魂の辛口映画感想

~面白い映画って本当に少ない~

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エスケイプ・フロム・トゥモロー Escape from tomorrow

   

感想

全編白黒のこの作品。

テーマパークを家族と訪れる男の妄想と合わせて物語が展開していく。

意味不明な描写も多く、難解でもある。

結論から言うと非常につまらなかった。

有名テーマパークを舞台にした、誰もが手放しで喜ぶ夢の世界へのアンチテーゼとでも言うべきメッセージだろうが、非常に弱い描写になっている。

誰もが思い付きそうなメッセージだが、実際見てみても、頭を超えてくるような発想はほぼない。

終盤に向かっての難解な描写は、むしろ本来伝えたいメッセージが尽きてしまって、なんとか意味ありげに見せようとした逃げのすり替えだと思う。

もしかしたら撮っている製作陣も気づいていない無意識のすり替えかもしれない。

無許可で実際のテーマパークで撮ったから色々と大変で、これでもなんとかやった方ですよ、ということか? 

作るのが大変だからなんてどうでも良くて、あくまで見て面白いか否かが肝だ。

頑張った賞だけあげるなんて、作った側にとってもこれほど失礼なことはないので、それで評価もしない。

むしろ無許可撮影に制限があるなら、似たようなセットで架空のテーマパークにして、思う存分撮影した方が良かったと思う。

伝えたいメッセージがしっかりしていれば、そのまま例えて置き換えれることができる訳で、わざわざ有名テーマパークにこだわる必要はない。

実際それほど必要性は感じられず、必要性といったら、現実に実在する場所であるという外側のステータスのみだ。

見ている人にとって知っている場所が出ているという親近感であり、それを狙ったとしたらかなりせこいし浅い。

集客も考えていると疑ってしまうからだ。

実際セットを作ろうとすると莫大なお金がかかってしまうから無理だったんだと思いたい。

そもそもテーマパークには裏があるというテーマ自体誰もが思い付きそうな浅い発想であり、映像化するにあたって特に深く掘り下げられている訳でもない。

良かったところは、父が女性との妄想にふけっていたり、家族間で喧嘩したり、変な他の客とトラブルになったりするところくらいだ。

それに比べて猫インフルエンザだとか、球体にいるアンドロイドの博士だとか、肝心だと思われるテーマパークの裏の顔が全くリアルではない。

本当にやっていると思われるだろ!と、本家のテーマパークが青筋立てて猛抗議してくるくらいのものでないといけない。

これが特におとがめなしなのも、相手にされていないということだろう。

自分は人をいじる能力があると思って中途半端に人のことをいじってすべったやつみたいだ。

自分はいじってやったとほくほくしているが、全然いじれていない。

気持ち良いくらいこき下ろされているわけでもないので、いじられた方にもうま味はない。

公式ホームページの上には、「訴えられるまであと何日」という意味の公開日からのカウントの数字が出ているが、それもずれていて、もし監督の意図だとしたら、若者の青臭さを感じてしまう。

自意識過剰感がすべっている。

やはり、注目されることを前提で作ったのかという浅さが匂う。

自分たちが本当に作りたいものを作って、それが結果的に賛否を浴びて注目される、という結果なら良いが、作り手側が先にそれを意識してしまっている時点で、制作事態に集中できていないんじゃないかと思う。

プロデューサーが勝手にやっているなら分かるが、この作品を見ると、どうやら監督自身にそういう気持ちがあるんだろう。

自己満足するためだけならまだ分かるし潔いが、自己満足だけじゃなく他人の満足まで欲しているその意識に寒気がする。

面白い映画を作りたいんじゃなくて、有名になるために映画を作っているという、極めて気持ちの悪い動機だ。

自分のことをカルト作品を作る奇才だと自分で思ってしまっているんじゃないか?

なーんて勝手に言っているが、監督の性格とか制作の舞台裏なんてどうでも良くて、要するに作品が面白ければそれでいいが、面白くない。

こういう一見異様な作品が、通好みだとされる感じがうすら寒い。

面白いものは何かが分かっていないから通ではないし、通ぶりたいんだろうな。

考えてみたら監督も通ぶりたい派だから、通ぶりたい批評家とよく話が合って盛り上がりそうだな。

お互い目的は一緒だ。

白黒であるのは不気味さが多少なりとも強調されているが、それも手法に頼っていると思ってしまう。

若者が勢い勇んで撮りはじめたは良いが、実は大して言いたいこともなかった、しかしそれにも気づいていないという感じの作品か。

 - ⑤時間を返して・・・ ,

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