Cinema Soul

~なぜ面白いのか、面白くないのかしっかり書いていく~

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生きる

      2017/06/03

見どころ!→男が自分の命を人の為に・・・

監督-黒沢明 1952年 143分

出演-志村喬、小田切みきほか

あらすじ

機械的に仕事をこなし、淡々と生きてきた市の職員が自分の短い余命を知り絶望する。

あることをきっかけに現実を見つめ、限られた時間の中で自分にも出来ることはないかと模索する。

今までに行ってきた機械的な生き方を捨て、本当の意味での生きるということに一念発起する話。

感想

強烈なメッセージ性

志村喬の、余命を知って放心状態になっている演技が良い。

生きるという意味は何かという強いメッセージが入っていて、実に考えさせらる。

実にシンプルなタイトル、シンプルなストーリーだが、深い。

もう自分には後がないんだと、突きつけられて初めて自分を振り返るという手遅れさ加減。

誰しも呆然とするだろう。

それまでの自分の惰性的な振る舞いを責め落ち込むが、まだ自分にも出来ることがあると思いつき、そこから改めて生きていく。

言ってみれば、そこからが初めて「生きる」ということなのだと教えてくれる。

今までは死んでいたも同然で、心の底から主体的に「生きよう」と初めて思えたということ。

仮に生きた時間が短かったとしても、「本当に生きる」ことが出来ただけで良かった。

なぜなら、一生気づかないで死んでいくかもしれなかったから。

生きているうえで見落としがちだが、実に本質をえぐったテーマだと思う。

志村喬の哀愁が光る

黒澤は、志村喬、三船敏郎とよくコンビネーションを取っている。

人間ものは志村喬、エンターテインメントは三船敏郎、なんて感じがする。

三船敏郎の場合、赤ひげのように、重い人間ドラマですらどこか晴れやかなものとして仕上げてしまう感じがする。

重厚だが、決して暗くはならない。

つらいときでも絶対にあきらめないというような強さが、三船敏郎の中に宿っている。

かたや志村喬は、哀愁がよく似合う。

三船が市民の憧れの存在だとしたら、志村は市民の代弁者と言ったところだろうか?

どうしようもない不条理の現実で、ただよう行き場のない哀愁が志村喬から静かににじみ出ている。

誰もがみんな強いわけではなく、人間とは弱い生き物なんだという、自分のようなごく普通の人間の持ち合わせるもろさがうまく描かれている。

この世の悲しさを全て背負ったかのごとく、背中で語っている志村喬。

決して派手ではないが、強烈に心に来る。

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