様々な恋愛、どれも良い
恋愛を描いた作品の中で良かったと感じたもの6作を紹介したいと思います。
ビフォアサンライズ
監督-リチャード・リンクレイター 1995年 105分
出演-イーサン・ホーク、ジュリー・デルビー、他
旅行中の青年が電車の中で意気投合した女性に、「朝まででいいから外で一緒に過ごしてくれないか?それ以上お互い何もなし、これきりだ。」とお願いし、お互いのことを語らいながら日の出まで一緒にいる二人の時間を描いたドラマ。
要するにナンパした一夜を描いているだけのシンプルな話なんですが、初対面のワクワク感や期待感がこっちにも伝わってくる作品です。
これはナンパなのか?と思うほどさわやかな声のかけ方で、お互い心の奥に淡い期待のようなものはあっても、決して不純な感じはしないので、そのさわやかな展開に引き込まれます。
二人はもちろん初対面で、お互いの会話からどんな人か分かっていくのですが、見ているこっちも二人と同じ立場なので、同じような気持ちで興味深く見ていられます。
はじまりのうた-Begin Again
監督-ジョン・カーニー 2013年 104分
出演-キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、他
相手の浮気が原因で恋人と別れた女性ミュージシャンが、落ち目のプロデューサーと会い、一緒に曲を作っていく中で自分を見つめなおしていく恋愛ドラマ。
その破天荒なプロデュースの仕方に翻弄されながらも元気を取り戻し、今ではスターとなった元の彼氏と再会するが・・・。
主人公の女性ミュージシャンだけでなく、プロデューサーも家庭に抱えているものがあり、主人公、元彼、プロデューサーと、三人の内面が繊細かつ丁寧に描かれていて、非常に引き込まれます。
これといったラブシーンはなく、さわやかですが、三者の気持ちの交錯が味わい深いです。
キーラ・ナイトレイも良いですが、マーク・ラファロもさすが優しくて深いです。
ありがちな再起復活ものかと思ったら、結末がなんとも精神的に自立した格好良い終わり方で、良い意味で裏切られました。
見終わって勇気づけられるようなさわやかな気持ちになります。
リービングララスベガス
監督-マイク・フィギス 1995年 111分
出演-ニコラス・ケイジ、エリザベス・シュー
アルコール依存症で会社をクビになり、残った資産で死ぬまで酒を飲み続けようとラスベガスに来た男と、そこで出会った娼婦とのラブストーリー。
一見シンプルなストーリーですが、生きることに疲れた二人が出会い、お互い急に毎日が輝きだす感じが涙腺を刺激されます。
傷をなめ合うというよりは、未熟な人間同士でもピースがはまるがごとくくっついて、プラスに働くという感じがよく描かれていると思います。
自分はこの作品の結末が好きではないのですが、お互い出会って盛り上がっていく感じは実に心惹かれます。
アンドリュー
監督-クリス・コロンバス 1999年 132分
出演-ロビン・ウィリアムス、エンべス・デイヴィッツ、他
家事をするロボットとして作られた人型ロボットが、人間の女性に恋をし、自分を人間のように改造し、生きることは何かを追及しながら、その女性と一緒になろうとするSFラブストーリー。
ロボットと人間は普通恋愛関係にはならないですが、そんなことは関係ないと言わんばかりに奔走するアンドリューの姿に感動させられます。
また、ロボットとか人間とかを差別しないアンドリューが好きになった女性の優しい人間性も実に良いです。
人間とロボットとの違いは何だ?好きになるってなんだ?と考えさせられる哲学的な作品でもあります。
パンチドランクラブ
監督-ポール・トーマス・アンダーソン 2002年 95分
出演-アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン、他
女性に恐怖心を抱いている情緒不安定な青年が、ある女性を好きになり、なんとか交際を始めるが、自身の招いた過去のトラブルが原因で、恋人もろとも翻弄されてしまうラブコメディ。
一見頼りなげな青年が、トラブルと関係のない彼女にまで危害が及びそうになったとき、思わぬ底力を発揮する所が実に良いです。
人を好きになるというということは、自分を強くしてくれることなんだと、教えてくれます。
今までの劣等感を抱いていた自分なんかどこかに消し飛んでしまって、相手に夢中になってしまう様子も微笑ましいです。
誰かを好きなるということのプラスの面が分かりやすく描かれている作品だと思います。
ブロークバックマウンテン
監督-アン・リー 2005年 134分
出演者-ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、他
1960~80年代のアメリカを舞台に、羊の放牧の仕事で出会った青年同士が恋におち、同性愛であることを隠しながらお互い家庭を持つが、忘れられずに密かに交流を続けていく恋愛ドラマ。
演技派二人の繊細な振る舞いしかり、細やかな気持ちの移り変わりなどが丁寧に描かれていて、涙腺を刺激されます。
現代よりもかなり保守的な昔の社会は、同性愛であることを隠さなければいけなかったという複雑な背景はありますが、同性愛異性愛関係なく、紆余曲折するそのドラマ自体が重厚で、心揺さぶられます。
むしろ、男女の恋愛ドラマよりも誤魔化しがきかない分、リアルな心理描写の演技が必要なんだと思います。
好きだからといってすぐには一緒になれなかったり、環境の変化で微妙に気持ちが移り変わって喧嘩になったり、また仲直りしたりと、人を好きになるということの大変さやその喜びなど、美しい映像と音楽と共にリアルに描かれています。
家庭があるのに昔の恋人に会ってしまう、というのは不倫ですが、同性愛というものが理解されない時代であり、好きでなくても家庭を持たないといけない時代だったと考えると、致し方ないのかもしれません。
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