映画「ロボット(2010)」が“つまらない”理由と考察、その感想

⑤つまらない☆1

ロボット 英題:Enthiran

監督-シャンカール 2010年 177分

脚本-シャンカール、マドゥハン・カーキ、スジャサ・ランガラジャン

出演-ラジニカーント、アイシュワリヤ・ラーイ、ダニー・デンゾンパ、他

映画「ロボット」のあらすじ

工学博士のバシー博士は、長年の研究の末、ついに人工知能搭載の自立歩行の人型アンドロイドを作ることに成功した。

チッティと名付けられたその博士そっくりのロボットは、特殊な強靭な体と迅速な判断能力で、次々に人を助けていくが、倫理観が欠如していることが判明する。

博士はチッティに感情を持たせるため、たくさんの本を読ませたり、様々な実体験をさせたり、感情を育むのに必要なありとあらゆる学習をさせた。

人を気遣うことが出来るようになったチッティだったが、感情が芽生えると同時に恋心も抱くようになってしまい、やがてその気持ちが抑えられずに暴走していく・・・。

“つまらない☆1”理由と考察、その感想

おじさんの大活躍、だったはずが・・・

博士とそっくりなおじさんのロボットがチッティが、ロボットならではの人間離れした動きで次々と悪党を倒していく所なんかかなり爽快で、人助けのために火事の中に飛び込んでいく所も応援してしまう。

人助けに失敗し、倫理観を学ぶために本を読んだり、いろんな人と接したり勉強するところはかなりぐっとくる。

色々勉強をした後、博士に怒られたら怒って言い返して、感情が芽生えたんだ、というのも、べたではあるかもしれないが面白い。

難産の赤ちゃんを助けるところも、涙腺を刺激される。

格好良い若者ではなく、おじさんというのが、なんとも味があって良い。

日本も昔はおじさんが主役のドラマは結構あったように思うが、今は薄い若者ばかりでなんとも物足りない。

かといって中年でも日本は薄味ばかりで、若者、中年のみならず、日本は味のある人間が少なくなってきているんだろう。

そんなこんなで、出産を助けた所まではかなり惹き込まれ、期待感がどんどん膨らんでいった。

しかし、その後チッティが恋に落ちてからというもの、まあ展開がめちゃくちゃで完全に萎えてしまった。

なぜこんなになってしまったんだろう?

チッティの大活躍を期待していたのに。

悪になったチッティが分身を使って何十人もくっついたり離れたり、というのは確かにあまり見たことない描写だし、面白くなくはないが、だからなんだ?

チッティが恋に葛藤しながらも悪と闘ったり、博士が悪に殺されてチッティが仇を取るとか、いくらでも面白いストーリーに出来そうなものが、チッティが最強の悪になってしまうなんて。

かといって、それが人間のようなロボットを作るということはいかに大変なことか、というアンチテーゼを含んだバッドエンドになっている訳でもなく、一体何を見せたかったのかが分からない。

チッティ自らが暴走しておかしくなった訳でもなく、悪い教授に変なプログラムを入れられた、ということがあるから、チッティも博士も完全に悪い訳ではない、かといって悪い教授もチッティのあそこまでの暴走を望んでいたわけでもない、という、なんとも中途半端な責任の所在で、一体どこに気持ちをもっていって良いのか分からない。

もっと王道で、しっかりとしたストーリーでも、インド映画はまた違った感じになるんだから、変にストーリーに奇をてらう必要はなかったのに。

この先どうなるんだ、という期待感など全く消え去り、ただただ派手で無茶な展開とやたらと入るダンスにもう辟易してしまう。

確かに、ヒロインの女性はきれいだし、前半は良いとしても、後半は特にキーポイントになっている訳でもない場所で、しかもこっちの感情も萎えている状態でダンスをたくさん見るのは結構きつい。

これはダメなインド映画、色物のインド映画だなと感じてしまった。

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