あらすじ
刑務所から脱出を何度も試みたために、アルカトラズ刑務所に護送されてきたフランク。
そこはサンフランシスコ湾に浮かぶ島の刑務所で、潮は流れが速く、脱獄不可能と言われた場所だった。
知能指数が高いフランクは、所長のウォーデンに目を付けられてはいたが、日々過ごすうちに脱獄できるのではないかと思いつく。
秘密裏に仲間をつのり、必要な機材を集め、徐々に脱獄の準備を進めるフランク。
果たして脱獄不可能と言われている刑務所から脱獄することは出来るのか?
感想
ハードボイルドな作品
シンプルな描き方の映画だ。
特になぜフランクが刑務所に入っているのかなども描かれずに、途中からひたすら脱獄についての計画が進んでいく。
クリント・イーストウッドの静かで深みのある雰囲気も相まって、淡々としてはいるが味わい深い作品になっている。
囚人同士の会話など、ウィットに富んだやりとりが面白い。
絵をかくのが好きな囚人、老人のドクが、所長に理不尽に絵を書くのを禁じられ、抗議として自分の指を切り落とすところは強烈に印象に残っている。
脱獄の計画が進んでいくに連れ、少しうまくいきすぎている所もあったように感じるが、まあそれはハードボイルドさで補っていると捉えて、あまり気にしないことにしよう。
全てがとんとん拍子ではなく、犠牲を払って計画を進めなければいけないところも描かれてはいる。
実にシンプルだが、男の魅力が詰まっているハードボイルドな作品だ。
どちらかというと男向きな映画かも知れない。
終わり方も結果を明示するわけではない小粋な感じになっている。
実話を元にしているというのもあって、こういうリアルをベースにしたシンプルな見せ方なのかもしれない。
貴重な脱獄物
犯罪を犯したから刑務所に入っている訳で、囚人全員が全員冤罪ではないはずだ。
だから、脱獄する者をヒーローにするというのは、結構難しいんだと思う。
昔こそ腐敗した警察がいて、理不尽に刑務所に入れられるということもあっただろうが、現代においてはかなり少なくなっているから、脱獄物自体、時代の象徴なのかもしれない。
その脱獄物の中でも、この作品は白黒をはっきりさせておらず、そういう意味で珍しい作品なのかもしれない。
フランクはなぜ刑務所に入っているのかも分からないし、決して分かりやすいヒーローという訳でもない。
そこらへんはうまくそぎ落とされて、善か悪か、という単純な構図にはしていない所がリアルなんだろうと思った。
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