キングスマン 英題:Kingsman: The Secret Service
監督-マシュー・ヴォーン 2015年 129分
脚本-ジェーン・ゴールドマン、マシュー・ボーン
出演-コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、タロン・エガートン、他
“見て損はない☆3”理由と考察、その感想
スタイリッシュなアクション作品
スタイリッシュで、気持ち良さげな娯楽アクションだ。
背広を着たメガネの紳士がバッタバッタと悪者を倒していく様は気持ちが良い。
アクション描写も、もったいぶって見せずにスッと展開していく独特な見せ方で面白い。
リアリティーがどうのというより、漫画に近い作品だ。
何も考えずに見ればそれでいい感じか。
人間的なドラマはなくはないが、アクションの派手さに負けている。
何もやりたいことのない青年がスパイになり、成長していくという設定は良いが、さほど成長した、変わったというふり幅はない。
最後はエグジーもキングスマンになるが、格好がキングスマンなだけで、しょうがないがハリーほどの板についてる感じがないから、コスプレしてるように見える。
エグジーが内面的に成長した上でキングスマンになり、今まで自分を虐げてきた連中をやっつけるならもっと気持ちが良いが、訓練を受けてただ肉体的に強くなっただけのように見える。
せっかく亡き父がキングスマンだった、その友人のハリーが自分を選んでくれたがハリーも亡くなってしまった、などという背景があるのに、それはただの設定どまりで、エグジーの葛藤や真剣さというものは描かれない。
演技がどうのというより、元々ちゃんと描く気すらなかったようにも思う。
粋な部分はあるが、心に響く粋さというより、形だけの乾いた粋さというか。
ずっと最初から最後まで、エグジーは若いあんちゃんという感じだし、味的には薄味だ。
若くても、ジェイク・ギレンホールの様に若い時から味がある俳優もいるから、探せば適役はいるかもしれないが、まあ監督はそんなことは考えてないんだろう。
キック・アスは良かったが、もしかしたらたまたま主役のアーロン・ジョンソンとクロエ・グレース・モレッツが監督の意図を超えて良かっただけだったのでは?ともよぎってしまう。
エグジーの中途半端さが気になってしまうから、それならいっそのことハリーのみのスパイ物の方がシンプルで良かったんじゃないかとも思う。
格好良い二枚目のセクシーなスパイではなく、真面目な風貌の落ち着いたおじさんがスパイというのは実に良い。
色々話しも入り組んでいて、描きたいこともたくさんあるだろうから盛りだくさんでしょうがないんだとは思うが、もし人間的なドラマがきちんと描かれていれば、これはかなり目を見張る作品になっていたと思う。
そこらへんの一本の筋がなく、アクションや映像の見せ方が先行している感じが、完全に色物という訳ではないが、どちらかというと本物風の色物と言った感じに見える。
監督には、昔の重厚な007を見ていた世代にも面白いと言わせるほどの新たな本物を作って欲しいと思う。
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