映画「天使の分け前(2012)」が“つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1

天使の分け前 英題:The Angels’ Share

監督-ケン・ローチ 2012年 106分

脚本-ポール・ラヴァーティ

出演-ポール・ブラニンガン、ジョン・ヘンショウ、ガリー・メイトランド、他

映画「天使の分け前」のあらすじ

軽犯罪で捕まり、社会奉仕をすることになったロビーは、ウィスキーが好きな面倒見の良い監督官ハリーの影響で、ウィスキーに興味を持っていく。

ハリーに連れて行ってもらったウィスキーの試飲会で、古い蔵から発見された高額なウィスキーがオークションにかけられることを知ったロビーは、仲間を集めてそのウィスキーを盗むことを企てるが・・・。

“つまらない☆1”理由と考察、その感想

腹が立ってくるストーリー展開

犯罪を犯してしまった者達が、社会奉仕活動をしながら、奉仕活動の監督官と交流をしていく様子は期待が持てたが、最後まで見るとこんな酷いハートフルぶった作品はあるのかと思った。

元犯罪者がどう更生していくのか気になる所だったが、更生どころか、結局最後は泥棒をして自分の生活を豊かにするという訳の分からないストーリーだった。

犯罪者は変わることなんてなく結局犯罪しかできない、と皮肉ったわけでもなく、かといって高級な酒を飲んでいる富裕層へのアンチなメッセージにも成り得ていない。

出てくる富裕層が特に悪い人間で、こんな悪党からなら盗んでもいいだろうと思わしてくれる訳でもなく、仮に悪党でも、俺たちはもう泥棒なんてしないという美学を貫くわけでもない。

高い酒なら盗んでもいいというだけの、非常に雑で浅い捉え方に感じてしまう。

犯罪などは犯さない真面目でハートフルな感動作品と一線を画したいとしたら、それも出来ていない。

古い酒が高い値段で取引されていることが、この国にとって大きな社会問題になっているのかなと、無理やり解釈しようとしても出来ない。

主人公は酒を泥棒して、泥棒の過程で得たコネで仕事を見つけ、しかも酒関係の仕事で出来たばかりの子供を養うという、全うとは到底思えないモラルの欠如した生き方を選んでしまっている。

犯罪に手を染めようとはしたが、ギリギリのところで踏みとどまったわけでもない。

主人公は何も成長していないどころか、立派な犯罪をさらに重ねただけで、何がどうなったというんだろう?

最後にハッピーエンド風で車に乗って主人公が走り去っていくが、自分はその車が爆発してしまえば良いと思った。

最後に天罰のようなものが下る、というような終わり方なら、ハッピーエンドでそのまま終わりそうな雰囲気ぷんぷんで予想が出来ないし、何か強烈なメッセージを感じたんじゃないかと思う。

これが何か栄誉のある賞を取っているというのがまた滑稽な話で、誰があげてるんだと思う。

この作品の描き方をそのまま描き方通り受け取るならば、犯罪を犯して更生しようとしている人達を馬鹿にしている内容でもある。

そういう人達の代弁には全く成り得ないと思うし、むしろマイナスだと思う。

そんな内容なのに、天使のわけまえという洒落たタイトルテーマで、話に筋を通している感じも気恥ずかしい。

これが噂のケンローチか?

なんだかなあ。

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