映画「インターステラー(2014)」を“今すぐ見るべき!”理由と考察、その感想

①今すぐ見るべき!☆5

インターステラー 英題:Inter Stellar

監督-クリストファー・ノーラン 2014年 169分

脚本-クリストファー・ノーラン、ジョナサン・ノーラン

出演-マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャスティン、マイケル・ケイン、マット・デイモン、他

映画「インターステラー」を“今すぐ見るべき!☆5”理由と考察、その感想

飽きない映像美

全体を通して実に重厚な映像になっている。

旅立つ前の地球の描写から、映像自体に味があり、その世界観に引き込まれた。

CGを極力使わないクリストファー・ノーランのこだわりが随所に炸裂している。

非日常であるSF、近未来的な世界観をその独特な映像手法で身近に感じさせてくれる作品だ。

特に詳しい説明がないので、宇宙の知識が全くない人が見ると、意味が分からないまま進んでいくと感じるかもしれない。

しかし、それでも映像自体が持つ迫力は存分に感じられると思う。

意味が分からない部分でも、それは不気味な雰囲気を持っているので、説得力がある。

2時間45分もあるが、その長さを感じさせず、集中して見れた。

気持ちの悪い宇宙の世界

注目すべきは、SFではあるが、実際に宇宙で起こりうるだろうことを忠実に作りこんでいることだ。

最後の五次元空間などは置いておいても、それ以外は実際の宇宙論や科学に基づいて作られているので、そこの部分はSFでもなんでもないとも言える。

リアルに宇宙を描いたらこうなった、という感じかも知れない。

それだけ常識はずれの世界が存在していることを、日常ではほとんど知る機会がないので、これをただのSFだと思うかもしれない。

しかし、実際起こりうることだと知ると、それは独特の映像美と共に不気味に真に迫ってくるものがある。

未来の人が見たら、多少違う所はあっても、当たり前だと思われる世界かも知れない。

あまりに実現不可能なものがSFと思われがちだが、実現可能だと説得力があるものこそ実は真のSFなんじゃないかと思った。

非日常だが身近に感じるからこそ、見ている者を違う世界に連れて行ってくれるし、そこに感動がある。

この作品は、相対性理論や宇宙論といったものを、極めてリアルに映像化に成功している作品だと思う。

ブラックホールの事象の地平線や、光速に近づくほど時間が遅くなるウラシマ効果や重力による時間への影響など、映像化が難しいものをリアルに表現しようというチャレンジ精神を感じる。

いわゆるタイムスリップというものではなく、時間が遅く進むというのが、本人達は何も変わらないので、その淡々とした描写がゾッとした。

人知を超えた宇宙という世界のおっかなさがよく描かれていると思う。

うまく織り込まれた人間ドラマ

マシュー・マコノヒーの疲れた親父感も悪くない。

いわゆるヒーローめいた正義感溢れる青年ではなく、この普通のおじさんが立ち上がる感じがいい。

欲を言えば、娘とのエピソードなどが宇宙に行く前にもう少し描かれていたらもっと良かったと思った。

父と娘の関係性をもう少し知りたかった。

しかし、約3時間という長さの割に展開が速いので、描く時間はなかったのかもしれない。

せっかくなので、時間は気にせずにもっとたっぷり作っても良かったんじゃないかとは思う。

裏切るマット・デイモンも実に板についていて良い。

本当にああいうことをしそうなやつに見える。

宇宙の神秘性を描いているだけでなく、親子の絆や仲間の裏切りなど、人間ドラマも織り込まれている。

冗談を言う無機質な形のロボットも、後半につれ味が出て来るから不思議だ。

ラストのクーパーが選んだ行動も粋で良い。

まだ終わってないんだ、という。

家で見ていて、気づいたらエンドロールを最後まで見ていたのは久しぶりだった。

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