の教科書を使わなかったことは良いことではない、という結論に落ち着き、東雲は悔しいと泣いてしまった。

いつも、積極的に自分からしゃべる少人数だけの話し合いなど、ほとんど意味がないんじゃないかと思う。

鋭い意見を持っている、でもそもそも話し合いに参加したくない、自分からは言わない人だっている訳で、そういう人の意見を事前に集約し、少ない人が代表して議論を行っている訳ではない。

御上はただ見守っているだけで、色々ある話し合いの仕方を何も教えないのは、自分達で考えさせる以前のただの丸投げだと思う。

話し合うのは良いことだけど、何か足りなくない?本当にみんなの意見なのかな?そもそも話し合いをしたいと全員思ってるのかな?とか、なぜもっと問いかけないんだ?

この御上のやり方は、積極的な人が得するだけで、全然平等ではない。

拾われた自分の意見が賛同されたら、それで自信がつく人だっているんじゃないのか?

神崎の調査を倉吉は見守る、と言っていたが、神崎が調査して、今度は理事長が辞めて教育方針が変わるようなことになったり、騒がしくなったら嫌だ、という人もいるんじゃないのか?

倉吉の意見が総意でも何でもない。

中学の学習指導要領が漠然としている、という議論についても、何も深くならないまま終わってしまった。

東雲の父は、学習指導要領を守らず、独自の教科書を主な教材として使い続けたことで学校をクビになり、それが原因で離婚し、先日病院に運ばれた。

富永の説明を踏まえ、指導要領は漠然としているけど、規則を破ったらダメだよね、という結論だけなら、議題に上げる必要もない。

東雲の父がなぜ自分の教材に固執したのか具体的に示し、どこが普通の教科書と決定的に違うのか、その教材を使うと本当に人間らしくなるのか、その教材を使った子供達のその後はどうなっているとか、そういう情報もなければ話し合いもしようがない。

話す材料が少なすぎることを指摘する生徒はいないのか?

東雲の父がただ頑固だったのか、学校側に理不尽に潰されたのか、全く分からない。

この分からない状況で、東雲が涙し、それにつられて涙ぐんでいる感じの生徒もいて、神妙な空気感になっているのが臭くて嫌だった。

御上も取り合わず、賛同者もおらず、東雲は悔しい、と言っていたが、今後自分で調べて議題に挙げるのか?

御上は、東雲に、考えて、と言っていたが、なぜもう少し考え方の考え方を教えてあげないんだ?

どう考えていいか分からないだろう人間に、考えてって言うだけなのは、ずいぶん楽だなと思う。

君のお父さんがどんな人間か分かったら、印象が変わる人もいるんじゃない?君のクラスには、優秀な報道記者もいるよね?とか、分からないけど、ヒントを与えてあげれば良いのに、と思う。

今のところ、このクラスの話し合いを聞いていて、もし自分がクラスにいたら、中身のない青春ごっこみたいだな、と感じて、関わらないでおこうとするだろう。

御上に対しても、生徒同士の話し合いを中断しないのは、授業がつぶれてありがたいし、思ったことを隠さず言うのは信頼出来るけど、考えろ考えろと言ってくるのが面倒くさいな、としか思わない。

そんな考え方があるのか、なるほど、すごい、面白い、と感化され、御上の授業を待ち望んでワクワクするほどでもないし、こっちが前のめりになって参加せざるを得なくなるような話術もない。

本当のことを隠さずに言う堅めの倫理の先生みたいで、普通の先生よりはマシだな、くらいだ。

官僚だから、堅めの雰囲気があるのかもしれないが、今のところあまり魅力はない。

御上は、主体的に動く人間を育てたいのかもしれないが、主体的の意味自体をハッキリと深く理解させないと、そもそもどうすれば良いが分からず、育たないと思う。

今後御上の授業は深くなっていくのか?

授業は見どころの一つになり得るのに、つまらない。

実際にディベート授業を行っている日本の学校のリアルな授業風景の方が、はるかに面白いだろうと思う。

制作陣は、そういう取材とかしてないのか?

してこれならお粗末だし、これから徐々に出していくつもりだとしたら、それはそれで遅すぎる。

スカッとはしない御上の苦言

冴島の件が世間で話題になり、学校では主任の溝端が朝のミーティングで、落ち着かない生徒たちに余計な刺激を与えないように、と教員たちに告げ、解散、と言うと、御上がなぜ解散する必要があるんですか?と溝端に詰め寄るシーンがあったが、御上の言いたいことがよく分からなかった。

ここにいる教員で、この一連の騒動と関係ない人はいるんですか?顔を見合わせて時間をやり過ごしてますよね?自律がこの学校のモットーなのに、教師は守らなくて良いんですか?耳をふさいで出来る教育なんてない、と言っていたが、ボンヤリして何が言いたいのかのかよく分からない。

見て見ぬフリをする教員たちに一石を投じている、というより、遠回しの嫌味の様な内容と言い方で、よく分からないし、なんかムカつく、という感じだけだった。

他人事で上から言っている感じも、人の心に響くというより逆なでしているだけだ。

御上もこの学校の教師なんだから、説教めいたことを言う前に、もっとこの件について話し合いましょう、皆さんはどうしたいですか?何か対応した方が良いと思うのですが、などと、ミーティングで具体的に提案しなかったのはなぜだ?

それでも、高圧的に、新入りが口を出すな、とか言われたら、耳をふさいで〜という説教をかましてやれば良い。

そもそも、ここにいる教師達がこの一連の騒動、学校の闇をどこまで深く知っているのかも知らないのに、全員を悪として言っている感じも浅い。

なので、よく分からず、スカッともしなかった。

説教する前に、もっと普通のふりをして相手の無意識に隠された悪を引き出してからじゃないと、いきなりキレた奴みたいになる。

溝端はこんなハッキリしないことを言われて、よく御上の胸ぐらをつかめるなと思う。

ムカつくのは分かるけど。

じゃあどうすればいい?今から話し合えってことか?授業はどうするんだ?とか言うのが普通なんじゃないのか?

それでも、吐き捨てるように、自分で考えられないんですか?とか鼻で笑って言われたら、胸ぐらをつかんでしまうのも分からなくもないが。

この学園の悪を溝端は隠蔽しようとしていて、御上の言ってることが図星過ぎたからキレたのか?

もしそうだとしたらアホすぎるし、そうじゃないなら胸ぐらつかむほど怒ることじゃない。

というか、何が言いたいのか分からず、怒れない。

御上が学校の態度に物申して、学校と対立する構図を見せたかったのか?

リアルじゃない、中身のないやり取りだと思うし、単純につまらない。

4話から巻き返して欲しい

終盤で、御上の兄は声明文を読み上げた後に学校で自殺した、ということが判明した。

まだ分からないけど、兄は学校で壮絶なイジメに合っていて、それに対する抗議で自殺したのか?

殺人犯の真山に少し理解を示したのも、兄の体験があるからか?

イジメを根絶するため、学校を根本から変えるために文科省の官僚になったのか?

いずれにせよ、御上にまだ強い魅力を感じていないので、そうだったんだ、としか思わない。

ここから、生徒との濃い授業が始まり、学校と文科省と激しい闘いが始まり、尻上がり的に面白くなっていくのか?

3話までで面白くなっていないので、望み薄に感じてしまうが、まだ巻き返せるはずなので、頑張って欲しい。

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