ラスト、コーション 英題:Lust, Caution
監督-アン・リー 2007年 158分
脚本-ワン・ホイリン、ジェームズ・シェイマス
出演-トニー・レオン、タン・ウェイ、他
“オススメ☆4”の理由と考察、その感想
重厚な映像
日本に占領されていた香港、上海はこんな雰囲気だったのかと感じられる。
全編に渡って重厚にリアルに作られている。
性描写は過激だとして話題になったみたいだが、さほど過激とは思わなかった。
こういうシーンを長く使う時点であまり他の作品にはないから言われているのかもしれないが、リアルを優先する上では、なんら問題ないことだと思う。
お茶の間で家族と見るということはオススメ出来ない。
話が盛り沢山
戦争ものであり、スパイものであり、恋愛ものであり、話としては要素がたくさんあるが、非常にうまく絡み合っていて、違和感はない。
スパイとしてもぐりこむところは、緊張感がこっちにも伝わってきて実にハラハラする。
戦争を背景に様々な要素があるが、主にハニートラップを相手に仕掛けるのが軸になっていく。
悪い奴を好きになる?
スパイとしてもぐりこみ、ハニートラップを仕掛けるのが、それがなんとも切ない。
ハニートラップを仕掛けているうちに、本当に好きになってしまうというのは耳にするが、どっちかというとこの作品は、仕掛けられた側の心の動きがよく描かれている。
仕掛けられた方が、予想以上に心を開いてくる。
ただ引っかかったどころではなく、引っかけてきた方を本当に大事に思い、大切に扱い、愛してしまう。
仕掛ける側からしたら、成功だがやりすぎた!という感じか。
仕掛けた側も人間だから、心が動かないはずがない。
そういったハニートラップの内部がリアルに描かれている。
登場人物の演技がリアル
役者の演技が実にリアルだ。
スパイ役のタンや、取り巻く演者もさることながら、トニー・レオンが実にいい。
決して感情をあまり表に出さず、何を考えているか分からない、冷徹で頭がいい感じがよく出ている。
こんな人間だからこそ、スパイによって心を次第に開いてくる感じがリアルに感じる。
トニーの役は実に厳しい立場で、いつ狙われるかもわからず、表向きは冷徹にならざるを得ない立場だ。
もともと冷徹な所もあるとは思うが。
そんな立場だからこそ、身内にすら絶対見せない隠した部分があるり、それが徐々に開放されてくる。
そういった深みがトニー・レオンが上手く表現している。
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