最近のドラマ雑感
家族がこれらのドラマを見ているので、なんとなく自分もチラチラ見ている、その分際で感じたことを書いてみたいと思います。
「オー!マイ・ボス!」
七緒の感じが、どうも無理している若者にしか見えない。
表面上ツンツンしているだけで、強い圧を感じる冷酷さなどが感じられず、鬼上司としては、めちゃくちゃ物足りない。
高畑淳子とか、天海祐希じゃダメなのか?
天海祐希は、似たような役でドラマあったから、真新しさはなくなるからダメなのか?
プラダを着た悪魔みたいにしたいんだろうが、見たことあるのかな、これを作っている人達は、と思ってしまう。
七緒が悪いんじゃない、七緒にちゃんと演技指導させていない監督が悪い。
なぜOKを出しているんだろう、これじゃあ、本当は意図があってやってた、というどんでん返しがあっても、そこで深みは出てこないと思う。
第二の主人公といってもいいくらい重要なキーパーソンで、ここでガツンと重りを効かせられていなければ、物語全体がふわふわになってしまう。
主人公の上白石は、そんな上司に翻弄される演技をしているが、この人は、この普通さが良い。
それはあくまで普通の子、という範囲なので、思わず目が留まってしまう魅力的な普通さではないが、鬼上司にもみくちゃにされる、という意味では、かなり敵役なんだろうと思う。
それなのに、肝心な鬼上司がうわべなので、せっかくもまれる用意をしていても、糠に釘でせっかくの上白石の演技が効いてこないと思う。
上白石が、一方的にもみくちゃにされている演技を必死にしているだけ、という感じだ。
正直、この二人の関係性がしっかりしていれば、魅力的な掛け合いが出来れば、それだけで、後はついてくるような感じだが、そうはなっていないので、ドラマとしては破綻している。
後は、いわゆるイケメンとか、きれいな人とか、冨永愛とかレスリー・キーを出したりして、なんとか補っている感じなのか?
補えてはいないと思うが、なんとかやっているつもりなんだろう。
ユースケ・サンタマリアは味があって良いが、だからなんだ、という感じだ。
物語の軸がうまくいってないので、他に何を持ってきてももう全体としては締まらない。
「君と世界が終わる日に」
日本版の本格的ゾンビ系ドラマ、といった感じの思い切ったドラマ。
まあ、嘘くさい、なんでこんなに嘘くさくなるんだろうと思う。
チャレンジするのは良いが、ちゃんと反省してほしいと思う。
タダで見ている分際で、おこがましいが、出ている役者に対しても、それはマイナスキャンペーンなので、制作陣はしっかりと、ダメならダメで猛省して欲しい。
良かった良かったって、毎回楽しく打ち上げしてる場合じゃないと思う。
気付いてないんだからしょうがないけど。
それぞれが作られた作り物の演技をしていて、役者の演技ほぼ全て嘘くさい。
世界観も、映像の感じも、流れる音楽も、全て・・・。
しっかりと、セリフを言い合うことが演技では決してないのに、日本の役者は与えられたセリフを間違えないように演技しながら放てばそれで自分の責任は満たされたと思っているんだろう。
真面目だから、きっとお互いちゃんと台詞の言い合いをしていればそれでいいと思ってしまうんだろう。
それを演出できない監督が悪い。
まるで、どっかのアマチュアの劇団の舞台を見せられているような感じ。
というか、日本はプロでもアマチュアばかりだから、あまり差がないと言えば差はないが。
この人はいいな、ナチュラルに感情が出ているな、と思ったのが、たまたま韓国人の俳優だった。
韓国映画はあまり好きではないが、韓国人の演技は感情が乗っていて、日本人よりもはるかにうまくて見ていられる。
私は反日では決してなく、たまたま日本人が批判されるような演技を多くしているだけである。
主人公の青年がまず、薄い。
その恋人の中条あやみはナチュラルで良いが、主人公が薄いので、いかんせん共倒れになっている。
オーマイボスと同じで、ここがしっかりしていなければ、総崩れである。
この主人公は、背が高くて、イケメンで、熱血風で、だからなんだ?
なぜもっと深みがある人を主人公に選ばない?
なぜ誰でも出来る様な演技ばかりをやらす?
この美人の恋人が惚れるくらいの男であって欲しいが、これじゃあただのうわべのリア充カップルにしか見えない。
これは、見ていてどうやって応援できる?
これを見て、若者たちはキャーキャー言っているのか?
日本のイケメンってこの程度?
彼は悪くない、演技指導しない監督が悪い。
鈴木亮平とかじゃだめなのか?
滝藤賢一が博士役で出ているが、滝藤賢一が主人公じゃだめなのか?
おじさんすぎるのか?
自衛隊も出てくるが、自衛隊って本当にこんなんか?
わざわざイケメンを配して、イケメンでもいいが、もっと中身がそれらしく演出は出来ないのか?
もし、全く同じセットで、全部アメリカ人にやらせたら、それなりに見ていられると思う。
セットや世界観、映像の撮り方がリアルでなくても、演技で何とかなるだろう。
それなのに、これは、一体何をしたいんだろう?
日本人が本当にこんな状況に巻き込まれたとき、こんな嘘くさい振る舞いは絶対にしないと思う。
海外の真似をしているだけで、出来ていない、もっと日本人にしかできない日本人らしさのあるリアルな演技や演出で勝負すればいいのに、結局やっていることはまたいつもと同じ。
日本はドラマはテレビ局が作っているから、お金があまりかけられない、と言われているが、うまくいかない理由は本当にそれだけか?
うーん、色々考えさせられる。
「天国と地獄」
綾瀬はるかと高橋一生が入れ替わるドラマ。
見ているうちに、2人のコンビネーションがだんだん面白くなってくる。
演技的には、お互い入れ替わったらまさにこんな感じ、という所には全然行っていないと思う。
それぞれ、男ってこんな感じ、女ってこんな感じで、演じているだけで、この人格が入れ替わったらきっとこうだろう、という所まで徹底的に考えてはやっていない。
やっていないけど、2人ともそれぞれ独特の味があるので、見ていられる。
綾瀬はるかはただきれいでない、何か、独特の感情を宿していて、役によって顔つきが変わる感じも非常に良い。
高橋一生も、女性っぽい感じが板についていて、これはこれで独特の魅力がある。
元々の綾瀬の役自体、男勝りな女刑事なので、元の人格よりも女性らしい口調や振る舞いになってしまっているが、そこは加減が難しいのかもしれない。
主要の二人に加え、江本祐もナチュラルでいい味なので、悪くない。
目が離せない、見なくちゃ後悔する、ほどではないが、話がどうなっていくんだ、とは気になってしまう。
それ以外の、登場人物の演技がいまいちでも、所々流れる音楽がチープでタイミングが悪くても、作り物っぽい雰囲気があっても、主要キャストのおかげでまだ見ていられる。
一応話だけは追ってみよう、2人が元に戻った時の演技はどんな感じなんだろう、とかは気になってしまう。
虹色カルテ
高橋充希主演の、小さな診療所の医療ドラマ。
高橋充希は、間違いなく、日本人の若手女優の中でぶっちぎりに演技がナチュラルである。
ここまで、ナチュラルに演じる、演じているよう見えない、一言もセリフを言っていない日本人俳優を久々に見た。
出だしの沢尻エリカがそうだったが、彼女はだんだんよく分からない方向に行ってしまった。
今がピークでないといいが、高畑充希のせいで、一話目からめちゃくちゃ惹きつけられた。
それ以外の人達は、案の定セリフを言っている。
高畑充希だけ、セリフを一言も言っていない、その場でしゃべっている。
しゃべっている時はもちろん、しゃべっていない時の無言の時も、感情が動き続けている。
そんな高畑に、触発されて、もう少し全体的にナチュラルになってもいいと思うが、そんな簡単にはいかないんだろう。
それでも高畑はぶれずにナチュラルに受け取り、ナチュラルに振る舞い続けている。
演じていない生の感情がダイレクトに表現できているので、見ているこっちは簡単に心動かされ、喜怒哀楽を掻き立てられる。
ストーリーとしてはありきたりでも、演じていないので、新鮮に見ていられる。
正直、見ていて色々掻き立てられてしまうので、逆にあまり見たくないと思ってしまう。
見るのがもったいないというか。
高畑がナチュラルであるのは知っていたが、まだ全話観ている訳ではないし、今が良い状態かもしれないし、今後このドラマが終わっても、これからの高畑がどうなるのか、見ていかないといけないが、とにかく今はめちゃくちゃすごいモノを見ている気分になる。
高畑を見ている時だけ。
一体、この人の頭の中はどんな構造になっているのか、と思う。
この人が年をとっても、このナチュラルさが保たれるのか、見てみたい。
俳優は虚業であると言うが、その中に真実があればそれで見ている人の心は動かされる。
時に、現実を超えた体験を見ているものに与えることが出来得ると思う。
それはもちろん、演じ方がリアルであり、リアルな感情がそこに見えていてこそだが。
高畑はそれを見事に体現している。
病気になり、支えてくれた母のためにも働きたかったが、挫折してしまった人の気持ち、が、彼女を通して体験できる。
このすごさに気付いている人はいるのだろうか?
周りの演者も制作陣もあんまり気づいていない気もする。
このナチュラルな破壊力、もしたまたまではなく、全てわかった上であえてやっているとしたら、こんな逸材はいない。
これこそ日本人に出来る日本人らしい演技であり、世界に通用する演技である。
彼女にこそ、色んな役をやってもらいたい。
もうすでにセリフを言っていない、演技をしていない、ということで実力は実証済みだが、めちゃくちゃな悪役をやらしたらどうなるのか、どの役をやらしても結局同じ感じにしか見えなかったらどうしようなどと、彼女にどれくらいのふり幅があるのか、を見てみたい。
幅がなくても、こんな演じ方を出来る人はいないので、すごいことに変わりはないが。
勝手な事ばかり言っているが、そのくらい思わせられるのでしょうがない。
正直、日本のドラマはこういう人だけしか出ていなかったら、なんて毎日が楽しく過ごせるのかと思う。
高畑充希は確かにすごいが、決して特別ではなく、周りが圧倒的に低すぎるだけで、役者はこれを目指すべきで、この演じ方をベースにして欲しい、ベースでなければならない。
高畑が赴任した診療所の先輩医師、看護師は、あざとくてしょうがない。
どうしようもないコメディ演技、面白いと思ってんのかね?
サングラスをしているのも、うわ滑っている。
原作がそうだとしたら、変えてしまえばいい。
コンビネーションを組むはずのこれらの連中があざといので、高畑は孤軍奮闘という感じで、大変だろうなあ、なんだかなあという感じ。
水野美紀や安達祐実の演技は悪くない、水野美紀なんかはかなり味方になるかもしれない。
男どもは演技演技していて、まあ情けないなあと思う。
他は全員ヘン奴にしか見えない。
みんな無理に仲良しに振る舞っている変な集団。
これだけ人が集まれば、変な人、変だけど可愛がられている人、まともな感覚を持った人、など、色々分けられると思うが、変な人がほとんど、という感じ。
そんなことあるか?
皆ヘンな人で、喧嘩もするけど、結局仲良し、という雑な人間観。
ベテランの役者でも、自分の出来ない役をやっていることに気付かずにやっているから、演技になってしまうんだろう。
あざとくなるくらいならアドリブをぶち込んでしまえばいいと思うが、悪い意味で真面目だから出来ないんだろう。
配役の妙もあるかもしれないが、役者ならそこら辺は昇華してあざとくしないで欲しいと思うが。
まあでも元々の脚本がリアルでなかったら、もうやりようがないということか?
高畑のようにナチュラルさを使った抵抗を見せて欲しい。
相変わらず、そういった演技面だとか、チープな音楽が会話中にタイミング悪く流れたり、下手くそなカメラワークや演出、リアルじゃないセリフに縛られた堅い脚本、などで、総合的にリアルな雰囲気が作れていないが、高畑を見るために我慢するしかない。
高畑が出ていない時は、まあ見ていられない。
なんだこれ?
高畑が見たいという気持ちと、我慢しなきゃ、嫌だなという気持ちが混在してしまう。
高畑がナチュラルすぎるので、他のあざとさが強烈に目に付く。
だんだん見ていくうちに、嫌な方が勝ってしまいそうな気もして、もう何なんだろうとは思う。
良い役者が出ても、それ以外の不自然さでいくらでも埋もれさせられるんだろうとは思う。
なんとか、頑張って見たいとは思う。
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