ドラマ「ガス人間(2026)」が”物足りない”理由と考察、その感想

④物足りない☆2
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ガス人間 英題:Human Vapor

プロデューサー- 小野田壮吉、ヤン・ユミン

製作総指揮– ヨン・サンホ、市川南、大田圭二、臼井央、佐藤善宏

監督– 片山慎三

脚本– ヨン・サンホ、リュ・ヨンジェ

音楽– 大間々昂

出演– 蒼井優、UTA、小栗旬、竹野内豊、ピエール瀧、広瀬すず、林遣都、他

「第1話-インタビュー」が”観て損はない☆3″理由と考察、その感想

テレビ番組の生放送中に、突如大学教授が宙に浮いて爆死し、謹慎中の捜査1課の刑事、岡本が呼び戻され、謎を突き止めていくホラーSFアクションドラマ。

ガス人間という怪人が、さも主人公かのようにフィーチャーされ、恐怖を煽る音楽、煙が模型をすり抜ける映像と共に始まるオープニングは格好良い。

ドラマとは思えない演出のクオリティで、まるで映画を見ている様な感覚になり、この1話はあっという間に見てしまった。

岡本の演技は薄いが、ガス人間に存在感があり、演出も嘘臭さが少なくて見やすい。

これがテレビドラマであったなら、テレビはきっとオワコンなどとは言われないだろう。

最近日曜劇場しかしっかり見ていない自分にとって、総合的なレベルの違いにビックリさせられた。

演出がまともだと演技の不備があっても大分誤魔化せるものだな、と思わされた。

印象的なカメラ割りと共に、激しい、もしくは情緒的な濃いめの音楽で見ているものを強制的に見させる手法は、見終わった後にちょっと疲れ、ドラマのリアルな素の中身よりも少し誇張されているな、とは感じるが、ドラマの導入の話として、引きつけることには十分成功している。

まるで映画の様なドラマ、地上波との差

格好良いオープニング、場面の感情を盛り立ててくる多彩な音楽、莫大なエキストラの数、スマートなカメラ割り、嘘くささや違和感のほぼないCGなど、映画と全く同じクオリティである、と言って良い。

地上波のアクションドラマって、これに比べたらお遊び、趣味でやっているんじゃないか、というくらいの差がある。

このドラマがプロが描いたオリジナルの手描きの絵だとしたら、地上波のドラマはフリー素材を切り貼りした絵である、というか。

何が違うのか、単純にかけているお金が違うのはすぐ分かるが、カメラ割りなどの演出の技術もお金で買えるのか?と思う。

お金をかけて、良い監督を雇ったらそりゃ良くなるってことなのか?

地上波のアクションドラマで、良い意味でこの程度見やすいドラマ映像は見たことがない。

ダメな意味の見やすいアクションドラマはたくさんあるけど。

音楽は単純にボリュームがちょっとうるさいが、トンチンカンなタイミングで流れたりとか、安っぽい音楽で萎えたり、とかは特になかった。

ないのが普通だが、これもお金の問題か?

地上波では4つか5つくらいの音楽が、場面に合わなくてもずっと使い回されている印象で、エンディングには無理やり主題歌流すし、違和感しかない。

それもお金がないからか?

そりゃアメリカ資本であればお金自体は比べ物にならないだろう。

しかし、低予算でも知恵を絞っていくらでも工夫は出来るので、お金がないから良いものが出来ないんです、というのは言い訳でしかない。

こんなにお金を使えるメディアを、地上波のドラマが工夫で凌駕してくれたら、どれだけ格好良いのか、と思う。

地上波の制作陣は、そこら辺と最初から闘う気がないんじゃないか?

無料だからしょうがない、じゃなく、そこら辺のテレビマンの意地というものを見せつけて欲しいが、圧倒されっぱなしで、そんな気概がある連中はいないのかもしれない。

そんな対抗意識は古い時代の考え方で、パワハラになるのか?

このドラマは大分見やすいが、上述した通り、見終わると少し疲れ、誇張された違和感が少し頭に残る。

それは、ガス人間の怖さを拡大するための印象的な音楽の繰り返しとCGを使った激しいアクションなどの煽り演出自体、そして、それら音楽やカメラ割りも含めた演出に演技が追いついていないことが原因だと思う。

こういうハリウッド的な作品は、その煽り演出自体に疲れてしまうことがよくある。 

一時的には目を奪われるが、後になると、あれは何だったんだろう?と抜けてしまい、あまり心に残らない。

そういった刹那的な盛り上げ方が、ハリウッド的な作風が一方の人から嫌われる大きな要因の一つだと思う。

そして、さらに演者の演技が足りなければ、演出だけ格好良くても、ハリボテ的なダサさ、滑稽さが後から襲ってくる。

特に、このドラマに関しては、主人公の岡本に存在感がほとんどないことが大分痛い。

仮にこれが若かりし頃の三船敏郎ならば、このドラマは重厚なものになり得たかもしれない。

雰囲気に奥行きが出るというか、ハリボテ感は吹き飛んだだろう。

今作の岡本はガス人間に食われまくり、ほぼ誰でも良い感じになっている。 

なので、ここまでお金をかけられる作品ですら大きな隙はある訳で、テレビにだって勝てる要素はある。

演技なんてお金かからない、日本ではその地位が国民的とされている俳優でも、演技が出来ない人が多数いるので、もっと安いギャラで出来る人をたくさんキャスティングすれば良いだけの話しだ。

何も大枚はたいてデンゼル・ワシントンを呼んでくる必要はない。

ハリウッド的な演出で今ひとつの演技しか出来ない主人公のドラマを、低予算で控えめな演出だが演技が秀逸な役者たちをキャスティングしたドラマが完全に凌駕するはずだ。

でも、手放しに、ネットフリックスってすごいな、やっぱりお金がすごいね、なんて称賛してしまったら、もうそれまでだ。

自分は別にネットフリックスを目の敵にしている訳でも、テレビ関係者でもなんでもないが、それだけテレビとの差を感じたこと、しかしこのドラマとて改善の余地はある、ということ言いたい。

何はともあれ、岡本の演技は足りなくても、総合的には、次の話が気になり、2話も見て見ようと思える演出になっていて、見ている者を引きつける1話の役目は十分果たしていると思う。

違和感ないCG処理

冒頭で学者が浮き上がって破裂したり、ガス人間がラーメン屋での記者会見後に警察の前でガスになり対決するシーンなど、その特殊効果的映像に特に違和感がなく、悪くない。

学者が破裂した時は、一瞬アニメ的な絵に見えなくもなかったが、場面を邪魔するものではない。

ラーメン屋前でのガス人間と機動隊との闘いは、人間の皮膚がジュクジュク溶けてガスになる気持ち悪い感じ、飛び交うガスの煙の感じが違和感なく、不気味で良い。

本当に煙が飛び交っている感じで、ここまで作るのに相当お金がかかるのか?

なぜガスがこれだけ物理的なダメージを与えられるのか、上から落ちてきて地面で爆発するのは一体どういう仕組みなのか、もう全然分からないが、映像や雰囲気に説得力があるので、その意味不明さも含めて不気味で良い。

ガス状態であれば、頭を撃ち抜かれても不死身のようなので、一体どうやって倒すのか、というのも興味がある。

寝てる時とか、完全に人間の状態になっている時は死ぬ可能性もあるのか?

悪いやつではなさそうな感じもするので、どこまで戦うシーンがあるのか分からないが、そこら辺の格闘シーンがあるなら、それもCGを駆使して興味深く表現して欲しい。

存在感のない主人公、岡本

このドラマで良いスパイスになり得ていない、というかむしろドラマを邪魔しているのは、明らかに刑事の岡本で、これが主人公であるというのは致命的だ。

岡本は、終始上っ面の大根演技で、演技のための演技であり、ほとんど感情が動いていないまましゃべってしまっている、素人がよくやりがちなミス演技をずっとやっている。

この人は、日本でずっと国民的なトップ男性俳優として君臨しているが、なぜなのか全く分からない。

感情が内部で激しく動いているが、口数は少ないなら重厚で味があるが、明らかに感じてない、感情が流れてないのに寡黙なだけなので、薄い。

案の定、言葉の端々にも感情がなく、ダメな意味のぶっきらぼうになっている。

演技ってこんなもんでしょ、という素人がよくやりがちな演技のモノマネであり、これを無限に見せられても心は動かない。

彼は、彼のモノマネをする芸人のしゃべり方を真似しているようにも見え、オリジナリティが薄い。

彼は一体どうやって仕事を獲り、なぜ食えているのか?

考えれば考えるほど謎は深まり怖くなってくる。

彼より演技がうまい、というかまともに演技が出来ている俳優はたくさんいる。

下手したら養成所の生徒より酷いかもしれない。

アクターズスタジオで言うところの、やっちゃいけないスタンプ演技をずっとやっている。

彼が地位と名誉のあるトップ俳優である、という情報をこの世から消してオーディションさせた場合、まるで相手にされないんじゃないか?

彼を相手している人たちは、彼が大御所である、という情報があるから相手をしているのか、というのは分からない。

オーディションする側、キャスティングする側もまた見る目がない、という可能性もある。

彼は外国を目指している、という話も耳にする。

感情豊かな外国人の中に入ってしまったら、その薄さが露呈するから、絶対に止めたほうが良い。

それ以前に、まず人前で感情を動かすにはどうするのか考え、動かす訓練を徹底的にすべきだ。

感情が硬くて全然動いていない。

本当は役者の世界に入りたての時に壊しておくべき部分だろうが、まだ全面に出てるんだから、しょうがない。

彼は格好良い顔をしているはずだが、無感情なので、のっぺりした印象にもなってしまっている。

彼より顔が整ってなくても、彼より感情豊かな人間の方が、よほど魅力的に見える。

以前、彼の大河ドラマ出演を密着したドキュメントを見たことがあるが、セリフを練習している時の方が自然で、いざ本番になるとセリフっぽくあざとかった。

この人は何なんだろう、と思って彼の出るドラマや映画はちゃんと見たことがなかったが、まさかここまでとは思わなかった。

もうこれでは、どんなに演出が秀逸だろうが、傑作には絶対になり得ない。

ここの部分部分が所々あざとい、などというレベルではなく、全部だ。

派手なあざとさではないが、地味に全部あざとい。

常に格好つけている様に見える。

セリフを言う、ということの意味を、体感で理解していない人間の振る舞いだ。

日本の俳優ってみんなこんななのか?

この人もこの人もって、いざちゃんと見たら、うじゃうじゃ出てくるのか、と思うとかなり萎える。

しかし、そんなことはない。

この監督が撮ったガンニバルに主演した柳楽優弥なんて、優しい市役所の役人も、破天荒なぶっ飛んだ怖い警官も、嘘のない顔で演じることが出来ていた。

同じトップ俳優として、あまりに差がありすぎないか?

価値観が崩壊してしまう、気が狂う。

自分がガス人間になってしまいそうだ。

でも、どこの世界でもそうなのか?

なんでこの歌唱力の人が歌手やってるのか、とか、音楽の世界では普通にあったりするのか?

とにかく、柳楽優弥とか、まともに演技を出来る人に岡本はやって欲しかった。

せっかく、ガス人間の演技は存在感があるのに、それを追う刑事がこれでは大分きつい。

岡本に凄腕刑事感はなく、無感情に近い

岡本は、序盤で失礼な定食屋の店主と喧嘩になり、殴りかかって来た店主の腕をつかみ、机につっぷせるが、その取り押さえる感じが、どうやって取り押さえれば良いのか分からない人の押さえ方だった

自分の左ひじを店主の右肩に置き、店主の右腕を何となく右腕で触っているだけで、ちゃんと決められておらず、これでは少し暴れられたらすぐに外れてしまう。

店主の右腕の手の甲を返した状態で手首を決めておけば、左ひじで強く肩を押さえる必要もないし、ポケットの電話を取るために一瞬左ひじを離すくらいなんてことない。

つっぷせた後に、すぐ両手で右手の甲を返してしまえば良い。

岡本はポケットの電話を取るために、バイトの外国人店員を呼んだが、そんな必要もない。そのふわふわした身のこなしが、素人だな、と思ってしまった。

わざわざ謹慎中から呼び戻される凄腕刑事じゃないのか?

これが?

岡本はガス人間と対峙した時、部下と一緒に吹き飛ばされて、部下に大丈夫か?と言いながら叩いて気遣う感じが無感情に近い。

本当に、大丈夫か?と気遣って、様子を確認する訳でもなく、この程度でうずくまってんじゃない、という怒りがある訳でもない、目的が不明でただセリフを言ってるだけだ。

なんで、大丈夫か?と無感情に言って部下の体ポンポンしたんだ?

大丈夫とすでに分かっている相手に一応言う程度のセリフの言い方だ。

死の危険がある場面で、殺人犯と対峙し、今まさに攻撃を受けたにしては、軽くないか?

痛すぎて引いてしまったのか?

それならなぜ部下をもっと気遣わない?

なぜこんなにぬぼっとしている?

これを演技とは呼ぶには稚拙で、こんな程度なら、もう何も発せず無言を貫いた方が良い。

そっちの方がリアルだ。

目的がないから感情が生まれない、感情がないから目的も生まれない。

これは些細なことではなく、岡本は全編に渡ってこんな感じだ。

部下と一緒にガス人間に吹き飛ばされて、岡本はガス人間に腹が立ったのか、この程度で倒れた自分に腹が立ったのか?

いくらでも思い方によってその行動は枝分かれし、リアルな行動が立ち上がるはずなのに、多分頭の中で何もやっていない。

岡本はこんな時どうする人間だ、などと何も作りこまれてない。

作り込んでもなければ、その上で憑依させるなど遥か彼方の話し。

岡本はその後、空中に姿を現したガス人間の眉間に銃弾を撃ち込むが何も効かず、その時に驚く感じの顔も弱く、ほぼ無表情と言っても良い。

何で死なないんだ、こいつは何だ?と感じたが、口に出さない深い表情とかではない。

そもそも一体どういうつもりで撃って、全く効かないことをどう思った演技なんだろう?

撃つ前は少し怪訝そうな顔だった。

仲間の仇もあり、殺すつもりで撃ったにしては、俺がケリをつけてやる、という強い顔でもなく、その後のリアクションも薄かった。

そもそも何となく銃は効かないことを知っていて、お試しで撃って確認したのか?

お試しでいきなり眉間を撃つのはどうなんだ? 

重要参考人じゃないのか?

せめて肩とかにするならまだ分かるが。

アメリカみたいに、こっちに危害を加えてきたから殺すつもりで撃ったとして、ん?効かないのか?と一瞬思ったら慌てて次々撃ち込まないか?

弾が空になるまで撃ちまくり、チクショウ、と悔しがるとかもないのか?

なぜ一発撃ち込んで弱く驚く感じで見ている?

強く驚く訳でもなく。

これら一連の動きは、弱々しい普通の人間の立ち居振る舞いであり、およそ主人公のそれにはほど遠い。

ガス人間の存在感に押されっぱなしで、主人公としての役割を全く果たしていない。

岡本は他の普通の刑事と同じで、何も敏腕でも凄腕でもなく、頼れる存在感などなく、なぜ捜査を仕切っているのか全然分からない。

感情がないから、むしろ、でくの坊寄りに見える。

強いて言えば、才能は銃の腕前が良いくらいか?

事件を追う記者との回想、確執、過去に何があったのか、なども岡本のせいでほとんど興味がない。

感情を使わない、使えていない人間の演技を見ても、そこから裏のストーリーを想像する楽しみなんてない。

どんな人間なんだろう?と興味をこっちに抱かせられていない。

なので、このドラマはほぼガス人間が主人公のドラマで、良い意味でも悪い意味でも、ガス人間にガッツリ持っていかれている。

記者の甲野はナチュラルで、良いスパイスになっているのに。

もし岡本に重厚な存在感があれば、甲野との関係も深みが出るし、作品全体にも深みが出ただろうと思う。

なぜ主人公がこんなに頼りないんだ?

最近の日本のドラマや映画って、どちらかと言うと女性俳優はナチュラルな人が多いのに、男性俳優の方が不自然で人工的な印象を受けることの方が多い。

演技とはそもそも女性的なものに由来しているのか?とも思ってしまう。

オママゴトに没頭して、誰かになりきる遊びを小さい頃にやりまくっているのは女性だから、ある意味で俳優の英才教育を女性はたくさんやっている、と言えなくもない。

男性とか女性とか関係なく、良いものを見せて欲しいが、男性は男性でもっとしっかりしろと思ってしまう。

一気配信はもったいない

このドラマは、1週ごとに配信されるのではなく、一気に8話全て配信された。

もう全部配信されたのか?と一瞬目を疑ったが、一気に最後まで見れる、という環境を提供するのが、コンテンツに釘付けにさせるNetflixの作戦らしい。

この作戦は非常にもったいなく、間違えてしまったんじゃないかと思う。

1週間ごとだからこそ、早く見たいという気持ちが高まり、色々回想して考えたり、もうすぐアレが見れる、とワクワクして1週間を過ごせる。

SNSでもそれらの気持ちが盛り上がり、感想を言う者、考察する者が現れ、社会現象化していく。

一気に全て配信してしまえば、そもそもガス人間というドラマを知らない人間を巻き込む力は弱くなると思う。

社会現象化して初めて、あのドラマ面白いらしいよ、と噂になり、そのドラマを知らない人や、Netflixに入ってない人を取り込むことが出来る。

Netflixユーザーにとってはありがたいだろうが、そのコミュニティ内の限られた人達の中で完結してしまう気がする

Netflixユーザーにとっても、拍子抜けというか、いつでも見れるならまだ見なくて良いか、という心理にもなりかねない。

早く見たい早く見たい、と言うくせに、アマノジャクの様に、もう少し焦らして欲しい、という気になる。

太っ腹、ユーザーフレンドリーと言われればそうだが、実は多少の不便さがあるから物が売れる、ということも往々にしてある。

物の価格設定だって、安すぎると警戒するし、ある程度高い方がよく売れる物もある。

Netflixは、そこら辺を見誤ったんじゃないかと思う。

焦らし過ぎはムッとするが、1週間待たせるくらい、こっちも我慢は出来る。

それもこれも、切羽詰まっておらず、お金に困ってないってことなんだろう。

お金云々は置いておいても、純粋にこの作品を多くの人に見てもらうために、作り手のために、日本文化を多くの人に知ってもらうためにも、一気配信は雑な運営方針だと思う。

ドラマの中身とは何も関係がないことだが。

「第2話-情報提供者」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

ガス人間も出ず、拍子抜けの2話

2話は、ガス人間につながるホワイトセンターの元所長の今の姿や、取材を進める中で危険に直面する甲野達、岡本と甲野の過去の確執などが描かれた。

ガス人間は登場せず、普通のアクションサスペンスで、特にこれといった見どころもなく、物足りなかった。

1話が印象的だった分、ほぼ普通のサスペンスにも感じ、ドラマ自体邪魔なあざとい部分などはあまりなく比較的見やすいが、拍子抜けという感じだった。

ガス人間が示唆していた通り、ホワイトセンターがガス人間を作った的な感じそのままの展開で、特に興味も惹かれない。

甲野のリアルな感じは悪くないが、岡本は相変わらず薄いし、所長もあまり好きになれないし、アクションも普通で、頭を超える展開もないので、ガス人間が出ないとキツイな、と思った。

アクションシーンにガス人間が少しでも出てきていたら、大分跳ね上がったんじゃないか、と思う。

それくらい引きのない回だった。

元所長の心の流れが不自然

今話ではホワイトセンターの元所長の現在が描かれ、子供を支援する施設で働き、ガス人間のターゲットにされているが、実は悪い人じゃないんじゃないか、という印象に傾いていく。

過去にさいなまれ、施設にいたと思われる子供の映像がフラッシュバックし、悪夢にいつも悩まされている。

この所長は、施設の子供が学校でトラブルに巻き込まれたら保護者として足を運び、いじめっ子に逆らえないと悩む子供に、それでいいのか?とアドバイスしたりする。

名前を変え、身を隠すことで、自分が関わった過去から逃げようとしているが、施設の子供との交流や甲野からの取材依頼などを通して過去と向き合うことを決意し、甲野に資料を渡そうとした矢先に何者かに殺されてしまった。

結局この元所長は、別の組織に脅されてしぶしぶホワイトセンターの運営に携わったらしきことが終盤で明かされ、どうやら悪い人間ではなさそうだと判明する。

この元所長のドラマが少し長めで、おじいさんの成長物語でもあるが、大した成長でもなく、子供との交流も大した事件でもなく、冗長に感じた。

贖罪の気持ちのせいか、子供の施設で働き、子供に尽くすというのは尊い精神なのかもしれないが、ガス人間に死刑宣告されても、未だに隠れようとしているのも往生際が悪い。

普通の殺し屋ならまだしも、ガス人間にターゲットにされたら、絶対に逃げようがないだろう。

警察に保護してもらっても、ほとんど意味がなく殺されそうだ。

それでもあわよくば逃げようとしているのはしょうもない。

そして、そんな人間が子供に、本当のことは言わなければいけない、などととアドバイスをすることで、それがブーメランとして自分に返ってきて告白を決意する、というのも、キッカケとしてちょっと弱い。

弱い、というかよく分からない。

その子供は結局いじめっ子に逆らうことが出来ず、それを報告された元所長は、今はそれで良い、と叱らずに肯定した。

美しい人間の交流ではあるが、それだけで、俺は何をしてたんだ、よし俺もホワイトセンターのことを語ろう、と決意したのか?

ガス人間のことで口をつぐんでいることと、子供がいじめっ子に逆らえず本当のことを言えないのは、実はどっちも等しく卑怯であり、同じことだ、と思えたのか?

今は言えなくても良い、でもいつか言えるようになるんだぞ、と子供に諭した手前、自分は一体いつ言うんだ、とブーメランが刺さったのか?

もし元所長がそう思ったとしたら、やり方が大きく間違っていると思う。

子供が、いつか言えるようになる、という意味は、善悪の判断が完璧についた状態で、相手を諭す事のできる話術があり、自分にも相手にも危害が加わらないという前提で、相手に自分の意見をぶつける事ができる、という意味だろう。

闇雲に、相手がおかしいことを指摘すれば良い、ということでは全くない。

相手が話しなど全く聞かない病的な精神の持ち主で、自分に歯向かう相手にすぐ暴力を振るう巨漢であれば、指摘する必要など皆無だ。

第三者の力を借りて排除する必要があり、そいつをマンツーマンで口撃することなど愚策でしかない。

さすがに元所長も、自分が死んでもいいから本当のことを言え、という意味では言っていない。

なので、元所長がそれを実践するなら、完全に身の安全を保証した上で、ガス人間の経緯を全て告発することがそれに値するんじゃないのか

その身の安全の保証が至難の業だから、今まで逃げ回って来たんだろう?

今はガス人間からも狙われているし。

ホワイトセンターにはヤクザの組織だけでなく、政府も関わっている可能性も高く、まず支援団体を設立し、自分の居場所を隠した上でマスコミに告発し、団体に24時間守ってもらう、などしなければまず無理だろう。

単に自分の身の保身だけでなく、自分が殺されては、結局本当のことを言うことが出来ないので、事件の目撃者として生き続ける必要がある。

それが闘うということだろう。

勇気を持って不用意に告発しようとしてすぐ殺されては、無責任はなはだしい。

今回の元所長の行動がまさに後者だ。

そりゃ、そんな怖い闇を適当に明るみに出そうとしたら殺される。

元所長だって十分知っていたはずだろう?

トラウマに悩まされ続けておかしくなってしまったのか?

もうガス人間の襲撃は防ぎきれないからしょうがないとしても、それ以外の組織の攻撃は防がなければ。

なぜ甲野に身の安全の保証を頼まなかったんだ?

そして、あまりにタイミング良くタクシーがエンストして助けを求めてくる、という奇妙な光景に違和感を感じず、なぜ無視せずに普通に対応してしまったのか?

そもそも、命を狙われていることを十二分に知っているはずなのに、なぜ変装すらせず、昔から同じ、すぐに元所長だとわかり得る風体のまま移動しているのか?

ビクビクしていたことがただのチキンだった、みたいにすり替えられてないか?

そんな単純な立場、内面じゃないだろう。

なので、色々不可解な行動が多く、腑に落ちなかった。

そんな不用意な行動は、元所長が子供に教えた、本当のことを言う、という教訓と全く相容れない。

ほぼ玉砕に近いじゃないか。

子供の手本でもなんでもない。

おじいさんは、本当のことを告発しようとして無惨に殺された、おじいさんは格好良い、だから自分も命の危険を顧みず本当のことを言う、ってなるか?

なっちゃダメだし、相手にダメージを対して与えていないんだから、玉砕ですらない。

命の危険があるにも関わらず、見事にそれを振り払いながらも、本当のことを伝えることに成功した、なら格好良いが。

なので元所長は、甲野にどうやって自分の安全を保証するのか、資料を渡して明るみに出すのか、徹底的に話し合い、準備し、いざ計画を実行しようとするが、それでもなぜか情報が漏れていて、あと一歩の所でヤクザに囲まれる、とかならまだ分かる。

その絶体絶命の時に、岡本ではなく、ガス人間が出てきて、ヤクザをなぎ払ってしまったら大分格好良かった。

元所長とガス人間は利害が一致しているので、そんなことが起きてもおかしくない。

何はともあれ、元所長のことが長めに描かれているにも関わらず、彼の気持ちの流れが不自然なので、ポカンとしてしまった。

せめて、殺し屋のタクシー運転手に襲われる所でガス人間が出てきて、ガス人間に殺されると思ったら、タクシー運転手をやっつけた、とかなら大分跳ね上がった。

それまでの冗長な流れも忘れてしまうくらいかもしれないが、そうはならず、そのまま殺されてしまった。

この元所長の不自然な心の流れのせいで、ヒューマンドラマとしての見どころもなく冗長で、見終わるとちょっと疲れた。

岡本のアクションもいまいちで、今回は見どころが何もないに近い。

1話がそこそこ良かった分、大分下がった。

ちなみに、元所長がニュースでガス人間がホワイトセンター関係者を殺していく、と宣言しているのを聞いた時、ハっとした顔とともに硬直して、フライパンをシンクに落としてしまい、周りにいた他の職員がふっと笑いながら、どうしたんですか?と元所長にたずねる感じはリアルで良かった。

リアルでないと、真剣な顔で、どうしたんですか?と聞くとか、過度に力が入る。

本当に同じことが現実で起きた場合、タイミング良く、さも心当たりがあるかの様に、フライパンを落として固まっているおじいさん職員を見たら、ちょっと笑うかもしれない。

お前なんか関係ないわ、何当事者ぶってんだ、と心の中でツッコミながら話しかける、というか。

こんな対応をされるということは、普段から良い意味でちょっと馬鹿にされている証拠なんじゃないかと思う。

実際には本当に当事者なんだが。

そして、この所長の驚く感じは、ちょっとあざとい。

普段からホワイトセンターの過去に悩まされ続けたくせに、驚き過ぎで、まだ整理ついてないのか、と思う。

むしろ、罪悪感があるなら、ついに来たか、と受け入れる感じになるだろうし、もしかしたら、審判が下されるということにホッとした可能性だってある。

長年逃げ続けた指名手配犯が、もう逃げなくて済む、と安心するように。

そこら辺をすっ飛ばしてここまで驚くのがあざとい。

もし驚くとしたら、そんな過去をなかってことにして、何の罪悪感もなく、良い暮らしをしながら人生を謳歌している人間じゃないのか?

日々夢やフラッシュバックで過去と向き合っている人間が、そんなことにはならない。

そういうリアルでない人間描写が、この所長を好きにさせない大きな要因の一つだ。

セリフを言っているだけの岡本

今回岡本は、過去の甲野との確執が描かれ、激しい取り調べシーンや、甲野を守るためにヤクザ達と入り乱れて戦う派手なアクションシーンもあり、そこそこ露出は多かった。

主人公だから当たり前だが。

前話で述べた通り、彼はずーっと演技のための演技、演技の真似をしているので、何も魅力がない。

演技ってこんなもんだろう、という演技の物真似をずっとやっていて、本当の彼はどんな人なのか、というのが全然分からない。

取り調べで声を荒げている時か、難題にぶつかり顔をしかめている時か、部下と真剣に捜査をしている時か、寿司の配達員と話して笑っている時か、ヤクザと激しく戦う時か、裏切られても元交際相手に優しく手を差し伸べる時か?

強いて言えば、寿司の配達員としゃべって、笑っている時だけだ。

この時は、嘘じゃない感情が出ていると思う。

それ以外は全部作り物だ。

薄くずっと格好つけたしゃべり方をしてるし、やはり今話も、自身の物真似芸人に似た口調になってしまう時がちらほらある。

その時は、ハッキリと置きに行っている証拠だ。

本人は、演技してるつもりなんだろうが、声から、顔から、全身から、全然感情を感じない。

よくやるしかめっ面は心が動いてないので、薄っぺらいしかめっ面になってしまっている。

しゃべらずとも顔で語る、深いおじさんのしかめっ面じゃない。

強く叫ぶ時は、単純に力を込めているだけ。

感情が込み上がって、とかではないので、薄っぺらい叫び声だ。

劇団ひとりの叫びの劣化版にも見える。

ベテラン俳優がやるべき演技の、中身のない上澄みをずっと見せられている感じだ。

彼は演技が何か、体感で全く理解していないに近い。

ずっと感情が硬い、動いていない。

彼は大河ドラマにも普通に重要な役で出ているが、このドラマもそうだが、なぜ起用されているのか、それはみんな気付いてないからじゃないか?

背が高い、顔が格好良い、有名人である、それだけしか見てない。

彼がどんな人間なのか、どんな感情を出すのか、など誰も興味がない。

全員彼の外側しか見ておらず、彼も深い演技をしなくても通用してしまうから、そこに甘んじていつまでも演技力は身につかない。

身に付ける必要がない、これでも莫大な金額を稼げるから。

むしろ今自分のやっていることこそがやっぱり正解なんだ、と間違った答え合わせを日々し続けている。

あまりにも怖い、裸の王様だが、誰も気付いてないんだから、別に良いだろう。

使っている側も、見ている側も、全員気付いていない。

こんな世界だから、いつまでも日本のドラマや映画は面白くなっていかない。

彼のような人が君臨していることこそが、この日本の現状を如実に表している。

アメリカ資本が入ろうが、そこの譲っちゃいけない線を日本人が関わることで譲ってしまう。

アメリカ人も、日本人のことがよく分からないから、きっと彼らの演技はこんなものなんだろう、とハードルを下げて見てしまっている。

ある意味なめられている。

彼らはなめていることに気付いていないし、日本人はなめられていることに気付いていない。

日本人の演技は、こんなもんじゃない、明らかに。

彼が代表だと思われたとしたら、大分抵抗がある。

彼の演技は、今まで見てきた日本人俳優の中でトップレベルに酷い。

所々、とかじゃない、金太郎飴の様に、どこを切ってもだ。

寡黙な表情は感情がない、声を荒げている時はヒステリックに叫んでいるだけ、これで、凄腕刑事を一体どう演じていくつもりなんだ?

上述したが、寿司の配達員と笑っていた時が、それが今までで一番自然な感情が出ていた。

じゃあずっと笑っていれば良い。

笑いをベースにした演技にすれば、まだ自然かもしれない。

そうではない、しかめっ面がベースの演技は、まだはるか先にあり、今の彼が出来るレベルではない。

でも、しかめっ面演技で行きたいんだろう?

もっと地に足をつけた演技じゃないと見ていられない。

岡本は甲野に酷く裏切られたが、甲野を憎んだりせず、今も顔を合わせる甲野に、むしろ好意的にすら見える態度で接している。

その行動は寛大で、大きな人間の振る舞いだが、そうは見えない。

むしろ腑抜けというか、あんな裏切りを受けたのに、強い態度一つ取れないのか?という風に見える。

感情がないので、あんな酷いことをされたのにその酷さに気付いてない鈍感な人間にも見えるし、強い態度を取られたら何も言えなくなる弱い人間にも見える。

寛大に見せるためには、相当マンパワーがないといけないが、岡本にはないので、難しいことはせずに、単純に犬猿の仲でツンツンしている方がよほど良い。

お互いかなり嫌いだが、捜査などではしぶしぶ協力せざるを得ない、という方がまだ面白い。

寛大に見せることが出来ていないのに、表向きそう振る舞っている岡本の感じには何も魅力がない。

この役者本人は、寡黙で語らず、騒がず、深みのあるいぶし銀、ハードボイルドな刑事に見えている、と思っているんだろうが。

実際のところ、そういう理想像のうわべのモノマネであり、スタンプ演技である。

2話まで見て、完全に彼の底が見えたので、もう彼の演技で心が動くことはない。

動かして欲しいが。

薄々感じてはいたが、まさかここまでとは思わなかった。

薄く叫んでる予告編も見てしまったし、この先もそんな感じか、と思うと思いやられる。

一応最後まで見ようと思っているが、評価の上限はもう決まってしまっている。

彼が退場する、などの展開があれば別だが。

ステレオタイプな輩連中

事務所前で待つヤクザや、ヤクザの若衆として比較的若いヤンキーみたいな連中が甲野達の行く手を阻んだが、そのオラオラした感じがあざとかった。

ヤクザって、ヤンキーってこんなもんでしょ的なオラオラ感というか。

半グレなら百歩譲っても、本当のヤクザって、一見普通だが違和感があり、何か普通の雰囲気じゃないな、と分かってよく見ると、スーツの着こなしや髪型、雰囲気などを統合して、ザワッとする感じと共に気づく、みたいな感じがある。

あからさまに金髪のやつなどおらず、外にいる感じも無闇に声を荒げず、ピシッとしてるイメージだ。

甲野に駐車場で銃を突きつけた半グレのリーダーらしき若い男は、日誌出せよー、と迫る言い方があざとい。

ちょっと狂ってる雰囲気のうわべの真似だ。

元所長を刺した殺し屋はもっと狂った感じだったが、なぜこんなに狂う感じにする必要がある?

岡本だけでなく、こういうのもスタンプだ。

殺人を犯すやつ=狂ってる奴ってか?

浅いステレオタイプはなはだしいし、憎しみもないのに狂った感じにするのは不自然だ。

すっと殺してすっといなくなるから怖いのに、わざわざ怖くなくしてどうすんだ?

半グレのリーダーが普通に銃持ってるってそもそもどうなんだ?と思う。

そこら辺の雑な悪感というのも、全体の雰囲気をリアルから遠ざけさせ、作り物感を醸し出すことに大きく貢献している。

「第3話-日誌」が”物足りない☆2″理由と考察、その感想

ナイトクローラーの甲野、ヤクザを圧倒するガス人間は良い

3話は、ホワイトセンターの元所長が持っていた日誌の行方、ガス人間とヤクザの関係を、甲野の取材班と岡本の捜査班が追っていき、終いにはガス人間がヤクザを襲う様子などが描かれた。

甲野達が真相に迫っていく緊迫感は期待感を煽られて良いし、ガス人間とヤクザとの対決も痛快さがあって悪くない。

増していく甲野のナイトクローラー感はリアルで良いが、相変わらず岡本に存在感がなく、ヤクザ達の感じもリアルでなく、ドラマに水を差してくる。

今の所主人公は甲野であり、明らかに岡本ではない。

そういった中身が伴っていないのに、印象的な映像に演出されている感じがちょっと萎えるし、もっと面白くなったんじゃないかと思う。

取材の緊迫感、甲野のナイトクローラー感が良い

甲野達取材班が、元所長はなぜヤクザに殺されたのか、日誌はどこに行ったのか、などみんなでプロファイリングを重ね、ヤクザの組事務所に張り込むことを決めたり、真相に近づいて行く様は期待感があって良い。

取材班は大人数で、人が多いと、やはりちょっとあざとい人、セリフを置きに言っている人が混じるのがしょうがないが、そこまで邪魔には感じない。

甲野は、タイミングよくガス人間の襲撃も撮影出来て、車を追って行った挙句、死んだ組長に出くわし、手に持っていた携帯を奪い、ロックされていることが分かると躊躇なく顔認証して、日誌にたどり着いてしまう感じが怖い。

携帯を奪った時の甲野の顔は、本当にちょっと冷酷な感じに見えたので、とても良い。

日本版のナイトクローラーじゃないか?

甲野はちょっと棒読みっぽい感じが少しあるが、逆にそれが味になり、全体としてリアルな一塊になっている。

ガス人間と甲野とのドラマとも言え、岡本は相変わらず存在感がなさすぎる。

もっとこの事件を捜査する警察を指揮する人間が濃くないと、相乗効果になっていかないのに。

真犯人フラグに出ていた破天荒な警官の渋川清彦くらい、存在感のある刑事だったら面白かったのに。

甲野も良いのにもったいない。

ヤクザ達の雰囲気があざとい

今回取材と捜査の対象で、ガス人間からも狙われるヤクザ達の雰囲気があざとくて邪魔だった。

日誌を殺し屋に奪わせた息子のヤクザも、父親のヤクザも、オラオラする感じが誇張されてリアルでない。

いかにもヤクザってこんなもんでしょって感じで、例えあざとくても、こういう悪い連中の役は、なぜか許されてしまう傾向にあるのがイラッとする。

何だこの野郎、とか言っとけば良いとでも思ってるのかと思う。

そういういわゆる表面的なヤクザっぽさをほとんど出さずに、ヤクザだと思わしてしまう演出こそ深みがあるし、リアルだと思うが、そこはデフォルメされていてつまらない。

スッポンを使って賭け事をする雰囲気とか、臓器のオークション会場の雰囲気とか、作り物にしか見えない。

作り物にしか見えないけど、現場に入ると、こんなもんだろうと思って全員感覚が麻痺するんだろう。

むしろ、その非日常の雰囲気に変にハイになったりして、よりリアルから遠ざかるという悪循環も起きているかもしれない。

誰もスッポンの賭け事とか、臓器のオークションは見たことがないから、何がリアルかなんてハッキリとは分からないだろう。

だからといって、もっとありそうだと思わせる、重厚な雰囲気を作って欲しい。

役者達の演技も含めて。

そうでなければ、安っぽいアミューズメント施設を見ているようで萎えるし、心には残らない。

ちなみに、岡本の近くにいたメガネのおじさんのスパイ刑事も、狂っている雰囲気の演技があざとくて邪魔だ。

顔色を変えずに正義も悪も両方こなすから怖いのに、悪の時は目をひんむいて威嚇するようにしゃべるなんて、全然リアルじゃない。

というか、それでもあざとくなければまだいいだろう。

序盤のこの時点ですぐ誰がスパイかバラすのに、そんなに歌舞伎の見得みたいに大げさにするのは浮いてしまうが、見入ってしまうくらい見事であれば。

そもそも、なんで悪をそんなに狂ったおかしな雰囲気を出させたいのか分からないが。

ありえない、というマイナスの非日常になり得る大きな要素なので、基本的によほどでない限り多用しないほうが良いが、この監督はそれが好きなんだろう。

前話の半グレのリーダーも、元所長を暗殺した眼帯の殺し屋も、今話のメガネのスパイ刑事も、親子ヤクザの息子も、全員その狂った、もしくは威嚇する感じがあざとい。

ブラックレインの松田優作の舌を出す感じとかに憧れて、多用してるのか?

全然意味も違うし、使い所も浅い。

眼帯の殺し屋は、あんなに悦に入りながら狂って元所長を殺したのに、スパイ刑事に追い詰められた時は普通だったので、統一感もない。

せめて最後まで狂ったまま戦えば良かったのに。

多分、この先もガス人間以外の悪はそんな感じだと思うので、ちょっと萎える。

悪者にもそれなりにリアルさや深みがなければ、勧善懲悪としてもスカッとした感じもないのに、もったいない。

ヤクザを襲撃するガス人間は格好良い

今話でガス人間がヤクザを襲撃するシーンはちょっと面白かった。

その映し方も、まず防犯カメラにガス人間が映って、手下が、来ました、と組長に報告する感じとか、直接的でない登場の仕方も面白い。

目だけになって部屋の中のオークションを見て組長を探す感じとか、以外に冷静なんだ、と思った。

次から次に片っ端からドアを空けてなぎ倒し、組長はどこだ?と無理やり聞き出して進む、猪突猛進の感じでも必ずしもない。

そう考えると、そこまで怒り狂っている訳でもないし、時間や能力ももしかしたらウルトラマンの様に限られているのかな、とも思った。

その後、向かってくるヤクザ達をなぎ倒し、ビルの上から飛び降りて爆弾みたいにダメージを与える感じが格好良い。

ガス人間の肩越しから飛び降りるのを追っているのが、魅力的な視点で良い。

そして、車で逃げる組長をガス人間は飛びながら結構長めに追っていって、防弾ガラスに少し苦戦していた。
初めてガス人間が見せた弱みだと思う。

ガス人間は、いきなり組長がいそうな上層階から窓をぶち破って入っていけば良いのに、わざわざ真正面から入っていく感じが、見せしめの意味があるのかな、と思った。

ヤクザ達に対して、撮影しているカメラを通して、他のホワイトセンター関係者に向けて。

だから組長も行き当たりばったりで殺しに行ったが、意外に苦戦した、ということなのかもしれない。

中々窓を破れないガス人間に、組長達が、防弾だよな?大丈夫だよな?と何度も確認するちょっと弱気な感じが、リアルでコミカルで良かった。

下水道から先回りすることを決めたガス人間は、マンホールから組長の乗るワゴン車を下から突き上げ、その車が、ヨガ教室越しにスローモーションになる感じが、印象的なカメラ割りで良い。

この監督は、印象的に見せるカメラ割りが上手く、興味を引く映像がちょこちょこ入っていて、飽きを取り除いてくれる。

しかし、ガス人間はどうやって上に車がいることが分かったんだろう?

特殊な能力で、耳が異常に良いとか、なんかしらの能力で分かるのか?

分岐したガスの一部で車の位置を把握出来るとか?

今の所、ガス人間は無敵感があり、ダークヒーロー的な感じで格好良い。

最終的にはどうなるのか分からないが、アベンジャーズに入れるんじゃないか?

煙っぽいアベンジャーズはいなそうだし、闘い方もバリエーションがあって、存在感もあるので大分良い。

存在感のない岡本

敏腕刑事の岡本は相変わらず存在感がない。

この話しで彼が何をしていたのかほぼ覚えてないに近い。

あまり目立たないがいぶし銀で、ドラマに必要なスパイスを与えている、とかではなく、ただ存在感がない。

バッサリ彼の描写がなくなっても何も問題がないほど、何も残してない。

普通に事件を追う刑事で、何が敏腕だ?

甲野のナイトクローラー感の様に、常軌を逸して、普通の人間とは一線を画する感じもない普通の刑事だ。

ここまで普通なら、相当マンパワーがあり、一挙手一投足に魅力がないといけないが、薄い。

普通のあんちゃん、お兄さんって感じで、これで良いならもう誰が演じても良い。

甲野に比べて、全然役が作り込まれていない。

岡本のアイデンティティは、甲野の元彼氏、ということだけで、甲野のバーターと言っても良い。

本当に主役か?

なぜ存在感がないのかは、感情を使わず、全部やってる振りだからだ。

その場で本当に悩み、本当にひらめいて、という生で頭を回転させ、心を動かす、ということはほとんどやってない。

与えられたセリフや振る舞いの表面上をなぞっているだけ。

セリフのモノマネであり、本当の意味でセリフを言ってない。

それも全部含めて、作り込まれてない。

こっちだって岡本と一緒に謎について悩んだり、ひらめいたり、緊迫感を感じてハラハラしたい。

岡本は常に平坦で、中身が動いてないので、何も引き込まれない。

格好良いのではなく、格好つけている様にも見えるので、ちょっと萎える。

3話分見てこれなので、もう今後事件の捜査をリードするようなことがあっても、たかが知れている。

彼の演じ方が劇的に変わるはずなどないし、そもそも出来るなら最初からやらない意味も分からない。

まあでもこんなもんだろう。

この演技で主役が出来る、というのが日本のドラマの現状だ。

結局民放と変わらない。

誰も疑問にも思ってない、気づいてすらいないんじゃないか?

今のところ脇役の存在感で、脇役にしては格好良い方だよね、って言われる程度の存在感だ。

濃い主役がいたらその助手、二番手が精一杯だ。

まぁでも、そんなこと言い出したら、このドラマ、役者に限ったことじゃない。

こんなもんだと割り切るしかない。

せっかく、甲野の雰囲気とか、ガス人間の不気味さとかが良いのに、もったいない。

後で作り直すなんてほぼ不可能なのに。

あまり期待しない方が良いこの先

3話まで見てこの監督の特徴が少し分かってきた。

上述した通り、思わず見てしまう印象的なカメラ割りがちょこちょこ入っていて、悪くない。

音楽は、ちょっとうるさい時はあるが、ダサかったりチープだったりして萎えることもほぼないし、むしろ一定の緊張感を煽ることに成功し、比較的効果的に作用していると思う。

ガス人間のアクションもそれなりに見応えがある。

総じて、いわゆるドラマのクオリティを超えた、映画の様な雰囲気のあるドラマであるが、演技面に大分ムラがあるのがもったいない。

リアルな雰囲気の甲野は良いが、上述した様に、主人公の岡本の薄さ、悪側のあざとい振る舞いなど、演技が面白さを阻害している部分がかなりある。

せっかく独特なカメラ割りなど、スタイリッシュに引き付ける映像を作れるのに。

ガス人間自体の存在感や、それを追いかける甲野も良いが、このドラマにすでに少し飽きてきている。

もうこの先の話しは今見ないと永遠に見れないよ?と言われても、まあ、いいかな、と言ってしまいそうな状態だ。

もし、足りてない演技の部分を全て充足出来たならきっと、早く次を見たい、と思ったかもしれない。

登場人物の振る舞いが深ければ、それだけで見る動機になるし、ストーリーが立体化して奥行きが出るだろう。

深い演技は、それ自体が小さなストーリーそのものである、と思う。

仮に単に脚本が良いだけでは、製作者の意図を大きく超えた、良い方向に転んだ化学反応をたくさん含む傑作にはなり得ない。

そういった演技面をこの監督はあまり重視していないのかな、と思う。

岡本が主役なので目がいってしまうが、薄いのは岡本だけでなく、玉石混交だ。

薄い悪がたくさん出るにつれて、どんどん全体の演技レベルも下がっている感じだ。

今の所、ガス人間と甲野のストーリーと言っても過言ではない。

岡本もヤクザ達も登場させず、この2人だけの話だった方がまだ濃くて良い。

まだ良かったのは1話だけか、という感じになっている。

1話ですら別に最高の話ではないが、

1話級の話を連発しないと、ちょっとこのままじゃキツいぞ、と思う。

せめて3話中2話はそうでないと。

そこはガス人間に頼るだけでは酷なので、みんなで見どころを作っていく必要があるが、上述した通り、役者が揃ってないので、必ずほころびが出るだろうと思う。

もし面白かったとしても、たまたまだろう。

奇跡的に何かが組み合わさって出来た偶然の産物。

なので、楽しみにして見る、というよりは、ガチャガチャを引く感覚で見ようと思う。

この話のラストで、他のガス人間らしき男女が出てきたのがちょっと興味を引いたが。

他にもガス人間がいて、彼らもそうだとしたら面白いかもしれない。

まあ、特に期待はせずに流すくらいの気持ちで見ていこう。

期待すると、そうじゃない時のダメージがすごい。

面白い話があったらラッキーくらいの感じで。

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