英題:Get Out
監督-ジョーダン・ピール 103分 2017年
脚本-ジョーダン・ピール
出演-ダニエル・カルーヤ、ローズ・アーミテージ、リル・レル・ハウリー、他
映画「ゲット・アウト」のあらすじ
黒人青年のクリスは、恋人になった白人女性のローズの家族に挨拶をしに行くことに。
暖かく受け入れてくれるローズの家族だったが、働く黒人のメイドや庭師にどことなく違和感を覚えるクリス。
翌日、ローズ一家の親戚を呼んで大きなパーティーが開かれ、そこに参加したクリスだったが、参加者の変わった振る舞いに居心地が悪くなってしまう。
急遽、無理やり理由をつけて帰ることにしたクリスだったが・・・。
ローズの家族は、クリスが想像もつかないある目的を遂行しようとしていたのだった。
“今すぐに見るべき!”理由と考察、その感想
違和感たっぷりで惹きつけられる
中々面白かった。
最近見たホラー映画の中では間違いなくピカイチだった。
ホラーというとあざとく突飛でリアルとは程遠いものが多いが、これはリアルなサスペンスが全編に組み込まれていて、引き込まれる。
ただのサスペンスでもなく、かといって全編突飛なエンターテインメント作品でもなく、非常に良いバランスのホラー作品だと思う。
ローズ一家がやっていた非人道的行為は現実には起こりえない、起こっても成功しないと思われるが、その要素がリアルなサスペンスからエンターテインメント作品に昇華させられているポイントである。
まだ世界には黒人と白人の人種差別が少なからず残っているが、それを逆手にとった発想が、タブーをうまく利用した、皮肉も含まれているかのような、実にきわきわの良い線をとった発想だ。
一歩間違えたら大きな問題になる。
ただ優秀な人間の体に脳を移植するというだけではなく、人種間の差別的な要素に触れているだけに、サスペンス要素を強くすることが出来たんだと思う。
発想が今までになかっただけでなく、その発想も、しっかりとしたドラマが描かれているから、ちゃんと生きているのだと思う。
ホラーにありがちな、適当な演技や無理な展開などもなく、真面目に描こうとしている気概が感じられて良い。
強いて言えば、こんな手術が成功してしまっているということだが、手術後の人格が不安定で、完全に成功している訳ではないという描写も十分にあるので、そこもうまく考えられていると思う。
後から分かる違和感の謎ときも、分かりやす過ぎず、分かりにく過ぎず、といった感じでちょうど良い。
主人公がローズ一家と戦うが、主人公が不自然に強すぎない点も好感が持てる。
監督も楽しんでもらいたいと言っていた通り、まさに見終わって楽しめた、と純粋に思えるこんなホラーは中々ない。
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