映画「パージ(2013)」が“物足りない”理由と考察、その感想 

④物足りない☆2

パージ 英題:The Purge

監督-ジェームズ・デモナコ 2013年 85分

脚本-ジェームズ・デモナコ

出演-イーサン・ホーク、レナ・ヘディ、アデレイド・ケイン、他

映画「パージ」の簡単なあらすじ

一年に一日だけ、どんな犯罪も許されるという法律が出来た近未来のアメリカ。

それはパージと呼ばれ、憂さ晴らしのような効果があるのか、導入後犯罪率は1%にまで減っていた。

パージを明日に控えたサンディン家は、特殊な強化フィルターを家に下ろし、家族だけで屋内で安全に過ごすつもりでいたのだが、思わぬ危機的状況に陥ってしまう・・・。

“物足りない☆2”理由と考察、その感想

人間像が深かったらもっと面白くなった気がする

中々面白い設定で、序盤から引き込まれた。

これはどうなるんだとワクワクする感じがして、途中までは悪くない。

ただ、ホームレスの男を匿ってからは、ドタバタし始めてさほど盛り上がりがないままさらっと終わってしまった感じがした。

もっと深い人間ドラマが盛り込まれていたら面白い作品になった気がする。

人物像の掘り下げが足りないからか、誰にも引き込まれることなく物語は進んでいく。

だから、悲劇的な展開になって行っても、それほどショックも受けないので、物足りなさが残る。

さほど長くない時間の中には詰め込みきれないのかもしれない。

匿ったホームレスの男が人間性豊かな人物で知恵もあり、その男のおかげで家族が助かって、この法律の是非について家族が葛藤したり、家族自体がパージに反対の立場で徹底的に暴漢達と闘ったり、登場人物たちの強い思いが感じ取れれば面白くなったと思う。

主人公の家族がパージに対して賛成って訳ではないが完全に反対でもなかったり、匿った男も悪ではないが正義でもなくそこそこ利己的だったり、主要人物たちがパージやこの社会に対してどう思っているのか、というふり幅が中途半端なので、これではどんな展開になっても物足りなさを感じたことだろうと思う。

隣の家族が助けに来たところはおっと思ったが、実はやはり主人公家族を殺しに来た、という所は無理やりなんじゃないかと感じる。

ただ助けに来た方がまだリアルなんじゃないか。

殺そうとするほどの恨みもない訳で、わざわざ自分も暴漢に殺される危険を冒してまで主人公達を殺しに来るなんて、そんなことするか?と思う。

最後はなんとなく良心の方が悪より優ったのかな?というくらいのどっちつかずのふんわりした終わり方で、良かった、とも、最悪だ、ともならない。

設定は悪くないと思ったのだが、必要な人間描写を飛ばして頭の中だけで書いた脚本という感じがする。

面白くなりそうなのに、中々難しい。

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