セブン 英題:Seven
監督-デビッド・フィンチャー 1995年 127分
脚本-アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
出演-モーガン・フリーマン、ブラッド・ピット、ケビン・スペイシー、他
映画「セブン」のあらすじ
ある猟奇殺人事件を、老齢な刑事と若い熱血漢の青年刑事が追及していく。
老齢な刑事サマセットは、「これは始まりに過ぎない」と推測する。
最初の事件を調べているうち、次々と連続で事件が起こり、予測通り同じ犯人によるものだと確信する。
犯人が図書館から借りたであろう本の履歴から、浮き上がった一人の男。
試しにその男の住むアパートに刑事二人で行ってみると・・・。
“今すぐ見るべき!☆5”理由と考察、その感想
三者三様の絶妙なキャスティング
この映画は、全編にわたって緊張感がずっと漂っている。
独特の味がある。
まるでホラーのような雰囲気で、物語が展開していく。
モーガン・フリーマン、ブラッド・ピット、ケビン・スペイシーと、全て役にはまっている感じがする。
熱血で感情的、ちょっとアホっぽいけど真面目なところもある青年刑事がブラッド・ピットにぴったりだと思った。
最後のシーンで、犯人に罠にはめられるところも、こんな青年だからはめられたという気もする。
ケビン・スペイシーの犯人も、何を考えているか分からず深みがあり、一連の凄惨な事件がより異様に浮かび上がる。
やはり主人公だけじゃなく、悪役に深みがあると作品が重厚になるような気がする。
犯人の言っていることに、一理あると思ってしまった。
自分の愚かさに気づかず、のうのうと生きていることに何の意味があるのか?
犯罪は犯してなくても、死ぬに値する人間がたくさんいる。
そんな犯人のメッセージが強烈に込められた事件をまざまざと見せつけられたとき、果たして犯人を捕まえただけで解決するのか?
解決しようのない内からくる恐怖を、ケビン・スペイシーが見事に煽ってくる。
ただの悪じゃない、こんな犯人は怖い。
「羊たちの沈黙」のレクター博士じゃないけど、間違いなく映画史に残る悪役の一人だと思う。
話しの展開もとくに複雑ではなくシンプルだが、決して単調に見えず、楽しめた。
映像自体のきれいさもあるし、演者の演じ方も良い。
今はなきケヴィン・スペイシーの名悪役 2023/05/16
今作の悪役ジョン・ドゥは、ケビン・スペイシーの悪役史上トップ1と言っても過言ではない、歪んだ強い筋を持っている悪役である。
これは、ケヴィン・スペイシー以外に誰が演じられるだろう?
なぜここまで存在感を出せるのか、すごいと思う。
モーガン・フリーマンとブラッド・ピットを足してもなお、ケヴィン・スペイシーが上回っている。
きっと、考えていることが普通でないから、それが漏れ出ているんだろう。
ケヴィンの存在感を中心に、この三人の演技が、デヴィッド・フィンチャーの重厚な映像をより深く感じさせていると思う。
「ドラゴンタトゥーの女」のデヴィッド・フィンチャーのリメイクは、全然だった。
ダニエル・クレイグが顔に似合わず軽いやつで、リスベット役のルーニー・マーラもいまいち、本家のおじさん俳優の良さとノオミ・ラパスの存在感には全然勝てていなかった。
いくら映像がスタイリッシュでも、俳優が全然であれば、逆にすごく薄っぺらに感じる。
この作品はそうではなく、キャスティングにも成功している、と言える。
監督が狙ってやっているのかどうかわからないが。
今は、こんなに良い俳優が、性的暴行疑惑などで表の世界には出れなくなってしまった。
日本だけ失敗した有名人の再起を妨げている、厳しすぎる、とどこかの政治学者が言っていたが、今や海外もそうだ。
もうケヴィン・スペイシーは闇に埋もれてしまった、こんな役を彼が演じているのを見ることは今後ほぼないだろう。
何をやってるんだ、ケヴィン。
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